対物レンズ駆動装置、駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置
【課題】レンズホルダを変位させる制御特性が良好となる。
【解決手段】 光ディスクの信号記録面に対向する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを前記光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータは、前記レンズホルダに取り付けられるコイルと、前記コイルに対して有効に作用する磁界を発生するマグネットと、前記マグネットが固定されるヨークと、を含み、前記ヨークは、前記トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成され、前記マグネットは、前記ヨークに対して接着剤で固定される。
【解決手段】 光ディスクの信号記録面に対向する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを前記光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータは、前記レンズホルダに取り付けられるコイルと、前記コイルに対して有効に作用する磁界を発生するマグネットと、前記マグネットが固定されるヨークと、を含み、前記ヨークは、前記トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成され、前記マグネットは、前記ヨークに対して接着剤で固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズ駆動装置、駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、対物レンズが保持されるレンズホルダを変移させるためのアクチュエータ(actuator)が知られている。アクチュエータでは、アクチュエータを構成するコイルに電気を通してコイルを駆動させる際に、マグネット(magnet)に磁力による反力が発生する。このようなことが生じたときに、マグネットが取り付けられたフレーム(frame)の強度が低いと、マグネットに加えられる反力によりフレームの共振が励起され、例えば光ピックアップ装置のループ特性に悪影響が及ぼされる場合がある。その為、フレームに対しできる限り強度を高め、固有共振周波数を高くすることが求められている。
【0003】
なお、「アクチュエータ(actuator)」とは、例えばエネルギーを並進運動または回転運動等に変換させる駆動装置を意味し、例えば「ACT」と略称される。また、例えばフレーム(frame)とは、例えば、枠や、枠組みや、骨組みを意味する。また、例えば光ピックアップ(optical pickup)又は光ピックアップ装置(optical pickup unit)は、「OPU」と略称される。
【0004】
フレームの強度を高める方法として、例えば、カバー(cover)、フレーム等のアクチュエータを構成する別々の板金部品を接着することが、多々、行われている。このようにアクチュエータが構成される場合、複数箇所での接着が必要とされる。
【0005】
また、他の駆動装置、光ピックアップ装置に関するものとして、例えば、厚みの増大を最小限にとどめて、構造共振周波数を上げて高速な読み出しを実現することができる光学ピックアップにおける対物レンズ駆動装置というものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−66585号公報(第1,2頁、第1〜4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置にあっては、例えば接着力不足によってアクチュエータの特性が不安定になったり、接着剤が剥離したりする等の問題が過去に発生されていた。また、部品の取付工数、接着工数、また、光ピックアップ装置を構成する複数の部品自体の価格も光ピックアップ装置の価格に相応に反映される状況にあり、各工数、価格等を削減させることが課題とされていた。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、部品点数、工数を増やすことなく、安定してフレームの強度を高めることのできる駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決する主たる本発明は、光ディスクの信号記録面に対向する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを前記光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータは、前記レンズホルダに取り付けられるコイルと、前記コイルに対して有効に作用する磁界を発生するマグネットと、前記マグネットが固定されるヨークと、を含み、前記ヨークは、前記トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成され、前記マグネットは、前記ヨークに対して接着剤で固定されることを特徴とする対物レンズ駆動装置である。
【0010】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レンズホルダを変位させる制御特性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態が適用されるハウジングを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態が適用される、光ディスクと対向する側とは反対側から見たハウジングを示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0014】
[第1実施形態]
図1,図2は、本発明に係る駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置の第1実施形態を示すものである。
図1は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【0015】
ディスク装置(不図示)の駆動装置組立体を構成する光ピックアップ装置は、例えば、「CD」(Compact Disc)(商標)系列/規格のメディアと、「DVD」(登録商標)(Digital Versatile Disc)系列/規格のメディアと、「HD DVD」(High Definition DVD)(登録商標)系列/規格のメディアと、中国において定められた規格に基づくメディアとされる「CBHD(China Blue High−Definition)」(例:旧名「CH−DVD」)系列/規格のメディアと、「BD」(Blu−ray/Blu−ray Disc)(登録商標)系列/規格のメディアと、に対応したものとされる。ディスク装置の駆動装置組立体を構成する光ピックアップ装置は、例えば、上記各種メディアからなる群から選ばれる少なくとも一種のメディアに対応したものとされている。具体的に説明すると、ディスク装置の駆動装置組立体を構成する光ピックアップ装置は、上記複数の何れかのメディアに対応したものとされている。メディア(media)とは、例えば、データ、情報、信号などが保存されるディスク等を意味する。
【0016】
メディアとして例えば上記各種光ディスク等が挙げられるが、次の形態をしたメディアも挙げられる。例えば、ディスクとして、ディスク両面に信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク等も挙げられる。また、ディスクとして、例えば二層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク等も挙げられる。また、例えば三層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「HD DVD」及び/又は「Blu−ray/Blu−ray Disc」用光ディスク等も挙げられる。また、例えば四層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「Blu−ray/Blu−ray Disc」用光ディスク等も挙げられる。また、例えば光ディスクのレーベル面部の側にレーザ光(LASER:light amplification by stimulatedemission of radiation)を照射させてレーベル等の各種書込み等を行うことが可能とされた光ディスク等も挙げられる。光ディスクの信号面部、レーベル面部は、例えば金属薄膜などの薄層等を備えて構成されている。金属薄膜などを備えて構成される信号面部にデータ、情報、信号などが記録され、レーベル面部に画像などが記録される。光ディスクの信号面部は、例えば金属薄層などを備えて構成される信号層として構成されている。このように、各種光ディスクとして各種形態をした複層/多層構造の光ディスクが挙げられる。
【0017】
この光ピックアップ装置は、例えば、「CD」(Compact Disc)(商標)、「DVD」(登録商標)(Digital Versatile Disc)、「HD DVD」(High Definition DVD)(登録商標)、「CBHD」(China Blue High−Definition)、「BD」(Blu−ray/Blu−ray Disc)(登録商標)等として挙げられる各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を再生させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアにデータ、情報、信号等を記録させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を消去させたりすることのうち少なくとも一つが実行可能な光ピックアップ装置とされている。
【0018】
アクチュエータ(actuator)1を構成するコイルに電気を通してコイルを駆動させる際に、マグネット50(magnet)に磁力による反力が発生する。このようなことが生じたときに、マグネット50が取り付けられたフレーム/ヨーク10(frame/yoke)の強度が低いと、マグネット50に加えられる反力によりフレーム/ヨーク10の共振が励起され、例えば光ピックアップ装置のループ特性等に悪影響が及ぼされる場合がある。その為、フレーム/ヨーク10に対しできる限り強度を高め、固有共振周波数を高くすることが求められている。フレーム・アクチュエータ1は、フレーム/ヨーク10に、マグネット50と、可動部を支えるサポート(support)部品と、を装備可能な構造とされている。
【0019】
なお、ヨーク(yoke)とは、例えば、磁気的な連結を構造的に支持したもの例えば磁気連結部材を意味する。また、ヨークは、磁石(マグネット)等の磁性部材から生じる磁力の漏れを少なくさせるものとされている。ここではヨークとして磁石(マグネット)等の磁性部材が装備される例えばバックヨークが用いられる。例えばバックヨークは、フレーム/ヨークとして取り扱われてもよい。フレーム(frame)とは、例えば、枠や、枠組みや、骨組みを意味する。フレーム/ヨークは、ヨークとしての機能を備えたフレームとして形成される。
【0020】
この駆動装置用フレーム10は、磁石等のマグネット50が装備可能な金属製フレーム/ヨーク本体10Aを備えるアクチュエータ用フレーム/ヨーク10として構成されている。フレーム/ヨーク本体10Aが側面視されたときに、フレーム/ヨーク本体10Aは、略箱型に閉じられている。
【0021】
アクチュエータ1用フレーム/ヨーク10を構成するフレーム/ヨーク本体10Aは、第1折曲片11と、第4折曲片12と、第3折曲片13と、第2折曲片14と、第5折曲片15と、第6折曲片16と、の六つ(複数)の折曲片(片部)を備える略箱型に形成されている。
【0022】
金属素材が用いられ一枚の金属素材に打ち抜き加工、折り曲げ加工等が行われてフレーム/ヨーク本体10Aが形成されている。フレーム/ヨーク本体10Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体10Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体10Aを構成する第1折曲片11と第4折曲片12とは、マグネット50がフレーム/ヨーク本体10Aに装備されるときに用いられる接着剤により、マグネット50の接着工程と略同時に分離不能に繋げられている。
【0023】
フレーム/ヨーク本体10Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体10Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体10Aを構成する第1折曲片11と第4折曲片12とが加締め(かしめ)られて分離不能に繋げられたものも使用可能とされる。また、接着と加締めとの両方のかかり合わせ工程が実行されたものも使用可能とされる。
【0024】
この対物レンズ駆動装置1は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク10と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク10に装備されるマグネット50と、を少なくとも備えるアクチュエータ1として構成されている。
【0025】
また、このピックアップ装置は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク10と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク10に装備されるマグネット50と、を有するアクチュエータ1と、アクチュエータ1により、例えば、上下動、左右動、回動の少なくとも一方向に略沿って駆動させられる対物レンズと、を少なくとも備えるレーザ光を出射可能な光ピックアップ装置として構成される。
【0026】
フレーム/ヨーク本体10Aを側面視略箱型に閉じた構造に構成させせることで、カバー等の別部品が取り付けられることなくフレーム/ヨーク本体10Aの強度を高めることが可能となる。また、部品点数の削減、工数削減の効果も見込むことができる。
【0027】
また、この光ピックアップ装置は、例えば弾性支持部材とされるサスペンションワイヤに生じる異常振動などを抑制させる例えば略ゲル状の合成重合体製のダンピング材(不図示)ならびにダンピング材を保持する合成樹脂製のダンピング保持部材70を備える。金属製バックヨークの後側に装着された合成樹脂製ダンピング保持部材70の各孔75に、各サスペンションワイヤが挿通される。また、サスペンションワイヤが挿通されたダンピング保持部材70の孔75には、例えば柔軟性に富んだ合成重合体製のダンピング材いわゆるダンプ剤が充填される。ダンピング保持部材70は、絶縁性に優れる合成樹脂材料が用いられて形成される。
【0028】
また、この光ピックアップ装置は、各弾性支持部材とされる各金属製サスペンションワイヤが通電可能に接続されて取り付けられる回路基板90を備える。回路基板は、例えば、PWB(printed wired board / printed wiring board)等と呼ばれている。回路基板90の基板本体は、絶縁性に優れる合成樹脂材料が用いられて形成されている。また、合成樹脂製の基板本体上の回路導体(不図示)は、導電性に優れる金属箔として形成されている。また、不図示の金属製の回路導体が形成された合成樹脂製の基板本体上に絶縁性に優れる合成樹脂材料が被覆されて、金属製回路導体が形成された合成樹脂製基板本体上に絶縁皮膜(不図示)が形成されている。
【0029】
本発明によれば、フレーム本体を略箱型に閉じた構造とさせることで、別部品が取り付けられることなくフレーム本体の強度を高めることが可能となる。また、部品点数の削減、工数削減の効果も見込むことができる。
上述の内容について、説明する。
【0030】
===対物レンズ駆動装置===
以下、図3乃至図5を参照して、本実施形態における対物レンズ駆動装置について説明する。図3は、本実施形態が適用されるハウジングを示す斜視図である。尚、説明の便宜上、光ディスク300は点線で示されるとともに、光ディスク300の一部は省略されている。光ディスク300を回転させるスピンドルモータの回転軸301は、説明の便宜上、一点鎖線で示されている。第5折曲片15、側壁85Dは見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示される。図4は、本実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。図5は、本実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【0031】
本実施形態において、Z軸は、光ディスク300を回転させるスピンドルモータの回転軸301の長手方向(フォーカス方向、垂直方向)に沿う軸であり、ハウジング80から光ディスク300に向かう方向を+Z方向とし、光ディスク300からハウジング80に向かう方向を−Z方向とする。Y軸は、光ディスク300の径方向(トラッキング方向)に光ピックアップ装置8が移動する方向に沿う軸であり、回転軸301から離れる方向を+Y方向とし、回転軸301に近づく方向を−Y方向とする。X軸は、タンジェンシャル方向に沿う軸であり、ハウジング80の外側から側面80Aに向かう方向を+X方向とし、ハウジング80の外側から側面80Bに向かう方向を−X方向とする。
【0032】
対物レンズ駆動装置100は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312、レンズホルダ3、アクチュエータ1を備えている。
【0033】
第1対物レンズ311、第2対物レンズ312は、ハウジング80内に収容されているレーザダイオード(不図示)から出射されたレーザ光を光ディスク300の信号記録面に集光する。尚、光ディスク300の信号記録面は、光ディスク300における第1対物レンズ311、第2対物レンズ312と対向する下側(−Z)の面である。第1対物レンズ311、第2対物レンズ312は、例えば、相互に異なる波長のレーザ光を光ディスク300の信号記録面に集光するものとする。
【0034】
レンズホルダ3は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する装置である。レンズホルダ3は、保持板31、脚板32、33を有している。
【0035】
保持板31は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持するための部材である。保持板31は、例えばトラッキング方向に沿う長辺とタンジェンシャル方向に沿う短辺とを有する矩形形状を呈する樹脂製の板部材である。保持板31は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312がトラッキング方向に沿って隣り合うように、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する。保持板31は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312が光ディスク300の信号記録面と対向して上側(+Z)に露出するように、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する。
【0036】
脚板32は、例えば矩形形状を呈する樹脂製の板部材である。脚板33は、脚板32と同様な形状を呈する樹脂製の板部材である。脚板32、33は夫々、保持板31のヨーク10側(−X)の長辺、保持板31のヨーク10とは反対側(+X)の長辺からフォーカス方向における光ディスク300とは反対側(−Z)に向かって延在する。尚、保持板31、脚板32、33をトラッキング方向に沿って+Y側に向かって見た場合、保持板31、脚板32、33はコ字状となるように形成される。脚板32、33は、例えば、脚板32と脚板33との間の中心を通り、且つ、トラッキング方向に沿った中心軸を基準に線対称となるように形成される。
【0037】
アクチュエータ1は、レンズホルダ3を光ディスク300のフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるための装置である。
【0038】
===アクチュエータ===
以下、図4、図5を参照して、本実施形態におけるアクチュエータについて説明する。
【0039】
アクチュエータ1は、回路基板90、支持体70D、ヨーク10、サスペンションワイヤ41乃至46、マグネット50、51、第1フォーカスコイル34、37、第2フォーカスコイル36、39、トラッキングコイル35、38を有している。
【0040】
第1フォーカスコイル34、37は、レンズホルダ3をフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。第2フォーカスコイル36、39は、レンズホルダ3をフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。トラッキングコイル35、38は、レンズホルダ3をトラッキング方向に変位させるためのトラッキング信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35は、脚板32におけるマグネット50と対向する外側(−X)の面に取り付けられる。第1フォーカスコイル37、第2フォーカスコイル39、トラッキングコイル38は、脚板33におけるマグネット51と対向する外側(+X)の面に取り付けられる。第1フォーカスコイル34、37は夫々、脚板32、33における外側の面に設けれ、且つ、タンジェンシャル方向に沿ったコイルボビン(不図示)に対して1本の導電線を巻回して形成される。第2フォーカスコイル36、39は夫々、脚板32、33における外側の面に設けれ、且つ、タンジェンシャル方向に沿ったコイルボビン(不図示)に対して1本の導電線を巻回して形成される。トラッキングコイル35、38は夫々、脚板32、33における外側の面に設けれ、且つ、タンジェンシャル方向に沿ったコイルボビン(不図示)に対して1本の導電線を巻回して形成される。第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36は、トラッキング方向に沿ってトラッキングコイル35を中心に対称となるように脚板32に取り付けられる。第1フォーカスコイル37、第2フォーカスコイル39は、トラッキング方向に沿ってトラッキングコイル38を中心に対称となるように脚板33に取り付けられる。
【0041】
マグネット50、51は、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるための磁束を発生する磁性体である。マグネット50、51は、例えば、トラッキング方向において相対する2辺とフォーカス方向において相対する2辺とを有する略矩形形状を呈する。マグネット51は、対物レンズ駆動装置100をハウジング80に固定した際に、タンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル37、第2フォーカスコイル39、トラッキングコイル38と対向するように、ハウジング80に固定される。マグネット50は、タンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35と対向するように、ヨーク10に取り付けられる。つまり、マグネット50は、光ディスク300のタンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35を介してレンズホルダ3と隣り合うこととなる。又、マグネット50で発生する磁界は、レンズホルダ3をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させる電磁力が発生するように、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35に対して有効に作用することとなる。
