説明

封入された薬剤を放出するための被包膜、その製造方法、およびその使用方法

本発明は水性溶媒に封入された薬剤を放出するための被包膜に関する。酸化性塩素−酸素化合物の水溶液は、中性水性溶媒中で不溶性である前記被包膜に封入されている。有利な実施形態においては、被包膜が特にコア/シェル原理によるカプセル構造となっている。前記コアは海綿状の湿潤構造を示し、酸化性塩素−酸素化合物の水溶液を中に含有する。一方、シェルは水に不溶性であって、前記塩素−酸素化合物を長期間に渡って特に水性溶媒中に放出する細孔を有する。この被包膜は、液体および基質表面、特に布、フィルター材料、膜、狭い間隙、接続部および/または充填成分の消毒および浄化、水、特に飲料水および水泳プール用水の消毒、およびフィルター材料の消毒に最も適しており、この独創的な被包膜はその薬剤を溶媒中に、または基質上に放出し、薬剤は特に連続的定量的な形態で長期間に渡って処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性溶媒中に封入された薬剤を放出するための被包膜、この被包膜を有利に開発するための製造方法、ならびに液体および基質表面を消毒および浄化するための、および水を消毒するためのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を消毒および浄化するための酸化性塩素−酸素化合物(特に飲料水および水泳プール用水を消毒するための酸化性塩素−酸素化合物)、ならびにまた、基質表面(特にフィルター材料、膜など)を消毒および浄化するための酸化性塩素−酸素化合物については数年前より公知である。また、塩素、特に化合物に結合している塩素も水処理で効果的に用いられている。したがって、水処理における消毒と藻類除去には塩素が用いられ、飲料水および工業用水が生成される。同様の目的で、次亜塩素酸ナトリウム中に結合されている塩素が用いられる。水処理で次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、DIN規格に従って調節する。飲料水の消毒では、これらのプロセスのみが確実に作用し、飲料水の質を低下させることなく、技術的期間内に合理的コストで実施できるものと考えられている。上述の塩素および次亜塩素酸ナトリウムの他に、ドイツ連邦共和国で実施されている飲料水処理に関する管理規則では、次の物質、次亜塩素酸カルシウム、晒粉、次亜塩素酸マグネシウム、二酸化塩素、アンモニアおよびアンモニウム塩、ならびにオゾンもまた認可されている。
【0003】
塩素は、飲料水で最も広く用いられている消毒剤である。現在の一般法である「間接塩素ガス法(indirect chlorine gas process)」では、最初に塩素溶液を調製し、次いで水に加える。塩素作用は、無機成分および有機成分に関する塩素の酸化作用(塩素要求量)と拮抗し、消毒作用は時間依存性である。
【0004】
それぞれの場合、二酸化塩素の使用は有利である。二酸化塩素は、直接的に添加場所でのみ生成させることができるが、このことは健康被害を与える亜塩素酸塩が水中に形成されるのを回避するために不可欠である。オゾンは実質的により強力な消毒作用を有するが、ここでも再び、有機成分の酸化が消毒と拮抗する。
【0005】
ここしばらく、塩素含有水処理剤の開発では、塩素の化学物質への結合に関する優れた利点とはこの場合どのようにしたら得られるかという課題に取り組んできた。このタイプの開発は、WO02/098791 A1に記載されている。すなわち、前記文献に記載されている開示によれば、水処理(特にスイミングプールにおける処理)における必要条件を最適に満たし、言いかえると、毒性面での制限を受けることなく施用可能であって、環境にやさしく、経済的に実施可能で、施用技術の見地から極めて適している、安定性のある塩素−酸素溶液が具体的に調製されている。実質的に亜塩素酸塩を含まない有利な安定性のあるこのタイプ水性塩素−酸素溶液は、次のようにして調製する。最初に硫酸水素塩化合物を水に溶解する。次いで、この硫酸水素塩含有の水溶液に、実質的に亜塩素酸塩を含まない安定性のある水性塩素−酸素溶液の形態で所望の最終生成物がpHを約3〜5で維持するような量で酸を加える。次いで、過酸化化合物を加える。次いで、過酸化化合物の濃度を基準にして亜塩素酸塩が約60〜90mol%となる量で水性亜塩素酸塩溶液を滴下添加する。
【0006】
しかし、上述のすべての塩素化剤には、結合型塩素または非結合型塩素のいずれにおいても、活性物質が極めて急速に消費され、特に定量法において所望する程度まで持続的に放出させることができないという基本的な問題がある。したがって、本発明の目的は、この問題への有利な対処法を提供することであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によれば、本目的は、酸化性塩素−酸素化合物の水溶液を封入し、被包膜が中性水性溶媒に不溶性であるような、水性溶媒中に封入された薬剤を放出するための被包膜によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
「被包膜」の特性は、出来る限り広い範囲の意味で理解するものとする。従って、被包膜はプラスチック材料フィルム、例えば、それぞれの薬剤を含有するプラスチック材料フィルムで作られたパウチであり得る。必要なのは封じ込めるということだけである。また、下記に示すように、カプセルまたはマイクロカプセルを「被包膜」と理解することもできる。決定的要因は、関係薬剤が水性溶媒中で被包またはカプセル化されているという点である。
