説明

密封容器

【課題】余計な力をかけず、食品内容物の飛び出しを防止して開封でき、積み重ねても立体的に見栄えのよい密封容器の提供。
【解決手段】(イ)蓋体上壁11が蓋体フランジ部15より上方に位置し、蓋体側壁12の下端が蓋体フランジ部15より下方に位置し、蓋体側壁12の下端から水平方向に蓋体下端壁13が設けられ、その蓋体側壁側に接続される蓋体下端壁13とは反対側の蓋体下端壁13の部分から蓋体フランジ部15に至る蓋体フランジ部内側壁14があり、(ロ)容器本体底壁21から容器本体フランジ部24に至る容器本体側壁22の上部に、蓋体1を装着した際に、蓋体フランジ部内側壁14と嵌合する容器本体フランジ部内側壁23が設けられ、(ハ)蓋体フランジ部15に設けられた蓋体耳部16と相対する位置に設けられた蓋体下端壁13に上方に向かってアーチ状となっている蓋体切欠き部17が設けられた密封容器3とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と甲高の透明の蓋体とをヒートシールして、水分を含む食品内容物を漏れない状態で保管することができる、ヒートシール性及び易剥離性を向上させたディスプレイ効果に優れた密封容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、汁気を多く含む食品や賞味期限を長く取りたい食品の包装には、易開封性の密封容器が用いられている。この密封容器には、その蓋体として、透明フィルムや熱成形された透明蓋と呼ばれる成形体が用いられ、そして、その容器本体として、電子レンジ加熱耐性を有するポリプロピレン製の成形体が用いられている。しかし、これらの密封容器のほとんどでは、蓋体の上面壁が容器本体のフランジ部と同一の高さかフランジ部よりも低く設計されているので、蓋体の上面壁が食品内容物に接触してその食品内容物を潰してしまうことがあり、そのために、食品内容物を水平にならして包装したりすることが必要であるが、食品内容物を立体的に見栄えよく見せ難いという問題があった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、上面を容器本体のフランジ部よりも高く設計した成形蓋と呼ばれる甲高な蓋体を採用することが考えられるが、このような甲高な蓋体でヒートシールされた密封容器では、蓋体耳部を持ち上げて蓋体を開封して取り除く際に、甲高な蓋体は、全体的に変形しにくくなるので、開封するのに余計な力が必要となったり、また、開封できても勢いあまって汁を含む食品内容物が飛び出してしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2005−200057号公報
【特許文献2】特開2005−104488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0005】
即ち、本発明は、甲高な蓋体を有する密封容器の蓋体を、余計な力をかけないで、また、汁を含む食品内容物の飛び出しを防止して、開封することができ、しかも、積み重ねても食品内容物を立体的に見栄えよく見せることができる密封容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、(a)容器本体底壁と、該容器本体底壁を取り囲むように形成した容器本体側壁と、該容器本体側壁の上端縁部から延びる容器本体フランジ部とからなる容器本体、及び、(b)蓋体上壁と、該蓋体上壁を取り囲むように形成した蓋体側壁と、該蓋体側壁を取り囲むように形成した蓋体フランジ部内側壁と、該蓋体フランジ部内側壁の上端縁部から延びる蓋体フランジ部とからなる蓋体、を有する密封容器であって、前記容器本体フランジ部と前記蓋体フランジ部とが熱溶着され、そして、前記蓋体フランジ部の少なくとも一カ所に指でつかむための蓋体耳部が設けられた合成樹脂で構成される密封容器において、
(イ)前記蓋体上壁が前記蓋体フランジ部より上方に位置し、その蓋体側壁の下端が蓋体フランジ部より下方に位置し、その蓋体側壁の下端から水平方向に蓋体下端壁が設けられ、そして、その蓋体側壁側に接続される蓋体下端壁とは反対側の蓋体下端壁の部分から蓋体フランジ部に至る蓋体フランジ部内側壁があり、
(ロ)前記容器本体底壁から容器本体フランジ部に至る容器本体側壁の上部に、前記蓋体を装着した際に、前記蓋体フランジ部内側壁と嵌合する前記容器本体フランジ部内側壁が設けられ、かつ、
(ハ)前記蓋体フランジ部に設けられた蓋体耳部と相対する位置に設けられた前記蓋体下端壁に上方に向かってアーチ状となっている蓋体切欠き部が設けられている
