説明

封入包装装置

【課題】ロール状に巻かれた包材の巻きムラや引き出された包材の張力変動などにより包材が偏って送られて、包材の側縁どうしを合わせて横シールする際に、一方の側縁が上がり他方の側縁が下がってしまって不揃いとなるのを防ぐ封入包装装置を提供する。
【解決手段】包材折返し手段は、頂角部26が搬送方向前方を向き、且つ搬送方向前方側が後方側より下がるように傾斜した三角状部とを有し、この三角状部が回動自在に支持されている。包材Sに巻きムラがあり、幅方向右側または左側に偏っている場合には、ガイド壁乃至傾斜部28に対して包材Sが幅方向右側または左側に偏って送り出されるが、三角状部が回動自在になっているので、モーメントの釣り合いを取ろうと修正機構が働いて、時計周りまたは反時計周りに回動し、頂角部26が包材Sの幅方向中心部上にくる。従って、包材Sの側縁どうしが常に揃った状態で横シールされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉、コーヒー粉等の被抽出物が充填された内袋等を封入する封入包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
茶葉、コーヒー粉等の被抽出物が充填される袋は、茶葉等の抽出がし易いように通水性の有るメッシュ素材等により構成されている。そのため、この充填袋が外気に直接触れるような状態になっていると、その中に充填された茶葉等の風味は比較的短期間に失われてしまう。
そこで、近年では、特許文献1に示すような装置を用いて、茶葉等の風味を長期間に渡って保つために、さらに外袋に封入する二重包装が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2009/101686
【特許文献2】特開2005−075397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、内袋の製袋と被充填物の充填を行う製袋充填と、内袋の外袋への封入とが連続して自動的に行えるようになっており、特許文献2に示すような封入包装装置を外袋封入機構として組み入れている。
而して、特許文献1や特許文献2に示すような従来の封入包装装置では、横シール手段や縦シール手段により包材をヒートシールしつつ搬送している際に、ロール状に巻かれた包材の巻きムラや引き出された包材の張力変動などによって包材が偏って送られることがあるが、そのような場合には、包材の側縁どうしを合わせて横シールする際に、一方の側縁が上がり他方の側縁が下がってしまって不揃いとなる。そのため、従来は、そのような不揃いとなった横シール部の耳部をトリミングして見栄えを良くしていた。
【0005】
しかしながら、そのためには、横シール部の耳部を切断してトリミングしたり、切断により分離した耳部を回収したりする機構を設けることが必要となり、装置の構造が複雑化する。
また、横シール部の幅が狭くなり、シール不良となる場合も出てくる。特に、上記したような内袋、殊にテトラ状の内袋を封入して二重包装する場合には、内袋が嵩ばるので、上記のようなシール不良が起こり易い。
本発明は、上記課題を解決するものであり、包材の側縁を揃えて横シールさせることができる封入包装装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1の発明は、連続した包材を引き出して搬送する包材搬送手段と、搬送されてきた包材に下側から沿わせることで搬送方向に沿って谷折り状に二つ折りする包材折返し手段と、折返された包材の搬送方向の縁どうしを合わせ横シールして筒状にする横シール手段と、筒状になった包材に縦シールして外袋とする縦シール手段とからなる製袋化機構と、製袋化中に被封入物を供給する被封入物供給機構とを備える封入包装装置において、包材折返し手段は、頂角部が搬送方向前方を向き、且つ搬送方向前方側が後方側より下がるように傾斜した三角状部と、前記三角状部を回動自在に支持する支持手段とを有することを特徴する封入包装装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した封入包装装置において、包材折返し手段の三角状部の頂角部は切頭されていることを特徴とする封入包装装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した封入包装装置において、包材折返し手段の支持手段は、三角状部を上側から回動自在に持ち上げ支持していることを特徴とする封入包装装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した封入包装装置において、包材折返し手段には、三角状部の頂角部を挟んで一対のガイド棒が備えられていることを特徴とする封入包装装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した封入包装装置において、被充填物が充填された内袋を封入することを特徴とする封入包装装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の封入包装装置によれば、ロール状に巻かれた包材の巻きムラや引き出された包材の張力変動などがあっても、横シール部側の縁が揃い、横シール部の幅寸法も所定のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る封入包装装置の全体の概略的な構成図である。
【図2】図1の封入包装装置の包材折返し手段の斜視図である。
【図3】包材のロールを示す。
【図4】図2の包材折返し手段の動作の説明図である。
【図5】図1の封入包装装置により製造された二重包装袋を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る封入包装装置1を、図面に従って説明する。