【0042】
ヨーク10は、マグネット50、51で発生する磁束の漏れを減少させて、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に確実に変位させるための金属製の部材である。更に、ヨーク10は、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35と対向するようにマグネット50が取り付けられるとともに、対物レンズ駆動装置100をハウジング80に固定するための対物レンズ駆動装置100のフレームとしても機能する。ヨーク10は、タンジェンシャル方向において、マグネット50のレンズホルダ3とは反対側でマグネット50と隣り合っている。ヨーク10は、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる際のヨーク10の共振によってヨーク10が変形するのを抑制できるように構成される。尚、共振、ヨーク10については、後述する。
【0043】
支持体70Dは、サスペンションワイヤ41乃至46を支持するための部材である。なお、サスペンションワイヤ41乃至46については、後述する。支持体70Dは、タンジェンシャル方向においてヨーク10のマグネット50とは反対側に固定される。支持体70Dは、保持部材70A、70B、固定部材70Cを有する。固定部材70Cは、保持部材70A、70Bを支持するとともに、ヨーク10に対して支持体70Dを固定するため部材である。固定部材70Cは、ヨーク10の第2折曲片14に対して例えば接着される。固定部材70Cは、保持部材70A、70Bが夫々固定部材70Cの−Y側、+Y側に配置されるように、保持部材70A、70Bを支持する。保持部材70Aは、サスペンションワイヤ41乃至43を囲繞するダンプ剤が注入されて前記サスペンションワイヤ41乃至43を制振支持するための部材である。保持部材70Bは、サスペンションワイヤ44乃至46を囲繞するダンプ剤が注入されて前記サスペンションワイヤ44乃至46を制振支持するための部材である。
【0044】
回路基板90は、フォーカス信号及びトラッキング信号を供給する基板であり、タンジェンシャル方向における、支持体70Dのヨーク10とは反対側に支持体70Dにネジ止めして設けられる。回路基板90の支持体70D側(+X)の面における−Y側の端部には、回路基板90のフォーカス信号及びトラッキング信号を出力するための回路と電気的に接続されている端子41B、42B、43Bが設けられている。
【0045】
端子41B、42B、43Bは、フォーカス方向に沿って、設けられる。例えば、端子42Bは、端子43Bよりも上側(+Z)に設けられ、端子41Bは、端子42Bよりも上側に設けられる。回路基板90の支持体70D側の面における+Y側の端部には、回路基板90のフォーカス信号及びトラッキング信号を出力するための回路と電気的に接続されている端子44B、45B、46Bが設けられている。端子44B、45B、46Bは、フォーカス方向に沿って、設けられる。例えば、端子45Bは、端子46Bよりも上側に設けられ、端子44Bは、端子45Bよりも上側に設けられる。
【0046】
サスペンションワイヤ41乃至46は、レンズホルダ3がフォーカス方向及びトラッキング方向に変位できるように、レンズホルダ3を弾性支持する。サスペンションワイヤ41乃至46は、レンズホルダ3をトラッキング方向及びフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号及びトラッキング信号を送信する信号線としても機能する。サスペンションワイヤ41乃至43は、トラッキング方向におけるレンズホルダ3の手前側(−Y)を支持し、タンジェンシャル方向に沿って延びている。サスペンションワイヤ44乃至46は、トラッキング方向におけるレンズホルダ3の奥側(+Y)を支持し、タンジェンシャル方向に沿って延びている。サスペンションワイヤ41乃至46は、例えば、サスペンションワイヤ41乃至43と、サスペンションワイヤ44乃至46との間に、マグネット50、ヨーク10の第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13が配設されるように延びているものとする。
【0047】
サスペンションワイヤ41乃至43の一端は、脚板32のヨーク10側(−X)の面における手前側の端部に例えば半田付け等を用いて固定される。更に、サスペンションワイヤ41、43の一端は夫々、一対の第1フォーカスコイル34、37の両端と電気的に接続されている端子41A、43Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ42の一端は、一対のトラッキングコイル35、38の一端と電気的に接続されている端子42Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ41乃至43の他端は夫々、保持部材70Aを介して回路基板90のヨーク10側の面における手前側の端部に例えば半田付け等を用いて固定されると共に、回路基板90の端子41B、42B、43Bに例えば半田等を用いて電気的に接続される。尚、端子41A、42A、43Aは、フォーカス方向に沿って、設けられているものとする。例えば、端子42Aは、端子43Aよりも上側に設けられ、端子41Aは、端子42Aよりも上側に設けられているものとする。
【0048】
サスペンションワイヤ44乃至46の一端は、脚板32のヨーク10側の面における奥側の端部に例えば半田付け等を用いて固定される。更に、サスペンションワイヤ44、46の一端は夫々、一対の第2フォーカスコイル36、39の両端と電気的に接続されている端子44A、46Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ44の一端は、一対のトラッキングコイル35、38の他端と電気的に接続されている端子45Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ44乃至46の他端は夫々、保持部材70Bを介して回路基板90のヨーク10側の面における奥側の端部に例えば半田付け等を用いて固定されると共に、回路基板90の端子44B、45B、46Bに例えば半田等を用いて電気的に接続される。尚、端子44A、45A、46Aは、フォーカス方向に沿って、設けられているものとする。例えば、端子45Aは、端子46Aよりも上側に設けられ、端子44Aは、端子45Aよりも上側に設けられているものとする。
【0049】
===共振===
以下、図4、図5を参照して、本実施形態におけるヨークの共振について説明する。
【0050】
第1フォーカスコイル34、37、第2フォーカスコイル36、39に対して供給されるフォーカス信号と、マグネット50、51で発生する磁束とに基づいて、第1フォーカスコイル34、37、第2フォーカスコイル36、39に対するフォーカス方向の電磁力が発生する。当該電磁力によって、レンズホルダ3は、フォーカス方向に変位することとなる。トラッキングコイル35、38に対して供給されるトラッキング信号と、マグネット50、51で発生する磁束とに基づいて、トラッキングコイル35、38に対するトラッキング方向の電磁力が発生する。当該電磁力によって、レンズホルダ3は、トラッキング方向に変位することとなる。
【0051】
例えば、レンズホルダ3がフォーカス方向における、脚板32、33が突出している下側(−Z)から、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312が露出している上側(+Z)に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を下側から上側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、上側から下側に向かうに反力を受けることとなる。例えば、レンズホルダ3がフォーカス方向における、上側から下側に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を上側から下側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、下側から上側に向かう反力を受けることとなる。例えば、レンズホルダ3がトラッキング方向における手前側(−Y)から奥側(+Y)に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を手前側から奥側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、奥側から手前側に向かう反力を受けることとなる。例えば、レンズホルダ3がトラッキング方向における奥側から手前側に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を奥側から手前側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、手前側から奥側に向かう反力を受けることとなる。
【0052】
つまり、アクチュエータ1では、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる際に、マグネット50、51が受ける反力によって、ヨーク10がフォーカス方向又はトラッキング方向に振動することとなる。当該ヨーク10の振動は、例えば、フォーカス信号、トラッキング信号が所定周波数のときに共振することとなる。尚、ヨーク10が共振するときのフォーカス信号、トラッキング信号の周波数を、共振周波数とする。ヨーク10が共振した場合、ヨーク10のフォーカス方向又はトラッキング方向の振動の振幅が比較的大きくなり、ヨーク10が変形したり、ヨーク10全体が比較的大きく揺れたりして、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる精度が低下することがある。つまり、ヨーク10の共振によって、対物レンズ駆動装置100における、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる制御特性が悪くなる虞がある。よって、マグネット50の反力によってヨーク10が変形するのを防止し、共振周波数を、フォーカス信号、トラッキング信号の周波数として通常使われる周波数帯域よりも高い周波数帯域にシフトするために、ヨーク10を補強する必要がある。
【0053】
===ヨーク===
以下、図6、図7を参照して、本実施形態におけるヨークについて説明する。
【0054】
図6は、本実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。図7は、本実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【0055】
ヨーク10は、マグネット50、51(図4)で発生する磁束の漏れを減少させて、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に確実に変位させるための強磁性体金属製の部材である。更に、ヨーク10は、対物レンズ駆動装置100のフレームとしても機能する。ヨーク10は、タンジェンシャル方向において、マグネット50と回路基板90との間に設けられる。ヨーク10は、一枚の軟鋼金属板を折り曲げて形成される。
【0056】
ヨーク10は、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を有する。第1折曲片11、第3折曲片13、第2折曲片14、第4折曲片12は、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成される。第5折曲片15は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の一方の端部15Bから、光ディスク300(図3)(+Z方向)に向かって延びている。第6折曲片16は、第4折曲片12のトラッキング方向における他方の端部16Bから、光ディスク300に向かって延びている。
【0057】
=第1折曲片乃至第4折曲片=
第1折曲片11は、ヨーク10に対してマグネット50を取り付けるための部材である。第1折曲片11は、トラッキング方向とフォーカス方向とによって形成されるYZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。第1折曲片11は、トラッキング方向に沿い、且つ、フォーカス方向において相対する端部を有する。第1折曲片11は、フォーカス方向に沿い、且つ、トラッキング方向において相対する端部を有する。第1折曲片11は、第1折曲片11のマグネット50側(+X)(以下、「一方側」とも称する)の面が、マグネット50のヨーク10側(−X)(以下、「他方側」とも称する)の面と対向するように形成される。第1折曲片11の一方側の面には、マグネット50が接着剤で固定される。尚、第1折曲片11へのマグネット50の固定については、後述する。
【0058】
第3折曲片13は、第1折曲片11のフォーカス方向における光ディスク300に近い側(+Z)の端部から、タンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側(−X)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第3折曲片13は、トラッキング方向とタンジェンシャル方向とによって形成されるXY平面と略平行な、平板形状を呈する。つまり、第3折曲片13は、第3折曲片13の上側(+Z)の面が光ディスク300と対向するように、折れ曲がっている。第3折曲片13におけるマグネット50とは反対側の一部のトラッキング方向の長さは、保持部材70A、70B(図4)と第3折曲片13とが干渉しないように、比較的短く設定されている。第3折曲片13のタンジェンシャル方向における他方側の端部の一部は、例えばヨーク10を軽量化するための孔13Bが形成されるように、一方側に向かって抉られている。第3折曲片13には、例えばヨーク10を軽量化するための孔13Aが形成されている。
【0059】
第2折曲片14は、ヨーク10に対して支持体70Dを固定するための部材である。第2折曲片14は、第3折曲片13のタンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側の端部から、フォーカス方向における光ディスク300とは反対側(−Z)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第2折曲片14は、第1折曲片11と略平行な平板形状を呈する。つまり、第2折曲片14は、第2折曲片14の一方側の面が、第1折曲片11の他方側の面と対向するように折れ曲がっている。第2折曲片14のフォーカス方向における下側(−Z)の端部の一部は、例えばヨーク10を軽量化するための孔14Aが形成されるように、上側に向かって抉られている。第2折曲片14の他方側の面には、固定部材70Cが例えば接着剤を用いて接着される。
【0060】
第4折曲片12は、ハウジング80に対してヨーク10を固定するための部材である。第4折曲片12は、第2折曲片14のフォーカス方向における光ディスク300から遠い側(−Z)の端部からマグネット50(+X方向)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第4折曲片12は、第3折曲片13と略平行な平板形状を呈する。つまり、第4折曲片12は、第4折曲片12の上側の面が、第3折曲片13の下側の面と対向するように折れ曲がっている。第4折曲片12は、トラッキング方向の−Y側の一部15A(図7)、+Y側の一部16Aがトラッキング方向に沿って第4折曲片12の中心から離れるように延びた形状を呈する。第4折曲片12のタンジェンシャル方向における他方側の端部の一部は、孔14Aが形成されるように、一方側に向かって抉られている。第4折曲片12には、例えばヨーク10の軽量化するための複数の孔15D、15E、12D、16Dが形成されている。第4折曲片12のタンジェンシャル方向における一方側の端部17(図2)は、第1折曲片11のフォーカス方向における下側の端部11D及びマグネット50の他方側の面と対向する。尚、端部17、11Dについては、後述する。
【0061】
=第5折曲片、第6折曲片=
第5折曲片15は、ハウジング80に対してヨーク10を固定するための部材である。第5折曲片15は、第4折曲片12の一部15Aのトラッキング方向における一方の端部15Bから、光ディスク300(+Z方向)に向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第5折曲片15は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の一方の端部15Bから、光ディスク300に向かって延びることとなる。第5折曲片15は、タンジェンシャル方向とフォーカス方向とによって形成されるXZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0062】
ここで、第4折曲片12は、例えば、サスペンションワイヤ43、46よりも下側に設けられているものとする。更に、第4折曲片12の一部15Aは、一方の端部15Bがサスペンションワイヤ41乃至43よりも−Y側に配置されるように、形成されているものとする。第5折曲片15のフォーカス方向の長さは、例えば、フォーカス方向における第4折曲片12からサスペンションワイヤ41までの距離よりも長く設定されているものとする。よって、サスペンションワイヤ41乃至43は、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第5折曲片15の間に配置されることとなる。その為、第5折曲片15によりサスペンションワイヤ41乃至43は保護される。
【0063】
第6折曲片16は、ハウジング80に対してヨーク10を固定するための部材である。第6折曲片16は、第4折曲片12の一部16Aのトラッキング方向における他方の端部16Bから、光ディスク300に向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第6折曲片16は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の他方の端部16Bから、光ディスク300に向かって延びることとなる。第6折曲片16は、第5折曲片15と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0064】
ここで、第4折曲片12の一部16Aは、他方の端部16Bがサスペンションワイヤ44乃至46よりも+Y側に配置されるように、形成されているものとする。第6折曲片16のフォーカス方向の長さは、例えば、フォーカス方向における第4折曲片12からサスペンションワイヤ44までの距離よりも長く設定されているものとする。よって、サスペンションワイヤ44乃至46は、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第6折曲片16の間に配置されることとなる。その為、第6折曲片16によりサスペンションワイヤ44乃至46は保護される。
【0065】
===第1折曲片の端部、第4折曲片の端部===
以下、図2を参照して、本実施形態における第1折曲片の端部、第4折曲片の端部について説明する。
【0066】
第4折曲片12のタンジェンシャル方向におけるマグネット50側(+X)の端部17、第1折曲片11のフォーカス方向における光ディスク300とは反対側(−Z)の端部11Dは夫々、ヨーク10を形成している一枚の金属板の一方の端部、他方の端部である。
【0067】
端部11Dは、トラッキング方向に沿って形成されている。端部11Dは、対向面11Eを有する。対向面11Eは、第3折曲片13の第4折曲片12と対向する内側の面(−Z)から対向面11Eまでのフォーカス方向の距離D4が、第3折曲片13の内側の面から第4折曲片12の第3折曲片13と対向する内側の面(+Z)との間のフォーカス方向の距離D3よりも長くなる位置に形成される。つまり、対向面11Eは、第4折曲片12の内側の面よりも下側(−Z)に形成される。
【0068】
端部17は、トラッキング方向に沿って形成されている。端部17は、対向面17C、17E、突出片17A、17Bを有する。
【0069】
対向面17Cは、対向面11Eと対向する面である。対向面17Cは、第3折曲片13の内側の面から対向面17Cまでのフォーカス方向の距離D2が、距離D4よりも長くなる位置に形成される。対向面17Cは、対向面11Eとフォーカス方向において下側から対向するように形成される。対向面17Cと対向面11Eとの間には、隙間が形成されることとなる。つまり、対向面17C及び対向面11Eは、対向面17Cと対向面11Eとの間の隙間を介して、フォーカス方向において互いに対向することとなる。
【0070】
対向面17Eは、マグネット50の他方側の面(−X)と対向する面である。対向面17Eは、マグネット50の他方側の面が第1折曲片11のマグネット50側(+X)の面と当接したときに、対向面17Eとマグネット50の他方側の面との間に隙間ができるように、タンジェンシャル方向における第1折曲片11のマグネット50側の面よりも第2折曲片14側(−X)の位置に形成される。
【0071】
突出片17A、17Bは、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行うための片である。突出片17A、17Bは夫々、例えば、端部17における対向面17Eからレンズホルダ3に向かって突出した形状を呈する。突出片17A、17Bは、ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを行い易いように、トラッキング方向において相互に所定距離だけ離れた位置に設けられる。突出片17A、17Bは、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50のフォーカス方向における光ディスク300から遠い側(−Z)の端部が突出片17A、17Bの上側(+Z)の面に当接されるような形状を呈する。突出片17A、17Bは、第3折曲片13の内側の面から突出片17A、17Bの上側の面までのフォーカス方向の距離D1が、距離D2よりも長くなるように形成される。更に、マグネット50の光ディスク300から遠い側(−Z)の端部と突出片17A、17Bの上側の面とが当接したときに、マグネット50の光ディスク300から遠い側の端部と端部17及び端部11Dとが対向するように、対向面17Cから突出片17A、17Bの上側の面までのフォーカス方向の距離D5は、比較的短く設定されている。
【0072】
===マグネットの固定===
以下、図2、図5を参照して、本実施形態におけるヨークに対するマグネットの固定について説明する。
【0073】
マグネット50は、ヨーク10に対して例えば熱硬化性の接着剤を用いて固定される。
マグネット50は、例えば、ヨーク10に対して位置決めを行った後に、接着剤を用いてヨーク10に固定される。
