説明

容器

【課題】組立作業及び詰め替え作業を容易に行い易い容器を提供すること。
【解決手段】内容物が充填される容器本体10と、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム21、及び該ステムの上端に固定されると共に内容物を吐出させる吐出口23aが形成された吐出ヘッド22を有する吐出器20と、を備えた吐出容器2、3、並びに吐出容器を収容する収容ケース40、を備え、収容ケースが、有底筒状の収容筒体45と、該収容筒体の上端開口を開閉する頂壁体46と、を備え、頂壁体が吐出ヘッドを上方に突出させた状態で収容筒体の上端開口を閉じると共に、ヒンジ部55を介して収容筒体に連結されている容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器を収容ケース内に備える容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の容器の1つとして、容器本体と、該容器本体に装着され噴出ノズルを有するノズルヘッドと、を備えた噴出容器を、収容ケース内に2つ収容する液噴出器が知られている(特許文献1参照)。
詳細には、2つの噴出容器は有底筒状のケース本体内に収納されており、該ケース本体に装着された肩パーツによって覆われている。また、噴出容器のノズルヘッドは、肩パーツの頂壁に形成された挿通口を通じて上方に突出している。
この液噴出器によれば、2つの噴出容器のノズルヘッドがそれぞれ肩パーツから突出しているので、2つのノズルヘッドを同時に押下げて二液の同時噴出を行ったり、それぞれのノズルヘッドを押下げて一液のみの噴出を行ったりすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4246044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の液噴出器では、噴出容器をケース本体内に収容する際、肩パーツをケース本体に対して着脱させる必要があった。従って、組み立て時或いは噴出容器の交換時に手間と時間がかかり、作業が煩雑化し易かった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、組立作業及び吐出容器の交換作業を容易に行い易い容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る容器は、内容物が充填される容器本体と、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム、及び該ステムの上端に固定されると共に前記内容物を吐出させる吐出口が形成された吐出ヘッドを有する吐出器と、を備えた吐出容器、並びに前記吐出容器を収容する収容ケース、を備え、前記収容ケースが、有底筒状の収容筒体と、該収容筒体の上端開口を開閉する頂壁体と、を備え、前記頂壁体が、前記吐出ヘッドを上方に突出させた状態で前記収容筒体の上端開口を閉じると共に、ヒンジ部を介して前記収容筒体に連結されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る容器によれば、吐出ヘッドが頂壁体から突出しているので、収容ケースに吐出容器を収容したまま吐出ヘッドを介してステムを押し込み操作して、内容物を吐出させることができる。
【0008】
特に、頂壁体はヒンジ部を介して収容筒体に連結されているので、該頂壁体をヒンジ部回りに回転させるだけで、吐出容器を露出させた開放状態にしたり、収容筒体の上端開口を閉じて吐出容器を収容状態にしたりすることが容易に行える。そのため、組み立て時や吐出容器の交換時において、吐出容器を容易に収容筒体から取り出したり、組み込んだりすることが可能である。従って、従来に比べて手間と時間をかけることなく容易に組立作業及び吐出容器の交換作業を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0009】
(2)また、上記本発明の容器において、前記頂壁体に、前記収容筒体に設けられた第1係合部に離脱自在に係合する第2係合部を設けても良い。
【0010】
この場合には、第1係合部と第2係合部とが互いに離脱自在に係合し合うので、収容筒体に対して頂壁体を固定でき、該頂壁体が不意に収容筒体から離間するようにヒンジ部回りに回転し難い。そのため、より確実に吐出容器を収容でき、収容時の信頼性を向上することができる。
【0011】
(3)また、上記本発明の容器において、前記収容筒体及び前記頂壁体のうちの少なくとも一方に、前記ヒンジ部に隣接する凸部を径方向の外側に向けて突設し、前記凸部の突出高さを、前記収容筒体及び前記頂壁体に対する径方向の外側に向けた前記ヒンジ部の突出高さに対して、同等以上としても良い。
