説明

密閉型混練機

【課題】ウエイトへの潤滑剤の供給を容易に行うことができる密閉型混練機を提供する。
【解決手段】材料投入ロ4を有する混練室3と、材料投入ロ4に投入された材料を押圧するウエイト6と、このウエイト6が先端部に装着され且つ当該ウエイト6を昇降可能とする軸部材7とを備えている密閉型混練機において、ウエイト6と軸部材7との連結部分には、ウエイト6と軸部材7との間に潤滑剤を貯留する貯留部が形成されており、軸部材7の内部には、外部から貯留部へ向けて潤滑剤を供給する潤滑剤供給路が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、投入された材料を混練室側に押圧するウエイトを備えた密閉型混練機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、投入された材料を混練室側に押圧するウエイトを備えた密閉型混練機として、例えば、特許文献1に示すものがある。
特許文献1には、混練機本体の混練室に向けて押圧可能に昇降されるフローティングウエイトと、フローティングウエイトに連結され、このフローティングウエイトの昇降方向に延びる軸部材とを備えた密閉型混練機が開示されている。このような密閉型混練機においては、フローティングウエイト内に軸部材との摩擦等を軽減するグリス等の潤滑剤が充填されているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−211616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような密閉型混練機では、フローティングウエイト内の潤滑剤を入れ替えたり、フローティングウエイト内に潤滑剤を充填するためには、フローティングウエイトを材料を供給するためのホッパードアの付近まで上昇して停止した後、ホッパードアを開けてからフローティングウエイト内に潤滑剤を供給する作業を行わなければならなかった。即ち、従来では、フローティングウエイトに対して潤滑剤を供給するために軸部材の昇降動作を止めてウエイトが完全に停止したことを確認してからでないと、潤滑剤の供給作業が行えず、また、ホッパー内での供給作業は大変煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ウエイトへの潤滑剤の供給を容易に行うことができる密閉型混練機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。即ち、材料投入ロを有する混練室と、前記材料投入ロに投入された材料を押圧するウエイトと、このウエイトが先端部に装着され且つ当該ウエイトを昇降可能とする軸部材とを備えている密閉型混練機において、前記ウエイトと軸部材との連結部分には、ウエイトと軸部材との間に潤滑剤を貯留する貯留部が形成されており、前記軸部材の内部には、外部から前記貯留部へ向けて潤滑剤を供給する潤滑剤供給路が形成されている点にある。
前記潤滑剤供給路は、軸部材の軸心方向に延設され軸部材の基端部に連通していることが好ましい。
【0007】
前記軸部材の内部には、貯留部に連通し且つ潤滑剤を外部に排出する潤滑剤排出路が設けられていることが好ましい。また、前記潤滑剤排出路は、軸部材の軸心方向に延設され軸部材の基端部に連通していることが好ましい。
前記ウエイトに形成された凹部に軸部材の先端部が挿入された上で、当該ウエイトと軸部材とが連結されていて、前記凹部の内面と軸部材の外面との間の空隙が、前記貯留部とされていることが好ましい。
前記ウエイトと軸部材とを貫通するピンにより両者がピン連結されていて、前記軸部材に形成されたピン孔が前記潤滑剤供給路と兼用化されていることが好ましい。
【0008】
前記貯留部と前記ウエイトの外部側とを遮断するシール部材が設けられており、前記シール部材の外部側には、漏れ出た潤滑剤を貯留するパンが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウエイトへの潤滑剤の供給を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】密閉型混練機の全体図である。
【図2】ウエイトの右側面である。
【図3】ウエイトの正面断面図である。
【図4】軸部材に潤滑剤排出路を設けた変形例におけるウエイトの正面断面図である。
【図5】パンを設けた変形例におけるウエイトの正面断面図である。
【図6】パンを設けた他の変形例におけるウエイトの正面断面図である。
