説明

寿司用容器

【課題】ネタ先端部の挟み込みを無くすことができて、寿司ネタについてのボリューム感を増大させることのできる寿司用容器を提供すること。
【解決手段】容器本体10の底面部の外周にネタ台13を一体的に形成して、このネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部の接触部23aの内側でネタ台13上に、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司を収納する包装用容器に関し、特に、寿司ネタを潰すことなく大きな状態のまま収納することのできる寿司用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
持ち帰り用の寿司、あるいはスーパー等の店舗で陳列しながら販売される寿司は、容器に包装されることが多い。このような寿司用の包装用容器を、以下では寿司用容器というが、このような寿司用容器は、特許文献1や特許文献2等において、種々提案されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−163060号公報、第1図、第2図
【特許文献2】特開2001−171770号公報、要約、代表図、図13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の「食品容器」は、従来の容器が「高級感や立体感が感じられなかった。寿司職人と同じように体裁良く盛りつけることができなかった。押さえ付けるような状態で入れるため形くづれで味が変わることがあった。」などの問題を解決するために、図14に示すように、「表面に濃い配色若しくは木目模様が施された上面に寿司2等の食品を載せる載置皿13が凹設され裏面に台形状の凹部17が形成された台形状の受台1と、比較的高さのある段付台形状の透明若しくは半透明の蓋体3とを設け、受台1の載置皿13に寿司2等の食品を載せて蓋体3を嵌合するようにした」ものである。
【0005】
しかしながら、この特許文献1の「食品容器」では、図14の(b)で示されているように、寿司の寿司ネタがシャリを包み込むようにしか収納することができず、一般的にシャリよりも大きな寿司ネタを広げて収納することができないものとなっていると考えられる。
【0006】
また、特許文献2には、「新規な寿司の容器を提供すること」を目的とした「寿司の容器」が示されていて、この「寿司の容器」は、図15及び図16に示すように、「蓋部1と、寿司を置くための置き台部2からなり、置き台部2に40℃のお湯を蓋部1を閉めた状態で30分間放置した後に5℃に放置したとき蓋部1が曇らない防曇性に優れる寿司の容器、置き台部2の周囲に縁部がないか、あるいは高さが5mm以下の縁部3を有する寿司の容器、置き台部2が帯状突起4を有する寿司の容器、縁部3の内縁5が収納した寿司6の形状に沿う形状を有する寿司の容器」である。
【0007】
しかしながら、この特許文献2の「寿司の容器」では、図15に示すように、各寿司が「縁部3」内に収まるようになされるものであり、この「縁部3」からはみ出したネタは、「蓋部1」を嵌合したとき潰されてしなうものになっていると考えられる。また、「縁部3」からはみ出さないように寿司を収納すれば、寿司ネタを大きく広げることもできないし、こぢんまりと収まった状態になる。
【0008】
つまり、これら従来の寿司用容器は、図17に示すように、寿司を収納した容器本体に寿司を収納して蓋体を嵌合したとき、大きく見せたい筈の寿司ネタのネタ先端部が、容器本体のフランジ部と蓋体との間に挟まって潰れてしまうことがある。そうなると、これを蓋体の外から見た場合、新鮮で形良いものであるべき筈の寿司ネタが美味しそうには見えず、場合によっては、この潰れたネタ先端先端部の味の低下を来すこともある。
【0009】
以上の結果を纏めてみると、この種の寿司用容器100について、近年要望されてきていることは、次の通りとなっている。
(1)特に、寿司ネタについて、寿司のシャリから大きく突出した状態でしかも容器内にあっても溢れた感じにでき、ボリューム感溢れた収納を可能にすること
(2)寿司ネタのネタ先端部が容器本体に対する蓋体の嵌合によって潰されないようにすること
(3)上記のようにしてもがっちりと「段積み」ができること
(4)できれば、フランジ部自体の模様が映えるようにすること
【0010】
そこで、本発明者等は、この種の寿司用容器について、ネタ先端部の挟み込みがなく、寿司ネタについてのボリューム感を増大させるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0011】
