説明

寛容誘導抗原提示細胞による抗原提示の誘導によって自己免疫疾患を治療する方法

抗原提示細胞に対する抗体を使用して抗原提示細胞とT細胞を含む免疫細胞との相互作用を阻害することができる。該抗体にペプチドを結合させ、それによってこのようなペプチドに対する免疫応答を生じさせることができる。好ましくは、該抗体に結合するペプチドは、自己免疫に関わるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自己免疫疾患を治療し又は予防するために自己抗原に対する自然免疫寛容を発達させ且つ回復させることである。
【背景技術】
【0002】
T細胞仲介疾患のインスリン依存性糖尿病(「T1DM」)は、大きな健康上の問題であり、1.5百万人以上の米国人がこれに冒されている。この自己免疫疾患は、膵臓内にあるランゲルハンス島のインスリン産生β細胞のT細胞仲介破壊によって生じる。インスリンによる治療にもかかわらず、T1DMが原因の死亡率は過去20年で増加してきている一方で、癌、心疾患及び脳卒中が原因の死亡率は減少してきている(Hurlbert外,2001)。さらに、腎症、末梢神経障害及び網膜症を含め外因性インスリンによる治療の合併症は非常に衰弱性である。
【0003】
T1DMはTh1仲介疾患であるとみなされており、また、例えば、IL−4の全身投与によって免疫応答をTh2型に移行させる初期介入は、病気の発症を予防することができる(Cameron外,1997)。エフェクターT細胞とTh1とTh2とのバランスは免疫寛容を維持する際に重要であり、そしてバランスの変化が自己免疫を生じさせ得る。しかしながら、自己免疫疾患からの防御は、Th2細胞の固有の特性ではない。というのは、NODマウスからのTh2細胞株が疾患を転移させることも示されたからである(Pakkala外,1997)。
【0004】
免疫系は、自己寛容を維持するために複雑な方法で進化してきた。胸腺は、T細胞の重要な初期選択を与える。この選択は、胸腺中に存在する自己抗原に対して寛容なT細胞を末梢に伝える。しかしながら、多くの組織特異的蛋白質は、寛容を誘導するのに十分なレベルでは発現しない。例えば、おそらく低い親和性ではあるが、健康な被験者においてランゲルハンス島反応性T細胞が見出された(Lohman外,1996)。末梢性寛容のうちいくつかの機構は、自己反応性T細胞を調節下で維持するために胸腺において中心的な寛容機構を補完する。末梢性寛容の重要なメディエーターの一つが抗原提示細胞(「APC」)である。樹状細胞(「DC」)及びマクロファージのようなAPCは、他の細胞から自己抗原を捕獲し、そしてこれらのものを自己反応性T細胞に提示して調節T細胞の欠失、無感作及び/又は発生によってT細胞寛容を誘導する(Heath & Carbone,2001)。現在の仮説は、定常状態の免疫系におけるAPCのような未成熟APCが、おそらくは共刺激分子の欠損のために、T細胞を活性化するのではなくむしろ寛容化させるというものである。Hawiger外は、DC制限エンドサイト受容体であるDEC−205に対する抗体を使用してDCの主要組織適合クラスII(「MHC II」)経路に抗原を向けた(Hawiger外,2001)。これらのDCによる抗原提示は、CD4+T細胞の短期の急激な増殖を刺激し、その後欠失し、そして受容者は、その後のペプチド免疫化に対する応答の欠如によって示されるように、抗原に対して寛容になった。対照的に、抗原ターゲティングが抗CD40のような強力なDC成熟刺激を伴ったときには、免疫が誘導された。
【0005】
また、樹状細胞は、エフェクターT細胞の機能を抑制サイトカインを介して又は接触依存機構によって感化させる調節T細胞を発生させることによって末梢寛容を誘導することもできる(Roncarolo外,2001;Jonuleit外,2000;Dhodapkar & Steinman,2001)。調節T細胞を誘導させるための多数の異なるプロトコールが、一般に「部分最適」T細胞刺激の手段によって開発された。T細胞の部分最適刺激は、共刺激の非存在下での抗原提示によって、又は炎症によって、又はT細胞受容体若しくはその共受容体であるCD4及びCD8の部分的な妨害によって達成できる。調節T細胞の表現型及びその作用機構は異質である。多くのサプレッサー細胞はCD4+CD25+であるが、多くの状況においてはCD4+CD25-細胞が同様に有効であることがますます明らかになっている。調節T細胞母集団において同定されたその他のマーカーとしては、CD62L、GITR及びCD103(Lafaille & Lafaille,2002)が挙げられ、そしてCD8+調節T細胞も報告された(Dhodapkar & Steinman,2002)。いくつかの調節T細胞が、免疫抑制サイトカインであるインターロイキン(「IL」)−10を産生することが示された(Wakkach外,2001;Barrat外,2002)が、口腔寛容によって誘導された調節T細胞は、Th2型サイトカインであるIL−4及びIL−10の他に、β型トランスフォーミング増殖因子(「TGF−β」)の産生を特徴とした(Weiner,2001)。接触依存サプレッサー細胞は、TGF−βの存在下にCD4+CD45RA+ヒト末梢T細胞を活性化させることによって生じた(Yamigawa外,2001)。調節T細胞の誘導は、T細胞受容体を介した刺激を必要とするが、それらの抑制効果は非抗原特異的であるように思われる(Thorton & Shevach,2000)。
【0006】
免疫調節T細胞は、NODマウスにおいて病原反応性T細胞を下方調節する際にある種の役割を果たすことが示された。前糖尿病マウスが免疫調節T細胞を宿し、しかもそれらの数又はそれらの機能的容量の減少が病気の進行に大きく寄与する事象であるという証拠がある(Sempe外,1994)。同時転写実験から、前糖尿病マウスからのCD4+T脾臓細胞が糖尿病誘発性細胞による免疫不全受容者への病気の転移を完全に妨げることが示された(Boitard外,1989;Hutchings & Cooke,1990)。また、未成熟DCによる調節T細胞の誘導は、NODマウスモデルにおける病気の予防と相関があった(Huges外,2002)。
【0007】
ヒトでは、インスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(「GAD」)、熱ショック蛋白質(「HSP」)60又は蛋白質チロシンホスファターゼ様分子(「IA−2」)及びその他の不定β細胞抗原に応答する自己反応性T細胞が説明されてきた(Roep外,1990;Atkinson外,1992;Honeyman外,1993;Reijonen外,2002)。
【0008】
GADは、抑制性神経伝達物質であるγ−アミノ酪酸の生合成酵素である(Baekkeskov外,1990)。65%の相同性を有する2種の別個のアイソホームであるGAD65及びGAD67がクローン化された。GAD65はヒトでは優性のアイソホームであるが、GAD67はNODマウスにおける主要な形態であり、両者のアイソホームに対する抗体がヒトで検出される(Kaufman外,1992)。NODマウスでは、抗GAD抗体は、膵島炎の前又はそれと同時に且つその他のβ細胞抗原に対する抗体が現れる前に検出された。このタイミングは、GADがこのモデルにおいてβ細胞の自己免疫を開始させる一次抗原であることを示唆する(Tisch外,1993)。糖尿病におけるGADの重要な役割についてのさらなる証拠は、糖尿病マウスの脾臓又は膵臓から単離されたGAD特異的T細胞が病気を実験未使用動物に転移させ得るという多くの研究室による観察に由来する(Rohane外,1995;Wen外,1998;Zekzer外,1998)。T1DMの病因におけるGADの中心的な役割に関する議論の余地は残るものの、動物実験からの証拠は、この蛋白質の重要な役割を少なくとも示唆している。
【0009】
若年期に精製GAD65によって胸腺内又は静脈内のいずれかで免疫化すると、NODマウスにおいて膵臓β細胞に対するT細胞を寛容化させることができ、それによって膵島炎及び糖尿病を予防することができる(Tian外,1996;Ma外,1997)。また、GADに対する寛容化は、HSP65のようなその他の抗原に対する免疫反応の発生を防止することもできた。GADペプチドが寛容を誘導できることにさらなる研究が向けられた(Tisch外,2001;Tisch外,1999;Zechel外,1998)。また、糖尿病の発症からの防御は、静脈内、皮下、経口又は経鼻経路を介したインスリン又はHSP65治療のいずれかによっても達成できる(Elias外,1991;Elias & Cohen,1994;Elias外,1997;Atkinson外,1990)。抗原特異的治療は、初期に施すときには発病を防止するのに非常に有効であるが、ほんの2、3の試みが進行しつつある病気の制御に成功しただけである(Elias & Cohen,1994;Tian外,1996)。
【0010】
一般的なペプチド免疫化は、抗原提示細胞が該ペプチドを免疫を誘導する段階で提示するかどうかを制御できず又は免疫応答を寛容に移行させ得る抗原提示細胞では制御できないため、免疫刺激又は免疫抑制のいずれかを生じさせ得る。
【0011】
免疫系を損なうと糖尿病の発症を予防することができる。FK506、抗CD4、抗CD8、抗CTLA−4などのようなT細胞機能を抑制するありとあらゆる一般的な薬剤がNODマウスにおいて糖尿病の発症を予防し又は遅らせることが示された(概説:Atkinson & Leiter,1999)。しかしながら、これらの試薬のいずれも糖尿病誘発性T細胞に対して特異的ではなく、また、これらの大部分は病気の発症を予防することができるが、いったん病気が発症すると効果的ではない。臨床実験で試験されたシクロスポリンのような一般的な免疫抑制剤は、短期間では有効であった(Feutren外,1988;Skyler & Rabinovitch,1992)。しかしながら、免疫抑制の中断は即座の再発に至り、そして腎臓障害のような副作用が長期治療を妨げる(Parving外,1999)。
【0012】