【図7】パンを設けた他の変形例におけるウエイトの左側面である
【図8】連結部分の変形例におけるウエイトの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の密閉型混練機の全体図を示している。
密閉型混練機1は、ゴム,プラスチック等の材料を混練ロータ2が回転する混練室3内に強制的に押し込んで混練するバッチ式のものである。
この密閉型混練機1は、左右一対の混練ロータ2が回転自在に配置された混練室3と、この混練室3の上部に設けた材料投入ロ4に接続されたホッパ5と、このホッパ5内に上下動自在に設けられて材料投入ロ4に投入された材料を混練室3に向けて押圧するウエイト(フローティングウェイト)6と、このウエイト6が先端部に装着され且つ当該ウエイト6を昇降可能とする軸部材7とを備えている。
【0012】
混練室3は、断面めがね孔状に形成され、この混練室3内に同一方向又は互いに反対向きに回転する混練ロータ2が設けられたものとなっている。ホッパ5は、上下方向に長い方形筒状に形成され、ホッパ5の一側面(右側面)には、材料供給口8が形成されている。材料供給口8は、油圧シリンダ10a等の伸縮により開閉自在なホッパードア9により開閉自在となっている。軸部材7はホッパ5内に配置され、軸部材7の先端部にウエイト6が装着されている。軸部材7の上端側は、油圧等のシリンダ10bを備えた昇降装置11に接続されている。本実施の形態においては、昇降装置11の油圧シリンダ10bによる伸縮により、軸部材7を介してウエイト6が昇降自在となっている。
【0013】
以下、ウエイト6と軸部材7とについて詳しく説明する。
図2、図3に示すように、ウエイト6は、混練ロータ2の軸心方向に沿って長い矩形状に形成され、その下部は先細りの錐形状となっていて、錐形の部分はフロートが下まで進行したときに混練室3の内壁に略沿ったものとされている。図3に示すように、ウエイト6の上面には、左側(材料供給口8の反対側)から右側(材料供給口8)にいくに従って下側へ移行する傾斜面が形成されている。
ウエイト6の長手方向中央部側には、図3に示すように、上下方向に凹む凹部12が形成されていて、この凹部12に軸部材7の先端部が挿入され、この状態でウエイト6と軸部材7とが連結している。
【0014】
上述したように、ウエイト6の上面が材料供給口8側に下方傾斜していることから、ウエイト6を材料供給口8の付近に位置させることでホッパードア9からウエイト6と軸部材7との連結部分辺りの清掃作業等が容易に行えるようになっている。
ウエイト6の凹部12と軸部材7の先端部とは、密着するように嵌合しておらず両者の間にはクリアランス(空隙)が設けらている。そのため、ウエイト6が昇降した際に軸部材7に混練力による曲げ応力が作用しないものとなっている。
ウエイト6の凹部12と軸部材7の先端部との間のクリアランスが潤滑剤を貯留する貯留部14となっている。貯留部14にグリス等の潤滑剤を貯留することにより、ウエイト6と軸部材7との摩擦等が低減される。
【0015】
軸部材7は、ホッパ5内に配置されて当該ホッパ5の長手方向に延びる円棒状の主軸部16と、主軸部16の先端に形成されたくびれ部17と、くびれ部17の先端に形成された最端部18とから構成されている。くびれ部17の外径は、主軸部16の外径よりも小さくなっていると共に、最端部18は、くびれ部17よりも外径が大きい大径部分を備えている。そのため、軸部材7の抜け止めを防止するリング状の抜け止め部材19を、くびれ部17の周りに配置して最端部18を当該抜け止め部材19に当接できるようにすることによって、ウエイト6の凹部12に挿入した軸部材7の抜け止めを行っている。
【0016】
詳しくは、外径がウエイト6の凹部12よりも少し径小に形成された最端部18が当該凹部12に挿入され、くびれ部17の周りに抜け止め部材19が配置され、その上で抜け止め部材19は、ボルト等の締結具20を介してウエイト6の凹部12の開口部周りに形成された平坦面21に取り付けられている。軸部材7のくびれ部17と、抜け止め部材19の内壁との間にも空隙が形成されていて、この空隙も貯留部14となっている。なお、抜け止め部材19は、くびれ部17の外周を取り囲むことができるように分割状となっている。
【0017】
くびれ部17の上側の主軸部17には、その外周面を取り囲むようにリング状のシール部材26が設けられ、このシール部材26は、当該シール部材26の周りに配置されたシール支持部材25により支持されている。シール支持部材25はボルト等の締結具27によって抜け止め部材19に締結されている。シール支持部材25の上側には主軸部16の外周を覆う逆コップ状のダストカバー28が設けられている。
