説明

対向ロータ機構

【課題】対向ロータ機構において、動力伝達機構として使用する場合に、構造を過度に大型化することなく、入力側と出力側との間での速度比の設定の自由度を向上させることである。
【解決手段】磁性材製の内側ロータ12と、内側ロータ12の径方向外側に内側ロータ12と同心に配置された磁性材製の外側ロータ14と、外側ロータ14の径方向外側に設けられた磁石付ステータ16とを備える。内側ロータ12の一部外周面に、複数の内側歯要素30を有する内歯28を設ける。外側ロータ14の一部で内歯28と径方向に対向する部分に、複数の柱部36を有する孔部付円筒部32を設ける。内側歯要素30の円周方向のピッチPiと、柱部36の円周方向のピッチPoとを互いに異ならせる。磁石付ステータ16の内周側の磁界強度の高い部分と低い部分とを、円周方向に関して交互に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性材製の内側ロータと、内側ロータの径方向外側に内側ロータと同心に配置された磁性材製の外側ロータと、内側ロータの径方向内側または外側ロータの径方向外側に設けられた磁界発生部とを備える対向ロータ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、異なる軸心を有し、互いに対向する2個のマグネット回転体、または2個の磁石を備える対向ロータ機構が知られている。例えば、特許文献1には、多極に着磁された2個のマグネット回転体を、互いの外周面同士が間隙を存して、磁極同士を互いに異極による吸引磁力を持って対向せしめ、一のマグネット回転体の回動に追随して、他のマグネット回転体を順送りさせて回動伝達するようにした対向ロータ機構に対応する、駆動伝達機構が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、駆動側磁石と従動側磁石とを対向させる場合のエアギャップを埋めるようにヨークを置いた外接型または内接型の対向ロータ機構に対応する、動力伝達機構が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−132614号公報
【特許文献2】特開平6−197520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載された従来構造の場合には、同心に配置した2個の磁石を備える構造で、2個の磁石の1個の極のピッチ、すなわち円周方向に関する間隔を、2個の磁石同士で異ならせることは考慮されていない。このため、特許文献1及び文献2に記載された従来構造の場合には、構造を大型化することなく、動力伝達機構として使用する場合の、入力側と出力側との間での速度比を大きくしたり、小さくする等の速度比の設定の自由度を向上させる面から改良の余地がある。例えば、特許文献1に記載された従来構造で、入力側と出力側との間での減速比を大きくするためには2個のマグネット回転体の一方のマグネット回転体の直径を他方のマグネット回転体の直径に対して大きくする、すなわち両回転体の半径差を大きくする必要がある。このため、構造が過度に大きくなる可能性がある。また、特許文献2に記載された従来構造の場合も、入力側と出力側との間での減速比を大きくするためには駆動側磁石と従動側磁石との一方の磁石の直径を大きくする必要がある。
【0006】
また、特許文献1及び特許文献2に記載された従来構造の場合には、電力と動力との出力の少なくとも一部を変換可能な出力変換機構として使用することは考慮されていない。
【0007】
本発明は、対向ロータ機構において、動力伝達機構として使用する場合に、構造を過度に大型化することなく、入力側と出力側との間での速度比の設定の自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る対向ロータ機構は、外周面に内側形状変化部を有する、磁性材製の内側ロータと、内側ロータの径方向外側に内側ロータと同心に配置されて、内周面に内側形状変化部と対向する外側形状変化部を有する磁性材製の外側ロータと、外側ロータの径方向外側または内側ロータの径方向内側に設けられた磁界発生部と、を備え、内側形状変化部は、外周面の形状を円周方向に関して等間隔複数個所で変化させており、外側形状変化部は、内周面の形状を円周方向に関して等間隔複数個所で変化させており、内側形状変化部の円周方向のピッチと、外側形状変化部の円周方向のピッチとを異ならせるとともに、磁界発生部の内周側または外周側の、磁界強度の大きい部分と小さい部分とを、磁界発生部の円周方向に関して交互に配置したことを特徴とする対向ロータ機構である。
【0009】
また、好ましくは、内側形状変化部は、外周面の円周方向に関する等間隔複数個所に径方向外側に突出する内側歯要素を有する内歯とし、外側形状変化部は、円周方向に関する等間隔複数個所に径方向に貫通する孔部を有する孔部付円筒部とする。
【0010】