糖尿病における抗原特異的治療の有効性を評価するための臨床試験が開始された。HSP60p277ペプチド(DiaPep277)は、初期の糖尿病で試験された(Raz外,2001)。このペプチドによる多数の免疫化がこの病気の進行を緩やかにし、そしてこの結果を確認し且つ拡大するための大規模な研究が開始された。ヒトインスリンのβ鎖を不完全フロイントアジュバント、インスリンB9−23の改変ペプチドリガンド及びGADと組み合わせて使用した臨床試験が進行中である。しかしながら、近年診断された糖尿病を経口インスリンで治療する試験は失敗し(Pozzili外,2000;Chaillous外,2000)、そして非経口インスリン投与は非常に危険な状態にある前糖尿病を予防することに失敗した(糖尿病予防試験1型(DPT)研究グループ,2002)。失敗は、抗原の選択、抗原の投与量(Kurts外,1999)、投与のタイミング及び経路を含むいくつかの要因による可能性があった。また、抗原療法は、いかなるタイプの免疫細胞が抗原を取り込むのかを制御することができない。マウスは制御された病原体フリーの条件下にあるが、臨床試験ではそういうわけにはいかない。細菌又はウイルスの同時感染が存在するときには、寛容よりもむしろプライミングが生じ得る。動物では、糖尿病は、ある種の条件下での抗原免疫化によって誘導され得た(Blana外,1996;Bellmann外,1998)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
免疫系がいかにして自己抗原に対する寛容を維持するのかという理解が過去数十年の間に実質的に深まってきたため、T1DMを予防し又は治療するための近年の治療戦略は、β細胞抗原に対する免疫寛容を回復させることに向けられている。近年の免疫療法の戦略は、自己反応性T細胞を直接不活性化させること及び/又は調節能力を有するT細胞を誘導することのいずれかによってβ細胞抗原に対する寛容を誘導することに向けられている。調節T細胞の誘導は、多数の自己免疫疾患の治療のために期待できる手法であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
要約
本発明は、免疫寛容を誘導することによって自己免疫疾患を治療する方法に関する。免疫寛容は、自己抗原を抗原提示細胞に提示することによって誘導される。自己抗原は、抗原内在化受容体を認識する抗体に結合する。自己抗原は、抗原提示細胞によって内在化され且つ該細胞上に提示されるが、これは自己反応性T細胞の抑制を生じさせる。
【0015】
特に有用な具体例では、ここに記載される方法及び化合物は、特に、β細胞抗原、GAD又はそれらのエピトープ、インスリン又はそのエピトープ、HSP又はそのエピトープであることができる自己抗原に対する免疫寛容を誘導することによって糖尿病を治療するために使用される。この自己抗原は、抗原内在化受容体であるDC−SIGNR又はDC−SIGNRの変異体を認識する抗体に結合する。自己抗原は、標的肝臓シヌソイド内皮細胞又は表面上にDC−SIGNRを発現するその他の寛容化APCに内在化される。自己抗原は、この標的肝臓シヌソイド内皮細胞上に提示され、そして自己反応性T細胞の増殖を抑制する。
【0016】
別の態様では、ペプチドに結合した抗原提示細胞上の受容体に対する抗体を含有する抗体/ペプチド構築物を説明する。好ましくは、このペプチドは、抗原、さらに好ましくは自己抗原である。特に有用な具体例では、抗体/自己抗原構築物又はその部分は、抗原提示細胞によって内在化され、そしてこの自己抗原に対する免疫寛容が達成される。場合によっては、毒素が本発明の抗体と混合され、そして患者に投与される。この毒素が、例えば腫瘍細胞に対するものである場合には、本発明の抗体は、該毒素を該腫瘍細胞に向けさせ、それによって該毒素の投与を該腫瘍細胞に集中させるために使用される。
【0017】
別の態様では、自己抗原に結合した抗原提示細胞上の受容体に対する抗体を含有する改変抗体を組換えによって作製するための方法を説明する。
【0018】
また、本発明は、DC−SIGNR発現細胞とT細胞のようなICAM発現細胞との相互作用を妨害するDC−SIGNRに対する抗体に関するものでもある。
【0019】
別の態様では、DC−SIGNRに対する抗体は、ウイルスが肝臓シヌソイド細胞のような肝細胞に入るのを阻害し、そしてそれらがその他の細胞に感染するのを阻害する。いくつかの具体例では、本発明は、DC−SIGNRに対する抗体をワクチンに使用することを包含する。
【0020】
いくつかの具体例では、本発明のDC−SIGNRに対する抗体はヒト化抗体であることができる。その他の具体例では、本発明のDC−SIGNRに対する抗体はscFvであることができる。
【0021】
本発明のさらなる具体例は、上記のような組成物を使用した及び/又は方法を具体化した予防技術並びに診断技術に関するものである。また、薬剤として許容できるキャリア中に本願発明のDC−SIGNRに対する抗体を含む組成物も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
詳細な説明
本方法は、自己免疫疾患に関わる自己抗原又は自己ペプチドに対する免疫寛容を誘導する。
【0023】
免疫寛容は、本発明に従って、抗体/自己抗原構築物(本明細書においては、時として「改変抗体」ともいう。)を被検体に投与することによって誘導される。この抗体/自己抗原構築物は、ある種の抗体に結合した自己抗原を包含する。
【0024】
この抗体の成分は、任意の抗原提示細胞上の任意の受容体に結合する抗体であることができる。当業者であれば認識するであろうが、抗原提示細胞のタイプとしては、樹状細胞、マクロファージ、内皮細胞、クッパー細胞及びB細胞が挙げられる。現在知られている受容体又は抗原提示細胞の中では、DEC−205、マンノース受容体、DC−SIGN、DC−SIGNR、MHC、トール(Toll)受容体、ランゲリン、アシアロ糖蛋白質受容体、β−グルカン受容体、C型レクチン受容体及び樹状細胞免疫受容体が挙げられる。特に有用な具体例では、この受容体は、STT抗体を内在化させるであろうものである。内在化が特定の受容体で生じるかどうかは、当業者に知られた技術を使用して実験によって決定できる。現在抗体の内在化を与えることが知られている受容体又は抗原提示細胞としては、DEC−205、マンノース受容体、DC−SIGN及びDC−SIGNRが挙げられる。
【0025】
抗体成分は、自然抗体(慣用技術を使用して単離される)又は当業者の認識範囲内にある組換え方法により合成によって調製される抗体であることができる。この抗体は、例えば、完全にヒトの抗体、ヒト以外の抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又は任意の方法(部位特異的修飾若しくは脱免疫化)で操作された前述のタイプの抗体のうち任意のものであることができる。抗体は、有利には、例えばファージディスプレイ及びパニング法のような当業者に知られた技術を使用して抗体ライブラリーから選択できる。
【0026】
いったん選択されると、該抗体をコードする核酸は、例えば、それぞれ2002年9月19日に出願された米国特許出願第10/251085号及び2001年12月10日に出願された米国特許出願第10/014012号(これらの開示は引用によってここに加えるものとする)に記載された慣用のPCR及び増幅技術のような当業者に知られた技術を使用して増幅できる。
【0027】
この開示に従って、自己抗原を抗体に結合させて抗体/自己抗原構築物を調製する。任意の自己抗原が使用できる。自己抗原は、天然に生じるものであることができ、そして当業者に知られた技術を使用して単離できる。別法では、この自己抗原のアミノ酸配列が知られている場合には、このものは既知の技術を使用して合成によって調製できる。好適な自己抗原としては、インスリン、GAD、Hsp、核抗原、アセチルコリン受容体、ミエリン塩基性蛋白質、ミエリン希突起膠細胞糖蛋白質、プロテオリピド蛋白質、ミエリン結合糖蛋白質、糸球体基底膜蛋白質及びチロトロピン受容体が挙げられる。特に有用な具体例では、自己抗原は、抗原提示細胞による提示に基づき免疫寛容を誘導するものである。
【0028】
自己抗原は、任意の好適な方法によって抗体に結合できる。一つの特定の方法を後の実施例に示しているが、この開示は、抗体/自己抗原構築物を作製する任意の特定の方法に限定されるものではない。
【0029】
自己抗原に対する免疫寛容を誘導する本方法は、抗原提示細胞(「APC」)を標的にし、且つ、自己抗原を抗体によってそれらの細胞に向ける。図1は、本発明に従う抗体/自己抗原構築物と抗原提示細胞(APC)及びT細胞との相互作用を概略的に示している。抗体は、標的細胞上の受容体を認識する。この抗体による自己抗原の送達に向けるために、これら2つのものを結合させる。本明細書はベクターのクローニングを使用することを記載しているが、この結合は、任意の方法によって達成され得る。抗体は、ユニークな抗体内在化受容体のみを標的にし、そしてこれに結合し、それによって所望の細胞型への抗原の送達を確実なものにする。
【0030】
抗体が標的抗原内在化受容体に結合した後に、結合した自己抗原と抗体は、抗原提示細胞内に内在化される。自己抗原は、おそらくは該細胞内の主要組織適合複合体(「MHC」)との自己抗原相互作用を介してAPCの表面上に提示される。いったん自己抗原が共刺激能力を有するAPCの表面上で発現すると、ナイーブ自己反応性T細胞は活性化されるようになり、そしてそれらの特異的な自己抗原を標的にし且つそれと反応し得る。APCの表面に共刺激分子が存在しないことは、おそらくT細胞応答を制限させることに関わる。自己反応性エフェクターT細胞は、制限された数の抗原提示組織細胞のみを死滅させ得る。数種の標的細胞を死滅させた後に、このエフェクター細胞は死滅する。そのときに、自己抗原提示細胞が寛容化される。
【0031】
本願発明の抗体/自己抗原構築物は、既知の方法、例えば、静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、皮下、眼内、動脈内、髄腔内、吸入若しくは病変内経路、局所又は以下に示すような徐放系による注射又は注入によって投与できる。この抗体/自己抗原構築物は、好ましくは、注入又は静脈内ボーラスによって連続的に投与される。局所的又は全身的な態様で該抗体/自己抗原構築物を投与できる。
【0032】
抗体/自己抗原構築物は、薬剤として許容できるキャリアとの混合物で調製できる。本願発明の化合物の処方及び投与のための技術は、「Remington’s Parmaceutical Scineces」,Mack出版社,ペンシルバニア州イーストン,最新版に見出され得る。この医薬組成物は、静脈内に又は鼻若しくは肺を介して、好ましくは液体又は粉末エーロゾル(凍結乾燥された)として投与され得る。また、この組成物は、非経口で又は皮下にも望み通りに投与され得る。全身に投与されるときに、この医薬組成物は、滅菌されており、発熱性物質を有しておらず、しかもpH、等張性及び安定性について十分に考慮された非経口投与に許容できる溶液中にあるべきである。これらの条件は当業者に周知である。
