密封構造体及び弾性シール
【課題】 大きな横断面であって、高荷重に耐えると共に、蟻溝への装着作業性が良好で、常に安定して正常な姿勢を、蟻溝内で保ち、さらに、パーティクルの発生が少ない弾性シールを備えた密封構造体を提供する。
【解決手段】 弾性シール1と、蟻溝3を有する被取付部材2と、から成る。弾性シール1は、蟻溝3の開口部4から突出可能な上半部9を有し、この上半部9は頂面ストレート部10を有する。また、下半部8は、底面ストレート部11を有し、かつ、左右上方角部に小凸部30, 30を有する。
【解決手段】 弾性シール1と、蟻溝3を有する被取付部材2と、から成る。弾性シール1は、蟻溝3の開口部4から突出可能な上半部9を有し、この上半部9は頂面ストレート部10を有する。また、下半部8は、底面ストレート部11を有し、かつ、左右上方角部に小凸部30, 30を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の密封(真空の密封も含む)に用いられる密封構造及び弾性シールに係り、特に極めて厳しい清浄度が要求される大型液晶製造装置等に好適な密封構造及び弾性シールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体(液晶)製造装置等に用いられる密封構造としては、従来からOリングが広く使用されており、また三叉状横断面の弾性シールと略台形状蟻溝から構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、従来から、図13(A)(B)(C)(D)(E)の各々に示すような各種横断面形状の弾性シール41a,41b,41c,41d,41eと蟻溝42から成る密封構造が知られている。
いずれの弾性シール41a,41b,41c,41d,41eにせよ、平面図は図10に例示するような全体環状の形状である。上述のOリングは自由状態下で円形環状であるが、これを無理やり図10のような矩形に変形してシール溝42に嵌着していたので、シール面に問題が生ずる場合があった。
【特許文献1】特開2000−356267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、最近の液晶パネルはしだいに大型化して、例えば図10に於て、縦横各寸法は各々約2000mm前後にも達し、液晶製造装置も大型化して、製造装置内を真空にすると、蓋体45に高荷重(例えば、40N/mm以上)が掛かる。
上記特許文献1に記載の三叉状の弾性シールは、特に、低荷重を特徴とした形状であり、また、図13(B)や図13(E)に示した横断面形状の弾性シール41b,41eも低荷重には好適なものである。
【0004】
しかしながら、大型化した液晶パネルの製造装置のチャンバーゲート部に適用すると、メタルタッチの問題を生ずる。即ち、チャンバーの開口端面(蟻溝近傍)と、蓋体とが相互に接触(メタルタッチ)して、粉塵を発生する虞がある。このメタルタッチは、液晶の製造に於ては厳禁すべきことである。
図13(A)に示した弾性シール(Oリング)41aは、蟻溝42内で捩れを生じ、切断に至る虞があり、また、上記蓋体による圧接で蓋体に固着して蟻溝42から脱落する(抜け出る)という問題があり、さらに、蟻溝42の開口端縁部43,43と摩擦して摩耗粉(パーティクル)が生ずるという問題がある。また、高荷重に対しても十分に支えきれず、メタルタッチを生ずることもある。
【0005】
図13(B)は溝底面側の凹部44の存在によって、高荷重を保持できない(既述)ことの他に、蟻溝42内への装着作業が困難である。
図13(C)の弾性シール41cは蟻溝42内へ逆組付けを行ってしまう虞がある。また、(図13(A)と同様に)ゴムの摩耗粉(パーティクル)を発生する。また、大断面径の場合、蟻溝42内への装着作業が難しい。
図13(D)の弾性シール41dは蟻溝42内へ逆組付けを行う虞があり、また、ゴムの摩耗粉(パーティクル)を生じるという問題がある。さらに、溝底面部の凹部44が存在するので高荷重を保持できず、上記メタルタッチを生ずる。
【0006】
本発明に係る密封構造と弾性シールは、上述の従来の弾性シールの問題点を解決して、高荷重に耐えることでメタルタッチを防止し、かつ、大きな横断面積でも蟻溝内へ装入し易く、かつ、一旦装着後は蟻溝から不意に脱落することのない弾性シール(密封構造)を提供することを目的とする。また、装着圧縮状態(負荷時)における(蟻溝の)側壁面との接触面圧を低下させ、即ち、局部的高面圧部(ピーク圧)を低減して、上記チャンバーゲート部の繰返し開閉による摩耗(発生量)を減少し、ゴムの摩耗粉(パーティクル)の発生を防止することを他の目的とする。特に、極めて厳しい清浄度が要求される大型液晶パネルの製造装置に好適な、パーティクルの発生が極めて少ない密封構造体と弾性シールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、開口部と、相互に該開口部側に近づくにつれて接近する第1側壁面・第2側壁面と、底壁面とを、有する蟻溝を備えた被取付部材と、該蟻溝内へ装着される弾性シールと、から成ると共に、上記弾性シールは、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部から突出する頂面ストレート部、及び、上記底壁面に対応する底面ストレート部を、有している密封構造体に於て;上記弾性シールが、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面・第2側壁面に近接乃至当接する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上記開口部の方向へ突出状に形成したものである。
また、上記弾性シールは、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に、上記小凸部が配設されている。
【0008】
また、開口部と、相互に該開口部側に近づくにつれて接近する第1側壁面・第2側壁面と、底壁面とを、有する蟻溝を備えた被取付部材と、該蟻溝内へ装着される弾性シールと、から成ると共に、上記弾性シールは、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部から突出する頂面ストレート部、及び、上記底壁面に対応する底面ストレート部を、有している密封構造体に於て;上記弾性シールが、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面・第2側壁面に近接乃至当接する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上記開口部の方向へ突出状に形成し、かつ、該小凸部は左右側外方へも突出状に形成されている。
また、上記弾性シールは、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に配設した左右一対の上記小凸部の間隔寸法が上記下半部の上記幅寸法に相当している。
また、G6サイズ以上の平面パネルの表面処理装置のチャンバーゲートに用いられる。
【0009】
また、本発明に係る弾性シールは、未圧縮自由状態で、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有する。
また、未圧縮自由状態で、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方及び左右側外方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有する。
また、本発明に係る弾性シールは、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方へ突出状に形成したものである。
また、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方及び左右側外方へ突出状に形成して、左右一対の上記小凸部の間隔寸法が上記下半部の上記幅寸法に相当する。
また、上記上半部は頂ストレート部を有し、上記下半部は底面ストレート部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、(相手平坦面が)弾性シールの頂面ストレート部を押圧しつつ圧縮してゆくに伴って、第1・第2側壁面に小凸部が接触し、押圧されて、小凹溝の存在する横断面側内方へ上記小凸部は弾性変形してゆく(逃げる)ことが可能である。従って、第1・第2側壁面との接触面圧(ピーク圧)が低減できることとなって、圧縮(負荷時)とリリース(未圧縮時)の繰返しによる弾性シールからの摩耗粉(パーティクル)の発生が著しく低減でき、厳しい清浄度が要求される大型液晶製造装置等に好適な発明である。
【0011】
また、弾性シールを装着する際に、小凸部は小凹溝へ弾性変形して、蟻溝の開口部を容易に通過可能となり、装着も容易となる。逆に、チャンバーゲート等の相手平坦面に頂面ストレート部が固着し、弾性シールが蟻溝から引き出されようとするが、その際、小凸部が、蟻溝の第1・第2側壁面(開口端縁部)に係止状となり横断面側外方へ拡幅変形しようとすることによって、脱落を防止できる。
また、メタルタッチを防止でき、金属パーティクルの発生も抑制でき、G6サイズ(1500mm×1800mm)以上の液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の高負荷のかかる大型の平面パネルの表面処理装置に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1〜図4に於て、本発明に係る密封構造体の実施の一形態を示す。この密封構造体は、蟻溝3を備えた被取付部材2と、この蟻溝3内へ装着されるゴム製等の弾性シール1と、から成る。弾性シール1は全体が略矩形状(図10参照)や、競技トラック状(長円形)等の環状(閉ループ状)、リング状(円形)である。
