説明

寿司サンド製造装置

【課題】多量の寿司サンドを連続的に高い生産効率で製造することができるとともに、米粒と米粒の間に適度な空気を含んだふっくらとした食感を有する美味しい寿司サンドを製造することが可能である寿司サンド製造装置を提供すること。
【解決手段】シート状海苔の上部にシート状寿司飯と中具を載置した状態の長尺の寿司シートを上面に載せて搬送するベルトコンベアと、前記長尺の寿司シートを該寿司シートよりも厚い断面四角形状の長尺の寿司ブロックに成形する成形機構と、前記寿司ブロックの上面にシート状海苔を供給するシート状海苔供給機構と、前記上面にシート状海苔が供給された寿司ブロックを整形する整形機構と、前記整形後の寿司ブロックを一定長さ毎に切断する切断機構とを備えており、前記各機構が、前記ベルトコンベアの上流側から下流側にかけて上記順番に配設されていることを特徴とする寿司サンド製造装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下一対のシート状海苔の間に寿司飯と中具を挟んだ構造の寿司サンドを製造するための寿司サンド製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パンの代わりに寿司飯と海苔でサーモンやハム等の中具をサンドイッチした寿司サンドと呼ばれる食品が販売されている。
このような寿司サンドは、従来のサンドイッチと同様に片手で手軽に摘んで食することができる点で人気がある。
しかし、寿司サンドは、中具を挟むものが定型性のあるパンではなく寿司飯であるため、従来のサンドイッチと同じ製法で製造することはできない。
【0003】
従来の寿司サンドの製法としては、例えば下記特許文献1に記載された製法が知られている。
特許文献1に記載された製法は、中央の長手方向に具を充填した所定長さの板状米飯の上下両面に海苔シートを貼着し、これをプレス加工して断面四角形の板状海苔付飯体を成形した後、該海苔付飯体をカットして小片に分割するという製法である。
【0004】
しかしながら、この製法は、先ず具を充填した板状米飯を所定長さで製造した後、これを1つずつ成形する方法であるため、多量の寿司サンドを連続的に製造することができず、生産効率が悪いという問題があった。
また、この製法では、板状米飯を周囲全体から一度に押圧して断面四角形に成形するため、米粒と米粒の間の空間が潰れてしまい、ふっくらとした食感を有する美味しい寿司サンドを得ることができなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−34475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、多量の寿司サンドを連続的に高い生産効率で製造することができるとともに、米粒と米粒の間に適度な空気を含んだふっくらとした食感を有する美味しい寿司サンドを製造することが可能である寿司サンド製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、上下一対のシート状海苔の間に寿司飯と中具を挟んだ構造の寿司サンドを製造するための寿司サンド製造装置であって、シート状海苔の上部にシート状寿司飯と中具を載置した状態の長尺の寿司シートを上面に載せて搬送するベルトコンベアと、前記長尺の寿司シートを該寿司シートよりも厚い断面四角形状の長尺の寿司ブロックに成形する成形機構と、前記寿司ブロックの上面にシート状海苔を供給するシート状海苔供給機構と、前記上面にシート状海苔が供給された寿司ブロックを整形する整形機構と、前記整形後の寿司ブロックを一定長さ毎に切断する切断機構とを備えており、前記各機構が、前記ベルトコンベアの上流側から下流側にかけて上記順番に配設されていることを特徴とする寿司サンド製造装置を提供する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記成形機構は、前記寿司シートの幅方向両端部及び幅方向一端側の上部を成形する第一成形部と、前記寿司シートの幅方向両端部及び幅方向他端側の上部を成形する第二成形部と、前記寿司シートの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を成形する第三成形部とからなり、前記第一乃至第三成形部が、前記ベルトコンベアの上流側から下流側にかけて上記順番に配設されていることを特徴とする請求項1記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記第一乃至第三成形部は、前記ベルトコンベアの幅方向両端部を略垂直に立ち上げた状態で挟持することにより、前記寿司シートの幅方向両端部を成形する左右一対の回転可能な挟持ローラと、前記挟持された状態の寿司シートを上方から押圧することにより、該寿司シートの上部を成形する回転可能な押圧ローラを備えていることを特徴とする請求項2記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記第一成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向一端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分を介して前記寿司シートを押圧し、前記第二成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向他端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分を介して前記寿司シートを押圧することを特徴とする請求項3記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記第一成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向中央から幅方向一端側に向けて外径が大きくなるように形成されており、前記第二成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向中央から幅方向他端側に向けて外径が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項4記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記第一成形部は、前記ベルトコンベアの幅方向他端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材を有し、前記第二成形部は、前記ベルトコンベアの幅方向一端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材を有することを特徴とする請求項4又は5記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記整形機構は、前記寿司ブロックの上面にシート状海苔を密着させる第一整形部と、前記第一整形部を通過した寿司ブロックの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を整形する第二整形部とからなることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【0014】
請求項8に係る発明は、前記第一整形部は、前記ベルトコンベアの幅方向両端側を、該ベルトコンベア上の寿司ブロックの幅よりも広い幅となるように傾斜して立ち上げた状態で保持する保持部材と、前記保持されたベルトコンベア上の寿司ブロックをシート状海苔の上部から押圧することにより、該寿司ブロックの上面にシート状海苔を密着させる回転可能な押圧ローラを備えていることを特徴とする請求項7記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【0015】
請求項9に係る発明は、前記第二整形部は、前記ベルトコンベアの幅方向両端部を挟持することにより、前記寿司ブロックの幅方向両端部を整形する左右一対の回転可能な挟持ローラと、前記挟持された状態の寿司ブロックを上方から押圧することにより、該寿司ブロックの上部を整形する回転可能な押圧ローラを備えていることを特徴とする請求項7又は8記載の寿司サンド製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、ベルトコンベアの上流側から下流側にかけて、長尺の寿司シートを該寿司シートよりも厚い断面四角形状の長尺の寿司ブロックに成形する成形機構と、寿司ブロックの上面にシート状海苔を供給するシート状海苔供給機構と、上面にシート状海苔が供給された寿司ブロックを整形する整形機構と、整形後の寿司ブロックを一定長さ毎に切断する切断機構とがこの順番に配設されていることにより、多量の寿司サンドを連続的に高い生産効率で製造することが可能である。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、成形機構が、寿司シートの幅方向両端部及び幅方向一端側の上部を成形する第一成形部と、寿司シートの幅方向両端部及び幅方向他端側の上部を成形する第二成形部と、寿司シートの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を成形する第三成形部とからなり、第一乃至第三成形部が、ベルトコンベアの上流側から下流側にかけて上記順番に配設されていることにより、寿司シートを、その周囲全体から一度に押圧して断面四角形状の寿司ブロックに成形するのではなく、第一成形部から第三成形部にかけて段階的に成形することができる。