容器
【課題】複数の収容部を備え、これらの収容部が分離可能とされた容器であって、分離された辺に、鋭利な切り残しが生じる不都合を可能な限り排除することできる容器を提供する。
【解決手段】
複数の収容部１ａ，１ｂごとに、容器１を分割線２に沿って分離可能とするにあたり、抜き孔２ａを、その内方に向かって凸となるように湾曲し、かつ、分割線２上で互いに逆向きに交わる二組の外形線を有する形状に打ち抜いて、接続部２ｂと抜き孔２ａとを交互に繰り返し配列させて分割線２を形成する。
【解決手段】
複数の収容部１ａ，１ｂごとに、容器１を分割線２に沿って分離可能とするにあたり、抜き孔２ａを、その内方に向かって凸となるように湾曲し、かつ、分割線２上で互いに逆向きに交わる二組の外形線を有する形状に打ち抜いて、接続部２ｂと抜き孔２ａとを交互に繰り返し配列させて分割線２を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、複数の収容部を備え、それぞれの収容部ごとに分離可能とされた容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電子レンジなどにより加熱するだけで食することができるようにされた調理済み食品が知られている。そして、この種の調理済み食品を収容するための容器が種々提案されているなか、商品の多様化に応えるために、内容物を小分けにして必要な分だけ使用し、残った分はそのまま保存しておくことができる容器が求められている。
【０００３】
このような要求に対し、多くの場合、例えば、図４に示すような容器１０が利用されている。図４に示す容器１０は、複数の収容部１０ａ，１０ｂを備え、これらの収容部１０ａ，１０ｂがミシン目２０に沿って分離可能とされており、分離された一方に収容された内容物を食するとともに、他方はそのまま保存しておくことができるようになっている。
【０００４】
しかしながら、上記した容器１０にあっては、ミシン目２０で分離された辺に、突出する切り残しが生じ（図４（ｂ）参照）、この切り残しで、使用者が手指や唇をけがしてしまうことがあるという問題があった。
このような問題に対して、特許文献１では、複数の収容室を切目線で分離可能に接合するにあたり、切目線を波形にして、その凹凸の途中に非切断部を位置させることによって、分離後の非切断部に相当する位置に残るエッジで手指をけがすることがないようにしている。
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−６３７５８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、特許文献１では、波形の凹凸の凹部分の大きさを手指が入らない大きさとして、突出するエッジで手指をけがするのを皆無ならしめることができるとしているものの、これは、分離した後の凹部分の側方から手指が入らないようにしているに過ぎない。
したがって、分離された辺を上下から摘んだ場合などには、依然として突出するエッジで手指をけがするおそれがあった。特に、容器を食器代わりにして直接食する場合、分離された辺に口をつけたときに、唇や舌がエッジに触れて口当たりを悪くするだけでなく、唇や舌を切ってしまうという問題を未だ有していた。
【０００７】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、複数の収容部を備え、これらの収容部が分離可能とされた容器であって、分離された辺に、鋭利な切り残しが生じる不都合を可能な限り排除することできる容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る容器は、複数の収容部を備え、前記収容部のそれぞれが分割線に沿って分離可能とされた容器であって、接続部と抜き孔とを交互に繰り返し配列させて前記分割線を形成するとともに、前記抜き孔が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で互いに逆向きに交わる二組の外形線を有する構成としてある。
【０００９】
このような構成とした本発明に係る容器によれば、分割線に沿って収容部ごとに分離する際に、隣接する抜き孔の先端どうしを結ぶ線分に沿って、抜き孔の外形線と連続するように接続部が裂けながら切断されるようにして、その切り口に、鋭利に突出する切り残しが発生してしまうのを有効に回避することができる。
【００１０】
また、本発明に係る容器は、接続部の裂け易さなどを考慮すると、前記分割線に沿った前記接続部の長さが、０．１〜１．５ｍｍであるのが好ましい。
【００１１】
また、本発明に係る容器は、前記収容部の開口部周縁に沿ってフランジ部を有し、隣接する収容部間に位置するフランジ部に前記分割線を形成した構成とすることができる。このとき、容器を分離し易くするためには、前記分割線上に位置するフランジ部の端縁が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で交わる外形線が形成されるように切り欠かれた構成とするのが好ましい。
【００１２】