【0013】
この密封構造体は、図10に例示したように、大型液晶製造装置や半導体製造装置のチャンバー(清浄空間)Tの入口ゲート部の(主として真空の)密封用として用いられ、上記被取付部材2はバルブシートが相当し、これに接近離間自在に対応する平坦面20を有する相手部材21は、ゲートが相当する。例えば、この密封構造体は、G6サイズ以上の平面パネルの表面処理装置のチャンバーゲートに好適なものである。
【0014】
図1〜図4に示すように、上記蟻溝3は、開口部4と、相互にこの開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、底壁面7とを、有する横断面略台形状である。具体的には、底壁面7と第1・第2側壁面5,6とは、各々、アール状(弯曲凹状)隅部28を介して、相互に連結されている。このように、図1と図2と図4に於ては、やや丸味のある横断面略台形状の蟻溝3を例示する。
【0015】
弾性シール1の横断面形状は、蟻溝3内へ装着されかつ相手部材21の平坦面20が押圧(接触)しない未圧縮装着状態───図1と図2に示す状態───に於て、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9から成り、図1と図2では、2点鎖線Cにて両者の境界を概略示した。この弾性シール1の横断面形状は、中央線Lに関して左右対称形であり、下半部8の上に上半部9を積み上げた形状であり、下半部8の左右上角部に相当する部位に、小凸部30, 30が配設されている。なお、図例では、この弾性シール1は、上記未圧縮装着状態と未圧縮自由状態(図3と図4参照)とは、同一横断面形状を示す。
【0016】
さらに具体的には、上半部9は略台形状であって、開口部4から上半部9は突出している。この上半部9は頂面ストレート部10を有する。つまり頂面は平坦面として、大きな当接面積をもって、その後、相手部材21と接触する。
また、下半部8は、蟻溝3の底壁面7に対応する底面ストレート部11を有し、蟻溝3内で常に姿勢を安定させる作用をなし、かつ、圧縮時の面圧を低く抑える作用をなす。
【0017】
未圧縮装着状態に於て、弾性シール1が蟻溝3の第1・第2側壁面5,6に近接乃至当接する部位───即ち、下半部8の左右上角部に相当する部位───に、横断面の側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上記開口部4の方向───即ち上方向───へ突出状に形成している。
言い換えると、幅寸法W8 と幅寸法W9 の差の半分に相当する段差部Kに、横断面内側から側外方へ向って順に、上方開口状小凹溝31及び上方突出状小凸部30を配設し、矢印Fにて示す如く、横断面の側内方へ、小凸部30が弾性変形して、相手部材21の平坦面20が接近して圧縮を受ける際に、蟻溝3の第1・第2側壁面5,6から受ける外力(圧力)を、小凹溝31へ逃げることで、低減できる。
【0018】
なお、本発明に於て、全図面に示すように、蟻溝3の開口部4を上方とし底壁面7を下方として配置した状態に基づき、「上方」「下方」と呼ぶものと定義する。従って、現実の装置にあって、天地逆に配置したり、又は、斜め向きに配置したり、若しくは、横向きに配置する場合があったとしても、蟻溝3の開口部4を上方とし底壁面7を下方として配置した状態に基づいて、「上方」「下方」を判断するものとする。
【0019】
次に、一層詳細に具体的構成を説明する。未圧縮装着状態に於て、下半部8の(前述した)小凸部30, 30の幅寸法(間隔寸法)が前記幅寸法W8 に相等しいと共に、小凸部30の外側端から蟻溝3の底壁面7に垂直に下ろした垂直線に沿ったストレート状の最大幅形成域部13を、下半部8が有する。即ち、相互に平行な最大幅形成域部13, 13の間隔寸法が、下半部8の幅寸法W8 であるといえる。
【0020】
そして、この最大幅形成域部13から底面ストレート部11に渡って、幅寸法が単純減少するテーパ部(縮幅勾配部)14を、下半部8は有する。なお、このテーパ部14を大きな曲率半径のアール状とするも自由である(図示省略)。また、テーパ部14と底面ストレート部11の角部15は小さな半径R5 のアール状(弯曲部)を有する。このように、下半部8の横断面形状は、略倒立台形状乃至カップ型であるといえる。そして、最大幅寸法W8 が、左右の小凸部30, 30の外側面相互の間隔寸法に相当している点、及び、最大幅形成域部13の上端に、小凸部30の外側面が、連続状に形成されている点が、特徴点である。
なお、最大幅形成域部13, 13を下方へ僅かに縮幅するようにテーパ状(勾配面)に形成するも好ましい(図示省略)。
【0021】
そして、上半部9の横断面形状は、底辺の長さが前記幅寸法W9 に相当する略台形状であり、蟻溝3の開口部4の幅寸法W4 に対して、図1と図2に示す未圧縮装着状態下で開口部4の高さに於ける幅寸法W90は、70%〜90%に設定している。つまり、0.70×W4 ≦W90≦0.90×W4 に設定する。このようにして、略台形状の上半部9の左右各斜辺部16, 16と、開口部4の開口端縁部(角部)4aとの間に、間隙部Gを形成する。
W90<0.70×W4 であると、間隙部Gが過大となって、デポ(成膜時の酸化粉塵)等が多く溜まったり、また、頂面ストレート部10の幅寸法W10を十分に大きくとれなくなる。逆に、W90>0.90×W4 であると、図1の実線及び図5(A)の点線の未圧縮装着状態から、図5(A)の実線の圧縮状態に変形する途中、又は圧縮(使用)状態で、開口端縁(角部)4aに斜辺部16が強く干渉(接触)して、ゴム等の摩耗粉(パーティクル)を発生することとなり、好ましくない。なお、弾性シール1の斜辺部16の傾斜角度βは、5°〜30°の大きさに設定し、かつ、第1・第2側壁面5,6の傾斜角度と同等乃至僅かに小さく設定する。
【0022】
なお、小凸部30, 30が第1・第2側壁面5,6に近接乃至軽く当接する、底壁面7からの高さ寸法H30は、蟻溝3の深さ寸法H3 の60%〜90%に設定する。つまり、0.60×H3 ≦H30≦0.90×H3 のように設定する。このように小凸部30, 30が第1・第2側壁面5,6に当接し、かつ、小凸部30がこの当接によって矢印Fと反対方向へ変形する(拡幅方向へ弾性変形する)ので、蟻溝3から弾性シール1が不意に脱落することを、防止できる。 そして、H30<0.60×H3 であると、上記間隙部Gに対応した空間が大きくなって、液晶成膜時の酸化粉塵(いわゆるデポ)等が溜まる虞がある。逆に、H30>0.90×H3 であれば、十分な当接(抜け止め用係り)が得られず、弾性シール1が蟻溝3から脱落する虞が生ずる。
【0023】
図3(及び図1・図2)に示すように、頂面ストレート部10の両端が所定半径R1 の突出角部16a, 16aに連続し、さらに斜辺部16に連続して、この斜辺部16の下端が極めて小さな半径R31, R30の小凹溝31と小凸部30に連続する。なお、上半部9は、前記小凹溝31の溝底(最下部)をもって終了している。つまり、上半部9と下半部8とは、小凹溝31の溝底(最下部)を左右連結する水平状の2点鎖線Cをもって区画される。いわば、大きな略台形状の下半部8と小さな略台形状の上半部9を、台形の底辺を合わせる如く(2点鎖線Cの位置で合わせる如く)して、全体が形成されている。
【0024】
自由状態に於て、頂面ストレート部10の幅寸法をW10とし、底面ストレート部11の幅寸法を<W11とすると、1.0 ×W10≦W11であれば良いが、安定姿勢を維持しやすいという点で、1.2 ×W10≦W11≦1.65×W10が好ましく、より好ましくは、1.35×W10≦W11≦1.55×W10である。W11<1.0 ×W10であると、弾性シール1が蟻溝3内で安定姿勢を保持しにくくなる。逆にW11>1.65×W10であると、頂面ストレート部10の押圧時(圧縮状態)での面圧が過大となる傾向にある。そして、頂面ストレート部10の幅寸法W10よりも底面ストレート部11の幅寸法W11を大きく設定したので、相手部材21の平坦面20と、蟻溝3の底壁面7に対する固着力は、後者の方が大きくなり、弾性シール1は、確実に蟻溝3の底壁面7に固着して蟻溝3内に残る。(なお、従来広く用いられているOリングでは図6に示すように両者の固着力に差が生じないので、相手部材に固着して蟻溝から抜け出ることがある。)
【0025】
次に、図4は弾性シール1を蟻溝3に装入(装着)する方法を説明した断面図であり、大型液晶製造装置等に使用した場合、大きな荷重が作用するので、弾性シール1の断面積は、Oリングに換算すると、10〜20mmの直径に相当し、極めて大きく、蟻溝3へ通常では装着することは非常に困難である。しかしながら、本発明に係る弾性シール1は、テーパ部14, 14を有すると共に頂面ストレート部10を備えた形状であるので、この頂面ストレート部10を、強くかつ安定して押圧し、テーパ部14, 14にて誘導しつつ、開口部4から比較的スムースに蟻溝3内へ装着可能である。しかも、図2の矢印Fの方向へ小凸部30も逃げるので、一層スムースに装着可能である。矢印Eは、そのような押圧(押込)方向を示す。
なお、蟻溝3内へ装入した後は、図1と図2に示すように、小凸部30, 30が第1側壁面5・第2側壁面6に係止して、脱落が防止される。
【0026】
