説明

密閉容器開蓋装置及び移し替え装置

【課題】 密閉空間内で蓋を開閉する場合にあっても蓋の表面が汚染されず、蓋の開閉時における周辺雰囲気の汚染を回避できる密閉容器開蓋装置及び移し替え装置の提供。
【解決手段】 密閉容器の開蓋装置であって、相対中圧な開放空間A、及び相対低圧な閉鎖空間Bを備え、隔壁Cに、蓋1が通過し容器本体2の開口部周縁部2aを取り囲む貫通孔Dを備えると共に、前記貫通孔Dに面し前記開口部周縁部2aの側面と近接するガイド面Eを備え、閉鎖空間Bに蓋開閉手段3を具備し、蓋開閉手段3は、蓋ホルダ3aとその駆動手段を備え、蓋ホルダ3aは、蓋周縁部1b並びに封鎖部1aの表面を覆う保持空間3bと、当該保持空間3bへ蓋1を引き寄せる定着手段3cを備える密閉容器開蓋装置及びそれを用いた移し替え装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封開蓋装置、特に有害物質を内包する密閉容器開蓋装置、及び移し替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃アスベスト材等の有害物質は、密閉容器に充填して低温溶融処理装置(例えば下記特許文献1参照)等へ運搬されるが、密閉容器への有害物質の封入時、及び処理装置等への有害物質の投入時において、周辺雰囲気が汚染されることが問題となる。
【0003】
この様な問題に対して、従来、カバーで仕切られた密閉空間に、真空ポンプ、不活性ガスのボンベ、集塵装置、除菌装置を配管を介して連結したクリーンルームを形成し、その中に手を差し入れて内容物を密閉容器に移し替える手法(例えば下記特許文献2参照)が存在し、粉粒体を内包する密閉容器については、ホッパから容器へ投入する際に、粉塵のホッパ側への逆流を防止すべく、ホッパ部の投入口から連続する管状部の周囲を、その上端から下端まで所定の間隔を以って取り囲むように設けた外筒部を備えると共に、当該外筒部の周囲に吸引集塵装置の接続口を形成する手法(例えば下記特許文献3)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−307500号公報
【特許文献2】特開2004−189467号公報
【特許文献3】特開2005−263468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献2に記載の手法にあっては、蓋の表面の汚染は避けられず、特許文献3に記載の手法にあっては、蓋の開閉時において有害物質が飛散する虞が強い。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、密閉空間内で蓋を開閉する場合にあっても蓋の表面が汚染されず、蓋の開閉時における周辺雰囲気の汚染を回避できる密閉容器開蓋装置及び移し替え装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明による密閉容器開蓋装置は、容器本体の開口部を封じる封鎖部の下面全域が容器本体の内部に封入し、周縁部の下面が容器本体の開口部側の端面に密着する蓋を備えた密閉容器の開蓋装置であって、相対中圧な開放空間(外縁が明確であるか不明確であるかを問わない)、及び相対低圧な閉鎖空間、並びに双方を仕切る隔壁を備えたものである。
ここで、相対中圧又は相対低圧とは、開放空間と閉鎖空間との関係における相対的な高低を表現するものである。それを踏まえて、例えば、相対中圧とは、外界に開放され大気圧と同等の気圧であり、相対低圧とは、外界から隔され開放空間の気圧よりも低くなる様に調整された気圧である。
【0008】
隔壁は、蓋が通過し容器本体の開口部周縁部を取り囲む貫通孔を備えると共に、当該貫通孔に面し前記容器本体の開口部周縁部の側面と近接するガイド面を備えている。
また、閉鎖空間に、蓋開閉手段を具備し、当該蓋開閉手段は、蓋を保持する蓋ホルダと、当該蓋ホルダに開閉運動をさせる駆動手段を備えている。
蓋ホルダは、蓋周縁部の側面及び表面、並びに封鎖部の表面を覆う保持空間と、当該保持空間へ蓋を引き寄せる定着手段を備えている。
【0009】
