説明

密度測定装置の作動のための方法及び密度測定のための装置

本発明は、測定管(1)を有し媒体(2)の密度を決定する密度測定装置の作動のための方法であって、測定管(1)は媒体(2)で満たされ、振動を励起されるようになっており、振動の振動数を検出して、該検出された振動数及び、測定管(1)の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから媒体(2)の密度(ρ)を算出する形式のものに関する。本発明の課題は、密度測定装置の作動のための従来技術の方法の欠点、並びに密度測定装置の欠点を少なくとも部分的に避ける。課題を解決するために、本発明に基づく構成によれば、測定管(1)の少なくとも1つの機械的な応力(δ,Τ)を検出し、かつ得られた機械的な応力値を用いて、媒体(2)の求められる密度(ρ)に対する測定管(1)の機械的な応力(δ,Τ)の影響及び/又は媒体(2)内の圧力(p)の影響を、少なくとも部分的に反映させ若しくは補償するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定管を有していて媒体の密度を決定する密度測定装置の作動のための方法であって、前記測定管は前記媒体で満たされていて、振動を励起されるようになっており、この場合に振動の振動数を検出して、該検出された振動数及び、前記測定管の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから前記媒体の密度を算出する形式のものに関する。さらに本発明は、振動評価に基づく密度測定のための装置であって、少なくとも1つの測定管、該測定管内にある媒体、前記測定管に作用する少なくとも1つの振動発生装置、前記測定管の振動の検出のための少なくとも1つの測定値受信部、並びに、前記測定値受信部により検出された振動数を評価しかつ、前記検出された振動及び、前記測定管の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから、前記媒体の密度値を算出又は評価するための評価ユニットを含んでいる形式のものに関する。
【0002】
中空体、例えば測定管内にある媒体の密度の測定のために一般的に使用されている方法は、振動特性(又は振動挙動)の分かっている中空体を振動のために励起して、発生した振動を、特に発生した振動の振動数を、中空体内にある媒体の密度の決定のために用いるようになっているものである。
【0003】
換言すれば、上記方法は種々の密度測定装置の作動のための方法であり、該方法は、振動評価の原理に基づくものである。密度測定をコリオリ式の質量流量計により行うことは知られており、この種の質量流量計は、測定管を有しており、測定管は媒体で満たされ、若しくは媒体によって貫流されるようになっていて、かつ励起により振動させられるようになっており、しかしながらこの場合には、質量流量の決定のために固有振動の振動数を評価するものではなく、振動している測定管の2つの区分間の位相差を評価するものである。コリオリ原理に基づく質量流量測定装置を、密度測定装置の形式で作動できるように構成することについては、なんら開示されていない。
【0004】
密度決定は、機械的な振動系が簡単な例では、ばねと質量とから成る簡単なばね・質量系によって数式で表されるものであるという知見に基づいており、この場合に、該系の固有振動は、系の質量及び別の物理及び幾何学的特性、例えばばね定数に対して特定の関数を有しており、ばね定数は、最も簡単な例ではばねの特性に基づき数式で求められるものである。完全に理想的又は直線的なばね・質量系においては、角振動数の根は、ばねのばね定数と系の全質量との商に相当するものである。ここでは系の全質量は測定管の質量と測定管内の媒体の質量とからなっており、測定管内の媒体の質量は、媒体の密度と測定管により画定されて媒体の満たされる容積との積に等しいものである。これから明らかなように、中空体(ここでは、測定管)の固有振動の振動数を測定により検出することに基づき、中空体内の媒体の密度を推論することができ、この場合に測定管の容積は既知のファクターである。
【0005】
実地においては、前述の密度測定装置は媒体の密度の決定のための測定管を備えており、測定管は媒体を満たされていて、振動のために励起されるようになっている。非圧縮性の媒体、例えば液体にとっても、簡単な手掛かとしてばね・質量系を介して得られる媒体の密度は、測定管内に、ひいては媒体に生じている圧力にも依存していることが知られている。さらに知られるように、密度測定は温度にも依存しており、その程度は媒体の温度による体積変化で説明されるものである。
