説明

封入固体粒子の調製方法

液体媒体中の封入固体粒子の分散物を調製するための方法であって、以下を含む方法:i)固体、液体媒体、および分散剤1gあたり0.55〜3.5ミリモルの酸価を有するポリウレタン分散剤を含む組成物を微粉砕し、これに関し、前記組成物は、固体100部あたり5〜40部のポリウレタン分散剤を含み、部は重量に基づく;そして、ii)固体および液体媒体の存在下でポリウレタン分散剤を架橋して、固体粒子を封入する;ここにおいて、ポリウレタン分散剤は、ポリマーアルコールからの反復単位を10重量%未満含有し、各ポリマーアルコールは、500ダルトンを超える数平均分子量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン分散剤で封入された固体粒子、およびポリウレタン分散剤で封入された固体粒子の調製方法に関する。固体が顔料である場合、封入粒子は、インク、特にインクジェット印刷用インクの着色剤として、特に有用である。
【背景技術】
【0002】
顔料に基づくインクは、一般に、液状ビヒクルに分散している顔料を含有する。染料に基づくインクとは対照的に、顔料は液状ビヒクルに溶解しない。
顔料に基づくインクの場合、特にインクを普通紙上に印刷したときに、高い光学濃度(OD)が得られることがとりわけ望ましい。液状ビヒクル中の顔料粒子の微細な(サブミクロン)分散物を含有するインクが容易に得られることも望ましい。そのようなインクはまた、貯蔵または使用(例えば印刷)中に望ましくはコロイド的に安定である。すなわち、望ましいインクは、貯蔵または使用中に顔料粒子の凝集または凝結をほとんどまたは全く示さないことが好ましい。多くのインクでは、大量の水混和性有機溶媒を包含することが望ましい。われわれは、公知の顔料分散物が、水混和性有機溶媒の存在下で凝集しやすいことを見いだした。
【0003】
顔料に基づくインクでは、顔料粒子を、分散剤として働くポリマーによりコロイド的に安定化させることが多い。
分散剤で安定化した顔料に基づくインクに関するわれわれ独自の研究において、われわれは、良好なコロイド安定性および普通紙上での高いODを同時に示すインクを調製することが、とりわけ難しいことを見いだした。例えば、われわれは、高いコロイド安定性を有する当分野で公知の分散剤安定化顔料インクが、普通紙上に印刷したときに低いODをもたらし、逆の場合も同様であることを見いだした。
【0004】
インクはまた、良好な湿潤および乾燥摩擦堅牢度を有する耐久性プリントを、望ましくはもたらすべきである。
われわれは、良好な湿潤摩擦堅牢度および良好なODを同時に有するインクを得ることが難しいことも見いだした。
【0005】
商業的に、上記問題の1以上を少なくとも部分的に解決するインクが、依然として必要とされ続けている。
PCT特許公開WO1999/41320号には、顔料分散物を安定化するためにポリウレタン分散剤を使用することが開示されている。
【0006】
PCT特許公開WO2006/064193号には、改善されたコロイド安定性を有する、インクジェット印刷に適した封入顔料が開示されている。
欧州特許公開EP1614721号およびEP1505128号には、スチレン−アクリルポリマーおよびポリウレタンポリマーの両方を含有する混成顔料分散物が開示されている。
【0007】
欧州特許公開EP1086975号および特開平09−104834号には、インクジェット印刷に適した封入粒子が開示されている。
上記従来技術にもかかわらず、顔料分散物のコロイド安定性、プリントの光学濃度、およびプリントの耐久性などの性質のさらなる改善が、依然として望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】PCT特許公開WO1999/41320号
【特許文献2】PCT特許公開WO2006/064193号
【特許文献3】欧州特許公開EP1614721号
【特許文献4】欧州特許公開EP1505128号
【特許文献5】欧州特許公開EP1086975号
【特許文献6】特開平09−104834号
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の観点に従って、液体媒体中の封入固体粒子の分散物を調製するための方法であって、以下を含む方法を提供する:
i)固体、液体媒体、および分散剤1gあたり0.55〜3.5ミリモルの酸価を有するポリウレタン分散剤を含む組成物を微粉砕し、
これに関し、前記組成物は、固体100部あたり5〜40部のポリウレタン分散剤を含み、部は重量に基づく;そして
ii)固体および液体媒体の存在下でポリウレタン分散剤を架橋して、固体粒子を封入する;
ここにおいて、ポリウレタン分散剤は、ポリマーアルコールからの反復単位を10重量%未満含有し、各ポリマーアルコールは、500ダルトンを超える数平均分子量を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
固体
微粉砕して粒子を形成することができるならば、特に制限することなく、あらゆる適した固体を用いることができる。固体は、微粉砕する前であっても微粒子であることが好ましい。
【0011】
固体は、液体媒体に対し不溶性の無機または有機固体材料またはそれらの混合物を含むことができ、そのような材料または混合物であることが好ましい。不溶性という語で、われわれは、液体媒体中で重量に基づき1%以下、より好ましくは0.1%以下の溶解度を有する固体を意味する。溶解度は20℃で測定することが好ましい。溶解度は、中性のpH(7.0)の水中で測定することが好ましい。
【0012】
適した固体の例は、ペイントおよびプラスチック材料用の増量剤および充填剤;蛍光増泊剤;粒状セラミック材料;磁性粒子(例えば、磁気記録媒体に使用するためのもの);金属粒子、ポリマー粒子、殺生物剤;農薬;医薬品および着色剤である。
【0013】
固体は着色剤であることが好ましい。着色剤は、好ましくは顔料または不溶性染料、より好ましくは顔料である。したがって、固体は、顔料であるか顔料を含むことが好ましい。われわれは、本発明に用いるポリウレタン分散剤が、顔料分散剤として特に良好に機能することを見いだした。
【0014】
顔料は、インクの調製に適したあらゆる種類のものであることができる。顔料は、有機または無機物であることが好ましい。
顔料は、Colour Indexの第3版(1971)、およびこれに続くその改訂版、およびその補遺の“Pigments”という見出しの章に記載されている顔料のクラスのいずれかであることができる。
【0015】
適した有機顔料の例は、アゾ(ジスアゾおよび縮合アゾを含む)、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アンタントロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドン、ならびにフタロシアニン系列、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体、ならびに酸性、塩基性および媒染染料のレーキからのものである。好ましい有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン顔料、アゾ顔料、インダントロン、アンタントロン、キナクリドン顔料である。
【0016】
好ましい無機顔料としては、金属の酸化物、硫化物、窒化物および炭化物(例えば、二酸化チタンおよび二酸化ケイ素)、金属顔料(例えばアルミニウムフレーク)、ならびに特にカーボンブラックが挙げられる。これらのうち、カーボンブラックがとりわけ好ましい。
【0017】
好ましいカーボンブラックは、ガスブラック、特に、EvonikによりNipexRTMの商品名で販売されているものである。
カーボンブラックは、16〜22nmの平均一次粒径を有することが好ましい。カーボンブラックは、140〜220m/gの表面積を有することが好ましい。
【0018】
カーボンブラック顔料の場合、これらは、カーボンブラックの表面の一部が酸化基(例えば、カルボン酸および/またはヒドロキシ基)を有するように調製することができる。しかしながら、そのような基の量は、カーボンブラックが分散剤の補助なしで水に分散することができるように、多くないことが好ましい。
【0019】
顔料は、シアン、マゼンタ、黄色または黒色顔料であることが好ましい。
顔料は、単一の化学種、または2以上の化学種を含む混合物(例えば、2以上の異なる顔料を含む混合物)であることができる。すなわち、2以上の異なる顔料を本発明の方法に用いることができる。2以上の顔料を用いる場合、これらは同じ色または色調のものである必要はない。