図3に示すように、軸部材7の内部には、外部から貯留部14へ向けて潤滑剤を供給する潤滑剤供給路30が形成されている。詳しくは、この潤滑剤供給路30は、軸部材7の主軸部16の基端から先端に亘って軸心方向に延びて主軸部16を貫通していると共に、主軸部16に続いてくびれ部17及び最端部18も軸心方向に貫通して構成されている。また、潤滑剤供給路30は、最端部18において径方向に分岐して、テーパ面を貫通していて、これにより、貯留部14に連通したものとなっている。
【0018】
さらに、潤滑剤供給路30は、昇降装置11の上端に延びていて、この昇降装置11の上端には潤滑剤供給路30に向けて外部から潤滑剤を供給するための供給部材(例えば、ホースや配管)35が接続可能となっている。供給部材35は、潤滑剤を送り出すポンプPに接続されていて、当該ポンプPを駆動させることにより、自動的に潤滑剤が供給部材35を介して潤滑剤供給路30内に供給できるようになっている。なお、図1に示すものでは、昇降装置11の昇降によって、潤滑剤供給路30の高さが変化する構成であるが、昇降装置11の昇降に合わせて供給部材35の位置も変化するようになっている。
【0019】
図1〜図3に示した実施形態によれば、ウエイト6と軸部材7との連結部分には、ウエイト6と軸部材7との間に潤滑剤を貯留する貯留部14が形成され、軸部材7の内部には、外部から貯留部14へ向けて潤滑剤を供給する潤滑剤供給路30が形成されているため、軸部材7に設けた潤滑剤供給路30を用いて外部からウエイト6を停止することなく、簡単に潤滑剤の供給を行うことができる。
即ち、従来では、ウエイト6内の潤滑剤を入れ替えたり、ウエイト6内に潤滑剤を充填するためには、ウエイト6を材料を供給するためのホッパードア9の付近まで上昇して停止した後、ホッパードア9を開けてからウエイト6内に潤滑剤を供給する作業を行わなければならなかった。このように、従来では、ウエイト6に対して潤滑剤を供給するために軸部材7の昇降動作を止めてウエイト6が完全に停止したことを確認し、ホッパ5内からでないと、潤滑剤の供給作業が行えず大変煩雑であったが、本発明によれば、このようなことをしなくても潤滑剤の供給作業を行うことができる。
【0020】
特に、従来では、潤滑剤の供給作業のために、混練機を長時間停止しなければならないため、生産性が低下するという問題も生じ、一方で、生産性を維持しようとすると、供給作業を極力控えなければならないという事態となり、そうすると、ウエイト6と軸部材7との故障率が上昇するという恐れもある。本発明では、潤滑剤の供給作業のために、密閉型混練機1を長時間停止する必要がないため供給作業による生産性の低下は発生しない。そのため、供給作業を極力控える必要もないため、ウエイト6と軸部材7との故障率を心配することもない。
【0021】
図4は、軸部材7の内部に潤滑剤を外部に排出する潤滑剤排出路45を設けた変形例を示したものである。
図4に示すように、潤滑剤排出路45は、潤滑剤供給路30とは異なる位置で軸部材7を貫通していて、抜け止め部材19の近傍の貯留部14に連通したものとなっている。詳しくは、潤滑剤排出路45は、潤滑剤供給路30とは、径方向にずれた位置にて、軸部材7の主軸部16の基端から先端に亘って軸心方向に延びていると共に、くびれ部17で径方向に延びたものとなっている。また、潤滑剤排出路45は、くびれ部17において直角に屈曲し、くびれ部17の側面を貫通していて、これにより、潤滑剤供給路30が貯留部14に連通する位置よりも上方において貯留部14に連通したものとなっている。つまり、ウエイト6内部において、潤滑剤供給路30の出口より潤滑剤排出路45の入口が上側となっていて両者は離れたものとなっている。
【0022】
さらに、潤滑剤排出路45は、昇降装置11の上端に延びていて、この昇降装置11の上端には潤滑剤排出路45からの潤滑剤を外部へ排出するための排出部材46(例えば、ホースや配管)が接続可能となっている。排出部材46は、貯留部14から排出された使用済み潤滑剤を貯留する容器Tに接続されていて、当該容器Tに使用済み潤滑剤が排出できるようになっている。なお、潤滑剤排出路45の高さが変化するが、昇降装置11の昇降に合わせて排出部材46の位置も変化するようになっている。
図4の変形例によれば、軸部材7の内部には、貯留部14に連通し且つ潤滑剤を外部に排出する潤滑剤排出路45が設けられ、潤滑剤排出路45は、軸部材7の軸心方向に延設され軸部材7の基端部に連通していることから、貯留部14の潤滑剤の入れ替えを容易に行うことができる。