【0012】
この場合には、ヒンジ部の突出高さに対して同等以上の高さの凸部が該ヒンジ部に隣接して突設されているので、流通時、商品陳列時や使用時等においてヒンジ部に対する外部接触の可能性を低減でき、接触等に起因するヒンジ部の損傷を生じ難くさせることができる。
また、指先等がヒンジ部だけに局所的に接触してしまうことを防ぐことができるので、違和感なく容器を把持し易い。また、容器を把持した場合には、指先等がヒンジ部及び凸部に多点接触するので滑り止め効果を発揮させることができ、この点に関しても容器を把持し易い。
【0013】
(4)また、上記本発明の容器において、前記収容筒体が、底部に連設する周壁部と、該周壁部の上端部に外嵌された外嵌筒部と、を備え、前記頂壁体が、前記ヒンジ部を介して前記外嵌筒部に連結されていても良い。
【0014】
この場合には、周壁部に外嵌された外嵌筒部に、頂壁体がヒンジ部を介して連結されているので、例えば出荷前の組み立て時に頂壁体及び外嵌筒部を取り外した状態で吐出容器を周壁部内に組み込む作業を行うことができ、頂壁体の存在を気にする必要がなく、作業効率をより高めることができる。
【0015】
(5)また、上記本発明の容器において、前記収容ケースが、前記吐出容器を複数並列させた状態で収容可能とされ、前記頂壁体が、複数の前記吐出容器に対応して複数設けられ、それぞれが前記ヒンジ部を介して前記収容筒体に連結されていても良い。
【0016】
この場合には、収容ケース内に複数の吐出容器が並列に並んだ状態で収容されているので、各吐出容器の吐出ヘッドを個別に押し込んで内容物を個別吐出させたり、各吐出容器の吐出ヘッドを同時に押し込んで内容物を同時吐出させたりすることができる。また、複数の吐出容器に対応して頂壁体が設けられているので、特定の吐出容器だけを交換することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る容器によれば、頂壁体をヒンジ部回りに回転させるだけの簡単な操作で吐出容器を容易に収容筒体から取り出したり、組み込んだりすることができるので、組立作業及び吐出容器の交換作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る容器の実施形態を示す縦断面図(一部側面図)である。
【図2】図1に示すA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1に示すオーバーキャップを取り外した状態における上面図である。
【図4】図1に示す状態から一方の蓋体をヒンジ部回りに回転させた状態を示す図である。
【図5】本発明に係る蓋体とキャップ本体との係合手段の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る容器の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。なお、本実施形態では、吐出容器を2つ備えた場合を例に挙げて説明する。
本実施形態の容器1は、図1及び図2に示すように、2つの吐出容器2、3と、これら2つの吐出容器2、3を並列に並べた状態で内部に収容する外装ケース4と、で構成されている。
【0020】
2つの吐出容器2、3は、同じ構成であるので一方の吐出容器2を代表して説明する。なお、本実施形態では、ポンプを利用して内容物を吐出させるポンプタイプの吐出容器を例に挙げて説明する。
この吐出容器2は、図示しない内容物が充填された有底円筒状の容器本体10と、内容物を吐出させる吐出器20と、該吐出器20を容器本体10に装着させる装着キャップ30と、で構成されている。
【0021】
なお、容器本体10、吐出器20及び装着キャップ30は、それぞれ共通軸線上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿って容器本体10の底部側を下側、吐出器20の吐出ヘッド22側を上側とする。また、容器軸Oに直交する方向を径方向とし、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。
また、内容物としては、例えば化粧用、毛染め用、洗顔用や洗髪用等の液体、ジェル、フォーマーやクリーム等である。或いは、食品用に関する内容物でも構わない。
【0022】
吐出器20は、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム21を有するポンプ部と、ステム21の上端に取り付けられた吐出ヘッド22と、この吐出ヘッド22に設けられた吐出ノズル23と、を備えている。