このような構成とすれば、例えば、フィルム状の蓋材をフランジ部にヒートシールすることで、収容部に収容された内容物を密封することができ、この場合、前記収容部に内容物を収容するとともに、前記フランジ部に蓋材をヒートシールした後に、前記抜き孔を穿孔して前記分割線を形成することができる。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、収容部ごとに容器を分離した後に、分離された辺に鋭利に突出する切り残しが発生してしまうのを有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、図１は、本実施形態に係る容器の概略を示す斜視図である。
【００１５】
図１に示す容器１は、内容物を小分けに収容できるようにした二つの隣接する収容部１ａ，１ｂを備えている。収容部１ａ，１ｂは、収容される内容物に応じて任意の形状、大きさとすることができる。さらには、図示するような、二つの収容部１ａ，１ｂを備えた態様に限らず、三つ以上の収容部を備えた態様とすることもでき、収容部ごとに形状、大きさを異ならせてもよい。
【００１６】
また、収容部１ａ，１ｂの開口部には、その周縁に沿って水平に張り出すフランジ部３が形成されている。収容部１ａ，１ｂに内容物を収容した後、このフランジ部３の上面に、図示しないフィルム状の蓋材をヒートシールすることで、収容部１ａ，１ｂ内の内容物を密封することができるようになっている。
【００１７】
ここで、図１では、蓋材の図示を省略しているが、蓋材の形状や大きさは、収容部１ａ，１ｂの開口部を覆って内容物を密封することができれば、特に制限はない。通常は、蓋材を引き剥がす際のつまみ易さなどを考慮して、蓋材の外周縁が、フランジ部３の外周縁から若干はみ出す程度の大きさとすることができる。
【００１８】
また、容器１は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン，ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂など、この種の容器に一般に用いられているものと同様の材料を用いて所定形状に成形することができ、これらの樹脂からなる層とともに、ガスバリアー層などの他の層を積層させた積層構成としてもよい。蓋材も、この種の容器に一般に用いられているものを利用することができる。例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムなどに、必要に応じてガスバリアー層や、ヒートシールのためのヒートシール層などを積層したフィルム材が利用できる
【００１９】
図１に示す例において、隣接する二つの収容部１ａ，１ｂは、フランジ部３を介して連ねられており、この隣接する収容部１ａ，１ｂ間に位置するフランジ部３に、両者を分離可能とする分割線２（図中、一点破線で示す）が形成されている。分割線２は、フランジ部３に抜き加工を施して、抜き孔２ａを打ち抜くことによって形成することができる。通常は、収容部１ａ，１ｂに内容物を収容するとともに、フランジ部３に蓋材をヒートシールした後に、フランジ部３の所定の部位を蓋材とともに打ち抜いて分割線２を形成する。
【００２０】
分割線２を形成するにあたり、抜き孔２ａは、隣接する抜き孔２ａとの間に所定の長さＬ１で接続部２ｂを残しつつ、この接続部２ｂと抜き孔２ａとが直線状に交互に繰り返し配列するように打ち抜かれる。
【００２１】
ここで、図２に、接続部２ｂを間に挟んで隣接する二つの抜き孔２ａを拡大して示すが、抜き孔２ａは、分割線２に向かって凸となるように湾曲する外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４によって打ち抜かれている。そして、一方の外形線２ａ１，２ａ２の組が図中上向きで交わり、他方の外形線２ａ３，２ａ４の組が図中下向きで交わるというように、これらの外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４は、一組ずつ対になって互いに逆向きとなるように分割線２上で交わっている。
【００２２】
このように、本実施形態にあっては、分割線２に向かって凸となるように湾曲し、かつ、分割線２上で互いに逆向きに交わる二組の外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４を有する形状にて抜き孔２ａを打ち抜き、これによって、分割線２が形成されるようにしている。このようにすることで、図３に示すように、分割線２に沿って容器１を収容部１ａ，１ｂごとに分離する際に、隣接する抜き孔２ａの先端どうしを結ぶ線分に沿って、抜き孔２ａの外形線と連続するように接続部２ｂが裂けながら、切断されるようにすることができる。
これにより、容器１を収容部１ａ，１ｂごとに分離した後、その分離された辺に鋭利に突出する切り残しが発生してしまうのを有効に回避することができる。
【００２３】