また、本発明に係る構成において、好ましくは、内側形状変化部は、外周面の円周方向に関する等間隔複数個所に径方向外側に突出する内側歯要素を有する内歯とし、外側形状変化部は、内周面の円周方向に関する等間隔複数個所に径方向または軸方向に突出する外側歯要素を有する外歯とする。
【0011】
また、より好ましくは、内側ロータと外側ロータとのうち、一方のロータに結合された入力軸と、内側ロータと外側ロータとのうち、他方のロータに結合された出力軸と、を備え、磁気的動力伝達機構として使用する。
【0012】
また、より好ましくは、磁界発生部は、円周方向にN極とS極とが交互に配置された磁石付ステータとする。
【0013】
また、本発明に係る構成において、好ましくは、磁界発生部は、円周方向複数個所に互いに位相の異なる交流電流が流れるコイルが配置されたコイル付ステータである。
【0014】
また、本発明に係る構成において、好ましくは、内側ロータと外側ロータとのうち、一方のロータに結合された第1軸と、内側ロータと外側ロータとのうち、他方のロータに結合された第2軸と、を備え、磁界発生部は、円周方向複数個所に互いに位相の異なる交流電流が流れるコイルが配置されたコイル付ステータであり、出力変換機構として使用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る対向ロータ機構によれば、内側形状変化部の円周方向のピッチと、外側形状変化部の円周方向のピッチとを異ならせるとともに、磁界発生部の内周側または外周側の、磁界強度の大きい部分と小さい部分とを、磁界発生部の円周方向に関して交互に配置している。このため、動力伝達機構として使用する場合に、磁界発生部の内周側または外周側の磁界強度の大きい部分で、内側形状変化部と外側形状変化部とが最も大きな面積で径方向に近づくように対向し、かつ、磁界発生部の内周側または外周側の、磁界強度の小さい部分で、内側形状変化部と外側形状変化部とが最も離れるようにできるので、入力側と出力側とで速度差を設けることが可能になる。すなわち、磁束のパーミアンスと呼ばれる、磁束の流れやすさの良好な部分が、内側形状変化部と外側形状変化部とが最も近づく部分に対応して配置される。また、内側形状変化部と外側形状変化部との形状変化要素の数、例えば歯数の比に対応して、入力側と出力側とでの速度比を任意に設定することができる。しかも、構造を過度に大型化することがない。このため、動力伝達機構として使用する場合に、構造を過度に大型化することなく、入力側と出力側との間での速度比の設定の自由度を向上させることができる。また、入力側と出力側とで速度差を設けるための動力伝達部に、互いに接触する歯のかみ合い部を設けずに済み、機械的な損失を小さく抑えることができる。
【0016】
また、磁界発生部は、円周方向複数個所に互いに位相の異なる交流電流が流れるコイルが配置されたコイル付ステータである構成によれば、コイルにより磁界を発生させるとともに、その磁界を回転させることが可能となる。このため、回転磁界の回転数を制御することにより、動力伝達機構として使用する場合に、入力側の回転数及び動力に対応して、出力側の回転数及び動力を調整することができる。
【0017】
また、内側ロータと外側ロータとのうち、一方のロータに結合された第1軸と、内側ロータと外側ロータとのうち、他方のロータに結合された第2軸と、を備え、磁界発生部は、円周方向複数個所に互いに位相の異なる交流電流が流れるコイルが配置されたコイル付ステータであり、出力変換機構として使用する構成によれば、磁界発生部による回転磁界の回転数を制御することにより、第1軸と第2軸とのそれぞれの動力と、回転磁界を発生させる電力との出力相互間で、出力の少なくとも一部を変換することができる。例えば、電力を磁界発生部に供給することにより回転磁界を発生させることも、磁界発生部から電力を取り出すこともいずれも可能になり、その電力の供給量及び取り出し量を、第1軸と第2軸との回転状態を制御することにより調整することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図13は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1は、本実施の形態の対向ロータ機構を備える動力伝達機構を構成する略断面図である。図2は、図1の拡大A−A略断面図である。図3は、図2の状態から、内側ロータの回転に伴って外側ロータが回転する状態を順に示す、図2に対応する図である。図4は、図3(a)の拡大図である。図5は、内側ロータの回転に伴って外側ロータが回転する状態を順に示す、図4のB部拡大図に対応する図である。図6は、図5(a)の拡大図である。図7は、図5(b)の拡大図である。図8は、図5(c)の拡大図である。図9は、図5(d)の拡大図である。図10は、図5(e)の拡大図である。図11は、図5(f)の拡大図である。図12は、図5(g)の拡大図である。図13は、図5(h)の拡大図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態の対向ロータ機構10は、動力伝達機構として使用するもので、内側ロータ12と、外側ロータ14と、略円筒状の磁界発生部である、磁石付ステータ16と、入力軸18と、出力軸20とを備える。入力軸18と出力軸20とは同心、すなわち同軸上に配置されて、図示しない固定部分に軸受等により回転可能に支持されている。