ポンプ部は、ステム21の押し込みによって内容物を送り出す送出器であり、装着キャップ30に一体的に組み付けられた図示しないシリンダ筒と、このシリンダ筒に上下動可能に挿入された図示しないピストン筒とを有しており、このピストン筒の上部に上記ステム21が連通状態で取り付けられている。なお、ピストン筒及びステム21は、図示しないコイルバネによって常に上方付勢されている。
【0023】
装着キャップ30は、有頂筒状に形成された部材であり、容器本体10の口部10aに例えば螺着されている。これにより、ポンプ部が口部10a内に配設され且つステム21が口部10aより上方に突出された状態で吐出器20が容器本体10に装着されている。
また、装着キャップ30の頂壁部上には、突出したステム21を径方向外方から囲む環状壁部31が突設されている。
なお、装着キャップ30は、容器本体10の口部10aに装着されていれば良く、螺着に限られず例えばアンダーカット嵌合等により口部10aに装着されていても構わない。
【0024】
吐出ヘッド22は、ステム21を押し込み操作する操作部であり、周壁部24と頂壁部25とで有頂筒状に形成されている。頂壁部25には、図示しない嵌合筒が下方に向けて突設されており、この嵌合筒をステム21の上端に嵌合させることで吐出ヘッド22がステム21に固定されている。なお、ステム21の内部と嵌合筒の内部とは連通している。
【0025】
周壁部24は、図1から図3に示すように、平坦な垂直面24aと、一部が半円弧状に形成されて垂直面24aの両端に連設される湾曲面24bと、で平面視D字型の筒状に形成されており、湾曲面24bの一部に吐出ノズル23が形成されている。この吐出ノズル23は、吐出ヘッド22の内部で上記嵌合筒の内部に連通しており、その先端に内容物を吐出させる吐出口23aが開口している。
【0026】
上述したように構成された2つの吐出容器2、3は、互いの吐出ヘッド22の垂直面24aを向かい合わせ、且つ、吐出ノズル23が同じ方向に向くように並列に並んだ状態で外装ケース4内に収容されている。この外装ケース4は、図1及び図2に示すように、収容ケース40と、オーバーキャップ41と、で構成されている。
収容ケース40は、平面視略楕円状に形成された有底筒状の収容筒体45と、該収容筒体45の上端開口を開閉する2つの蓋体(頂壁体)46と、を備えている。
【0027】
収容筒体45は、底部47に連設され、2つの吐出容器2、3をほぼ隙間なく収容できるサイズに形成された周壁部48と、この周壁部48の上端部にアンダーカット嵌合によって外嵌されたキャップ本体(外嵌筒部)49と、で構成されている。
上記底部47には、2つの吐出容器2、3の容器軸Oに対応する位置にエア抜き用の開口部47aが2つ形成されている。また、この底部47上にはクッション性の高い緩衝シート50が敷かれており、この緩衝シート50にも上記開口部47aに連通するエア抜き用の貫通孔50aがそれぞれ形成されている。
【0028】
キャップ本体49は、外筒部51と、この外筒部51の上端部に連設され、該外筒部51よりも径方向内側に配設されて上方に突出する縮径筒部52と、で平面視略楕円状の筒状に形成されている。このキャップ本体49と上記2つの蓋体46とは、それぞれヒンジ部55によって連結されている。
ここで、ヒンジ部55は、図1及び図3に示すように、キャップ本体49の長軸方向L1に互いに対向するように配設されている。そして、それぞれのヒンジ部55の下端部が、キャップ本体49の外筒部51の上端部に一体的に形成されている。
なお、本実施形態では、2つの吐出容器2、3が並ぶ方向に上記長軸方向L1が一致している。
【0029】
また、縮径筒部52には、図2及び図4に示すように、係合凸部(第1係合部)56が容器外側に向かって突設されている。係合凸部56は2つの吐出容器2、3のそれぞれについて2つずつ設けられていると共に、これら2つの凸部56はキャップ本体49の径方向のうち短軸方向L2に沿う方向に互いに対向するように設けられている。
【0030】
上記蓋体46は、図1から図3に示すように、吐出ヘッド22を上方に突出させた状態で収容筒体45の上端開口を閉じて、2つの吐出容器2、3をそれぞれ収容筒体45内に収容させる部材であって、外壁部60と内壁部61と天壁部62とで、平面視略楕円状の二重筒をキャップ本体49の短軸方向L2に沿って半割りしたような平面視略U字状に形成されている。そして、蓋体46を平面視した際、上記長軸方向L1の外側端が湾曲端M1とされ、内側端が開口端M2とされている。
そして、これら蓋体46は互いに開口端M2を向かい合わせにした状態で、キャップ本体49に着脱自在に装着されていると共に、このキャップ本体49に上記ヒンジ部55を介して連結されている。
【0031】
なお、ヒンジ部55の上端部は、外壁部60において、蓋体46の湾曲端M1側に位置する湾曲端側部分の下端部に一体的に形成されている。これにより、蓋体46をヒンジ部55回りに回転させて該蓋体46をキャップ本体49から離脱させた際、外壁部60の前記湾曲端側部分がキャップ本体49の外筒部51に向けて容器外側から接近するようになっている。