【0033】
簡単に説明すると、本発明の抗体/自己抗原構築物の投与処方物は、貯蔵又は投与のために、所望の純度を有する化合物と生理的に許容できるキャリア、賦形剤又は安定剤とを混合させることによって調製される。このような材料は、使用される投与量及び濃度ではこれらの賦形剤に対して非毒性であり、しかもTRIS・HCl、燐酸塩、クエン酸塩、酢酸塩及びその他の有機酸塩のような緩衝液、アスコルビン酸のような酸化防止剤、ポリアルギニンのような低分子量(約10残基以下)のペプチド、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのような蛋白質、ポリビニルピロリジノンのような親水性重合体、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸又はアルギニンのようなアミノ酸、単糖、二糖及びその他の炭水化物(セルロース若しくはその誘導体、グルコース、マンノース又はデキストリンを含む)、EDTAのようなキレート化剤、マンニット又はソルビットのような糖アルコール、ナトリウムのような対イオン及び/又はTWEEN、PLURONICS若しくはポリエチレングリコールのような非イオン界面活性剤を含むことができる。
【0034】
生体内投与のために使用されるときに、抗体/自己抗原構築物処方物は滅菌された状態でなければならず、そして慣用の製薬手法に従って処方され得る。これは、凍結乾燥及び復元の前又は後に、滅菌濾過膜によって濾過することにより容易に達成される。この抗体は、通常、凍結乾燥形態又は溶液の状態で保存されるであろう。その他の賦形剤、例えば、胡麻油、落花生油若しくは綿実油のような天然の植物油又はオレイン酸エチルなどのような合成脂肪賦形剤が望ましいかもしれない。緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤などが、認められた製薬手法によって取り込まれ得る。
【0035】
使用するのに好適な医薬組成物としては、1種以上の抗体/自己抗原構築物がそれらの意図された目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物が挙げられる。より具体的には、治療上有効な量とは、病気を予防し、その症状を緩和し若しくは改善させる又は治療される被検体を延命させるのに有効な抗体の量を意味する。治療上有効な量の決定は、特にここに与えた詳細な開示に照らせば、当業者の能力の範囲内にある。治療上有効な投与量は、試験管内及び生体内方法を使用することによって決定できる。
【0036】
治療に使用されるべき抗体/自己抗原構築物の有効量は、例えば、治療対象、投与経路及び患者の状態に依存するであろう。さらに、主治医は、病気の深刻さとタイプ、体重、性別、食事、投与の時間と経路、他の薬物療法及びその他の関連する臨床要因を含め、薬剤の作用を改変させることが知られている様々な要因を考慮する。従って、治療専門家は、最適な治療効果を得るために要求されるように、投与量を滴定し及び投与の経路を改変することが必要であろう。典型的には、臨床医は、所望の効果を達成する投与量に到達するまで抗体/自己抗原を投与するであろう。この治療の進行は、慣用のアッセイ法によって容易に監視される。
【0037】
任意の抗体/自己抗原構築物について、その治療上有効な投与量は、最初に細胞培養アッセイ法から推定できる。例えば、投与量を動物モデルに処方して細胞培養液中で決定されるようなEC50を含む循環濃度範囲(例えば、細胞増殖又は細胞分化を促進させ又は阻害する試験分子の濃度)を達成することができる。このような情報を使用してヒトに有用な投与量をさらに正確に決定することができる。
【0038】
ここで記載した抗体/自己抗原構築物の毒性及び治療上の効果は、例えば、LD50(母集団の50%致死量)及びED50(母集団の50%に治療上有効な量)を決定するための、細胞培養基又は実験動物における標準的な医薬手順によって決定できる。毒性と治療効果との間の投与量比は治療指数であり、そしてこれはLD50とED50との間の比として表すことができる。高い治療指数を示す分子が好ましい。これらの細胞培養アッセイ法及び動物研究から得られるデータは、ヒトに使用するための所定の範囲の投与量を処方する際に使用できる。このような分子の投与量は、好ましくは、毒性をほとんど又は全く有しないED50を含む循環濃度の範囲内にある。この投与量は、使用される剤形及び使用される投与経路に応じてこの範囲内で変化し得る。正確な処方、投与経路及び投与量は、個々の医師によって患者の状態を考慮して選択され得る(例えば、Fingl外,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,第1章,1頁,1975を参照)。
【0039】
投与量及び投与間隔を個々に調節して細胞増殖若しくは細胞分化を促進させ若しくは阻害するのに十分な抗体/自己抗原構築物の血漿レベル又は最小有効濃度(MEC)を与えることができる。このMECは、それぞれの抗体/自己抗原構築物に対して変化するであろうが、説明したアッセイ法を使用した試験管内データから推定できる。MECを達成するのに必要な投与量は、個々の特性及び投与経路に依存するであろう。しかしながら、HPLCアッセイ法又はバイオアッセイ法を使用して血漿濃度を決定することができる。
【0040】
また、投与間隔もMEC値を使用して決定することができる。抗体/自己抗原構築物分子は、その時間の10〜90%、好ましくは30〜90%、もっとも好ましくは50〜90%にわたってMEC以上の血漿レベルを維持する方式を使用して投与されるべきである。
【0041】
局所投与又は選択的摂取の場合には、抗体/自己抗原構築物の有効な局所濃度は、血漿濃度とは関連がない。
【0042】
典型的な1日投与量は、上記の要因に応じて約1μg/kg〜1000mg/kgまでの範囲又はそれ以上であることができる。典型的には、臨床医は、所望の効果を達成する投与量に到達するまで抗体/自己抗原構築物を投与するであろう。この治療の進行は、慣用のアッセイ法によって容易に監視される。
【0043】
病気のタイプ及び深刻さに応じて、抗体/自己抗原構築物の約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、より好ましくは約0.01mg〜100mg/kg、さらに好ましくは約0.010〜20mg/kgが、例えば1回以上の別個の投与によるか又は連続注入によるかに関わらず、患者への投与の候補となる初期投与量であり得る。数日又はそれ以上にわたる繰り返し投与については、状態に応じて、治療は、病状の所望の抑制が生じ又は患者の状態の所望の改善が達成されるまで繰り返される。しかしながら、その他の用法・用量も有用であり得る。
【0044】
特に有用な具体例では、本願発明の方法は、膵臓内のランゲルハンス島のインスリン産生β細胞に対する免疫慣用を誘導することによって糖尿病を治療するために使用できる。これらの細胞の自己抗原は、所望の抗原内在化受容体を認識する抗体に結合する。本発明において使用するのに好適な自己抗原は、β細胞抗原、インスリンのエピトープ又はエピトープに相当するペプチド、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(「GAD」)及び熱ショック蛋白質(「HSP」)である。インスリン、GAD及びHSPからのエピトープを覆う一組のペプチドを抗DC−SIGNR抗体に結合させることによって、T1DMに関わる全ての主要な抗原に対する慣用を誘導することができる。その他の自己抗原は、当業者であれば周知・慣用であり、発見・使用できる。
【0045】
抗原内在化受容体は、分化したAPC上に提示される。この方法について、選択される抗原内在化受容体は、DC−SIGNR(樹状細胞特異的細胞間付着分子3−接着性非インテグリン関連受容体:dendritic cell-specific intercellular adhesion molecule 3-grabbing nonintegrin related receptor)である。DC−SIGNRは、肝臓常駐抗原提示細胞である肝臓シヌソイド内皮細胞(「LSEC」)によって発現される(Pohlmann外,2001)。DC−SIGNRは、受容体結合蛋白質を内在化させ且つ抗原提示を促進させる病原体内在化受容体ファミリーに属する(1Geijtenbeek外,2002)。LSECによる抗原の提示が抗原特異的慣用を生じさせることが示された(Limmer外,2000)。未成熟の免疫寛容状態から活性化状態に成熟し得るその他の樹状細胞型とは対照的に、肝臓シヌソイド細胞は、活性化抗原提示細胞に発達するように誘導され得ない(2Knolle外,1999)。ヒトDC−SIGNに対するホモログであるヒトDC−SIGNR(L−SIGNとも呼ばれる)は、DC−SIGNに対してアミノ酸レベルで77%の同一性を示し、そして内在化受容体に対する特有のドメインを有する(Bashirova外,2001;Soilleux外,2000)。DC−SIGNRは、LSEC上で高発現し、且つ、リンパ節マクロファージ様細胞の亜母集団でも見出されるが、DCによっては発現しない。
【0046】
本発明の目的上、用語「DC−SIGNR」及び「L−SIGN」は区別なく使用する。
【0047】
C型レクチンマウスDC−SIGN(CD209)は、近年、DC特異的受容体として同定された。DC−SIGNは、DCのトランス内皮移行を仲介するが、これは、一過性のDC−T細胞相互作用を開始させることによって一次免疫応答を可能にする(3Geijtenbeek外,2000;2Geijtenbeek外,2000)。また、DC−SIGNは、炭水化物構造を介して病原体を認識する内在化抗原受容体としても作用する。DC−T細胞のクラスター形成及びT細胞応答の開始におけるその顕著な役割のほかに、DC−SIGNは、DCの感染及びその後のT細胞へのHIV−1、HIV−2、SIV−1、C型肝炎ウイルス(HCV)、エボラウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)及びデングウイルスのようなウイルス、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonae)及びミコバクテリア・ツベルクロシス(Mycobacteria tuberculosis)のような細菌、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)のような酵母並びにリーシュマニア・ピファノイ(Leishmania pifanoi)及びシストソーマ・マンソニ(Schistosoma mansoni)のような寄生虫の伝達に関わる主要な受容体である。DC−SIGNRのネズミホモログであるmSIGNRIは、迅速に内在化され且つプロセシングためのリソソームを標的とする抗体を捕捉する(Geijtenbeek外,2002)。アミノ酸配列に基づけば、ネズミmSIGNR1は、ヒトDC−SIGNR、実際にはヒトDC−SIGNに相同的であり、そのため動物モデリング研究に有用である。
