説明

密閉型橋梁

橋梁の外側表面を形成する少なくとも1つの外管(9)、および外管(9)の内側に嵌合されて橋梁の内部空間を形成する少なくとも1つの内管(2)を備える密閉型橋梁。橋梁の構造に接合されるトラス構造(1)は、内管(2)の内側に嵌合され、少なくとも1つのノードを形成し、引張荷重を受容する部材から形成され、このトラス構造は、内管の内側表面の一点からその対向側へと内管を横切る少なくとも1つの弦を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、資材の輸送、歩行者および自転車の通行、ならびに作業員用の通路を創出するための密閉型超軽量橋梁に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の業務用の橋、管状橋、および運搬橋は、耐荷重構造を覆う、フレーム構造および壁を備えるデッキ、床面、および屋根を備える。パイプ、アクセス・デッキ、ケーブル、および同様のものは橋梁内に配置され、担持構造を必要とし、これによってそれらが橋梁のフレーム構造から吊るされる。従って、橋梁の耐荷重構造は、その被覆保護構造の全重量および動作部材、ならびにそれらの担持構造を支えなければならず、そのため、橋梁の担持構造は強固で重くなければならない。重量構造は同様に、地面または建物上に短い間隔で支持体を必要とする。このような重量構造は、大量の資材と労力を必要とするため、建設に時間がかかりかつ高価である。橋梁の断面は通常長方形である。この形状では風力抵抗面が大きくなり、したがって風荷重が大きくなる。降雪環境では、橋梁の屋根に積もる雪が荷重の増大につながる。橋梁は、その重量支持脚が広いAフレームであることが多いため、地面または床面上に広い表面積を必要とする。概して、既存の橋梁構造は非常に重く、大きく、かつ高価であり、その材料費は多大である。
【0003】
国際特許出願第PCT/FI2006/000218号では、上述のような橋梁の欠点を排除する試みがなされた。開示された構造は、橋梁が互いの内部にある2つ以上の管から形成され、それらが互いに接合されているシェル構造に関する。この構造により、製造コストおよび材料費が低減され、かつ建設がより速くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願第PCT/FI2006/000218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以前に比べより強固で安全なシェル構造の橋梁を創出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シェル構造内部に配置される少なくとも1つの横断トラスワーク構造に基づく。
【0007】
より具体的には、本発明による橋梁は、独立請求項の特徴部分に記載されるものを特徴とする。
【0008】
本発明の様々な実施形態は、従属請求項でさらに詳述される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のおかげで、多大な利点が得られる。
【0010】
シェル、および/またはセルラ/シェル構造として形成される橋梁の極限強度は、その座屈強度によって判定されることが多く、従って、他の構造の橋梁の構造的剛性および強度によりも小さくなり得る。シェル構造における材料の厚さは原則として非常に小さいが、そのため、構造が荷重ピークまたは予期せぬ方向から来る荷重により崩壊する危険性がある。構造の剛性もまた、支持体のスパンが増加するにつれて弱まり、構造の強度が十分であっても、その剛性の不十分さおよびその結果として起こる変形により、例えば材料の厚さを増加する必要性が生じ得る。薄肉シートから作られるシェル構造に必要となる材料の量は、材料の厚さの増加に伴って急増するので、コストおよび構造の重量も急増することになる。本発明による解決策では、当該構造はトラス構造によって内側から支持され、これにより、その剛性および座屈強度は、材料の厚さを増加させるか、または他の方法で構造を支持するのに比べて、重量および材料費の割には有利に増大する。橋梁の剛性および座屈強度がトラス構造のおかげで著しく増大することは、計算によって実証することが可能であった。
【0011】
周知の通り、トラス構造は製造が容易であり、橋梁のシェル構造、および/またはセルラ/ケーシング構造に多くの様々な方法で接合することができる。
【0012】
以下に、添付の図面を参照して本発明をさらに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】シェル構造橋梁の概略縦断面図を示す。
【図2】図1の橋梁の横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に記載されている構造は、国際出願第PCT/FI2006/000218号に開示されている密閉型橋梁と関連した使用を目的としている。従って、橋梁自体の構造および代替構造は本明細書ではそれ以上詳述されず、その代わりに、前述の出願の文章の関連部分が本記載に盛り込まれる。
【0015】