【0009】
また、「膜」という用語は、被包材料との関連で重要である。膜は、それぞれの施用において、膜自体は気体および/または水に透過性であるということが明らかでなければならない。それぞれの場合、封入される薬剤は、特定条件で調節することで被封入水性溶媒中に気体形態で放出させることができる。この場合、それぞれの被包材料、特に熱可塑性プラスチック材料は、気体に透過性である。別の場合、薬剤は気体形態ではなく、それが存在している水性溶媒と一緒になって、水透過性膜を通過する(これは特に細孔隙によって起こる)。酸化性塩素−酸素化合物に関しては、平衡はこの点で、例えば前記酸化性塩素−酸素化合物と放出される二酸化塩素および酸素との間で調節され得る。その後、気体状分解生成物が生じ、それが該ガス透過性膜を通って溶媒中へ通過し、そこで効果的に処理される。このタイプの分解が起こらない場合は、酸化性塩素−酸素化合物自体が(好ましくはTCDOとして)溶媒中へ通過し、処理される。所望の透水率または孔隙率は、本明細書では専門的方法で調節する。またこのタイプの場合は「安定性のある酸化性塩素−酸素化合物」とも呼ばれ、本発明の実施において特別な実用上の意義がある。この場合、カプセルの所望の透水率または孔隙率は、専門的方法で調節する。いかなる場合においても、「被包膜」の特性は、任意の方法で得られる透過率をそれぞれの薬剤に対して提供させることは当業者には明白である。
【0010】
一般的に、被包材料は「水不溶性」である。しかし、この水不溶性は特に中性の水性溶媒に適用される。多孔性の被包材料に関しては、被包材料のそれぞれの細孔径または孔隙率を調節することにより定量的添加を特に調節することができる。特に、本発明による被包膜を用いる場合、封入された薬剤は、最も広い意味において連続的かつ定量的な方法で確実に放出される。前述の調節は、特にそれぞれの施用における最適孔隙率を調整することで行うことができる。
【0011】
本発明による被包膜または被包膜を形成する材料は、有利に多様に変更することができる。従って、それぞれの場合、被包膜に添加剤を加え、その特性を変更することは妥当である。この点に関して、添加剤はフィルムを硬化させるものであってもよく、例えば、特に塩類(特に、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩)を含ませることにより被包膜を形成するものであってよい。この点に関して、塩化カルシウムが好ましい。さらに、添加剤として、pH試薬、酸化還元感受性試薬および/または導電率感受性試薬、特にフェノールフタレインまたはメチルオレンジを添加することができる。例えば、被包膜の密度を低下させる場合、この点については、例えば、特に二酸化ケイ素、多孔質材料、特にベントナイトおよび/または活性炭などの添加剤を含有させるのが好適である。当業者にとっては、本発明による被包膜についての前述の一般的指示を用いて、所望の目的を達成するためのそれぞれの施用に適した材料(すなわち特にフィルム)を形成することは非常に簡単である。
【0012】
被包材料の生産に関する好ましい知見は、それぞれの被包膜がカチオン性および/またはアニオン性の水不溶性ポリマーベースであるということである。カチオン化および/またはアニオン化高分子電解質、特にカチオン化および/またはアニオン化多糖類が好ましい。カチオン性高分子電解質はプラスチック材料、例えば特にポリ(メタ)アクリル酸である。これらのうち、より好ましいカチオン化および/またはアニオン化多糖類は、キトサンもしくはキトサン誘導体、またはアルギン酸塩もしくはアルギン酸誘導体である。後により詳細に記載するように、被包膜がいわゆるコア/シェル構造である場合、これらは特別の役割を果たす。したがって、被包材料は、内部コア持つ外部シェルを有する。このような場合、安定性のある酸化性塩素−酸素化合物の水溶液は通常の水性溶媒中には存在しないで、特に湿潤スポンジ形態で存在するコア中に封入されている。
【0013】
本発明の範囲内の被包膜中へ封入され放出される薬剤は、水溶液中の被包膜内に封入されている酸化性塩素−酸素化合物(特に安定性のある化合物)である。この酸化性塩素−酸素化合物は、亜塩素酸塩を実質的に含まないのが好ましい。酸化性塩素−酸素化合物は、いわゆるテトラクロロデカオキシド(TCDO)複合体として存在するのが特に有利である。本発明をより理解するために以下の説明は、特に安定性のある形態であって、水溶液中の本発明による被包材料に封入されている特定のタイプの酸化性塩素−酸素化合物を広義で論じるものとする。
【0014】
本発明は、酸化性塩素−酸素化合物に関して、いかなる関連の制限を受けるものではない。前述のWO02/098791 A1に記載されている塩素−酸素化合物は特に有利である。これに関して、従来技術の記載欄に既に提示されている生産プロセスも参照されたい。WO02/098791 A1に記載されている安定性のある塩素−酸素化合物は修飾型の呼称で、これらが遊離塩素を少しも含有してはいないということを特徴とする。本発明によるカプセルの重要性は、それぞれの場合において、遊離塩素がそれでもなお存在するということによって限定されない。可能な限り簡素で、省エネルギーであり、環境にやさしい系に関して、対応する塩素系形態の修飾型酸素担体は、水処理の分野で(特にスイミングプール技術での水処理で)有利である。前記担体は、極めて刺激的で望ましくない副生成物を生じる可能性のある遊離塩素は含有しない。特に有利な「修飾型」塩素化剤は、WO02/098791 A1の教示によれば、水性溶媒中で得ることができるTCDO複合体アニオンである。これは、前述の約3〜5のpH領域で得られ、電荷移動錯体Cl42-10を用いて最初に褐色により検出することができ、その後、黄緑色が現われる(これは、TCDO複合体の非常に明るく色付いた黄緑色溶液の色と色調が似ている)。以下では非表示であるがTCDO複合体アニオンは比較的複雑な電荷移動構造である。そのことにより、酸素はクロロジオキシド・亜塩素酸塩マトリックス中に溶解して含有され、活性型で安定して存在する。