【0074】
ヨーク10に対するマグネット50の位置決めは、例えば、第1折曲片11及びマグネット50の相互に対向する面同士を当接させるとともに、マグネット50の下側(−Z)の面を突出片17A、17Bの上側(+Z)の面に当接させることによって行われる。ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを行ったとき、対向面17Eとマグネット50の第1折曲片11側の面(−X)との間の隙間から、対向面11Eと対向面17Cとの間の隙間まで連続した隙間17Dが形成されることとなる。
【0075】
例えば、ヨーク10における第3折曲片13が下側となるようにヨーク10を裏返した状態で、ヨーク10に対してマグネット50を固定するための接着剤が、対向面17Eとマグネット50との間に塗布される。当該接着剤は、自重で隙間17Aに流入したり、マグネット15と第1折曲片11との間に浸透したりした後に、硬化することとなる。隙間17Aが接着剤で充填され、且つ、マグネット50がヨーク10に確実に固定されるような、十分な量の接着剤が、塗布されるものとする。尚、当該接着剤としては、自重で隙間17Aに流入したり、マグネット15と第1折曲片11との間に浸透したりするような粘性を有する、例えば一液接着剤が用いられる。端部17及び端部11Dは、互いに接着されることとなる。マグネット50は、第1折曲片11に接着されることとなる。
【0076】
よって、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を折り曲げて形成されたヨークは、−Y方向から+Y方向に向かった見たときに、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12が矩形に連結された状態となる。端部17及び端部11Dは、マグネット50に接着されることとなる。更に、第1折曲片11のマグネット50と対向する面は、マグネット50の第1折曲片11と対向する面に接着されることとなる。
【0077】
ヨーク10における光ディスク300と対向する側とは反対側に接着剤が塗布されるので、例えば、ヨーク10に塗布された接着剤の量が比較的多くて、接着剤が第4折曲片12側に盛り上がった状態で硬化したとしても、光ディスク300と干渉することがない。従って、ヨーク10に対してマグネットを確実に固定し、端部11Dと端部17とを確実に連結できる十分な量の接着剤をヨーク10に塗布することができる。
【0078】
尚、マグネット50における第1折曲片11と対向する側の面が、第1接着面に相当する。マグネット50の第1折曲片11と対向する側の面における、第4折曲片12の端部17と対向している一部及び第1折曲片11の端部11Dと対向している一部とが、第2接着面に相当する。
【0079】
===ハウジングに対するヨークの固定===
以下、図3、図8を参照して、本実施形態におけるハウジングに対するヨークの固定について説明する。図8は、本実施形態が適用される、光ディスクと対向する側とは反対側から見たハウジングを示す斜視図である。尚、説明の便宜上、光ディスク300は点線で示されるとともに、光ディスク300の一部は省略されている。光ディスク300を回転させるスピンドルモータの回転軸301は、説明の便宜上、一点鎖線で示されている。
【0080】
ハウジング80は、例えば、光ピックアップ装置8を構成する対物レンズ駆動装置100、光ディスク300に対して情報を記録するための光学素子を収容する樹脂製の容器である。ハウジング80の回転軸301と対向する手前側(−Y)は、例えば、スピンドルモータ(不図示)を回避するように所定の曲率をもって抉られた形状を呈する。ハウジング80は、ガイド部材81、82、83、窪み80Cを有する。
【0081】
ガイド部材81、82、83は、光ディスク100のラジアル方向(Y軸)に沿って光ピックアップ装置8を移動させるための、一対のガイド軸に対して、ハウジング80を取り付けるための部材である。ガイド部材81、82、83は、ハウジング80の両側面80A、80Bに設けられる。ガイド部材83は、例えば、ハウジング80の一方側の側面80Bに設けられる。ガイド部材81、82は、例えば、ハウジング80の他方側の側面80Aに設けられる。
【0082】
窪み80Cは、対物レンズ駆動装置100が収容されるような形状を呈する。窪み80Cは、ハウジング80の光ディスク300と対向する側に形成される。窪み80Cの底は、ハウジング80における光ディスク300と対向する側とは反対側の底板80Dによって形成される。対物レンズ駆動装置100を窪み80C内に収容したとき、対物レンズ駆動装置100は、窪み80Cの底に載置されることとなる。窪み80Cの底を形成している底板80Dの一部には、孔85A、86Aが形成されている。孔85A、86Aは、例えば、窪み80Cの底に対してヨーク10を固定するときに、ハウジング80に対するヨーク10の位置決めを行うための孔である。窪み80C内には、対物レンズ駆動装置100を窪み80C内に配設した際に、第5折曲片15、第6折曲片16夫々と対向する側壁85D、86Dが形成されているものとする。
【0083】
ヨーク10は、接着剤によってハウジング80に対して固定される。例えば、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16夫々、窪み86Cの底、側壁85D、側壁86Dが接着されて、ヨーク10は、ハウジング80に固定されることとなる。
【0084】
前述したように、対物レンズ駆動装置100は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312、レンズホルダ3、アクチュエータ1を備える。第1対物レンズ311、第2対物レンズ312は、光ディスク300の信号記録面に対向する。レンズホルダ3は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する。アクチュエータ1は、レンズホルダ3を光ディスク300のフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる。アクチュエータ1は、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35、マグネット50、ヨーク10を含んでいる。第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35は、レンズホルダ3に取り付けられる。マグネット50は、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35に対して有効に作用する磁界を発生する。ヨーク10には、マグネット50が固定される。ヨーク10は、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成される。マグネット50は、ヨーク10に対して接着剤で固定される。ヨーク10は、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成されているので、例えば、ヨーク10を補強するための補強板等の別部品をヨーク10に取り付ける必要がない。よって、ヨーク10では、ヨーク10に対して補強板等の別部品を接着するための接着剤の剥離によって、ヨーク10の強度が低下するのを防止できる。ヨーク10の強度を維持して、マグネット50から伝達される反力によってヨーク10が比較的大きく変形するのを防止することができる。従って、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。又、ヨーク10を形成する際に、複数部品を組み合わせる必要がないので、部品点数を減らして、対物レンズ駆動装置100の製造コストを低減できる。
【0085】
又、マグネット50は、光ディスク300のタンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35を介して、レンズホルダ3と隣りあっている。ヨーク10は、タンジェンシャル方向において、マグネット50のレンズホルダ3とは反対側でマグネット50と隣り合っている。ヨーク10、マグネット50、レンズホルダ3がタンジェンシャル方向において隣り合うこととなり、レンズホルダ3をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させる電磁力を発生させる磁気回路が形成される。従って、当該磁気回路によって、レンズホルダ3をフォーカス方向及びトラッキング方向に確実に変位させることができるので、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0086】
又、ヨーク10を形成する金属板の一方の端部17及び他方の端部11Dは、トラッキング方向に沿って形成され、互いに、フォーカス方向において対向する。端部17及び端部11Dは、マグネット50のヨーク10と対向する側の面に接着される。よって、ヨーク10の端部17及び端部11Dは、マグネット50を介して、互いに固定されることとなる。ヨーク10は、マグネット50によって矩形に閉じられることとなる。よって、ヨーク10の強度を向上させて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。又、ヨーク10に対してマグネット50を固定するときに、端部17及び端部11Dは、互いに固定されることとなる。よって、ヨーク10に対してマグネット50を固定する工程と、端部17及び端部11Dを互いに固定させる工程とを分ける必要がないので、製造工程を減らして、対物レンズ駆動装置100の製造コストを更に低減できる。
【0087】
又、端部17及び端部11Dは、マグネット50における光ディスク300から遠い側の端部のヨーク10側の面と対向する。マグネット50は、隙間17Dに接着剤が流入されることにより、ヨーク10に対して固定される。隙間17Dに流入する接着剤よって、端部17及び端部11Dが互いに強固に固定されることとなる。従って、ヨーク10の強度を更に向上させて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0088】
又、ヨーク10は、突出片17A、17Bを有する。突出片17A、17Bは、端部17からレンズホルダ3に向かって突出している。突出片17A、17Bは、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50の光ディスク300から遠い側の端部が当接される片である。ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを、確実に行うことができる。端部11D、17が互いに固定されるようにヨーク10に対してマグネット50を確実に固定して、ヨーク10の強度を確実に向上させることができる。よって、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。又、ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを、容易に行うことができる。よって、対物レンズ駆動装置100の製造時間を短縮して、対物レンズ駆動装置100の生産性を向上させることができる。
【0089】
又、ヨークは、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を含む。第1折曲片11は、マグネット50と対向する。第2折曲片14は、第1折曲片11と対向する。第3折曲片13は、第1折曲片11と第2折曲片14との間において光ディスク300と対向する。第4折曲片12は、第1折曲片11と第2折曲片14との間において第3折曲片13と対向する。第5折曲片15は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の一方の端部15Bから光ディスク300に向かって延びる。第6折曲片16は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の他方の端部16Bから光ディスク300に向かって延びる。第4折曲片12、第5折曲片15及び第6折曲片16は、ハウジング80に対して接着剤で固定される。ヨーク10がハウジング80に固定されるので、反力によってヨーク10全体が比較的大きく振動するのを防止することができる。従って、ヨーク10全体の比較的大きな振動を抑えて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。 又、アクチュエータ1は、サスペンションワイヤ41乃至46、支持体70Dを含む。サスペンションワイヤ41乃至43と、サスペンションワイヤ44乃至46とは、対となってトラッキング方向におけるレンズホルダ3の両側を支持する。サスペンションワイヤ41乃至46は、タンジェンシャル方向に延びている。支持体70Dは、サスペンションワイヤ41乃至46を支持する。支持体70Dは、タンジェンシャル方向において、ヨーク10のマグネット50とは反対側で第2折曲片14に固定される。サスペンションワイヤ41乃至43は、第1折曲片11乃至第4折曲片12と第5折曲片15との間に配置される。サスペンションワイヤ44乃至46は、第1折曲片11乃至第4折曲片12と第6折曲片16との間に配置される。よって、サスペンションワイヤ41乃至46に干渉せずに、ハウジング80に対してヨーク10を確実に固定できる。従って、ヨーク10全体の比較的大きな振動を確実に抑えて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0090】
[第2実施形態]
===対物レンズ駆動装置===
第2実施形態における対物レンズ駆動装置800は、第1実施形態におけるヨーク10を、ヨーク900に変更したものである。尚、ヨーク900以外の構成は、対物レンズ駆動装置100と同様であるので、その説明は省略する。
【0091】
以下、図9、図10を参照して、本実施形態における対物レンズ駆動装置について説明する。図9は、本実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。尚、図4に示される構成と同様な構成については同一の符号を付すのみで、その説明については省略する。図10は、本実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。尚、図5に示される構成と同様な構成については同一の符号を付すのみで、その説明については省略する。
【0092】
本実施形態において、Z軸は、脚板が延びる方向(フォーカス方向)に沿う軸であり、上側に向かう方向を+Z方向とし、下側に向かう方向を−Z方向とする。X軸は、ヨーク900とマグネット50とが隣り合う方向(タンジェンシャル方向)に沿う軸であり、ヨーク900からマグネット50に向かう方向を+X方向とし、マグネット50からヨーク900に向かう方向を−Xとする。Y軸は、第6折曲片25、第7折曲片26に直交する方向(トラッキング方向)に沿う軸であり、第6折曲片25から第7折曲片26に向かう方向を+Yとし、第7折曲片26から第6折曲片25に向かう方向を−Yとする。
【0093】
対物レンズ駆動装置800は、アクチュエータ9を備えている。アクチュエータ9は、レンズホルダ3を光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるための装置である。アクチュエータ9は、ヨーク900を有する。
【0094】
===ヨーク===
以下、図11、図12を参照して、本実施形態におけるヨークについて説明する。図11は、本実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。図12は、本実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【0095】
ヨーク900は、タンジェンシャル方向において、マグネット50と回路基板90との間に設けられる。ヨーク900は、一枚の金属板を折り曲げて形成される。
【0096】
ヨーク900は、第1折曲片27、第2折曲片22、第3折曲片24、第4折曲片23、第5折曲片21、第6折曲片25、第7折曲片26を有する。第1折曲片27、第2折曲片22、第3折曲片24、第4折曲片23、第5折曲片21は、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成される。第6折曲片25は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の一方の端部25Bから、光ディスク(+Z方向)に向かって延びている。第7折曲片26は、第4折曲片23のトラッキング方向における他方の端部26Bから、光ディスクに向かって延びている。
【0097】
=第1折曲片乃至第5折曲片=
第1折曲片27は、ヨーク900に対してマグネット50を取り付けるための部材である。第1折曲片27は、トラッキング方向とフォーカス方向とによって形成されるYZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。第1折曲片27は、トラッキング方向に沿い、且つ、フォーカス方向において相対する端部を有する。第1折曲片27は、フォーカス方向に沿い、且つ、トラッキング方向において相対する端部を有する。第1折曲片27は、第1折曲片27のマグネット50側(+X)(以下、「一方側」とも称する)の面が、マグネット50のヨーク900側(−X)(以下、「他方側」とも称する)の面と対向するように形成される。第1折曲片27の一方側の面には、マグネット50が接着剤で固定される。尚、第1折曲片27へのマグネット50の固定については、後述する。
【0098】
第2折曲片22は、第1折曲片27のフォーカス方向における光ディスクに近い側(+Z)の端部から、タンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側(−X)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第2折曲片22は、トラッキング方向とタンジェンシャル方向とによって形成されるXY平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。つまり、第2折曲片22は、第2折曲片22の上側(+Z)の面が光ディスクと対向するように、折れ曲がっている。第2折曲片22におけるマグネット50とは反対側の一部のトラッキング方向の長さは、保持部材70A、70B(図9)と第2折曲片22とが干渉しないように、比較的短く設定されている。
【0099】
更に、第2折曲片22には、トラッキング方向に沿った、例えば2個の嵌入孔92A、92Bが形成される。嵌入孔92A、92Bは、第2折曲片22に対して第5折曲片21の上側の端部を固定するための貫通孔である。嵌入孔92A、92Bの径は夫々、第5折曲片21に設けられた突起98A、98Bが嵌るような大きさに設定されている。尚、第5折曲片21、突起98A、98Bについては、後述する。
【0100】
第3折曲片24は、ヨーク900に対して支持体70Dを固定するための部材である。第3折曲片24は、第2折曲片22のタンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側の端部から、フォーカス方向における光ディスクとは反対側(−Z)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第3折曲片24は、第1折曲片27と略平行な略矩形の平板形状を呈する。つまり、第3折曲片24は、第1折曲片27と対向するように折れ曲がることとなる。第3折曲片34の他方側の面には、固定部材70Cが例えば接着剤を用いて接着される。
【0101】
第4折曲片23は、ハウジングに対してヨーク900を固定するための部材である。第4折曲片23は、第3折曲片24のフォーカス方向における光ディスクから遠い側(−Z)の端部からマグネット50(+X方向)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第4折曲片23は、第2折曲片22と略平行な平板形状を呈する。つまり、第4折曲片23は、第4折曲片23の上側の面が、第2折曲片22の下側の面と対向するように折れ曲がっている。第4折曲片23のタンジェンシャル方向の長さは、後述する第5折曲片21がタンジェンシャル方向における第1折曲片27と第3折曲片24との間に配置されるように、第2折曲片22のタンジェンシャル方向の長さよりも短く設定されている。第4折曲片23は、トラッキング方向の−Y側の一部25A、+Y側の一部26Aがトラッキング方向に沿って第4折曲片23の中心から離れるように延びた形状を呈する。
【0102】
第5折曲片21は、第2折曲片22のタンジェンシャル方向におけるマグネット50側の端部から、フォーカス方向における光ディスクに向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第5折曲片21は、第1折曲片27と略平行な略矩形の平板形状を呈する。つまり、第5折曲片21は、第5折曲片21の一方側の面が第1折曲片27の他方側の面と対向するとともに、第5折曲片21の他方側の面が第3折曲片24の一方側の面と対向するように、折れ曲がることとなる。第5折曲片21のフォーカス方向の長さは、例えば、第5折曲片21の上側の端部が第2折曲片22の下側の面に当接するように、第3折曲片24のフォーカス方向の長さにと同様な長さに設定される。
【0103】
更に、第5折曲片21の上側の端部には、上側に向かって突出する突起98A、98Bが形成される。突起98A、98Bは、第2折曲片22に対して第5折曲片21の上側の端部を固定するのに用いられる。突起98A、98Bは夫々、嵌入孔92A、92Bに嵌るような形状を呈する。突起98A、98Bの長さは、例えば、嵌入孔92A、92Bを介して第2折曲片22の上側に突出した突起98A、98Bの先端が光ディスクと接触しないような長さに設定される。第5折曲片21の上側の端部を第2折曲片22に対してより強固に固定するために、例えば、嵌入孔92A、92Bから第2折曲片22の上側に突出した突起98A、98Bと第2折曲片22の上側の面とに対して、連続的に接着剤が塗布される。そして、第5折曲片21の上側の端部と第2折曲片22とは、互いに強固に固定されることとなる。
【0104】
=第6折曲片、第7折曲片=
第6折曲片25は、ハウジングに対してヨーク900を固定するための部材である。第6折曲片25は、第4折曲片23の一部25Aのトラッキング方向における一方の端部25Bから、光ディスクに向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第6折曲片25は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の一方の端部25Bから、光ディスクに向かって延びることとなる。第6折曲片25は、タンジェンシャル方向とフォーカス方向とによって形成されるXZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0105】
第7折曲片26は、ハウジングに対してヨーク900を固定するための部材である。第7折曲片26は、第4折曲片23の一部26Aのトラッキング方向における他方の端部26Bから、光ディスクに向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第7折曲片26は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の他方の端部26Bから、光ディスクに向かって延びることとなる。第7折曲片26は、タンジェンシャル方向とフォーカス方向とによって形成されるXZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0106】