【0023】
例えば、貯留部14内に潤滑剤を供給した場合、予め充填された貯留部14内の潤滑剤(使用済み潤滑剤)が潤滑剤排出路45に流れることになるため、潤滑剤排出路45が抜き孔となり、貯留部14に満遍なく新しい潤滑剤を充填することができる。また、ポンプPにより潤滑剤を潤滑剤の交換時期毎に間欠的に供給することができる。ポンプPの運転を潤滑剤の交換時期に応じて自動的に行うように制御することにより、潤滑剤は、潤滑剤供給路30から貯留部14を経て潤滑剤排出路45へと自動的に流すことができる。
図5は、潤滑剤排出路45を設けずにパン50を設けた変形例を示したものである。
【0024】
図5に示すように、抜け止め部材19の上側にシール支持部材25が設けられ、シール支持部材25の内側にシール部材26が設けられているが、この変形例では、シール部材26の外部側には、新たな潤滑剤が貯留部14へ供給されることにより上方へ追いやられてシール部材26と主軸部16の間からしみ出た潤滑剤を貯留するパン50が設けられている。
具体的には、シール支持部材25の上側には、筒状のダストカバー28が設けられ、このダストカバー28の内部であってシール支持部材25の上面側にパン50が設けられている。このパン50は、シール支持部材25の上面に設置されてボルト等の締結具20により抜け止め部材19に取り付けられる板状のベース部51と、このベース部51の周縁から上側に起立する周壁部52とを備えている。ベース部51の中央部には、軸部材7の主軸部16を挿通する挿通孔が設けられ、周壁部52はダストカバー28の下側の側壁に沿った形状となっている。
【0025】
図5の変形例によれば、上述したようにパン50、即ち、潤滑剤受け部分54を設けていることから、例えば、潤滑剤供給路30を介してグリス等の潤滑剤を供給した際に、貯留部14の上側に滞留する潤滑剤がシール部材26を経てパン50の挿通孔53を通過すると、その潤滑剤をベース部51と周壁部52とで構成された潤滑剤受け部分54により受けることができる。
潤滑剤受け部分54により、シール部材26側(下側)からの潤滑剤を受けることができるため、貯留部14の潤滑剤を外部へ排出するための排出口や潤滑剤排出路45を設けなくても、パン50を利用することで、潤滑剤を貯留部14に充填させることが可能である。
【0026】
図6及び図7は、図5とは異なる構成にて潤滑剤受け部分を設けた変形例を示したものである。
図6、図7に示すように、抜け止め部材19を径方向に貫通する孔を形成することで潤滑剤排出孔60が形成されている。この潤滑剤排出孔60は、貯留部14の上部に連通していて当該貯留部14内の潤滑剤を外部に排出するものである。本実施形態においては、上記孔は抜け止め部材19の上部に形成された溝をシール支持部材25で覆うことによって形成されているが、溝に代えて抜け止め部材19に対してドリル孔を開けることによって潤滑剤排出路45としても良い。また、当該潤滑剤排出孔60を覆うように一方が開口した箱61が抜け止め部材19の外側に装着されている。
【0027】
具体的には、箱61は、板状のベース部62と、このベース部62の周縁から一方に突出する周壁部63とを備えており、これにより、一方が開口状の箱形となっている。周壁部63には、抜け止め部材19の外周に係止する係止部が形成されている。
図6及び図7の変形例においては、抜け止め部材19の外周面と対向するようにベース部62を向けて、箱61の周壁部63に設けた係止部を抜け止め部材19の外周面に設けた溝等に係止する。これにより、潤滑剤排出孔60を含めた抜け止め部材19の外周面を覆うことになり、ベース部62と、周壁部63と側壁64とによって構成された潤滑剤受け部分65により、潤滑剤排出孔60から排出された潤滑剤を受けることができる。
【0028】
潤滑剤受け部分65により、潤滑剤排出孔60からの潤滑剤を受けることができるため、
貯留部14の潤滑剤を外部へ排出するための潤滑剤排出路45を主軸部16に設けなくても、潤滑剤を貯留部14に充填させることが可能である。
図8は、ウエイト6と軸部材7との連結部分の変形例を示したものである。
上記の実施形態では、軸部材7の先端部にくびれ部17が形成されていたが、この変形例は、くびれ部17を有さない例である。
【0029】
具体的には、凹部12の内径よりもやや外径が小さい軸部材7の先端部が凹部12に挿入されており、この先端部と凹部12との間にクリアランスが形成されている。このクリアランスが貯留部14とされている。