ことを特徴とする密封容器である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記蓋体切欠き部の最頂部が、前記蓋体フランジ部より下方に位置していることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記蓋体耳部を除く蓋体フランジ部の上壁の外周が、前記容器本体フランジ部の外周より小さいことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記容器本体側壁の上方に設けられた容器本体フランジ部内側壁が、該容器本体側壁より外側に膨らみ、そして、その部分の容器本体側壁の断面が、階段状となっていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、真上から俯瞰した前記密封容器の形状が方形であり、そして、前記蓋体フランジ部における角部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、真上から俯瞰した前記密封容器の形状が円形であり、そして、前記蓋体フランジ部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された発明において、
(イ)前記容器本体底壁が、上方に凸の3段以上の階段構造になっており、
(ロ)前記階段構造が、前記密封容器を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁と、その内側に順次設けられた、少なくとも第二容器本体底壁と第三容器本体底壁とで構成され、そして、
(ハ)前記密封容器を積み重ねたときに、前記蓋体上壁が、前記容器本体の内側に設けられた第一容器本体底壁と最内側に設けられた容器本体底壁との間に設けられたいずれか1つの容器本体底壁に接する
ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載された発明において、前記階段構造が、前記密封容器を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁と、その内側に順次設けられた、第二容器本体底壁と第三容器本体底壁とで構成され、そして、前記密封容器を積み重ねたときに、前記蓋体上壁が、前記容器本体の第一容器本体底壁の内側に設けられた第二容器本体底壁に接することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、(イ)前記蓋体上壁が前記蓋体フランジ部より上方に位置し、その蓋体側壁の下端が蓋体フランジ部より下方に位置し、その蓋体側壁の下端から水平方向に蓋体下端壁が設けられ、そして、その蓋体側壁側に接続される蓋体下端壁とは反対側の蓋体下端壁の部分から蓋体フランジ部に至る蓋体フランジ部内側壁があり、(ロ)前記容器本体底壁から容器本体フランジ部に至る容器本体側壁の上部に、前記蓋体を装着した際に、前記蓋体フランジ部内側壁と嵌合する前記容器本体フランジ部内側壁が設けられ、かつ、(ハ)前記蓋体フランジ部に設けられた蓋体耳部と相対する位置に設けられた前記蓋体下端壁に上方に向かってアーチ状となっている蓋体切欠き部が設けられているので、熱融着された蓋体耳部を持ち上げて蓋体を容器本体から引き剥がす場合に、その部分が選択的に変形することで余計な力が必要なくなり、そのために、容器本体フランジ部よりも高い位置に上面を設けた蓋体を有する密封容器における蓋体を、余計な力をかけないで、また、汁を含む食品内容物の飛び出しを防止して、開封することができ、しかも、積み重ねても食品内容物を立体的に見栄えよく見せることができる、ヒートシール性及び易剥離性を向上させたディスプレイ効果に優れた、密封容器を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、前記蓋体切欠き部の最頂部が、前記蓋体フランジ部より下方に位置しているので、蓋体耳部をもって密封容器を開封する際に、この蓋体切欠き部のアーチ状の部分が選択的に変形することにより、このような形状を有しない同様の密封容器に比べて、少ない力で簡単に開封することができる。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、前記蓋体耳部を除く蓋体フランジ部の外周が、前記容器本体フランジ部の外周より小さいので、熱融着後においても蓋体フランジ部の反りなどが発生しづらくなり、そのために、ディスプレイ効果に優れた密封容器が得られる。また、前記蓋体耳部を除く蓋体フランジ部の外周が、前記容器本体フランジ部の外周より小さいので、前記容器本体フランジ部と蓋体フランジ部とが熱融着した場合に、その熱履歴によって、該蓋体フランジ部の短部が上方にめくれ上がることが少なくなり、そのために、得られた密封容器の手感触や見た目がよくなる。
