説明

密閉キャップ

【課題】中栓隔壁の切断を容易にするとともに、キャップが最下降位置になったときに音を発生させ、さらにその状態を目視できるキャップを提供する。
【解決手段】容器Aに被嵌された中栓Bと、中栓の外筒9に螺着されたキャップCとを具えた液注出容器であって、中栓は、容器口筒部1に嵌着され、下端を封鎖した内筒7と、外周にねじを螺設し、下端にフランジ19と位置決め部材18を設けた外筒とを具備し、前記位置決め部材は、外筒から突出する連結部10と、音出し板を設け、周方向に延びる変形可能な位置決め体22とを具備しており、キャップは、キャップ本体C1と上蓋C2とからなり、キャップ本体は、中栓の外筒に螺合され、下端部に位置決め孔を穿設した側周壁25と、中央部に注出孔を形成し、その外側の下面に内筒7の開封手段を垂設した上壁8とを具備していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉キャップ、とくに中栓により容器内部を密封した密閉キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の口部に、遮蔽板を設けた中栓を被嵌し、中栓の上に、遮蔽板に係合するガイド筒を設けた外キャップを被嵌し、中栓の下端に連設した環状帯部を切り離し、外装キャップを押下げて、遮蔽板に切り込みを入れるとともに、容器の口部外周に被嵌するようにした密閉式キャップは、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3024089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載の密閉式容器では、外装キャップは、その下端の内周に環状突部(10d)を設け、押下げ時に、ボトルの環状突部(5)の下側に係合するようにしており、外装キャップの押下げに一定の力が必要となり、押下げ操作が軽快でないという問題があった。
【0004】
また、双方の環状突部の嵌合が甘いときには、押下げの最下降位置で、外装キャップの環状突部(10d)が、ボトルの環状突部(5)を乗り越えたときのクリック感が注意しないとわからないという問題があった。
さらに、最下降位置であることを知るためには、双方の環状突部の係合状態をよく調べなくてはならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決することを課題とし、キャップをねじキャップとして、中栓の隔壁の切断を容易にするとともに、中栓下端部に音出し機構を設け、キャップ下端部に設けた位置決め孔と係合させ、キャップが最下降位置になったときに、音を発生させるようにし、さらに、その状態を外部から簡単に目視することによって容易にわかるようにしたキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、注出容器の密閉キャップとして、容器に被嵌された中栓と、中栓の外筒に螺着されたキャップとを具えた液注出容器であって、中栓は、容器口筒部に嵌着され、下端を封鎖した内筒と、外周にねじを螺設し、下端にフランジと位置決め部材を設けた外筒とを具備し、前記位置決め部材は、外筒から突出する連結部と、音出し板を設け、周方向に延びる変形可能な位置決め体とを具備しており、キャップは、キャップ本体と上蓋とからなり、キャップ本体は、中栓の外筒に螺合され、下端部に位置決め孔を穿設した側周壁と、中央部に注出孔を形成し、その外側の下面に内筒の開封手段を垂設した上壁とを具備していることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
位置決め部材の実施例として、キャップの最下降位置で、中栓の位置決め体にキャップの位置決め孔が嵌挿され、音出し板が位置決め孔の縁部に衝突して音を発生するとともに、位置決め体の外表面が、キャップの外側から目視できるようになっていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
容器に被嵌する中栓に隔壁を設け、キャップ本体を中栓の外筒に螺合させ、キャップ本体の上壁下面に切断リングを垂設させているので、キャップを廻動することによって容易に中栓の隔壁を切離することができるようになった。
また、中栓外筒の下端に、位置決め部材を設け、キャップ本体の側周壁下端部に位置決め孔を設けているので、キャップを一定の廻転角度で位置決めすることができる。
【0009】
さらにまた、中栓の位置決め部材の弾性変形可能な位置決め体に音出し板を設けたので、キャップが所定の角度位置になったときに、位置決め体が位置決め孔にほぼ合致して嵌挿し、音を発生させることができるとともに、合致した状態をキャップの外から目視できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の密閉キャップの実施例について、図面を参照して説明する。