【0020】
また、内側ロータ12は、円柱状または円筒状の磁性材製で、入力軸18の一端部(図1の右端部)に結合固定されている。また、外側ロータ14は、有底円筒状の磁性材製で、底部が出力軸20の他端(図1の左端)に結合固定されている。また、外側ロータ14の開口端である、他端部(図1の左端部)に、径方向内側に全周に亘り突出する内側つば部22を設けている。内側つば部22は省略することもできる。
【0021】
また、内側ロータ12の外周面の軸方向両端部と、外側ロータ14の内周面の軸方向両端部との間に軸受24を設けることにより、内側ロータ12が、外側ロータ14の径方向内側に外側ロータ14と同心に、かつ、外側ロータ14に対して回転可能に支持されている。すなわち、内側ロータ12の径方向外側に、内側ロータ12と同心に、外側ロータ14が配置されている。
【0022】
また、外側ロータ14の外周面の軸方向両端部と、磁石付ステータ16の内周面の軸方向両端部との間に軸受26を設けることにより、外側ロータ14が、磁石付ステータ16の径方向内側に磁石付ステータ16と同心に、かつ、磁石付ステータ16に対して回転可能に支持されている。なお、内側ロータ12と外側ロータ14との間に設ける軸受24、及び、外側ロータ14と磁石付ステータ16との間に設ける軸受26は、それぞれ1個のみとすることもできる。また、磁石付ステータ16は、固定部分である図示しないハウジングの内側に嵌合固定した状態で使用する。
【0023】
また、内側ロータ12は、軸方向中間部外周面に内側形状変化部である、内歯28を有する。内歯28は、外周面の円周方向に関する等間隔複数個所に径方向外側に突出する内側歯要素30を有する。このため、内歯28は、外周面の形状が円周方向に関して等間隔複数個所で変化している。
【0024】
また、外側ロータ14は、軸方向中間部に外側形状変化部である、孔部付円筒部32を有する。孔部付円筒部32は、円周方向に関する等間隔複数個所に径方向に貫通する孔部であるスリット34を有する。スリット34は、孔部付円筒部32の軸方向に長い断面矩形状としている。このため、孔部付円筒部32は、内周面の形状が円周方向に関して等間隔複数個所で変化している。すなわち、孔部付円筒部32の円周方向等間隔複数個所にスリット34が位置し、円周方向に隣り合うスリット34の間部分が、孔部付円筒部32の円周方向等間隔複数個所に位置する柱部36(図2)となっている。そして、内側ロータ12の外周面に設けた内歯28と、外側ロータ14に設けたスリット34及び柱部36とを、内側ロータ12及び外側ロータ14の径方向に対向させている。
【0025】
また、図2に詳しく示すように、磁石付ステータ16の径方向内側部分で、外側ロータ14に設けたスリット34及び柱部36を形成した部分の外周面に対向する部分の円周方向等間隔複数個所である4個所に、永久磁石38を配置している。永久磁石38は、磁石付ステータ16の径方向に着磁させ、その着磁方向を、円周方向に隣り合う永久磁石38同士で異ならせている。このため、磁石付ステータ16の内周面の円周方向等間隔4個所に、N極とS極とが円周方向に関して交互に配置される。この結果、磁石付ステータ16の直径方向反対側2個所のN極から内周側に磁束が流出し、磁石付ステータ16のN極と円周方向の位相が90度異なる部分の2個所のS極に、内周側から磁束が流入する。したがって、磁石付ステータ16の内周側の磁界強度の大きい部分と小さい部分とが、磁石付ステータ16の円周方向に関して交互に配置される。図2では、一点鎖線αで囲んだ部分が磁界強度の大きい部分となり、図2の梨地で示す部分が磁界強度の小さい部分となる。
【0026】
さらに、本実施の形態では、外側ロータ14に設けた柱部36の数mを、内側ロータ12に設けた内側歯要素30の数nよりも少なくしている(m<n)。図示の例では、柱部36の数mを20個とし、内側歯要素30の数nを24個としている。そして、内側歯要素30の円周方向に関する間隔である、円周方向のピッチPiを、柱部36の円周方向のピッチPoよりも小さくして(Pi<Po)、互いのピッチPi、Poを異ならせている。
【0027】
なお、永久磁石38は、図示のように、磁石付ステータ16を構成する非磁性材製の円筒部40の内周面に露出した状態で結合して、外側ロータ14の外周面に対向させてもよく、また、円筒部40に埋め込んで、円筒部40の内径寄り部分の一部を介して、外側ロータ14の外周面に対向させてもよい。
【0028】