ここで、図３は、容器１が分離される前後の状態を示す説明図であり、図３（ａ）は、分離する前の状態、図３（ｂ）は、分離した後の状態を示している。図３（ｂ）に示すように、収容部１ａ，１ｂのそれぞれを分離した後は、分離された辺に沿って、円弧状に突出する凸部が連続して形成される。
【００２４】
上記のようにして分割線２を形成するにあたり、分割線２に沿った接続部２ｂの長さＬ１は０．１〜１．５ｍｍであるのが好ましい。
長さＬ１が上記範囲に満たないと、接続部２ｂが裂けやすくなってしまい、容器１が不用意に分離してしまうおそれがある。長さＬ１が上記範囲を超えてしまうと、隣接する抜き孔２ａの先端どうしを結ぶ線分上から、接続部２ｂが裂けていく方向がずれてしまう可能性が高まり、分離された辺に鋭利に突出する切り残しが発生し易くなってしまう傾向がある。
【００２５】
また、分割線２に沿った抜き孔２ａの長さＬ２は、３．０〜１５．０ｍｍ程度、これに直交する幅Ｌ３は、２．０〜５．０ｍｍ程度とすることができる。また、外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４は、円弧状に湾曲させるのが好ましく、その曲率半径は、２．０〜１００．０ｍｍ程度とすることができる。
これらの寸法は、収容部１ａ，１ｂを分離した後の辺に形成される凸部（図３（ｂ）参照）のそれぞれが、滑らかな外形線によって形成されるようにするという観点から適宜設定することができる。すなわち、抜き孔２ａの外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４と、接続部２ｂとを、できるだけ滑らかに連続させ、これらが接する部位に顕著な角部が形成されないようにするのが好ましい。
【００２６】
また、本実施形態では、収容部１ａ，１ｂの開口部の周縁に沿ってフランジ部３を形成するに際し、容器１を分離し易くするために、分割線２上に位置するフランジ部３の端縁に、図示するような切り欠き３ａを設けておくのが好ましい。このような切り欠き３ａは、例えば、分割線２に向かって凸となるように湾曲し、かつ、分割線２上で交わるように、その外形線が形成されるようにして設けることができる。
【００２７】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【００２８】
例えば、前述した実施形態では、フランジ部３に蓋材をヒートシールした後に、抜き孔２ａを打ち抜いて分割線２を形成するようにしたが、予め、抜き孔２ａを打ち抜いて分割線２を形成した容器１を用意しておき、分割線２に沿った容器１の分離を妨げないように、分割線２を避けて蓋材をヒートシールするようにしてもよい。
【００２９】
また、前述した実施形態では、分割線２上で互いに逆向きに交わる二組の外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４を直接接続させて、抜き孔２ａの形状が各辺を湾曲させたひし形状となるようにしたが、外形線の各組の間には本発明の効果を損なわない範囲で、任意の辺を介在させるようにしてもよい。例えば、外形線の各組の間に、分割線２と平行な辺を介在させて、抜き孔２ａの形状が六角形状となるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【００３０】
以上説明したように、本発明は、内容物を小分けにして必要な分だけ使用し、残った分はそのまま保存しておくことができる容器として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明に係る容器の概略を示す斜視図である。
【図２】本発明に係る容器の要部拡大図である。
【図３】本発明に係る容器が分離される前後の状態を示す説明図である。
【図４】従来品の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 容器
１ａ，１ｂ 収容部
２ 分割線
２ａ 抜き孔
２ｂ 接続部
３ フランジ部
３ａ 切り欠き
【技術分野】
【０００１】
本発明は、複数の収容部を備え、それぞれの収容部ごとに分離可能とされた容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電子レンジなどにより加熱するだけで食することができるようにされた調理済み食品が知られている。そして、この種の調理済み食品を収容するための容器が種々提案されているなか、商品の多様化に応えるために、内容物を小分けにして必要な分だけ使用し、残った分はそのまま保存しておくことができる容器が求められている。
【０００３】
このような要求に対し、多くの場合、例えば、図４に示すような容器１０が利用されている。図４に示す容器１０は、複数の収容部１０ａ，１０ｂを備え、これらの収容部１０ａ，１０ｂがミシン目２０に沿って分離可能とされており、分離された一方に収容された内容物を食するとともに、他方はそのまま保存しておくことができるようになっている。
【０００４】
しかしながら、上記した容器１０にあっては、ミシン目２０で分離された辺に、突出する切り残しが生じ（図４（ｂ）参照）、この切り残しで、使用者が手指や唇をけがしてしまうことがあるという問題があった。