【0017】
請求項4に記載された発明によれば、前記容器本体側壁の上方に設けられた容器本体フランジ部内側壁が、該容器本体側壁より外側に膨らみ、そして、その部分の容器本体側壁の断面が、階段状となっているので、蓋体フランジ部に設けた蓋体耳部を軽く引っ張り上げるだけで簡単に開封することができる。
【0018】
請求項5に記載された発明によれば、真上から俯瞰した前記密封容器の形状が方形であり、そして、前記蓋体フランジ部における角部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部が設けられているので、その蓋体耳部を軽く引っ張り上げるだけで簡単に開封することができる。
【0019】
請求項6に記載された発明によれば、真上から俯瞰した前記密封容器の形状が円形であり、そして、前記蓋体フランジ部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部が設けられているので、前記蓋体フランジ部に設けられた蓋体耳部を軽く引っ張り上げるだけで簡単に開封することができる。
【0020】
請求項7に記載された発明によれば、(イ)前記容器本体底壁が、上方に凸の3段以上の階段構造になっており、(ロ)前記階段構造が、前記密封容器3を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁と、その内側に順次設けられた、少なくとも第二容器本体底壁と第三容器本体底壁とで構成され、そして、(ハ)前記密封容器を積み重ねたときに、前記蓋体上壁が、前記容器本体の内側に設けられた第一容器本体底壁と最内側に設けられた容器本体底壁との間に設けられたいずれか1つの容器本体底壁に接するので、該密封容器を積み重ねてもそこに収容された内容物を斜め方向から見ることができると共に、さらに積み重ねても該密封容器のぐらつきの発生がなく、それらのために、食品のディスプレイ効果に優れたものとなる。
【0021】
請求項8に記載された発明によれば、前記階段構造が、前記密封容器を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁と、その内側に順次設けられた、第二容器本体底壁と第三容器本体底壁とで構成され、そして、前記密封容器を積み重ねたときに、前記蓋体上壁が、前記容器本体の第一容器本体底壁の内側に設けられた第二容器本体底壁に接するので、該密封容器を積み重ねてもそこに収容された内容物を斜め方向から見ることができると共に、さらに積み重ねても密封容器のぐらつきの発生がなく、それらのために、食品のディスプレイ効果に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態を示す密封容器の斜視図である。図2は、図1に示した密封容器のA−A線に沿った縦断面図である。図3は、本発明の一実施形態を示す密封容器の分解斜視図である。図4は、本発明の一実施形態を示す密封容器を積み重ねた状態を示す断面説明図である。
【0024】
本発明の密封容器3は、(a)容器本体底壁21と、該容器本体底壁21を取り囲むように形成した容器本体側壁22と、該容器本体側壁22の上端縁部から延びる容器本体フランジ部24とからなる容器本体2、及び、(b)蓋体上壁11と、該蓋体上壁11を取り囲むように形成した蓋体側壁12と、該蓋体側壁12を取り囲むように形成した蓋体フランジ部内側壁14と、該蓋体フランジ部内側壁14の上端縁部から延びる蓋体フランジ部15とからなる蓋体1、を有する密閉容器であって、前記容器本体フランジ部24と前記蓋体フランジ部15とが熱溶着され、そして、前記蓋体フランジ部15の少なくとも一カ所に指でつかむための蓋体耳部16が設けられた合成樹脂で構成される密封容器である。また、前記密封容器3においては、(イ)前記蓋体上壁11が前記蓋体フランジ部15より上方に位置し、その蓋体側壁12の下端が蓋体フランジ部15より下方に位置し、その蓋体側壁12の下端から水平方向に蓋体下端壁13が設けられ、そして、その蓋体側壁側12に接続される蓋体下端壁13とは反対側の蓋体下端壁13の部分から蓋体フランジ部15に至る蓋体フランジ部内側壁14があり、(ロ)前記容器本体底壁21から容器本体フランジ部24に至る容器本体側壁22の上部に、前記蓋体1を装着した際に、前記蓋体フランジ部内側壁14と嵌合する前記容器本体フランジ部内側壁23が設けられ、かつ、(ハ)前記蓋体フランジ部15に設けられた蓋体耳部16と相対する位置に設けられた前記蓋体下端壁13に上方に向かってアーチ状となっている蓋体切欠き部17が設けられている。