===マグネットの固定===
以下、図10、図11を参照して、本実施形態におけるヨークに対するマグネットの固定について説明する。
【0107】
マグネット50は、ヨーク900に対して例えば接着剤で固定される。ここで、ヨーク900の第1折曲片27は、突出片99を有する。突出片99は、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うための片である。突出片99は、例えば、第1折曲片27の下側(−Z)の端部から一方側(+X)に向かって突出した形状を呈する。突出片99は、ヨーク900に対するマグネット50の位置決めを行い易いように、トラッキング方向に沿って連続して設けられる。突出片99は、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50のフォーカス方向における光ディスクから遠い側(−Z)の端部が突出片99の上側(+Z)の面に当接されるような形状を呈する。
【0108】
マグネット50は、例えば、ヨーク900に対する位置決めが行われるときに、接着剤を用いてヨーク900に固定される。
【0109】
ヨーク900に対するマグネット50の位置決めは、例えば、第1折曲片27及びマグネット50の相互に対向する面同士を当接されるとともに、マグネット50の下側の面を突出片99の上側の面に当接させることによって行われる。
【0110】
例えば、第1折曲片27の一方側の面、突出片99の上側の面に接着剤を予め塗布した状態で、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うことによって、マグネット50はヨーク900に対して固定される。尚、例えば、マグネット50の第1折曲片27と対向する面、突出片99と対向する面に予め接着剤を塗布しておいてもよい。又、例えば、マグネット50の第1折曲片27と対向する面、突出片99と対向する面、第1折曲片27の一方側の面、突出片99に予め接着剤を塗布しておいてもよい。
【0111】
前述したように、ヨーク900は、第1折曲片27、第2折曲片22、第3折曲片24、第4折曲片23、第5折曲片21を含む。第1折曲片27は、マグネット50と対向する。第2折曲片22は、光ディスクと対向するように、第1折曲片27から折れ曲がる。第2折曲片22は、嵌入孔92A、92Bを有する。第3折曲片24は、第1折曲片27と対向するように、第2折曲片22から折れ曲がる。第4折曲片23は、第2折曲片22と対向するように、第3折曲片24から折れ曲がる。第5折曲片21は、第1折曲片27及び第3折曲片24の双方と対向するように、第4折曲片23から折れ曲がる。第5折曲片21は、嵌入孔92A、92Bに嵌入される突起98A、98Bを有する。突起98A、98Bが嵌入孔92A、92Bに嵌入されるので、第2折曲片22及び第5折曲片21が互いに固定されることとなる。第2折曲片22及び第5折曲片21が互いに固定されるので、ヨーク900は、矩形に閉じられることとなる。よって、ヨーク900の強度を向上させて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0112】
又、突起98A、98Bは、嵌入孔92A、92Bに嵌入された後、第2折曲片22に対して接着剤で接着される。よって、第2折曲片22及び第5折曲片21が互いにより強固に固定されることとなる。従って、ヨーク900の強度を確実に向上させて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0113】
又、ヨーク900は、突出片99を有する。突出片99は、第1折曲片27の光ディスクから遠い側の端部から、レンズホルダに向かって突出する。突出片99は、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50の光ディスクから遠い側の端部が当接される片である。ヨーク900に対するマグネット50の位置決めを、容易に行うことができる。よって、対物レンズ駆動装置800の製造時間を短縮して、対物レンズ駆動装置800の生産性を向上させることができる。
【0114】
又、ヨーク900は、第6折曲片25、第7折曲片26を含む。第6折曲片25は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の一方の端部25Bから光ディスクに向かって延びる。第7折曲片26は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の他方の端部26Bから光ディスクに向かって延びる。第4折曲片23、第6折曲片25及び第7折曲片26は、ハウジングに対して接着剤で固定される。ヨーク900がハウジングに固定されるので、反力によってヨーク900全体が比較的大きく振動するのを防止することができる。従って、ヨーク900全体の比較的大きな振動を抑えて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0115】
又、アクチュエータ9は、サスペンションワイヤ41乃至46、支持体70Dを含む。サスペンションワイヤ41乃至43と、サスペンションワイヤ44乃至46とは、対となってトラッキング方向におけるレンズホルダ3の両側を支持する。サスペンションワイヤ41乃至46は、タンジェンシャル方向に延びている。支持体70Dは、サスペンションワイヤ41乃至46を支持する。支持体70Dは、タンジェンシャル方向において、ヨーク900のマグネット50とは反対側で第3折曲片24に固定される。サスペンションワイヤ41乃至43は、第1折曲片27乃至第5折曲片21と第6折曲片25との間に配置される。サスペンションワイヤ44乃至46は、第1折曲片27乃至第5折曲片21と第7折曲片26との間に配置される。よって、サスペンションワイヤ41乃至46に干渉せずに、ハウジングに対してヨーク900を確実に固定できる。従って、ヨーク900全体の振動を確実に抑えて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0116】
[第3実施形態]
図13,図14は、本発明に係る駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置の第3実施形態を示すものである。
図13は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。図14は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【0117】
図1,図2に示す駆動装置用フレーム10に代えて、図13,図14の如く、駆動装置用フレーム20が駆動装置に装備されている。図1,図2に示す駆動装置用フレーム10が図13,図14に示す駆動装置用フレーム20に置き換えられたこと以外に、駆動装置1、ピックアップ装置に変更はない。図1,図2に示す駆動装置用フレーム10が図13,図14に示す駆動装置用フレーム20に置き換えられた点で、第1実施形態と第3実施形態とが異なるが、駆動装置用フレーム10,20以外の他の部分においては、第1実施形態と第3実施形態とは、共通なものとされている。第3実施形態において、第1実施形態にて説明したものと同一のものについては、便宜上、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略した。
【0118】
アクチュエータ2を構成するコイルに電気を通してコイルを駆動させる際に、マグネット50に磁力による反力が発生する。このようなことが生じたときに、マグネット50が取り付けられたフレーム/ヨーク20の強度が低いと、マグネット50に加えられる反力によりフレーム/ヨーク20の共振が励起され、例えば光ピックアップ装置のループ特性等に悪影響が及ぼされる場合がある。その為、フレーム/ヨーク20に対しできる限り強度を高め、固有共振周波数を高くすることが求められている。フレーム・アクチュエータ2は、フレーム/ヨーク20に、マグネット50と、可動部を支えるサポート部品と、が装備可能な構造とされている。
【0119】
この駆動装置用フレーム20は、磁石等のマグネット50が装備可能な金属製フレーム/ヨーク本体20Aを備えるアクチュエータ用フレーム/ヨーク20として構成されている。フレーム/ヨーク本体20Aが側面視されたときに、フレーム/ヨーク本体20Aは、略箱型に閉じられている。
【0120】
アクチュエータ2用フレーム/ヨーク20を構成するフレーム/ヨーク本体20Aは、第5折曲片21と、第2折曲片22と、第4折曲片23と、第3折曲片24と、第6折曲片25と、第7折曲片26と、第1折曲片27と、の七つ(複数)の折曲片(片部)を備える略箱型に形成されている。
【0121】
金属素材が用いられ一枚の金属素材に打ち抜き加工、折り曲げ加工等が行われてフレーム/ヨーク本体20Aが形成されている。フレーム/ヨーク本体20Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体20Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体20Aを構成する第5折曲片21と第2折曲片22とが加締められて分離不能に繋げられている。
【0122】
フレーム/ヨーク本体20Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体20Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体20Aを構成する第5折曲片21と第2折曲片22とは、マグネット50がフレーム/ヨーク本体20Aに装備されるときに用いられる接着剤により、マグネット50の接着工程と略同時に分離不能に繋げられたものも使用可能とされる。また、加締めと接着との両方のかかり合わせ工程が実行されたものも使用可能とされる。
【0123】
この対物レンズ駆動装置1は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク20と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク20に装備されるマグネット50と、を少なくとも備えるアクチュエータ2として構成されている。
【0124】
また、このピックアップ装置は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク20と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク20に装備されるマグネット50と、を有するアクチュエータ2と、アクチュエータ2により、例えば、上下動、左右動、回動の少なくとも一方向に略沿って駆動させられる対物レンズと、を少なくとも備えるレーザ光を出射可能な光ピックアップ装置として構成される。
【0125】
フレーム/ヨーク本体20Aを側面視略箱型に閉じた構造に構成させせることで、カバー等の別部品が取り付けられることなくフレーム/ヨーク本体20Aの強度を高めることが可能となる。また、部品点数の削減、工数削減の効果も見込むことができる。
【0126】
===ヨーク===
以下、図13、図14を参照して、本実施形態におけるヨークについて説明する。
【0127】
第2実施形態においては、嵌入孔92A、92Bから第2折曲片22の上側に突出した突起98A、98Bが、第2折曲片22に対して接着剤で固定される構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、突起98A、98Bが第2折曲片22から外れないようにかしめ(図13)られることとしてもよい。例えば、突起98A、98Bは、嵌入孔92A、92Bに嵌入された後、突起98A、98Bが第2折曲片22からはずれないように、かしめられる。この場合、第2折曲片22及び第5折曲片21が互いにより強固に固定できる。更に、第2折曲片22に対して突起98A、98Bを固定するときに、例えば接着剤が用いられていないので、第2折曲片22に対して突起98A、98Bを固定するための接着剤の剥離によって、ヨーク20の強度が低下するのを防止できる。従って、ヨーク20を備える対物レンズ駆動装置におけるレンズホルダを変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0128】
尚、第1及び第3実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0129】
第1実施形態においては、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行った後に、接着剤を用いてヨーク10に対してマグネット50を固定する構成について説明したが、これに限られるもではない。例えば、第1折曲片11のマグネット50と対向する面、対向面17に予め接着剤を塗布しておき、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行ったときに、ヨーク10に対してマグネット50が固定される構成としてもよい。この場合、接着剤を隙間17Dに流入させたり、接着剤をマグネット50と第1折曲片11との間に接着剤を浸透させたりすることなしに、ヨーク10に対してマグネット50を確実に固定できる。
【0130】
第1実施形態においては、ハウジング80における窪み80Cの底、側壁85D、86Dに対して第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を接着剤によって接着する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、対物レンズ駆動装置100が載置されるハウジングに対して第5折曲片15、第6折曲片16と対向する固定板を形成して、当該ハウジングのヨーク10が載置される面、第5折曲片15と対向する固定板、第6折曲片16と対向する固定板に対して、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を接着剤によって固定してもよい。
【符号の説明】
【0131】
1、2、9 アクチュエータ(駆動装置)
3 レンズホルダ
8 光ピックアップ装置
10、20、900 フレーム/ヨーク(フレーム)、ヨーク
10A,20A フレーム/ヨーク本体(フレーム本体)
11 第1折曲片(一片部)
11D、17 端部
11E、17C、17E 対向面
12 第4折曲片(他片部)
12D、13A、13B、14A、15D、15E、16D、85A、86A 孔
13 第3折曲片(片部)
14 第2折曲片(片部)
15 第5折曲片(片部)
16 第6折曲片(片部)
17A、17B、99 突出片
21 第5折曲片(一片部)
22 第2折曲片(他片部)
23 第4折曲片(片部)
24 第3折曲片(片部)
25 第6折曲片(片部)
26 第7折曲片(片部)
27 第1折曲片(片部)
34、37 第1フォーカスコイル
35、38 トラッキングコイル
36、39 第2フォーカスコイル
41、42、43、44、45、46 サスペンションワイヤ
50、51 マグネット(磁性部材)
70 ダンピング保持部材(保持部材)
70D 支持体
75 孔
80 ハウジング
90 回路基板(基板)
92A、92B 嵌入孔
98A、98B 突起
100、800 対物レンズ駆動装置
300 光ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズ駆動装置、駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、対物レンズが保持されるレンズホルダを変移させるためのアクチュエータ(actuator)が知られている。アクチュエータでは、アクチュエータを構成するコイルに電気を通してコイルを駆動させる際に、マグネット(magnet)に磁力による反力が発生する。このようなことが生じたときに、マグネットが取り付けられたフレーム(frame)の強度が低いと、マグネットに加えられる反力によりフレームの共振が励起され、例えば光ピックアップ装置のループ特性に悪影響が及ぼされる場合がある。その為、フレームに対しできる限り強度を高め、固有共振周波数を高くすることが求められている。
【0003】
なお、「アクチュエータ(actuator)」とは、例えばエネルギーを並進運動または回転運動等に変換させる駆動装置を意味し、例えば「ACT」と略称される。また、例えばフレーム(frame)とは、例えば、枠や、枠組みや、骨組みを意味する。また、例えば光ピックアップ(optical pickup)又は光ピックアップ装置(optical pickup unit)は、「OPU」と略称される。
【0004】
フレームの強度を高める方法として、例えば、カバー(cover)、フレーム等のアクチュエータを構成する別々の板金部品を接着することが、多々、行われている。このようにアクチュエータが構成される場合、複数箇所での接着が必要とされる。
【0005】
また、他の駆動装置、光ピックアップ装置に関するものとして、例えば、厚みの増大を最小限にとどめて、構造共振周波数を上げて高速な読み出しを実現することができる光学ピックアップにおける対物レンズ駆動装置というものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−66585号公報(第1,2頁、第1〜4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置にあっては、例えば接着力不足によってアクチュエータの特性が不安定になったり、接着剤が剥離したりする等の問題が過去に発生されていた。また、部品の取付工数、接着工数、また、光ピックアップ装置を構成する複数の部品自体の価格も光ピックアップ装置の価格に相応に反映される状況にあり、各工数、価格等を削減させることが課題とされていた。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、部品点数、工数を増やすことなく、安定してフレームの強度を高めることのできる駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決する主たる本発明は、光ディスクの信号記録面に対向する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを前記光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータは、前記レンズホルダに取り付けられるコイルと、前記コイルに対して有効に作用する磁界を発生するマグネットと、前記マグネットが固定されるヨークと、を含み、前記ヨークは、前記トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成され、前記マグネットは、前記ヨークに対して接着剤で固定されることを特徴とする対物レンズ駆動装置である。
【0010】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レンズホルダを変位させる制御特性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態が適用されるハウジングを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態が適用される、光ディスクと対向する側とは反対側から見たハウジングを示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0014】
[第1実施形態]
図1,図2は、本発明に係る駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置の第1実施形態を示すものである。
図1は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【0015】
ディスク装置(不図示)の駆動装置組立体を構成する光ピックアップ装置は、例えば、「CD」(Compact Disc)(商標)系列/規格のメディアと、「DVD」(登録商標)(Digital Versatile Disc)系列/規格のメディアと、「HD DVD」(High Definition DVD)(登録商標)系列/規格のメディアと、中国において定められた規格に基づくメディアとされる「CBHD(China Blue High−Definition)」(例:旧名「CH−DVD」)系列/規格のメディアと、「BD」(Blu−ray/Blu−ray Disc)(登録商標)系列/規格のメディアと、に対応したものとされる。ディスク装置の駆動装置組立体を構成する光ピックアップ装置は、例えば、上記各種メディアからなる群から選ばれる少なくとも一種のメディアに対応したものとされている。具体的に説明すると、ディスク装置の駆動装置組立体を構成する光ピックアップ装置は、上記複数の何れかのメディアに対応したものとされている。メディア(media)とは、例えば、データ、情報、信号などが保存されるディスク等を意味する。
【0016】
メディアとして例えば上記各種光ディスク等が挙げられるが、次の形態をしたメディアも挙げられる。例えば、ディスクとして、ディスク両面に信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク等も挙げられる。また、ディスクとして、例えば二層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク等も挙げられる。また、例えば三層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「HD DVD」及び/又は「Blu−ray/Blu−ray Disc」用光ディスク等も挙げられる。また、例えば四層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「Blu−ray/Blu−ray Disc」用光ディスク等も挙げられる。また、例えば光ディスクのレーベル面部の側にレーザ光(LASER:light amplification by stimulatedemission of radiation)を照射させてレーベル等の各種書込み等を行うことが可能とされた光ディスク等も挙げられる。光ディスクの信号面部、レーベル面部は、例えば金属薄膜などの薄層等を備えて構成されている。金属薄膜などを備えて構成される信号面部にデータ、情報、信号などが記録され、レーベル面部に画像などが記録される。光ディスクの信号面部は、例えば金属薄層などを備えて構成される信号層として構成されている。このように、各種光ディスクとして各種形態をした複層/多層構造の光ディスクが挙げられる。
【0017】
この光ピックアップ装置は、例えば、「CD」(Compact Disc)(商標)、「DVD」(登録商標)(Digital Versatile Disc)、「HD DVD」(High Definition DVD)(登録商標)、「CBHD」(China Blue High−Definition)、「BD」(Blu−ray/Blu−ray Disc)(登録商標)等として挙げられる各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を再生させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアにデータ、情報、信号等を記録させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を消去させたりすることのうち少なくとも一つが実行可能な光ピックアップ装置とされている。