【0006】
本発明の課題は、密度測定装置の作動のための従来技術の方法の欠点、並びに密度測定のための従来技術の装置の欠点を少なくとも部分的に排除することである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に基づく方法の構成によれば、測定管の少なくとも1つの機械的な応力を検出して、該検出によって得られた機械的な応力値を用いて、媒体の求めるべき密度に対する測定管の前記機械的な応力の影響及び/又は媒体内の圧力の影響を、媒体の求めるべき密度に対して少なくとも部分的に反映させ若しくは補償するようになっている。A及び/又はBの記載は、A及びBの少なくともいずれか一方を意味するものである。
【0008】
本発明は、測定管の機械的な応力の変化が測定管の特性に、殊に測定管の物理及び幾何学的特性に多様に作用しており、物理及び幾何学的特性が、モデル化された簡単な数学的な展開若しくは演算により、測定管内の媒体の密度の決定に用いられるという知見に基づくものである。
【0009】
媒体の求めるべき密度に対する測定管の機械的な応力の影響及び/又は媒体の圧力の影響を補償又は除去するということは、応力及び/又は圧力を密度決定のためにも関与させることも意味しており、簡単なモデル展開により密度に対するより正確な測定結果を得るために、測定管の機械的な応力の影響及び/又は媒体の圧力の影響は実際に除去又は相殺され、若しくは補正されるようになっている。また、媒体の求めるべき密度に対する測定管の機械的な応力の影響及び/又は媒体の圧力の影響は、媒体の密度の決定のために直接に用いられ、つまり例えば、複雑なモデルを手掛かりに直接に用いられるものであり、この場合に種々の値は初めから反映されるのであり、算出された密度値の後からの補正に用いられるものではない。
【0010】
本発明に基づく方法の有利な実施態様では、測定管の機械的な剛性、ひいては媒体の求められる密度に対する、検出される機械的な応力の影響を反映させ若しくは補償するようになっている。振動可能な測定管を有する密度測定装置のためのモデルとしての前述の簡単なばね・質量系において、ばね定数は実質的に、密度測定装置に用いられる測定管の機械的な剛性に相当するものである。この種の測定管の数学及び物理に関する記載によれば、測定管の剛性は、測定管のあらゆる物理及び幾何学的特性、例えば管内径及び管壁厚(幾何学的なパラメータ)並びに測定管の材料のポアソン比及び弾性係数(物理的なパラメータ)の関数により表されるものである。さらに明らかなように、測定管の機械的な剛性は、種々の要因、例えば弾力、湾曲された測定管を戻そうとするモーメント等により測定管に作用する応力にも依存している。
【0011】
本発明の有利な別の実施態様では、機械的な応力として、測定管の周方向の応力(円周方向応力又は曲面応力)及び/又は軸線方向の応力(軸方向応力又は縦方向応力)を測定若しくは算出により求めるようになっている。この場合に、周方向の応力(周方向応力)は、局所的な場合には接線方向応力とも称され、測定管壁の軸線方向の断面に作用しているのに対して、軸線方向の応力は、測定管壁の半径方向の断面に作用している。これらの垂直応力は、本発明により媒体の密度の決定にとって特に有効なファクターとして認識されるものであり、したがって本発明は、表面に作用する接線方向応力とは逆に、垂直応力に着目するものである。
【0012】
本発明の有利な別の実施態様では、着目の機械的な応力は、測定技術により少なくとも1つのひずみゲージを用いて求められ、つまり検出されるようになっており、ひずみゲージは、支持力のある測定管の表面に取り付けられていて、測定方向で抵抗変化に基づき測定管の伸び又は縮みを示すものである。測定管に外部からの力が作用していない場合に、測定管の周方向の変化及び/又は軸線方向の伸びは、専ら媒体内に生じている圧力に依存しているので、測定管の検出された周方向応力及び/又は軸方向応力から、測定管内に生じている圧力をも推論することができ、その結果として、媒体の密度の圧力依存割合(媒体の密度の、圧力に依存して変化している値又は量)も、除去され、若しくは密度の測定結果に反映されるようになっている。
【0013】