【0020】
固体は、分散剤の補助なしでは水性液体媒体(特に純水)に分散することができない、すなわち、分散を促進するのに分散剤の存在が必要であることが好ましい。固体は、例えばその表面にイオン性基を共有結合させることにより、化学的に表面処理されていないことが好ましい(特に−COHまたは−SOH)。
【0021】
微粉砕前に、固体は1ミクロン以上の平均粒径を有することが好ましい。典型的には、微粉砕前に、固体は1〜100ミクロンの平均粒径を有する。
平均径は、体積平均径であることが好ましい。粒径は、例えばレーザー光散乱法により測定することが好ましい。これに適した計器としては、MalvernおよびCoulterにより販売されているものが挙げられる。
ポリウレタン分散剤
架橋前に、ポリウレタン分散剤は、好ましくは1000〜500000、より好ましくは5000〜100000、特に10000〜50000、もっとも特に10000〜30000の数平均分子量を有する。分子量は、レーザー光散乱、蒸気圧浸透圧法またはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を含む任意の適した方法により確定することができる。これらのうち、GPCが好ましい。一般的に言えば、ポリウレタン分散剤の酸価は、分散剤1gあたり、好ましくは0.70〜3.5、より好ましくは1.0〜3.5、さらにより好ましくは1.0〜3.2ミリモル、特に好ましくは1.0〜3.0ミリモル、もっとも特に1.0〜2.6ミリモルである。
【0022】
一例において、分散剤の酸価は、分散剤1gあたり、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.0〜1.5、特に1.0〜1.4、もっとも特に1.1〜1.3ミリモルである。
【0023】
他の一例において、分散剤の酸価は、分散剤1gあたり、好ましくは1.5〜2.5、より好ましくは1.7〜2.3、特に1.8〜2.2、もっとも特に1.9〜2.1ミリモルである。
【0024】
他の一例において、分散剤の酸価は、好ましくは0.55〜2;より好ましくは0.7〜1.5、特に0.8〜1.2である。
本明細書で用いるポリマーアルコールという用語は、500ダルトンを超える数平均分子量を有する単官能性および多官能性アルコールをさす。ポリマーアルコールの例としては、ポリアルキレンオキシド(特にポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド)、ポリカーボネートアルコール、アクリルアルコール、スチレン−アクリルアルコール、およびポリエステルアルコール(特にポリカプロラクトンアルコール)が挙げられる。好ましいポリマーアルコールは、モノおよびジオールである。ポリマーアルコールの数平均分子量は、蒸気圧浸透圧法、質量分析法、多角レーザー光散乱、および特にゲル透過クロマトグラフィー(GPC)などの適した方法により測定することができる。これらのうち、GPCが好ましい。GPCが用いられるすべての場合において、ポリスチレン標準液を校正に用いることが好ましい。
【0025】
場合によっては、ポリウレタン分散剤が、ポリマーアルコールからの反復単位を、重量に基づき5%未満、特に1%未満、もっとも特に0%含有することが好ましい。これは特に、各ポリマーアルコールが非イオン性水分散性基を有するときに当てはまる。非イオン性水分散性基の例は、ポリエテンオキシ基である。
ポリウレタン分散剤の合成
ポリウレタン分散剤は商業的供給源から得ることができ、同様に、ポリウレタン分散剤は、イソシアネートとアルコール、特にジイソシアネートとジオールの周知の反応により、調製することができる。
【0026】
ポリウレタン分散剤は、以下の成分:
i)少なくとも1つのジイソシアネート;および
ii)少なくとも1つのジオール
を含む混合物の反応から得ることが好ましい。
【0027】
ポリウレタン分散剤は、成分i)およびii)を任意の適した方法で反応させることにより、調製することができる。実質的に無水の条件が好ましい。30℃〜130℃の温度が好ましく、反応は、成分i)中のイソシアネート基と成分ii)中のヒドロキシ基との間の反応が実質的に完了するまで継続させる。
【0028】