【0025】
前記容器本体2は、前記容器本体底壁21から容器本体フランジ部24に至る容器本体側壁22の上部に、前記蓋体を装着した際にその蓋体フランジ部内側壁14と嵌合する容器本体フランジ部内側壁23を有している。
【0026】
このように、(イ)前記蓋体上壁11が前記蓋体フランジ部15より上方に位置し、その蓋体側壁12の下端が蓋体フランジ部15より下方に位置し、その蓋体側壁12の下端から水平方向に蓋体下端壁13が設けられ、そして、その蓋体側壁側に接続される蓋体下端壁13とは反対側の蓋体下端壁13の部分から蓋体フランジ部15に至る蓋体フランジ部内側壁14があり、(ロ)前記容器本体底壁21から容器本体フランジ部24に至る容器本体側壁22の上部に、前記蓋体1を装着した際に、前記蓋体フランジ部内側壁14と嵌合する前記容器本体フランジ部内側壁23が設けられ、かつ、(ハ)前記蓋体フランジ部15に設けられた蓋体耳部16と相対する位置に設けられた前記蓋体下端壁13に上方に向かってアーチ状となっている蓋体切欠き部17が設けられていると、熱融着された蓋体耳部16を持ち上げて蓋体1を容器本体2から引き剥がす場合に、その部分が選択的に変形することで余計な力が必要なくなり、そのために、容器本体フランジ部24よりも高い位置に上面を設けた蓋体1(即ち、甲高な蓋体1)を有する密封容器3における蓋体1を、余計な力をかけないで、また、汁を含む食品内容物の飛び出しを防止して、開封することができ、しかも、積み重ねても食品内容物を立体的に見栄えよく見せることができる密封容器3を提供することができる。換言すれば、ヒートシール性及び易剥離性を向上させたディスプレイ効果に優れた密封容器3を提供することができる。
【0027】
本発明においては、前記蓋体切欠き部17の最頂部は、前記蓋体フランジ部15より下方に位置している。このように、前記蓋体切欠き部17の最頂部が、前記蓋体フランジ部15より下方に位置していると、蓋体耳部16をもって密封容器3を開封する際に、この蓋体切欠き部17のアーチ状の部分が選択的に変形することにより、このような形状を有しない同様の密封容器に比べて、少ない力で簡単に開封することができる。
【0028】
本発明においては、前記蓋体耳部16を除く蓋体フランジ部15の外周は、好ましくは、前記容器本体フランジ部24の外周より小さい。本発明においては、前記容器本体フランジ部24と蓋体フランジ部15との差は、好ましくは、0.1〜2mmである。このように、前記蓋体耳部16を除く蓋体フランジ部15の外周が、前記容器本体フランジ部24の外周より小さいと、熱融着後においても蓋体フランジ部15の反りなどが発生しづらくなり、そのために、ディスプレイ効果に優れた密封容器3が得られる。また、前記蓋体耳部16を除く蓋体フランジ部15の外周が、前記容器本体フランジ部24の外周より小さいと、前記容器本体フランジ部24と蓋体フランジ部15とが熱融着した場合に、その熱履歴によって、該蓋体フランジ部15の短部が上方にめくれ上がることが少なくなり、そのために、得られた密封容器3の手感触や見た目がよくなる。
【0029】
本発明においては、容器本体フランジ部内側壁23と容器本体側壁22とは、同一面で構成されていても、また、同一面で構成されていなくてもよいが、前記容器本体側壁22の上方に設けられた容器本体フランジ部内側壁23は、該容器本体側壁22より外側に膨らみ、そして、その部分の容器本体側壁22の断面は、階段状となっている。このように、前記容器本体側壁22の上方に設けられた容器本体フランジ部内側壁23が該容器本体側壁22より外側に膨らみ、そして、その部分の容器本体側壁22の断面が階段状となっていると、蓋体フランジ部15に設けた蓋体耳部16を軽く引っ張り上げるだけで簡単に開封することができる。
【0030】