上述のような本実施の形態の対向ロータ機構10によれば、入力軸18と出力軸20との間での動力を伝達する、動力伝達機構として使用する場合に、構造を過度に大型化することなく、入力軸18と出力軸20との間での速度比の設定の自由度を向上させることができる。
【0029】
すなわち、図2に示すように、ピッチPi、Poが異なる内側歯要素30と柱部36とをそれぞれ有する、内側ロータ12と外側ロータ14とを同心に配置し、内側歯要素30を有する内歯28と、柱部36を有する孔部付円筒部32とを径方向に対向させているため、各ロータ12,14の円周方向複数個所(図示の例では4個所)に、内側歯要素30の外周部と柱部36の内周部とが最も面積の大きい部分で径方向に対向する対向部分が位置するようになる。そして、各対向部分において、各ロータ12,14間で最も磁束が流れやすくなっている。
【0030】
これに対して、各ロータ12,14の円周方向の位相に関して、各対向部分と45度異なる部分では、柱部36と内側歯要素30とが径方向に対向しない非対向部分となっている。そして、各非対向部分において、各ロータ12,14間で最も磁束が流れにくくなっている。また、磁石付ステータ16の各対向部分に対応する円周方向4個所に、永久磁石38が配置されているため、入力軸18を回転させることにより内側ロータ12が回転すると、各柱部36と各内側歯要素30との最も近づく部分で、磁界強度が最も大きくなるように、外側ロータ14は回転する。この場合の外側ロータ14の回転速度は、内側ロータ12の回転速度に対して高くなる。具体的には、柱部36が20個であり、内側歯要素30が24個である図示の例の場合には、柱部36と内側歯要素30との比の逆数である、1.2を内側ロータ12の回転速度に乗じた大きさの高い速度で、外側ロータ14が回転する。すなわち、内側ロータ12が回転すると磁界強度の大きな部分に磁束が最も流れやすくなるようにしながら、外側ロータ14が回転する。
【0031】
すなわち、磁界強度の大きな部分で、常に両方のロータ12,14が最も接近した状態となっている。より具体的には、内側ロータ12と外側ロータ14との回転速度または回転数の比は、内側歯要素30の数nと柱部36の数mとの逆数の比と等しくなる。図示の例では、内側歯要素30が24個であり、柱部36が20個であるので、n=24、m=20となり、内側ロータ12の回転数ωnと外側ロータ14の回転数ωmとの比は、ωn:ωm=1/24:1/20=5:6となる。このため、柱部36の数mが少ない外側ロータ14は、内側歯要素30の数nが多い内側ロータ12に対して、1.2倍の回転数で回転する。
【0032】
図3から図13はこれをより詳しく示している。まず、図3に示すように、内側ロータ12が(a)の状態から矢印β方向に回転すると、外側ロータ14がこれに伴って矢印γ方向に回転し、(a)から(h)の状態に移行し、再び(a)の状態となる。すなわち、図3(a)の拡大図である、図4のB部を拡大したものを図5(a)に示している。そして、図5(a)に示す状態から、矢印β方向に回転することに伴って、外側ロータ14が矢印γ方向に回転し、(a)から(h)の状態に移行し、再び(a)の状態となる。図5(a)から(h)は、それぞれ図3(a)から(h)に対応する。また、図3から図5、及び、後述する図6から図13において、斜線部は、永久磁石38に基づいて磁石付ステータ16の内周側で円周方向に関して最も磁界強度が高くなる部分に対応する部分を表している。
【0033】
次に、図5(a)から(h)の拡大図である、図6から図13において、内側ロータ12の円周方向に隣り合う2個の内側歯要素30をQ1、Q2とし、外側ロータ14の円周方向に隣り合う2個の柱部36をR1、R2として、内側ロータ12及び外側ロータ14の回転状態を説明する。図6では、内側歯要素Q1と柱部R1とが、磁界強度の大きい部分のほぼ中央に位置し、内側歯要素Q1の外周部の全面が柱部R1の内周部に径方向に対向している。そして、図7、図8に示すように、内側ロータ12の回転に伴って、外側ロータ14が回転するが、この場合には、柱部R1が磁界強度の大きい部分から徐々に外れ、逆に柱部R1の回転方向後側に隣り合う、柱部R2が磁界強度の大きい部分に徐々に近づく。このため、柱部R2は、対向する内側歯要素Q2よりも早く磁界強度の大きい部分に近づくように、永久磁石38により、図7、図8に矢印δで示す方向に磁気的に引っ張られる。次いで、図9から図12に示すように、柱部R2は、対向する内側歯要素Q2よりも早く磁界強度の大きい部分に近づくように、永久磁石38により、図9から図12に矢印δで示す方向にさらに引っ張られ、図13に示す状態となる。図13に示す状態からは、図6に示す状態に戻るが、この場合には、図13の柱部R2と内側歯要素Q2とは、図6の柱部R1及び内側歯要素Q1の位置に移動した状態となる。このようにして外側ロータ14は内側ロータ12よりも高い速度で回転する。また、内側ロータ12の1/4回転で、外側ロータ14の柱部36は内側ロータ12の内側歯要素30に対して1個分回転方向前側にずれる。すなわち、内側ロータ12が1回転するのに、外側ロータ14は、内側歯要素30の数nと柱部36の数mとの差(n−m)に対応する分だけ、早く回転する。この結果、柱部36の数mと内側歯要素30の数nとの比m/nの逆数1.2(=24/20)を、内側ロータ12の回転速度に乗じた大きさの、高い回転数で、外側ロータ14が回転する。