【0018】
アクチュエータ(actuator)1を構成するコイルに電気を通してコイルを駆動させる際に、マグネット50(magnet)に磁力による反力が発生する。このようなことが生じたときに、マグネット50が取り付けられたフレーム/ヨーク10(frame/yoke)の強度が低いと、マグネット50に加えられる反力によりフレーム/ヨーク10の共振が励起され、例えば光ピックアップ装置のループ特性等に悪影響が及ぼされる場合がある。その為、フレーム/ヨーク10に対しできる限り強度を高め、固有共振周波数を高くすることが求められている。フレーム・アクチュエータ1は、フレーム/ヨーク10に、マグネット50と、可動部を支えるサポート(support)部品と、を装備可能な構造とされている。
【0019】
なお、ヨーク(yoke)とは、例えば、磁気的な連結を構造的に支持したもの例えば磁気連結部材を意味する。また、ヨークは、磁石(マグネット)等の磁性部材から生じる磁力の漏れを少なくさせるものとされている。ここではヨークとして磁石(マグネット)等の磁性部材が装備される例えばバックヨークが用いられる。例えばバックヨークは、フレーム/ヨークとして取り扱われてもよい。フレーム(frame)とは、例えば、枠や、枠組みや、骨組みを意味する。フレーム/ヨークは、ヨークとしての機能を備えたフレームとして形成される。
【0020】
この駆動装置用フレーム10は、磁石等のマグネット50が装備可能な金属製フレーム/ヨーク本体10Aを備えるアクチュエータ用フレーム/ヨーク10として構成されている。フレーム/ヨーク本体10Aが側面視されたときに、フレーム/ヨーク本体10Aは、略箱型に閉じられている。
【0021】
アクチュエータ1用フレーム/ヨーク10を構成するフレーム/ヨーク本体10Aは、第1折曲片11と、第4折曲片12と、第3折曲片13と、第2折曲片14と、第5折曲片15と、第6折曲片16と、の六つ(複数)の折曲片(片部)を備える略箱型に形成されている。
【0022】
金属素材が用いられ一枚の金属素材に打ち抜き加工、折り曲げ加工等が行われてフレーム/ヨーク本体10Aが形成されている。フレーム/ヨーク本体10Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体10Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体10Aを構成する第1折曲片11と第4折曲片12とは、マグネット50がフレーム/ヨーク本体10Aに装備されるときに用いられる接着剤により、マグネット50の接着工程と略同時に分離不能に繋げられている。
【0023】
フレーム/ヨーク本体10Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体10Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体10Aを構成する第1折曲片11と第4折曲片12とが加締め(かしめ)られて分離不能に繋げられたものも使用可能とされる。また、接着と加締めとの両方のかかり合わせ工程が実行されたものも使用可能とされる。
【0024】
この対物レンズ駆動装置1は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク10と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク10に装備されるマグネット50と、を少なくとも備えるアクチュエータ1として構成されている。
【0025】
また、このピックアップ装置は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク10と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク10に装備されるマグネット50と、を有するアクチュエータ1と、アクチュエータ1により、例えば、上下動、左右動、回動の少なくとも一方向に略沿って駆動させられる対物レンズと、を少なくとも備えるレーザ光を出射可能な光ピックアップ装置として構成される。
【0026】
フレーム/ヨーク本体10Aを側面視略箱型に閉じた構造に構成させせることで、カバー等の別部品が取り付けられることなくフレーム/ヨーク本体10Aの強度を高めることが可能となる。また、部品点数の削減、工数削減の効果も見込むことができる。
【0027】
また、この光ピックアップ装置は、例えば弾性支持部材とされるサスペンションワイヤに生じる異常振動などを抑制させる例えば略ゲル状の合成重合体製のダンピング材(不図示)ならびにダンピング材を保持する合成樹脂製のダンピング保持部材70を備える。金属製バックヨークの後側に装着された合成樹脂製ダンピング保持部材70の各孔75に、各サスペンションワイヤが挿通される。また、サスペンションワイヤが挿通されたダンピング保持部材70の孔75には、例えば柔軟性に富んだ合成重合体製のダンピング材いわゆるダンプ剤が充填される。ダンピング保持部材70は、絶縁性に優れる合成樹脂材料が用いられて形成される。
【0028】
また、この光ピックアップ装置は、各弾性支持部材とされる各金属製サスペンションワイヤが通電可能に接続されて取り付けられる回路基板90を備える。回路基板は、例えば、PWB(printed wired board / printed wiring board)等と呼ばれている。回路基板90の基板本体は、絶縁性に優れる合成樹脂材料が用いられて形成されている。また、合成樹脂製の基板本体上の回路導体(不図示)は、導電性に優れる金属箔として形成されている。また、不図示の金属製の回路導体が形成された合成樹脂製の基板本体上に絶縁性に優れる合成樹脂材料が被覆されて、金属製回路導体が形成された合成樹脂製基板本体上に絶縁皮膜(不図示)が形成されている。
【0029】
本発明によれば、フレーム本体を略箱型に閉じた構造とさせることで、別部品が取り付けられることなくフレーム本体の強度を高めることが可能となる。また、部品点数の削減、工数削減の効果も見込むことができる。
上述の内容について、説明する。
【0030】
===対物レンズ駆動装置===
以下、図3乃至図5を参照して、本実施形態における対物レンズ駆動装置について説明する。図3は、本実施形態が適用されるハウジングを示す斜視図である。尚、説明の便宜上、光ディスク300は点線で示されるとともに、光ディスク300の一部は省略されている。光ディスク300を回転させるスピンドルモータの回転軸301は、説明の便宜上、一点鎖線で示されている。第5折曲片15、側壁85Dは見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示される。図4は、本実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。図5は、本実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【0031】
本実施形態において、Z軸は、光ディスク300を回転させるスピンドルモータの回転軸301の長手方向(フォーカス方向、垂直方向)に沿う軸であり、ハウジング80から光ディスク300に向かう方向を+Z方向とし、光ディスク300からハウジング80に向かう方向を−Z方向とする。Y軸は、光ディスク300の径方向(トラッキング方向)に光ピックアップ装置8が移動する方向に沿う軸であり、回転軸301から離れる方向を+Y方向とし、回転軸301に近づく方向を−Y方向とする。X軸は、タンジェンシャル方向に沿う軸であり、ハウジング80の外側から側面80Aに向かう方向を+X方向とし、ハウジング80の外側から側面80Bに向かう方向を−X方向とする。
【0032】
対物レンズ駆動装置100は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312、レンズホルダ3、アクチュエータ1を備えている。
【0033】
第1対物レンズ311、第2対物レンズ312は、ハウジング80内に収容されているレーザダイオード(不図示)から出射されたレーザ光を光ディスク300の信号記録面に集光する。尚、光ディスク300の信号記録面は、光ディスク300における第1対物レンズ311、第2対物レンズ312と対向する下側(−Z)の面である。第1対物レンズ311、第2対物レンズ312は、例えば、相互に異なる波長のレーザ光を光ディスク300の信号記録面に集光するものとする。
【0034】
レンズホルダ3は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する装置である。レンズホルダ3は、保持板31、脚板32、33を有している。
【0035】
保持板31は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持するための部材である。保持板31は、例えばトラッキング方向に沿う長辺とタンジェンシャル方向に沿う短辺とを有する矩形形状を呈する樹脂製の板部材である。保持板31は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312がトラッキング方向に沿って隣り合うように、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する。保持板31は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312が光ディスク300の信号記録面と対向して上側(+Z)に露出するように、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する。
【0036】
脚板32は、例えば矩形形状を呈する樹脂製の板部材である。脚板33は、脚板32と同様な形状を呈する樹脂製の板部材である。脚板32、33は夫々、保持板31のヨーク10側(−X)の長辺、保持板31のヨーク10とは反対側(+X)の長辺からフォーカス方向における光ディスク300とは反対側(−Z)に向かって延在する。尚、保持板31、脚板32、33をトラッキング方向に沿って+Y側に向かって見た場合、保持板31、脚板32、33はコ字状となるように形成される。脚板32、33は、例えば、脚板32と脚板33との間の中心を通り、且つ、トラッキング方向に沿った中心軸を基準に線対称となるように形成される。
【0037】
アクチュエータ1は、レンズホルダ3を光ディスク300のフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるための装置である。
【0038】
===アクチュエータ===
以下、図4、図5を参照して、本実施形態におけるアクチュエータについて説明する。
【0039】
アクチュエータ1は、回路基板90、支持体70D、ヨーク10、サスペンションワイヤ41乃至46、マグネット50、51、第1フォーカスコイル34、37、第2フォーカスコイル36、39、トラッキングコイル35、38を有している。
【0040】
第1フォーカスコイル34、37は、レンズホルダ3をフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。第2フォーカスコイル36、39は、レンズホルダ3をフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。トラッキングコイル35、38は、レンズホルダ3をトラッキング方向に変位させるためのトラッキング信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35は、脚板32におけるマグネット50と対向する外側(−X)の面に取り付けられる。第1フォーカスコイル37、第2フォーカスコイル39、トラッキングコイル38は、脚板33におけるマグネット51と対向する外側(+X)の面に取り付けられる。第1フォーカスコイル34、37は夫々、脚板32、33における外側の面に設けれ、且つ、タンジェンシャル方向に沿ったコイルボビン(不図示)に対して1本の導電線を巻回して形成される。第2フォーカスコイル36、39は夫々、脚板32、33における外側の面に設けれ、且つ、タンジェンシャル方向に沿ったコイルボビン(不図示)に対して1本の導電線を巻回して形成される。トラッキングコイル35、38は夫々、脚板32、33における外側の面に設けれ、且つ、タンジェンシャル方向に沿ったコイルボビン(不図示)に対して1本の導電線を巻回して形成される。第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36は、トラッキング方向に沿ってトラッキングコイル35を中心に対称となるように脚板32に取り付けられる。第1フォーカスコイル37、第2フォーカスコイル39は、トラッキング方向に沿ってトラッキングコイル38を中心に対称となるように脚板33に取り付けられる。
【0041】
マグネット50、51は、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるための磁束を発生する磁性体である。マグネット50、51は、例えば、トラッキング方向において相対する2辺とフォーカス方向において相対する2辺とを有する略矩形形状を呈する。マグネット51は、対物レンズ駆動装置100をハウジング80に固定した際に、タンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル37、第2フォーカスコイル39、トラッキングコイル38と対向するように、ハウジング80に固定される。マグネット50は、タンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35と対向するように、ヨーク10に取り付けられる。つまり、マグネット50は、光ディスク300のタンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35を介してレンズホルダ3と隣り合うこととなる。又、マグネット50で発生する磁界は、レンズホルダ3をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させる電磁力が発生するように、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35に対して有効に作用することとなる。
【0042】
ヨーク10は、マグネット50、51で発生する磁束の漏れを減少させて、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に確実に変位させるための金属製の部材である。更に、ヨーク10は、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35と対向するようにマグネット50が取り付けられるとともに、対物レンズ駆動装置100をハウジング80に固定するための対物レンズ駆動装置100のフレームとしても機能する。ヨーク10は、タンジェンシャル方向において、マグネット50のレンズホルダ3とは反対側でマグネット50と隣り合っている。ヨーク10は、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる際のヨーク10の共振によってヨーク10が変形するのを抑制できるように構成される。尚、共振、ヨーク10については、後述する。
【0043】
支持体70Dは、サスペンションワイヤ41乃至46を支持するための部材である。なお、サスペンションワイヤ41乃至46については、後述する。支持体70Dは、タンジェンシャル方向においてヨーク10のマグネット50とは反対側に固定される。支持体70Dは、保持部材70A、70B、固定部材70Cを有する。固定部材70Cは、保持部材70A、70Bを支持するとともに、ヨーク10に対して支持体70Dを固定するため部材である。固定部材70Cは、ヨーク10の第2折曲片14に対して例えば接着される。固定部材70Cは、保持部材70A、70Bが夫々固定部材70Cの−Y側、+Y側に配置されるように、保持部材70A、70Bを支持する。保持部材70Aは、サスペンションワイヤ41乃至43を囲繞するダンプ剤が注入されて前記サスペンションワイヤ41乃至43を制振支持するための部材である。保持部材70Bは、サスペンションワイヤ44乃至46を囲繞するダンプ剤が注入されて前記サスペンションワイヤ44乃至46を制振支持するための部材である。
【0044】
回路基板90は、フォーカス信号及びトラッキング信号を供給する基板であり、タンジェンシャル方向における、支持体70Dのヨーク10とは反対側に支持体70Dにネジ止めして設けられる。回路基板90の支持体70D側(+X)の面における−Y側の端部には、回路基板90のフォーカス信号及びトラッキング信号を出力するための回路と電気的に接続されている端子41B、42B、43Bが設けられている。
【0045】
端子41B、42B、43Bは、フォーカス方向に沿って、設けられる。例えば、端子42Bは、端子43Bよりも上側(+Z)に設けられ、端子41Bは、端子42Bよりも上側に設けられる。回路基板90の支持体70D側の面における+Y側の端部には、回路基板90のフォーカス信号及びトラッキング信号を出力するための回路と電気的に接続されている端子44B、45B、46Bが設けられている。端子44B、45B、46Bは、フォーカス方向に沿って、設けられる。例えば、端子45Bは、端子46Bよりも上側に設けられ、端子44Bは、端子45Bよりも上側に設けられる。
【0046】
サスペンションワイヤ41乃至46は、レンズホルダ3がフォーカス方向及びトラッキング方向に変位できるように、レンズホルダ3を弾性支持する。サスペンションワイヤ41乃至46は、レンズホルダ3をトラッキング方向及びフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号及びトラッキング信号を送信する信号線としても機能する。サスペンションワイヤ41乃至43は、トラッキング方向におけるレンズホルダ3の手前側(−Y)を支持し、タンジェンシャル方向に沿って延びている。サスペンションワイヤ44乃至46は、トラッキング方向におけるレンズホルダ3の奥側(+Y)を支持し、タンジェンシャル方向に沿って延びている。サスペンションワイヤ41乃至46は、例えば、サスペンションワイヤ41乃至43と、サスペンションワイヤ44乃至46との間に、マグネット50、ヨーク10の第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13が配設されるように延びているものとする。
【0047】
サスペンションワイヤ41乃至43の一端は、脚板32のヨーク10側(−X)の面における手前側の端部に例えば半田付け等を用いて固定される。更に、サスペンションワイヤ41、43の一端は夫々、一対の第1フォーカスコイル34、37の両端と電気的に接続されている端子41A、43Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ42の一端は、一対のトラッキングコイル35、38の一端と電気的に接続されている端子42Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ41乃至43の他端は夫々、保持部材70Aを介して回路基板90のヨーク10側の面における手前側の端部に例えば半田付け等を用いて固定されると共に、回路基板90の端子41B、42B、43Bに例えば半田等を用いて電気的に接続される。尚、端子41A、42A、43Aは、フォーカス方向に沿って、設けられているものとする。例えば、端子42Aは、端子43Aよりも上側に設けられ、端子41Aは、端子42Aよりも上側に設けられているものとする。
【0048】
サスペンションワイヤ44乃至46の一端は、脚板32のヨーク10側の面における奥側の端部に例えば半田付け等を用いて固定される。更に、サスペンションワイヤ44、46の一端は夫々、一対の第2フォーカスコイル36、39の両端と電気的に接続されている端子44A、46Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ44の一端は、一対のトラッキングコイル35、38の他端と電気的に接続されている端子45Aに対して、例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ44乃至46の他端は夫々、保持部材70Bを介して回路基板90のヨーク10側の面における奥側の端部に例えば半田付け等を用いて固定されると共に、回路基板90の端子44B、45B、46Bに例えば半田等を用いて電気的に接続される。尚、端子44A、45A、46Aは、フォーカス方向に沿って、設けられているものとする。例えば、端子45Aは、端子46Aよりも上側に設けられ、端子44Aは、端子45Aよりも上側に設けられているものとする。
【0049】
===共振===
以下、図4、図5を参照して、本実施形態におけるヨークの共振について説明する。
【0050】
第1フォーカスコイル34、37、第2フォーカスコイル36、39に対して供給されるフォーカス信号と、マグネット50、51で発生する磁束とに基づいて、第1フォーカスコイル34、37、第2フォーカスコイル36、39に対するフォーカス方向の電磁力が発生する。当該電磁力によって、レンズホルダ3は、フォーカス方向に変位することとなる。トラッキングコイル35、38に対して供給されるトラッキング信号と、マグネット50、51で発生する磁束とに基づいて、トラッキングコイル35、38に対するトラッキング方向の電磁力が発生する。当該電磁力によって、レンズホルダ3は、トラッキング方向に変位することとなる。
【0051】
例えば、レンズホルダ3がフォーカス方向における、脚板32、33が突出している下側(−Z)から、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312が露出している上側(+Z)に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を下側から上側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、上側から下側に向かうに反力を受けることとなる。例えば、レンズホルダ3がフォーカス方向における、上側から下側に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を上側から下側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、下側から上側に向かう反力を受けることとなる。例えば、レンズホルダ3がトラッキング方向における手前側(−Y)から奥側(+Y)に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を手前側から奥側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、奥側から手前側に向かう反力を受けることとなる。例えば、レンズホルダ3がトラッキング方向における奥側から手前側に向かって変位するとき、マグネット50、51は、レンズホルダ3を奥側から手前側に向かって変位させる電磁力の反作用によって、手前側から奥側に向かう反力を受けることとなる。
【0052】