このような問題に対して、特許文献１では、複数の収容室を切目線で分離可能に接合するにあたり、切目線を波形にして、その凹凸の途中に非切断部を位置させることによって、分離後の非切断部に相当する位置に残るエッジで手指をけがすることがないようにしている。
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−６３７５８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、特許文献１では、波形の凹凸の凹部分の大きさを手指が入らない大きさとして、突出するエッジで手指をけがするのを皆無ならしめることができるとしているものの、これは、分離した後の凹部分の側方から手指が入らないようにしているに過ぎない。
したがって、分離された辺を上下から摘んだ場合などには、依然として突出するエッジで手指をけがするおそれがあった。特に、容器を食器代わりにして直接食する場合、分離された辺に口をつけたときに、唇や舌がエッジに触れて口当たりを悪くするだけでなく、唇や舌を切ってしまうという問題を未だ有していた。
【０００７】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、複数の収容部を備え、これらの収容部が分離可能とされた容器であって、分離された辺に、鋭利な切り残しが生じる不都合を可能な限り排除することできる容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る容器は、複数の収容部を備え、前記収容部のそれぞれが分割線に沿って分離可能とされた容器であって、接続部と抜き孔とを交互に繰り返し配列させて前記分割線を形成するとともに、前記抜き孔が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で互いに逆向きに交わる二組の外形線を有する構成としてある。
【０００９】
このような構成とした本発明に係る容器によれば、分割線に沿って収容部ごとに分離する際に、隣接する抜き孔の先端どうしを結ぶ線分に沿って、抜き孔の外形線と連続するように接続部が裂けながら切断されるようにして、その切り口に、鋭利に突出する切り残しが発生してしまうのを有効に回避することができる。
【００１０】
また、本発明に係る容器は、接続部の裂け易さなどを考慮すると、前記分割線に沿った前記接続部の長さが、０．１〜１．５ｍｍであるのが好ましい。
【００１１】
また、本発明に係る容器は、前記収容部の開口部周縁に沿ってフランジ部を有し、隣接する収容部間に位置するフランジ部に前記分割線を形成した構成とすることができる。このとき、容器を分離し易くするためには、前記分割線上に位置するフランジ部の端縁が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で交わる外形線が形成されるように切り欠かれた構成とするのが好ましい。
【００１２】
このような構成とすれば、例えば、フィルム状の蓋材をフランジ部にヒートシールすることで、収容部に収容された内容物を密封することができ、この場合、前記収容部に内容物を収容するとともに、前記フランジ部に蓋材をヒートシールした後に、前記抜き孔を穿孔して前記分割線を形成することができる。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、収容部ごとに容器を分離した後に、分離された辺に鋭利に突出する切り残しが発生してしまうのを有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、図１は、本実施形態に係る容器の概略を示す斜視図である。
【００１５】
図１に示す容器１は、内容物を小分けに収容できるようにした二つの隣接する収容部１ａ，１ｂを備えている。収容部１ａ，１ｂは、収容される内容物に応じて任意の形状、大きさとすることができる。さらには、図示するような、二つの収容部１ａ，１ｂを備えた態様に限らず、三つ以上の収容部を備えた態様とすることもでき、収容部ごとに形状、大きさを異ならせてもよい。
【００１６】
また、収容部１ａ，１ｂの開口部には、その周縁に沿って水平に張り出すフランジ部３が形成されている。収容部１ａ，１ｂに内容物を収容した後、このフランジ部３の上面に、図示しないフィルム状の蓋材をヒートシールすることで、収容部１ａ，１ｂ内の内容物を密封することができるようになっている。
【００１７】
ここで、図１では、蓋材の図示を省略しているが、蓋材の形状や大きさは、収容部１ａ，１ｂの開口部を覆って内容物を密封することができれば、特に制限はない。通常は、蓋材を引き剥がす際のつまみ易さなどを考慮して、蓋材の外周縁が、フランジ部３の外周縁から若干はみ出す程度の大きさとすることができる。
【００１８】