図1において、Aは容器、Bは中栓、Cはキャップ、Dはスペーサリングである。
【0011】
容器Aは、口筒部1と肩部2、胴部3と底部とから構成されており、口筒部1の外周には、係合突条4が設けられ、その下方には、ネックリング5が設けられ、口筒部1外周とネックリング5の上面との間に位置決めリブ6が設けられている。
【0012】
中栓Bは、内筒7と上壁8、および外筒9とから構成されており、内筒7の下端には、周縁を薄肉の連結部10とした隔壁11が連設されている。
内筒7の外周には、容器Aの口筒部1内周と一定の締め代をもって嵌合する膨出環12が設けられ、容器A内を密閉するようにしている。
【0013】
外筒9は、上部筒部13と、該上部筒部13の下方に連設された下部筒部14とから構成されている。
上部筒部13の外周には、ねじ15が螺設されており、内周には、容器Aの口筒部1の係合突条4に係合する係合突条16が設けられている。
【0014】
下部筒部14は、上部筒部13下端の外周側から垂設され、その上端内側には、容器Aの位置決めリブ6と係合する廻り止めリブ17が設けられている。
下部筒部14の下方外周には、一対、または単数の位置決め部材18が設けられており、下端には、フランジ19が突設されている。
【0015】
図3、図4(a)に示すように、位置決め部材18は、下部筒部14の所定の位置に削設された垂直面20の一端から外方に連設された可撓性のある連結部21と、連結部21の先端から下部筒部14の表面と平行に延びる弾性変形可能な位置決め体22とから構成されている。
位置決め体22は、後述するキャップCに設けた位置決め孔29に係合可能であり、その外表面23は、キャップCとは異なる色彩の表示が施され、位置決め体22の先端22aには、内周に沿って音出し板24が設けられている。
【0016】
図2、図3に示すように、キャップCは、キャップ本体C1と、該キャップ本体C1にヒンジ機構C2を介して取着された上蓋C3とからなっている。
キャップ本体C1は、側周壁25と上壁26とを具えており、側周壁25は、その内周に中栓Bの外筒9外周のねじ15に螺合するねじ27が螺設され、下端部の内周は拡径され、外周側に位置決め用リング28が形成され、所定の位置に、位置決め体22を嵌入させる一定の角度範囲を有する位置決め孔29が穿孔されている。
【0017】
上壁26の中央部上面には、内容液を注出する注出孔30が穿孔された注出筒31が立設されており、その外側の下面には、先端を切込み刃32とした切断リング33が垂設されている。
切断リング33の上部には、一定の締め代をもって中栓Bの内筒7内周に嵌合する膨出部34が設けられている。
【0018】
ヒンジ機構C2は、蝶番35と、図5に示される弾性板36とからなる三点ヒンジで、その一端は、キャップ本体C1の側周壁25の上端に連結されている。
【0019】
上蓋C3は、頂壁37と側周壁38とからなり、側周壁38の所定の位置には、ヒンジ機構C2の他方の端部が連設されて、開閉自在とされている。
頂壁37の中央には、キャップ本体C1の上壁26に設けられた注出孔30を閉鎖する栓体39が垂設されている。
【0020】
スペーサリングDは、図1に示すように、中栓Bのフランジ19上面に載置され、スペーサリングDの上面には、キャップ本体C1の側周壁25下端が当接されるようになっている。
スペーサリングDは、実施例では、リング状としているが、C字形のスペーサ、上下に薄肉の切断ラインを設けたリングであってもよい。
【0021】
次に、本発明のキャップの使用態様と作用効果について説明する。
本願発明の注出容器は、容器Aに内容物を収容して中栓Bを被嵌し、次いで、スペーサリングDを中栓Bのフランジ19に載置し、キャップCを中栓Bに螺着することによって得られる。
【0022】
内容物として、化粧料、食品、薬品などで、外気に触れ、殺菌の混入を完全に防止しなければならないものが、殺菌充填される。
【0023】
注出容器の使用開始にあたって、本実施例では、まず、キャップCを廻動させて中栓Bから取外し、次いで、スペーサリングDを取外す。
次に、キャップCを、再び中栓Bに螺合させ下降させると、図3に示すように、上壁26下面の切断リング33の切込み刃32によって隔壁11の薄肉の連結部10が切断され、隔壁11が内筒7より切離される。
その際、切込み刃32は、廻動しながら下降するので、連結部10の切断は容易となっている。
【0024】
さらに下降させると、図4(b)に示すように、位置決め部材18の位置決め体22の外表面23が、位置決め用リング28の内周面に摺接するようになり、その際、位置決め体22は、位置決め用リング28の内周面に押圧された状態になっている。