以上の様に、本発明は、閉鎖空間と開放空間の気圧差を利用して、開放空間の汚染を回避する性格を有するが、前記ガイド面にあっても、当該ガイド面の近傍に相対高圧で給気する境界調圧手段を備えることによって、その確実性を高め、前記蓋ホルダにあっても、その保持空間に相対高圧で給気する保持調圧手段を備えることによって保持空間内の汚染を回避している。ここで、相対高圧は、前記相対低圧及び相対中圧と同様にそれらとの関係で、閉鎖空間、開放空間、ガイド面の近傍、及び保持空間における気圧の相対的な高低を表現するものであって、相対高圧とは、相対中圧とされる気圧以上の気圧を表すものである。
【0010】
即ち、開放空間についての相対中圧、閉鎖空間についての相対低圧、ガイド面の近傍についての相対高圧、及び保持空間についての相対高圧は、夫々、開放空間と閉鎖空間との境界において気流を閉鎖空間へ向かう様に促し、ガイド面の近傍と閉鎖空間との境界において気流を閉鎖空間へ向かう様に促し、保持空間と閉鎖空間との境界において気流を閉鎖空間へ向かう様に促す作用が発生する為の気圧に関する相対的な要件となる。尚、ガイド面の近傍を相対高圧とすることによってガイド面の給気口から開放空間へ向かう気流も生じるが、当該気流の存在を考慮しても、給気口から閉鎖空間へ向かう気流の発生を促進し有害物質を閉鎖空間に封じ込める効果を高める点で極めて有利な措置と言える(図4乃至図6参照)。
【0011】
上記密閉容器開蓋装置を用いれば、汚染物質等の移し替え装置を容易に構成できる。
例えば、本発明による第一の移し替え装置として、開放空間に、貫通孔へ密閉容器の開口部周縁部を送り入れる容器装填手段を備え、閉鎖空間に、密閉容器へ内容物を入れる供給手段を備え、前記供給手段は、内容物の投入時において密閉容器の開口部周縁部の内面に密着又は遊嵌する供給口を備える構成を持つ密閉容器への移し替え装置が実現できる。
【0012】
また第二の移し替え装置として、閉鎖空間に、投入された密閉容器の内容物を受ける受入器を備えると共に、開放空間に、前記受入器へ開口部が向いて内容物が落下する様に密閉容器を傾斜させる容器傾倒手段を備えるものであって、前記隔壁は、気密シートと、当該気密シートの一部に接続部が気密状態となる様に固定されたガイドリングからなる装置であって、ガイドリングが、前記貫通孔を備えると共に、当該貫通孔に面し前記容器本体の開口部周縁部の側面と近接するガイド面を備え、前記容器傾倒手段が、前記ガイドリングと、当該ガイドリングに密閉容器を固定する支持フレームと、当該ガイドリング及び支持フレームに傾倒運動をさせる傾動手段を備えることを特徴とする移し替え装置を採用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
以上の如く、本発明による閉容器開蓋装置及び移し替え装置によれば、密閉空間内で蓋を開閉する場合にあっても、外気に接する蓋の表面及び側面の汚染が回避できると共に、蓋の開閉時において有害物質が飛散或いは落下することによる閉鎖空間外、及びその周辺雰囲気、並びに外気に触れる密閉容器表面の汚染が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による密閉容器開蓋装置及び移し替え装置の動作の一例を示す工程図である。
【図2(A)(B)】(A):本発明による密閉容器開蓋装置に用いるガイドリングの一例を示す横断面図、(B):本発明による密閉容器開蓋装置に用いる蓋ホルダ及びガイドリングの一例を示す縦断面図である。
【図3】本発明による密閉容器開蓋装置の一例を示す縦断面図である。
【図4(A)(B)】本発明による密閉容器開蓋装置の開蓋工程における動作の一例を示す縦断面図である。
【図5(A)(B)】本発明による密閉容器開蓋装置及び移し替え装置の蓋ホルダの一例を示す、(A):装填工程、及び(B):開蓋工程における縦断面図である。
【図6(A)(B)(C)】本発明による密閉容器開蓋装置及び移し替え装置の蓋ホルダの一例を示す、(A):装填工程、(B):開蓋工程、及び(C):移し替え工程における縦断面図である。