すなわち、本発明の目的とするところは、ネタ先端部の挟み込みを無くすことができて、寿司ネタについてのボリューム感を増大させることのできる寿司用容器を、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周にネタ台13を一体的に形成して、このネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上に、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1を形成したことを特徴とする寿司用容器100」
である。
【0013】
この請求項1に係る寿司用容器100は、容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにしたものであるが、図1にも示すように、容器本体10内に寿司30が収納されるものである。そして、この容器本体10の底面部11の外周には、図2に示すように、ネタ台13が一体的に形成されるのである。
【0014】
この寿司用容器100を構成する容器本体10のネタ台13は、寿司30を構成しているシャリ31上の寿司ネタ32の先端部、つまりネタ先端部32aを十分伸ばして載置し得ることになる部分であり、例えば図10にも示すように、容器本体10を構成している底面部11の外周に十分な広さを以て展開されるものである。このネタ台13は、外側上方に向けた傾斜面(平面でも曲面でもよい)としてもよいが、後述する請求項2に係るネタ台13のように、下方に傾斜する傾斜面としてもよい。
【0015】
そして、このネタ台13の外周には、図2及び図10に示すように、係合フランジ部15が形成してある。この係合フランジ部15の先端には、次に述べる蓋体20の嵌合フランジ部23に形成してある係止部23bが係止されるものである。そこで、蓋体20の嵌合フランジ部23を容器本体10側に外嵌合したとき、この嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上には、図2に示すように、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1が形成されるのである。
【0016】
一方、この容器本体10に外嵌合される蓋体20は、図1中の仮想線、図12及び図13に示すように、側壁部22によって天板部21を持ち上げた状態に形成したものであり、この側壁部22の下端開口部分には嵌合フランジ部23が形成されるものである。この嵌合フランジ部23には、図13にも示すように、接触部23aと係止部23bとが形成してあるが、接触部23aは、図2に示すように、ネタ台13の先端部分あるいは係合フランジ部15上に接触することになり、係止部23bは、図2及び図9の(a)に示すように、上述した容器本体10側の係合フランジ部15の先端に係止されることになるものである。
【0017】
なお、寿司30は、図1及び図2に示すように、シャリ31の上に寿司ネタ32を載置したものであり、「タマゴ」や「トロ」等の大きな寿司ネタ32については、そのネタ先端部32aを大きく展開した状態にすると、その豪華さを増大させ、食欲をそそるものである。寿司職人が握る寿司は、そのネタが非常に大きく展開する状態で皿等に盛られ、豪華で食欲をそそるものとなっているのは良く知られている。
【0018】
さて、上記のように構成した容器本体10に、図1に示すように、複数の寿司30を載置及び収納するのであるが、このときに、タマゴ、トロ、エビ、あるいはアナゴのような大きな寿司ネタ32については、そのネタ先端部32aをネタ台13に展開されるようにするのである。
【0019】
次に、図1中の仮想線及び図2に示すように、容器本体10側の係合フランジ部15の先端に蓋体20側の係止部23bが係合できるようにしながら容器本体10に蓋体20を嵌合するのであるが、嵌合し終われば、図2に示すような状態になる。つまり、嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上には、図2に示すように、寿司30のネタ先端部32aが収納できる第1ネタ空間R1が形成してあるから、ネタ先端部32aは蓋体20の接触部23aによって潰されることはない。換言すれば、寿司30は、その寿司ネタ32のネタ先端部32aがネタ台13上に展開されて美味しそうな見栄えを維持したまま、そのネタ先端部32aが潰されることはないのである。
【0020】
従って、この請求項1に係る寿司用容器100は、ネタ先端部32aの挟み込みを無くすことができて、寿司ネタ32についてのボリューム感を増大させることのできるものとなっているのである。
【0021】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の寿司用容器100について、
「ネタ台13を外側下方に傾斜させるとともに、蓋体20には外側下方へ傾斜する側壁22を形成したこと」
である。
【0022】
