説明

容器

本発明は、液体試料用の容器に関し、この容器(1)は、細長いケーシングを含むこの容器内に、液体試料が受け入れられ、そして検査される。容器(1)は、開いた下端部と開いた上端部を含み、容器内の試料は、容器の長手方向に、特に上方から検査される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料の取扱いに関し、かつ液体試料が受け入れられて、分析される容器に関する。本発明は、例えば、臨床検査室内で試料を分析するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
複数の試料容器、即ち、複数のウエルが組み合わされたプレートが、検査室内で液体試料を取り扱うためにしばしば用いられる。この場合、この分析は、連続的に手際よく実行される。標準のプレートは、長期間使用されてきた、所謂、マイクロ滴定プレートであり、9mm間隔で、8×12マトリックスの96個のウエルを有している。その後、同等の面積上に384個または1536個のウエルを有するプレートも使用されてきた。これらの試料は、光が試料に導かれて試料を通過させる最適な設備を用いてプレート上で分析される。この場合、例えば、蛍光分析用の励起光が導入され、そして、試料から放射光が導かれる。両方の光は、上方から導かれる。
【0003】
試料ウエルの寸法がより小さくなればなるほど、ウエル内の試料を分析することが難しくなる。例えば、上述したプレートは、1536個のウエルを有し、このウエルの内径は、約2mmに過ぎない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の独立請求項によれば、液体試料用の容器及び試料を分析するための方法が開示されている。他の請求項には、本発明の好ましい実施形態のいくつかが記載されている。
【0005】
本発明は、開いた上端部と開いた下端部とを有する容器に関し、この容器内に試料が受け入れられ、そして、試料は、容器の長手方向に沿って、例えば、特に上方から光学的に検査される。この試料は、容器内に吸い上げられるが、分析のために、試料を再び別の容器に分配することを必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
添付の図面は、本発明の以下の記載に関連し、本発明のいくつかの実施形態に関係する。
本発明の容器は、開いた下端部と開いた上端部とを有する。この容器内に受け入れられる試料は、特に上方から検査される。この試料は、下方から容器内に受け入れることもできる。例えば、ピペット等の吸入装置が、この目的のために用いられる。容器は、検査のために吸入装置から分離することができる。
【0007】
容器の下端部の直径は、吸入が上端部から容器内に向けられないときでさえ、試料が容器内に留まるほど非常に小さい。この容器は、下端部から上端部に向けて広がるようにすることもできる。
【0008】
上方に向けて広がった容器は、より狭い下端部とより広い上端部とを含み、その結果、これらの境から外側に至る底部は、上端部に形成されている。上端部の底部は、ほぼ水平である。この底部は、縁によって取り囲まれ、特に垂直の縁によって取り囲むこともできる。試料は、容器内に受け入れられ、その量は、試料の上部表面が上端部に達している。容器は、検査用のラックに配置することができ、このラック内には、容器用の1つまたは複数の場所がある。特に、分析用に用いられる、いくつかの標準ウエルプレートに対応する1つのラックが用いられる。このラックは、1つのカバーを備えており、このカバーをラックに取り付け、容器の内部と閉鎖することができる。カバーは、容器の上端部を閉鎖するために用いられる。このように、試料は、容器内に貯蔵されかつ輸送することもできる。
【0009】
必要なときに、容器は、液体を混合するために撹拌させることができ、その結果、例えば、所望の反応を高めることができる。この撹拌は、吸入装置又はラック内に配置された容器に対して実行することができる。
【0010】
容器は、2つまたはそれ以上、例えば、4つの容器によって形成された1つのユニットとして結合することができる。この容器ユニットは、別個の容器を取り囲む1つの縁を含むことができる。この縁は、容器ユニットが縁から吸入装置に取り付けられ、これにより、同時に吸入を複数の容器に向けられるようにすることができる。この場合、容器の上端部は、下方に分離したウエルによって分離された上側容器を含む。
【0011】
容器の内側表面は、適当な試薬で被覆され、例えば、試料に反応する試薬で被覆することができる。
試料は、光学的に、例えば、蛍光分析、光度分析、ネフェロ分析(nefelometrically)
、顕微鏡分析、及び最適な分析方法で分析される。
【0012】
本発明の利点は、とりわけ、試料が、分析のために、容器から別の容器に分配する必要がないことである。その他、付加的な利点は、容器の上方縁及び容器ユニットの容器間の上方縁が、ウエルプレートの複数のウエル間の各ウエルよりも薄く作ることができることである。このようにして、試料が分析に晒されるより広い試料表面が達成される。
【0013】
容器は、また検査室内で用いられる多数のピペットに対して、使用可能に作ることができる。
ラックは、分析装置を用いるのに適しており、一方、検査室内の試料プレートに対しても使用することができる。
【0014】
この容器は、この目的に適したいくつかのプラスチックを用いて、射出成形によって製造することができる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態が、以下に、詳細に記載されている。
【0016】