また、容器１は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン，ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂など、この種の容器に一般に用いられているものと同様の材料を用いて所定形状に成形することができ、これらの樹脂からなる層とともに、ガスバリアー層などの他の層を積層させた積層構成としてもよい。蓋材も、この種の容器に一般に用いられているものを利用することができる。例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムなどに、必要に応じてガスバリアー層や、ヒートシールのためのヒートシール層などを積層したフィルム材が利用できる
【００１９】
図１に示す例において、隣接する二つの収容部１ａ，１ｂは、フランジ部３を介して連ねられており、この隣接する収容部１ａ，１ｂ間に位置するフランジ部３に、両者を分離可能とする分割線２（図中、一点破線で示す）が形成されている。分割線２は、フランジ部３に抜き加工を施して、抜き孔２ａを打ち抜くことによって形成することができる。通常は、収容部１ａ，１ｂに内容物を収容するとともに、フランジ部３に蓋材をヒートシールした後に、フランジ部３の所定の部位を蓋材とともに打ち抜いて分割線２を形成する。
【００２０】
分割線２を形成するにあたり、抜き孔２ａは、隣接する抜き孔２ａとの間に所定の長さＬ１で接続部２ｂを残しつつ、この接続部２ｂと抜き孔２ａとが直線状に交互に繰り返し配列するように打ち抜かれる。
【００２１】
ここで、図２に、接続部２ｂを間に挟んで隣接する二つの抜き孔２ａを拡大して示すが、抜き孔２ａは、分割線２に向かって凸となるように湾曲する外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４によって打ち抜かれている。そして、一方の外形線２ａ１，２ａ２の組が図中上向きで交わり、他方の外形線２ａ３，２ａ４の組が図中下向きで交わるというように、これらの外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４は、一組ずつ対になって互いに逆向きとなるように分割線２上で交わっている。
【００２２】
このように、本実施形態にあっては、分割線２に向かって凸となるように湾曲し、かつ、分割線２上で互いに逆向きに交わる二組の外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４を有する形状にて抜き孔２ａを打ち抜き、これによって、分割線２が形成されるようにしている。このようにすることで、図３に示すように、分割線２に沿って容器１を収容部１ａ，１ｂごとに分離する際に、隣接する抜き孔２ａの先端どうしを結ぶ線分に沿って、抜き孔２ａの外形線と連続するように接続部２ｂが裂けながら、切断されるようにすることができる。
これにより、容器１を収容部１ａ，１ｂごとに分離した後、その分離された辺に鋭利に突出する切り残しが発生してしまうのを有効に回避することができる。
【００２３】
ここで、図３は、容器１が分離される前後の状態を示す説明図であり、図３（ａ）は、分離する前の状態、図３（ｂ）は、分離した後の状態を示している。図３（ｂ）に示すように、収容部１ａ，１ｂのそれぞれを分離した後は、分離された辺に沿って、円弧状に突出する凸部が連続して形成される。
【００２４】
上記のようにして分割線２を形成するにあたり、分割線２に沿った接続部２ｂの長さＬ１は０．１〜１．５ｍｍであるのが好ましい。
長さＬ１が上記範囲に満たないと、接続部２ｂが裂けやすくなってしまい、容器１が不用意に分離してしまうおそれがある。長さＬ１が上記範囲を超えてしまうと、隣接する抜き孔２ａの先端どうしを結ぶ線分上から、接続部２ｂが裂けていく方向がずれてしまう可能性が高まり、分離された辺に鋭利に突出する切り残しが発生し易くなってしまう傾向がある。
【００２５】
また、分割線２に沿った抜き孔２ａの長さＬ２は、３．０〜１５．０ｍｍ程度、これに直交する幅Ｌ３は、２．０〜５．０ｍｍ程度とすることができる。また、外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４は、円弧状に湾曲させるのが好ましく、その曲率半径は、２．０〜１００．０ｍｍ程度とすることができる。
これらの寸法は、収容部１ａ，１ｂを分離した後の辺に形成される凸部（図３（ｂ）参照）のそれぞれが、滑らかな外形線によって形成されるようにするという観点から適宜設定することができる。すなわち、抜き孔２ａの外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４と、接続部２ｂとを、できるだけ滑らかに連続させ、これらが接する部位に顕著な角部が形成されないようにするのが好ましい。
【００２６】
また、本実施形態では、収容部１ａ，１ｂの開口部の周縁に沿ってフランジ部３を形成するに際し、容器１を分離し易くするために、分割線２上に位置するフランジ部３の端縁に、図示するような切り欠き３ａを設けておくのが好ましい。このような切り欠き３ａは、例えば、分割線２に向かって凸となるように湾曲し、かつ、分割線２上で交わるように、その外形線が形成されるようにして設けることができる。
【００２７】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【００２８】