ポリウレタン分散剤は、上記反応から直接得ることができ、または、さらなる反応、例えば、連鎖延長を採用することができる。連鎖延長を採用する場合、初期ポリマーはプレポリマーとよばれることが多い。したがって、プレポリマーを連鎖延長する。
【0029】
ポリウレタン分散剤を上記反応混合物から直接得る場合(連鎖延長なし)、成分i)とii)の相対量は、ヒドロキシ基とイソシアネート基のモル比が、1.01:1〜2.00:1、より好ましくは1.01:1〜1.50:1、特に1.01:1〜1.30:1、もっとも特に1.01〜1.2:1になるように選択することが好ましい。結果は、ヒドロキシ官能性ポリウレタン分散剤である。
【0030】
特に、連鎖延長を採用する予定である場合、プレポリマーを調製するための成分i)とii)の相対量は、イソシアネート基とヒドロキシ基のモル比が、1.1:1〜2.0:1、より好ましくは1.15:1〜2.0:1、特に1.2:1〜2.0:1になるように選択することが好ましい。結果は、イソシアネート官能性ポリウレタン分散剤である。その後、この分散剤を続いてすぐに連鎖延長することができる。
【0031】
それら2つの可能性のうち、望ましい最終的なポリウレタン分散剤の分子量がより容易に達成されるので、プレポリマーの連鎖延長を用いる方法が好ましい。
ポリウレタン分散剤は、例えば、溶媒中で、または溶融体として、調製することができる。ポリウレタン分散剤の合成に好ましい溶媒としては、スルホランおよび環状アミド(特にn−メチルピロリドン)が挙げられる。
【0032】
望ましい場合、ポリウレタン分散剤の形成を補助するために触媒を用いてもよい。適した触媒としては、ブチルスズジラウレート、オクタン酸第一スズおよび当分野で周知のような第三アミンが挙げられる。
【0033】
該方法では触媒を用いないか、または該方法では金属を含まない触媒を用いることが好ましい。これは、得られるポリウレタン分散剤が金属含有触媒からの金属で汚染されるのを回避する利点を有する。触媒に一般に用いられるような金属は、インクジェット印刷ヘッド、とりわけサーマルインクジェット印刷機に用いられる印刷ヘッドに、悪影響を及ぼす可能性がある。
イソシアネート
ジイソシアネートは、脂肪族(線状、分枝状および脂環式ジイソシアネートを含む)または芳香族ジイソシアネートであることができる。
【0034】
適したジイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、ならびに1,5−ナフチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0035】
ジイソシアネートの混合物、とりわけ、トルエンジイソシアネートの異性体混合物またはジフェニルメタンジイソシアネート(もしくはその水素化誘導)の異性体混合物、および、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミンまたはイソシアヌレート残基の導入により修飾されている有機ポリイソシアネートを、用いることができる。
【0036】
好ましいジイソシアネートとしては、脂環式ポリイソシアネート、特にイソホロンジイソシアネート、および脂肪族イソシアネート、特に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートまたは水素化4,4−ジフェニルメチルジイソシアネートが挙げられる。イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
【0037】
ジイソシアネートに加えて、反応混合物はまた、モノイソシアネートおよび/または3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート(トリ−以上のイソシアネート)を含んでいてもよい。
【0038】
反応混合物中に存在するすべてのポリイソシアネートの重量基準での大部分は、ジ−イソシアネートであることが好ましい。
少量のトリ−以上のイソシアネートが反応混合物の一部として包含されていてもよいが、この量は、反応混合物中に存在するすべてのイソシアネートの全重量に対し、重量基準で5%を超えないことが好ましく、より好ましくは1%を超えない。好ましい態様において、反応混合物は、95〜100重量%の1以上のジイソシアネートと、0〜5重量%(好ましくは0%)の1以上のトリ−以上のイソシアネートとの混合物を含み、ここにおいて、百分率は、反応混合物中に存在するすべてのポリイソシアネートの重量に対する重量に基づく。