つまり、アクチュエータ1では、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる際に、マグネット50、51が受ける反力によって、ヨーク10がフォーカス方向又はトラッキング方向に振動することとなる。当該ヨーク10の振動は、例えば、フォーカス信号、トラッキング信号が所定周波数のときに共振することとなる。尚、ヨーク10が共振するときのフォーカス信号、トラッキング信号の周波数を、共振周波数とする。ヨーク10が共振した場合、ヨーク10のフォーカス方向又はトラッキング方向の振動の振幅が比較的大きくなり、ヨーク10が変形したり、ヨーク10全体が比較的大きく揺れたりして、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる精度が低下することがある。つまり、ヨーク10の共振によって、対物レンズ駆動装置100における、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる制御特性が悪くなる虞がある。よって、マグネット50の反力によってヨーク10が変形するのを防止し、共振周波数を、フォーカス信号、トラッキング信号の周波数として通常使われる周波数帯域よりも高い周波数帯域にシフトするために、ヨーク10を補強する必要がある。
【0053】
===ヨーク===
以下、図6、図7を参照して、本実施形態におけるヨークについて説明する。
【0054】
図6は、本実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。図7は、本実施形態における第5折曲片及び第6折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【0055】
ヨーク10は、マグネット50、51(図4)で発生する磁束の漏れを減少させて、レンズホルダ3をフォーカス方向又はトラッキング方向に確実に変位させるための強磁性体金属製の部材である。更に、ヨーク10は、対物レンズ駆動装置100のフレームとしても機能する。ヨーク10は、タンジェンシャル方向において、マグネット50と回路基板90との間に設けられる。ヨーク10は、一枚の軟鋼金属板を折り曲げて形成される。
【0056】
ヨーク10は、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を有する。第1折曲片11、第3折曲片13、第2折曲片14、第4折曲片12は、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成される。第5折曲片15は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の一方の端部15Bから、光ディスク300(図3)(+Z方向)に向かって延びている。第6折曲片16は、第4折曲片12のトラッキング方向における他方の端部16Bから、光ディスク300に向かって延びている。
【0057】
=第1折曲片乃至第4折曲片=
第1折曲片11は、ヨーク10に対してマグネット50を取り付けるための部材である。第1折曲片11は、トラッキング方向とフォーカス方向とによって形成されるYZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。第1折曲片11は、トラッキング方向に沿い、且つ、フォーカス方向において相対する端部を有する。第1折曲片11は、フォーカス方向に沿い、且つ、トラッキング方向において相対する端部を有する。第1折曲片11は、第1折曲片11のマグネット50側(+X)(以下、「一方側」とも称する)の面が、マグネット50のヨーク10側(−X)(以下、「他方側」とも称する)の面と対向するように形成される。第1折曲片11の一方側の面には、マグネット50が接着剤で固定される。尚、第1折曲片11へのマグネット50の固定については、後述する。
【0058】
第3折曲片13は、第1折曲片11のフォーカス方向における光ディスク300に近い側(+Z)の端部から、タンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側(−X)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第3折曲片13は、トラッキング方向とタンジェンシャル方向とによって形成されるXY平面と略平行な、平板形状を呈する。つまり、第3折曲片13は、第3折曲片13の上側(+Z)の面が光ディスク300と対向するように、折れ曲がっている。第3折曲片13におけるマグネット50とは反対側の一部のトラッキング方向の長さは、保持部材70A、70B(図4)と第3折曲片13とが干渉しないように、比較的短く設定されている。第3折曲片13のタンジェンシャル方向における他方側の端部の一部は、例えばヨーク10を軽量化するための孔13Bが形成されるように、一方側に向かって抉られている。第3折曲片13には、例えばヨーク10を軽量化するための孔13Aが形成されている。
【0059】
第2折曲片14は、ヨーク10に対して支持体70Dを固定するための部材である。第2折曲片14は、第3折曲片13のタンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側の端部から、フォーカス方向における光ディスク300とは反対側(−Z)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第2折曲片14は、第1折曲片11と略平行な平板形状を呈する。つまり、第2折曲片14は、第2折曲片14の一方側の面が、第1折曲片11の他方側の面と対向するように折れ曲がっている。第2折曲片14のフォーカス方向における下側(−Z)の端部の一部は、例えばヨーク10を軽量化するための孔14Aが形成されるように、上側に向かって抉られている。第2折曲片14の他方側の面には、固定部材70Cが例えば接着剤を用いて接着される。
【0060】
第4折曲片12は、ハウジング80に対してヨーク10を固定するための部材である。第4折曲片12は、第2折曲片14のフォーカス方向における光ディスク300から遠い側(−Z)の端部からマグネット50(+X方向)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第4折曲片12は、第3折曲片13と略平行な平板形状を呈する。つまり、第4折曲片12は、第4折曲片12の上側の面が、第3折曲片13の下側の面と対向するように折れ曲がっている。第4折曲片12は、トラッキング方向の−Y側の一部15A(図7)、+Y側の一部16Aがトラッキング方向に沿って第4折曲片12の中心から離れるように延びた形状を呈する。第4折曲片12のタンジェンシャル方向における他方側の端部の一部は、孔14Aが形成されるように、一方側に向かって抉られている。第4折曲片12には、例えばヨーク10の軽量化するための複数の孔15D、15E、12D、16Dが形成されている。第4折曲片12のタンジェンシャル方向における一方側の端部17(図2)は、第1折曲片11のフォーカス方向における下側の端部11D及びマグネット50の他方側の面と対向する。尚、端部17、11Dについては、後述する。
【0061】
=第5折曲片、第6折曲片=
第5折曲片15は、ハウジング80に対してヨーク10を固定するための部材である。第5折曲片15は、第4折曲片12の一部15Aのトラッキング方向における一方の端部15Bから、光ディスク300(+Z方向)に向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第5折曲片15は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の一方の端部15Bから、光ディスク300に向かって延びることとなる。第5折曲片15は、タンジェンシャル方向とフォーカス方向とによって形成されるXZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0062】
ここで、第4折曲片12は、例えば、サスペンションワイヤ43、46よりも下側に設けられているものとする。更に、第4折曲片12の一部15Aは、一方の端部15Bがサスペンションワイヤ41乃至43よりも−Y側に配置されるように、形成されているものとする。第5折曲片15のフォーカス方向の長さは、例えば、フォーカス方向における第4折曲片12からサスペンションワイヤ41までの距離よりも長く設定されているものとする。よって、サスペンションワイヤ41乃至43は、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第5折曲片15の間に配置されることとなる。その為、第5折曲片15によりサスペンションワイヤ41乃至43は保護される。
【0063】
第6折曲片16は、ハウジング80に対してヨーク10を固定するための部材である。第6折曲片16は、第4折曲片12の一部16Aのトラッキング方向における他方の端部16Bから、光ディスク300に向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第6折曲片16は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の他方の端部16Bから、光ディスク300に向かって延びることとなる。第6折曲片16は、第5折曲片15と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0064】
ここで、第4折曲片12の一部16Aは、他方の端部16Bがサスペンションワイヤ44乃至46よりも+Y側に配置されるように、形成されているものとする。第6折曲片16のフォーカス方向の長さは、例えば、フォーカス方向における第4折曲片12からサスペンションワイヤ44までの距離よりも長く設定されているものとする。よって、サスペンションワイヤ44乃至46は、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第6折曲片16の間に配置されることとなる。その為、第6折曲片16によりサスペンションワイヤ44乃至46は保護される。
【0065】
===第1折曲片の端部、第4折曲片の端部===
以下、図2を参照して、本実施形態における第1折曲片の端部、第4折曲片の端部について説明する。
【0066】
第4折曲片12のタンジェンシャル方向におけるマグネット50側(+X)の端部17、第1折曲片11のフォーカス方向における光ディスク300とは反対側(−Z)の端部11Dは夫々、ヨーク10を形成している一枚の金属板の一方の端部、他方の端部である。
【0067】
端部11Dは、トラッキング方向に沿って形成されている。端部11Dは、対向面11Eを有する。対向面11Eは、第3折曲片13の第4折曲片12と対向する内側の面(−Z)から対向面11Eまでのフォーカス方向の距離D4が、第3折曲片13の内側の面から第4折曲片12の第3折曲片13と対向する内側の面(+Z)との間のフォーカス方向の距離D3よりも長くなる位置に形成される。つまり、対向面11Eは、第4折曲片12の内側の面よりも下側(−Z)に形成される。
【0068】
端部17は、トラッキング方向に沿って形成されている。端部17は、対向面17C、17E、突出片17A、17Bを有する。
【0069】
対向面17Cは、対向面11Eと対向する面である。対向面17Cは、第3折曲片13の内側の面から対向面17Cまでのフォーカス方向の距離D2が、距離D4よりも長くなる位置に形成される。対向面17Cは、対向面11Eとフォーカス方向において下側から対向するように形成される。対向面17Cと対向面11Eとの間には、隙間が形成されることとなる。つまり、対向面17C及び対向面11Eは、対向面17Cと対向面11Eとの間の隙間を介して、フォーカス方向において互いに対向することとなる。
【0070】
対向面17Eは、マグネット50の他方側の面(−X)と対向する面である。対向面17Eは、マグネット50の他方側の面が第1折曲片11のマグネット50側(+X)の面と当接したときに、対向面17Eとマグネット50の他方側の面との間に隙間ができるように、タンジェンシャル方向における第1折曲片11のマグネット50側の面よりも第2折曲片14側(−X)の位置に形成される。
【0071】
突出片17A、17Bは、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行うための片である。突出片17A、17Bは夫々、例えば、端部17における対向面17Eからレンズホルダ3に向かって突出した形状を呈する。突出片17A、17Bは、ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを行い易いように、トラッキング方向において相互に所定距離だけ離れた位置に設けられる。突出片17A、17Bは、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50のフォーカス方向における光ディスク300から遠い側(−Z)の端部が突出片17A、17Bの上側(+Z)の面に当接されるような形状を呈する。突出片17A、17Bは、第3折曲片13の内側の面から突出片17A、17Bの上側の面までのフォーカス方向の距離D1が、距離D2よりも長くなるように形成される。更に、マグネット50の光ディスク300から遠い側(−Z)の端部と突出片17A、17Bの上側の面とが当接したときに、マグネット50の光ディスク300から遠い側の端部と端部17及び端部11Dとが対向するように、対向面17Cから突出片17A、17Bの上側の面までのフォーカス方向の距離D5は、比較的短く設定されている。
【0072】
===マグネットの固定===
以下、図2、図5を参照して、本実施形態におけるヨークに対するマグネットの固定について説明する。
【0073】
マグネット50は、ヨーク10に対して例えば熱硬化性の接着剤を用いて固定される。
マグネット50は、例えば、ヨーク10に対して位置決めを行った後に、接着剤を用いてヨーク10に固定される。
【0074】
ヨーク10に対するマグネット50の位置決めは、例えば、第1折曲片11及びマグネット50の相互に対向する面同士を当接させるとともに、マグネット50の下側(−Z)の面を突出片17A、17Bの上側(+Z)の面に当接させることによって行われる。ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを行ったとき、対向面17Eとマグネット50の第1折曲片11側の面(−X)との間の隙間から、対向面11Eと対向面17Cとの間の隙間まで連続した隙間17Dが形成されることとなる。
【0075】
例えば、ヨーク10における第3折曲片13が下側となるようにヨーク10を裏返した状態で、ヨーク10に対してマグネット50を固定するための接着剤が、対向面17Eとマグネット50との間に塗布される。当該接着剤は、自重で隙間17Aに流入したり、マグネット15と第1折曲片11との間に浸透したりした後に、硬化することとなる。隙間17Aが接着剤で充填され、且つ、マグネット50がヨーク10に確実に固定されるような、十分な量の接着剤が、塗布されるものとする。尚、当該接着剤としては、自重で隙間17Aに流入したり、マグネット15と第1折曲片11との間に浸透したりするような粘性を有する、例えば一液接着剤が用いられる。端部17及び端部11Dは、互いに接着されることとなる。マグネット50は、第1折曲片11に接着されることとなる。
【0076】
よって、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を折り曲げて形成されたヨークは、−Y方向から+Y方向に向かった見たときに、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12が矩形に連結された状態となる。端部17及び端部11Dは、マグネット50に接着されることとなる。更に、第1折曲片11のマグネット50と対向する面は、マグネット50の第1折曲片11と対向する面に接着されることとなる。
【0077】
ヨーク10における光ディスク300と対向する側とは反対側に接着剤が塗布されるので、例えば、ヨーク10に塗布された接着剤の量が比較的多くて、接着剤が第4折曲片12側に盛り上がった状態で硬化したとしても、光ディスク300と干渉することがない。従って、ヨーク10に対してマグネットを確実に固定し、端部11Dと端部17とを確実に連結できる十分な量の接着剤をヨーク10に塗布することができる。
【0078】
尚、マグネット50における第1折曲片11と対向する側の面が、第1接着面に相当する。マグネット50の第1折曲片11と対向する側の面における、第4折曲片12の端部17と対向している一部及び第1折曲片11の端部11Dと対向している一部とが、第2接着面に相当する。
【0079】
===ハウジングに対するヨークの固定===
以下、図3、図8を参照して、本実施形態におけるハウジングに対するヨークの固定について説明する。図8は、本実施形態が適用される、光ディスクと対向する側とは反対側から見たハウジングを示す斜視図である。尚、説明の便宜上、光ディスク300は点線で示されるとともに、光ディスク300の一部は省略されている。光ディスク300を回転させるスピンドルモータの回転軸301は、説明の便宜上、一点鎖線で示されている。
【0080】
ハウジング80は、例えば、光ピックアップ装置8を構成する対物レンズ駆動装置100、光ディスク300に対して情報を記録するための光学素子を収容する樹脂製の容器である。ハウジング80の回転軸301と対向する手前側(−Y)は、例えば、スピンドルモータ(不図示)を回避するように所定の曲率をもって抉られた形状を呈する。ハウジング80は、ガイド部材81、82、83、窪み80Cを有する。
【0081】
ガイド部材81、82、83は、光ディスク100のラジアル方向(Y軸)に沿って光ピックアップ装置8を移動させるための、一対のガイド軸に対して、ハウジング80を取り付けるための部材である。ガイド部材81、82、83は、ハウジング80の両側面80A、80Bに設けられる。ガイド部材83は、例えば、ハウジング80の一方側の側面80Bに設けられる。ガイド部材81、82は、例えば、ハウジング80の他方側の側面80Aに設けられる。
【0082】
窪み80Cは、対物レンズ駆動装置100が収容されるような形状を呈する。窪み80Cは、ハウジング80の光ディスク300と対向する側に形成される。窪み80Cの底は、ハウジング80における光ディスク300と対向する側とは反対側の底板80Dによって形成される。対物レンズ駆動装置100を窪み80C内に収容したとき、対物レンズ駆動装置100は、窪み80Cの底に載置されることとなる。窪み80Cの底を形成している底板80Dの一部には、孔85A、86Aが形成されている。孔85A、86Aは、例えば、窪み80Cの底に対してヨーク10を固定するときに、ハウジング80に対するヨーク10の位置決めを行うための孔である。窪み80C内には、対物レンズ駆動装置100を窪み80C内に配設した際に、第5折曲片15、第6折曲片16夫々と対向する側壁85D、86Dが形成されているものとする。
【0083】
ヨーク10は、接着剤によってハウジング80に対して固定される。例えば、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16夫々、窪み86Cの底、側壁85D、側壁86Dが接着されて、ヨーク10は、ハウジング80に固定されることとなる。
【0084】
前述したように、対物レンズ駆動装置100は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312、レンズホルダ3、アクチュエータ1を備える。第1対物レンズ311、第2対物レンズ312は、光ディスク300の信号記録面に対向する。レンズホルダ3は、第1対物レンズ311、第2対物レンズ312を保持する。アクチュエータ1は、レンズホルダ3を光ディスク300のフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させる。アクチュエータ1は、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35、マグネット50、ヨーク10を含んでいる。第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35は、レンズホルダ3に取り付けられる。マグネット50は、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35に対して有効に作用する磁界を発生する。ヨーク10には、マグネット50が固定される。ヨーク10は、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成される。マグネット50は、ヨーク10に対して接着剤で固定される。ヨーク10は、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成されているので、例えば、ヨーク10を補強するための補強板等の別部品をヨーク10に取り付ける必要がない。よって、ヨーク10では、ヨーク10に対して補強板等の別部品を接着するための接着剤の剥離によって、ヨーク10の強度が低下するのを防止できる。ヨーク10の強度を維持して、マグネット50から伝達される反力によってヨーク10が比較的大きく変形するのを防止することができる。従って、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。又、ヨーク10を形成する際に、複数部品を組み合わせる必要がないので、部品点数を減らして、対物レンズ駆動装置100の製造コストを低減できる。
【0085】
又、マグネット50は、光ディスク300のタンジェンシャル方向において、第1フォーカスコイル34、第2フォーカスコイル36、トラッキングコイル35を介して、レンズホルダ3と隣りあっている。ヨーク10は、タンジェンシャル方向において、マグネット50のレンズホルダ3とは反対側でマグネット50と隣り合っている。ヨーク10、マグネット50、レンズホルダ3がタンジェンシャル方向において隣り合うこととなり、レンズホルダ3をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させる電磁力を発生させる磁気回路が形成される。従って、当該磁気回路によって、レンズホルダ3をフォーカス方向及びトラッキング方向に確実に変位させることができるので、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0086】
又、ヨーク10を形成する金属板の一方の端部17及び他方の端部11Dは、トラッキング方向に沿って形成され、互いに、フォーカス方向において対向する。端部17及び端部11Dは、マグネット50のヨーク10と対向する側の面に接着される。よって、ヨーク10の端部17及び端部11Dは、マグネット50を介して、互いに固定されることとなる。ヨーク10は、マグネット50によって矩形に閉じられることとなる。よって、ヨーク10の強度を向上させて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。又、ヨーク10に対してマグネット50を固定するときに、端部17及び端部11Dは、互いに固定されることとなる。よって、ヨーク10に対してマグネット50を固定する工程と、端部17及び端部11Dを互いに固定させる工程とを分ける必要がないので、製造工程を減らして、対物レンズ駆動装置100の製造コストを更に低減できる。
【0087】