すなわち、この請求項2に係る寿司用容器100では、まず、その容器本体10に形成してあるネタ台13を、図2に示すように、外側下方に傾斜させたものである。このため、ネタ先端部32aは、シャリ31上の寿司ネタ32から自然な状態でネタ台13上に展開されることになり、その豪華さや美味しそうな見栄えを確実に維持し得るものとなっているのである。
【0023】
また、この請求項2に係る寿司用容器100では、その蓋体20に外側下方へ傾斜する側壁22を形成したものであり、この側壁22によってさらにネタ台13が傾斜することになって、ネタ台13と接触部23aとの距離を大きくすることができる。
【0024】
従って、この請求項2に係る寿司用容器100は、請求項1に係るそれと同様な機能を有する他、寿司ネタ32のネタ先端部32aを、シャリ31上の寿司ネタ32からより自然な状態でネタ台13上に展開し得るものとなっているのである。
【0025】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、実施形態において使用する符号を付して説明すると、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周に側壁部12を形成するとともに、この側壁部12の上端にネタ台13を一体的に形成して、
このネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上に、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1を形成したことを特徴とする寿司用容器100」
である。
【0026】
すなわち、この請求項3の寿司用容器100は、図3に示すように、容器本体10の底面部11の外周に側壁部12を形成するとともに、この側壁部12の上端にネタ台13を一体的に形成したものであり、その他は、上記請求項1に係るそれと同様であるので、以下では、容器本体10の底面部11の外周に側壁部12を形成した点を中心に説明することとする。なお、この請求項3に係る寿司用容器100を示す図3中に、上記請求項1の説明で使用した部材で共通して使用している部材がある場合には、図2中で使用したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0027】
側面部12は、容器本体10を構成している底面部11の外周から直接的に立ち上がるものであり、底面部11と同一の材料から形成した一枚板状のものである。そして、この側面部12の上端からネタ台13が直接的に延在しているのであり、このネタ台13の外側には係合フランジ部15が形成される。勿論、これらのネタ台13、側面部12、係合フランジ部15、及び係合フランジ部15は、例えば当該容器本体10を「シート成形」した場合には、同じシートをそのまま材料として形成されることになるものである。
【0028】
そして、この請求項3に係る寿司用容器100では、ネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上に、図3に示すように、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1が形成される。
【0029】
さて、上記のように構成した容器本体10に、図1に示すように、複数の寿司30を載置及び収納するのであるが、このときに、タマゴ、トロ、エビ、あるいはアナゴのような大きな寿司ネタ32については、そのネタ先端部32aをネタ台13に展開されるようにするのである。
【0030】
次に、図1中の仮想線及び図3に示すように、容器本体10側の係合フランジ部15の先端に蓋体20側の係止部23bが係合できるようにしながら容器本体10に蓋体20を嵌合するのであるが、嵌合し終われば、図2に示すような状態になる。つまり、嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上には、図3に示すように、寿司30のネタ先端部32aが収納できる第1ネタ空間R1が形成してあるから、ネタ先端部32aは蓋体20の接触部23aによって潰されることはない。換言すれば、寿司30は、その寿司ネタ32のネタ先端部32aがネタ台13上に展開されて美味しそうな見栄えを維持したまま、そのネタ先端部32aが潰されることはないのである。
【0031】
特に、側面部12を形成したことから、この側面部12が寿司30のシャリ31部分を収納するための境界線となるから、この側面部12の内側にシャリ31を当接させながら寿司30を収納することによって、寿司30の当該容器本体10内での移動を防止しながら、ネタ先端部32aから接触部23aまでの距離を長くすることができる。このため、ネタ先端部32aが接触部23aによって潰されることはない。
【0032】
従って、この請求項3に係る寿司用容器100は、ネタ先端部32aの挟み込みを無くすことができて、寿司ネタ32についてのボリューム感を増大させることのできるものとなっているのである。