【0015】
いわゆるTCDO複合体は、現行の分析法により(例えばラマン分光法を用いて)検出された。TCDO複合体は、それが水溶液中に存在し、特に国際公開第02/098791 A1号に記載の方法により得られたものである場合、本発明において特に有利に用いられる。これは、その安定性にとって不可欠である。亜塩素酸塩および塩素酸塩は、TCDO複合体の水溶液中ではもはや検出することはできないはずである。この技術的説明は限定を意図するものではない。
【0016】
特にTCDO形態の前述の酸化性塩素−酸素化合物は、被包膜中に封入される水溶液中濃度に関しては厳密に限定されない。塩素−酸素化合物の被封入水溶液は、約40〜100g/L、特に約50g/Lの安定性のある酸化性塩素−酸素化合物を特にTCDO形態で含有する場合が好ましい。
【0017】
本発明の基本的着想が実際には比較的抽象的な形態で実施され得ることは既に明示したとおりである。被包膜がカプセルの形態で(特にマイクロカプセルの形態で)存在する場合、それは特に有利な施用目的で使用可能であることを既に明示した。この場合、外部シェルは特にカチオン性(カチオン化)高分子電解質であってもよく、また内部コアはアニオン性(アニオン化)高分子電解質、特にカチオン化および/またはアニオン化多糖類であってもよい。あるいは、その逆も可能である。
【0018】
内部コアがアルギン酸塩またはアルギン酸誘導体をベースとし、外部シェルがキトサンまたはキトサン誘導体をベースとした、記載のタイプのカプセル生産に関する参考文献は多数ある。文献「Pharmaceutical Engineering」、2002年11月/12月、第22巻、第6号の文献には、「Perm−Selective Chitosan−Alginate Hybrid Microcapsules for Enzyme Immobilization Technology」という表題で、この内容が詳細に記載されている。これによれば、例えば、2gのアルギン酸ナトリウムを100mlの蒸留水に溶解し、比較的長時間撹拌する。その後、0.34Mの亜塩素酸カルシウム溶液中へ針を通してアルギン酸溶液を滴下添加することにより、小型のアルギン酸カルシウムボールを生成する。これらのボールをキトサン溶液中に懸濁させると、マイクロカプセルが生産される。より大幅な改良手段を取ることができる(loc.cit.2ページ、第1欄、「Preparation of Chitosan−Alginate Hybrid Microcapsules」)。対応するプロセスは、「J.Microencapsulation」、2004年8月、第21巻、第5号、485〜497に提示されている。この点に関しては、「Biomaterials」、1999年4月、20(8):773〜83を参照することもできる。その文献では、最初に、非固体のコアが形成され、その後、シェルがキトサンから構築されるが、2種類の出発材料の溶液がコアとシェルに提供されるという、さらなる生成方法が提示されている。従って、アルギン酸ナトリウムの溶液はキトサン溶液へ滴下添加され、薄いアルギン酸−キトサン膜上の表面にキトサンがすべて形成される。また二段階法も記載されている。それによれば、小型アルギン酸カルシウムボールはキトサンおよび亜塩素酸カルシウムの水溶液中で処理され、それにより高力学的強度を有するカプセルが生産される。さらに、いわゆる「air extrusion method」によってキトサン−アルギン酸マイクロカプセルを連続的に生産することについては、「Journal of Bioactive and Compatible Polymers」、第18巻、第3号、207〜208(2003)により公知である。最後に、「International Journal of Pharmaceutics」、187(1999)115〜123も参照することができる。この刊行物では、小型キトサンをコーティングしたアルギン酸ボールへの親油性薬剤のマイクロカプセル化が論じられている。
【0019】
既に記載のように、多糖類は、特にアルギン酸塩および/またはキトサンあるいはそれらの誘導体の形態で、コア/シェル構造による本発明の実施において特に重要である。当業者はこれらの物質に詳しい。これらのうち、キトサン誘導体は、例えば、キトサンHClまたはキトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、カルボキシメチルキトサンである。多糖類は、特に加工デンプンおよび加工セルロース、例えばそれらのカルボン酸塩化合物の形態、例としては酢酸塩、プロピオン酸塩または酪酸塩の形態を意味するものと理解するが、また、例えば硫酸塩およびリン酸塩の形態を意味すると理解する。デンプンおよびセルロースの必要なかつ所望の加工を行う専門的手段は多数ある。すなわち、多糖類を部分的に分解し、酸化剤によって部分的に酸化し、次いで、ポリアミノグルコースとともに加熱下の化学反応により高分子電解質複合体に変換することができる。多糖類のイオン化に適した酸化剤としては、例えば、クロモ硫酸、オゾンおよび過酸化水素が挙げられる。これにより、多糖類中に十分な酸の割合が生じる。またこの反応は、例えばコバルト・ニッケル固体金属触媒による触媒作用により行うこともできる。さらに、例えばアクリル酸またはその誘導体をグラフトさせることにより多糖類を加工することができる。このうち、デンプンのグラフト共重合体は、例えばデンプン/アクリルアミド/アクリル酸のグラフト共重合体である。さらに、それぞれの多糖類はカルボキシル化、好ましくは酢酸無水物を用いて特にアクチレート化することができる。