次に、図5(A)は、本発明に係る弾性シール1を、蟻溝3内へ装着し、相手部材21の平坦面20を押圧した圧縮使用状態を示し、その状態での接触面圧力P20,P7 ,P5 ,P6 を示す(有限要素法による)FEM解析図である。また、図6はOリング41aについて同じ圧縮使用状態に於ける接触面圧力を示すFEM解析図である。この図5(A)と図6とを比較すれば分かるように、Oリング41aでは相手部材21との接触面圧P分布が丸山型となり、中央にピーク圧が生じ、その積分値(耐荷重値)がやや小さく、従って、高荷重に耐えきれずに、被取付部材2との平坦面2aと、相手部材21とが、接触し、いわゆるメタルタッチを生じて、金属粉塵発生の虞がある。これに対し、本発明に係る弾性シール1は、図5(A)に示す如く、相手部材21との接触面圧P20,P7 分布が左右端に小さなピークの存在する山脈型(高原型)となり、その積分値(耐荷重値)は大きく、高荷重に耐え、メタルタッチを防止できる。
【0027】
即ち、大型液晶製造装置等では、相手部材21の重量が大きく、かつ、真空時の受圧面積が大きいことに伴って真空押圧(吸着)力も大きく、大きな荷重が弾性シール1に作用するが、図1〜図3のように、上半部9は頂面ストレート部10を有し、かつ、底面ストレート部11を有する断面形状であるので、図5(A)に示したような接触面圧P分布によって、メタルタッチを起こさないように、十分な支持力で相手部材21を支持できる。言い換えれば、この弾性シール1は頂面ストレート部10・底面ストレート部11によって、単位面積当たりの受荷重を小さくすることで変形を抑えている。
【0028】
そして、図5(A)に点線Mは(図1に示した)未圧縮装着状態の本弾性シールの横断面形状を示し、実線は圧縮状態であるが、小凸部30, 30を有し、図2の矢印Fの方向に弾性変形容易なため、実線の圧縮状態に於ける、第1・第2側壁面5,6に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が低く(小さく)、その結果、圧縮(負荷)状態と解放(未圧縮)状態とを交互に多数回繰返したとしても、ゴム摩耗粉塵(パーティクル)の発生が著しく低減される。
【0029】
図5(B)は比較例を示し、上述した図5(A)と同様に圧力分布(接触面圧力)P20,P7 ,P5 ,P6 を示し、点線Mから明らかなように、本願発明の弾性シール1(図5(A)参照)の小凸部30, 30を省略した以外は、略同一寸法・同一形状にした弾性シール33を示す。P20とP7 は、図5(B)と図5(A)は略同一の分布であるが、第1・第2側壁面5,6及びストレート側壁面17に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が、比較例の図5(B)が急峻山型として高く(大きく)、その結果、比較例では、多数回の圧縮と解放の両状態を繰返すと、パーティクルの発生が大であることが分かる。即ち、本願発明(図5(A))に於ける小凸部30, 30(及び小凹溝31,31)の存在が、側壁面接触面圧力P5 ,P6 に多大な好影響を与えていることが分かる。
【0030】
次に、図5(C)は特開2005− 48876に記載された、本発明者のかつて提案した密封構造体( 弾性シール)を示し、上述した図5(A)(B)と同様に圧力分布(接触面圧力)P20,P7 ,P5 ,P6 を示し、点線からも明らかなように、小凸部30, 30を有さず、かつ、上半部の左右側縁部35, 35が平行であって、上半部(頭部)が横断面矩形型であり、両肩部37, 37が頑強な形状である。この図5(C)の従来例と、図5(A)の本発明とを比較すれば、次の点が明らかとなる。即ち、P20とP7 は略同一分布であるが、第1・第2側壁面5,6に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が高く(大きく)、しかも、蟻溝3の開口部4の開口端縁部(角部)4a,4aに対する圧力分布も急峻ピーク値を示している。その結果、図5(C)の従来例の密封構造体では、多数回の圧縮と解放の両状態を繰返すと、パーティクルを多く発生することが明らかである。特にG4〜G5程度の大きさのパネルを処理する装置用のシール材としては、図5(C)のシール形状(密封構造体)でも対応可能であったが、G6サイズ以上の高負荷のかかる大きさのパネルを処理する装置用のシール材としては、本発明の図5(A)に示したシール材(密封構造体)が好適である。
【0031】
次に、図7〜図9は、特にサイズが大きくなり高負荷がかかる程有効な本発明の他の実施の形態を示す。即ち、前述の実施の形態と弾性シール1は同一の形状・構成であるが、蟻溝3の横断面形状が相違している。つまり、この図7〜図9に示した蟻溝3の横断面形状は、小アール状の(丸味のある)開口端縁部4a,4aを有する開口部4を有し、この開口部4側に近づくにつれて相互に接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、この第1側壁面5・第2側壁面6の下端に連続して形成される相互に平行なストレート側壁面17, 17と、小さなアール状隅部28, 28を介して連続形成される底壁面7とを、備えている。
【0032】
第1・第2側壁面5,6とストレート側壁面17との交点(境界点)の底壁面7からの上下寸法H18は、蟻溝深さ寸法H3 の50%〜85%に設定する。即ち、第1・第2側壁面5,6は、被取付部材2の上面から15%〜50%の深さまでに形成する。そして、弾性シール1の既述の小凸部30は、上方縮幅傾斜状の第1・第2側壁面5,6に、図7と図9のように接触(又は近接)して対応する。
また、第1・第2側壁面5,6の傾斜角度θ(図8参照)は、弾性シール1の斜辺部16の傾斜角度βと同等乃至僅かに大きく、設定する。そういった構造とすることで、弾性シールの変形できるスペースが小さく抑えることができる(つまり、高負荷によるメタルタッチを抑えることが可能となる)。
【0033】
そして、図7に示した未圧縮状態から図9に示す圧縮状態となるように相手部材21の平坦面20が接近押圧すると、小凸部30,30が小凹溝31, 31側へ───つまり横断面の側内方へ───弾性変形容易であるため、第1・第2側壁面5,6に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が低く、その結果、圧縮(負荷)状態と解放状態とを交互に多数回繰返したとしても、ゴム摩耗粉塵(パーティクル)の発生が低減できる。即ち、この図9に示す面圧分布図を、前述の図5(A)(B)(C)と比較すれば明らかなように、図5(B)の比較例及び図5(C)の従来例よりも、接触面圧力P5 ,P6 が著しくそのピーク圧(最高値)が低減していることが分かり、図5(A)と同様の効果が得られる。 なお、図7〜図9に示した実施の形態に於ても、図4にて述べた実施の形態と同様に、蟻溝3内への装着は容易である。なお、本発明に係る弾性シール1の材質としては、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、NBR、HNBR、パーフロロエラストマなどが適用されるが、強度の点、耐熱性の点でEPDMが好適である。
【0034】
次に、図11と図12に於て、本発明の別の実施の形態を示す。
図11と図12は、夫々、既述の実施の形態を示した図2と図3に対応した図であって、同一符号は同様の構成であり、説明は省略するが、主として相違している点は以下の通りである。
未圧縮自由状態で、小凹溝31によって横断面側内方Fへ弾性変形可能な小凸部30の突出方向が、上方及び左右側外方である点が、まず、相違する。このようにして、上方及び左右側外方へ突出状に形成した左右一対の小凸部30, 30の間隔寸法が、下半部8の最大の(前述の)幅寸法W8 に相当している。
言い換えれば、上方のみならず左右側外方へも突出状の左右一対の小凸部30, 30の間隔寸法が、この弾性シール1の(左右の)幅寸法W8 を規定している。従って、前実施の形態に於ける最大幅形成域部13とは、図11と図12では、小凸部30の外側面部が相当している。
なお、図11と図12では、小凸部30の下方に(底面ストレート部11に直交する方向の)側面ストレート部23が連設され、このストレート部23の下端がテーパ部14に連続する。
図11と図12の他の形状と構成、及び、使用(装着)状態の作用等は、図1〜図10にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
なお、図12に示したシールの方が、図3に示したシールよりも、幅寸法W8 を大きく取ることができるので、脱落防止効果により優れ、かつ、溝内での姿勢がより安定するという効果を発現する。
【0035】
本発明は上述のように、開口部4と、相互に該開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、底壁面7とを、有する蟻溝3を備えた被取付部材2と、該蟻溝3内へ装着される弾性シール1と、から成ると共に、上記弾性シール1は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部4から突出する頂面ストレート部10、及び、上記底壁面7に対応する底面ストレート部11を、有している密封構造体に於て、上記弾性シール1が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面5・第2側壁面6に近接乃至当接する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上記開口部4の方向へ突出状に形成した構成であるので、圧縮負荷状態に於ける第1・第2側壁面5,6等に対する接触面圧力P5 ,P6 が低減でき、ゴム摩耗が減少して、パーティクル発生量を著しく低減可能となる。
また、相手部材(相手蓋)21に頂面ストレート部10が固着して上方へ引張られた際、小凸部30, 30は逆に側外方(図2の矢印Fの反対方向)へ変形しようとすることで、抵抗力が増し、弾性シール1の蟻溝3からの脱落を防止できる。