そのため、米粒と米粒の間に適度な空気を含んだふっくらとした食感を有する美味しい寿司サンドを製造することが可能となる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、第一乃至第三成形部が、ベルトコンベアの幅方向両端部を略垂直に立ち上げた状態で挟持することにより、寿司シートの幅方向両端部を成形する左右一対の回転可能な挟持ローラと、挟持された状態の寿司シートを上方から押圧することにより、該寿司シートの上部を成形する回転可能な押圧ローラを備えていることにより、長尺の寿司シートの側面及び上面をベルトコンベアの流れに伴って連続的に成形することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、第一成形部の押圧ローラは、ベルトコンベアの幅方向一端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分を介して寿司シートを押圧し、第二成形部の押圧ローラは、ベルトコンベアの幅方向他端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分を介して寿司シートを押圧することから、寿司シートをベルトコンベアの形状変化に沿って滑らかに変形させることができ、しかも寿司シートの上面が直接ローラにより押圧されることがないため、表面の米粒が潰れてしまうことを防ぐことができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、第一成形部の押圧ローラは、ベルトコンベアの幅方向中央から幅方向一端側に向けて外径が大きくなるように形成されており、第二成形部の押圧ローラは、ベルトコンベアの幅方向中央から幅方向他端側に向けて外径が大きくなるように形成されているため、ベルトコンベアの幅方向端部を無理なく滑らかに幅方向中央に向けて折り返すことが可能となる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、第一成形部は、ベルトコンベアの幅方向他端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材を有し、第二成形部は、ベルトコンベアの幅方向一端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材を有することから、保持部材によりベルトコンベアの幅方向端部を略垂直に立ち上げた状態で保持しながら、ローラによりその反対側の幅方向端部を押圧することができる。そのため、ローラにより押圧されていない側の幅方向端部のベルトコンベアが折れ曲がってローラ下に入ることが防がれ、第一成形部では寿司シートの幅方向一端側のみを、第二成形部では寿司シートの幅方向他端側のみを、それぞれ成形することができ、段階的な成形を確実に行うことが可能となる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、整形機構は、寿司ブロックの上面にシート状海苔を密着させる第一整形部と、第一整形部を通過した寿司ブロックの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を整形する第二整形部とからなることから、寿司ブロックの上面にシート状海苔を充分に密着させた後で、その形を整えることができる。そのため、シート状海苔の密着が不十分になることが防がれるとともに、シート状海苔を密着させる際に寿司ブロックの形崩れが生じてもこれを整形することができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、第一整形部は、ベルトコンベアの幅方向両端側を、該ベルトコンベア上の寿司ブロックの幅よりも広い幅となるように傾斜して立ち上げた状態で保持する保持部材と、保持されたベルトコンベア上の寿司ブロックをシート状海苔の上部から押圧することにより、該寿司ブロックの上面にシート状海苔を密着させる回転可能な押圧ローラを備えていることから、シート状海苔がベルトコンベアに付着することを防ぎながら寿司ブロックを整形することができる。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、第二整形部は、ベルトコンベアの幅方向両端部を挟持することにより、寿司ブロックの幅方向両端部を整形する左右一対の回転可能な挟持ローラと、挟持された状態の寿司ブロックを上方から押圧することにより、該寿司ブロックの上部を整形する回転可能な押圧ローラを備えていることから、長尺の寿司ブロックの側面及び上面をベルトコンベアの流れに伴って連続的に整形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る寿司サンド製造装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る寿司サンド製造装置の全体を示す外観図である。