又、端部17及び端部11Dは、マグネット50における光ディスク300から遠い側の端部のヨーク10側の面と対向する。マグネット50は、隙間17Dに接着剤が流入されることにより、ヨーク10に対して固定される。隙間17Dに流入する接着剤よって、端部17及び端部11Dが互いに強固に固定されることとなる。従って、ヨーク10の強度を更に向上させて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0088】
又、ヨーク10は、突出片17A、17Bを有する。突出片17A、17Bは、端部17からレンズホルダ3に向かって突出している。突出片17A、17Bは、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50の光ディスク300から遠い側の端部が当接される片である。ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを、確実に行うことができる。端部11D、17が互いに固定されるようにヨーク10に対してマグネット50を確実に固定して、ヨーク10の強度を確実に向上させることができる。よって、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。又、ヨーク10に対するマグネット50の位置決めを、容易に行うことができる。よって、対物レンズ駆動装置100の製造時間を短縮して、対物レンズ駆動装置100の生産性を向上させることができる。
【0089】
又、ヨークは、第1折曲片11、第2折曲片14、第3折曲片13、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を含む。第1折曲片11は、マグネット50と対向する。第2折曲片14は、第1折曲片11と対向する。第3折曲片13は、第1折曲片11と第2折曲片14との間において光ディスク300と対向する。第4折曲片12は、第1折曲片11と第2折曲片14との間において第3折曲片13と対向する。第5折曲片15は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の一方の端部15Bから光ディスク300に向かって延びる。第6折曲片16は、第4折曲片12におけるトラッキング方向の他方の端部16Bから光ディスク300に向かって延びる。第4折曲片12、第5折曲片15及び第6折曲片16は、ハウジング80に対して接着剤で固定される。ヨーク10がハウジング80に固定されるので、反力によってヨーク10全体が比較的大きく振動するのを防止することができる。従って、ヨーク10全体の比較的大きな振動を抑えて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。 又、アクチュエータ1は、サスペンションワイヤ41乃至46、支持体70Dを含む。サスペンションワイヤ41乃至43と、サスペンションワイヤ44乃至46とは、対となってトラッキング方向におけるレンズホルダ3の両側を支持する。サスペンションワイヤ41乃至46は、タンジェンシャル方向に延びている。支持体70Dは、サスペンションワイヤ41乃至46を支持する。支持体70Dは、タンジェンシャル方向において、ヨーク10のマグネット50とは反対側で第2折曲片14に固定される。サスペンションワイヤ41乃至43は、第1折曲片11乃至第4折曲片12と第5折曲片15との間に配置される。サスペンションワイヤ44乃至46は、第1折曲片11乃至第4折曲片12と第6折曲片16との間に配置される。よって、サスペンションワイヤ41乃至46に干渉せずに、ハウジング80に対してヨーク10を確実に固定できる。従って、ヨーク10全体の比較的大きな振動を確実に抑えて、対物レンズ駆動装置100におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0090】
[第2実施形態]
===対物レンズ駆動装置===
第2実施形態における対物レンズ駆動装置800は、第1実施形態におけるヨーク10を、ヨーク900に変更したものである。尚、ヨーク900以外の構成は、対物レンズ駆動装置100と同様であるので、その説明は省略する。
【0091】
以下、図9、図10を参照して、本実施形態における対物レンズ駆動装置について説明する。図9は、本実施形態における対物レンズが露出する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。尚、図4に示される構成と同様な構成については同一の符号を付すのみで、その説明については省略する。図10は、本実施形態における脚板が延在する側から見た対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。尚、図5に示される構成と同様な構成については同一の符号を付すのみで、その説明については省略する。
【0092】
本実施形態において、Z軸は、脚板が延びる方向(フォーカス方向)に沿う軸であり、上側に向かう方向を+Z方向とし、下側に向かう方向を−Z方向とする。X軸は、ヨーク900とマグネット50とが隣り合う方向(タンジェンシャル方向)に沿う軸であり、ヨーク900からマグネット50に向かう方向を+X方向とし、マグネット50からヨーク900に向かう方向を−Xとする。Y軸は、第6折曲片25、第7折曲片26に直交する方向(トラッキング方向)に沿う軸であり、第6折曲片25から第7折曲片26に向かう方向を+Yとし、第7折曲片26から第6折曲片25に向かう方向を−Yとする。
【0093】
対物レンズ駆動装置800は、アクチュエータ9を備えている。アクチュエータ9は、レンズホルダ3を光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるための装置である。アクチュエータ9は、ヨーク900を有する。
【0094】
===ヨーク===
以下、図11、図12を参照して、本実施形態におけるヨークについて説明する。図11は、本実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側から見たヨークを示す斜視図である。図12は、本実施形態における第6折曲片及び第7折曲片が延びる側とは反対側から見たヨークを示す斜視図である。
【0095】
ヨーク900は、タンジェンシャル方向において、マグネット50と回路基板90との間に設けられる。ヨーク900は、一枚の金属板を折り曲げて形成される。
【0096】
ヨーク900は、第1折曲片27、第2折曲片22、第3折曲片24、第4折曲片23、第5折曲片21、第6折曲片25、第7折曲片26を有する。第1折曲片27、第2折曲片22、第3折曲片24、第4折曲片23、第5折曲片21は、トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成される。第6折曲片25は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の一方の端部25Bから、光ディスク(+Z方向)に向かって延びている。第7折曲片26は、第4折曲片23のトラッキング方向における他方の端部26Bから、光ディスクに向かって延びている。
【0097】
=第1折曲片乃至第5折曲片=
第1折曲片27は、ヨーク900に対してマグネット50を取り付けるための部材である。第1折曲片27は、トラッキング方向とフォーカス方向とによって形成されるYZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。第1折曲片27は、トラッキング方向に沿い、且つ、フォーカス方向において相対する端部を有する。第1折曲片27は、フォーカス方向に沿い、且つ、トラッキング方向において相対する端部を有する。第1折曲片27は、第1折曲片27のマグネット50側(+X)(以下、「一方側」とも称する)の面が、マグネット50のヨーク900側(−X)(以下、「他方側」とも称する)の面と対向するように形成される。第1折曲片27の一方側の面には、マグネット50が接着剤で固定される。尚、第1折曲片27へのマグネット50の固定については、後述する。
【0098】
第2折曲片22は、第1折曲片27のフォーカス方向における光ディスクに近い側(+Z)の端部から、タンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側(−X)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第2折曲片22は、トラッキング方向とタンジェンシャル方向とによって形成されるXY平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。つまり、第2折曲片22は、第2折曲片22の上側(+Z)の面が光ディスクと対向するように、折れ曲がっている。第2折曲片22におけるマグネット50とは反対側の一部のトラッキング方向の長さは、保持部材70A、70B(図9)と第2折曲片22とが干渉しないように、比較的短く設定されている。
【0099】
更に、第2折曲片22には、トラッキング方向に沿った、例えば2個の嵌入孔92A、92Bが形成される。嵌入孔92A、92Bは、第2折曲片22に対して第5折曲片21の上側の端部を固定するための貫通孔である。嵌入孔92A、92Bの径は夫々、第5折曲片21に設けられた突起98A、98Bが嵌るような大きさに設定されている。尚、第5折曲片21、突起98A、98Bについては、後述する。
【0100】
第3折曲片24は、ヨーク900に対して支持体70Dを固定するための部材である。第3折曲片24は、第2折曲片22のタンジェンシャル方向におけるマグネット50とは反対側の端部から、フォーカス方向における光ディスクとは反対側(−Z)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第3折曲片24は、第1折曲片27と略平行な略矩形の平板形状を呈する。つまり、第3折曲片24は、第1折曲片27と対向するように折れ曲がることとなる。第3折曲片34の他方側の面には、固定部材70Cが例えば接着剤を用いて接着される。
【0101】
第4折曲片23は、ハウジングに対してヨーク900を固定するための部材である。第4折曲片23は、第3折曲片24のフォーカス方向における光ディスクから遠い側(−Z)の端部からマグネット50(+X方向)に向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第4折曲片23は、第2折曲片22と略平行な平板形状を呈する。つまり、第4折曲片23は、第4折曲片23の上側の面が、第2折曲片22の下側の面と対向するように折れ曲がっている。第4折曲片23のタンジェンシャル方向の長さは、後述する第5折曲片21がタンジェンシャル方向における第1折曲片27と第3折曲片24との間に配置されるように、第2折曲片22のタンジェンシャル方向の長さよりも短く設定されている。第4折曲片23は、トラッキング方向の−Y側の一部25A、+Y側の一部26Aがトラッキング方向に沿って第4折曲片23の中心から離れるように延びた形状を呈する。
【0102】
第5折曲片21は、第2折曲片22のタンジェンシャル方向におけるマグネット50側の端部から、フォーカス方向における光ディスクに向かって略直角に折れ曲がった形状を呈する。第5折曲片21は、第1折曲片27と略平行な略矩形の平板形状を呈する。つまり、第5折曲片21は、第5折曲片21の一方側の面が第1折曲片27の他方側の面と対向するとともに、第5折曲片21の他方側の面が第3折曲片24の一方側の面と対向するように、折れ曲がることとなる。第5折曲片21のフォーカス方向の長さは、例えば、第5折曲片21の上側の端部が第2折曲片22の下側の面に当接するように、第3折曲片24のフォーカス方向の長さにと同様な長さに設定される。
【0103】
更に、第5折曲片21の上側の端部には、上側に向かって突出する突起98A、98Bが形成される。突起98A、98Bは、第2折曲片22に対して第5折曲片21の上側の端部を固定するのに用いられる。突起98A、98Bは夫々、嵌入孔92A、92Bに嵌るような形状を呈する。突起98A、98Bの長さは、例えば、嵌入孔92A、92Bを介して第2折曲片22の上側に突出した突起98A、98Bの先端が光ディスクと接触しないような長さに設定される。第5折曲片21の上側の端部を第2折曲片22に対してより強固に固定するために、例えば、嵌入孔92A、92Bから第2折曲片22の上側に突出した突起98A、98Bと第2折曲片22の上側の面とに対して、連続的に接着剤が塗布される。そして、第5折曲片21の上側の端部と第2折曲片22とは、互いに強固に固定されることとなる。
【0104】
=第6折曲片、第7折曲片=
第6折曲片25は、ハウジングに対してヨーク900を固定するための部材である。第6折曲片25は、第4折曲片23の一部25Aのトラッキング方向における一方の端部25Bから、光ディスクに向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第6折曲片25は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の一方の端部25Bから、光ディスクに向かって延びることとなる。第6折曲片25は、タンジェンシャル方向とフォーカス方向とによって形成されるXZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0105】
第7折曲片26は、ハウジングに対してヨーク900を固定するための部材である。第7折曲片26は、第4折曲片23の一部26Aのトラッキング方向における他方の端部26Bから、光ディスクに向かって折れ曲がった形状を呈する。つまり、第7折曲片26は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の他方の端部26Bから、光ディスクに向かって延びることとなる。第7折曲片26は、タンジェンシャル方向とフォーカス方向とによって形成されるXZ平面と略平行な、略矩形の平板形状を呈する。
【0106】
===マグネットの固定===
以下、図10、図11を参照して、本実施形態におけるヨークに対するマグネットの固定について説明する。
【0107】
マグネット50は、ヨーク900に対して例えば接着剤で固定される。ここで、ヨーク900の第1折曲片27は、突出片99を有する。突出片99は、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うための片である。突出片99は、例えば、第1折曲片27の下側(−Z)の端部から一方側(+X)に向かって突出した形状を呈する。突出片99は、ヨーク900に対するマグネット50の位置決めを行い易いように、トラッキング方向に沿って連続して設けられる。突出片99は、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50のフォーカス方向における光ディスクから遠い側(−Z)の端部が突出片99の上側(+Z)の面に当接されるような形状を呈する。
【0108】
マグネット50は、例えば、ヨーク900に対する位置決めが行われるときに、接着剤を用いてヨーク900に固定される。
【0109】
ヨーク900に対するマグネット50の位置決めは、例えば、第1折曲片27及びマグネット50の相互に対向する面同士を当接されるとともに、マグネット50の下側の面を突出片99の上側の面に当接させることによって行われる。
【0110】
例えば、第1折曲片27の一方側の面、突出片99の上側の面に接着剤を予め塗布した状態で、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うことによって、マグネット50はヨーク900に対して固定される。尚、例えば、マグネット50の第1折曲片27と対向する面、突出片99と対向する面に予め接着剤を塗布しておいてもよい。又、例えば、マグネット50の第1折曲片27と対向する面、突出片99と対向する面、第1折曲片27の一方側の面、突出片99に予め接着剤を塗布しておいてもよい。
【0111】
前述したように、ヨーク900は、第1折曲片27、第2折曲片22、第3折曲片24、第4折曲片23、第5折曲片21を含む。第1折曲片27は、マグネット50と対向する。第2折曲片22は、光ディスクと対向するように、第1折曲片27から折れ曲がる。第2折曲片22は、嵌入孔92A、92Bを有する。第3折曲片24は、第1折曲片27と対向するように、第2折曲片22から折れ曲がる。第4折曲片23は、第2折曲片22と対向するように、第3折曲片24から折れ曲がる。第5折曲片21は、第1折曲片27及び第3折曲片24の双方と対向するように、第4折曲片23から折れ曲がる。第5折曲片21は、嵌入孔92A、92Bに嵌入される突起98A、98Bを有する。突起98A、98Bが嵌入孔92A、92Bに嵌入されるので、第2折曲片22及び第5折曲片21が互いに固定されることとなる。第2折曲片22及び第5折曲片21が互いに固定されるので、ヨーク900は、矩形に閉じられることとなる。よって、ヨーク900の強度を向上させて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0112】
又、突起98A、98Bは、嵌入孔92A、92Bに嵌入された後、第2折曲片22に対して接着剤で接着される。よって、第2折曲片22及び第5折曲片21が互いにより強固に固定されることとなる。従って、ヨーク900の強度を確実に向上させて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0113】
又、ヨーク900は、突出片99を有する。突出片99は、第1折曲片27の光ディスクから遠い側の端部から、レンズホルダに向かって突出する。突出片99は、ヨーク900に対してマグネット50の位置決めを行うときに、マグネット50の光ディスクから遠い側の端部が当接される片である。ヨーク900に対するマグネット50の位置決めを、容易に行うことができる。よって、対物レンズ駆動装置800の製造時間を短縮して、対物レンズ駆動装置800の生産性を向上させることができる。
【0114】
又、ヨーク900は、第6折曲片25、第7折曲片26を含む。第6折曲片25は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の一方の端部25Bから光ディスクに向かって延びる。第7折曲片26は、第4折曲片23におけるトラッキング方向の他方の端部26Bから光ディスクに向かって延びる。第4折曲片23、第6折曲片25及び第7折曲片26は、ハウジングに対して接着剤で固定される。ヨーク900がハウジングに固定されるので、反力によってヨーク900全体が比較的大きく振動するのを防止することができる。従って、ヨーク900全体の比較的大きな振動を抑えて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0115】
又、アクチュエータ9は、サスペンションワイヤ41乃至46、支持体70Dを含む。サスペンションワイヤ41乃至43と、サスペンションワイヤ44乃至46とは、対となってトラッキング方向におけるレンズホルダ3の両側を支持する。サスペンションワイヤ41乃至46は、タンジェンシャル方向に延びている。支持体70Dは、サスペンションワイヤ41乃至46を支持する。支持体70Dは、タンジェンシャル方向において、ヨーク900のマグネット50とは反対側で第3折曲片24に固定される。サスペンションワイヤ41乃至43は、第1折曲片27乃至第5折曲片21と第6折曲片25との間に配置される。サスペンションワイヤ44乃至46は、第1折曲片27乃至第5折曲片21と第7折曲片26との間に配置される。よって、サスペンションワイヤ41乃至46に干渉せずに、ハウジングに対してヨーク900を確実に固定できる。従って、ヨーク900全体の振動を確実に抑えて、対物レンズ駆動装置800におけるレンズホルダ3を変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0116】
[第3実施形態]
図13,図14は、本発明に係る駆動装置用フレーム、駆動装置、ピックアップ装置の第3実施形態を示すものである。
図13は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す斜視図である。図14は、本実施形態に係る対物レンズ駆動装置の一部を示す側面図である。
【0117】
図1,図2に示す駆動装置用フレーム10に代えて、図13,図14の如く、駆動装置用フレーム20が駆動装置に装備されている。図1,図2に示す駆動装置用フレーム10が図13,図14に示す駆動装置用フレーム20に置き換えられたこと以外に、駆動装置1、ピックアップ装置に変更はない。図1,図2に示す駆動装置用フレーム10が図13,図14に示す駆動装置用フレーム20に置き換えられた点で、第1実施形態と第3実施形態とが異なるが、駆動装置用フレーム10,20以外の他の部分においては、第1実施形態と第3実施形態とは、共通なものとされている。第3実施形態において、第1実施形態にて説明したものと同一のものについては、便宜上、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略した。
【0118】
アクチュエータ2を構成するコイルに電気を通してコイルを駆動させる際に、マグネット50に磁力による反力が発生する。このようなことが生じたときに、マグネット50が取り付けられたフレーム/ヨーク20の強度が低いと、マグネット50に加えられる反力によりフレーム/ヨーク20の共振が励起され、例えば光ピックアップ装置のループ特性等に悪影響が及ぼされる場合がある。その為、フレーム/ヨーク20に対しできる限り強度を高め、固有共振周波数を高くすることが求められている。フレーム・アクチュエータ2は、フレーム/ヨーク20に、マグネット50と、可動部を支えるサポート部品と、が装備可能な構造とされている。
【0119】
この駆動装置用フレーム20は、磁石等のマグネット50が装備可能な金属製フレーム/ヨーク本体20Aを備えるアクチュエータ用フレーム/ヨーク20として構成されている。フレーム/ヨーク本体20Aが側面視されたときに、フレーム/ヨーク本体20Aは、略箱型に閉じられている。
【0120】
アクチュエータ2用フレーム/ヨーク20を構成するフレーム/ヨーク本体20Aは、第5折曲片21と、第2折曲片22と、第4折曲片23と、第3折曲片24と、第6折曲片25と、第7折曲片26と、第1折曲片27と、の七つ(複数)の折曲片(片部)を備える略箱型に形成されている。
【0121】
金属素材が用いられ一枚の金属素材に打ち抜き加工、折り曲げ加工等が行われてフレーム/ヨーク本体20Aが形成されている。フレーム/ヨーク本体20Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体20Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体20Aを構成する第5折曲片21と第2折曲片22とが加締められて分離不能に繋げられている。
【0122】
フレーム/ヨーク本体20Aが側面視された状態でフレーム/ヨーク本体20Aが略箱型に閉じられるときに、フレーム/ヨーク本体20Aを構成する第5折曲片21と第2折曲片22とは、マグネット50がフレーム/ヨーク本体20Aに装備されるときに用いられる接着剤により、マグネット50の接着工程と略同時に分離不能に繋げられたものも使用可能とされる。また、加締めと接着との両方のかかり合わせ工程が実行されたものも使用可能とされる。
【0123】