【0048】
いくつかの具体例では、DC−SIGNRに対する抗体は、DC−SIGNR発現細胞とICAM発現細胞との相互作用を調節、即ち抑制し又は高める。一具体例では、抗DC−SIGNR抗体は、LSECのような抗原提示細胞の表面上のDC−SIGNR受容体部位に結合し、そしてLSECとT細胞との間の相互作用を阻害する。より具体的には、DC−SIGNに対する抗体は、DC−SIGNRとT細胞の表面上のICAM受容体との付着を妨害することによってLSECとT細胞との付着を減少させる。
【0049】
ここで使用するときに、「ICAM受容体」とは、ICAM−2受容体とICAM−3受容体の両方、特にICAM−3受容体を意味する。
【0050】
いくつかの具体例では、本発明のDC−SIGNRに対する抗体は、DC−SIGNには結合しない。
【0051】
その他の具体例では、本発明のDC−SIGNRに対する抗体は、ウイルスが肝臓シヌソイド細胞のような肝臓細胞に入るのをブロックし、しかもウイルスが他の細胞に感染するのをブロックする。
【0052】
T細胞の抗原提示細胞への付着の妨害により、DC−SIGNRに対する抗体の使用は、抗原提示細胞−T細胞クラスター形成、T細胞活性化及び抗原提示細胞とT細胞との間の接触に依存するその他の相互作用に影響を与えるであろう。これらのその他の相互作用としては、抗原提示細胞とT細胞との細胞対細胞の直接接触又はかなりの接近が挙げられる。
【0053】
その他の具体例では、本発明の抗DC−SIGNR抗体は、自己抗原ペプチドのようなペプチドに結合する。これらのペプチドは、ベクターを抗体フラグメントにグラフトさせること及び結合したベクター/抗体をクローン化させること又は化学的に結合させることを含め、任意の好適な方法によって抗DC−SIGNR抗体に結合できる。ベクターを結合させる方法、クローン化の方法又は化学的に結合させる方法は当業者に周知である。
【0054】
次いで、これらのペプチド、好ましくは自己抗原は、結合した抗体と共に、LSECに内在化される。LSECは、MHCII、CD80及びCD86のような抗原提示に必要な表面分子を有する(Lohse外,1996;Rubinstein外,1986)。ナイーブCD4+T細胞に調節表現型を誘導させる(Knoll外,1999)ことに加えて、LSECは、外因性抗原を交差提示することによってCD8+T細胞に寛容を誘導し得る(Limmer外,2000)。LSECは、MHCの下方調節及びエンドソームプロセシングの妨害によってTNF−α及び内毒素として刺激に応答する(2Knoll外,1999)。さらに、LSECは、肝臓からリンパ器官に移動しない。
【0055】
この内在化は、MHC相互作用を介して仲介されるLSECに対する表面への自己抗原ペプチドの提示を促進させる。いったん自己抗原が共刺激能力を有するLSECの表面上で発現すると、ナイーブ自己反応性T細胞は活性化された状態になり得る。これらのT細胞は、結合した自己抗原を標的にし且つそれと反応する。エフェクターT細胞は、少数のLSECを死滅させ、そして共刺激分子がなければ死滅する。LSECによるこの自己抗原提示は、抗原特異的寛容を生じさせる。
【0056】
肝臓は、IL−10及びTGF−βのような多数の免疫寛容メディエーター並びに免疫寛容の発達を助成する分化APCを有するユニークな微環境を有する(1Knolle及びGerken,2000)。肝臓の免疫寛容特性は、同種肝移植物がMHC障壁にわたって受け入れられ得るという知見によって裏付けられる(Calne,1969)。さらに、門脈を介した抗原の適用は、おそらく抗原の全身適用よりも寛容に至る(Kamei外,1990)。肝臓を介した排出は、口腔免疫寛容誘導にとって不可欠であることが報告されている(Yang外,1994)。肝血管を通過する血液は、まずクッパー細胞及びLSECと接触する。肝臓シヌソイドを通る血流は遅いため、肝臓シヌソイド細胞集団と通過する白血球との接触が可能となる。LSECは、MHCII、CD80及びCD86のような抗原提示に必要な表面分子を有する(Lohse外,1996;Rubinstein外,1986)。ナイーブCD4+T細胞に調節表現型を誘導する(3Knolle外,1999)ことに加えて、LSECは、外因性抗原を交差提示することによってCD8+T細胞に寛容を誘導し得る(Limmer外,2000)。Klugewitz外(Klugewitz外,2002)は、Th1、IFN−γ産生TCR形質転換細胞をマウスに注射すると、静脈内蛋白質免疫化後に、肝臓内でこれらの細胞によるIFN−γ産生の抑制及びTh2細胞の促進を生じることを立証した。未成熟な寛容段階から免疫を開始させる成熟段階に分化し得るプロフェッショナル骨髄性APCとは対照的に、LSECは、MHCの下方調節及びエンドソームプロセッシングの妨害によってTNF−α及び内毒素として刺激に応答する(2Knolle外,1999)。さらに、LSECは、肝臓からリンパ器官に移動しない。LSECは、寛容の誘導に特化した唯一のAPCではない可能性がある。Pugliese外は、近年、内因的に発現する自己抗原を提示することによって寛容を誘導した脾臓DCの小さなサブセットを同定した(Pugliese外,2001)。全体的に、LSECは、寛容を誘導する目的でβ細胞抗原を提示するのに有利な細胞型であると思われる。
【0057】
好ましい態様及び具体例を含め、本方法の実施は、次の実施例から容易に理解されるであろう。これらの実施例は、単なる例示であり、決して限定するように解釈すべきではない。
【実施例】
【0058】
例1:抗mSIGNR1抗体の取得
ファージディスプレイ技術を使用して、mSIGNR1を認識する単鎖抗体(scFv)のパネルを同定した。scFvは、リンカーによって結合した可変軽鎖及び重鎖領域を含有する。それらの短い長さはこれらの抗体フラグメントを抗原結合のために非常に好適にし、また受容体に対する結合能力は保存されている。ウサギを組換えmSIGNR1で免疫化し、そして国際公開第WO02/46436A2号パンフレット(2002年6月13日発行)に記載されるファージディスプレイ用ベクターpRL4を使用してscFv抗体ライブラリーを構築した。この特許文献の開示は引用によってここに加えるものとする。この系における抗体フラグメントは、ファージの遺伝子IIIコート蛋白質上に提示される。mSIGNR1を認識する抗体を、組換えmSIGNR1上での4ラウンドの固相パニングによって単離した。6種の異なる抗体を同定した。これら6種の抗体のアミノ酸配列を図2A及びBに与えている(それぞれ、配列番号1〜6及び7〜12)。全ての抗体は固相ELISAでmSIGNR1を認識し、そしてヒトDC−SIGNのネズミホモログであるmDC−SIGNとの交差反応は全く観察されなかった。これらの抗体をHA及びHIS6でエピトープ標識した。mSIGNR1とDC−SIGNHISの両方を3T3EBNA細胞によって産生させ、そしてニッケルカラムで精製した。
【0059】
例2:細胞表面受容体への結合に基づき内在化される抗mSIGNR1抗体の同定
mSIGNR1を発現する細胞株のスクリーニング
ウサギマクロファージ細胞株のパネル(P388D1、1−13.35、WEHI−3及びJ774)を標準的な方法によるRT−PCRによってmSIGNR1の発現に対してスクリーニングする。プライマーをmSIGNR1のGenbank配列に基づきデザインし、これらのものをマウス器官のRT−PCRで使用する。mRNAレベルでmSIGNR1を発現する細胞株を同定し、そして表面発現をFACS分析によって確認する。5×105個の細胞を、1%BSA及び0.1%NaN3を含有するPBS中で1μgの抗mSIGNR1抗体と共に氷上で15分間、抗体の内在化を可能としない条件でインキュベートする。1%BSA及び0.1%NaN3を含有するPBSで2回洗浄した後に、結合した抗mSIGNR1をビオチニル化抗HA(ロシュ)、次いでPE結合ストレプタビジン(ベクトン・ディキンソン)によって検出し、そして細胞をFACS Calibur(ベクトン・ディキンソン)を使用して分析する。別法として、内在化を、肝臓シヌソイド内皮細胞のようなmSIGNR1を発現することが知られている一次細胞で決定する。また、LSEC上でのmSIGNR1の発現も上記のようなFACSによって確認できるが、ただし、反応当たり1×105個の細胞のみを添加する。
【0060】
内在化の測定
いったんmSIGNR1発現細胞株又は一次細胞型を同定したら、抗体パネルの内在化をFACS分析によって評価する。内在化がmSIGNR1の結合に基づくことを示すために、JAWS1マウス樹状細胞のようなmSIGNR1を発現しない細胞株を含める。ビオチニル化抗HA抗体、次いでPE結合ストレプタビジンを使用したそのままの浸透化細胞についての抗mSIGNR1検出を抗DEC−205抗体について記載されるように比較する(Mahnke外,2000)。細胞株について1.5×106個細胞又は一次細胞について3×105個細胞を、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBS中で3μgのmSIGNR1と共に20分間にわたって4℃でインキュベートして内在化なしで抗体を表面に結合させる。結合しなかった抗体を4℃の1%BSAを含有するPBSで2回洗浄することによって除去する。それぞれの試料を3つに分ける。3分の1を4%パラホルムアルデヒドで固定し、そして上記のように表面抗体を検出する。その他の3分の2を固定する前に37℃で30分間さらにインキュベートして内在化を可能にする。2分の1を抗HA及びストレプタビジンで直接検出し、残り2分の1を、0.1%(v/w)サポニン(シグマ・オールドリッチ)を含有するPBSで細胞をインキュベートすることによって浸透化させる。内在化された抗体の量を、固定された細胞中の平均の蛍光度を固定され且つ浸透化された細胞で記録されたものから差し引くことによって算出する。30分以内に最も高い内在化パーセンテージを有する抗体を、ペプチドを抗体に結合させるさらなる研究のために選択する。既存の無関係のウサギscFvをネガティブコントロールとして使用し、近年mSIGNR1に結合することが示された市販のER−TR9抗体(1Geijtenbeek外,2002)をポジティブコントロールとして使用する。また、ER−TR9のFabフラグメントもパパイン消化によって作製し、そして内在化について試験して二量体化が内在化の要件ではないことを確認する。所望ならば、このscFvをFab'2又はIgGに変換することができる。