本発明に係る寿司サンド製造装置は、シート状海苔の上部にシート状寿司飯と中具を載置した状態の長尺の寿司シートを形成するまでの前半工程を実施する部分(I)と、当該寿司シートから寿司サンドを形成するまでの後半工程を実施する部分(II)とに大別することができ、主として後半工程を実施する部分(II)に特徴を有している。
【0026】
先ず、前半工程を実施する部分(I)について説明する。
前半工程を実施する部分(I)は、寿司米供給機構(1)と中具供給機構(2)とからなる。但し、中具供給機構(2)については省略することができ、省略した場合には手で中具を供給する。
【0027】
図2は、寿司米供給機構(1)の実施形態の一例を示す概略側面図である。
寿司米供給機構(1)は、寿司米が収容されるホッパ(3)と、ホッパ(3)内に寿司米を投入するバット(4)と、ホッパ(3)の下端部から放出される寿司米を平らに均しながら下流にあるベルトコンベア(5)へと供給する均し機構(6)とを備えている。
【0028】
ホッパ(3)の内部には、複数の棒状ほぐし羽根付きの回転ほぐし棒(7)が設けられており、バット(4)から投入された寿司米はこの回転ほぐし棒(7)によりほぐされた後、ホッパ(3)の下方に配設された均し機構(6)へと落下する。
【0029】
均し機構(6)は、ホッパ(3)の下方に配設された第一コンベア(61)と、この第一コンベア(61)の下流側且つ下方に配設された第二コンベア(62)とを備えている。
第一コンベア(61)の上部には第一均しローラ(63)が配設され、第二コンベア(62)の上部には、上流側に第二均しローラ(64)、下流側に第三均しローラ(65)が夫々回転可能に配設されている。
【0030】
第一均しローラ(61)、第二均しローラ(62)、第三均しローラ(63)は、ホッパ(3)の下端部から放出された塊状の寿司米をコンベア上において段階的に平坦に均してシート状寿司飯を形成する。
第一均しローラ(61)と第二均しローラ(62)との間には、寿司米の塊を検出するためのセンサ(66)が設けられており、寿司米が充分にほぐれずに大きな塊のままで移送されてきた場合にはセンサ(66)により塊を検出して第一コンベア(61)を停止させる。
【0031】
第一均しローラ(63)、第二均しローラ(64)、第三均しローラ(65)は、その外周面に回転軸方向に延びる多数本の溝を有しており、その溝同士の間隔は、第一均しローラ(63)、第二均しローラ(64)、第三均しローラ(65)の順に徐々に狭くなっている。これにより、寿司米を潰すことなく段階的に均すことができる。
【0032】
ホッパ(3)の下端部から放出された寿司米は、均し機構(6)により平坦に均されてシート状寿司米となってベルトコンベア(5)上に供給される。
ベルトコンベア(5)の上面には、該コンベアの長さ方向に沿って連続的に延びる長尺のシート状海苔が載置されており、シート状寿司米はこのシート状海苔の上に供給される。尚、シート状寿司米は後工程において幅方向両端部から押圧成形されて幅が狭くなるため、ここで供給されるシート状寿司米の幅はシート状海苔の幅よりも広い幅となっている。
ベルトコンベア(5)上に供給されるシート状寿司米は、ベルトコンベア(5)の長さ方向に沿って連続的に延びる長尺のものであり、この長尺のシート状寿司米の上面に中具が供給される。
【0033】
均し機構(6)より下流側のベルトコンベア(5)の側部には、中具供給機構(2)が配設されている。
中具供給機構(2)は、ベルトコンベア(5)上に載って運ばれてくるシート状寿司米の上部に中具を連続的又は間欠的に落下させて供給するものである。但し、本発明においては、上述したように中具供給機構(2)を設けずに人手で中具を載置するようにしてもよい。
【0034】
以上が前半工程を実施する部分(I)の説明であり、引き続いて後半工程を実施する部分(II)について説明する。
ベルトコンベア(5)の中具供給機構(2)より更に下流側には、搬送されてきた長尺の寿司シートを該寿司シートよりも厚い断面四角形状の長尺の寿司ブロックに成形する成形機構(8)と、この寿司ブロックの上面にシート状海苔を供給するシート状海苔供給機構(9)と、この上面にシート状海苔が供給された寿司ブロックを整形する整形機構(10)と、この整形後の寿司ブロックを一定長さ毎に切断する切断機構(11)とを備えており、これら各機構は、ベルトコンベア(5)の上流側から下流側にかけて上記順番に配設されている。
【0035】
図3は後半工程を実施する部分(II)の成形機構(8)から整形機構(10)までの部分を示す外観図、図4はその平面図、図5は成形機構(8)の一部分(上流側)を示す外観図である。尚、図4では寿司シート(S)は図示していない。