本発明による密閉型橋梁は、橋梁の内部部分の境界を定める内管2、および外側シェルを形成する外管9からなる。外管9および内管2は、例えばボルト締めの溶接によって、2層のシェル構造を創出するために互いに接合される。外管9および内管2の形状は、有利には図に示される長円形、円形、またはその他何らかの所望の形状であり得る。外管9と当該内管の間の残りの空間には、導管10が位置し、導管10は電気ケーブル、通信ケーブルなどのための空間として、または水、蒸気、もしくは他の物質の輸送空間として利用することができる。これらの導管10は、内管2の外側表面と、それに応じて外管9の内側表面とに接合され、このようにして、外管9と内管2とを統合したシェル、セルラ、またはケーシング構造に結びつける支持体を形成する。加えて、当該導管は、例えば溶接シーム4によって互いに接合され、構造の剛性をさらに増大させる。導管10に加えて、当該外管および内管は、追加の支持体によって、例えば、ケーシング構造、または橋梁の分割板を形成する支持剛材6によって互いに固定することができる。加えて、当該構造は、橋梁の中間隔壁、および製造モジュールの端部隔壁8によって支持される。この例では、歩行用通路11および搬送ベルト12は両方とも橋梁の内部に配置される。当該内部空間は様々な構造用に自由に利用でき、かつ加圧でき、または必要に応じて蒸気でもしくは不活性ガスで充填できる。
【0016】
この例では、当該橋梁は2つのモジュールで形成され、この2つのモジュールは水平に伸びている分割面13によって接続され、この分割場所13はケーシング構造または支持鋼材6によって強化されている。当該橋梁は(例えば輸送用に)2つ以上のモジュールからなり得、これらのモジュールは分割面13によって設置場所で互いに接合される。分割面13は、構造的にはケーシング、セル、補強材、またはその他何らかの同様の構造であり得る。当該モジュール間の連結は、それらを共に溶接もしくはボルト締めするか、またはその他何らかの方法で行うことができる。モジュールから当該橋梁を形成することにより、工場で可能な限り予備製造を行うことができ、そのため、製造がより効率的かつ自動で行うことができ、設置場所での橋梁の実際の組立てが迅速になる。分割面13によって形成される構造6は、垂直および水平の荷重を支え、瞬間応力に耐え、一方で橋梁の座屈を防止する。この例では、1体の橋梁が2つのモジュール、すなわち上部構成物14および下部構成物15からなる。各構成物14、15の外管9部分および内管2部分は、隔壁8によって互いに接合され、隔壁8は予備製造されたモジュールの端部で、および/または当該モジュールの全長に沿って適した間隔で設置することができる。一方で、隔壁8は外管9と内管2とを互いに結びつけ、その構造を補強する。当該隔壁は湾曲していてもよく、当該橋梁の内部に向けて延在し、それにより隔壁が設置される通路を残す。隔壁構造を所望の箇所での壁または扉とすることによって、その隔壁構造をその所望の箇所で橋梁の断面を閉鎖するのにも用いることができる。加えて、端部隔壁8は橋梁の構成部分を共に連結するのに用いることができる。当該連結は、例えば、溶接、ボルト締め、リベット打ち、またはその他何らかの既知の方法で行うことができる。上部構成物14および下部構成物15は、1つ以上の管、ケース、もしくはセルから成り得、それらは溶接、またはボルト締め、またはその他何らかの方法で共に連結される。当該構造は垂直および水平の荷重を支え、瞬間負荷に耐える。このように形成されるモジュールは独立した剛性構造であり、従って、輸送、および設置時の取り扱いが容易である。工場条件では、当該モジュール内に防湿材または断熱材を作成するのも容易であり、この場合では、防湿材または断熱材は当該モジュールの外管9の外側表面に設置される。当該断熱材および防湿材は、鋳造、吹付け、圧延、巻付け、またはその他何らかの適切な方法、例えば接着によって作成することができる。
【0017】
トラス構造1は、橋梁の剛性および座屈強度を増大させるために、橋梁の内側に設置される。この例の場合、トラス構造1は橋梁の縦軸上に設置され、垂直支持体16および傾斜支持体17から形成される。当該傾斜支持体は、当該トラス構造がそれによって三角形のトラスを形成するように、垂直支持体16の上端部から下端部に伸びている。この種のトラスは強固で軽量である。垂直トラスに加え、水平トラスまたは傾斜トラスを使用することが可能であり、一方、支持トラスは、その中心または水平線から側面に引き込むことができる。
【0018】
垂直トラス構造1は、溶接、ボルト締め、またはその他何らかの同様の方法で、内管2の位置5で上部構成物14および下部構成物15に、あるいは管、ケース、セル、またはその他何らかの形状に作られた補強材であり得る下部構成物の対応する構造、またはその他何らかの同様の支持構造に接合される。図1および図2の例において、当該トラスの垂直支持体16および傾斜支持体の端部は、その端部および中間隔壁に設置され、その結果、強固な支持体をもたらす。当該垂直トラス構造は垂直方向において密閉型橋梁を補強する。その一方で、当該トラス構造は橋梁が座屈するのを防止する。当該垂直トラス構造は橋梁を異なる通路に分割し、当該トラス構造は、例えば分離隔壁用のフレーム構造として、または装置設置用の支持構造として用いることができ、加えて一方では、何種かの垂直トラス構造があり得る。