本発明に基づく方法の有利な別の実施態様では、測定管の変位されない状態で又は振動を与えられない状態で、若しくは不動の状態で検出される。このような構成により、測定管にその振動に基づき生じる変形に起因する機械的な応力を考慮する必要がなくなり、この場合に機械的な応力の測定は、動的作用又は運動作用を受けない状態、ひいては動的な作用による機械的な振動成分を受けない状態で短い時間に行われるようになっている。変位又は振動されない状態での機械的な応力の測定に際して、応力の測定される成分は、専ら測定管内の媒体に生じている圧力に依存するものである。本発明に基づく方法の有利な実施態様では、機械的な応力の測定を測定管の振動と同期させることは、位相制御若しくは位相同期ループによって行われる。
【0014】
媒体の密度の決定のために測定管の周方向応力も軸方向応力を用いる本発明の別の実施態様では、測定管の周方向応力のみが、若しくは軸線方向応力のみが、測定により検出され、かつそれぞれ別の機械的応力、つまり軸線方向応力か若しくは周方向応力は、測定により検出された機械的な応力値及び、測定管の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから、演算により算出されるようになっている。このような構成は、測定管に外力若しくは応力が生じる場合に厚さ変化と長さ変化との間の相対的な関係、つまりポアソン比を利用することにより可能になっている。
【0015】
本発明に基づく前述の方法の1つの実施態様では、媒体の密度に対する、測定管の機械的な応力の影響及び/又は媒体に生じている圧力の影響は、論理的な数学モデルの使用及び/又は測定技術により得られる少なくとも1つのパラメータ特性線の使用によって反映され若しくは補償されるようになっている。この場合に、測定管の検出される機械的な応力及び/又は測定管内の媒体の検出される圧力と媒体の密度との間の関係は、数学モデルによって、例えば純然たる代数方程式、若しくは微分方程式によって示される。本発明の別の実施態様では、媒体の密度に対する、測定管の機械的な応力の影響及び/又は媒体に生じている圧力の影響は、測定によって得られる少なくとも1つのパラメータ特性線によって示され、若しくは複数のパラメータ特性線から成る曲線群によって、或いは相互に依存しない値(特性値)の数に応じて二次元のパラメータ面又は多次元のパラメータ域によって示される。さらに可能な実施態様では、密度決定に用いられる多くの依存関係は、数学モデルによって反映され、かつ別の依存関係は測定される1つの特性線をベースに反映される。
【0016】
本発明に基づく密度測定のための装置(密度測定装置)は、少なくとも1つの測定管、測定管内にある媒体、測定管に作用する少なくとも1つの振動発生装置(振動発生器)、測定管の振動の検出のための少なくとも1つの測定値受信部又は振動測定部、並びに、測定値受信部又は振動測定部により検出された振動を評価しかつ検出された振動数及び、測定管の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから、媒体の密度値を算出するための評価ユニットを含んでおり、この場合に、測定管の機械的な応力の影響と測定管内の媒体の圧力と媒体の密度との間の関係は、パラメータの時間の経過に伴う変化に基づき変化するものであり、本発明の方法の有利な実施態様では、測定技術により得られるパラメータ特性線又は測定技術により得られるパラメータ域は、所定の時点でキャリブレーションによって検出又は確認され、結果として現実又は実際に即応されるようになっており、この場合に、密度測定装置は予め最適に規定された1つの状態、若しくは予め規定された複数の状態で運転されるようになっている(媒体、圧力、温度等)。
【0017】
本発明に基づく密度測定のための装置において、評価ユニットは、該評価ユニットによって、本発明に基づく前記種々の方法の一つを実施できるように構成されている。密度測定のための装置は、コリオリ原理に基づき作動する質量流量測定装置であり、該質量流量測定装置はもともと、密度測定の実施のために用いられるすべての要素を有しているものである。
【0018】
次の本発明を図示の実施形態に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】重要なパラメータを有する測定管の概略的な斜視図である。
【図2】密度測定のための装置の概略図である。
【0020】