【0036】
また、開口部4と、相互に該開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、底壁面7とを、有する蟻溝3を備えた被取付部材2と、該蟻溝3内へ装着される弾性シール1と、から成ると共に、上記弾性シール1は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部4から突出する頂面ストレート部10、及び、上記底壁面7に対応する底面ストレート部11を、有している密封構造体に於て、上記弾性シール1が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面5・第2側壁面6に近接乃至当接する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上記開口部4の方向へ突出状に形成し、かつ、該小凸部30は左右側外方へも突出状に形成されているので、小凸部30の側内方Fへの弾性変形もスムースに行われて、圧縮負荷状態に於ける第1・第2側壁面5,6等に対する接触面圧力P5 ,P6 が一層低減でき、ゴム摩耗が減少して、パーティクル発生量を著しく低減可能となる。
また、相手部材(相手蓋)21に頂面ストレート部10が固着して上方へ引張られた際、小凸部30, 30は逆に側外方( 図2の矢印Fの反対方向)へ変形しようとすることで、抵抗力が増し、弾性シール1の蟻溝3からの脱落を防止できる。
【0037】
また、上記弾性シール1は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に、上記小凸部30が配設されているので、蟻溝3の横断面形状に順応して、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。このように、大型液晶製造装置のチャンバーゲート部等に好適である。また、大きな横断面積として高荷重にも耐える弾性シールが得られる。
【0038】
また、上記弾性シール1は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に配設した左右一対の上記小凸部30,30の間隔寸法が上記下半部8の上記幅寸法W8 に相当している構成であるので、蟻溝3の横断面形状に順応して、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。このように、大型液晶製造装置のチャンバーゲート部等に好適である。また、大きな横断面積として高荷重にも耐える弾性シールが得られる。
【0039】
また、弾性シール1は、未圧縮自由状態で、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上方へ突出状として、又は、上方及び左右側外方に突出状として、左右両側の中間高さに、有する構成によって、圧縮負荷状態下で、シール溝内側面(側壁面)に対する接触面圧力P5 ,P6 を巧妙に、かつ、簡易な形状によって、低減できる。これにより、パーティクル発生量を抑制できる。
また、弾性シール1は、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上方へ突出状に形成したことによって、蟻溝3の横断面形状に順応して、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。
【0040】
また、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上方及び左右側外方へ突出状に形成して、左右一対の上記小凸部30,30の間隔寸法が上記下半部8の上記幅寸法W8 に相当するように構成したので、蟻溝3の横断面形状に一層順応して弾性変形しやすく、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、一層低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。
また、上記上半部9は頂ストレート部10を有し、上記下半部8は底面ストレート部11を有することによって、弾性シールは、圧縮・未圧縮のいずれの状態、及び、その中間の状態にあっても、常に安定姿勢を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の一形態を示す未圧縮装着状態の断面図である。
【図2】形状と寸法の説明図である。
【図3】断面形状説明図である。
【図4】装着作業の説明図である。
【図5】圧縮負荷状態の圧力分布の比較図である。
【図6】Oリングの圧縮負荷状態の圧力分布説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示す未圧縮装着状態の断面図である。
【図8】蟻溝の横断面図である。
【図9】圧縮負荷状態の圧力分布説明図である。
【図10】使用箇所の一例を示した分解斜視図である。
【図11】本発明の別の実施の形態を示した断面形状と寸法の説明図である。
【図12】断面形状説明図である。
【図13】各種の従来例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 弾性シール
2 被取付部材
3 蟻溝
4 開口部
5 第1側壁面
6 第2側壁面
7 底壁面
8 下半部
9 上半部
10 頂面ストレート部
11 底面ストレート部
F 側内方
W8 ,W9 幅寸法
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の密封(真空の密封も含む)に用いられる密封構造及び弾性シールに係り、特に極めて厳しい清浄度が要求される大型液晶製造装置等に好適な密封構造及び弾性シールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体(液晶)製造装置等に用いられる密封構造としては、従来からOリングが広く使用されており、また三叉状横断面の弾性シールと略台形状蟻溝から構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、従来から、図13(A)(B)(C)(D)(E)の各々に示すような各種横断面形状の弾性シール41a,41b,41c,41d,41eと蟻溝42から成る密封構造が知られている。
いずれの弾性シール41a,41b,41c,41d,41eにせよ、平面図は図10に例示するような全体環状の形状である。上述のOリングは自由状態下で円形環状であるが、これを無理やり図10のような矩形に変形してシール溝42に嵌着していたので、シール面に問題が生ずる場合があった。
【特許文献1】特開2000−356267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、最近の液晶パネルはしだいに大型化して、例えば図10に於て、縦横各寸法は各々約2000mm前後にも達し、液晶製造装置も大型化して、製造装置内を真空にすると、蓋体45に高荷重(例えば、40N/mm以上)が掛かる。
上記特許文献1に記載の三叉状の弾性シールは、特に、低荷重を特徴とした形状であり、また、図13(B)や図13(E)に示した横断面形状の弾性シール41b,41eも低荷重には好適なものである。
【0004】
しかしながら、大型化した液晶パネルの製造装置のチャンバーゲート部に適用すると、メタルタッチの問題を生ずる。即ち、チャンバーの開口端面(蟻溝近傍)と、蓋体とが相互に接触(メタルタッチ)して、粉塵を発生する虞がある。このメタルタッチは、液晶の製造に於ては厳禁すべきことである。
図13(A)に示した弾性シール(Oリング)41aは、蟻溝42内で捩れを生じ、切断に至る虞があり、また、上記蓋体による圧接で蓋体に固着して蟻溝42から脱落する(抜け出る)という問題があり、さらに、蟻溝42の開口端縁部43,43と摩擦して摩耗粉(パーティクル)が生ずるという問題がある。また、高荷重に対しても十分に支えきれず、メタルタッチを生ずることもある。
【0005】
図13(B)は溝底面側の凹部44の存在によって、高荷重を保持できない(既述)ことの他に、蟻溝42内への装着作業が困難である。
図13(C)の弾性シール41cは蟻溝42内へ逆組付けを行ってしまう虞がある。また、(図13(A)と同様に)ゴムの摩耗粉(パーティクル)を発生する。また、大断面径の場合、蟻溝42内への装着作業が難しい。
図13(D)の弾性シール41dは蟻溝42内へ逆組付けを行う虞があり、また、ゴムの摩耗粉(パーティクル)を生じるという問題がある。さらに、溝底面部の凹部44が存在するので高荷重を保持できず、上記メタルタッチを生ずる。
【0006】
本発明に係る密封構造と弾性シールは、上述の従来の弾性シールの問題点を解決して、高荷重に耐えることでメタルタッチを防止し、かつ、大きな横断面積でも蟻溝内へ装入し易く、かつ、一旦装着後は蟻溝から不意に脱落することのない弾性シール(密封構造)を提供することを目的とする。また、装着圧縮状態(負荷時)における(蟻溝の)側壁面との接触面圧を低下させ、即ち、局部的高面圧部(ピーク圧)を低減して、上記チャンバーゲート部の繰返し開閉による摩耗(発生量)を減少し、ゴムの摩耗粉(パーティクル)の発生を防止することを他の目的とする。特に、極めて厳しい清浄度が要求される大型液晶パネルの製造装置に好適な、パーティクルの発生が極めて少ない密封構造体と弾性シールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、開口部と、相互に該開口部側に近づくにつれて接近する第1側壁面・第2側壁面と、底壁面とを、有する蟻溝を備えた被取付部材と、該蟻溝内へ装着される弾性シールと、から成ると共に、上記弾性シールは、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部から突出する頂面ストレート部、及び、上記底壁面に対応する底面ストレート部を、有している密封構造体に於て;上記弾性シールが、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面・第2側壁面に近接乃至当接する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上記開口部の方向へ突出状に形成したものである。