【0034】
このような本実施の形態の対向ロータ機構10によれば、内歯28を構成する内側歯要素30の円周方向のピッチPiと、孔部付円筒部32を構成する柱部36の円周方向のピッチPoとを異ならせるとともに、磁石付ステータ16の内周側の、磁界強度の大きい部分と小さい部分とを、磁石付ステータ16の円周方向に関して交互に配置している。このため、動力伝達機構として使用する場合に、磁石付ステータ16の内周側の磁界強度の大きい部分で、内側歯要素30と柱部36とが最も大きな面積で径方向に近づくように対向し、かつ、磁石付ステータ16の内周側の磁界強度の小さい部分で、内側歯要素30と柱部36とが最も離れるようにできる。したがって、入力軸18と出力軸20とで速度差を設けることが可能になる。すなわち、磁束のパーミアンスと呼ばれる、磁束の流れやすさの良好な部分が、内側歯要素30と柱部36とが最も近づく部分に対応して配置される。
【0035】
また、内側歯要素30と柱部36との数の比n/mに対応して、入力軸18と出力軸20とでの速度比を任意に設定することができる。しかも、対向ロータ機構10の構造を過度に大型化することがない。このため、動力伝達機構として使用する場合に、構造を過度に大型化することなく、入力軸18と出力軸20との間での速度比の設定の自由度を向上させることができる。また、入力軸18側と出力軸20側とで速度差を設けるための動力伝達部に、互いに接触する歯のかみ合い部を設けずに済み、機械的な損失を小さく抑えることができる。また、内側ロータ12及び外側ロータ14に永久磁石38を配置する必要がなくなる。
【0036】
なお、本実施の形態では、磁石付ステータ16を固定状態としているが、磁石付ステータ16に図示しない別の回転軸を結合固定する等により、磁石付ステータ16を回転可能とすることもできる。
【0037】
[第2の発明の実施の形態]
図14は、本発明に係る第2の実施の形態の対向ロータ機構において、図2に対応する略断面図である。上記の図2に示した第1の実施の形態では、内側ロータ12の外周面に設けた内歯28を構成する内側歯要素30の数nを、外側ロータ14に設けた孔部付円筒部32を構成する柱部36の数mよりも多くしていた(n>m)。これに対して、本実施の形態の対向ロータ機構10aでは、内側ロータ12の外周面に設けた内歯28を構成する内側歯要素30の数nを、外側ロータ14に設けた孔部付円筒部32を構成する柱部36の数mよりも少なくしている(n<m)。図示の例では、内側歯要素30の数nを20個とし、柱部36の数mを24個としている。この場合には、内側ロータ12が回転しても、磁石付ステータ16の内周側の最も磁界強度が大きい部分に位置する柱部36に対して、回転方向前側に隣り合う柱部36も永久磁石38の磁力により、回転方向後側に磁気的に引っ張られる。このため、外側ロータ14の回転速度は、内側ロータ12の回転速度に対して小さくなる。また、この場合に、柱部36の数mと内側歯要素30の数nとの比の逆数n/mである、1/1.2(=20/24)を、内側ロータ12の回転速度に乗じた大きさの低い回転数で、外側ロータ14が回転する。その他の構成及び作用については、上記の第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する図示及び説明を省略する。
【0038】
[第3の発明の実施の形態]
図15は、本発明に係る第3の実施の形態の対向ロータ機構において、図2に対応する略断面図である。図16は、第3の実施の形態の対向ロータ機構において、外側ロータ14、内側ロータ12、回転磁界のそれぞれの回転速度の関係を示す共線図である。
【0039】
本実施の形態の場合の対向ロータ機構10bの場合には、上記の図1から図13に示した第1の実施の形態において、外側ロータ14の径方向外側に、磁石付ステータ16を設けず、その代わりに、外側ロータ14の径方向外側に、磁界発生部である、コイル付ステータ42を設けている。コイル付ステータ42は、全体を略円筒状として、図示しないハウジングの内側に嵌合固定している。
【0040】
コイル付ステータ42は、三相巻線分布巻き型のモータを構成するステータと同様の構成を有するもので、円周方向複数個所に、互いに位相の異なる交流電流が流れるU相、V相、W相の巻線である、コイル44を配置している。コイル付ステータ42は、内周面の円周方向等間隔複数個所(図示の例では12個所)にスロット46を有し、円周方向に関して2個置きのスロット46に掛け渡すように、同じ相のコイル44を巻回している。また、各相のコイル44は、図示しないインバータにおいて、U相、V相、W相の各相のアームの中点に接続している。各相のアームは、直列接続したIGBT、トランジスタ等の2個ずつのスイッチング素子を備える。また、インバータは直流電源に接続している。また、インバータは、制御部に接続しており、制御部は、インバータのスイッチング素子を制御するための信号を生成し、インバータに出力する。