【0033】
また、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項3に記載の寿司用容器100について、
「ネタ台13を外側下方に傾斜させるとともに、蓋体20には外側下方へ傾斜する側壁22を形成したこと」
である。
【0034】
すなわち、この請求項4に係る寿司用容器100では、まず、その容器本体10に形成してあるネタ台13を、図4〜図6に示すように、外側下方に傾斜させたものである。このため、ネタ先端部32aは、シャリ31上の寿司ネタ32から自然な状態でネタ台13上に展開されることになり、その豪華さや美味しそうな見栄えを確実に維持し得るものとなっているのである。図5に示す例では、ネタ台13を側面部12の上端から比較的緩やかな傾斜または曲面で形成したものであり、図6に示す例では、ネタ台13を側面部12の上端から比較的急な傾斜または曲面で形成したものであるが、急にした方が第1ネタ空間R1を大きなものにすることができるメリットがある。
【0035】
また、この請求項4に係る寿司用容器100では、その蓋体20に外側下方へ傾斜する側壁22を形成したものであり、この側壁22によってさらにネタ台13が傾斜することになって、ネタ台13と接触部23aとの距離を大きくすることができる。
【0036】
従って、この請求項4に係る寿司用容器100は、請求項3に係るそれと同様な機能を有する他、寿司ネタ32のネタ先端部32aを、シャリ31上の寿司ネタ32からより自然な状態でネタ台13上に展開し得るものとなっているのである。
【0037】
上記課題を解決するために、請求項5に係る発明の採った手段は、後述する実施形態中で使用する符号を付して説明すると、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周に膨出部14を形成するとともに、この膨出部14の外側にネタ台13を一体的に形成して、
このネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したとき、膨出部14の外側にあるネタ台13上に、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1を形成したことを特徴とする寿司用容器100」
である。
【0038】
すなわち、この請求項5の寿司用容器100は、図7に示すように、容器本体10の底面部11の外周に膨出部14を形成するとともに、この膨出部14の外側にネタ台13を一体的に形成したものであり、その他は、上記請求項1及び請求項3に係るそれと同様であるので、以下では、容器本体10の底面部11の外周に膨出部14を形成した点を中心に説明することとする。なお、この請求項5に係る寿司用容器100を示す図7中に、上記請求項1や請求項3の説明で使用した部材で共通して使用している部材がある場合には、これと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
膨出部14は、図7、図10、及び図11に示すように、例えばシート材料の該当部分を上方に向けて膨出させたものであり、ネタ台13を膨出部14の外側部分の下端から連続させるようにしたものである。換言すれば、この膨出部14の内側部分は底面部11から上方に立ち上がる部分であるから上述した側面部12に該当するものであるが、膨出部14の外側部分は、この側面部12の上端から下方に垂れ下がる部分となるから、この垂れ下がり部分の下端にネタ台13を連続させれば、ネタ台13は容器本体10の底面部11と同様な位置から出発するものとなる。
【0040】
そして、上記の膨出部14の外側にあるネタ台13上には、図7にも示すように、寿司30のネタ先端部32aが収納される第1ネタ空間R1が形成されることになる。この結果、膨出部14の外側に形成される第1ネタ空間R1は、ネタ台13が膨出部14の下端部から出発することになっているから、例えば図5に示す第1ネタ空間R1と比較すれば、より大きなものとし得るのである。
【0041】
従って、この請求項5に係る寿司用容器100は、ネタ先端部32aの挟み込みを無くすことができて、寿司ネタ32についてのボリューム感を増大させることのできるものとなっているのである。
【0042】
また、上記課題を解決するために、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項5に記載の寿司用容器100について、
「ネタ台13を外側下方に傾斜させるとともに、蓋体20には外側下方へ傾斜する側壁22を形成したこと」
である。
【0043】
すなわち、この請求項6に係る寿司用容器100では、まず、その容器本体10に形成してあるネタ台13を、図7に示すように、外側下方に傾斜させたものである。このため、ネタ先端部32aは、シャリ31上の寿司ネタ32から自然な状態でネタ台13上に展開されることになり、その豪華さや美味しそうな見栄えを確実に維持し得るものとなっているのである。