軸部材7の先端部には、径方向に貫通する貫通孔(ピン孔)70が設けられると共に、このピン孔70に対向するウエイト6にも当該ウエイト6を貫通する貫通孔71が形成されている。軸部材7の貫通孔71及びウエイト6のピン孔70に、抜け止め部材72(ピン)が挿入され、軸部材7とウエイト6との両者がピン連結されている。ピン連結の状態では、ピン72はその両端側においてウエイト6の貫通孔71の出口に設けられたねじ込みプラグ73によって抜け止めされていて、軸部材7はピン72に対して可動状態となっている。
【0030】
また、軸部材7にも潤滑剤供給路30が形成されている。詳しくは、この潤滑剤供給路30は、軸部材7の主軸部16の基端から先端に向けて軸心方向に延びていると共に、ピン孔70に連通している。ピン孔70がピン72よりも一回り大きく形成されていることによって、ピン孔70も潤滑剤供給路30とされていて(ピン孔70と潤滑剤供給路30とが兼用化されている)、図8に示した変形例では、軸部材7に潤滑剤排出路が形成されていないものとなっている。
凹部12の上側には、貯留部14と外部とに連通する孔が設けられ、この孔は貯留部14内の潤滑剤を外部に排出する潤滑剤排出孔60とされている。本実施形態においては、上記孔は抜け止め部材19の上部に形成された溝をシール支持部材25で覆うことによって形成されているが、溝に代えて抜け止め部材19に対してドリル孔を開けることによって潤滑剤排出路45としても良い。
【0031】
図8の変形例においては、ウエイト6と軸部材7とを貫通するピン72により両者がピン連結されていて、軸部材7に形成されたピン孔70が潤滑剤供給路30と兼用化されており、また、ウエイト6に溝を設けることで潤滑剤排出路45が簡単に構成することができて、加工数や部品点数を低減することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
1 密閉型混練機
3 混練室
4 材料投入ロ
6 ウエイト
7 軸部材
14 貯留部
30 潤滑剤供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料投入ロを有する混練室と、前記材料投入ロに投入された材料を押圧するウエイトと、このウエイトが先端部に装着され且つ当該ウエイトを昇降可能とする軸部材とを備えている密閉型混練機において、
前記ウエイトと軸部材との連結部分には、ウエイトと軸部材との間に潤滑剤を貯留する貯留部が形成されており、
前記軸部材の内部には、外部から前記貯留部へ向けて潤滑剤を供給する潤滑剤供給路が形成されていることを特徴とする密閉型混練機。
【請求項2】
前記潤滑剤供給路は、軸部材の軸心方向に延設され軸部材の基端部に連通していることを特徴とする請求項1に記載の密閉型混練機。
【請求項3】
前記軸部材の内部には、貯留部に連通し且つ潤滑剤を外部に排出する潤滑剤排出路が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の密閉型混練機。
【請求項4】
前記潤滑剤排出路は、軸部材の軸心方向に延設され軸部材の基端部に連通していることを特徴とする請求項2に記載の密閉型混練機。
【請求項5】
前記ウエイトに形成された凹部に軸部材の先端部が挿入された上で、当該ウエイトと軸部材とが連結されていて、
前記凹部の内面と軸部材の外面との間の空隙が、前記貯留部とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の密閉型混練機。
【請求項6】
前記ウエイトと軸部材とを貫通するピンにより両者がピン連結されていて、
前記軸部材に形成されたピン孔が前記潤滑剤供給路と兼用化されていることを特徴とする請求項5に記載の密閉型混練機。
【請求項7】
前記貯留部と前記ウエイトの外部側とを遮断するシール部材が設けられており、
前記シール部材の外部側には、漏れ出た潤滑剤を貯留するパンが設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の密閉型混練機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−234537(P2010−234537A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82048(P2009−82048)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】