【図7(A)(B)】本発明による密閉容器開蓋装置及び移し替え装置で用いる密閉容器の一例を示す、(A):密閉時における平面図、(B):密閉時における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による密閉容器開蓋装置(以下開蓋装置と記す)及びそれを利用した移し替え装置を図面に基づき具体的に説明する。
本発明による開蓋装置は、図7に示す密閉容器の開蓋に用いるものである。
当該密閉容器は、有底円筒状の容器本体2と、その開口部を封じる蓋1を有するドラムである。当該密閉容器には、その密閉状態を維持すべくロックバンド9等の開蓋防止手段を適宜付設する。
【0016】
当該例における容器本体2は、有底円筒状を呈し、開口部周縁部2aの周縁に、蓋1の周縁部1bとの気密状態を保ち得るリム部を備えたものである。かかる構造を採用することにより、内容物の容器外への飛散を回避すると共に、パレット上への載置、及び同種密閉容器との積み重ね等の際に便宜となる。
【0017】
蓋1は、容器本体2の開口部を封じる封鎖部1aと、同容器本体2の開口部側の端面に載り開口部周縁部2aにわずかにかかる周縁部1bを備える。
【0018】
以上の構成により、蓋1の周縁部1bの下面は、容器本体2の開口部側の端面と気密状態に密着し、当該周縁部1bの下面の内側に存在する封鎖部1aの下面全域が容器本体2の内部に封入されることとなる。
【0019】
この様な密閉容器では、その用途及び構造上、蓋1における周縁部1bの内側、及び封鎖部1aの下面全域が汚染領域(密閉容器の内部)に曝されることは避けられないことから、汚染空間においては、当該汚染が避けられない領域より外側を覆う構造を採ることによって、外気に曝される蓋1の表面の汚染が略回避できることとなる。そして、更に蓋1の周縁部1bと接する開口部以外の容器本体2の表面の汚染を回避する構造を採ることによって、外気に曝される密閉容器表面の略全域を汚染から回避することができることとなる。
【0020】
上記目的の下、図1乃至図6に示す開蓋装置は、上記の如く要請される基本構造を有する他、相対中圧な開放空間A、及び相対低圧な閉鎖空間B、並びに双方を仕切る隔壁Cを備えている。
前記開放空間Aは、外気が流通する大気圧下にある領域であって、閉鎖空間Bは、外装(図示省略)や隔壁C等によって外気から遮断され、大気圧より相対的に低い気圧となる様に吸気された領域である。
【0021】
隔壁Cは、蓋1が通過し得る容器本体2の開口部周縁部2aを取り囲む貫通孔Dを備えると共に、当該貫通孔Dに面し前記容器本体2の側面と近接するガイド面Eを備える。
図1乃至図6に示す開蓋装置では、定型の隔壁Cを定位置に水平に設定し、開放空間Aから閉鎖空間Bへの気流の流れを消失させない幅のガイド面Eが設けてある。
【0022】
当該開蓋装置は、開放空間Aに、貫通孔Dへ密閉容器の開口部周縁部2aを送り入れる容器装填手段4を備え、閉鎖空間Bに、蓋開閉手段3を備える(図1並びに図4乃至図6参照)。
【0023】
容器装填手段4は、密封容器を貫通孔Dの貫通方向に起立した状態で保持すると共に、開放空間Aにおける貫通孔Dの真下のセットした位置(或いは正対する位置)から、開蓋前の密閉容器を、その蓋1のみが隔壁Cの閉鎖空間B側の面(以下汚染面と記す)から露出するに至るまで差し上げる昇降手段(当該例では密閉容器を載せたステージ4aを上下させる手段であるが公知技術を適宜用いればよい。)を備えたフレーム等である。
【0024】
蓋開閉手段3は、蓋1を保持する蓋ホルダ3aと、当該蓋ホルダ3aに開閉運動をさせる駆動手段(図示省略)を備える。
蓋ホルダ3aは、蓋が納まる保持空間3bと、当該保持空間3bへ蓋1を引き寄せる定着手段3cを備える。保持空間3bは、引き寄せた蓋1の、周縁部1bの側面及び表面、並びに封鎖部1aの表面を覆い得る面積と奥行きを有する。
この様に、当該例における蓋ホルダ3aは、蓋1が遊嵌する開口部を備え、開蓋動作の一部において、容器装填手段4で差し上げられた密閉容器の蓋1を貫通孔Dの閉鎖空間B側で捕らえる位置(以下捕捉位置と記す)を採る。
【0025】
当該例における定着手段3cは、蓋1の封鎖部1aに吸着する吸盤3fを満遍なく支持する吸着プレート3eと、当該吸着プレート3eを進退させるシリンダとからなる。