【0020】
加工方法の反応生成物として下記のものを特に記載する。アニオン性およびカチオン性デンプンエーテル類、デンプンエステル類、例えばキサントゲン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩および硝酸塩、ならびにカルボキシデンプン。したがって、この場合、デンプンまたはセルロースのヒドロキシル基は、従来の方法で、例えばエーテル化、エステル化によって、あるいは選択的酸化によって、あるいはラジカルに始まったグラフト共重合反応によって、本発明の目的に適したイオン化化合物へ変換される。さらに、加工デンプンとして、ヒドロキシエチルデンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンが挙げられる。また、デンプンエーテル類の形態で存在するカチオン性デンプン、およびアミノ基または第四級アンモニウム基を含有する試薬とデンプンとのアルカリ反応によって得られるカチオン性デンプンも好適である。また、所定のエーテル化剤として下記のものを挙げることができる。(2−クロロエチル−ジエチルアミン、(2,3−エポキシプロピル)ジエチルアミン、亜塩素酸(3−クロロプロピル)トリメチルアンモニウム、亜塩素酸(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、亜塩素酸(2,3−エポキシプロピル)トリメチルアンモニウムおよび亜塩素酸(4−クロロ−2−(ブテニル)トリメチルアンモニウム。したがって、上述した方法のデンプンのイオン化に関する実現性は、他の多糖類の(特にセルロースの)イオン化と同程度であるといえる。上記に記載した多糖類のイオン化は、基本的に専門基礎知識である。この点に関しては、例えば、ROMPP「ケミエレキシコン(Chemielexikon)」、第9版、第3巻、2180ページを参照されたい。
【0021】
本発明の範囲内に適した多糖類のタイプに関係なく、コア/シェル構造のカプセルについて、以下のことも記載することができる。一般にコアは、好ましくは、安定性のある酸化性塩素−酸素化合物の水溶液を中に含有する海綿状の湿潤構造を示し、一方、シェルは水に不溶性であって、細孔を通して酸化性塩素−酸素化合物を定量的に放出させる。この場合、下記に示すように、シェルはキトサンまたはキトサン誘導体を含み、コアはアルギン酸またはアルギン酸誘導体を含むことができる。あるいは、その逆も可能である。これらの多糖類は、カプセルの生産時に反対にイオン化された形態で存在する。これは、下記で述べる生産方法において、キトサンおよび/またはアルギン酸あるいはそれぞれの誘導体が予め決められていて、水溶液中に安定性のある酸化性酸素化合物を含有するが、一方、引き続いて滴下添加される材料の溶液は化学的に逆であることを意味する。言いかえると、コアはアルギン酸および/または誘導体を含み、シェルはキトサンおよび/またはキトサン誘導体を含む。
【0022】
実用においては、該マイクロカプセルの粒径は約1〜500μm、特に約5〜200μmであるのが適切であることが明らかになっている。具体的例では、カプセルは、粒径が好ましくは約100nm〜1μm、特に約150〜650nmのいわゆるナノカプセルで存在する。コア/シェル構造に基づく本発明による被包材料を有利に実施する場合、シェルの壁厚とコアの直径の比率が約1:1〜1:10、特に1:1〜1:5であることが分かった。さらに、本発明のこの特定の実施形態においては、安定性のある酸化性塩素−酸素化合物の水溶液がコアの約20〜80重量%、特に約30〜60重量%を構成する場合が有利である。
【0023】
また、一方にキトサンおよび/またはキトサン誘導体を用い、他方でアルギン酸塩および/またはアルギン酸誘導体を用いるコア/シェル構造に基づいた本発明の被包材料に関する上述の好ましい実施形態について、以下に詳細に説明する。
【0024】
コアがアルギン酸塩および/またはアルギン酸誘導体から構成され、固体の外部シェルがキトサンおよび/またはキトサン誘導体ベースのものからなる上述のタイプのカプセルは、従来技術で公知である。本発明の範囲内にアルギン酸塩が記載されている場合、それらは特に、本発明によるカプセルの生産時に求められる水溶解度を有するアルギン酸の塩、特にナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびマグネシウムの塩を意味するものと理解する。「アルギン酸誘導体」が記載されている場合、それらは、本発明によるカプセルの生産時に所望の水溶解度の実質的な低下を招かない修飾(例えば、アルギン酸のヒドロキシル基のメトキシ基および類似基へのエーテル化)が行われている。特に、アルギン酸はアルギン酸アニオンの形態で存在し、それによって、本発明のカプセルの生産時に下記に記載の本発明の有利な方法により反応すると考えられる。本発明によりシェルの形成に検討されているキトサンは、天然キチンからアミド結合の脱アセチルによって得られる。脱アセチル化度(DDA)は調節することができる。キトサンオリゴ糖の鎖長および分子量は、生産時に正確に調整することができる。本発明の範囲内では、キチンもまたキトサン誘導体として判定される。この場合も同様に、例えば糖類骨格のヒドロキシル基をエーテル化することにより誘導体への修飾を行うことができる。本発明のカプセルを生産するための本発明による方法の説明については以下に記述したように、必要な水溶解度の調節には、それ自体は不溶性であるキトサンまたはキトサン誘導体を弱酸性溶媒中に存在させて水溶性とする。それによって、アミノ基が多少プロトン化され、最終的に、水溶解度を促進する「カチオン性成分」が存在するようになる。