図1aは、液体が吸入された容器1を示しており、この容器は、ピペット等の吸入装置2の吸入通路に接続されている。容器は、上方に広がった細い円錐形の下側容器と、広い円筒形の上側容器とを含む。かなり多くの液体が先端に吸入され、その上部表面は、容器の上側部分まで達する。容器は、吸入が停止されているときでさえ、粘着力によって容器内に液体がとどまるように寸法付けられている。ピペット先端部に用いられる通常のプラスチック(例えば、ポリアルケン(polyalkene))で作られた容器の内径は、例えば、0.5〜1mmとすることができるであろう。吸入装置の吸入通路の表面は、垂直に移動可能な排気カラーを含むことができ、このカラーによって、容器は、押圧によってピペットから分離することができる。図1bは、吸入装置を取り除いた容器を示し、ラック3に垂直に配置されている。このラックは、容器を支持する凹部を含む。容器内の液体は、容器の上方から分析装置4を用いて光学的に分析される。分析装置は、励起光等の光を試料に放射するための光源5と、液体を通過してくる放射光等の光を検出するための検出器6とを含む。ラックは、いくつかの凹部を有するように形成される。この複数の凹部は、いくつかの標準ウエルプレートに対応するフォーマットとして形成されている。その結果、このプレートに対して寸法付けられた分析装置は、ラックに配置された容器を検査するために用いることができる。
【0017】
図2は、容器ユニット7を図示しており、このユニット内に4つの容器1.1が、共通の上側部分8によって対称に組み合わされている。上側部分は、ユニットを取り囲む外側ウエル9を含み、ユニットの内側表面は、断面が丸形状で、これにより、ユニットは、吸入装置に取り付けられる。ユニットの内部は、内側壁10によって4つの部分に対称に分割され、この内側壁は、外側壁よりも下方にあり、その結果、各容器の内側に設けた上側容器内に液体が吸入される。乾式容器を用いるとき、湿式容器を用いるときよりも吸入速度をより強くすることが可能である。
【0018】
容器ユニット7は、検査のためにラック3(図3)に配置することができる。このラックは、カバー11により閉鎖することができ、カバーの下側表面は、各容器ユニットの上側部分にしっかり固定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】1a及び1bは、吸入装置及びラックに装着された容器を示す図である。
【図2】吸入装置に装着される容器を示す図である。
【図3】分析中のラック内に配置された図2の容器を示す図である。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1;1.1)が細長いケーシングを含み、前記容器内に液体試料を受け入れて、この試料を検査できるようにした、液体試料用の容器であって、
前記容器(1;1.1)は、開いた下端部と開いた上端部を有し、前記容器内の試料が前記容器の長手方向において、特に上方から検査されることを特徴とする容器。
【請求項2】
より狭い下側容器と、より広い上側容器とを含むことを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
上側容器は底部を有することを特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記容器の上端部は、縁によって取り囲まれ、この縁によって、前記容器内に液体試料を吸入するための吸入装置に配置可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
容器ユニットとして、少なくとも1つの他の容器(1.1)を結合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記容器の上端部が1つの縁(9)によって取り囲まれ、この縁によって、前記容器ユニットが吸入装置に配置可能であり、液体試料を容器内に吸入するため、同時に複数の前記容器に吸入を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
液体試料を分析するために請求項1〜6のいずれかに記載の容器の使用。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の前記容器(1;1.1)と共に使用されるラック(3)であって、該ラックが、前記容器のための少なくとも1つの場所を有することを特徴とするラック。
【請求項9】
ラックと共に1つのケースを形成するカバー(10)を含み、このカバー内に前記容器(1;1.1)が閉じ込められ、前記カバーは、各容器の上端部に対してしっかりと固定されることを特徴とする請求項8に記載のラック。
【請求項10】
前記容器(1;1.1)の上端部が1つの縁によって取り囲まれ、前記容器内に液体試料を吸入するために、前記容器が、前記縁によって前記吸入装置に配置可能であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の容器と共に用いられる吸入装置。
【請求項11】
液体試料が細長い容器内に受け入れられ、前記容器の長手方向に沿って検査される前記液体試料を分析するための方法であって、
前記液体試料は、細長い容器(1;1.1)内に受け入れられ、該容器は、開いた下端部と開いた上端部を含み、前記容器内の試料が、容器の長手方向に光学的に検査されることを特徴とする液体試料の分析方法。




【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−500522(P2008−500522A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513981(P2007−513981)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000242
【国際公開番号】WO2005/116612
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(501286093)サーモ エレクトロン オイ (13)
【Fターム(参考)】