シリンダは、蓋ホルダ3aの中央にそのロッド3gが保持空間3bに密封される様に固定され、当該シリンダのロッド3gが保持空間3bの内部で蓋ホルダ3aの開口部に対して進退する様に固定したものである。
尚、蓋1の封鎖部1aの表面にフックやリングを有する場合には、吸盤3fに換えてリングやフックをロッド3gの先端に固定しても良い。
【0026】
当該例では、前記蓋ホルダ3aに、その保持空間3bを相対高圧とする保持調圧手段3dを備える。
当該例の保持調圧手段3dは、保持空間3bに給気管を接続し、保持空間3bの内気圧を読み取りつつ、給気量の調整を以って保持空間3b内を所定の相対高圧(閉鎖空間の気圧よりも高い気圧)に維持するものである。
【0027】
駆動手段は、蓋ホルダ3aを支持し、蓋ホルダ3aが前記捕捉位置から続く作業の邪魔とならない退避位置までの間で行き来する様に制御するアクチュエータを備えた構成とする。
【0028】
以上の如く構成された開蓋装置は、図1に示す様に、密閉容器を貫通孔Dの真下に搬入して容器装填手段4のステージ4aに固定する搬入工程、定着手段3cの吸着プレート3eを下降させて吸盤3fを蓋1の封鎖部1aに押し付けて吸着させる定着工程、蓋1の浮き上がりを防止しつつ蓋1と容器本体2を繋ぐロックバンド9を外し容器本体2の開口部周縁部2aから下ろす開錠工程、ステージ4aを上昇させて密閉容器をその蓋1のみが隔壁Cの閉鎖空間B側の面から露出するに至るまで吸着プレート3eと共に差し上げる装填工程(図5(A)及び図6(A)参照)、蓋ホルダ3aで捕捉した蓋1を容器本体2から外し当該蓋ホルダ3aを退避させる開蓋工程(図5(B)及び図6(B)参照)を順次経て一連の開蓋動作を終える。
【0029】
開蓋状態による移し替え工程等の作業(図5(B)及び図6(C)参照)を終えた後、蓋1を捕捉した蓋ホルダ3aを退避位置から捕捉位置へ移動させる閉蓋工程、隔壁Cの貫通孔Dを保持空間3bで覆い、且つ吸着プレート3eの吸盤3fで蓋1の封鎖部1aを加圧しつつステージ4aを開放空間へ下降させる離脱工程、蓋1と容器本体2を繋ぐロックバンド9を密閉容器の開口部へ装着する施錠工程、吸盤3fの吸着を解除し定着手段3cの吸着プレート3eを上昇させて吸盤3fを蓋1の封鎖部1aから外し密閉容器をステージ4aから下ろす搬出工程を順次経て一連の閉蓋動作を終える。
【0030】
上記開蓋動作及び閉蓋動作では、搬入工程、開錠工程、装填工程、離脱工程、施錠工程、及び搬出工程においては、隔壁(ガイドリングC2)Cの貫通孔Dが保持空間3bで常に封じられており、開蓋工程及び閉蓋工程では、容器本体2の開口部周縁部2aで隔壁(ガイドリングC2)Cの貫通孔Dがその周縁部の隙間を除いて常に封じられている(図4(B)、図5(B)、図6(B)参照)。ガイド面Eと容器本体2の隙間にあっては、開放空間Aを相対中圧とし、閉鎖空間Bを相対低圧とすることによって、開放空間Aから閉鎖空間Bへ向かう気流が生じ、有害物質の貫通孔D及び開放空間Aへの流入が防止される。
【0031】
保持空間3bへの有害物質の流入防止措置にあっては、搬入工程、開錠工程、装填工程、離脱工程、施錠工程及び搬出工程において、保持空間3bは、汚染されていない開放空間Aに面しており、開蓋工程及び閉蓋工程においては、密閉容器の蓋1が装填されて保持空間3bの開口部が蓋1の周囲に存在する隙間を除いて封じられることによって、保持空間3bの汚染が回避されている。その際、保持空間3bは、保持調圧手段3dによる給気量の調整を以って、保持空間3b内は所定の相対高圧に維持され、蓋1の側面と保持空間3bの内側壁の隙間(給気や加圧によってはじめて生じる隙間でも良い)にあっては、保持空間3bを相対高圧とし、閉鎖空間Bを相対低圧とすることによって、開放空間Aから閉鎖空間Bへ向かう気流が生じ、有害物質の保持空間3bへの流入が防止される(図4(B)、図5(B)、図6(B)参照)。
【0032】
図1乃至図6に示す開蓋装置は、更に、隔壁Cのガイド面Eに、当該ガイド面Eの近傍を相対高圧で給気する境界調圧手段Fを備える構造を採用している。ここで相対高圧とは、閉鎖空間Bの気圧よりも高く、且つ開放空間Aの気圧以上の気圧である。