【0025】
結論として、記載したタイプのカプセルの構造(コア/シェル構造)は既に公知であることは述べている。驚いたことに、本発明によれば、基本的な目的は、カプセルのコアが安定性のある酸化性塩素−酸素化合物の水溶液を実質的に含有し、前記コアが海綿状の湿潤構造を有することで達成され得ると考えられる。これらのカプセルは、封入した塩素−酸素化合物の効果を損なうことなく、長期間保存することができる。安定性のある酸化性塩素−酸素化合物(これは、塩素および酸素を含有し、カプセル中に封入されている化合物よりも一般に分解が速い傾向にある)を既に含有するこれらのカプセルを水性溶媒中で保存する場合に特にこれを利用する。コアの海綿状構造内部にある水溶液中の塩素−酸素化合物は、従来の分解メカニズムにより、遊離水性溶媒中の場合と同様に速やかに分解することが想定される可能性は十分にある。従って、本発明によるカプセルは、長期間保存することができる。特に後で詳細に記載する用途においては、塩素−酸素化合物は所望の形態で放出され、本発明によるカプセルのシェルの細孔を通ることにより定量される。
【0026】
本発明による被包材料をカプセルの形態で用いた時に驚くべき結果が得られることを上述した際、当業者は直ちに、これらが本発明の概念上の「被包膜」というコンセプト(すなわち、コア/シェル構造に基づかないもの)と同等のものであると理解する。
【0027】
本発明によるカプセルに関するさらなる情報は次のとおりである。それぞれの場合、細孔を有するカプセルのシェルが硬化シェルであるのが有利である。硬度を高めるには、塩類、特にアルカリおよび/またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩に結合させるのが有利である。硬化は、生産時に、それぞれの硬化塩類を出発溶液および/または反応終了溶液に添加することで行う。カルシウム塩の使用が特に有利であり、特に塩化カルシウムの形態が有利である。さらに、シェルおよび/またはコアの特性は、カプセルの生産時に他の好適な添加剤が含まれる場合、所望の方法で調節することができる。このような添加剤は、特に既に上で記載したような強度および/または密度を高める添加剤であってもよいが、pH試薬、酸化還元感受性試薬および/または導電率感受性試薬であってもよい。この点に関しては、二酸化ケイ素および/またはベントナイトが特に有利である。この有利な調節を実施すると、カプセルに種々の比重量を付与することができる。種々の場合において、水性溶媒に浮遊させるにはカプセルに1g/ml未満の密度を付与し、水性溶媒に沈澱または浮遊させるにはカプセルに1g/ml超の密度を付与するのが有利である。さらに、コアおよび/またはシェルの特定の特性に影響を及ぼす添加剤または物質をカプセルの生産時に添加することができるだけでなく、まだ未記載の吸収特性の向上などの、特定の使用可能性に関する所望のさらなる外部効果を示すものも添加することができる。吸収特性は、シェルおよび/またはコア(特にシェル)へ活性炭を組み込むことにより高める。さらに、塩素−酸素化合物の放出が低下する場合、その定量的放出の間に色調変化を示す薬剤が含まれていれば、特に有利である。フェノールフタレインまたはメチルオレンジの使用が特に有利である。
【0028】
下記に本発明によるカプセルのさらに技術的加工に関して記載するが、技術的解釈をそこで明示したものに拘束するものではない。本発明によるカプセルの生産の範囲内において、アルギン酸塩は、例えば、アニオン性成分を含有するもの(すなわちアルギン酸塩成分)を用いる。これに対し、カプセルの生産において弱酸性の水性溶媒中で用いられるキトサンは、カチオン性成分を含有させて(すなわちプロトン化されたキトサン骨格の形態のもので)提供する。推定では、コアとシェルの間の境に架橋反応が生じる、すなわち、アルギン酸塩のアニオン性成分とキトサンのカチオン性成分が架橋相互作用を始めると考えられる。これによって、本発明によるカプセルの安定性および定量性に有利な効果が得られることは明らかである。
【0029】