ジオール
ジオールは、ポリマー(500を超える数平均分子量を有する)または非ポリマーであることができる。
【0039】
ジオールは、芳香族または脂肪族(線状、分枝状および脂環式を含む)であることができる。
好ましい非ポリマージオールとしては、トリメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、パラキシリレンジオール、グリセロールモノエステル、シクロヘキサンジメタノール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドで延長され水素化ビスフェノールA、ジヒドロキシアルカン酸(特に2,2−ジメチロールプロピオン酸)、ならびにそれらの2以上の混合物が挙げられる。これらのうち、エチレングリコールが特に好ましい。
【0040】
好ましいポリマージオールとしては、ポリエーテルジオール(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド)、ポリエステルジオール(ポリカプロラクトンジオール)、アクリルジオール、スチレン−アクリルジオール、およびポリカーボネートジオールが挙げられる。
【0041】
一例において、ポリウレタン分散剤を調製するために用いられるジオール(成分ii)は、1以上の非ポリマージオールと、反応混合物の成分(ii)に存在するすべてのジオールに対し、重量基準で5%未満、好ましくは1%未満、特に0%の1以上のポリマージオールを含む。
【0042】
3以上のヒドロキシ基を有するポリオール化合物は、好ましくは反応混合物中に存在するすべてのアルコールの合計に対し5重量%を超えない低いレベルで、反応混合物中に存在することができる。
【0043】
好ましくは、反応混合物は、95〜100%の1以上のジオールと0〜5%(好ましくは0%)の1以上のトリ−以上のアルコールを含み、ここにおいて、百分率は、反応混合物中に存在するすべてのアルコールに対する重量に基づく。
【0044】
少量のモノアルコールも反応混合物中に存在することができるが、これらは存在しないことが好ましい。
所望によるアミン
成分i)およびii)に加え、ポリウレタン反応混合物はまた、少なくとも1つのアミンを含んでいてもよい。
【0045】
適したアミンの例としては、有機アミン(特に有機ジアミン)、ヒドラジンおよびヒドラジド(特にジヒドラジド)が挙げられる。有機アミンの適した1クラスは、ポリオキシアルキレンアミン、特に、Huntsmanから入手可能でJeffamineRTMの商品名で販売されているものである。特に好ましいものは、JeffamineRTM Dシリーズの材料である。
【0046】
ポリウレタン反応混合物中に存在するアミンと全アルコールとの全モル量の比は、好ましくは0.01〜1:1、より好ましくは0.01〜0.5:1、特に0.01〜0.3対1である。
水分散性基
最終的なポリウレタン分散剤は、その構造内に水分散性基を含有することが好ましい。
【0047】
水分散性基は、イオン性(カチオン性およびより好ましくはアニオン性基)、非イオン性、またはイオン性および非イオン性分散性基の混合物であることができる。
好ましいイオン性水分散性基としては、第四アンモニウム基、スルホン酸基、およびカルボン酸基が挙げられる。これらのうち、アニオン性および特にカルボン酸水分散性基が好ましい。
【0048】
存在する場合、好ましい非イオン性水分散性基はポリエチレンオキシ基である。
水分散性基は、適した水分散性基を持つイソシアネート反応性化合物の形でポリウレタン分散剤中に組み込まれていることが好ましい。分散性基を提供する好ましいイソシアネート反応性化合物としては、1以上のカルボン酸基を有するジオール、より好ましくはジヒドロキシアルカン酸、特に2,2−ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
【0049】
アニオン性水分散性基は、先に好ましいと記載した分散剤の酸価を得るのに十分な量で用いることが好ましい。