境界調圧手段Fは、隔壁C内に配管を施し、ガイド面Eの幅に応じて当該ガイド面Eの中間位を相対高圧で空気を排出する給気孔を散設したものである。
境界調圧手段Fの付設によって、仮に、ガイド面Eの幅を比較的広くとったとしても、開放空間Aから閉鎖空間Bへの気流の流れを消失させない効果を得ることができる(図5参照)。
また、開放空間Aから閉鎖空間Bへの気流と相俟って、有害物質の開放空間Aへの流入、容器本体2の開口部周縁部2aの側面への有害物質の付着、及びガイド面Eへの有害物質の付着を防止することができる。
【0033】
上記密閉容器開蓋装置を用いれば、内容物を外部へ漏出させることの無い内容物の移し替え装置を構築することができる。
図1及び図5の例は、有害物質等からなる内容物Xの収集現場において密閉容器へ内容物Xを移し替える移し替え装置の第一の実施の形態を示すものであり、閉鎖空間に、密閉容器へ内容物Xを入れる供給手段5を備えたものである。
【0034】
前記供給手段5は、下窄まりの漏斗状のホッパ5bと、当該ホッパ5bを内容物Xの投入時(投入工程)において前記捕捉位置(供給位置)に移動させ、且つ閉鎖容器の蓋1が開き蓋ホルダ3aが退避するまで開蓋工程及び閉蓋工程の障害と成らない位置(待機位置)まで退避させる公知の駆動手段(図示省略)と、ホッパ5bの内部へ内容物Xを送る公知の輸送手段(図示省略)からなる。
【0035】
ホッパ5bは、その最下位に、密閉容器の開口部周縁部の内面に密着又は遊嵌する供給口5aを備え、当該ホッパ5bへ輸送手段を経て内容物Xを供給することにより、供給口5aを介して適量の内容物Xが密閉容器に投入されることとなる。
【0036】
前記供給口5aが容器本体2の開口部へ差し入れられた際にあっても、開蓋工程を行う前より、開放空間Aから閉鎖空間Bへ向かう気流を発生させておけば、内容物Xを投入する時に飛散する有害物質の貫通孔D及び開放空間Aへの流入が防止される。また、この気流によって、隔壁Cにおける貫通孔Dの周辺(少なくとも蓋ホルダ3a及びホッパ5bが接する領域)の飛散物の滞留も回避され(以下清掃効果と記す)、有害物質が貫通孔Dから開放空間Aへ固まりとなって落下する虞も回避できる。
【0037】
ホッパ5bに付着した有害物質が貫通孔Dから開放空間Aへ落下することを防止する効果をより高め、且つ前記清掃効果をより高めるべく、ホッパ5bが供給位置に達した際、貫通孔Dの近傍における気流を隔壁Cの閉鎖空間B側の面(前記汚染面)に沿わせる気流制御板5cを、前記供給口5aの当該面に近接する位置に設けても良い。
【0038】
図6の例は、密閉容器から収集現場又は処理装置へ内容物Xを移し替える移し替え装置の第二の実施の形態を示すものである。
当該例の隔壁Cは、気密シートC1と、当該気密シートC1の一部に気密状態で固定されたガイドリングC2からなる。
即ち、この例の閉鎖空間Bは、移し替え装置、又は当該装置を含むシステム全体を、有害物質が外へ出ない様に覆う外装(図示省略)の一部に、密閉容器の内容物Xを投入する際の便宜として、変形自在の隔壁Cを形成する手法を採ったものである。
【0039】
ガイドリングC2は、前記開蓋装置の隔壁Cと同様に、隔壁Cの開口部として前記貫通孔Dを備えると共に、当該貫通孔Dに面し前記容器本体2の開口部周縁部2aの側面と近接するガイド面Eを備えている。
また、この例では、第一の実施の形態で備えていた供給手段5に換えて、投入された密閉容器の内容物を受ける受入器6を閉鎖空間Bに備え、前記受入器6へ開口部が向いて内容物Xが落下する様に密閉容器を傾斜させる(図7(C)参照)容器傾倒手段7を開放空間Aに備える。
【0040】
前記受入器6は、投入された内容物Xを取りこぼす事無く受け入れ得る受容体である。受入器6そのものが容器であっても良いし、受入器6が他の容器に収納する内容物Xを受け入れるためのホッパとして機能していても良い。
【0041】
前記容器傾倒手段7は、前記ガイドリングC2と、当該ガイドリングC2に密閉容器を固定する支持フレーム8と、当該ガイドリングC2及び支持フレーム8に傾倒運動をさせる傾動手段7bを備える。