本発明による被包膜をどのようにして生産できるかについては、当業者であれば、上述の説明から既に推論することができよう。またこれは、コア/シェル構造に基づくカプセルにも当てはまる。本発明によるカプセル中のカチオン化および/またはアニオン化多糖類がキトサンもしくはキトサン誘導体またはアルギン酸塩またはアルギン酸誘導体である場合、その方法は、以下のようであるのが好ましい。a)安定性のある酸化性塩素−酸素化合物の水溶液をアルギン酸塩またはアルギン酸誘導体の水溶液へ混合し、得られた混合物へキトサンまたはキトサン誘導体の水溶液を混合し、得られた反応混合物をカプセルに変換するか、あるいは、b)安定性のある酸化性塩素−酸素化合物の水溶液をキトサンまたはキトサン誘導体の水溶液へ混合し、得られた混合物へアルギン酸塩またはアルギン酸誘導体の水溶液を混合し、得られた反応混合物をマイクロカプセルに変換する。したがって、この処理方法では、修飾するか否かにより、コアを形成する成分がシェルを形成する成分とは異なる方法でイオン化される。いずれの場合にも、異なるイオン化が存在していなければならない。すなわち、一成分はアニオン化し、他の成分はカチオン化しなければならない。したがって、一方では、キトサンまたはキトサン誘導体はシェルを形成し、アルギン酸塩またはアルギン酸誘導体はコアを形成することができるが、一方ではまたその反対の場合も可能である。これは、記載した反応条件にのみ依存する。
【0030】
また、被包材料がコア/シェル構造を採用しないカプセルである可能性もある。この場合、最初にシェル中に水があり、例えば、含有される色を観察しながら乾燥により水を空洞のボールの細孔を通して排出させ、シェルが水を含まず空気のみを含有するようにする。当業者は、このタイプのカプセルを安定性のある酸化性酸素化合物の水溶液で(特に水性のTCDO溶液で)容易に満たすことができる。さらに、実際面でコア/シェル構造を適用する場合に放出することも十分に可能かつ容易であって、有機ベースの材料以外の材料が用いられる。したがって、この材料は非有機的なものから構成されていてもよく、例えば、シリコーン材料またはガラス材料ベースのものを存在させることができる。
【0031】
しかし、好ましいのは、既に定めたような、一方にアルギン酸塩またはアルギン酸誘導体と一方にキトサンまたはキトサン誘導体を用いるコアおよびシェルを持つカプセルである。この点に関しては、アルギン酸塩はアニオン性高分子電解質であってもよく、一方、キトサンはカチオン性高分子電解質である。この点を配慮しながら、それぞれの反応溶媒のpH値は、アルギン酸塩シェルを外部上に形成させるか、アルギン酸塩コアを内部上に形成させるかどうかの役割を果たす。例えば、TCDOが水性の酸性溶媒中かアルカリ性溶媒中であるかということが意味を有する。TCDOが酸性の水性溶媒中であるならば、TCDOはアニオン性アルギン酸塩と化学的に相互作用する。このタイプの溶液を得て、次いで、カチオン性キトサン溶液を滴下添加する。前記のように行うと、規則的な海綿状構造を含むコアがアルギン酸塩から形成され、シェルがキトサンから生じる。アルカリ性TCDOが得られるならば、それをカチオン性キトサンの溶液に添加し、次いで、その溶液へアニオン性アルギン酸塩を滴下添加し、逆の関係が起こる。すなわち、キトサンのコアが形成され、アルギン酸塩のシェルが形成される。コア/シェル構造でいずれの構造が好ましいかはそれぞれの施用に依存する。すなわち、施用で優先される本発明によるカプセルの外部pHなどによって決まる。スイミングプールでは、pHは一般に中性か、またはそれより高いため、この場合、アルギン酸塩がシェルの材料であるカプセルを検討するのが好ましい。既に記載したように、空洞のボール(したがって、シェル=膜)はキトサンおよび/またはアルギン酸塩を単独で用いて形成することもできる。キトサン(カチオン性)の場合、TCDO溶液は、それがアルカリ性となるように調節されなければならない。アルギン酸塩がこのタイプの空洞のボールの形成に使用されるならば、水性TCDO溶液は酸性でなければならない。
【0032】
上述の本発明の方法を実施した後にコア/シェルを持つカプセルを得るためには、第2の成分(キトサンもしくはキトサン誘導体、またはアルギン酸塩もしくはアルギン酸誘導体の水溶液)を滴下添加により混合するのが好ましい。特定の「二相噴霧乾燥」法を実施することができる。これは以下のようにして行う。溶液A(例えばアルギン酸塩溶液)をコアノズルを通して噴霧し、溶液B(例えばキトサン溶液)をさらに被包ノズルを通して乾燥チャンバ中へ噴霧する。外部ノズルを用いると、そこから噴出している材料が液滴を被包し、それが内部ノズルから乾燥チャンバに入る。
【0033】
一方にアルギン酸塩またはアルギン酸誘導体を用い、一方にキトサンまたはキトサン誘導体を用いるコア/シェル構造により本発明を実施する場合、それぞれの生成物の最適化は、1つの水溶液を約0.5〜10重量%、特に約0.5〜4重量%のアルギン酸塩もしくはアルギン酸誘導体濃度に調節し、かつ/または、もう1つの水溶液を約0.5〜4重量%、特に約0.5〜2重量%のキトサンもしくはキトサン誘導体濃度に調節するのが好ましい。本発明による方法をどのようにコントロールするかにより、シェル形成を生じる水溶液に(すなわち、例えば、シェルがキトサンまたはキトサン誘導体の水溶液から得られる場合には、それらの水溶液に)添加剤を加えるのが有利である。
【0034】
特にカプセルの形態の本発明による被包材料を生産するための方法に関して、当業者であれば、本発明が公知の方法技術を用いることは容易に理解するであろう。これに関しては、例えば、「バイオマテリアル(Biomaterials)」、1999年、4月;20(8):773〜83の文献を参照されたい。
【0035】
本発明による被包材料(特に本発明によるカプセル)は、特に安定形態の酸化性塩素−酸素化合物の効果に着目する種々の目的において、特に液体および基質表面の消毒と浄化において、特に布、フィルター材料、膜、狭い間隙、接続部または充填成分の処理において使用することができる。注目されるのは、有効水の消毒、特に飲料水と水泳プール用水の消毒、ならびに特に石英、珪砂および/または炭素質素材の形態のフィルター材料の消毒である。この点に関しては、カプセルの有利な取り扱いとして、塩素および酸素を含有する被封入化合物を簡素かつ有効に定量することができる。これらのカプセルは、毒性面での制限を設けることなく施用することができ、環境に優しく、経済的にも実施可能であり、生産コストの効率が良い。