【0025】
一定の角度位置になると、位置決め体22の連結部21側が位置決め孔29に挿入し、さらに廻動が進むと、図4(a)に示すように、位置決め体22の先端22aが、位置決め孔29に挿入し、その際、位置決め体22が復元し、音出し板24が、位置決め孔29の縁部29aに衝突し、音を発生させる。
そして、位置決め体22の外表面23を位置決め孔29の外から目視することができるので、キャップCが一定の角度位置に位置決めされていることを、外から簡単に知ることができる。
【0026】
また、キャップCを逆方向に廻動させると、位置決め体22の先端22aが、位置決め孔29の縁部29a端面に衝突してキャップの逆転を阻止するので、位置決め体22の先端22aは逆転止めとして働く。
【0027】
したがって、本発明では、キャップを廻動させることによって、容易に下降させ、所定の下降位置になると、音を発生させて位置決めを知らせ、さらに、キャップCの外側より位置決め体22が位置決め孔29にあることを目視することができる。
【0028】
内容物の注出にあたっては、図5に示すように、上蓋C3を開くと栓体39が注出孔30を開放し、内容液を注出することができる。
【0029】
前記実施形態では、内筒7の下端に隔壁11を連設したが、アルミシール、フィルムの接着、または栓体の嵌挿等、容器内部を密封できるものであればよい。
また、先端を切込み刃32とした切断リング33によって隔壁11を切離すようにしているが、密封手段が、アルミシール、フィルム、栓体である場合にはその開封手段があればよいので、実施例の切断リングに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、中栓に設けた位置決め体に、キャップの位置決め孔を嵌挿させ、位置決め時に、音を発生させるととも、位置決め体の外表面がキャップの外から容易に目視できるようにしたので、内容物の種類を問わず、ねじキャップの位置決め機構として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のキャップの断面立面図である。
【図2】スペーサリングを取外し、キャップを廻動させ、下降途中の断面立面図である。
【図3】キャップが最下降位置にある状態の断面立面図である。
【図4】図3のA−A線における説明図で、(a)は位置決め時、(b)は位置決め直前の下面図である。
【図5】上蓋の開蓋時の断面立面図である。
【符号の説明】
【0032】
A 容器
B 中栓
C キャップ
C1 キャップ本体
C2 ヒンジ機構
C3 上蓋
D スペーサリング
1 口筒部
2 肩部
3 胴部
4、16 係合突条
5 ネックリング
6 位置決めリブ
7 内筒
8、26 上壁
9 外筒
10 連結部
11 隔壁
12 膨出部
13 上部筒部
14 下部筒部
15、27 ねじ
17 廻り止めリブ
18 位置決め部材
19 フランジ
20 垂直面
21 連結部
22 位置決め体
22a 先端
23 外表面
24 音出し板
25、38 側周壁
28 位置決め用リング
29 位置決め孔
29a 縁部
30 注出孔
31 注出筒
32 切込み刃
33 切断リング
34 膨出部
35 蝶番
36 弾性板
37 頂壁
39 栓体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に被嵌された中栓と、中栓の外筒に螺着されたキャップとを具えた液注出容器であって、
中栓は、容器口筒部に嵌着され、下端を封鎖した内筒と、外周にねじを螺設し、下端にフランジと位置決め部材を設けた外筒とを具備し、
前記位置決め部材は、外筒から突出する連結部と、音出し板を設け、周方向に延びる変形可能な位置決め体とを具備しており、
キャップは、キャップ本体と上蓋とからなり、
キャップ本体は、中栓の外筒に螺合され、下端部に位置決め孔を穿設した側周壁と、中央部に注出孔を形成し、その外側の下面に内筒の開封手段を垂設した上壁とを具備していることを特徴とする注出容器の密閉キャップ。
【請求項2】
キャップの最下降位置で、中栓の位置決め体にキャップの位置決め孔が嵌挿され、音出し板が位置決め孔の縁部に衝突して音を発生するとともに、位置決め体の外表面が、キャップの外側から目視できるようになっていることを特徴とする請求項2記載の注出容器の密閉キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−87809(P2008−87809A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269395(P2006−269395)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】