成形機構(8)は、寿司シートの幅方向両端部及び幅方向一端側の上部を成形する第一成形部(81)と、寿司シートの幅方向両端部及び幅方向他端側の上部を成形する第二成形部(82)と、寿司シートの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を成形する第三成形部(83)とからなり、これら第一乃至第三成形部が、ベルトコンベア(5)の上流側から下流側にかけて上記順番に配設されている。
【0036】
このような第一成形部(81)乃至第三成形部(83)がベルトコンベア(5)の上流側から下流側にかけて上記順番に配設されていることにより、寿司シート(S)を、その周囲全体から一度に押圧して断面四角形状の寿司ブロックに成形するのではなく、第一成形部(81)から第三成形部(83)にかけて押圧部分を段階的に分けて成形することができる。
そのため、寿司シートが過度に締め固められることがなく、米粒と米粒の間に適度な空気を含んだふっくらとした食感を有する美味しい寿司サンドを製造することが可能となる。
【0037】
図6は成形機構(8)のベルトコンベア直角方向の断面図であり、(a)は第一成形部の断面図、(b)は第二成形部の断面図、(c)は第三成形部の断面図である。尚、図6では寿司シート(S)は図示していない。
第一乃至第三成形部は、ベルトコンベア(5)の幅方向両端部を略垂直に立ち上げた状態で挟持することにより寿司シートの幅方向両端部を成形する左右一対の回転可能な挟持ローラ(81a,82a,83a)と、この挟持された状態の寿司シートを上方から押圧することにより、該寿司シートの上部を成形する回転可能な押圧ローラ(81b,82b,83b)を備えている。
尚、図5では、1つの挟持ローラ(81a)と、2つの挟持ローラ(82a)は隠れている。
【0038】
このように、第一乃至第三成形部に夫々回転可能な挟持ローラと押圧ローラが配設されており、これらの回転可能なローラを利用して成形することにより、長尺の寿司シート(S)の側面及び上面をベルトコンベア(5)の流れに伴って連続的に成形することができる。
【0039】
第一成形部(81)の押圧ローラ(81b)は、ベルトコンベア(5)の幅方向一端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分(51)を介して寿司シート(S)を押圧する。
第二成形部(82)の押圧ローラ(82b)は、ベルトコンベア(5)の幅方向他端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分(51)を介して寿司シート(S)を押圧する。
【0040】
このように、ベルトコンベア(5)の折り返し部分(51)を介して寿司シート(S)を押圧することにより、寿司シート(S)をベルトコンベア(5)の形状の変化に沿って緩やかに変形させることができ、しかも寿司シート(S)の上面が直接押圧ローラ(81b,82b)により押圧されることがないため、表面の米粒が潰れてしまうことを防ぐことができる。
【0041】
第一成形部(81)の押圧ローラ(81b)は、ベルトコンベア(5)の幅方向中央から幅方向一端側に向けて外径が大きくなるように形成されている。
より具体的には、押圧ローラ(81b)の外径は、幅方向(ローラ厚み方向)における他端部から中途部までは一定であり、中途部から一端部にかけて徐々に大きくなっている(図6(a)参照)。
尚、押圧ローラ(81b)の幅は、一対の挟持ローラ(81a)間の距離の半分よりも少し長い幅に設定されている。
【0042】
第二成形部(82)の押圧ローラ(82b)は、ベルトコンベア(5)の幅方向中央から幅方向他端側に向けて外径が大きくなるように形成されている
より具体的には、押圧ローラ(82b)の外径は、幅方向(ローラ厚み方向)における他端部から中途部までは一定であり、中途部から一端部にかけて徐々に大きくなっている(図6(b)参照)。
尚、押圧ローラ(82b)の幅は、一対の挟持ローラ(82a)間の距離の半分よりも少し長い幅に設定されている。
【0043】
このように、押圧ローラ(81b)及び押圧ローラ(82b)の外径が、ベルトコンベア(5)の幅方向中央部から端部に向けて大きくなっていることにより、ベルトコンベア(5)の幅方向端部を無理なく滑らかに幅方向中央に向けて折り返すことが可能となって、折り返しの際に寿司シート端部の米粒が潰れにくくなる。
【0044】
第一成形部(81)は、ベルトコンベア(5)の幅方向他端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材(81c)を有しており、第二成形部(82)は、ベルトコンベア(5)の幅方向一端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材(82c)を有している。