本発明においては、真上から俯瞰した前記密封容器3の形状が方形であり、そして、前記蓋体フランジ部15における角部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部16が設けられている。前記蓋体耳部16の位置や数は、特に限定されるものではないが、真上から俯瞰した前記密封容器3の形状が方形である場合には、角部の一つ以上に設けるのが好ましく、かかる蓋体耳部16が設けられるに伴って、蓋体切欠き部17も前記角部に設けられることとなる。このように、真上から俯瞰した前記密封容器3の形状が方形であり、そして、前記蓋体フランジ部15における角部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部16が設けられていると、その蓋体耳部16を軽く引っ張り上げるだけで簡単に開封することができる。
【0031】
本発明においては、真上から俯瞰した前記密封容器3の形状は円形であり、そして、前記蓋体フランジ部15の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部16が設けられている。この場合には、任意の位置に蓋体耳部16と蓋体切欠き部17を設けても構わないが、長円形の場合は、曲率の最も小さい位置に蓋体耳部16及び蓋体切欠き部17を設けるのが更に好ましい。このように、真上から俯瞰した前記密封容器3の形状が円形であり、そして、前記蓋体フランジ部15の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部16が設けられていると、前記蓋体フランジ部15に設けられた蓋体耳部16を軽く引っ張り上げるだけで簡単に開封することができる。
【0032】
本発明においては、前記蓋体フランジ部15から前記蓋体上壁11までの高さは、包装する食品内容物と前記容器本体2の大きさとのバランスによって適宜設計すればよく、特に限定するものではない。
【0033】
また、前記蓋体フランジ部内側壁14と前記容器本体フランジ内側壁23との嵌合性は、あまりぴったりしていると、前記蓋体1の装着や開封の際に問題が生じることがあるので、前記蓋体フランジ部内側壁14の外寸は、その部分に対応する容器本体フランジ部内側壁23の内寸より、0.1〜2mm小さいのがよいが、それぞれのフランジ部(15,24)の面の大きさによって両者が十分熱融着できる面積を確保できるよう適宜設計すればよい。
【0034】
また、前記蓋体フランジ部内側壁14と前記容器本体フランジ部内側壁23との高さについても、前者の高さが後者より短ければ問題ないものの、装着時の安定感からすると前者の高さは3〜10mmであることが好ましい。
【0035】
また、前記容器本体フランジ部24からの前記容器本体2の深さは、包装する食品内容物と前記蓋体1の大きさ等とのバランスによって適宜設計すればよく、特に限定するものではない。
【0036】
本発明においては、(イ)前記容器本体底壁21は、好ましくは、上方に凸の3段以上の階段構造になっており、(ロ)前記階段構造は、好ましくは、前記密封容器3を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁21aと、その内側に順次設けられた、少なくとも第二容器本体底壁21bと第三容器本体底壁21cとで構成され、そして、(ハ)前記密封容器3を積み重ねたときに、前記蓋体上壁11は、好ましくは、前記容器本体2の内側に設けられた第一容器本体底壁21aと最内側に設けられた容器本体底壁との間に設けられたいずれか1つの容器本体底壁に接する。
【0037】
このように、(イ)前記容器本体底壁21が、上方に凸の3段以上の階段構造になっており、(ロ)前記階段構造が、前記密封容器3を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁21aと、その内側に順次設けられた、少なくとも第二容器本体底壁21bと第三容器本体底壁21cとで構成され、そして、(ハ)前記密封容器3を積み重ねたときに、前記蓋体上壁11が、前記容器本体2の内側に設けられた第一容器本体底壁21aと最内側に設けられた容器本体底壁との間に設けられたいずれか1つの容器本体底壁に接すると、該密封容器3を積み重ねてもそこに収容された内容物を斜め方向から見ることができると共に、さらに積み重ねても該密封容器3のぐらつきの発生がなく、それらのために、食品のディスプレイ効果に優れたものとなる。
【0038】