支持フレーム8は、ガイドリングC2と一体的に固定された保持フレームであって、密封容器を貫通孔Dの貫通方向に起立した状態で保持すると共に、開放空間Aにおける貫通孔Dの真下(或いは正対する位置)から、開蓋前の密閉容器を、その蓋1のみが隔壁Cの汚染面から露出するに至るまで差し上げる容器装填装置4を一体的に備えたものである。容器傾倒手段7の動作に鑑み、支持フレーム8の保持フレームにあっては、当該容器傾倒手段7が傾倒した際にあっても密閉容器の脱落又は動揺が回避できる構造を選択する。
【0042】
当該容器傾倒手段7の傾動手段7bは、水平軸を以って縦に旋回する旋回アーム7aの一端をガイドリングC2に固定し、当該旋回アーム7aの回転に伴って、ガイドリングC2及び支持フレーム8、並びにそれらに支持された密閉容器を一体的に旋回させる。
【0043】
旋回アーム7aの回転範囲は、ガイドリングC2が水平となっている状態(以下セット角度と記す。図6(B)参照)から、少なくとも、ガイドリングC2の貫通孔Dに装填された密閉容器が前記受入器6へ開口部を向け、中の内容物Xが全て落下するに至る傾斜(以下投入角度と記す。図6(C)参照)となるまでの範囲とする。
【0044】
当該例における蓋開閉手段3の構造は、先に説明した開蓋装置と同様であるが、当該例では容器傾倒手段7による支持フレーム8の傾きを利用し、セット角度から投入角度に至る間、傾きが増加するに伴って密閉容器の蓋1の開きが自動的に増し、傾きが減少するに伴って密閉容器の蓋1の開きが全閉(セット角度)に至るまで自動的に減少する構造としても良い。
【0045】
上記第二の実施の形態にあっても、搬入工程、開錠工程、装填工程、離脱工程、施錠工程、及び搬出工程においては、隔壁(ガイドリング)の貫通孔Dが保持空間3bで常に封じられており、開蓋工程及び閉蓋工程では容器本体2の開口部周縁部2aで隔壁(ガイドリング)の貫通孔Dがその周縁部の隙間を除いて常に封じられている(図4(B)、図6(B)参照)。
ガイド面Eと容器本体2の隙間にあっても、開放空間Aを相対中圧とし、閉鎖空間Bを相対低圧とすることによって、開放空間Aから閉鎖空間Bへ向かう気流が生じ、有害物質の貫通孔Dや開放空間Aへの流入が防止される(図4(B)、図6(B)参照)。
【0046】
保持空間3bへの有害物質の流入についても、搬入工程、開錠工程、装填工程、離脱工程、施錠工程及び搬出工程においては、保持空間3bは、汚染されていない開放空間Aに面しており、開蓋工程及び閉蓋工程においては、密閉容器の蓋1が装填されて保持空間3bが封じられている。
当該例にあっても、その際、保持空間3bは、保持調圧手段3dによって、給気量の調整を以って保持空間3b内は所定の相対高圧に維持され、蓋1の側面と保持空間3bの内側壁の隙間(給気によってはじめて生じる隙間でも良い)おいては、保持空間3bを相対高圧とし、閉鎖空間Bを相対低圧とすることによって、開放空間Aから閉鎖空間Bへ向かう気流が生じ、有害物質の保持空間3bへの流入が防止される(図4(B)、図6(B)(C)参照)。
【0047】
ガイド面Eと容器本体2の隙間にあっても、前記開蓋装置と同様に、開放空間Aを相対中圧とし、閉鎖空間Bを相対低圧とする措置を採ることができ、それによって、開放空間Aから閉鎖空間Bへ向かう気流が生じ、有害物質の開放空間Aへの流入が防止される(図4(B)、図6(B)(C)参照)。
【符号の説明】
【0048】
1 蓋,1a 封鎖部,1b 周縁部,
2 容器本体,2a 開口部周縁部,
3 蓋開閉手段,
3a 蓋ホルダ,3b 保持空間,3c 定着手段,3d保持調圧手段,
3e 吸着プレート,3f 吸盤,3g ロッド,
4 容器装填手段,4a ステージ,
5 供給手段,5a 供給口,5b ホッパ,5c 気流制御板,
6 受入器,
7 容器傾倒手段,7a 旋回アーム,7b 傾動手段,
8 支持フレーム,
9 ロックバンド,
A 開放空間,B 閉鎖空間,
C 隔壁,C1 気密シート,C2 ガイドリング,
D 貫通孔,E ガイド面,F 境界調圧手段,X 内容物,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封鎖部(1a)の下面全域が容器本体(2)の内部に封入し周縁部(1b)の下面が容器本体(2)の開口部側の端面に密着する蓋(1)を備えた密閉容器の開蓋装置であって、