【0041】
このようなコイル付ステータ42は、インバータからの三相交流電流により、磁界を発生させることができ、内周側の磁界強度の大きい部分である高磁束密度部分(図15の斜線で示す部分)を、円周方向等間隔複数個所(図示の例では4個所)の任意の位置に配置することができる。また、高磁束密度部分をコイル付ステータ42の円周方向に回転させる、すなわち回転磁界を生じさせることもできる。また、制御部により、インバータを制御して、コイル付ステータ42の内周側に生じる、回転磁界の回転数を制御することもできる。なお、図示の例では、コイル44をコイル付ステータ42に分布巻きで配置しているが、集中巻きでコイル44を配置することもできる。
【0042】
上記のような本実施の形態の対向ロータ機構10bによれば、コイル44により磁界を発生させるとともに、その磁界強度の大きい部分を回転させる、すなわち回転磁界を生じさせることが可能となる。このため、回転磁界の回転数を制御することにより、動力伝達機構として使用する場合に、入力軸18(図1参照)の回転数及び動力に対応して、出力軸20(図1参照)の回転数及び動力を調整することができる。
【0043】
このような本実施の形態の対向ロータ機構10bの作用を、図16を参照しつつ詳しく説明する。図16では、縦軸が回転速度を表しており、0を境界として、上側が同方向の一方向に回転する場合を、下側が同方向の他方向に回転する場合を、それぞれ表している。なお、図16の説明において、図15と同じ要素には同じ符号を付して説明する。
【0044】
図16で示すように、内側ロータ12及び外側ロータ14と回転磁界との回転速度は、内側ロータ12の内側歯要素30と、外側ロータ14の柱部36との数で決定される直線上に位置する。例えば、柱部36の数をmとし、内側歯要素30の数をnとする。また、外側ロータ14の回転数及びトルクをそれぞれωm、Tmとし、内側ロータ12の回転数及びトルクをそれぞれωn、Tnとし、回転磁界の回転数をωeとする。この場合、回転数について次式が成立する。
nωn=mωm+(n−m)ωe ・・・(1)
【0045】
また、同じ場合で、外側ロータ14及び内側ロータ12のトルクについて、次の(2)式が成立する。
n/n=Tm/m ・・・(2)
【0046】
ここで、回転磁界の回転数ωeが0である場合には、(1)式から、
nωn=mωm ・・・(3)
が成立する。このため、回転数ωeが0である場合には、上記の各実施の形態と同様に、対向ロータ機構10bが、柱部36の数mと、内側歯要素30の数nとの比に応じて、入力軸18の回転数に対して出力軸20の回転数の比が定まる、動力伝達機構として動作することが分かる。
【0047】
また、(1)式、(2)式の右辺と左辺とのそれぞれの積をとると、
nωn=Tmωm+(n−m)(Tmωe)/m ・・・(4)
が成立する。
【0048】
(4)式は、左辺が内側ロータ12の出力、右辺の第1項が外側ロータ14の出力にそれぞれ対応するものであり、右辺の第2項は磁界の回転による出力に対応するものである。入力側である、Tn及びωnと、回転磁界側である、(n−m)(Tmωe)/mとは、予め制御可能となるため、(1)式及び(4)式から、内側ロータ12及び外側ロータ14の速度の関係を制御するとともに、内側ロータ12から外側ロータ14への伝達動力の大きさ、すなわち入力軸18と出力軸20との間での伝達動力の大きさを制御することも可能になることが分かる。したがって、本実施の形態において、回転磁界の回転数ωeを制御することにより、動力伝達機構として使用する場合に、入力軸18(図1参照)の回転数及び動力に対応して、出力軸20(図1参照)の回転数及び動力を調整することができる。
【0049】
また、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、磁石付ステータ16(図1)を回転させる場合に、回転方向の慣性に対応して重量がある磁石付ステータ16を動かすための動力が必要になるのに対して、本実施の形態では、コイル付ステータ42を固定したままで、磁界を回転させることができる。このため、消費エネルギを小さくできる。
【0050】
また、例えば、コイル付ステータ42の内周面の複数のスロット46(図15)のうちの円周方向等間隔4個所、それぞれ2個ずつ合計8個所のスロット46のみにコイル44を巻回した状態で、コイル44に一定の大きさの電流を流す等により、磁界強度の大きい部分が回転しないようにすることもできる。
【0051】