【0061】
別の具体例では、mSIGNR1ライブラリーを、James D.Marksのグループによって説明されるように、抗体を内在化させるためにパニングする(Poul外,2000)。この具体例のために好適な方法を以下に概説する。
【0062】
mSIGNR1ファージライブラリーからの内在化抗体の選択
mSIGNR1を発現させるために上記のように同定された5×106個の細胞を、mSIGNR1ライブラリーからの1×1012コロニー形成単位のファージであってそれらの表面上で3遺伝子蛋白質に融合した抗体フラグメントを提示するものと1.5時間にわたって4℃でインキュベートして内在化なしにファージを結合させる。ファージの結合後に、これらの細胞を燐酸緩衝生理食塩水で5回洗浄して非特異的に結合した又は弱く結合したファージを除去する。次いで、表面に結合したファージのエンドサイトーシスを可能にする一方で、細胞内でのファージの分解を回避するように、細胞を15分間にわたって37℃でインキュベートする。細胞の表面に結合したファージを除去するために、細胞を低pHグリシン緩衝液で3回洗浄することによってストリップする。次いで、細胞をトリプシン処理し、そしてPBSで洗浄してから高pHトリエチルアミンで溶解させる。ファージを含有する細胞溶解物を使用してE.coliに感染させて次の選択ラウンド用のファージを調製する。3ラウンドの選択の全てを実行する。細胞表面に結合したファージの力価(最初の低pHグリシン洗浄で見出される)及び細胞内から回収されるファージの数をそれぞれのラウンドについて監視する。エンドサイトーシスを受けたファージの数の増加は、内在化するファージ抗体の選択がうまくいったことを示す。
【0063】
内在化されたscFv抗体フラグメントのいずれもmSIGNR1に結合するのかどうかを決定するために、ラウンド3からの500個のクローンを自動Qpix(ジェネティクス)システムを使用して選択し、そしてHiGrowシェーカー(ジーン・マシーン)で一晩SB培地入りの96ウェルディッシュ中で生長させる。次の日に、ディッシュをスピンダウンし、そして上澄み液を自動Genesis freedom 200(Tecan)システムを使用する固相mSIGNR1 ELISAで試験する。96ウェルELISAプレートを1μgのmSIGNR/mL PBSで一晩4℃でコートする。翌日に、プレートを1%BSAでブロックし、次いで0.05%のTweenを含有するPBSで3回洗浄する。コントロールのプレートを1%のBSAでコートする。抗体を含有する上澄み液をmSIGNR1又はBSA単独のウェルに1%のBSAを含有するPBS中0.05〜5μg/mLの濃度で添加する。シェーカー上で室温で2時間振盪後に、プレートを0.05%のTweenを含有するPBSで3回洗浄する。結合したscFvの検出のために、抗HA抗体(12CA5マウスの腹水,ストラテジック・バイオソルーションズ,デラウェア)を1%のBSAを有するPBSでの1:1000希釈で添加する。シェーカー上で室温で2時間振盪後に、プレートを再度洗浄し、アルカリ性ホスファターゼ結合抗マウスIgG(シグマ)を2時間にわたって添加する。3回以上洗浄した後に、結合した抗体をSigma 104(登録商標)基質を使用して検出する。これらのプレートをELISAプレート読み取り装置(モレキュラー・デバイセズ)を使用してOD405で様々な時点で読む。
【0064】
ELISAにおいて正のシグナルを与えるクローンを制限酵素消化パターンによって特徴付ける。DNAをQiagen社製ミニプレップキットを使用して単離する。2μgのDNAを5UのEcoRIIで2時間にわたって37℃で消化し、次いでこれらの試料を4%のNuSieveアガロースゲルに流す。パターンを比較し、そして配列を少量(約100〜300μg)で精製する。scFvを細菌の細胞周辺腔に適切にアセンブルし、そして分泌させる。scFvは、上澄み液又は細胞周辺腔のいずれかから単離できる。クローンを4リットルのSB中で0.8のOD600にまで生長させ、そして1mMのイソプロピル−p−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で3〜4時間にわたって30℃で誘導させて最適な量のscFvを産生させる。細胞周辺腔から単鎖抗体を単離するために、細胞ペレットを、Complete Mini(ロシュ)プロテアーゼ阻害剤が添加された冷却PBSに再懸濁し、そしてソニックス製Vibra−cell VC750を使用して超音波処理する。次いで、細胞の破片をペレットにし、そして上澄み液をAkta FPLC(ファルマシア)を使用してQiagen Ni−NTAカラムに適用する。抗体をイミダゾールで溶出させる。この方法は、一般に、約100〜300μgの精製抗体/リットルを生じさせる。内毒素をSartoriusQ15フィルターにより濾過することによって除去する。これは、一般的に、LAL試験(バイオ・ホイッタカーから購入できるアッセイ法)によって決定されるときに10U/mL以下の内毒素を含有する抗体調製物を生じさせる。抗体を上記のように内在化について並びに固相ELISAで組換えmSIGNR1への結合について再度分析する。30分以内に最も高い内在化パーセンテージ及び固相ELISAにおいて良好なシグナル(1μg/mLで1時間後に>10D)を有する抗体を選択してペプチド−抗体構築物を作製する。
【0065】
例3:GADペプチドの抗体への結合
ベクター及びクローニング戦略
最良の細菌産生scFvの同定後に、ほ乳類発現系への転換を行う。ほ乳類での発現は、好適なペプチドの二次修飾及び内毒素フリー産生を可能にする。図3に示されるような互換性のある制限部位を有するベクター(例えば、米国特許第6355245号に記載されるもの。この開示は、引用によってここに加えるものとする。)を使用する。pRL4(上で説明した)内にある対象の抗体からのDNAをSfiで切断し、そしてCMVプロモーターとほ乳類抗体リーダー配列とを含むApex 3Pベクターに挿入する。対象のペプチドをコードするヌクレオチドを挿入するために、制限部位を抗体配列内には含まれない利用可能な部位(MCS=NaeI、FseI、XbaI、EcoRI、PstI、EcoRV、BSABI、BstXI、NotI、BsrBI、Xho、PbvIOI、SphI、NsiI、XbaI)から選択する。ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドをそれぞれの末端に好適な制限部位を有するOperonによって合成し、そしてT4DNAリガーゼを使用して挿入する。得られた構築物は、scFv、その後の選択された制限酵素によって決定されるスペーサー、その後のペプチド及びHISタグを含むであろう(図3)。配列を標準的な技術を使用して確認してから抗体産生用の393EBNA細胞にDNAをトランスフェクトする。
【0066】
ペプチドの選択
既知の糖尿病自己抗原であるインスリン、hsp並びにGAD65及び67のペプチドのいずれもここに説明する方法で使用できることを理解すべきであるが、次の実験については、GADを該ペプチドとして選択する。GAD反応性T細胞は、NODマウスにおいて検出される第1の自己反応性T細胞であり(Tisch外,1993;Kaufman外,1993)、且つ、病気のプロセスに重要であることが示されている。さらに、ヒト及びネズミのGADは、95%の相同性がある。脾臓NOD T細胞によって認識されるエピトープが広く特徴付けられており(Kaufman外,1993;Tisch外,1999;Zechel外,1998)、多くの免疫優性ペプチドがNODマウスとT1DMの患者において類似し、そしてこれは試験管内T細胞アッセイにおいて区別なく使用されてきた(Kaufman外,1993)。NODマウスにおける初期の免疫応答は、GAD65のカルボキシ末端領域内の所定の領域(ペプチド509〜528、ペプチド524〜543)に対して向けられる(Kaufman外,1993)。また、より後期のT細胞応答は、200〜300の間の他の領域並びに他の自己抗原にも向けられる。初期CD4 GAD65 T細胞エピトープのペプチド524〜543(SRLSKVAPVIKARMMEYGGT(配列番号13)、マウス及びヒトで同一の配列)の一つ並びにより後期に生じるネズミGAD65エピトープのペプチド247−266(NMYAMLIARYKMFPEVKEKG(配列番号14)、ヒトとマウスとで1アミノ酸の相違:下線)及びペプチド290−309(ALGIGTDSVILIKCDERGK(配列番号15)、マウスとヒトで同一の配列)の2つをこの実験でペプチドとして使用するために選択する。3種のエピトープの全てがNODの脾臓細胞内で自発的な増殖応答を誘導し得る。さらに、ペプチド247〜266及びペプチド290〜309によるペプチド免疫化は、NODマウスにおいて糖尿病の発病を遅延させることが示された(Ma外,1997;Tisch外,1999;Zechel外,1998)。CD4T細胞エピトープのほかに、CD8T細胞エピトープに対する寛容も重要であることが報告されている(Quinn外,2001;Bercovici外,2000)。ネガティブコントロールとして、抗体構築物を鶏卵リゾチームペプチド116〜124(KGTDVQAWI)(配列番号16)で作製する。次いで、試験管内研究において最も効果的なこれらのものからのペプチドを抗体構築物と様々な組み合わせで結合させ、そしてNOD糖尿病モデルで試験する。
【0067】
例4:抗体−ペプチド構築物の作製及び精製