本発明においては、前記階段構造は、好ましくは、前記密封容器3を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁21aと、その内側に順次設けられた、第二容器本体底壁21bと第三容器本体底壁21cとで構成され、そして、前記密封容器3を積み重ねたときに、前記蓋体上壁11は、前記容器本体2の第一容器本体底壁21aの内側に設けられた第二容器本体底壁21bに接する。このように、前記階段構造が、前記密封容器3を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁21aと、その内側に順次設けられた、第二容器本体底壁21bと第三容器本体底壁21cとで構成され、そして、前記密封容器3を積み重ねたときに、前記蓋体上壁11が、前記容器本体2の第一容器本体底壁21aの内側に設けられた第二容器本体底壁21bに接すると、該密封容器3を積み重ねてもそこに収容された内容物を斜め方向から見ることができると共に、さらに積み重ねても密封容器3のぐらつきの発生がなく、それらのために、食品のディスプレイ効果に優れたものとなる。
【0039】
図3に示されているように、前記容器本体底壁21の形状は、平面に置いたとき該平面と接する前記第一容器本体底壁21aを有しているが、この第一容器本体底壁21aの面は、必ずしも全周にわたって同一平面である必要はなく、前記密封容器3を平面においた場合に、該密封容器3を水平に保持して全体の重量を保持するだけの面積を有しておればよい。
【0040】
前記第二容器本体底壁21bも必ずしも全周にわたって同一平面である必要はなく、同一形状の易開封性の前記蓋体上壁11と重なりあって、その上に積み重ねられた前記密封容器3を水平に保持し、かつ、全体の重量を保持するだけの面積を有していればよい。前記第一容器底壁21aと前記第二容器底壁21bとの段差の幅は、特に制限するものではないが、1〜3mmが好ましい。
【0041】
前記第三容器本体底壁21cも必ずしも全周にわたって同一平面である必要はない。この面に内容物を置く場合には、この第三容器本体底壁21cは、その剛性を上げたり、また、搬送時に内容物が勝手に移動しないようにするために、障壁を設けるなど、3次元的な形状にすることが好ましい。前記第二容器底壁21bと前記第三容器底壁21cとの段差の幅は、特に制限するものでは無いが、1〜5mmが好ましい。
【0042】
前記密封容器3が密封されていることに起因して温度差等により該密封容器3内の圧力が上昇した場合には、この第三容器本体底壁21Cが下方に凸に変形するか、又は、前記蓋体上壁11が上方に凸に変形するが、そのような密封容器3を積み重ねた場合には、この第三容器本体底壁21cを有していると、それらの変形を第二容器本体底壁21bと第三容器本体底壁21cとで構成される空間で吸収することができるので、その結果として、この積み重ねられた密封容器3はグラグラすることがない。
【0043】
前記蓋体1に用いられる透明な合成樹脂は、前記容器本体2と熱融着可能で透明な材料であれば、特に限定するものではないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、アモルファスポリエチレンテレフタタレート(A−PET)、及び、透明ポリスチレンが挙げられる。前記蓋体1は、前記合成樹脂を用いて、射出成形によって得ることもでき、一旦シート状に加工されたものを熱成形によって成形することができる。また、シートを用いる場合は、前記容器本体2と熱融着させる側に、易剥離層を有する多層シートを用いることが好ましい。
【0044】
前記蓋体1は、密封する食品内容物の視認性をさらに向上させるために、該蓋体1の内面側に防曇処理を施すことが好ましく、成形した後に防曇処理を行ってもよく、最初から防曇性能を有した樹脂を用いてもよい。前記蓋体1の厚みは、熱シール及び易剥離性の観点からは、できるだけ薄い方がよいが、実用的な使用強度の観点から、0.15〜0.5mm、好ましくは、0.2〜0.4mmである。
【0045】
前記容器本体2に用いられる合成樹脂は、前記蓋体1と熱融着可能で透明な材料であれば、特に限定するものではないが、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂である。このポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体のほか、エチレン、ブテン−1等のα−オレフィンとのブロック共重合体又はランダム共重合体、或いは、これらの混合物であってよい。また、ポリプロピレン系樹脂には、熱可塑性エラストマー、酸化防止剤、可塑剤、造核剤、顔料、滑剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤、タルク、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機充填剤などを含有していてもよい。
【0046】