また、上記弾性シールは、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に、上記小凸部が配設されている。
【0008】
また、開口部と、相互に該開口部側に近づくにつれて接近する第1側壁面・第2側壁面と、底壁面とを、有する蟻溝を備えた被取付部材と、該蟻溝内へ装着される弾性シールと、から成ると共に、上記弾性シールは、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部から突出する頂面ストレート部、及び、上記底壁面に対応する底面ストレート部を、有している密封構造体に於て;上記弾性シールが、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面・第2側壁面に近接乃至当接する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上記開口部の方向へ突出状に形成し、かつ、該小凸部は左右側外方へも突出状に形成されている。
また、上記弾性シールは、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に配設した左右一対の上記小凸部の間隔寸法が上記下半部の上記幅寸法に相当している。
また、G6サイズ以上の平面パネルの表面処理装置のチャンバーゲートに用いられる。
【0009】
また、本発明に係る弾性シールは、未圧縮自由状態で、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有する。
また、未圧縮自由状態で、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方及び左右側外方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有する。
また、本発明に係る弾性シールは、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方へ突出状に形成したものである。
また、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法の大きい下半部と、横断面の幅寸法の小さい上半部とを、積上げた横断面形状であって、該下半部の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方への弾性変形を許容する小凹溝によって小凸部を上方及び左右側外方へ突出状に形成して、左右一対の上記小凸部の間隔寸法が上記下半部の上記幅寸法に相当する。
また、上記上半部は頂ストレート部を有し、上記下半部は底面ストレート部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、(相手平坦面が)弾性シールの頂面ストレート部を押圧しつつ圧縮してゆくに伴って、第1・第2側壁面に小凸部が接触し、押圧されて、小凹溝の存在する横断面側内方へ上記小凸部は弾性変形してゆく(逃げる)ことが可能である。従って、第1・第2側壁面との接触面圧(ピーク圧)が低減できることとなって、圧縮(負荷時)とリリース(未圧縮時)の繰返しによる弾性シールからの摩耗粉(パーティクル)の発生が著しく低減でき、厳しい清浄度が要求される大型液晶製造装置等に好適な発明である。
【0011】
また、弾性シールを装着する際に、小凸部は小凹溝へ弾性変形して、蟻溝の開口部を容易に通過可能となり、装着も容易となる。逆に、チャンバーゲート等の相手平坦面に頂面ストレート部が固着し、弾性シールが蟻溝から引き出されようとするが、その際、小凸部が、蟻溝の第1・第2側壁面(開口端縁部)に係止状となり横断面側外方へ拡幅変形しようとすることによって、脱落を防止できる。
また、メタルタッチを防止でき、金属パーティクルの発生も抑制でき、G6サイズ(1500mm×1800mm)以上の液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の高負荷のかかる大型の平面パネルの表面処理装置に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1〜図4に於て、本発明に係る密封構造体の実施の一形態を示す。この密封構造体は、蟻溝3を備えた被取付部材2と、この蟻溝3内へ装着されるゴム製等の弾性シール1と、から成る。弾性シール1は全体が略矩形状(図10参照)や、競技トラック状(長円形)等の環状(閉ループ状)、リング状(円形)である。
【0013】
この密封構造体は、図10に例示したように、大型液晶製造装置や半導体製造装置のチャンバー(清浄空間)Tの入口ゲート部の(主として真空の)密封用として用いられ、上記被取付部材2はバルブシートが相当し、これに接近離間自在に対応する平坦面20を有する相手部材21は、ゲートが相当する。例えば、この密封構造体は、G6サイズ以上の平面パネルの表面処理装置のチャンバーゲートに好適なものである。
【0014】
図1〜図4に示すように、上記蟻溝3は、開口部4と、相互にこの開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、底壁面7とを、有する横断面略台形状である。具体的には、底壁面7と第1・第2側壁面5,6とは、各々、アール状(弯曲凹状)隅部28を介して、相互に連結されている。このように、図1と図2と図4に於ては、やや丸味のある横断面略台形状の蟻溝3を例示する。
【0015】
弾性シール1の横断面形状は、蟻溝3内へ装着されかつ相手部材21の平坦面20が押圧(接触)しない未圧縮装着状態───図1と図2に示す状態───に於て、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9から成り、図1と図2では、2点鎖線Cにて両者の境界を概略示した。この弾性シール1の横断面形状は、中央線Lに関して左右対称形であり、下半部8の上に上半部9を積み上げた形状であり、下半部8の左右上角部に相当する部位に、小凸部30, 30が配設されている。なお、図例では、この弾性シール1は、上記未圧縮装着状態と未圧縮自由状態(図3と図4参照)とは、同一横断面形状を示す。
【0016】
さらに具体的には、上半部9は略台形状であって、開口部4から上半部9は突出している。この上半部9は頂面ストレート部10を有する。つまり頂面は平坦面として、大きな当接面積をもって、その後、相手部材21と接触する。
また、下半部8は、蟻溝3の底壁面7に対応する底面ストレート部11を有し、蟻溝3内で常に姿勢を安定させる作用をなし、かつ、圧縮時の面圧を低く抑える作用をなす。
【0017】
未圧縮装着状態に於て、弾性シール1が蟻溝3の第1・第2側壁面5,6に近接乃至当接する部位───即ち、下半部8の左右上角部に相当する部位───に、横断面の側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上記開口部4の方向───即ち上方向───へ突出状に形成している。
言い換えると、幅寸法W8 と幅寸法W9 の差の半分に相当する段差部Kに、横断面内側から側外方へ向って順に、上方開口状小凹溝31及び上方突出状小凸部30を配設し、矢印Fにて示す如く、横断面の側内方へ、小凸部30が弾性変形して、相手部材21の平坦面20が接近して圧縮を受ける際に、蟻溝3の第1・第2側壁面5,6から受ける外力(圧力)を、小凹溝31へ逃げることで、低減できる。
【0018】
なお、本発明に於て、全図面に示すように、蟻溝3の開口部4を上方とし底壁面7を下方として配置した状態に基づき、「上方」「下方」と呼ぶものと定義する。従って、現実の装置にあって、天地逆に配置したり、又は、斜め向きに配置したり、若しくは、横向きに配置する場合があったとしても、蟻溝3の開口部4を上方とし底壁面7を下方として配置した状態に基づいて、「上方」「下方」を判断するものとする。
【0019】
次に、一層詳細に具体的構成を説明する。未圧縮装着状態に於て、下半部8の(前述した)小凸部30, 30の幅寸法(間隔寸法)が前記幅寸法W8 に相等しいと共に、小凸部30の外側端から蟻溝3の底壁面7に垂直に下ろした垂直線に沿ったストレート状の最大幅形成域部13を、下半部8が有する。即ち、相互に平行な最大幅形成域部13, 13の間隔寸法が、下半部8の幅寸法W8 であるといえる。
【0020】
そして、この最大幅形成域部13から底面ストレート部11に渡って、幅寸法が単純減少するテーパ部(縮幅勾配部)14を、下半部8は有する。なお、このテーパ部14を大きな曲率半径のアール状とするも自由である(図示省略)。また、テーパ部14と底面ストレート部11の角部15は小さな半径R5 のアール状(弯曲部)を有する。このように、下半部8の横断面形状は、略倒立台形状乃至カップ型であるといえる。そして、最大幅寸法W8 が、左右の小凸部30, 30の外側面相互の間隔寸法に相当している点、及び、最大幅形成域部13の上端に、小凸部30の外側面が、連続状に形成されている点が、特徴点である。