T細胞実験のために、ほぼ300μgのそれぞれの抗体構築物をEBNA293ヒト胚性腎細胞内で産生させる。細胞を10%のFCS、2mMのグルタミン及び250U/mLのG418(シグマ)を有するDMEM中で増殖させる。T175フラスコ中の細胞にQiagen製Effectine試薬を使用して該メーカーの指示に従いDNAをトランスフェクトする。3日後に培地を血清を有しない培地に交換する。4日目及び8日目に上澄み液を集め、細胞の破片を遠心分離によって除去し、そして透明な上澄み液をAkta−FPLCを使用してNi−カラム上に充填する。抗体をイミダゾールで溶出させ、PBSに透析し、そして正確な寸法を1μgをSDSゲルに流すことによって確認する。
【0068】
例5:ペプチド提示を生じさせるLSECによる抗体−ペプチド構築物の内在化及びT細胞に及ぼすこの提示の影響
肝臓シヌソイド細胞を試験管内でペプチド−抗体構築物でターゲティングし、そしてこれらの細胞が若いNOD又はバルブ/cマウス由来のT細胞に表現型の変化を誘導し得るかどうかを決定する。
【0069】
ネズミシヌソイド内皮細胞の単離
肝臓シヌソイド内皮細胞を生後3週間のNOD又は生後4〜6週間のバルブ/cマウスから単離する。Kretz−Rommelによって記載されるように(Kretz−Rommel及びBoelsterli,1995)、まずカルシウムをキレート化し且つ細胞−細胞接触を緩和するためのEGTAで門脈灌流し、その後細胞間マトリックスを分解させるための0.05%コラゲナーゼAハンクス緩衝液で灌流することによって細胞を得る。この灌流された肝臓をマウスから取り出し、そして角度付きの鉗子で穏やかに作業する。得られた粗細胞懸濁液を一連の金属シーブ(30、50、80メッシュ)を通して濾過して大きな組織断片を除去する。シヌソイド細胞をメトリザミド勾配に基づく密度勾配遠心分離(1.089g/cm3)によって実質組織細胞から分離し、その後2回の洗浄工程を実施して細胞の破片を除去する(3Knolle外,1999)。この時点で、クッパー細胞と肝臓シヌソイド細胞との混合物が得られる。FACS実験についてはこれで十分である。というのは、クッパー細胞は、クッパー細胞を認識する一方で肝臓シヌソイド細胞を認識しないF4/80抗体を使用して肝臓シヌソイド内皮細胞から区別できるからである。しかしながら、T細胞及びペプチドとの同時培養実験については、クッパー細胞をPE結合F4/80(BDファルミンゲン)、次いでMiltenyi製抗PEマイクロビーズで標識し、そしてメーカーの指示に従いMACSカラム及びセパレーターを使用してこの標識細胞を磁気選別することによってクッパー細胞を除去する。残りの細胞集団を、10%のウシ胎仔血清及び2%のグルタミンが添加されたダルベッコ製改変イーグル培地(DMEM)入りの96ウェル組織培養プレート上に接種する。細胞集団の純度を、抗mSIGNR1及び抗F4/80を使用した表面マーカーに対するFACS染色による単離後3日目に調査する。mSIGNR1はクッパー細胞上には存在しない(1Geijtenbeek外,2002)。90%の純度が実験を続行するのに十分であるとみなされる。実験当たり2個のマウスの肝臓を使用し、予期される収量は約2×107個の細胞である(Knook及びSleyster,1976,マウスについて推定される収量)。
【0070】
T細胞表現型アッセイ
T細胞アッセイは、ペプチド−抗体構築物が肝臓シヌソイド内皮細胞によるペプチドの提示を生じさせるかどうか及びペプチドの提示がT細胞の表現型の変化を誘導し得るかどうかを証明する。肝臓シヌソイド内皮細胞を平底マイクロタイタープレート内で1×105細胞/ウェルの密度で培養する。シヌソイド細胞を3日間にわたって保持した後に、CD4+T細胞を上記のように生後3週間及び生後8週間のNODマウス又は生後4〜6週間のバルブ/cマウスから精製し、そして104又は105細胞/ウェルで添加する。また、0.1〜5pg/ウェルの濃度でそれぞれの抗体−ペプチド構築物も添加する。ポジティブコントロールとして、それぞれのGAD及びコントロールのペプチド自体を含める。ペプチドをSynPep(Dublin,カリフォルニア)で合成する。ネガティブコントロールのウェルは、T細胞単独又は肝臓シヌソイド単独を含む。
【0071】
T細胞に対するLSECによるペプチド提示について4つの見込まれる結果が存在する:(1)TGF−P及び/又はIL−10とIL−4の産生或いはCD4+CD25+CD62Lの発現によって特徴付けられる調節T細胞の誘導、(2)T細胞の欠損又は(3)完全な欠落又は応答、(4)また、ペプチド提示は、応答を誘導する代わりに、Th1細胞産生IL−2の刺激を生じさせることも考えられる。これらの可能性を区別するために、培地の上澄み(各100pL)を24時間及び48時間目に集め、そして以下に説明するようにサイトカイン産生についてアッセイする。生後3週間のT細胞応答を生後8週間のNODマウスのT細胞並びにGADに対する自発的応答を示さないバルブ/cマウス由来T細胞と比較する。アッセイを3重に設定し、そして2回繰り返す。T細胞の混合物を使用するため、上澄み液におけるサイトカイン応答は、容易には確認できないかもしれない。しかしながら、細胞の混合物は、生体内での状況を反映し、そしてGAD特異的T細胞応答は、全脾臓細胞を使用して確認される(Tisch外,1993)。
【0072】
調節T細胞の誘導についてのより敏感な基準として、細胞を培養3日後にFACS分析によってCD25、CD4及びCD62L(Lafaille及びLafaille,2002)のような典型的な表面マーカーの発現について評価する。全ての試薬はBD−ファルミンゲン社から購入できる。また、IL−4産生もFACSによって分析する。以下に説明するようなLSEC/ペプチド露出T細胞の潜在的な免疫抑制特性の機能試験がこの系における寛容誘導についての最終的な試験である。LSECによって提示されたペプチドが細胞死を誘導する可能性を、ロシュ製細胞死ELISAキットを使用して該メーカーの指示に従い培地の上澄み液中で評価する。
【0073】
脾臓細胞及びCD4+T細胞の単離
NOD又はバルブ/cマウスからの脾臓を滅菌環境中で取り出し、研究所において日常的に実行されるようにPBS中に置く。細胞を18〜21ゲージ針を使用して分離し、そしてより大きな断片を沈降させる。上澄み液を取り出し、そして200Gで7分間遠心分離する。赤血球細胞を脾臓当たり5mLの0.83%NH4Clを使用して溶解させる。細胞をPBSで2回洗浄し、次いで培地に再懸濁させる。ある種の実験については、全脾臓細胞を使用する。その他の実験については、CD4+T細胞をMiltenyi社製(カリフォルニア州オーバーン)CD4+T細胞単離キットを使用して該メーカーの指示に従い単離する。様々な細胞集団の磁気単離は、当業者の範囲内にある。一つの方法では、単離は、CD8a、CDI1b、CD45R、DX5及びTer−1 19に対するビオチン結合モノクローナル抗体のカクテルを使用する非CD4+T細胞の枯渇に基づく。単離された集団の純度をFITC結合抗CD4、PE結合抗CD8、APC結合抗CD11b及びcy−5結合CD45R(全てeBioscience社,カリフォルニア州サンディエゴ)の混合物の染色によって評価する。予期される純度は70%の収率で90〜95%である。少なくとも1×108個の細胞がマウス脾臓から得られ、そして脾臓細胞の約25%がCD4+であるから、175個の96ウェルマイクロタイタープレートのウェルには十分な約1.75×107個の細胞が得られ得る。
【0074】
サイトカイン産生の測定
T細胞/LSEC同時培養の上澄み液中におけるIL−10、TGF−P、IFN−γ、IL−4及びIL−2の存在を標準的なサンドイッチELISAによって説明通りに決定する(Kretz−Rommel及びRubin,1997)。全ての抗体のペアは、BD−ファルミンゲン社から購入できる。サイトカイン捕捉抗体をPBS中でプレート上に一晩4℃でコートする。PBS/0.05%Tweenで3回洗浄した後に、培地の上澄み液とマウス組換えサイトカインの基準曲線とを加え、そしてシェーカー上で2時間室温でインキュベートする。プレートを再度洗浄し、そして結合したサイトカインをアルカリ性ホスファターゼ結合抗サイトカイン抗体で検出する。3回洗浄した後に、Sigma104(登録商標)基質を添加し、そしてこのプレートをELISAプレート読み取り装置(モレキュラー・デバイセズ)を使用してOD405で様々な時点で読む。
【0075】
例6:LSEC上に提示されたGADペプチドさらされたT細胞がその後にGADを提示するプロフェッショナルAPCによる自己反応性T細胞の活性化を阻害し得るかどうかの評価
さらなる実験において、肝臓シヌソイド内皮細胞上のペプチドに3日間にわたってさらされたT細胞が脾臓プロフェッショナルAPC上に提示されるペプチドによる自己反応性T細胞の活性化を負に調節し得るかどうかを試験する。試験管内で調節特性を有するT細胞が誘導される可能性が多数の研究所によって示されている(Wakkach外,2001;Barrat外,2002;Thorton及びShevach,1998)。免疫抑制特性は、免疫刺激が正常に観察される培養系に調節T細胞を添加することによって試験できる。APCとT細胞の両方を含む生後7週間のNODマウス由来の脾臓細胞へのGADペプチドの添加は、強力な増殖応答によって示されるような免疫活性化系を与える。調節T細胞の添加は、この応答を排除させる。105又は106個の脾臓細胞をLSEC及びペプチド結合抗体にさらされたT細胞を含有するウェル当たり0.1、1又は10μmのペプチドと共に添加する。コントロールのウェルは、脾臓細胞をペプチド単独及びLSEC+T細胞単独と共に含む。さらに、推定される調節T細胞が増殖に有意に寄与することを排除するために、コントロールのウェルは、放射線照射を受けた脾臓細胞(600RAD、Joe AguileraによるUCSD照射サービス施設で実行される)と、予めLSECにさらされたT細胞と、ペプチド−抗体構築物とをも含む。放射線照射を受けた脾臓細胞は抗原を提示できるが、増殖はしない。1μCi3H−チミジンを増殖のための読み取りとして新たに合成されたDNAを標識するための72時間培養期間の最後の16時間の間にそれぞれのウェルに添加する。細胞をパッカード社製Universal Cell Harvesterを使用して採取し、そして取り込まれた3H−ヒスチジンをTopcount(パッカード)を使用して評価する。脾臓細胞及び予めLSEC+ペプチドにさらされたT細胞を含有する培地中での3Hチミジンの取り込みが脾臓細胞培地と比較して減少する場合には、T細胞は、調節特性によってうまく誘導されている。ペプチド結合抗mSIGNR1抗体がNODマウスにおいて調節T細胞を誘導し得るかどうか、また病気が停止し得るかどうかも試験する。
【0076】
例7