相対中圧な開放空間(A)、及び相対低圧な閉鎖空間(B)、並びに双方を仕切る隔壁(C)を備え、
隔壁(C)に、蓋(1)が通過し容器本体(2)の開口部周縁部(2a)を取り囲む貫通孔(D)を備え、
隔壁(C)は、前記貫通孔(D)に面し前記容器本体(2)の開口部周縁部(2a)の側面と近接するガイド面(E)を備え、
閉鎖空間(B)に、蓋開閉手段(3)を具備し、
蓋開閉手段(3)は、蓋(1)を保持する蓋ホルダ(3a)と、当該蓋ホルダ(3a)に開閉運動をさせる駆動手段を備え、
蓋ホルダ(3a)は、蓋(1)の周縁部(1b)の側面及び表面、並びに封鎖部(1a)の表面を覆う保持空間(3b)と、当該保持空間(3b)へ蓋(1)を引き寄せる定着手段(3c)を備えることを特徴とする密閉容器開蓋装置。
【請求項2】
前記蓋ホルダ(3a)に、その保持空間(3b)を相対高圧とする保持調圧手段(3d)を備える前記請求項1に記載の密閉容器開蓋装置。
【請求項3】
前記ガイド面(E)に、当該ガイド面(E)の近傍を相対高圧とする境界調圧手段(F)を備える前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載の密閉容器開蓋装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の密閉容器開蓋装置を備えた移し替え装置であって、
開放空間(A)に、貫通孔(D)へ密閉容器の開口部周縁部(2a)を送り入れる容器装填手段(4)を備え、
閉鎖空間(B)に、密閉容器へ内容物を入れる供給手段(5)を備え、
前記供給手段(5)は、内容物の投入時において密閉容器の開口部周縁部(2a)の内面に密着又は遊嵌する供給口(5a)を備えることを特徴とする移し替え装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の密閉容器開蓋装置を備えた移し替え装置であって、
閉鎖空間(B)に、投入された密閉容器の内容物を受ける受入器(6)を備え、
開放空間(A)に、前記受入器(6)へ開口部が向いて内容物が落下する様に密閉容器を傾斜させる容器傾倒手段(7)を備え、
前記隔壁(C)は、気密シート(C1)と、当該気密シート(C1)の一部に気密状態で固定されたガイドリング(C2)からなり、
ガイドリング(C2)は、前記貫通孔(D)を備えると共に、当該貫通孔(D)に面し前記容器本体の開口部周縁部(2a)の側面と近接するガイド面(E)を備え、
前記容器傾倒手段(7)は、前記ガイドリング(C2)と、当該ガイドリング(C2)に密閉容器を固定する支持フレーム(8)と、当該ガイドリング(C2)及び支持フレーム(8)に一体的な傾倒運動をさせる傾動手段(7b)を備えることを特徴とする移し替え装置。

【図1】
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【図2(A)(B)】
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【図3】
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【図4(A)(B)】
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【図5(A)(B)】
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【図6(A)(B)(C)】
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【図7(A)(B)】
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【公開番号】特開2012−206804(P2012−206804A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72327(P2011−72327)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000242644)北陸電力株式会社 (112)
【Fターム(参考)】