この封入包装装置1は、図5に示す二重包装袋Aを製造するものである。この二重包装袋Aでは、内袋Cはテトラ状のティーバッグ仕様になっており、中には茶葉が充填されている。この内袋Cが外袋Bに封入されている。外袋Bは矩形の平袋状になっており、一枚の矩形のガスバリア性包材が二つ折りされ、折曲げ辺を除く三辺側の縁どうしが重ね合わされ、シールされている。この三辺のシールを区別のため、それぞれ横シール部Y、縦本シール部Tとする。
【0014】
封入包装装置1は、図1に示すような全体構成をなしている。
先ず、外袋製袋化機構の全体の構成と動作を説明する。
符号3は機台を示し、この機台3上には連続した帯状の包材Sがロール状に巻かれたホイール5と、そこから引き出された包材Sを案内する複数のガイドローラ7とが備えられている。また、ガイドローラ7の前方には包材折返し手段9が設けられており、連続した包材Sはこの包材折返し手段9に沿って前方に搬送されることで、搬送方向に沿って谷状に二つ折りされた状態に折り返される。包材折返し手段9については後で詳述する。
【0015】
包材折返し手段9の前方には横シール手段11、縦仮シール手段13、縦本シール手段15が順次配設されており、いずれのシール手段も包材Sを一対のシール要素間に挟んでヒートシールする方式になっている。横シール手段11では、包材Sの搬送方向側の両縁である側縁どうしが上側で重ね合わされシールされて横シール部Yが形成される。これにより、包材Sは筒状になる。縦仮シール手段13では、縦方向に下端部から中間の高さまで縦仮シールされて点状の縦仮シール部が形成され、縦本シール手段15では、縦仮シール部に重ね合わされた上にさらにそれを超えて上端まで縦本シールされて縦本シール部Tが形成される。隣り合う2つの縦本シール部Tが形成されて、包材Sは連続した平袋状の外袋Bとなる。
切断手段17は縦本シール手段15の前方に配設されており、切断手段17で縦本シール部Tが順次切断されていくことで、連続した外袋Bは個別の外袋Bとなっていく。
【0016】
切断手段17は、前後方向へ進退動作可能であると共にクランプ機能も備えており、切断後も切断済みの個別の外袋Bとその後続の未だ連続状態の外袋Bとを共にクランプした状態で前方に移動することで、包材S全体を前方に搬送するようになっている。
縦本シール手段15と切断手段17との間には、クランプ手段20が配設されており、このクランプ手段20に包材Sがクランプされることにより、静止時に包材Sが搬送軌道上に保持されるようになっている。
【0017】
また、内袋Cの落下位置と押出し位置との間にチャック機構21が配設されている。このチャック機構21は一対の角柱状のチャック片からなり、搬送されてくる包材Sを挟んで対向しており、シール処理の際には接近して包材Sを挟んでおくようになっている。
上記した各手段やチャック機構21は駆動機構23に接続されており、これらはこの駆動機構23に駆動されて動作するようになっている。クランプ手段19、20も同様に適宜な駆動機構(図示省略)に駆動されて動作するようになっている。
【0018】
次に、包材折返し手段9の構成を、図2に従って詳述する。
符号25は三角状板部を示す。この三角状板部25は金属製の薄板によって構成されており、全体として略二等辺三角形をしているが、頂角と底角はそれぞれ切頭されており、厳密には六角形となっている。但し、切頭辺の長さはその余の辺より格段に小さいことから、このように切頭されても、本発明では三角状板部25に含まれる。この三角状板部25の底辺は包材Sの幅寸法(搬送方向に直交する方向の寸法)より大きくなっている。
底辺部の縁側は上側に向かって垂直に折り曲げられており、低く立ち上がってガイド壁27になっており、その前方側は斜め方向に下がって傾斜部28となっている。この傾斜部28の外縁は一対の側辺部29、29によって画定されている。
【0019】
符号31は取付ベースを示し、この取付ベース31は機台3上に立設されたフレーム(図示省略)に掛け渡されて固定されている。この取付ベース31に、支持柱33が回動自在に持上げ支持されている。支持柱33の下部は上記した三角状板部25の傾斜部28の上面に固定されており、三角状板部25が矢印に示すように、回動自在に持ち上げ支持された状態となっている。
符号35、35は一対のガイド棒を示す。各ガイド棒35は細長い円柱状を為しており、上下方向に延びている。そして、各ガイド棒35の上側の基端部が支持アーム37の先端部に連結されて吊り下げ支持されている。支持アーム37、37の基端部は上記した取付ベース31に間隔をあけて連結されており、ガイド棒35、35が三角状板部25の頂角部26を挟んで対向した状態で配された状態となっている。
【0020】
上記した構成の包材折返し手段9は、頂角が切頭されて作られた頂角部26が包材Sの搬送方向前方を向くように配されており、包材Sが前方に向かって搬送される過程でガイド壁27の背面乃至傾斜部28の下面に沿わされながら、側辺部29、29の縁を折返し部として徐々に折返され、最終的には頂角部26で谷折り状に二つ折りされるようになっている。また、両側のガイド棒35、35にガイドされて、その二つ折りされた包材Sは無理なくは立ち上がるようになっている。
【0021】
次に、包材折返し手段9の修正動作を、図3、4に従って詳述する。
図3に示すように、包材Sはロール状に巻かれており、切断手段17が兼ねる搬送手段により引き出されてくると、包材折返し手段9に到達する。
そこで、図4(A)に示すように、包材Sに巻きムラや張力変動などが無い場合には、ガイド壁27乃至傾斜部28に対して包材Sが幅方向均等に送り出されるので、頂角部26は包材Sの幅方向中心部上にある。