【0044】
また、この請求項6に係る寿司用容器100では、その蓋体20に外側下方へ傾斜する側壁22を形成したものであり、この側壁22によってさらにネタ台13が傾斜することになって、ネタ台13と接触部23aとの距離を大きくすることができる。
【0045】
従って、この請求項6に係る寿司用容器100は、請求項5に係るそれと同様な機能を有する他、寿司ネタ32のネタ先端部32aを、シャリ31上の寿司ネタ32からより自然な状態でネタ台13上に展開し得るものとなっているのである。
【0046】
そして、上記課題を解決するために、請求項7に係る発明の採った手段は、後述する実施形態中で使用する符号を付して説明すると、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周に位置する係合フランジ部15に膨出脚部16を形成して、
容器本体10の係合フランジ部15に蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したときに、膨出脚部16内を、寿司30のネタ先端部32aを収納する第2ネタ空間R2としたことを特徴とする寿司用容器100」
である。
【0047】
すなわち、この請求項7に係る寿司用容器100は、図8に示すように、容器本体10の底面部11の外周に位置する係合フランジ部15に膨出脚部16を形成したことが、上記請求項1〜請求項6のそれと異なるものであり、この異なる部分を中心に説明する。その他の構成は、上記請求項1〜請求項6に係るそれと同様な部分を含んでいるものであるので、上記請求項1〜6の説明で使用した部材で共通して使用している部材がある場合には、図8に同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
この請求項7での係合フランジ部15は、容器本体10の底面部11の外周に位置するものであるが、この係合フランジ部15が底面部11から直接的に位置する場合は勿論、底面部11の外周に形成される側面部12または膨出部14に連続して形成される場合をも含むものである。
【0049】
膨出脚部16は、例えばシート樹脂の係合フランジ部15に該当する部分を、部分的かつ下方に膨出させて形成できるものであり、その外側下面は、棚や机上に直接接触する部分となり、容器本体10の底面部11の下面がこれらの棚や机上から少し放された状態で当該寿司用容器100を支えることになるものである。
【0050】
さて、この請求項7の寿司用容器100においても、容器本体10の係合フランジ部15に蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したときに、膨出脚部16内には、寿司30のネタ先端部32aを収納する第2ネタ空間R2が形成されることになる。
【0051】
さて、上記のように構成した容器本体10に、例えば図1に示すように、複数の寿司30を載置及び収納するのであるが、このときに、タマゴ、トロ、エビ、あるいはアナゴのような大きな寿司ネタ32については、そのネタ先端部32aを第2ネタ空間R2内に展開されるようにするのである。
【0052】
次に、容器本体10側の係合フランジ部15の先端に蓋体20側の係止部23bが係合できるようにしながら容器本体10に蓋体20を嵌合するのであるが、嵌合し終われば、図8及び図9の(a)に示すような状態になる。つまり、膨出脚部16内は、図9にも示すように、寿司30のネタ先端部32aを収納する第2ネタ空間R2となるのであるから、ネタ先端部32aは蓋体20の接触部23aによって潰されることはない。換言すれば、寿司30は、その寿司ネタ32のネタ先端部32aがネタ台13上に展開されて美味しそうな見栄えを維持したまま、そのネタ先端部32aが潰されることはないのである。
【0053】
従って、この請求項7に係る寿司用容器100は、第2ネタ空間R2の存在によってネタ先端部32aの挟み込みを無くすことができて、寿司ネタ32についてのボリューム感を増大させることのできるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0054】
以上、説明した通り、本発明においては、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周にネタ台13を一体的に形成して、このネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上に、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1を形成したこと」