図1に示してある測定管1は、密度測定のための所定の方法で作動する密度測定装置に用いられるものであり、密度測定のための方法は測定管振動の評価に基づくものである。測定管1は、方法の実施のために媒体2を満たされて、振動を励起されるようになっている。発生する振動数の検出により、かつ測定管1の物理及び幾何学的な特性を規定する別のパラメータを用いて、媒体2の密度ρは算出される。算出は、振動を励起される測定管1の簡単なばね・質量モデルを用いて行われ、ばね・質量モデルは、実質的にシステム全体の質量と測定管の振動能を示す唯一の値とに依存している。振動可能な系についてのこのような簡単な説明は、実際の状態を説明するには不十分でもあり、それというのは系に多種多様な影響を反映できないからである。図1及び図2に示す方法は、媒体2の密度ρが、幾何学的な一定の物理特性で示されるパラメータを有していて励起される測定管1の発生する固有振動の振動数の関数だけで得られるものではなく、媒体2の密度ρが、測定管1の機械的な応力及び媒体2の圧力ρにも依存しているという知見に基づき行われるものである。したがって図1及び図2に示す方法においては、少なくとも測定管の機械的な応力を検出して、該得られた応力値に基づき、媒体2の密度ρに対する、測定管1の機械的な応力の影響及び/又は媒体2の圧力ρの影響を補償し若しくは媒体2の密度ρの算出に反映させるようになっている。
【0021】
図1及び図2に示す実施形態において、殊に検出された機械的な応力の影響は、測定管1の機械的な剛性に対して反映され若しくは補償される。極めて簡単な数学的及び物理的なモデル(ばね・質量系、つまりばねと質量とから成る系)においても測定管1の機械的な剛性と媒体2の密度ρとの間の関係が常にあることを考慮する場合に、検出された機械的な応力の影響を測定管1の機械的な剛性に対して反映させると共に、検出された機械的な応力の影響も、媒体2の検出された密度ρに対して反映され若しくは補償されることは明らかである。
【0022】
図1に示す実施形態において、機械的な応力として、周方向の応力δ及び軸線方向の応力Τが、ひずみゲージ3を用いた測定によって検出され、この場合に、ひずみゲージ3の伸び縮みに依存して変化する抵抗は、ホワイトストーンブリッ(図示省略)を介して検出される。ひずみゲージ3は測定管1に次のように取り付けられ、つまり、測定管1の周方向若しくは軸線方向の変化又は伸びに追随し、これにより検出された圧縮又は伸びに依存する周方向若しくは軸線方向の応力変化に対する推論を可能にするようになっている。
【0023】
測定管1の周方向の応力δ及び軸線方向の応力Τは、それぞれ測定管1の管外周壁の断面に対して垂直な垂直応力であり、つまり周方向の応力δの場合に、断面は、測定管1の管外周壁において管の縦軸線方向(長手方向)に対して平行に延びる切断によって画定されるものであり、軸線方向の応力Τの場合に、断面は、測定管1の管外周壁において管の縦軸線方向に対して垂直に延びる切断によって画定されるものである。機械的な応力δ,Τは、測定管1内の媒体2の密度ρの決定のために重要な意味を有しており、それというのは、機械的な応力δ,Τは特に測定管1のばね剛性、ひいては測定管1の振動する固有振動数に影響を及ぼすものであるからであり、換言すれば、測定管1の振動の固有振動数は、非圧縮性の同一の媒体2において媒体2の密度ρの変化に依存して変化するものであり、媒体2の密度ρを変化させるものではない。このような依存関係は、本発明に基づく種々の方法により考慮されるようになっている。
【0024】
図1及び図2には、密度測定装置の作動又は操作のための方法を示してあり、機械的な応力δ,Τは、測定管1の変位されない状態で検出され、それというのは変位されない状態では測定管1内若しくは管周壁内における機械的な応力δ,Τの動的な、つまり測定管1の振動により生じる割合は零であり、つまり実質的に、媒体2内に生じている密度ρによって作用する応力のみが現れるからである。このようにして得られた測定値は、実施形態では位相制御装置若しくは適切な同期装置を介して機械的な応力δ,Τの測定を測定管1の振動と同期して行われ、このようは制御は一般的に位相同期ループと称されている。
【0025】
図2に示してある方法において、測定管1の周方向の応力δのみが、ひずみゲージ3を用いて測定され、軸線方向の応力Τは、媒体2の算出された密度値ρの補正のために反映(考慮)されない。本発明に基づく方法の図示省略の別の実施形態では、測定管1の周方向の応力δのみが、若しくは軸線方向の応力Τのみが、測定技術により検出され、かつそれぞれ別の機械的な応力、つまり軸線方向の応力Τ若しくは周方向の応力δは、測定された機械的な応力値δ,Τ、並びに測定管1の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから演算技術により算出されるようになっている。このことは例えば、軸方向の伸びと横方向の縮みとの関係(ポアソン比)を追加的に反映させ、これによって1つの応力から別の応力を推論することに基づき可能である。