なお、最大幅形成域部13, 13を下方へ僅かに縮幅するようにテーパ状(勾配面)に形成するも好ましい(図示省略)。
【0021】
そして、上半部9の横断面形状は、底辺の長さが前記幅寸法W9 に相当する略台形状であり、蟻溝3の開口部4の幅寸法W4 に対して、図1と図2に示す未圧縮装着状態下で開口部4の高さに於ける幅寸法W90は、70%〜90%に設定している。つまり、0.70×W4 ≦W90≦0.90×W4 に設定する。このようにして、略台形状の上半部9の左右各斜辺部16, 16と、開口部4の開口端縁部(角部)4aとの間に、間隙部Gを形成する。
W90<0.70×W4 であると、間隙部Gが過大となって、デポ(成膜時の酸化粉塵)等が多く溜まったり、また、頂面ストレート部10の幅寸法W10を十分に大きくとれなくなる。逆に、W90>0.90×W4 であると、図1の実線及び図5(A)の点線の未圧縮装着状態から、図5(A)の実線の圧縮状態に変形する途中、又は圧縮(使用)状態で、開口端縁(角部)4aに斜辺部16が強く干渉(接触)して、ゴム等の摩耗粉(パーティクル)を発生することとなり、好ましくない。なお、弾性シール1の斜辺部16の傾斜角度βは、5°〜30°の大きさに設定し、かつ、第1・第2側壁面5,6の傾斜角度と同等乃至僅かに小さく設定する。
【0022】
なお、小凸部30, 30が第1・第2側壁面5,6に近接乃至軽く当接する、底壁面7からの高さ寸法H30は、蟻溝3の深さ寸法H3 の60%〜90%に設定する。つまり、0.60×H3 ≦H30≦0.90×H3 のように設定する。このように小凸部30, 30が第1・第2側壁面5,6に当接し、かつ、小凸部30がこの当接によって矢印Fと反対方向へ変形する(拡幅方向へ弾性変形する)ので、蟻溝3から弾性シール1が不意に脱落することを、防止できる。 そして、H30<0.60×H3 であると、上記間隙部Gに対応した空間が大きくなって、液晶成膜時の酸化粉塵(いわゆるデポ)等が溜まる虞がある。逆に、H30>0.90×H3 であれば、十分な当接(抜け止め用係り)が得られず、弾性シール1が蟻溝3から脱落する虞が生ずる。
【0023】
図3(及び図1・図2)に示すように、頂面ストレート部10の両端が所定半径R1 の突出角部16a, 16aに連続し、さらに斜辺部16に連続して、この斜辺部16の下端が極めて小さな半径R31, R30の小凹溝31と小凸部30に連続する。なお、上半部9は、前記小凹溝31の溝底(最下部)をもって終了している。つまり、上半部9と下半部8とは、小凹溝31の溝底(最下部)を左右連結する水平状の2点鎖線Cをもって区画される。いわば、大きな略台形状の下半部8と小さな略台形状の上半部9を、台形の底辺を合わせる如く(2点鎖線Cの位置で合わせる如く)して、全体が形成されている。
【0024】
自由状態に於て、頂面ストレート部10の幅寸法をW10とし、底面ストレート部11の幅寸法を<W11とすると、1.0 ×W10≦W11であれば良いが、安定姿勢を維持しやすいという点で、1.2 ×W10≦W11≦1.65×W10が好ましく、より好ましくは、1.35×W10≦W11≦1.55×W10である。W11<1.0 ×W10であると、弾性シール1が蟻溝3内で安定姿勢を保持しにくくなる。逆にW11>1.65×W10であると、頂面ストレート部10の押圧時(圧縮状態)での面圧が過大となる傾向にある。そして、頂面ストレート部10の幅寸法W10よりも底面ストレート部11の幅寸法W11を大きく設定したので、相手部材21の平坦面20と、蟻溝3の底壁面7に対する固着力は、後者の方が大きくなり、弾性シール1は、確実に蟻溝3の底壁面7に固着して蟻溝3内に残る。(なお、従来広く用いられているOリングでは図6に示すように両者の固着力に差が生じないので、相手部材に固着して蟻溝から抜け出ることがある。)
【0025】
次に、図4は弾性シール1を蟻溝3に装入(装着)する方法を説明した断面図であり、大型液晶製造装置等に使用した場合、大きな荷重が作用するので、弾性シール1の断面積は、Oリングに換算すると、10〜20mmの直径に相当し、極めて大きく、蟻溝3へ通常では装着することは非常に困難である。しかしながら、本発明に係る弾性シール1は、テーパ部14, 14を有すると共に頂面ストレート部10を備えた形状であるので、この頂面ストレート部10を、強くかつ安定して押圧し、テーパ部14, 14にて誘導しつつ、開口部4から比較的スムースに蟻溝3内へ装着可能である。しかも、図2の矢印Fの方向へ小凸部30も逃げるので、一層スムースに装着可能である。矢印Eは、そのような押圧(押込)方向を示す。
なお、蟻溝3内へ装入した後は、図1と図2に示すように、小凸部30, 30が第1側壁面5・第2側壁面6に係止して、脱落が防止される。
【0026】
次に、図5(A)は、本発明に係る弾性シール1を、蟻溝3内へ装着し、相手部材21の平坦面20を押圧した圧縮使用状態を示し、その状態での接触面圧力P20,P7 ,P5 ,P6 を示す(有限要素法による)FEM解析図である。また、図6はOリング41aについて同じ圧縮使用状態に於ける接触面圧力を示すFEM解析図である。この図5(A)と図6とを比較すれば分かるように、Oリング41aでは相手部材21との接触面圧P分布が丸山型となり、中央にピーク圧が生じ、その積分値(耐荷重値)がやや小さく、従って、高荷重に耐えきれずに、被取付部材2との平坦面2aと、相手部材21とが、接触し、いわゆるメタルタッチを生じて、金属粉塵発生の虞がある。これに対し、本発明に係る弾性シール1は、図5(A)に示す如く、相手部材21との接触面圧P20,P7 分布が左右端に小さなピークの存在する山脈型(高原型)となり、その積分値(耐荷重値)は大きく、高荷重に耐え、メタルタッチを防止できる。
【0027】
即ち、大型液晶製造装置等では、相手部材21の重量が大きく、かつ、真空時の受圧面積が大きいことに伴って真空押圧(吸着)力も大きく、大きな荷重が弾性シール1に作用するが、図1〜図3のように、上半部9は頂面ストレート部10を有し、かつ、底面ストレート部11を有する断面形状であるので、図5(A)に示したような接触面圧P分布によって、メタルタッチを起こさないように、十分な支持力で相手部材21を支持できる。言い換えれば、この弾性シール1は頂面ストレート部10・底面ストレート部11によって、単位面積当たりの受荷重を小さくすることで変形を抑えている。
【0028】
そして、図5(A)に点線Mは(図1に示した)未圧縮装着状態の本弾性シールの横断面形状を示し、実線は圧縮状態であるが、小凸部30, 30を有し、図2の矢印Fの方向に弾性変形容易なため、実線の圧縮状態に於ける、第1・第2側壁面5,6に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が低く(小さく)、その結果、圧縮(負荷)状態と解放(未圧縮)状態とを交互に多数回繰返したとしても、ゴム摩耗粉塵(パーティクル)の発生が著しく低減される。
【0029】
図5(B)は比較例を示し、上述した図5(A)と同様に圧力分布(接触面圧力)P20,P7 ,P5 ,P6 を示し、点線Mから明らかなように、本願発明の弾性シール1(図5(A)参照)の小凸部30, 30を省略した以外は、略同一寸法・同一形状にした弾性シール33を示す。P20とP7 は、図5(B)と図5(A)は略同一の分布であるが、第1・第2側壁面5,6及びストレート側壁面17に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が、比較例の図5(B)が急峻山型として高く(大きく)、その結果、比較例では、多数回の圧縮と解放の両状態を繰返すと、パーティクルの発生が大であることが分かる。即ち、本願発明(図5(A))に於ける小凸部30, 30(及び小凹溝31,31)の存在が、側壁面接触面圧力P5 ,P6 に多大な好影響を与えていることが分かる。
【0030】
次に、図5(C)は特開2005− 48876に記載された、本発明者のかつて提案した密封構造体( 弾性シール)を示し、上述した図5(A)(B)と同様に圧力分布(接触面圧力)P20,P7 ,P5 ,P6 を示し、点線からも明らかなように、小凸部30, 30を有さず、かつ、上半部の左右側縁部35, 35が平行であって、上半部(頭部)が横断面矩形型であり、両肩部37, 37が頑強な形状である。この図5(C)の従来例と、図5(A)の本発明とを比較すれば、次の点が明らかとなる。即ち、P20とP7 は略同一分布であるが、第1・第2側壁面5,6に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が高く(大きく)、しかも、蟻溝3の開口部4の開口端縁部(角部)4a,4aに対する圧力分布も急峻ピーク値を示している。その結果、図5(C)の従来例の密封構造体では、多数回の圧縮と解放の両状態を繰返すと、パーティクルを多く発生することが明らかである。特にG4〜G5程度の大きさのパネルを処理する装置用のシール材としては、図5(C)のシール形状(密封構造体)でも対応可能であったが、G6サイズ以上の高負荷のかかる大きさのパネルを処理する装置用のシール材としては、本発明の図5(A)に示したシール材(密封構造体)が好適である。
【0031】
次に、図7〜図9は、特にサイズが大きくなり高負荷がかかる程有効な本発明の他の実施の形態を示す。即ち、前述の実施の形態と弾性シール1は同一の形状・構成であるが、蟻溝3の横断面形状が相違している。つまり、この図7〜図9に示した蟻溝3の横断面形状は、小アール状の(丸味のある)開口端縁部4a,4aを有する開口部4を有し、この開口部4側に近づくにつれて相互に接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、この第1側壁面5・第2側壁面6の下端に連続して形成される相互に平行なストレート側壁面17, 17と、小さなアール状隅部28, 28を介して連続形成される底壁面7とを、備えている。