【0036】
ナノカプセル剤としての本発明によるカプセルは、粉剤として乾燥させて提供することができるという利点がある。これらは、水中で容易に分散させることができるとともに、極めて狭い間隙、接続部などへ噴霧ノズルを通して狭いエリアに施用することができる。比較的大型のカプセルは、充填成分に、すなわち例えば膜および種々の他の材料に施用することができる。特定の利点としては、本発明によるカプセルは着色可能ということがある。すなわち、カプセルの脱色程度から、薬剤の濃度が特定の分量未満に減少したことを確定することができる。さらに、本発明によるカプセルは浮遊性フィルター添加剤として用いることもできる。これらは、所望の高い熱安定性(すなわち約4〜70℃)を示す。さらに、これらの効果が低下した場合には、特に環境にやさしいといった、有利な方法でこれらを処分することができる。その結果、多少の費用はかかるが、これらを新しい使用目的のために調製することができ、その場合、酸化性塩素−酸素化合物の形態で薬剤を含有する水溶液中に一定期間これらは保存される。もとの状態の効果は、拡散手順により再現される。本発明によるカプセルは、それらの効果が実質的に損なわれることなく、長期間に保存することができる。
【0037】
それぞれの施用でこの効果を最適化するには、既に塩素−酸素化合物(特に比較的低濃度でカプセル中に既に含有される酸化性塩素−酸素溶液)を含有するカプセルを水性溶媒中に保存することができる。
【0038】
カプセルの生産に関する実施例に基づき、本発明を下記でより詳細に説明するが、この場合、コア/シェル構造はアルギン酸塩およびキトサンの使用で実施されている。
【実施例】
【0039】
1.塩素および酸素を含有する安定性のある水溶液の調製
硫酸水素ナトリウム2gを水800ml中に溶解させる。次いで、10Nの硫酸12mlを添加する。さらに、30%の過酸化水素水38mlをその中で注意深く撹拌する。亜鉛素酸ナトリウム溶液(25%)157mlを15分間かけてこの溶液に滴下添加する。溶液は茶色から黄緑色に色調が変化し、安定性が維持される。分析試験により、この溶液は安定した形態のTCDO複合体を含有することが証明された。
【0040】
2.本発明によるカプセルの生産
上記方法に従って調製したナトリウムテトラクロロデカオキシドの水溶液をカプセル化に用いた。TCDO化合物が約50重量%の量で含有される、TCDO化合物の水溶液100mlを用意した。約3重量%濃度のアルギン酸ナトリウム溶液100mlに、これらの塩素−酸素溶液の水溶液100mlをゆっくりと撹拌しながら滴下添加した。このように得た混合物を、約3重量%濃度のキトサンの弱酸性水溶液100mlに撹拌しながら滴下添加した。約90分間反応させた後に、粒径約60m μmのカプセルが得られた。これらのカプセルは、特に、スイミングプールの水処理でフィルター材料へ加える場合に特に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化性塩素−酸素化合物の水溶液を封入し、被包膜が中性水性溶媒中で不溶性であることを特徴とする、水性溶媒に前記封入された薬剤を放出するための被包膜。
【請求項2】
塩素−酸素化合物の分解生成物、特に二酸化塩素および酸素を気体中に透過させることを特徴とする、請求項1に記載の被包膜。
【請求項3】
水に対して透過性があり、前記酸化性塩素−酸素化合物が実質的に亜塩素酸塩を含まない安定性のある水性塩素−酸素化合物であることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の被包膜。
【請求項4】
封入された薬剤を連続的定量的な方法で放出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の被包膜。
【請求項5】
塩素−酸素化合物がテトラクロロデカオキシド(TCDO)複合体の形態で存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の被包膜。
【請求項6】
被包膜が酸化性塩素−酸素化合物を放出するための細孔を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の被包膜。
【請求項7】
被包膜が添加剤を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の被包膜。
【請求項8】
添加剤が硬化剤としての塩類、特にアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、特に塩化カルシウムであることを特徴とする、請求項7に記載の被包膜。
【請求項9】
添加剤がpH試薬、酸化還元感受性試薬および/または導電率感受性試薬、特にフェノールフタレインまたはメチルオレンジであることを特徴とする、請求項7に記載の被包膜。
【請求項10】
添加剤が、低密度化するための二酸化ケイ素、多孔質材料、例えば特にベントナイトおよび/または活性炭であることを特徴とする、請求項7に記載の被包膜。
【請求項11】
カチオン性および/またはアニオン性水不溶性ポリマーをベースとすることを特徴とする、先行する請求項1〜10の少なくとも一項に記載の被包膜。