【0032】
また、蓋体46の装着時、該蓋体46の外壁部60はキャップ本体49の縮径筒部52に外嵌されている。内壁部61は、外壁部60に対して容器内側に配設された壁部であり、下端部が装着キャップ30の環状壁部31に嵌合して該装着キャップ30を上から押さえ付けている。つまり、蓋体46は、収容筒体45に収容された2つの吐出容器2、3を固定しながら覆う役割を担っている。
また、内壁部61で囲まれた内側部分は、2つの吐出容器2、3の吐出ヘッド22をそれぞれ挿通させる挿通口として機能する。これにより、2つの吐出ヘッド22は、蓋体46よりも上方に突出し、それぞれ押し下げ操作可能とされている。
なお、内壁部61は、吐出ヘッド22の上下動を案内する案内部材としても機能する。また、外壁部60と内壁部61との間には、両壁部60、61を連結して蓋体46全体の剛性を高める補強リブ63が適宜設けられている。
【0033】
ところで、蓋体46の外壁部60の内面には、図2及び図4に示すように、キャップ本体49の縮径筒部52に形成された係合凸部56に離脱自在に係合する係合凹部(第2係合部)65が各係合凸部56に対応するようにそれぞれ2つずつ形成されている。そして、係合凸部56と係合凹部65とが係合し合うことで、キャップ本体49に蓋体46が確実に嵌め込まれて固定されるようになっている。
なお、図2に示すように、キャップ本体49の外筒部51を容器内側に押圧(矢印Pで示す部分)して、縮径筒部52のうち係合凸部56が設けられている箇所を部分的に容器内側に弾性変形させることで、係合凸部56と係合凹部65との係合を解除しても良い。
なお、縮径筒部52に係合凹部65を形成し、外壁部60に係合凸部56を形成しても構わない。また、凹部と凸部との係合ではなく、凸部同士を係合させても構わない。
【0034】
また、図1、図3及び図4に示すように、外壁部60において、蓋体46の湾曲端M1側に位置する湾曲端側部分には、ヒンジ部55に隣接する凸部66が容器外側に向かって突設されている。また、キャップ本体49の外筒部51にも、蓋体46の湾曲端M1側に位置する湾曲端側部分にヒンジ部55に隣接する凸部67が容器外側に向かって突設されている。なお、本実施形態では、凸部67が上下方向に一列に沿って並ぶように複数設けられている。
これら凸部66、67の突出高さは、外壁部60及び外筒部51の壁面に対する容器外側に向けたヒンジ部55の突出高さH(図3参照)に対して、同等以上とされている。なお、図示の例では、凸部66、67の高さとヒンジ部55の高さとが同等の場合を例にしている。
【0035】
また、キャップ本体49側に形成された凸部67は、蓋体46をヒンジ部55回りに回転させてキャップ本体49から離脱させたときに、蓋体46側の凸部66に干渉しないように突設位置が調整されている。
【0036】
オーバーキャップ41は、図1及び図2に示すように、2つの蓋体46に対して着脱自在に装着される有頂筒状のキャップであり、下端部が外壁部60の上端部にアンダーカット嵌合されることで2つの蓋体46に対して装着可能とされている。
なお、ヒンジ部55を介して連結されているキャップ本体49及び蓋体46は、周壁部48に対して着脱可能な肩キャップという1つの着脱ユニットとして機能しても良い。
【0037】
次に、このように構成された容器1を使用する場合について説明する。
この容器1では、収容筒体45に2つの吐出容器2、3が並列に並んだ状態で収容されているので、オーバーキャップ41を取り外すと、蓋体46の上方に突出した2つの吐出ヘッド22が露出する。
そのため、2つの吐出容器2、3を収容したまま、2つの吐出ヘッド22を個別に押し下げ操作して内容物をそれぞれ吐出させたり、2つの吐出ヘッド22を同時に押し下げ操作して内容物を同時に吐出させたりすることが可能である。つまり、内容物の個別吐出又は同時吐出を適宜選択しながら行うことができる。
【0038】
ところで、2つの蓋体46はヒンジ部55を介して収容筒体45を構成するキャップ本体49に連結されているので、これら蓋体46をヒンジ部55回りに回転させるだけで、2つの吐出容器2、3を露出させた開放状態にしたり、収容筒体45の上端開口を閉じて吐出容器2、3を再度収容状態にしたりすることが容易に行える。そのため、組み立て時や吐出容器2、3の交換時において、吐出容器2、3を容易に収容筒体45から取り出したり、組み込んだりすることが可能である。
従って、従来に比べて手間と時間をかけることなく容易に組立作業及び吐出容器2、3の交換作業を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0039】