前記容器本体2は、上記合成樹脂を用いて、射出成形によって得ることもでき、一旦シート状に加工されたものを熱成形によって成形することができる。また、シートを用いる場合は、前記蓋体1と熱融着させる側に、易剥離層を有する多層シートを用いることが好ましい。
【0047】
前記蓋体1と前記容器本体2とを密封させる手段としては、従来公知のヒートシール装置を用いることができる。具体的には、ヒートシールバーを加熱して、前記蓋体1の側より加熱、圧着して接合する。ヒートシールバーを直接に前記蓋体フランジ部15に接触させると熱変形しやすいので、フッ素樹脂で構成される布帛越しに前記蓋体1を加熱圧着させることが好ましい。ヒートシールの条件は、使用する素材や厚み、易開封性の程度によって適宜設定すればよい。
【0048】
(実施例1)
片面に易剥離層を有するポリプロピレン系シート(出光ユニテック社製、ピュアサーモ)を用いて真空成形により図1〜3に示される方形の蓋体を形成した。この蓋体は、その蓋体フランジ部から蓋体上壁までの高さが15mmであり、その蓋体の一方の辺及び他方の辺がともに110mmであり、蓋体フランジ部の幅が6mmであり、そして、その蓋体切欠き部におけるアーチの高さが3mmであった。次に、片面に易剥離層を有するポリプロピレン系シート(出光ユニテック社製、マジックトップシート)を用いて真空成形により図1〜3に示される方形の容器本体を形成した。この容器本体は、その容器本体フランジ部の一方の辺及び他方の辺がともに115mmであり、その容器本体フランジ部の幅が6.1mmであり、その第一容器本体底壁の一方の辺及び他方の辺がともに99mmであり、図4に示すようにその第一容器本体底壁の外周が蓋体上壁の外周とが同じ大きさであり、そして、その第一容器本体底壁から容器本体フランジ部までの高さが20mmであった。続いて、このように形成した蓋体と容器本体とを重ね合わせ、これらを2mm幅のシールバーでフッ素樹脂で構成される布帛越しに200℃で1.5秒間で熱融着して図1に示される密封容器を得た。
【0049】
(実施例2)
蓋体の一方の辺が110mmであり、そして、その他方の辺が150mmであり、また、容器本体のフランジ部の一方の辺が115mmであり、そして、その他方の辺が155mmである以外は、実施例1と同様にして図1に示される密封容器を得た。
【0050】
(比較例1)
蓋体の一方の辺及び他方の辺がともに113mmであり、蓋体フランジ部の幅が7mmであり、そして、蓋体切欠き部を有していない以外は、実施例1と同様にして図1に示される密封容器を得た。
【0051】
(比較例2)
蓋体の一方の辺及び他方の辺がともに114mmであり、蓋体フランジ部の幅が8mmであり、そして、蓋体切欠き部を有していない以外は、実施例1と同様にして図1に示される密封容器を得た。
【0052】
以上、実施例1,2及び比較例1で得た密封容器の熱融着の状態を目し観察して、熱融着が完全であることを確認した後、蓋体フランジ部のめくれあがりの有無を観察し、そして、熱融着させた密封容器における蓋体耳部をつかんで蓋体を引き剥がすに必要な蓋体の引き剥がし力を容器耳部の接着部を切り出し、JIS Z0238の剥離条件、300mm/分、180゜にて測定した。このようにして得た観察結果及び測定結果は、次の表1に示される。
【0053】
【表1】

【0054】
また、実施例1,2及び比較例1で得た密封容器をそれぞれ10段積み重ねても、いずれもぐらつくことなく積み重ねができ、更に斜め方向からでも各密封容器の底部を蓋越しに観察することができた。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態を示す密封容器の斜視図である。
【図2】図1に示した密封容器のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す密封容器の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す密封容器を積み重ねた状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 蓋体
2 容器本体
3 密閉容器
11 蓋体上壁
12 蓋体側壁
13 蓋体下端壁
14 蓋体フランジ部内側壁
15 蓋体フランジ部
16 蓋体耳部
17 蓋体切欠き部
21 容器本体底壁
21a 第一容器本体底壁
21b 第二容器本体底壁
21c 第三容器本体底壁
22 容器本体側壁
23 容器本体フランジ部内側壁
24 容器本体フランジ部
25 容器本体フランジ部外側壁