【請求項12】
カチオン性および/またはアニオン性水不溶性ポリマーがカチオン性および/またはアニオン性高分子電解質(特にカチオン化多糖類および/またはアニオン化多糖類)の形態で存在することを特徴とする、請求項11に記載の被包膜。
【請求項13】
カチオン化高分子電解質がプラスチック材料、特にポリ(メタ)アクリル酸であることを特徴とする、請求項12に記載の被包膜。
【請求項14】
被包膜がカプセルの形態、特にマイクロカプセルの形態で存在し、固体外部シェルがカチオン性高分子電解質をベースとするものであり、内部コアがアニオン性高分子電解質をベースとするものであり、あるいはその逆も可能であることを特徴とする、先行する請求項1〜13の少なくとも一項に記載の被包膜。
【請求項15】
マイクロカプセルが約1〜500μm、特に約5〜200μmの粒径を有することを特徴とする、請求項14に記載の被包膜。
【請求項16】
カプセルが約100nm〜1μm、特に約150〜650nmの粒径のナノカプセルとして存在することを特徴とする、請求項14に記載の被包膜。
【請求項17】
カチオン化多糖類および/またはアニオン化多糖類がキトサンもしくはキトサン誘導体またはアルギン酸塩もしくはアルギン酸誘導体であることを特徴とする、請求項12〜16の少なくとも一項に記載の被包膜。
【請求項18】
シェルの壁厚とコアの直径の比が約1:1〜1:10、特に約1:1〜1:5であることを特徴とする、請求項14〜17の少なくとも一項に記載の被包膜。
【請求項19】
酸化性塩素−酸素化合物の水溶液がコアの約20〜80重量%、特に約30〜60重量%を占めることを特徴とする、先行する請求項14〜18の少なくとも一項に記載の被包膜。
【請求項20】
封入される水溶液が、塩素−酸素化合物(特にTCDOの形態)を約40〜100g/L、特に約50〜80g/L含有することを特徴とする、先行する請求項1〜19の少なくとも一項に記載の被包膜。
【請求項21】
液体および基質表面、特に布、フィルター材料、膜、狭い間隙、接続部または充填成分を消毒および浄化するための先行する請求項1〜20の少なくとも一項に記載の被包膜を使用する方法。
【請求項22】
水を消毒するための、特に飲料水および水泳プール用水を消毒するための、ならびに、特に石英砂利、珪砂および/または炭素質材料の形態のフィルター材料を消毒するための、先行する請求項1〜20の少なくとも一項に記載の被包膜を使用する方法。
【請求項23】
a)酸化性塩素−酸素化合物の水溶液をアルギン酸塩またはアルギン酸誘導体の水溶液へ混合し、キトサンまたはキトサン誘導体の水溶液を前記の得られた混合物へ混合し、得られた反応混合物をカプセルに変換するか、あるいは、b)安定性のある酸化性塩素−酸素化合物の水溶液をキトサンまたはキトサン誘導体の水溶液へ混合し、アルギン酸塩またはアルギン酸誘導体の水溶液を得られた混合物へ混合し、得られた反応混合物をマイクロカプセルに変換する被包膜の製造方法であり、アルギン酸塩またはアルギン酸誘導体とキトサンまたはキトサン誘導体が互いに逆にイオン化された状態で用いることを特徴とする、請求項17〜20の少なくとも一項に記載の被包膜の製造方法。
【請求項24】
カプセル化に噴霧乾燥法または滴下添加法を用いることを特徴とする、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
アルギン酸塩またはアルギン酸誘導体の水溶液の濃度が約0.5〜10重量%、特に約0.5〜4重量%に調整されることを特徴とする、請求項23または請求項24のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項26】
キトサンまたはキトサン誘導体の水溶液の濃度が約0.5〜4重量%、特に約0.5〜2重量%に調整されることを特徴とする、請求項23〜25のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項27】
塩類、特にアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩の形態の塩類がキトサンまたはキトサン誘導体の水溶液中に添加されることを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項28】
さらなる添加剤を初期溶液および/または最終反応混合物に加え、必要とされる性能を満たすように調整することを特徴とする、請求項23〜27のいずれか一項に記載の製造方法。

【公表番号】特表2009−523714(P2009−523714A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549786(P2008−549786)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012383
【国際公開番号】WO2007/087883
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(500292633)ペー・ウント・ヴェー・インヴェスト・フェアメーゲンス・フェアヴァルトゥングスゲゼルシャフト・エム・ベー・ハー (1)
【氏名又は名称原語表記】P & W INVEST VERMOEGENS VERWALTUNGSGESELLSCHAFT M.B.H.
【住所又は居所原語表記】CAROLA‐BLOME‐STR.7, A‐5020 SALZBURG, AUSTRIA
【Fターム(参考)】