この対物レンズ駆動装置1は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク20と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク20に装備されるマグネット50と、を少なくとも備えるアクチュエータ2として構成されている。
【0124】
また、このピックアップ装置は、上記アクチュエータ用フレーム/ヨーク20と、アクチュエータ用フレーム/ヨーク20に装備されるマグネット50と、を有するアクチュエータ2と、アクチュエータ2により、例えば、上下動、左右動、回動の少なくとも一方向に略沿って駆動させられる対物レンズと、を少なくとも備えるレーザ光を出射可能な光ピックアップ装置として構成される。
【0125】
フレーム/ヨーク本体20Aを側面視略箱型に閉じた構造に構成させせることで、カバー等の別部品が取り付けられることなくフレーム/ヨーク本体20Aの強度を高めることが可能となる。また、部品点数の削減、工数削減の効果も見込むことができる。
【0126】
===ヨーク===
以下、図13、図14を参照して、本実施形態におけるヨークについて説明する。
【0127】
第2実施形態においては、嵌入孔92A、92Bから第2折曲片22の上側に突出した突起98A、98Bが、第2折曲片22に対して接着剤で固定される構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、突起98A、98Bが第2折曲片22から外れないようにかしめ(図13)られることとしてもよい。例えば、突起98A、98Bは、嵌入孔92A、92Bに嵌入された後、突起98A、98Bが第2折曲片22からはずれないように、かしめられる。この場合、第2折曲片22及び第5折曲片21が互いにより強固に固定できる。更に、第2折曲片22に対して突起98A、98Bを固定するときに、例えば接着剤が用いられていないので、第2折曲片22に対して突起98A、98Bを固定するための接着剤の剥離によって、ヨーク20の強度が低下するのを防止できる。従って、ヨーク20を備える対物レンズ駆動装置におけるレンズホルダを変位させる制御特性を良好にすることができる。
【0128】
尚、第1及び第3実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0129】
第1実施形態においては、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行った後に、接着剤を用いてヨーク10に対してマグネット50を固定する構成について説明したが、これに限られるもではない。例えば、第1折曲片11のマグネット50と対向する面、対向面17に予め接着剤を塗布しておき、ヨーク10に対してマグネット50の位置決めを行ったときに、ヨーク10に対してマグネット50が固定される構成としてもよい。この場合、接着剤を隙間17Dに流入させたり、接着剤をマグネット50と第1折曲片11との間に接着剤を浸透させたりすることなしに、ヨーク10に対してマグネット50を確実に固定できる。
【0130】
第1実施形態においては、ハウジング80における窪み80Cの底、側壁85D、86Dに対して第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を接着剤によって接着する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、対物レンズ駆動装置100が載置されるハウジングに対して第5折曲片15、第6折曲片16と対向する固定板を形成して、当該ハウジングのヨーク10が載置される面、第5折曲片15と対向する固定板、第6折曲片16と対向する固定板に対して、第4折曲片12、第5折曲片15、第6折曲片16を接着剤によって固定してもよい。
【符号の説明】
【0131】
1、2、9 アクチュエータ(駆動装置)
3 レンズホルダ
8 光ピックアップ装置
10、20、900 フレーム/ヨーク(フレーム)、ヨーク
10A,20A フレーム/ヨーク本体(フレーム本体)
11 第1折曲片(一片部)
11D、17 端部
11E、17C、17E 対向面
12 第4折曲片(他片部)
12D、13A、13B、14A、15D、15E、16D、85A、86A 孔
13 第3折曲片(片部)
14 第2折曲片(片部)
15 第5折曲片(片部)
16 第6折曲片(片部)
17A、17B、99 突出片
21 第5折曲片(一片部)
22 第2折曲片(他片部)
23 第4折曲片(片部)
24 第3折曲片(片部)
25 第6折曲片(片部)
26 第7折曲片(片部)
27 第1折曲片(片部)
34、37 第1フォーカスコイル
35、38 トラッキングコイル
36、39 第2フォーカスコイル
41、42、43、44、45、46 サスペンションワイヤ
50、51 マグネット(磁性部材)
70 ダンピング保持部材(保持部材)
70D 支持体
75 孔
80 ハウジング
90 回路基板(基板)
92A、92B 嵌入孔
98A、98B 突起
100、800 対物レンズ駆動装置
300 光ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの信号記録面に対向する対物レンズと、
前記対物レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダを前記光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータは、
前記レンズホルダに取り付けられるコイルと、
前記コイルに対して有効に作用する磁界を発生するマグネットと、
前記マグネットが固定されるヨークと、を含み、
前記ヨークは、前記トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成され、
前記マグネットは、前記ヨークに対して接着剤で固定される
ことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記マグネットは、前記光ディスクのタンジェンシャル方向において、前記コイルを介して前記レンズホルダと隣り合い、
前記ヨークは、前記タンジェンシャル方向において、前記マグネットの前記レンズホルダとは反対側で前記マグネットと隣り合う
ことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ヨークを形成する前記金属板の一方の端部及び他方の端部は、
前記トラッキング方向に沿って形成され、互いに、前記フォーカス方向において対向し、前記ヨークに対して固定される前記マグネットの第1接着面と対向する
ことを特徴とする請求項2に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項4】
前記一方の端部及び前記他方の端部は、
前記マグネットの前記光ディスクから遠い側の端部の第2接着面と対向し、
前記マグネットは、
前記ヨークと前記第2接着面との接合部に、前記接着剤が流入されることにより、前記ヨークに対して固定される
ことを特徴とする請求項3に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項5】
前記ヨークは、
前記光ディスクから遠い側の前記一方の端部の先端から、前記レンズホルダに向かって突出する突出片を有し、
前記突出片は、
前記ヨークに対して前記マグネットの位置決めを行うときに、前記マグネットの前記光ディスクから遠い側の端部が当接される片である
ことを特徴とする請求項4に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項6】
前記ヨークは、
前記マグネットと対向する第1折曲片と、
前記第1折曲片と対向する第2折曲片と、
前記第1折曲片と前記第2折曲片との間において前記光ディスクと対向する第3折曲片と、
前記第1折曲片と前記第2折曲片との間において前記第3折曲片と対向する第4折曲片と、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の一方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第5折曲片と、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の他方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第6折曲片と、を含み、
前記第4折曲片乃至前記第6折曲片は、
対物レンズ駆動装置が載置されるハウジング上において、前記ハウジングに対して接着剤で固定される
ことを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、
前記トラッキング方向における前記レンズホルダの両側を支持し、前記タンジェンシャル方向に沿って延びる一対のサスペンションワイヤと、
前記一対のサスペンションワイヤを支持し、前記タンジェンシャル方向において、前記ヨークの前記マグネットとは反対側で前記第2折曲片に固定される支持体と、を含み、
前記一対のサスペンションワイヤのうち一方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第4折曲片と前記第5折曲片との間に配置され、
前記一対のサスペンションワイヤのうち他方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第4折曲片と前記第6折曲片との間に配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項8】
前記ヨークは、
前記マグネットと対向する第1折曲片と、
嵌入孔を有し、前記光ディスクと対向するように、前記第1折曲片から折れ曲がる第2折曲片と、
前記第1折曲片と対向するように、前記第2折曲片から折れ曲がる第3折曲片と、
前記第2折曲片と対向するように、前記第3折曲片から折れ曲がる第4折曲片と、
前記嵌入孔に嵌入される突起を有し、前記第1折曲片と前記第3折曲片との間において前記第1折曲片及び前記第3折曲片の双方と対向するように、前記第4折曲片から折れ曲がる第5折曲片と、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項9】
前記突起は、前記嵌入孔に嵌入された後、前記第2折曲片に対して接着剤で接着される
ことを特徴とする請求項8に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項10】
前記突起は、前記嵌入孔に嵌入された後、前記第2折曲片から外れないようにかしめられる
ことを特徴とする請求項8に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項11】
前記ヨークは、
前記第1折曲片の前記光ディスクから遠い側の端部から、前記レンズホルダに向かって突出する突出片を有し、
前記突出片は、
前記ヨークに対して前記マグネットの位置決めを行うときに、前記マグネットの前記光ディスクから遠い側の端部が当接される片である
ことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項12】
前記ヨークは、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の一方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第6折曲片と、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の他方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第7折曲片と、を含み、
前記第4折曲片、前記第6折曲片及び前記第7折曲片は、
対物レンズ駆動装置が載置されるハウジング上において、前記ハウジングに対して接着剤で固定される
ことを特徴とする請求項8乃至11の何れかに記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項13】
前記アクチュエータは、
前記トラッキング方向における前記レンズホルダの両側を支持し、前記タンジェンシャル方向に沿って延びる一対のサスペンションワイヤと、
前記一対のサスペンションワイヤを支持し、前記タンジェンシャル方向において、前記ヨークの前記マグネットとは反対側で前記第3折曲片に固定される支持体と、を含み、
前記一対のサスペンションワイヤのうち一方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第5折曲片と前記第6折曲片との間に配置され、
前記一対のサスペンションワイヤのうち他方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第5折曲片と前記第7折曲片との間に配置される
ことを特徴とする請求項12に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項14】
磁性部材が装備可能なフレーム本体を備える駆動装置用フレームにおいて、前記フレーム本体が略箱型に閉じられたことを特徴とする駆動装置用フレーム。
【請求項15】
前記フレーム本体が略箱型に閉じられるときに、前記フレーム本体を構成する一片部と他片部とは、前記磁性部材が前記フレーム本体に装備されるときに用いられる接着剤により繋げられたことを特徴とする請求項14に記載の駆動装置用フレーム。
【請求項16】
前記フレーム本体が略箱型に閉じられるときに、前記フレーム本体を構成する一片部と他片部とが加締められたことを特徴とする請求項14又は15に記載の駆動装置用フレーム。
【請求項17】
請求項14〜16の何れか1項に記載の駆動装置用フレームと、前記駆動装置用フレームに装備される前記磁性部材と、を少なくとも備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項18】
請求項14〜17の何れか1項に記載の駆動装置用フレームと、前記駆動装置用フレームに装備される前記磁性部材と、を有する駆動装置と、前記駆動装置により駆動させられるレンズと、を少なくとも備えることを特徴とするピックアップ装置。
【請求項1】
光ディスクの信号記録面に対向する対物レンズと、
前記対物レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダを前記光ディスクのフォーカス方向又はトラッキング方向に変位させるアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータは、
前記レンズホルダに取り付けられるコイルと、
前記コイルに対して有効に作用する磁界を発生するマグネットと、
前記マグネットが固定されるヨークと、を含み、
前記ヨークは、前記トラッキング方向を軸として、一枚の金属板を矩形に折り曲げて形成され、
前記マグネットは、前記ヨークに対して接着剤で固定される
ことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記マグネットは、前記光ディスクのタンジェンシャル方向において、前記コイルを介して前記レンズホルダと隣り合い、
前記ヨークは、前記タンジェンシャル方向において、前記マグネットの前記レンズホルダとは反対側で前記マグネットと隣り合う
ことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ヨークを形成する前記金属板の一方の端部及び他方の端部は、
前記トラッキング方向に沿って形成され、互いに、前記フォーカス方向において対向し、前記ヨークに対して固定される前記マグネットの第1接着面と対向する
ことを特徴とする請求項2に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項4】
前記一方の端部及び前記他方の端部は、
前記マグネットの前記光ディスクから遠い側の端部の第2接着面と対向し、
前記マグネットは、
前記ヨークと前記第2接着面との接合部に、前記接着剤が流入されることにより、前記ヨークに対して固定される
ことを特徴とする請求項3に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項5】
前記ヨークは、
前記光ディスクから遠い側の前記一方の端部の先端から、前記レンズホルダに向かって突出する突出片を有し、
前記突出片は、
前記ヨークに対して前記マグネットの位置決めを行うときに、前記マグネットの前記光ディスクから遠い側の端部が当接される片である
ことを特徴とする請求項4に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項6】
前記ヨークは、
前記マグネットと対向する第1折曲片と、
前記第1折曲片と対向する第2折曲片と、
前記第1折曲片と前記第2折曲片との間において前記光ディスクと対向する第3折曲片と、
前記第1折曲片と前記第2折曲片との間において前記第3折曲片と対向する第4折曲片と、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の一方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第5折曲片と、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の他方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第6折曲片と、を含み、
前記第4折曲片乃至前記第6折曲片は、
対物レンズ駆動装置が載置されるハウジング上において、前記ハウジングに対して接着剤で固定される
ことを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、
前記トラッキング方向における前記レンズホルダの両側を支持し、前記タンジェンシャル方向に沿って延びる一対のサスペンションワイヤと、
前記一対のサスペンションワイヤを支持し、前記タンジェンシャル方向において、前記ヨークの前記マグネットとは反対側で前記第2折曲片に固定される支持体と、を含み、
前記一対のサスペンションワイヤのうち一方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第4折曲片と前記第5折曲片との間に配置され、
前記一対のサスペンションワイヤのうち他方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第4折曲片と前記第6折曲片との間に配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項8】
前記ヨークは、
前記マグネットと対向する第1折曲片と、
嵌入孔を有し、前記光ディスクと対向するように、前記第1折曲片から折れ曲がる第2折曲片と、
前記第1折曲片と対向するように、前記第2折曲片から折れ曲がる第3折曲片と、
前記第2折曲片と対向するように、前記第3折曲片から折れ曲がる第4折曲片と、
前記嵌入孔に嵌入される突起を有し、前記第1折曲片と前記第3折曲片との間において前記第1折曲片及び前記第3折曲片の双方と対向するように、前記第4折曲片から折れ曲がる第5折曲片と、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項9】
前記突起は、前記嵌入孔に嵌入された後、前記第2折曲片に対して接着剤で接着される
ことを特徴とする請求項8に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項10】
前記突起は、前記嵌入孔に嵌入された後、前記第2折曲片から外れないようにかしめられる
ことを特徴とする請求項8に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項11】
前記ヨークは、
前記第1折曲片の前記光ディスクから遠い側の端部から、前記レンズホルダに向かって突出する突出片を有し、
前記突出片は、
前記ヨークに対して前記マグネットの位置決めを行うときに、前記マグネットの前記光ディスクから遠い側の端部が当接される片である
ことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項12】
前記ヨークは、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の一方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第6折曲片と、
前記第4折曲片における前記トラッキング方向の他方の端部から前記光ディスクに向かって延びる第7折曲片と、を含み、
前記第4折曲片、前記第6折曲片及び前記第7折曲片は、
対物レンズ駆動装置が載置されるハウジング上において、前記ハウジングに対して接着剤で固定される
ことを特徴とする請求項8乃至11の何れかに記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項13】
前記アクチュエータは、
前記トラッキング方向における前記レンズホルダの両側を支持し、前記タンジェンシャル方向に沿って延びる一対のサスペンションワイヤと、
前記一対のサスペンションワイヤを支持し、前記タンジェンシャル方向において、前記ヨークの前記マグネットとは反対側で前記第3折曲片に固定される支持体と、を含み、
前記一対のサスペンションワイヤのうち一方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第5折曲片と前記第6折曲片との間に配置され、
前記一対のサスペンションワイヤのうち他方のサスペンションワイヤは、
前記第1折曲片乃至前記第5折曲片と前記第7折曲片との間に配置される
ことを特徴とする請求項12に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項14】
磁性部材が装備可能なフレーム本体を備える駆動装置用フレームにおいて、前記フレーム本体が略箱型に閉じられたことを特徴とする駆動装置用フレーム。
【請求項15】
前記フレーム本体が略箱型に閉じられるときに、前記フレーム本体を構成する一片部と他片部とは、前記磁性部材が前記フレーム本体に装備されるときに用いられる接着剤により繋げられたことを特徴とする請求項14に記載の駆動装置用フレーム。
【請求項16】
前記フレーム本体が略箱型に閉じられるときに、前記フレーム本体を構成する一片部と他片部とが加締められたことを特徴とする請求項14又は15に記載の駆動装置用フレーム。
【請求項17】
請求項14〜16の何れか1項に記載の駆動装置用フレームと、前記駆動装置用フレームに装備される前記磁性部材と、を少なくとも備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項18】
請求項14〜17の何れか1項に記載の駆動装置用フレームと、前記駆動装置用フレームに装備される前記磁性部材と、を有する駆動装置と、前記駆動装置により駆動させられるレンズと、を少なくとも備えることを特徴とするピックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−33579(P2013−33579A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115789(P2012−115789)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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