マウスの抗ヒトL−SIGN抗体を組換えファージ技術を使用して同定した。組換えヒトL−SIGNで免疫化されたマウスの重鎖及び軽鎖の組み合わせから得られたマウスライブラリー(IgG1k及びIgG2ak)をWO03/025202に開示された方法によって調製した(その内容は、引用によってここに加えるものとする)。いったん調製したら、これらのライブラリーをまずヒトDC−SIGN上でパニングしてDC−SIGNと交差反応する抗体を除去した。結合していない上澄み液をL−SIGNとユニークに反応するクローンを選択するために使用した。これらの2つのライブラリー(IgG1及びIgG2a)のそれぞれについて95個のコロニー(36/ラウンド)の全てを誘導し、そして抗体産生及びそれらのL−SIGNとの反応性を捕捉ELISAによって決定した。簡単に説明すると、抗ヒトFc(Caltag)をELISAプレート上に500ng/mLで一晩コートした。これらのプレートを1%のBSAを含有するPBSでブロックし、次いで2μg/mLの組換えL−SIGNを添加した。プレートをPBSで洗浄した後に、上澄み液を添加した。室温で12時間インキュベートした後に、プレートを3回洗浄し、そしてアルカリ性ホスファターゼ結合抗Fab抗体を2時間にわたって添加した。SigmaS基質の添加後のシグナルをELISA読み取り装置(モレキュラー・デバイセズ)を使用して評価した。
【0077】
これらのクローンの大部分は、抗体がファージ上に良好に結合(OD405>1.0)していることを示した。IgG1及びIgG2aライブラリーの両方からのいくつかのクローンは、ヒトL−SIGNとの積極的な反応性を示した。結果を図4及び5に示す:図4は、ヒトL−SIGNとIgG1クローンとの反応性を表している。図5は、ヒトL−SIGNとIgG2aクローンとの反応性を表している。
【0078】
例8
ヒトL−SIGNとユニークに反応するクローンを同定するために、バックグラウンドの5倍以上のOD値を有する例7からのクローンの全てを選択してそれらのヒトDC−SIGNとの反応性をELISAによって試験した。抗ヒトFc(Caltag)をELISAプレート上で500ng/mLで一晩コートした。これらのプレートを1%のBSAを含有するPBSでブロックし、次いで2μg/mLの組換えDC−SIGNを添加した。プレートをPBSで洗浄した後に、上澄み液を添加した。室温で12時間インキュベートした後に、プレートを3回洗浄し、そしてアルカリ性ホスファターゼ結合抗Fab抗体を2時間にわたって添加した。SigmaS基質の添加後のシグナルをELISA読み取り装置(モレキュラー・デバイセズ)を使用して評価した。
【0079】
IgG1ライブラリーからの10個のクローン及びIgG2aライブラリーからの3個のクローンは、ヒトL−SIGNとユニークに反応することが分かった(DC−SIGNに対して5〜10倍高いOD値)。結果を図6及び7に示す:図6は、L−SIGN及びDC−SIGNとIgG1ポジティブクローンとの反応性を示している。図7は、L−SIGN及びDC−SIGNとIgG2aクローンとの反応性を示している。
【0080】
例9
ヒトL−SIGNのみと反応するものとして同定された13個のクローンと、例8において同定されたようなL−SIGN及びDC−SIGNの両方と強く反応する9個のクローンとの配列を解読してユニーククローンの数を決定した。配列は、当業者に周知の技術によって決定した。これらのクローンの配列を図8及び9に示す:重鎖クローンについての配列を図8A〜8Cに示しており(配列番号17〜36)、軽鎖クローンについての配列を図9A〜9Bに示している(配列番号37〜55)。
【0081】
配列決定の結果から、軽鎖と比較してさらに多様な重鎖の群が明らかになった。また、これらの抗体クローンの多様性を異なる軽鎖と同一の重鎖とを交差対合させることによっても高めた。L−SIGNと反応する5個のユニーククローンの全てを同定し、そしてクローンをそれらのアミノ酸配列の類似性に基づき分類した(以下の表1参照)。
【0082】
【表1】

【0083】
配列決定のために選択されたクローンとL−SIGN及びDC−SIGNとの反応性(OD値)を以下の表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
図8に示すように、ヒトDC−SIGNRに結合する抗体の重鎖CDR3領域は、次のアミノ酸配列:LGGL(配列番号56);EFTTKAMD(配列番号57);GLFYGYAWFN(配列番号58)のうちの一つを有することが分かった。図9に示すように、ヒトDC−SIGNRに結合する抗体の軽鎖CDR3領域は、次のアミノ酸配列:QQYSSYPLT(配列番号59);QQSNEDPRT(配列番号60);QQNNEDPYT(配列番号61);LQNNEDPYT(配列番号62)のうちの一つを有することが分かった。
【0086】
例10
上の例7からの追加のクローンを、例7に記載した手順を使用して、それらのものがL−SIGNに結合する能力について試験した。配列は、当業者に周知の技術によって決定した。これらの追加のクローンについての配列を図10に示す(配列番号63〜82)。図10に示されるように、ヒトDC−SIGNRに結合する抗体の5個の追加の重鎖CDR3領域は、次のアミノ酸配列:PSDNSYAWFA(配列番号83);QATTTAFD(配列番号84);TATALSTMD(配列番号85);NDYYWGFG(配列番号86);TATALYTMD(配列番号87);及びEFTTKALD(配列番号88)のうちの一つを有することが分かった。ヒトDC−SIGNRに結合したこれらのクローンのCDR2領域は、次のアミノ酸配列:MIDPSNSEARLNQRFKD(配列番号89);TISSGGSFTFYPDSVKG(配列番号90);NIDPYYGGTSYNQKFKG(配列番号91);VIWRGGNTDYNAAFMS(配列番号92);NFDPYYGVITYNQKFKG(配列番号93);NIDPYYGGSSYNQKFKG(配列番号94);及びTISSGGSFTYYPDNVKG(配列番号95)のうちの一つを有することが分かった。
【0087】
表3は、L−SIGNを発現する細胞との反応性に基づき選択された追加のIgG1k抗体クローンを示している。
【0088】
【表3】

【0089】
表4は、追加のIgG1k抗体クローンと、L−SIGN(相乗平均蛍光度)並びに組換えL−SIGN及びDC−SIGN蛋白質(OD値)を発現する細胞との反応性を示している。
【0090】
【表4】

【0091】
図11に示されるように、ヒトDC−SIGNRに結合する追加のクローンを同定した(配列番号96〜115)。これらのクローンは、次のアミノ酸配列:QYHRSPQT(配列番号116);CQQFTSSPS(配列番号117);QQYSGYPLT(配列番号118);QQYSGYPGT(配列番号119);HQYHRSPPMT(配列番号120);QQRSSYPFT(配列番号121);QQYSSYPFT(配列番号122);QQNNEDPPT(配列番号123);QQYSGYSLT(配列番号124);QQYSGYPLMLT(配列番号125);QQYGGYPLT(配列番号126);QQNNEDPYT(配列番号127);QQYSGSPLT(配列番号128)のうちの一つを有するIgG1k軽鎖CDR3領域を有することが分かった。ヒトDC−SIGNRに結合したこれらのクローンのCDR2領域は、次のアミノ酸配列:STSNLASG(配列番号129);LASNLESG(配列番号130);STSNQAPG(配列番号131);WASTRHTG(配列番号132)のうちの一つを有することが分かった。
【0092】
表5は、L−SIGNを発現する細胞との反応性に基づき選択された追加のIgG2ak抗体クローンを示している。
【0093】
【表5】

【0094】
表6は、追加のIgG2ak抗体クローンと、L−SIGN(相乗平均蛍光度)並びに組換えL−SIGN及びDC−SIGN蛋白質(OD値)を発現する細胞との反応性を示している。
【0095】
【表6】

【0096】
図12に示すように、ヒトDC−SIGNRに結合する追加の重鎖クローンを同定した(配列番号133〜154)。これらのクローンは、次のアミノ酸配列:TREFTTKALD(配列番号155);TREFTTKAMD(配列番号156);ARTATALYTMD(配列番号157);LRTLPCI(配列番号158);SREFTTKAMD(配列番号159);ARQLXXYFXMD(配列番号160)のうちの一つを有するIgG2ak重鎖CDR3領域を有することが分かった。ヒトDC−SIGNRに結合したこれらのクローンのCDR2領域は、次のアミノ酸配列:TISSGGSFTYYPDNVKG(配列番号161);NIDPYYDSISYNQKFKG(配列番号162);NFDPYYGVITYNQKFKG(配列番号163);TISSGGSYTYYPDNVKG(配列番号164);XFXTDWFYXT(配列番号165);NFDPYYGVISYNQKFKG(配列番号166);TISSGGGFTYYPDNVKG(配列番号167);XIYPGTDNTYYNEXFKG(配列番号168)のうちの一つを有することが分かった。
【0097】
図13に示すように、ヒトDC−SIGNRに結合する追加の軽鎖クローンを同定した(配列番号169〜189)。これらのクローンは、次のアミノ酸配列:QQNNEDPYT(配列番号190);SGYPLTFGS(配列番号191);HRSPPMTFG(配列番号192);QQNNEDPFT(配列番号193);YSGYPLTFG(配列番号194);NTLPLTFG(配列番号195);QQSKEVPWT(配列番号196);LQNNEDPYTF(配列番号197)のうちの一つを有するIgG2ak軽鎖CDR3領域を有することが分かった。ヒトDC−SIGNRに結合したこれらのクローンのCDR2領域は、次のアミノ酸配列:LASNLES(配列番号198);LASNLEF(配列番号199);NLASGVP(配列番号200);NLASGV(配列番号201);AASNQGS(配列番号202)のうちの一つを有することが分かった。
【0098】
次の文献は、引用によってここに加えるものとする。
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【0099】
上記記載は限定であると解釈すべきではなく、好ましい具体例の単なる例示であると解釈すべきである。当業者であれば、この開示の範囲及び精神内でその他の改変を考えるであろう。
【0100】