【0045】
保持部材(81c)(82c)は、装置上面に設けられたベース板(12)に沿って固定される水平部と、この水平部から直角上向きに立ち上がった垂直部と、この垂直部の上端部から水平部と反対側に延びて直角下向きに折曲した折曲部(81d)(82d)とからなる。
折曲部(81d)(82d)には、ベルトコンベア(5)の幅方向一端側又は他端側が挟持され、これにより、ベルトコンベア(5)の幅方向一端側又は他端側が略垂直に立ち上げた状態で保持される(図5等参照)。
尚、図6においては、保持部材(81c)(82c)が挟持ローラ(81a)、(82a)に重なるのを防ぐため、図6(a)では保持部材(81c)を右方にずらして、図6(b)では保持部材(82c)を左方向にずらして描いている。実際には、保持部材は矢印で示す方向にずれた位置にあり、折曲部(81d)(82d)によりベルトコンベア(5)の幅方向端部を挟持する。
【0046】
このような保持部材を設けることによって、保持部材(81c)(82c)によりベルトコンベア(5)の幅方向端部を略垂直に立ち上げた状態で保持しながら、押圧ローラ(81b)(82b)によりその反対側の幅方向端部を押圧することができる。
そのため、押圧ローラ(81b)(82b)により押圧されていない側の幅方向端部のベルトコンベア(5)が自然に折れ曲がってローラ下に入ることが防がれる。
これにより、第一成形部(81)では寿司シートの幅方向一端側のみを、第二成形部(82)では寿司シートの幅方向他端側のみを、それぞれ成形することができ、段階的な成形を確実に行うことが可能となる。
【0047】
第三成形部(83)は、第一成形部(81)及び第二成形部(82)で成形された後の寿司シートの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を成形する。
第三成形部(83)の押圧ローラ(83b)の幅は、第一成形部(82)の押圧ローラ(81b)及び第二成形部(82)の押圧ローラ(82b)の幅よりも広く形成されており、挟持ローラ(83a)により幅方向両端部を挟持された状態の寿司シートの上面全体を押圧できるようになっている。
押圧ローラ(83b)の外径は、幅方向において一定とされており、これによって寿司シートの上面が平坦に成形される。
【0048】
押圧ローラ(81b)(82b)(83b)は、その高さ位置を変更することができるようになっており、これにより最終製品である寿司サンドの厚みを変更する可能となっている。
【0049】
前半工程から搬送されてきた長尺の寿司シートは、成形機構(8)により、該寿司シートよりも厚い断面四角形状の長尺の寿司ブロックに成形される。
成形機構(8)のベルトコンベア下流側には、寿司ブロックの上面にシート状海苔(N)を供給するシート状海苔供給機構(9)が設けられている。
図4では、シート状海苔供給機構(9)が配置される領域を仮想線で示している。
【0050】
シート状海苔供給機構(9)は、ベルトコンベア(5)の上方に配設されてその周面に長尺のシート状海苔が巻回された回転可能な供給ローラ(91)と、この供給ローラ(91)の下方に配設されて供給ローラ(91)の回転に伴って連続的に送り出されるシート状海苔(N)を上下から挟んで保持する上下一対の保持ローラ(92)とから構成されている(図3参照)。
【0051】
整形機構(10)は、成形機構(9)により成形された寿司ブロックの上面に、シート状海苔供給機構(9)から供給されるシート状海苔(N)を密着させる第一整形部(101)と、この第一整形部(101)を通過した寿司ブロックの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を整形する第二整形部(102)とからなる。
【0052】
図7は整形機構(10)のベルトコンベア直角方向の断面図であり、(a)は第一整形部の断面図、(b)は第二整形部の断面図である。
第一整形部(101)は、ベルトコンベア(5)の幅方向両端側を、該ベルトコンベア上の寿司ブロックの幅よりも広い幅となるように傾斜して立ち上げた状態で保持する保持部材(101a)と、この保持されたベルトコンベア(5)上の寿司ブロックをシート状海苔の上部から押圧することにより、該寿司ブロックの上面にシート状海苔を密着させる回転可能な押圧ローラ(101b)とを備えている。
【0053】
保持部材(101a)は、ベルトコンベア(5)の幅方向両端側に、且つ押圧ローラ(101b)の回転軸の位置の上流側位置及び下流側位置にそれぞれ、合計4つ(2対)設けられている。
保持部材(101a)は、装置上面に設けられたベース板(12)に沿って固定される水平部と、この水平部から直角上向きに立ち上がった垂直部と、この垂直部の上端部から水平部と反対側に延びて直角下向きに折曲した折曲部(101c)とからなる。