【0026】
図1に示す方法の場合には、媒体2の密度ρに対する、測定管1の機械的な応力δ,Τの影響及び媒体2内の圧力pの影響は、推論に基づく数学モデルを用いることによって反映され若しくは補償又は除去される。このことは、媒体2の密度ρと測定管1の振動の検出された振動数と検出された機械的な応力δ,Τとの間の関係は数式で表されることを意味しており、関係の数式は、例えば測定管1の剛性に対する機械的な応力の影響をより正確に反映(考慮)するものであり、したがって、測定管1内の媒体2の密度値ρの測定結果を、簡単なモデルを用いる場合に比べて改善することができるようになっている。同様のことが、密度測定のための図2に示す方法にとっても当てはまる。
【0027】
本発明の図示省略の別の実施形態においては、媒体2の密度ρに対する、測定管1の機械的な応力δ,Τの影響の考慮は、解析式の数学モデルを根底にするものではなく、測定技術により得られるパラメータ特性線を用いるものであり、パラメータ特性線(又はパラメータライン)は、媒体2の密度ρの決定に際して考慮される上述の関係に依存するものである。パラメータ特性線なる記載は、異なる2つの値の間に規定される唯一の曲線(特性推移)のみを意味するものではなく、複数のパラメータ特性線から成る曲線群を含み、或いは複数の値に関する場合には二次元のパラメータ面又は多次元のパラメータ域を含むものであり、複数の値は、例えば測定管1の振動の固有振動数、測定管1の容積、測定管壁の機械的な応力δ,Τ、特別な初期値−測定管1内の媒体2の密度等である。
【0028】
前述の実施形態において、測定技術により得られるパラメータ特性線若しくは測定技術により得られる特性域、或いは得られる多次元のパラメータ域又は特性域は、測定管1を、若しくは測定管1内の媒体2を良好に規定するために、予め設定される所定の時点でキャリブレーションによって新たに求められ、若しくは検出され又は確認されるようになっている。
【0029】
図2には、振動評価法に基づく密度測定のための装置4を示してあり、この場合に該装置は、測定管1、測定管1内にある媒体2、測定管1に作用する振動発生装置5、測定管1の振動の検出のための2つの測定値受信部6、及び評価ユニット7を含んでいる。評価ユニット7は、測定管1の、測定値受信部6により検出された振動を評価し、かつ検出された振動及び、測定管1の別の物理特性若しくは幾何学的特性を規定する複数のパラメータから媒体2の密度の値を算出するために用いられるものである。振動の測定又は計測のために、測定管1上に複数のひずみゲージ3を配置してあり、該ひずみゲージは、測定管1の管壁(周壁)内の周方向の応力δの正確な判断又は決定を可能にするものである。評価ユニット7は、測定値受信部6から発信される測定信号に基づき測定管1の振動を評価(検出)すると共に、ひずみゲージ3から送られる信号に基づき測定管の周方向の応力δを検出(評価)し、かつ検出された前記測定値から、媒体2の密度ρを、得られた機械的な応力値Τ及び/又は媒体2の圧力pに基づき算出(決定)できるように構成されている。
【0030】
図2に示してある振動評価法に基づく密度測定のための装置は、質量流量計であり、該質量流量計(質量流量測定装置)はコリオリ原理に基づき作動するものであり、この場合に、コリオリ式質量流量計の主要な構成要素は極めて概略的にしか示されておらず、つまり、例えば測定管1は、管路系との接続フランジまで完全には図示されていない。コリオリ原理に従って作動する質量流量測定装置は、原理的には、測定管内にある媒体の、振動評価に基づく密度測定をも実施できるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 測定管、 2 媒体、 3 ひずみゲージ、 5 振動発生装置、 6 測定値受信部、 7 評価ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定管(1)を有していて媒体(2)の密度を決定する密度測定装置の作動のための方法であって、前記測定管(1)は前記媒体(2)で満たされていて、振動を励起されるようになっており、振動の振動数を検出して、該検出された振動数及び、前記測定管(1)の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから前記媒体(2)の密度(ρ)を算出する形式のものにおいて、前記測定管(1)の少なくとも1つの機械的な応力(δ,Τ)を検出し、かつ該検出によって得られた機械的な応力値を用いて、前記媒体(2)の求められた前記密度(ρ)に対する前記測定管(1)の前記機械的な応力(δ,Τ)の影響及び/又は前記媒体(2)内の圧力(p)の影響を、少なくとも部分的に反映させ若しくは補償することを特徴とする、密度測定装置の作動のための方法。