従って、(a)に示すように、側縁どうしの高さが揃った状態で二つ折りされた包材S内に内袋Cが押し込まれ、且つ押し込まれた後にも側縁r、lどうしの高さが揃った状態は維持されることになる。
【0022】
一方、図4(B)に示すように、包材Sに巻きムラや張力変動があり、幅方向右側に偏っている場合には、ガイド壁27乃至傾斜部28に対して包材Sが幅方向右側に偏って送り出される。三角状板部25が固定されている場合には、頂角部26が包材Sの幅方向右側に偏った部分に当たることになり、(b)に示すように包材Sの右側の側縁rが左側の側縁lよりも上がった状態で二つ折りされることになる。しかしながら、三角状板部25が回動自在になっているので、モーメントの釣り合いを取ろうとして、矢印に示すように時計周りに回動し、頂角部26が包材Sの幅方向中心部上にくる。従って、結果として、上記した(a)に示す状態になる。
【0023】
また、図4(C)に示すように、包材Sに巻きムラや張力変動があり、幅方向左側に偏っている場合には、ガイド壁27乃至傾斜部28に包材Sが幅方向左側に偏って送り出される。三角状板部25が固定されている場合には、(c)に示すように包材Sの左側の側縁lが右側の側縁rよりも上がった状態で二つ折りされることになるが、三角状板部25が回動自在になっているので、図4(B)の場合とは逆に矢印に示すように反時計周りに回動し、頂角部26が包材Sの幅方向中心部上にくる。従って、結果として、上記した(a)に示す状態になる。
【0024】
上記した修正機構により、この封入包装装置1によれば、包材Sの巻きムラや張力変動などがあっても、横シール部Y側の縁が揃い、横シール部Yの幅寸法も一定のものとなる。
【0025】
この封入包装装置1は二重包装用のものであり、図1に示すように、被充填物が充填されて製袋化された内袋Cが搬送コンベア37から投入シュート39を介して二つ折りされた包材S上に落下供給される。次いで、押出し棒41により前方に押し出された後に、上記したチャック機構21が押出し棒41の後退できる隙間だけを残して閉じる。
このように、嵩張る内袋Cを押出しにより確実に二つ折りされた包材S上に供給するようになっているため、包材Sは他のものを封入する場合より張力変動を受け易いが、上記したように、包材折返し手段9には頂角部26が常に包材Sの幅方向中心部分上にくるようにする修正機構が備えられているので、横シール部Y側の縁が揃い、横シール部Yの幅寸法も所定のものとなる。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の封入包装装置によれば、横シール部の耳部を切断してトリミングしたり、切断により分離した耳部を回収したりする機構を設ける必要がなく、装置の簡素化を図れるだけでなく、シール不良を防いで製品の歩留まりを高めることに寄与できる。
【符号の説明】
【0028】
1‥‥封入包装装置
3‥‥機台 5‥‥ホイール
7‥‥ガイドローラ 9‥‥包材折返し手段
11‥‥横シール手段 13‥‥縦仮シール手段
15‥‥縦本シール手段 17‥‥切断手段
19、20‥‥クランプ手段 21‥‥チャック機構
23‥‥駆動機構
25‥‥三角状板部 26‥‥頂角部
27‥‥ガイド壁 28‥‥傾斜部
29‥‥側辺部 31‥‥取付ベース
33‥‥支持柱 35‥‥ガイド棒
37‥‥支持アーム
A‥‥二重包装袋 B‥‥外袋 C‥‥内袋
S‥‥包材 r‥‥右側の側縁 l‥‥左側の側縁
Y‥‥横シール部 T‥‥縦本シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した包材を引き出して搬送する包材搬送手段と、搬送されてきた包材に下側から沿わせることで搬送方向に沿って谷折り状に二つ折りする包材折返し手段と、折返された包材の搬送方向の縁どうしを合わせ横シールして筒状にする横シール手段と、筒状になった包材に縦シールして外袋とする縦シール手段とからなる製袋化機構と、製袋化中に被封入物を供給する被封入物供給機構とを備える封入包装装置において、
包材折返し手段は、頂角部が搬送方向前方を向き、且つ搬送方向前方側が後方側より下がるように傾斜した三角状部と、前記三角状部を回動自在に支持する支持手段とを有することを特徴する封入包装装置。
【請求項2】
請求項1に記載した封入包装装置において、
包材折返し手段の三角状部の頂角部は切頭されていることを特徴とする封入包装装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した封入包装装置において、
包材折返し手段の支持手段は、三角状部を上側から回動自在に持ち上げ支持していることを特徴とする封入包装装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した封入包装装置において、
包材折返し手段には、三角状部の頂角部を挟んで一対のガイド棒が備えられていることを特徴とする封入包装装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した封入包装装置において、
被充填物が充填された内袋を封入することを特徴とする封入包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−188145(P2012−188145A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53773(P2011−53773)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(391024744)不双産業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】