26 容器本体耳部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)容器本体底壁と、該容器本体底壁を取り囲むように形成した容器本体側壁と、該容器本体側壁の上端縁部から延びる容器本体フランジ部とからなる容器本体、及び、(b)蓋体上壁と、該蓋体上壁を取り囲むように形成した蓋体側壁と、該蓋体側壁を取り囲むように形成した蓋体フランジ部内側壁と、該蓋体フランジ部内側壁の上端縁部から延びる蓋体フランジ部とからなる蓋体、を有する密封容器であって、前記容器本体フランジ部と前記蓋体フランジ部とが熱溶着され、そして、前記蓋体フランジ部の少なくとも一カ所に指でつかむための蓋体耳部が設けられた合成樹脂で構成される密封容器において、
(イ)前記蓋体上壁が前記蓋体フランジ部より上方に位置し、その蓋体側壁の下端が蓋体フランジ部より下方に位置し、その蓋体側壁の下端から水平方向に蓋体下端壁が設けられ、そして、その蓋体側壁側に接続される蓋体下端壁とは反対側の蓋体下端壁の部分から蓋体フランジ部に至る蓋体フランジ部内側壁があり、
(ロ)前記容器本体底壁から容器本体フランジ部に至る容器本体側壁の上部に、前記蓋体を装着した際に、前記蓋体フランジ部内側壁と嵌合する前記容器本体フランジ部内側壁が設けられ、かつ、
(ハ)前記蓋体フランジ部に設けられた蓋体耳部と相対する位置に設けられた前記蓋体下端壁に上方に向かってアーチ状となっている蓋体切欠き部が設けられている
ことを特徴とする密封容器。
【請求項2】
前記蓋体切欠き部の最頂部が、前記蓋体フランジ部より下方に位置していることを特徴とする請求項1記載の密封容器
【請求項3】
前記蓋体耳部を除く蓋体フランジ部の上壁の外周が、前記容器本体フランジ部の外周より小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の密封容器。
【請求項4】
前記容器本体側壁の上方に設けられた容器本体フランジ部内側壁が、該容器本体側壁より外側に膨らみ、そして、その部分の容器本体側壁の断面が、階段状となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の密封容器。
【請求項5】
真上から俯瞰した前記密封容器の形状が方形であり、そして、前記蓋体フランジ部における角部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の密封容器。
【請求項6】
真上から俯瞰した前記密封容器の形状が円形であり、そして、前記蓋体フランジ部の少なくとも一カ所に前記蓋体耳部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の密封容器。
【請求項7】
(イ)前記容器本体底壁が、上方に凸の3段以上の階段構造になっており、
(ロ)前記階段構造が、前記密封容器を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁と、その内側に順次設けられた、少なくとも第二容器本体底壁と第三容器本体底壁とで構成され、そして、
(ハ)前記密封容器を積み重ねたときに、前記蓋体上壁が、前記容器本体の内側に設けられた第一容器本体底壁と最内側に設けられた容器本体底壁との間に設けられたいずれか1つの容器本体底壁に接する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の密封容器。
【請求項8】
前記階段構造が、前記密封容器を平面に置いたときに平面と接する第一容器本体底壁と、その内側に順次設けられた、第二容器本体底壁と第三容器本体底壁とで構成され、そして、前記密封容器を積み重ねたときに、前記蓋体上壁が、前記容器本体の第一容器本体底壁の内側に設けられた第二容器本体底壁に接することを特徴とする請求項7に記載の密封容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−179389(P2008−179389A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13656(P2007−13656)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【特許番号】特許第4031515号(P4031515)
【特許公報発行日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【出願人】(502444700)株式会社関口商事 (2)
【Fターム(参考)】