あるいは、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周に側壁部12を形成するとともに、この側壁部12の上端にネタ台13を一体的に形成して、
このネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部23の接触部23aの内側でネタ台13上に、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1を形成したこと」
または、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周に膨出部14を形成するとともに、この膨出部14の外側にネタ台13を一体的に形成して、
このネタ台13の外側に形成した係合フランジ部15に、蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したとき、膨出部14の外側にあるネタ台13上に、寿司30のネタ先端部32aを収納する第1ネタ空間R1を形成したこと」
さらには、
「寿司30が収納される容器本体10に蓋体20を外嵌合するようにした寿司用容器100であって、
容器本体10の底面部11の外周に位置する係合フランジ部15に膨出脚部16を形成して、
容器本体10の係合フランジ部15に蓋体20の嵌合フランジ部23を外嵌合したときに、膨出脚部16内を、寿司30のネタ先端部32aを収納する第2ネタ空間R2としたこと」
に構成上の特徴があり、これにより、ネタ先端部32aの挟み込みを無くすことができて、寿司ネタ32についてのボリューム感を増大させることのできる寿司用容器100を、簡単な構成によって提供することができるのである。
【0055】
換言すれば、本発明に係る寿司用容器100は、
(1)特に、寿司ネタ32について、寿司30のシャリ31から大きく突出した状態でしかも容器内にあっても溢れた感じにでき、ボリューム感溢れた収納を可能にすることができる
(2)寿司ネタ32のネタ先端部32aが容器本体に対する蓋体の嵌合によって潰されないようにすることができる
(3)がっちりと「段積み」ができる
(4)係合フランジ部15自体の模様が映えるようにすることができる
ものとすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る寿司用容器100の斜視図である。
【図2】請求項1に係るクレーム対応図であって、図1に示した寿司用容器100の容器本体10に蓋体20を嵌合したときの部分断面図である。
【図3】請求項3に係るクレーム対応図であって、図1に示した寿司用容器100の容器本体10に蓋体20を嵌合したときの部分断面図である。
【図4】請求項4に係るクレーム対応図であって、図1に示した寿司用容器100の容器本体10に蓋体20を嵌合したときの部分断面図である。
【図5】請求項4に係る別のクレーム対応図であって、図1に示した寿司用容器100の容器本体10に蓋体20を嵌合したときの部分断面図である。
【図6】請求項4に係るさらに別のクレーム対応図であって、図1に示した寿司用容器100の容器本体10に蓋体20を嵌合したときの部分断面図である。
【図7】請求項5または請求項6に係るクレーム対応図であって、図1に示した寿司用容器100の容器本体10に蓋体20を嵌合したときの部分断面図である。
【図8】本発明に係る寿司用容器100の実施形態を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】図8に示した寿司用容器100を部分的に拡大して示すもので、(a)は部分正面図、(b)はネタ台13の部分拡大断面図である。
【図10】同寿司用容器100を構成している容器本体10の平面図である。
【図11】同容器本体10の断面を示すもので、(a)は図10中の2−2線に沿ってみた断面図、(b)は図10中の3−3線に沿ってみた断面図である。
【図12】同寿司用容器100を構成している蓋体20の平面図である。
【図13】同蓋体20の断面を示すもので、(a)は図12中の4−4線に沿ってみた断面図、(b)は図12中の5−5線に沿ってみた断面図である。
【図14】特許文献の技術を示すもので、(a)は正面図、(b)は拡大縦断面図である。
【図15】特許文献2に示された技術を示す斜視図である。
【図16】特許文献2に示された技術を示す平面図である。
【図17】一般的な包装用容器によってネタ先端部が潰されている様子を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図8〜図13に示した実施形態に係る寿司用容器100を中心に説明するが、この実施形態に係る寿司用容器100は、上記各請求項に係る発明の全てを含むものである。
【0058】