【0032】
第1・第2側壁面5,6とストレート側壁面17との交点(境界点)の底壁面7からの上下寸法H18は、蟻溝深さ寸法H3 の50%〜85%に設定する。即ち、第1・第2側壁面5,6は、被取付部材2の上面から15%〜50%の深さまでに形成する。そして、弾性シール1の既述の小凸部30は、上方縮幅傾斜状の第1・第2側壁面5,6に、図7と図9のように接触(又は近接)して対応する。
また、第1・第2側壁面5,6の傾斜角度θ(図8参照)は、弾性シール1の斜辺部16の傾斜角度βと同等乃至僅かに大きく、設定する。そういった構造とすることで、弾性シールの変形できるスペースが小さく抑えることができる(つまり、高負荷によるメタルタッチを抑えることが可能となる)。
【0033】
そして、図7に示した未圧縮状態から図9に示す圧縮状態となるように相手部材21の平坦面20が接近押圧すると、小凸部30,30が小凹溝31, 31側へ───つまり横断面の側内方へ───弾性変形容易であるため、第1・第2側壁面5,6に対する接触面圧力P5 ,P6 は、最高値(ピーク圧)が低く、その結果、圧縮(負荷)状態と解放状態とを交互に多数回繰返したとしても、ゴム摩耗粉塵(パーティクル)の発生が低減できる。即ち、この図9に示す面圧分布図を、前述の図5(A)(B)(C)と比較すれば明らかなように、図5(B)の比較例及び図5(C)の従来例よりも、接触面圧力P5 ,P6 が著しくそのピーク圧(最高値)が低減していることが分かり、図5(A)と同様の効果が得られる。 なお、図7〜図9に示した実施の形態に於ても、図4にて述べた実施の形態と同様に、蟻溝3内への装着は容易である。なお、本発明に係る弾性シール1の材質としては、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、NBR、HNBR、パーフロロエラストマなどが適用されるが、強度の点、耐熱性の点でEPDMが好適である。
【0034】
次に、図11と図12に於て、本発明の別の実施の形態を示す。
図11と図12は、夫々、既述の実施の形態を示した図2と図3に対応した図であって、同一符号は同様の構成であり、説明は省略するが、主として相違している点は以下の通りである。
未圧縮自由状態で、小凹溝31によって横断面側内方Fへ弾性変形可能な小凸部30の突出方向が、上方及び左右側外方である点が、まず、相違する。このようにして、上方及び左右側外方へ突出状に形成した左右一対の小凸部30, 30の間隔寸法が、下半部8の最大の(前述の)幅寸法W8 に相当している。
言い換えれば、上方のみならず左右側外方へも突出状の左右一対の小凸部30, 30の間隔寸法が、この弾性シール1の(左右の)幅寸法W8 を規定している。従って、前実施の形態に於ける最大幅形成域部13とは、図11と図12では、小凸部30の外側面部が相当している。
なお、図11と図12では、小凸部30の下方に(底面ストレート部11に直交する方向の)側面ストレート部23が連設され、このストレート部23の下端がテーパ部14に連続する。
図11と図12の他の形状と構成、及び、使用(装着)状態の作用等は、図1〜図10にて説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
なお、図12に示したシールの方が、図3に示したシールよりも、幅寸法W8 を大きく取ることができるので、脱落防止効果により優れ、かつ、溝内での姿勢がより安定するという効果を発現する。
【0035】
本発明は上述のように、開口部4と、相互に該開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、底壁面7とを、有する蟻溝3を備えた被取付部材2と、該蟻溝3内へ装着される弾性シール1と、から成ると共に、上記弾性シール1は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部4から突出する頂面ストレート部10、及び、上記底壁面7に対応する底面ストレート部11を、有している密封構造体に於て、上記弾性シール1が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面5・第2側壁面6に近接乃至当接する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上記開口部4の方向へ突出状に形成した構成であるので、圧縮負荷状態に於ける第1・第2側壁面5,6等に対する接触面圧力P5 ,P6 が低減でき、ゴム摩耗が減少して、パーティクル発生量を著しく低減可能となる。
また、相手部材(相手蓋)21に頂面ストレート部10が固着して上方へ引張られた際、小凸部30, 30は逆に側外方(図2の矢印Fの反対方向)へ変形しようとすることで、抵抗力が増し、弾性シール1の蟻溝3からの脱落を防止できる。
【0036】
また、開口部4と、相互に該開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面5・第2側壁面6と、底壁面7とを、有する蟻溝3を備えた被取付部材2と、該蟻溝3内へ装着される弾性シール1と、から成ると共に、上記弾性シール1は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部4から突出する頂面ストレート部10、及び、上記底壁面7に対応する底面ストレート部11を、有している密封構造体に於て、上記弾性シール1が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面5・第2側壁面6に近接乃至当接する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上記開口部4の方向へ突出状に形成し、かつ、該小凸部30は左右側外方へも突出状に形成されているので、小凸部30の側内方Fへの弾性変形もスムースに行われて、圧縮負荷状態に於ける第1・第2側壁面5,6等に対する接触面圧力P5 ,P6 が一層低減でき、ゴム摩耗が減少して、パーティクル発生量を著しく低減可能となる。
また、相手部材(相手蓋)21に頂面ストレート部10が固着して上方へ引張られた際、小凸部30, 30は逆に側外方( 図2の矢印Fの反対方向)へ変形しようとすることで、抵抗力が増し、弾性シール1の蟻溝3からの脱落を防止できる。
【0037】
また、上記弾性シール1は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に、上記小凸部30が配設されているので、蟻溝3の横断面形状に順応して、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。このように、大型液晶製造装置のチャンバーゲート部等に好適である。また、大きな横断面積として高荷重にも耐える弾性シールが得られる。
【0038】
また、上記弾性シール1は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に配設した左右一対の上記小凸部30,30の間隔寸法が上記下半部8の上記幅寸法W8 に相当している構成であるので、蟻溝3の横断面形状に順応して、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。このように、大型液晶製造装置のチャンバーゲート部等に好適である。また、大きな横断面積として高荷重にも耐える弾性シールが得られる。
【0039】
また、弾性シール1は、未圧縮自由状態で、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上方へ突出状として、又は、上方及び左右側外方に突出状として、左右両側の中間高さに、有する構成によって、圧縮負荷状態下で、シール溝内側面(側壁面)に対する接触面圧力P5 ,P6 を巧妙に、かつ、簡易な形状によって、低減できる。これにより、パーティクル発生量を抑制できる。
また、弾性シール1は、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上方へ突出状に形成したことによって、蟻溝3の横断面形状に順応して、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。
【0040】
また、未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法W8 の大きい下半部8と、横断面の幅寸法W9 の小さい上半部9とを、積上げた横断面形状であって、該下半部8の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方Fへの弾性変形を許容する小凹溝31によって小凸部30を上方及び左右側外方へ突出状に形成して、左右一対の上記小凸部30,30の間隔寸法が上記下半部8の上記幅寸法W8 に相当するように構成したので、蟻溝3の横断面形状に一層順応して弾性変形しやすく、未圧縮装着状態下ではフリーな状態として内部応力が弾性シール1内にほとんど残留せず、好ましいと共に、蟻溝3内で安定姿勢を保つ。また、圧縮状態では、特に側方の小凸部30が蟻溝3の左右側面に弾発的に、かつ、過大な局部的弾性変形を防止して、一層低い接触面圧力P5 ,P6 をもって接触する。
また、上記上半部9は頂ストレート部10を有し、上記下半部8は底面ストレート部11を有することによって、弾性シールは、圧縮・未圧縮のいずれの状態、及び、その中間の状態にあっても、常に安定姿勢を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の一形態を示す未圧縮装着状態の断面図である。