ここに開示された具体例に対する様々な変更をなし得ることが理解されるであろう。例えば、当業者であれば認識するであろうが、ここに記載された特定の配列を、抗体又は抗体フラグメントの機能性に必ずしも悪影響を及ぼすことなく僅かに変更することができる。例えば、抗体配列における単一の又は複数のアミノ酸の置換を、抗体又はフラグメントの機能性を破壊することなく高い頻度でなし得る。従って、ここに記載される特定の抗体に対して70%以上の相同性を有する抗体は、本発明の範囲内にあることを理解すべきである。特に有用な具体例では、ここに記載された特定の抗体に対して約80%以上の相同性を有する抗体が予期される。その他の有用な具体例では、ここに記載された特定の抗体に対して約90%以上の相同性を有する抗体が予期される。従って、上記記載は、限定と解釈すべきでなく、好ましい具体例の単なる例示と解釈すべきである。当業者であれば、本発明の範囲及び精神内で様々な変更を考えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に従う抗体/自己抗原構築物と抗原提示細胞(APC)及びT細胞との相互作用を示す概略図である。
【図2A】ウサギ抗mSIGNR1scFv抗体の重鎖アミノ酸配列(配列番号1〜6)を示す図である。
【図2B】ウサギ抗mSIGNR1scFv抗体の軽鎖アミノ酸配列(配列番号7〜12)を示す図である。
【図3】抗体ペプチド構築物産生用ベクターの一部分の概略図である。
【図4】IgG1クローンとヒトDC−SIGNRとの反応性を示す本発明に従う試験管内実験の結果についてのグラフ図である。
【図5】IgG2aクローンとヒトDC−SIGNRとの反応性を示す本発明に従う試験管内実験の結果についてのグラフ図である。
【図6】IgG1クローンとヒトDC−SIGNR及びDC−SIGNとの反応性を示す本発明に従う試験管内実験の結果についてのグラフ図である。
【図7】IgG2aクローンとヒトDC−SIGNR及びDC−SIGNとの反応性を示す本発明に従う試験管内実験の結果についてのグラフ図である。
【図8A】ヒトDC−SIGNRと反応する重鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号17〜36)を示す図である。
【図8B】ヒトDC−SIGNRと反応する重鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号17〜36)を示す図である。
【図8C】ヒトDC−SIGNRと反応する重鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号17〜36)を示す図である。
【図9A】ヒトDC−SIGNRと反応する軽鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号37〜55)を示す図である。
【図9B】ヒトDC−SIGNRと反応する軽鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号37〜55)を示す図である。
【図10】ヒトDC−SIGNRと反応する追加の重鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号63〜82)を示す図である。
【図11】DC−SIGNRと反応する追加の軽鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号46〜226)を示す図である。
【図12】DC−SIGNRと反応する追加の重鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号133〜154)を示す図である。
【図13】DC−SIGNRと反応する追加の軽鎖クローンのアミノ酸配列(配列番号169〜189)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患の治療方法であって、
抗原提示細胞の受容体に対する抗体に結合した自己抗原を含有する抗体/自己抗原構築物を準備し、
該抗体/自己抗原構築物を被検体に投与すること
を含む、自己免疫疾患の治療方法。
【請求項2】
糖尿病の治療方法であって、
グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、GADのエピトープ、インスリン、インスリンのエピトープ、熱ショック蛋白質(HSP)、HSPのエピトープ及びβ細胞抗原よりなる群から選択される自己抗原であって抗原提示細胞受容体に対する抗体に結合したものを含有する抗体/自己抗原構築物を準備し、
該抗体/自己抗原構築物を被検体に投与すること
を含む、糖尿病の治療方法。
【請求項3】
抗体/自己抗原構築物を準備する段階が、樹状細胞、マクロファージ、内皮細胞のクッパー細胞及びB細胞よりなる群から選択される抗原提示細胞の受容体に対する抗体を含有する抗体/自己抗原構築物を準備することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
抗体/自己抗原構築物を準備する段階が、DEC−205、マンノース受容体、DC−SIGN、DC−SIGNR、MHC、トール受容体、ランゲリン、アシアロ糖蛋白質受容体、β−グルカン受容体、C型レクチン受容体及び樹状細胞免疫受容体よりなる群から選択される受容体に対する抗体を含有する抗体/自己抗原受容体を準備することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
抗体/自己抗原構築物を準備する段階が、DEC−205、マンノース受容体、DC−SIGN及びDC−SIGNRよりなる群から選択される抗原内在化受容体に対する抗体を含有する抗体/自己抗原構築物を準備することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
抗体/自己抗原構築物を準備する段階が、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、GADのエピトープ、インスリン、インスリンのエピトープ、熱ショック蛋白質(HSP)、HSPのエピトープ及びβ細胞抗原よりなる群から選択される自己抗原を含有する抗体/自己抗原構築物を準備することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
抗体がDC−SIGNR又はDC−SIGNRの変異体を認識する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
抗原提示細胞上の受容体に対する抗体をある種のペプチドに結合させてなる抗体/ペプチド構築物。
【請求項9】
ペプチドが自己抗原である、請求項8に記載の抗体/ペプチド構築物。
【請求項10】
抗体が、樹状細胞、マクロファージ、内皮細胞のクッパー細胞及びB細胞よりなる群から選択される抗原提示細胞上の受容体に対するものである、請求項8に記載の抗体/ペプチド構築物。
【請求項11】
抗体が、DEC−205、マンノース受容体、DC−SIGN、DC−SIGNR、MHC、トール受容体、ランゲリン、アシアロ糖蛋白質受容体、β−グルカン受容体、C型レクチン受容体及び樹状細胞免疫受容体よりなる群から選択される受容体に対するものである、請求項8に記載の抗体/ペプチド構築物。
【請求項12】
自己抗原が、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、GADのエピトープ、インスリン、インスリンのエピトープ、熱ショック蛋白質(HSP)、HSPのエピトープ及びβ細胞抗原よりなる群から選択される、請求項9に記載の抗体/ペプチド構築物。
【請求項13】
抗体に結合した毒素をさらに含む、請求項8に記載の抗体/ペプチド構築物。
【請求項14】
抗体に結合した毒素が腫瘍細胞毒素に対するものである、請求項13に記載の抗体/ペプチド構築物。
【請求項15】
請求項8に記載の抗体/ペプチド構築物及び薬剤として許容できるキャリアを含む組成物。
【請求項16】
抗原提示細胞の受容体に対する抗体を自己抗原に結合させることを含む、組換えによって改変抗体を作製するための方法。
【請求項17】
自己抗原を樹状細胞、マクロファージ、内皮細胞のクッパー細胞及びB細胞よりなる群から選択される抗原提示細胞の受容体に対する抗体に結合させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
自己抗原をDEC−205、マンノース受容体、DC−SIGN、DC−SIGNR、MHC、トール受容体、ランゲリン、アシアロ糖蛋白質受容体、β−グルカン受容体、C型レクチン受容体及び樹状細胞免疫受容体よりなる群から選択される受容体に対する抗体に結合させる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
自己抗原が、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、GADのエピトープ、インスリン、インスリンのエピトープ、熱ショック蛋白質(HSP)、HSPのエピトープ及びβ細胞抗原よりなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
DC−SIGNR発現細胞とICAM発現細胞との相互作用を妨害するDC−SIGNRに対する抗体。
【請求項21】
請求項20に記載の抗体及び薬剤として許容できるキャリアを含む組成物。
【請求項22】
請求項20に記載の抗体を含むワクチン。
【請求項23】
ウイルスが肝細胞に入るのを阻害するDC−SIGNRに対する抗体。
【請求項24】
請求項23に記載の抗体を含むワクチン。
【請求項25】
請求項23に記載の抗体及び薬剤として許容できるキャリアを含む組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−521387(P2006−521387A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509074(P2006−509074)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/006570
【国際公開番号】WO2004/091543
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(503102674)アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】