しかも、2つの吐出容器2、3に対応してそれぞれ蓋体46が設けられているので、いずれか一方の蓋体46だけをヒンジ部55回りに回転させて一方の吐出容器2だけを交換することができる。この間、他方の蓋体46に関してはキャップ本体49に装着させたままの状態にしておけるので、他方の吐出容器3を安定に収容させたままの状態にしておくことが可能である。
【0040】
また、本実施形態では、キャップ本体49に蓋体46がヒンジ部55を介して連結されているので、例えば出荷前の組み立て時に、キャップ本体49及び蓋体46を周壁部48から取り外した状態で吐出容器2、3を周壁部48内に組み込む作業を行うことができる。よって、蓋体46の存在を気にする必要がなく作業を行えるので、作業効率を高めることができる。
【0041】
また、組み立てや吐出容器2、3の交換等を終え、蓋体46をキャップ本体49に装着した際、係合凸部56と係合凹部65とが互いに係合し合うので蓋体46が確実にキャップ本体49に嵌め込まれて固定される。よって、蓋体46が不意にキャップ本体49から離脱するようにヒンジ部55回りに回転し難い。そのため、より確実に吐出容器2、3を収容することができ、収容時の信頼性を向上することができる。
【0042】
また、蓋体46及びキャップ本体49には、ヒンジ部55の突出高さHに対して同等以上の高さの凸部66、67がヒンジ部55に並ぶように突設されているので、流通時、商品陳列時や使用時においてヒンジ部55に対する外部接触の可能性を低減できる。よって、接触等に起因するヒンジ部55の損傷を生じ難くさせることができる。
また、容器1を使用するにあたって、指先等がヒンジ部55だけに局所的に接触(1点接触)してしまうことを防ぐことができるので、違和感なく容器1を把持し易い。しかも、把持した場合には、指先等がヒンジ部55及び凸部66、67に多点接触するので、滑り止め効果を発揮させることができる。この点に関しても容器1を把持し易い。
【0043】
なお、上記実施形態では、キャップ本体49の縮径筒部52に合計4つの係合凸部56を設けると共に、蓋体46にそれぞれ係合凹部65を2つずつ設けることで、各蓋体46専用の係合手段として機能させたが、この場合に限られず、2つの蓋体46共通の係合手段として機能させても構わない。
【0044】
例えば、図5に示すように、キャップ本体49の縮径筒部52は周方向に分断されており、その分断された一部が短軸方向L2に沿って向かい合う対向壁部52aとされている。これら対向壁部52aは、2つの蓋体46の外壁部60にそれぞれ内接するように、2つの吐出容器2、3が並ぶ方向である長軸方向L1に長く延在している。そして、これら対向壁部52aの外周面の略全体に亘って係合凸部56が形成されている。
また、キャップ本体49の外筒部51には、上端部から下方に向かって縦長のスリット70が対向壁部52aを間に挟むように平行に延設されている。
一方、2つの蓋体46の外壁部60の内面には、それぞれ上記係合凸部56に半分ずつ係合する係合凹部65が形成されている。
【0045】
このようにすることで、係合凸部56を2つの蓋体46共通の係合凸部として利用でき、より簡便な構成で、2つの蓋体46をそれぞれキャップ本体49に対して確実に嵌め込むことができる。
なお、例えば一方の蓋体46の係合を解除する場合には、2本のスリット70で囲まれた外筒部51のうち、一方の吐出容器2側の部分を容器内側に押圧(矢印Pで示す部分)することで、対向壁部52aの片側を容器内側に弾性変形させることにより、係合凸部56の略半分(一方の吐出容器2寄りの略半分)を容器内側に押し込み、一方の蓋体46の係合だけを解除するように操作することができる。但し、両方の係合を外しつつ、一方の蓋体46のみを回動させるようにすることもできる。
【0046】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、吐出容器を2つ備えた場合を例に挙げて説明したが、1つでも構わないし、3つ以上備えていても構わない。吐出容器を2つ以上備えている場合には、複数の吐出容器に対応して蓋体46を複数設け、ヒンジ部55を介してこれら複数の蓋体46をキャップ本体49に連結しても構わないし、1つの蓋体46だけで複数の吐出容器の全体を覆う構成としても構わない。
【0048】
また、上記実施形態では、ポンプ部を利用して内容物を吐出させるタイプの吐出容器を例に挙げて説明したが、この際のポンプ部は、吐出ヘッド22を介してステム21を押し下げることによって内容物を吸い上げ、吐出口23aから吐出させるものであれば公知のもので良く、例えば、内容物を液状で吐出する液ポンプや、空気シリンダ及び空気ピストンを構成に加えて内容物を泡状に吐出するフォーマーポンプや、内容物を霧状に吐出するスプレーポンプであっても構わない。