さて、図8には、本実施例に係る寿司用容器100の正面図(a)及び側面図(b)が示してあるが、この寿司用容器100は、寿司30が収納される容器本体10と、この容器本体10に外嵌合される蓋体20とを有するものである。また、この寿司用容器100のサイズは、横が145mm〜320mm、縦が90mm〜310mmで、高さは20mm〜30mmとされるもので、中でも最適なのは、横が180mm〜300mm、縦が99mm〜186mmで、高さは20mmである。
【0059】
容器本体10には、図1にも示すように、多数の寿司30が斜めに収納されるものであり、この斜め収納をし易くするためのガイドライン(略ヘ字状の突起リブ)が、図10に示したように形成してある。なお、斜め収納は、右効きの人が持った箸で各寿司30を摘み易くするための方法である。
【0060】
本実施形態に係る容器本体10は、例えば、厚さ0.4mm〜0.8mmのPS、A−PET、PLA、PPF等のソリッドシート、あるいは厚さ1.0mm〜4.0mmのポリスチレンペーパーのような発泡シートを真空成形材料としてシート成形したものであり、図10に示したように、底面部11の周囲に膨出部14を形成したものである。この膨出部14は、図8の(a)にも示したように、底面部11から上方に膨出させて形成したものであり、内側で立ち上がる部分が側面部12を構成することになるものである。そして、この膨出部14の外側部分の下端部からは、上部に第1ネタ空間R1を形成することになるネタ台13が一体的に連続するものとして形成してあり、このネタ台13の先端部分が係合フランジ部15となっている。
【0061】
ネタ台13は、幅が10mm〜19mmであるのが好ましく、中でも13mm〜14mm程度のものが最も好ましいものである。
【0062】
また、この膨出部14の上端の一部は、図10にも示したように、側面部12の部分的な低下部12aとなるような加工が施してあり、この低下部12aの外側に位置するネタ台13には、図8の(a)にも示したように、下方に向けて膨出させた膨出脚部16が複数形成してある。この膨出脚部16内は、底面部11上の空間から側面部12の低下部12aを介して連続する第2ネタ空間R2となっているものであり、この第2ネタ空間R2内には、底面部11上に収納した寿司30を構成している寿司ネタ32のネタ先端部32aが、上記低下部12a上に乗りながら収納し得るものとなっている。
【0063】
勿論、各膨出脚部16は、当該寿司用容器100全体を、その底面部11の下面が棚や机上に直接接触しないように支持するものであり、図8に示すように、同一の高さに形成される他、底面部11が傾斜状態で棚上に置けるように高さが調整されることもある。
【0064】
さて、上述したネタ台13であるが、本実施形態に係るものでは、図9に示したように、外側に向かって下方に傾斜する平面形状にしたものであるが、このネタ台13に寿司30のネタ先端部32aを載置することを考えると、水平平面であってもよいし、平面でなく曲面であってもよい。曲面にする場合は、上方に凸となるようにすれば、寿司ネタ32のボリューム感をさらに増大させることが可能である。
【0065】
また、この実施形態に係るネタ台13は、膨出部14に連続するものとしてあるが、底面部11の外周に直接形成しても、底面部11の外周に形成した側面部12に連続させても、さらには、底面部11に連続した係合フランジ部15に形成した膨出脚部16以外の部分に形成するように実施してもよい。
【0066】
さらに、このネタ台13上に種々な装飾あるいは印刷を施して実施するとよい。このネタ台13上の全てにネタ先端部32aが乗ることは少ないから、これらの装飾あるいは印刷が寿司30に相応しいものであると、ネタ台13のネタ先端部32aが乗っていない部分の装飾を行うことができて、当該寿司用容器100の豪華さをより一層演出することができる。
【0067】
以上のようにしたネタ台13上は、非常に広い面積が存在することにもなるし、底面部11上は膨出部14によって区切られているから、当該容器本体10上に寿司30を詰める人は、各寿司30のシャリ31をこの膨出部14内に収納するとともに、はみ出しそうな寿司ネタ32があれば、そのネタ先端部32aをネタ台13上に載せるか、あるいは膨出脚部16内(第2ネタ空間R2内)に展開させればよい。つまり、当該容器本体10上には、シャリ31の収納箇所と、ネタ先端部32aの載置箇所とが確保されているから、収納作業者は、寿司30の収納作業を簡単に行えることになるのである。
【0068】
また、本実施形態の容器本体10には、上述した膨出部14、これに形成した低下部12a、そして複数の膨出脚部16が形成してあるから、これらによって複雑形状を有するものとなっており、その結果、一見する平らな容器本体10ではあるが、その剛性は相当高いものとなっているのである。この容器本体10が剛性の高いものとなっていれば、この容器本体10を使用した寿司用容器100の多数を段積みした場合でも、下側の寿司用容器100が潰れることはないことになる。