また、本実施の形態では、外側ロータ14に結合した出力軸20を、内側ロータ12に結合した入力軸18の回転速度に対する決められた速度比、例えば減速比の回転速度で回転させることができるとともに、連続的に速度比、例えば減速比を変化させることもできる。その他の構成及び作用については、上記の図1から図13に示した第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する図示及び説明を省略する。
【0052】
[第4の発明の実施の形態]
また、内側ロータに設ける内側形状変化部、及び、外側ロータに設ける外側形状変化部の構造は、上記の各実施の形態のような、内歯28及び孔部付円筒部32の構造に限定するものではない。例えば、図17は、本発明に係る第4の実施の形態において、図1に対応する図である。図17に示すように、外側ロータ14に櫛歯状筒部48を設けるとともに、櫛歯状筒部48の円周方向等間隔複数個所(例えば20個所)に軸方向の切り込み50を設けることにより、軸方向に突出する複数(例えば20個)の外側歯要素52を有する外歯54を構成することもできる。この場合には、外歯54が外側形状変化部に対応する。その他の構成及び作用は、上記の図1から図13に示した第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
【0053】
[第5の発明の実施の形態]
また、図18は、本発明に係る第5の実施の形態において、図6に対応する図である。図18に示すように、外側ロータ14に円筒部56を設けるとともに、円筒部56の内周面の円周方向等間隔複数個所(例えば20個所)に、径方向に突出する外側歯要素58を有する外歯60を構成することもできる。この場合には、外歯60が外側形状変化部に対応する。その他の構成及び作用は、上記の図1から図13に示した第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符合を付して、重複する説明は省略する。
【0054】
なお、上記の各実施の形態では、図1等に示すように、内側ロータ12に入力軸18を結合し、外側ロータ14に出力軸20を結合しているが、内側ロータ12に出力軸を結合し、外側ロータ14に入力軸を結合することもできる。また、磁界発生部である磁石付ステータ16またはコイル付ステータ42(図15)は、内側ロータ12を円筒状として、その内側ロータ12の径方向内側に配置するようにすることもできる。
【0055】
また、上記の図15から図16に示した第3の実施の形態では、対向ロータ機構10bを動力伝達機構として使用する場合を説明したが、第3の実施の形態の対向ロータ機構と同様の構成を用いて、入力軸18(図1参照)を、内側ロータ12に結合された第1軸とし、出力軸20(図1参照)を、外側ロータ14に結合された第2軸とし、対向ロータ機構10bを、出力変換機構として使用することもできる。
【0056】
出力変換機構は、例えば、第1軸と第2軸との一方の軸から付与される動力と、回転磁界を生じさせる電力との出力相互間で、少なくとも一部の出力を変換する出力変換機構として使用する。このような第3の実施の形態を出力変換機構として使用する構成によれば、磁界発生部であるコイル付ステータ42(図15)による回転磁界の回転数を制御することにより、第1軸と第2軸とのそれぞれの動力と、回転磁界を発生させる電力との出力相互間で、出力の少なくとも一部を変換することができる。例えば、コイル付ステータ42に電力を供給することにより回転磁界を発生させることが可能になるだけでなく、コイル付ステータ42から電力を取り出すことも可能になり、その電力の供給量及び取り出し量を、第1軸と第2軸との回転状態を制御することにより調整することが可能になる。また、電力を取り出すことができるように構成することにより、その電力により別の軸をモータ等を介して回転駆動することもできる。
【0057】
また、図3に示した構成と同様の構成を用いて、対向ロータ機構10bをシンクロナスリラクタンスモータのように動作させ、内側ロータ12に結合された第1軸を、第2軸の回転速度に対する、ある速度比の回転速度で回転させるようにすることもできる。
【0058】
なお、上記の各実施の形態において、内側歯要素30の数は24個または20個とし、柱部36の数は20個または24個としているが、本発明はこのような数の組み合わせに限定するものではなく、種々の数の組み合わせを採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施の形態の対向ロータ機構を備える動力伝達機構を構成する略断面図である。
【図2】図1の拡大A−A略断面図である。
【図3】図2の状態から、内側ロータの回転に伴って外側ロータが回転する状態を順に示す、図2に対応する図である。
【図4】図3(a)の拡大図である。
【図5】内側ロータの回転に伴って外側ロータが回転する状態を順に示す、図4のB部拡大図に対応する図である。
【図6】図5(a)の拡大図である。
【図7】図5(b)の拡大図である。
【図8】図5(c)の拡大図である。
【図9】図5(d)の拡大図である。
