説明

密度計の測定セルのUチューブを洗浄する方法

【課題】密度計の測定セルのUチューブを洗浄する方法を提供する。
【解決手段】測定セルは、内側の部分で、弾力のあるシール(4)によって囲まれたストッパ(2)によって閉じられた測定チャンバ(3)を規定する、等温筺体と、分析される試料が満たされ、測定チャンバ(3)の内部に延在するUチューブ(1)であって、このUチューブ(1)は、その底部でストッパに固定され、注入口(6)を介しての分析される試料の注入と排出口(7)を介してその排出とを可能にするように、測定チャンバ(3)から外側へ突出する、その自由端によって形成される、Uチューブと、Uチューブ(1)を振動させる手段と、を有し、試料の分析の後、すすぎ溶剤がUチューブ(1)の注入口(6)に注入され、Uチューブ(1)の底部に固定されたストッパ(2)は、超音波にさらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密度計の測定セルのUチューブを洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業プロセスの状況において果たされるべき物理的な測定の、最も頻繁に必要なものは密度の数値である。
【0003】
この目的のために、製造業者らは、種々の原理に基づくさまざまな密度計を市販しており、それらの全てに、利点(長所)と不利点(欠点)がある。
【0004】
試料の密度を測定するために満足の行く方法で使用され得る密度計は、次の要素を有する測定セルを備えている。
【0005】
内側の部分で、弾力のあるシールによって囲まれたストッパによって閉じられた測定チャンバを規定する等温筺体と、
分析される試料が満たされ、測定チャンバの内部に延在するUチューブであって、そのUチューブは、その底部でストッパに固定され、注入口を介して分析される試料の注入と排出口を介してその排出とを可能にするように、測定チャンバから外側へ突出する、その自由端によって形成される、Uチューブと、
Uチューブを振動させる手段と、そのチューブの振動応答を測定する手段。
【0006】
例として、Uチューブは接地され、このチューブを振動させる手段は、
Uチューブがその中間部で備える強磁性体部材と、
Uチューブに対して相対的に電位差をもって維持され、キャパシタを規定するためにそのチューブと面する部分でストッパに固定された、絶縁された伝導性読み取り板と、
強磁性体部材と直角に取り付けられた電磁励磁巻き線と、
から形成される。
【0007】
そのような密度計を用いて試料の密度を測定する原理は、Uチューブを共振周波数で振動させることと、キャパシタの端子での電圧の変動からその周波数を決定することとから成る。
【0008】
共振周波数は、分析される試料の密度として、それ自体知られている標準方程式に基づいて、密度計の予備キャリブレーションから第1の近似値を計算するのを可能にする。
【0009】
各分析の後、チューブの壁上に沈着した試料残渣の存在のために次に続く分析を損なわないために、非常に注意深く、測定セルのUチューブを洗浄し、すすぐ必要がある。
【0010】
そのような洗浄は、いくつかの連続工程の実施を必要とするので、特に長くかつ不便な作業である。
【0011】
それら工程の最初は、圧力下又は吸引によって、Uチューブの注入口を介して、以前に分析された試料に対して相溶性があり、かつ、排出口から排出されなければならない、第1の溶剤又はすすぎ溶剤を注入することからなる。すなわち、溶剤はその試料を溶解できなければならない。
【0012】
すすぎ溶剤は、均質的なフラックスの形、又は、泡の形で、注入され得る。
【0013】
排出口を介しての第1の溶剤の排出の後、第2の揮発性溶剤、又は、乾燥溶剤を、注入口を介して注入する必要がある。この溶剤も同様に、チューブが換気によって乾燥される前に、排出口を介して排出されなければならない。
【0014】
そのような方法は、非常にたくさんの不利点がある。その第1は、かなりの量の2つの異なった溶剤を使用する必要性に伴うものである。
【0015】
使用されなければならないすすぎ溶剤の量は、粘り気のあるおよび/または粘着性の試料の場合に特に多い。
【0016】
加えて、互いに混合しない異なった試料が分析されるとき、異なった種類のすすぎ溶剤を使用する必要がある。
【0017】
それに加えて、Uチューブの壁に強く付着した固形の沈着物を除去するために、周期的にスケーリング作業を実行する必要がある。
【0018】
それらの作業は、例として、特に攻撃的でまた発癌性のある、ホットクロム酸溶液のような、非常に有毒な強い酸に基づく試薬の使用を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、それら不利点を克服できる、密度計の測定セルのUチューブを洗浄する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、この方法は、試料の分析の後、すすぎ溶剤が圧力下又は吸引によって、Uチューブの注入口から注入され、Uチューブの基部に固定されるストッパが超音波にさらされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
これら超音波は、すすぎ溶剤中に伝播されるが、Uチューブを振動させ、驚くべきことに、溶剤の作用を、従来の洗浄方法の不利点を解消するような方法で、強化させる。
【0022】
本発明による洗浄方法が実施されるとき、超音波の放射が、事実上、いくつかのレベルで作用する。