【図2】形状と寸法の説明図である。
【図3】断面形状説明図である。
【図4】装着作業の説明図である。
【図5】圧縮負荷状態の圧力分布の比較図である。
【図6】Oリングの圧縮負荷状態の圧力分布説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示す未圧縮装着状態の断面図である。
【図8】蟻溝の横断面図である。
【図9】圧縮負荷状態の圧力分布説明図である。
【図10】使用箇所の一例を示した分解斜視図である。
【図11】本発明の別の実施の形態を示した断面形状と寸法の説明図である。
【図12】断面形状説明図である。
【図13】各種の従来例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 弾性シール
2 被取付部材
3 蟻溝
4 開口部
5 第1側壁面
6 第2側壁面
7 底壁面
8 下半部
9 上半部
10 頂面ストレート部
11 底面ストレート部
F 側内方
W8 ,W9 幅寸法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(4)と、相互に該開口部(4)側に近づくにつれて接近する第1側壁面(5)・第2側壁面(6)と、底壁面(7)とを、有する蟻溝(3)を備えた被取付部材(2)と、該蟻溝(3)内へ装着される弾性シール(1)と、から成ると共に、上記弾性シール(1)は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部(4)から突出する頂面ストレート部(10)、及び、上記底壁面(7)に対応する底面ストレート部(11)を、有している密封構造体に於て、
上記弾性シール(1)が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面(5)・第2側壁面(6)に近接乃至当接する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上記開口部(4)の方向へ突出状に形成したことを特徴とする密封構造体。
【請求項2】
上記弾性シール(1)は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に、上記小凸部(30)が配設されている請求項1記載の密封構造体。
【請求項3】
開口部(4)と、相互に該開口部(4)側に近づくにつれて接近する第1側壁面(5)・第2側壁面(6)と、底壁面(7)とを、有する蟻溝(3)を備えた被取付部材(2)と、該蟻溝(3)内へ装着される弾性シール(1)と、から成ると共に、上記弾性シール(1)は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部(4)から突出する頂面ストレート部(10)、及び、上記底壁面(7)に対応する底面ストレート部(11)を、有している密封構造体に於て、
上記弾性シール(1)が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面(5)・第2側壁面(6)に近接乃至当接する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上記開口部(4)の方向へ突出状に形成し、かつ、該小凸部(30)は左右側外方へも突出状に形成されていることを特徴とする密封構造体。
【請求項4】
上記弾性シール(1)は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に配設した左右一対の上記小凸部 (30)(30) の間隔寸法が上記下半部(8)の上記幅寸法(W8 )に相当している請求項3記載の密封構造体。
【請求項5】
G6サイズ以上の平面パネルの表面処理装置のチャンバーゲートに用いられる請求項1,2,3又は4記載の密封構造体。
【請求項6】
未圧縮自由状態で、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有することを特徴とする弾性シール。
【請求項7】
未圧縮自由状態で、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方及び左右側外方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有することを特徴とする弾性シール。
【請求項8】
未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方へ突出状に形成したことを特徴とする弾性シール。
【請求項9】
未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方及び左右側外方へ突出状に形成して、左右一対の上記小凸部 (30)(30) の間隔寸法が上記下半部(8)の上記幅寸法(W8 )に相当することを特徴とする弾性シール。
【請求項10】
上記上半部(9)は頂ストレート部(10)を有し、上記下半部(8)は底面ストレート部(11)を有する請求項8又は9記載の弾性シール。
【請求項1】
開口部(4)と、相互に該開口部(4)側に近づくにつれて接近する第1側壁面(5)・第2側壁面(6)と、底壁面(7)とを、有する蟻溝(3)を備えた被取付部材(2)と、該蟻溝(3)内へ装着される弾性シール(1)と、から成ると共に、上記弾性シール(1)は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部(4)から突出する頂面ストレート部(10)、及び、上記底壁面(7)に対応する底面ストレート部(11)を、有している密封構造体に於て、
上記弾性シール(1)が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面(5)・第2側壁面(6)に近接乃至当接する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上記開口部(4)の方向へ突出状に形成したことを特徴とする密封構造体。
【請求項2】
上記弾性シール(1)は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に、上記小凸部(30)が配設されている請求項1記載の密封構造体。
【請求項3】
開口部(4)と、相互に該開口部(4)側に近づくにつれて接近する第1側壁面(5)・第2側壁面(6)と、底壁面(7)とを、有する蟻溝(3)を備えた被取付部材(2)と、該蟻溝(3)内へ装着される弾性シール(1)と、から成ると共に、上記弾性シール(1)は、未圧縮装着状態にて、横断面形状が、上記開口部(4)から突出する頂面ストレート部(10)、及び、上記底壁面(7)に対応する底面ストレート部(11)を、有している密封構造体に於て、
上記弾性シール(1)が、上記未圧縮装着状態で、上記第1側壁面(5)・第2側壁面(6)に近接乃至当接する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上記開口部(4)の方向へ突出状に形成し、かつ、該小凸部(30)は左右側外方へも突出状に形成されていることを特徴とする密封構造体。
【請求項4】
上記弾性シール(1)は、上記未圧縮装着状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に配設した左右一対の上記小凸部 (30)(30) の間隔寸法が上記下半部(8)の上記幅寸法(W8 )に相当している請求項3記載の密封構造体。
【請求項5】
G6サイズ以上の平面パネルの表面処理装置のチャンバーゲートに用いられる請求項1,2,3又は4記載の密封構造体。
【請求項6】
未圧縮自由状態で、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有することを特徴とする弾性シール。
【請求項7】
未圧縮自由状態で、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方及び左右側外方へ突出状として、左右両側の中間高さに、有することを特徴とする弾性シール。
【請求項8】
未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方へ突出状に形成したことを特徴とする弾性シール。
【請求項9】
未圧縮自由状態で、横断面の幅寸法(W8 )の大きい下半部(8)と、横断面の幅寸法(W9 )の小さい上半部(9)とを、積上げた横断面形状であって、該下半部(8)の左右上角部に相当する部位に、横断面側内方(F)への弾性変形を許容する小凹溝(31)によって小凸部(30)を上方及び左右側外方へ突出状に形成して、左右一対の上記小凸部 (30)(30) の間隔寸法が上記下半部(8)の上記幅寸法(W8 )に相当することを特徴とする弾性シール。
【請求項10】
上記上半部(9)は頂ストレート部(10)を有し、上記下半部(8)は底面ストレート部(11)を有する請求項8又は9記載の弾性シール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−78166(P2007−78166A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270737(P2005−270737)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
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