【図10】図5(e)の拡大図である。
【図11】図5(f)の拡大図である。
【図12】図5(g)の拡大図である。
【図13】図5(h)の拡大図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の対向ロータ機構において、図2に対応する略断面図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態の対向ロータ機構において、図2に対応する略断面図である。
【図16】第3の実施の形態の対向ロータ機構において、外側ロータ、内側ロータ、回転磁界のそれぞれの回転速度の関係を示す共線図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態において、図1に対応する図である
【図18】本発明の第5の実施の形態において、図6に対応する図である。
【符号の説明】
【0060】
10,10a,10b 対向ロータ機構、12 内側ロータ、14 外側ロータ、16 磁石付ステータ、18 入力軸、20 出力軸、22 内側つば部、24,26 軸受、28 内歯、30 内側歯要素、32 孔部付円筒部、34 スリット、36 柱部、38 永久磁石、40 円筒部、42 コイル付ステータ、44 コイル、46 スロット、48 櫛歯状筒部、50 切り込み、52 外側歯要素、54 外歯、56 円筒部、58 外側歯要素、60 外歯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に内側形状変化部を有する、磁性材製の内側ロータと、
内側ロータの径方向外側に内側ロータと同心に配置されて、内周面に内側形状変化部と対向する外側形状変化部を有する磁性材製の外側ロータと、
外側ロータの径方向外側または内側ロータの径方向内側に設けられた磁界発生部と、を備え、
内側形状変化部は、外周面の形状を円周方向に関して等間隔複数個所で変化させており、
外側形状変化部は、内周面の形状を円周方向に関して等間隔複数個所で変化させており、
内側形状変化部の円周方向のピッチと、外側形状変化部の円周方向のピッチとを異ならせるとともに、磁界発生部の内周側または外周側の、磁界強度の大きい部分と小さい部分とを、磁界発生部の円周方向に関して交互に配置したことを特徴とする対向ロータ機構。
【請求項2】
請求項1に記載の対向ロータ機構において、
内側形状変化部は、外周面の円周方向に関する等間隔複数個所に径方向外側に突出する内側歯要素を有する内歯であり、
外側形状変化部は、円周方向に関する等間隔複数個所に径方向に貫通する孔部を有する孔部付円筒部であることを特徴とする対向ロータ機構。
【請求項3】
請求項1に記載の対向ロータ機構において、
内側形状変化部は、外周面の円周方向に関する等間隔複数個所に径方向外側に突出する内側歯要素を有する内歯であり、
外側形状変化部は、内周面の円周方向に関する等間隔複数個所に径方向または軸方向に突出する外側歯要素を有する外歯であることを特徴とする対向ロータ機構。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の対向ロータ機構において、
内側ロータと外側ロータとのうち、一方のロータに結合された入力軸と、
内側ロータと外側ロータとのうち、他方のロータに結合された出力軸と、を備え、
磁気的動力伝達機構として使用することを特徴とする対向ロータ機構。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載の対向ロータ機構において、
磁界発生部は、円周方向にN極とS極とが交互に配置された磁石付ステータであることを特徴とする対向ロータ機構。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載の対向ロータ機構において、
磁界発生部は、円周方向複数個所に互いに位相の異なる交流電流が流れるコイルが配置されたコイル付ステータであることを特徴とする対向ロータ機構。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の対向ロータ機構において、
内側ロータと外側ロータとのうち、一方のロータに結合された第1軸と、
内側ロータと外側ロータとのうち、他方のロータに結合された第2軸と、を備え、
磁界発生部は、円周方向複数個所に互いに位相の異なる交流電流が流れるコイルが配置されたコイル付ステータであり、
出力変換機構として使用することを特徴とする対向ロータ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−95173(P2009−95173A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264852(P2007−264852)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】