【請求項2】
前記測定管(1)の機械的な剛性に対する、ひいては前記媒体(2)の求められた前記密度(ρ)に対する、検出された前記機械的な応力(δ,Τ)の影響を反映させ若しくは補償する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的な応力(δ,Τ)として、前記測定管(1)の周方向の応力(δ)及び/又は軸線方向の応力(Τ)を検出する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械的な応力(δ,Τ)は、少なくとも1つのひずみゲージ(3)を用いて、殊にホワイトストーンブリッジ内のひずみゲージ(3)を用いて検出される請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定管(1)の前記機械的な応力(δ,Τ)は、前記測定管1の不動の状態で検出され、殊に位相制御若しくは位相同期ループによって前記機械的な応力(δ,Τ)の測定を前記測定管(1)の振動と同期して検出される請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定管(1)の前記周方向の応力(δ)のみが、若しくは前記軸線方向の応力(Τ)のみが、測定により検出され、かつそれぞれ前記機械的な別の応力(Τ,δ)が、前記検出された機械的な応力値(δ,Τ)及び、前記測定管(1)の前記別の物理及び幾何学的特性を規定する前記パラメータから演算により算出される請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記媒体(2)の前記密度(ρ)に対する、前記測定管(1)の前記機械的な応力(δ,Τ)の影響及び/又は前記媒体(2)内に生じている圧力(p)の影響は、数学モデルの使用及び/又は測定技術により得られる少なくとも1つのパラメータ特性線の使用によって反映され若しくは補償されるようになっている請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記測定技術により得られるパラメータ特性線は、所定の時点でキャリブレーションによって求められるようになっている請求項7に記載の方法。
【請求項9】
振動評価に基づく密度測定のための装置であって、少なくとも1つの測定管(1)、前記測定管(1)内にある媒体(2)、前記測定管(1)に作用する少なくとも1つの振動発生装置(5)、前記測定管(1)の振動の検出のための少なくとも1つの測定値受信部(6)、並びに、前記測定値受信部(6)により検出された前記振動を評価しかつ前記検出された振動及び、前記測定管(1)の別の物理及び幾何学的特性を規定するパラメータから前記媒体(2)の密度値(ρ)を算出するための評価ユニット(7)を含んでいる形式のものにおいて、前記評価ユニット(7)は、該評価ユニット(7)によって請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を実施できるように構成されていることを特徴とする、密度測定のための装置。
【請求項10】
該装置は、コリオリ原理に基づき作動する質量流量計である請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−501168(P2011−501168A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530354(P2010−530354)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009089
【国際公開番号】WO2009/056270
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(591168600)クローネ アクチェンゲゼルシャフト (28)
【氏名又は名称原語表記】Krohne A.G.
【住所又は居所原語表記】Uferstrasse 90, Basel, Switzerland
【Fターム(参考)】