例えば、前述した実施形態では、フランジ部３に蓋材をヒートシールした後に、抜き孔２ａを打ち抜いて分割線２を形成するようにしたが、予め、抜き孔２ａを打ち抜いて分割線２を形成した容器１を用意しておき、分割線２に沿った容器１の分離を妨げないように、分割線２を避けて蓋材をヒートシールするようにしてもよい。
【００２９】
また、前述した実施形態では、分割線２上で互いに逆向きに交わる二組の外形線２ａ１，２ａ２，２ａ３，２ａ４を直接接続させて、抜き孔２ａの形状が各辺を湾曲させたひし形状となるようにしたが、外形線の各組の間には本発明の効果を損なわない範囲で、任意の辺を介在させるようにしてもよい。例えば、外形線の各組の間に、分割線２と平行な辺を介在させて、抜き孔２ａの形状が六角形状となるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【００３０】
以上説明したように、本発明は、内容物を小分けにして必要な分だけ使用し、残った分はそのまま保存しておくことができる容器として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明に係る容器の概略を示す斜視図である。
【図２】本発明に係る容器の要部拡大図である。
【図３】本発明に係る容器が分離される前後の状態を示す説明図である。
【図４】従来品の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 容器
１ａ，１ｂ 収容部
２ 分割線
２ａ 抜き孔
２ｂ 接続部
３ フランジ部
３ａ 切り欠き
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の収容部を備え、前記収容部のそれぞれが分割線に沿って分離可能とされた容器であって、
接続部と抜き孔とを交互に繰り返し配列させて前記分割線を形成するとともに、
前記抜き孔が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で互いに逆向きに交わる二組の外形線を有することを特徴とする容器。
【請求項２】
前記分割線に沿った前記接続部の長さが、０．１〜１．５ｍｍである請求項１に記載の容器。
【請求項３】
前記収容部の開口部周縁に沿ってフランジ部を有し、隣接する収容部間に位置するフランジ部に前記分割線を形成した請求項１〜２のいずれか１項に記載の容器。
【請求項４】
前記分割線上に位置するフランジ部の端縁が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で交わる外形線が形成されるように切り欠かれた請求項３に記載の容器。
【請求項５】
前記収容部に内容物を収容するとともに、前記フランジ部に蓋材をヒートシールした後に、前記抜き孔を穿孔して前記分割線を形成した請求項３〜４のいずれか１項に記載の容器。
【請求項１】
複数の収容部を備え、前記収容部のそれぞれが分割線に沿って分離可能とされた容器であって、
接続部と抜き孔とを交互に繰り返し配列させて前記分割線を形成するとともに、
前記抜き孔が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で互いに逆向きに交わる二組の外形線を有することを特徴とする容器。
【請求項２】
前記分割線に沿った前記接続部の長さが、０．１〜１．５ｍｍである請求項１に記載の容器。
【請求項３】
前記収容部の開口部周縁に沿ってフランジ部を有し、隣接する収容部間に位置するフランジ部に前記分割線を形成した請求項１〜２のいずれか１項に記載の容器。
【請求項４】
前記分割線上に位置するフランジ部の端縁が、前記分割線に向かって凸となるように湾曲し、かつ、前記分割線上で交わる外形線が形成されるように切り欠かれた請求項３に記載の容器。
【請求項５】
前記収容部に内容物を収容するとともに、前記フランジ部に蓋材をヒートシールした後に、前記抜き孔を穿孔して前記分割線を形成した請求項３〜４のいずれか１項に記載の容器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００８−３０２９５０（Ｐ２００８−３０２９５０Ａ）
【公開日】平成２０年１２月１８日（２００８．１２．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１５０９８０（Ｐ２００７−１５０９８０）
【出願日】平成１９年６月６日（２００７．６．６）
【出願人】（５９１２７３９６０）はごろもフーズ株式会社 (7)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月１８日（２００８．１２．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月６日（２００７．６．６）
【出願人】（５９１２７３９６０）はごろもフーズ株式会社 (7)
【Ｆターム（参考）】
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