【0019】
当該垂直トラス構造は、溶接もしくはボルト締め、またはその他何らかの同様の方法でその側面に対応するように接合され、その接合点は、管、ケーシング、セル、その他何らかの形状に作られた補強材、その他何らかの同様の支持構造であり得る。当該水平トラス構造は水平方向において密閉型橋梁を補強する。当該水平トラス構造は異なる高さにあり得、同時に、分離階、通路、または機器棚を支持することができ、このうち何種かのものがあり得る。
【0020】
当該水平トラス構造は、一方で、橋梁の座屈を防止し、使用される材料の重量と比較して著しく構造剛性を増大させる。従って、当該橋梁は良好な荷重率を有する。
【0021】
上述したように、当該1つまたは複数のトラス構造は、水平、垂直またはこれらの平面に対して傾斜するよう設定することができる。1つまたはいくつかのトラスは、構造の中心線の横に設置することもでき、その場合、当該トラスは、橋梁の内部断面で、内管の表面の一点からその対向表面の一点に伸びる弦材を形成する。例で記載された単純な三角構造に加えて、当該トラスは多三角形構造とすることができ、または多角形もしくは曲線からでも構成できる。当該トラスは、互いに接合され、引張荷重および圧縮荷重を受容する棒材で形成され、それらの棒材は様々な外形を有し得る。また、当該トラスが、例えばループによって橋梁に接合され、次いでプリテンションされるケーブルなどで形成されることも想定することができる。しかし、ケーブル状部材は、引張荷重を受け入れるのみであり、このことは、構造に作用する負荷を評価する場合と、構造を設計する場合とに考慮に入れなければならない。棒材、ケーブルなどは、それらの端部で互いに接合されて節点を形成するか、または、それらは単一の一体化部品であり得、そこで荷重される部材を屈曲することにより当該節点が形成される。
【0022】
橋梁の断面は多種多様であり得、トラス構造はそのときに用いられる橋梁断面に適合される。当該橋梁は、それらの端部で互いに接合されるいくつかの橋梁部で構成することができる。管、セル、ケース、棒材、および同様の構造の端部間の連結は、用いられる橋梁の用途に適した方法で行われ、言い換えれば、溶接、フランジ継手、ボルト締め、螺合部品、アダプタ、拡張部、または分岐部品によって行われる。当該連結部材は端部隔壁内に組み込むことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉型橋梁であって、前記橋梁の外側表面を形成する少なくとも1つの外管(9)と、前記外管(9)の内側に嵌合されて前記橋梁の内部空間を形成する少なくとも1つの内管(2)と、ならびに少なくとも1つのノードを形成する部材から形成されて、前記内管(2)の内側に嵌合され、前記橋梁の構造に接合される少なくとも1つのトラス構造(1)とを備え、前記トラス構造が前記内管の内側表面の一点から前記内側表面の対向側へと前記内管を横切る少なくとも1つの弦を形成し、
前記トラス(1)が、引張荷重および圧縮荷重を受容する棒状部材から組み立てられる剛性トラスであることを特徴とする密閉型橋梁。
【請求項2】
前記トラス(1)が引張荷重のみを受容する部材から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の橋梁。
【請求項3】
前記トラスが前記内管(2)に接合されることを特徴とする、上記請求項のいずれかに記載の橋梁。
【請求項4】
少なくとも1つの隔壁(8)を特徴とする、上記請求項のいずれかに記載の橋梁。
【請求項5】
前記橋梁が、モジュール構造を組み立てて橋梁部を形成するのに用いることができる分割面(6)によって互いに仕切られた少なくとも2つのモジュールから形成されることを特徴とする、上記請求項のいずれかに記載の橋梁。
【請求項6】
前記橋梁部が、前記橋梁部を互いに連結するための部材を有する端部隔壁(8)を備えることを特徴とする、上記請求項のいずれかに記載の橋梁。
【請求項7】
少なくとも1つのトラス構造(1)が垂直であることを特徴とする、上記請求項のいずれかに記載の橋梁。
【請求項8】
少なくとも1つのトラス構造(1)が水平であることを特徴とする、上記請求項のいずれかに記載の橋梁。
【請求項9】
少なくとも1つのトラス構造(1)が、前記橋梁の内部を分割する壁または床面のフレームを形成することを特徴とする、上記請求項のいずれかに記載の橋梁。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−539364(P2010−539364A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525381(P2010−525381)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050519
【国際公開番号】WO2009/037382
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510068024)
【Fターム(参考)】