折曲部(101c)には、ベルトコンベア(5)の幅方向両端側が挟持され、ベルトコンベア(5)の幅方向両端側は、該ベルトコンベア上の寿司ブロックの幅よりも広い幅となるように傾斜して立ち上げられた状態で保持される(図7(a)参照)。
【0054】
これにより、保持部材(101a)によってベルトコンベア(5)の幅方向両端側が、該ベルトコンベア上の寿司ブロックの幅よりも広い幅となるように立ち上げられた状態で、シート状海苔が寿司ブロック上面に供給されることとなる。
そのため、シート状海苔がベルトコンベアに付着することを防ぎながら寿司ブロックを整形することができる。
【0055】
第二整形部(102)は、ベルトコンベア(5)の幅方向両端部を挟持することにより、寿司ブロックの幅方向両端部を整形する左右一対の回転可能な挟持ローラ(102a)と、この挟持された状態の寿司ブロックを上方から押圧することにより、該寿司ブロックの上部を整形する回転可能な押圧ローラ(102b)を備えている。
【0056】
左右一対の挟持ローラ(102a)の間隔は、成形部(8)に配設された左右一対の挟持ローラ(81a)(82a)(83a)の間隔に比べて広くなっている。
また、押圧ローラ(102b)の高さ(ベルトコンベア上面から押圧ローラ下面までの距離)は、成形部(8)に配設された押圧ローラ(81b)(82b)(83b)の高さに比べて低くなっている。
これにより、成形部(8)で寿司ブロックを成形する際には幅方向の押圧が主となり、整形部(10)では高さ方向の押圧が主となる。そのため、幅方向と高さ方向とを段階的に押圧成形することができ、寿司ブロックに対して過度の押圧力を作用させることなく、綺麗な断面四角形状に整形することができる。
【0057】
押圧ローラ(101b)(102b)は、その幅方向において外径が一定とされており、その高さ位置を変更することができるようになっている。
【0058】
整形機構(10)のベルトコンベア下流側には、整形後の長尺の寿司ブロック(B)を一定長さ毎に切断して最終製品となる寿司サンド(D)を形成する切断機構(11)が備えられている(図8参照)。
整形部(10)により整形された長尺の寿司ブロックは、ベルトコンベアに載って切断機構(11)へと搬送される。
【0059】
切断機構(11)は、カバー(11a)の内部に、図9に示すような略S字状の切断刃(11b)を備えている。
この切断刃(11b)が矢印で示す如く一定速度で回転することによって、長尺の寿司ブロック(B)が一定長さ毎に切断され、最終製品となる寿司サンド(D)が得られる(図8参照)。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、コンビニエンスストア等で販売されている寿司サンドを量産するための装置として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る寿司サンド製造装置の全体を示す外観図である。
【図2】寿司米供給機構の実施形態の一例を示す概略側面図である。
【図3】成形機構から整形機構までの部分を示す外観図である。
【図4】成形機構から整形機構までの部分を示す平面図である。
【図5】成形機構の一部分(上流側)を示す外観図である。
【図6】成形機構のベルトコンベア直角方向の断面図であり、(a)は第一成形部の断面図、(b)は第二成形部の断面図、(c)は第三成形部の断面図である。
【図7】整形機構のベルトコンベア直角方向の断面図であり、(a)は第一整形部の断面図、(b)は第二整形部の断面図である。
【図8】整形機構から切断機構に至る部分を示す外観図である。
【図9】切断機構の切断刃の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
5 ベルトコンベア
51 折り返し部分
8 成形機構
81 第一成形部
81a 挟持ローラ
81b 押圧ローラ
81c 保持部材
82 第二成形部
82a 挟持ローラ
82b 押圧ローラ
82c 保持部材
83 第三成形部
83a 挟持ローラ
83b 押圧ローラ
9 シート状海苔供給機構
10 整形機構
101 第一整形部
101a 保持部材
101b 押圧ローラ
102 第二整形部
102a 挟持ローラ
102b 押圧ローラ
11 切断機構
B 寿司ブロック
D 寿司サンド
M シート状寿司飯
G 中具
N シート状海苔
S 寿司シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対のシート状海苔の間に寿司飯と中具を挟んだ構造の寿司サンドを製造するための寿司サンド製造装置であって、
シート状海苔の上部にシート状寿司飯と中具を載置した状態の長尺の寿司シートを上面に載せて搬送するベルトコンベアと、