また、ポンプタイプの吐出容器ではなく、エアゾールタイプの吐出容器であっても本発明は適用可能である。
【0049】
また、容器本体としては、樹脂成形された一般的なボトルでも構わないし、外層と内層とで2層に構成され、外層に対して内層が剥離する積層剥離型のデラミボトルでも構わないし、内圧減少に伴って上昇する中皿を内部に有する中皿上昇式のボトルであっても構わない。
【0050】
また、上記実施形態では、周壁部48と該周壁部48に対して着脱自在に外嵌されたキャップ本体49とで収容筒体45を構成したが、1つの部材で構成しても構わない。この場合には、ヒンジ部55を介して蓋体46を収容筒体に連結すれば良い。
但し、キャップ本体49を有するように収容筒体45を構成し、ヒンジ部55を介して蓋体46をキャップ本体49に連結させることで、蓋体46をキャップ本体49と共に周壁部48から取り外すことができるので、組み立て易さの観点から上記実施形態のように構成することが好ましい。
【0051】
また、上記実施形態において、ヒンジ部55を囲むように凸部66、67を配置したり、ヒンジ部55に対して周方向に並ぶように凸部66、67を配置したりしても構わない。また、凸部は、キャップ本体49側だけ或いは蓋体46側にだけ設けても構わない。
【0052】
また、上記実施形態において、2つの吐出容器2、3の吐出ヘッド22同士を互いに連係する操作片を設けても構わない。この場合には、一方の吐出容器2の吐出ヘッド22に、他方の吐出容器3の吐出ヘッド22に向かって移動(回転移動、スライド移動)可能に操作片を設け、該操作片の移動によって両吐出ヘッド22を互いに連係させれば良い。
このようにすることで、操作片を押し下げることにより両吐出ヘッド22を同期させながら押し下げることができるので、より確実に同じタイミングで内容物の同時吐出を行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
O…容器軸
1…容器
2、3…吐出容器
10…容器本体
20…吐出器
21…ステム
22…吐出ヘッド
23a…吐出口
40…収容ケース
45…収容筒体
46…頂壁体
48…周壁部
49…キャップ本体(外嵌筒部)
55…ヒンジ部
56…係合凸部(第1係合部)
65…係合凹部(第2係合部)
66、67…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填される容器本体と、
上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム、及び該ステムの上端に固定されると共に前記内容物を吐出させる吐出口が形成された吐出ヘッドを有する吐出器と、を備えた吐出容器、並びに
前記吐出容器を収容する収容ケース、を備え、
前記収容ケースは、有底筒状の収容筒体と、該収容筒体の上端開口を開閉する頂壁体と、を備え、
前記頂壁体は、前記吐出ヘッドを上方に突出させた状態で前記収容筒体の上端開口を閉じると共に、ヒンジ部を介して前記収容筒体に連結されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器において、
前記頂壁体には、前記収容筒体に設けられた第1係合部に離脱自在に係合する第2係合部が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器において、
前記収容筒体及び前記頂壁体のうちの少なくとも一方には、前記ヒンジ部に隣接する凸部が径方向の外側に向けて突設され、
前記凸部の突出高さは、前記収容筒体及び前記頂壁体に対する径方向の外側に向けた前記ヒンジ部の突出高さに対して、同等以上とされていることを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器において、
前記収容筒体は、底部に連設する周壁部と、該周壁部の上端部に外嵌された外嵌筒部と、を備え、
前記頂壁体は、前記ヒンジ部を介して前記外嵌筒部に連結されていることを特徴とする容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の容器において、
前記収容ケースは、前記吐出容器を複数並列させた状態で収容可能とされ、
前記頂壁体は、複数の前記吐出容器に対応して複数設けられ、それぞれが前記ヒンジ部を介して前記収容筒体に連結されていることを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−207515(P2011−207515A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77671(P2010−77671)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】