【0069】
この容器本体10の係合フランジ部15は、容器本体10の底面部11の外周に位置するものであり、この係合フランジ部15は底面部11の外周に形成される側面部12または膨出部14に連続して形成されるものである。そして、この係合フランジ部15には、膨出脚部16が形成してある。
【0070】
膨出脚部16は、例えばシート樹脂の係合フランジ部15に該当する部分を、部分的かつ下方に膨出させて形成したものであり、その外側下面は、棚や机上に直接接触する部分となり、容器本体10の棚やテーブルへの安定的載置を可能にする他、底面部11の下面が冷蔵展示棚上から少し放された状態としながら当該寿司用容器100を支えることになるものである。
【0071】
この容器本体10に対して嵌合される蓋体20は、Aペットからなる合成樹脂シートを真空成形、つまりシート成形して形成されるものであり、図1中の仮想線、図12及び図13に示したように、側壁部22によって天板部21を持ち上げた状態に形成したものであり、この側壁部22の下端開口部分には嵌合フランジ部23が形成されるものである。
【0072】
この嵌合フランジ部23には、図13にも示したように、接触部23aと係止部23bとが形成してあるが、接触部23aは、図2に示したように、ネタ台13の先端部分あるいは係合フランジ部15上に接触することになるものである。また、係止部23bは、図2及び図9の(a)に示したように、上述した容器本体10側の係合フランジ部15の先端に係止されることになるものである。
【符号の説明】
【0073】
100 寿司用容器
10 容器本体
11 底面部
12 側面部
12a 低下部
13 ネタ台
14 膨出部
15 係合フランジ部
16 膨出脚部
20 蓋体
21 天板部
22 側壁部
23 嵌合フランジ部
23a 接触部
23b 係止部
30 寿司
31 シャリ
32 寿司ネタ
32a ネタ先端部
R1 第1ネタ空間
R2 第2ネタ空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寿司が収納される容器本体に蓋体を外嵌合するようにした寿司用容器であって、
前記容器本体の底面部の外周にネタ台を一体的に形成して、このネタ台の外側に形成した係合フランジ部に、前記蓋体の嵌合フランジ部を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部の接触部の内側で前記ネタ台上に、前記寿司のネタ先端部を収納する第1ネタ空間を形成したことを特徴とする寿司用容器。
【請求項2】
前記ネタ台を外側下方に傾斜させるとともに、前記蓋体には外側下方へ傾斜する側壁を形成したことを特徴とする請求項1に記載の寿司用容器。
【請求項3】
寿司が収納される容器本体に蓋体を外嵌合するようにした寿司用容器であって、
前記容器本体の底面部の外周に側壁部を形成するとともに、この側壁部の上端にネタ台を一体的に形成して、
このネタ台の外側に形成した係合フランジ部に、前記蓋体の嵌合フランジ部を外嵌合したとき、この嵌合フランジ部の接触部の内側で前記ネタ台上に、前記寿司のネタ先端部を収納する第1ネタ空間を形成したことを特徴とする寿司用容器。
【請求項4】
前記ネタ台を外側下方に傾斜させるとともに、前記蓋体には外側下方へ傾斜する側壁を形成したことを特徴とする請求項3に記載の寿司用容器。
【請求項5】
寿司が収納される容器本体に蓋体を外嵌合するようにした寿司用容器であって、
前記容器本体の底面部の外周に膨出部を形成するとともに、この膨出部の外側にネタ台を一体的に形成して、
このネタ台の外側に形成した係合フランジ部に、前記蓋体の嵌合フランジ部を外嵌合したとき、前記膨出部の外側にあるネタ台上に、前記寿司のネタ先端部を収納する第1ネタ空間を形成したことを特徴とする寿司用容器。
【請求項6】
前記ネタ台を外側下方に傾斜させるとともに、前記蓋体には外側下方へ傾斜する側壁を形成したことを特徴とする請求項5に記載の寿司用容器。
【請求項7】
寿司が収納される容器本体に蓋体を外嵌合するようにした寿司用容器であって、
前記容器本体の底面部の外周に位置する係合フランジ部に膨出脚部を形成して、
前記容器本体の係合フランジ部に前記蓋体の嵌合フランジ部を外嵌合したときに、前記膨出脚部内を、前記寿司のネタ先端部を収納する第2ネタ空間としたことを特徴とする寿司用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−157113(P2011−157113A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20489(P2010−20489)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(396000422)リスパック株式会社 (53)
【Fターム(参考)】