前記長尺の寿司シートを該寿司シートよりも厚い断面四角形状の長尺の寿司ブロックに成形する成形機構と、
前記寿司ブロックの上面にシート状海苔を供給するシート状海苔供給機構と、
前記上面にシート状海苔が供給された寿司ブロックを整形する整形機構と、
前記整形後の寿司ブロックを一定長さ毎に切断する切断機構とを備えており、
前記各機構が、前記ベルトコンベアの上流側から下流側にかけて上記順番に配設されていることを特徴とする寿司サンド製造装置。
【請求項2】
前記成形機構は、
前記寿司シートの幅方向両端部及び幅方向一端側の上部を成形する第一成形部と、
前記寿司シートの幅方向両端部及び幅方向他端側の上部を成形する第二成形部と、
前記寿司シートの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を成形する第三成形部とからなり、
前記第一乃至第三成形部が、前記ベルトコンベアの上流側から下流側にかけて上記順番に配設されていることを特徴とする請求項1記載の寿司サンド製造装置。
【請求項3】
前記第一乃至第三成形部は、
前記ベルトコンベアの幅方向両端部を略垂直に立ち上げた状態で挟持することにより、前記寿司シートの幅方向両端部を成形する左右一対の回転可能な挟持ローラと、
前記挟持された状態の寿司シートを上方から押圧することにより、該寿司シートの上部を成形する回転可能な押圧ローラを備えている
ことを特徴とする請求項2記載の寿司サンド製造装置。
【請求項4】
前記第一成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向一端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分を介して前記寿司シートを押圧し、
前記第二成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向他端側の上部を幅方向中央に向けて折り返し、該折り返し部分を介して前記寿司シートを押圧する
ことを特徴とする請求項3記載の寿司サンド製造装置。
【請求項5】
前記第一成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向中央から幅方向一端側に向けて外径が大きくなるように形成されており、
前記第二成形部の押圧ローラは、前記ベルトコンベアの幅方向中央から幅方向他端側に向けて外径が大きくなるように形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の寿司サンド製造装置。
【請求項6】
前記第一成形部は、前記ベルトコンベアの幅方向他端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材を有し、
前記第二成形部は、前記ベルトコンベアの幅方向一端側を略垂直に立ち上げた状態で保持する保持部材を有する
ことを特徴とする請求項4又は5記載の寿司サンド製造装置。
【請求項7】
前記整形機構は、
前記寿司ブロックの上面にシート状海苔を密着させる第一整形部と、
前記第一整形部を通過した寿司ブロックの幅方向両端部及び幅方向全体の上部を整形する第二整形部とからなることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の寿司サンド製造装置。
【請求項8】
前記第一整形部は、
前記ベルトコンベアの幅方向両端側を、該ベルトコンベア上の寿司ブロックの幅よりも広い幅となるように傾斜して立ち上げた状態で保持する保持部材と、
前記保持されたベルトコンベア上の寿司ブロックをシート状海苔の上部から押圧することにより、該寿司ブロックの上面にシート状海苔を密着させる回転可能な押圧ローラを備えている
ことを特徴とする請求項7記載の寿司サンド製造装置。
【請求項9】
前記第二整形部は、
前記ベルトコンベアの幅方向両端部を挟持することにより、前記寿司ブロックの幅方向両端部を整形する左右一対の回転可能な挟持ローラと、
前記挟持された状態の寿司ブロックを上方から押圧することにより、該寿司ブロックの上部を整形する回転可能な押圧ローラを備えている
ことを特徴とする請求項7又は8記載の寿司サンド製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−136678(P2010−136678A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316413(P2008−316413)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(390020905)株式会社島津機械製作所 (8)
【出願人】(508367267)株式会社デリカナカムラ (1)
【出願人】(503390732)株式会社東和システムサービス (3)
【Fターム(参考)】