【0023】
第一に、伝播されることによって、超音波は、Uチューブの容積において、溶剤内の対流を増加し、同時に、溶剤とUチューブの壁に沈着した試料の残渣とのひと塊の移動を改善できる泡への変換をもたらす。
【0024】
さらに、溶剤内への超音波の伝播は、Uチューブの内壁の近くにキャビテーション泡の内破を引き起こす。
【0025】
このキャビテーションは、一方では、チューブの壁上に付着された試料残渣を溶解するために必要な溶剤の量の減少を可能にし、他方では、相溶性のない溶剤、すなわち、それら残渣が通常溶けない溶剤を使用して、弱い粘り気のある試料の残渣の除去を可能するので、Uチューブの洗浄の効率を増加する。
【0026】
加えて、キャビテーション現象のために、超音波の使用は、また、驚くほどに、Uチューブの壁に強く付着された固形の付着物の除去を可能にし、従って、周期的に、有毒な試薬でスケーリング作業を実行する必要を排除することがわかった。
【0027】
超音波放射は、また、Uチューブの壁上に沈着した弱粘性試料の残渣を霧状にする効果を持つ。
【0028】
この霧状現象は、第2の溶剤の注入の後に必要な乾燥時間を著しく減少させるか、ある場合には、たとえこの溶剤が揮発性でなくても、すすぎ溶剤の残存しずくのすべてを霧化させる、従って、乾燥溶剤の注入を不要にする。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、圧電又は磁歪超音波トランスデューサは、測定チャンバのストッパに固定される。
【0030】
そのトランスデューサによって放射および伝送される超音波放射によって引き起こされる振動の周波数は、その特性、Uチューブが取り付けられるストッパの質量、および弾力のあるシールの柔軟性によって決定される。
【0031】
その周波数は、一般的に、20Hzから200kHzまでの間である。
【0032】
使用されるべきパワーは、必要な洗浄作用に大きく依存する。
【0033】
このパワーは、すすぎ溶剤と対流現象の結果としてのUチューブの壁上に付着した試料残渣とのひと塊の移動を増大するためには最小であり、他方、キャビテーションの開始と溶剤内での霧状現象とを可能するためには最大でなければならない。
【0034】
本発明に関する洗浄方法の特徴を、添付の制限されない図面を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この方法の実施を可能にする装置を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1によると、Uチューブ1は、その内側の部分で、破線によって図表で示される測定チャンバ3を規定する、等温筺体の内部に延在している。
【0037】
測定チャンバ3は、弾力のあるシール4によって囲まれたストッパ2によって閉じられている。
【0038】
Uチューブ1は、その底部で、その自由端によって形成されたストッパ2に固定されている。
【0039】
図に示されるように、Uチューブ1の自由端は、矢印によって図表で示されるように、注入口6を介して分析される試料又は溶剤の注入と排出口7を介しての試料又は溶剤の除去とを可能にするために、測定チャンバ3から外側へ突出している。
【0040】
超音波トランスデューサ5が、電気エネルギを超音波範囲の音響エネルギに変換するために、ストッパ2に固定されている。
【0041】
このエネルギは、Uチューブ1を振動させ、かつ、その壁上に沈着した不純物を除去するために、ストッパに伝達される。
【符号の説明】
【0042】
1 Uチューブ
2 ストッパ
3 測定チャンバ
4 弾力のあるシール
5 超音波トランスデューサ
6 注入口
7 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度計の測定セルのUチューブを洗浄する方法であって、前記測定セルは、
内側の部分で、弾力のあるシール(4)によって囲まれたストッパ(2)によって閉じられた測定チャンバ(3)を規定する、等温筺体と、
分析される試料が満たされ、前記測定チャンバ(3)の内部に延在するUチューブ(1)であって、該Uチューブ(1)は、その底部で前記ストッパに固定され、注入口(6)を介して前記分析される試料の注入と排出口(7)を介してその排出とを可能にするように、前記測定チャンバ(3)から外側へ突出する、その自由端によって形成される、Uチューブと、
前記Uチューブ(1)を振動させる手段と、を有し、
試料の分析の後、すすぎ溶剤が前記Uチューブ(1)の前記注入口(6)に注入され、前記Uチューブ(1)の底部に固定された前記ストッパ(2)は、超音波にさらされる、
ことを特徴とするUチューブの洗浄方法。
【請求項2】
圧電又は磁歪超音波トランスデューサ(5)が、前記測定チャンバ(3)の前記ストッパ(2)に固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超音波の周波数が、20Hzから200kHzまでの間である、請求項1又は請求項2に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−13693(P2012−13693A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−139255(P2011−139255)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511153013)
【Fターム(参考)】