カルボン酸基およびスルホン酸基を続いて塩基またはカチオン電荷含有化合物で完全または部分的に中和して、塩を生じさせてもよい。カルボン酸基またはスルホン酸基を非イオン性水分散性基と組み合わせて用いる場合、中和は必要でない可能性がある。任意の遊離酸基から対応する塩への転化は、ポリウレタン分散剤の調製前、調製中、または分散剤の調製後(例えば、最終的なインクの調製中)に達成することができる。
【0050】
酸性水分散性基を中和するために用いられる塩基は、アンモニア、アミンまたはアルカリ金属塩基であることが好ましい。適したアミンは、第三アミン、例えば、トリエチルアミンまたはトリエタノールアミンである。適したアルカリ金属塩基としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、および炭酸塩、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムが挙げられる。第四アンモニウム水酸化物、例えばN(CHOHを用いることもできる。一般に、ポリウレタンから調製されるインクに望ましい必須の対イオンを与える塩基が用いられる。例えば、適切な対イオンとしては、Li、Na、K、NHおよび置換アンモニウム塩が挙げられる。分散剤のカリウム塩が特に好ましい。
【0051】
非イオン性水分散性基は、鎖中の基または側基であることができる。非イオン性水分散性基は、非イオン性水分散性基および少なくとも2つのイソシアネート反応性基を持つ化合物の形で、ポリウレタン分散剤中に導入することができる。
【0052】
一例において、ポリウレタン分散剤を調製するために用いられるジオール(成分ii)は、それぞれ非イオン性水分散性基を有する1以上の非ポリマージオールと、それぞれ非イオン性水分散性基を有する重量基準で5%未満、好ましくは1%未満、特に0%の1以上のポリマージオールを含み、ここにおいて、重量パーセントは、反応混合物の成分(ii)に存在するすべてのジオールに対する。
【0053】
場合によっては、ポリウレタン分散剤は非イオン性水分散性基を含まないことが望ましい。したがって、例えばそのような場合、反応混合物はポリエチレンオキシアルコールを含有しないことが好ましい。
【0054】
例えば、反応混合物は、500以上の数平均分子量(Mn)を有するポリエチレンオキシアルコールを含まない可能性がある。
ポリウレタン分散剤中の水分散性基の性質および量は、最終的なポリウレタン分散剤のの消散(dissipation)後に、溶液、分散液、乳濁液または懸濁液のいずれが形成するかに影響を与える。十分な水分散性基が最終的なポリウレタン分散剤中に存在し、これにより、完全に中和したときに分散剤が水に溶解するか容易に自己分散しうることが好ましい。
連鎖延長
ポリウレタン分散剤(プレポリマー)の分子量を増大させるために連鎖延長を採用する場合、水性液体中で実施することが好ましい。5〜80℃、より好ましくは15〜60℃の温度が好ましい。連鎖延長を行うのにかかる時間は、最終的なポリウレタン分散剤に必要な分子量にある程度依存する。
【0055】
好ましい連鎖延長剤としては、連鎖延長剤としてのヒドラジン、ヒドラジドおよび/またはジアミンが挙げられる。
他の適した連鎖延長剤としては、ポリオキシアルキレンアミン、特に、Huntsmanから入手可能でJeffamineRTMの商品名で入手可能なものである。特に好ましいものは、JeffamineRTM Dシリーズの材料である。
【0056】
連鎖延長剤として用いることができるジアミノ化合物は、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族、飽和、開鎖または環状ジアミンであることが好ましい;例えば、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、プロピレン−1,2−または−1,3−ジアミン、ヘキサメチレンジアミンならびに2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキシレン−1,6−ジアミンであり、これらのうち、2〜6個の炭素原子を有するより低分子の開鎖ジアミン、詳細には、エチレンジアミン、プロピレン−1,3−ジアミンおよびプロピレン−1,2−ジアミン、ならびにイソホロンジアミンが好ましい。あるいは、ヒドラジンおよびヒドラジドをポリウレタン分散剤のための連鎖延長剤として用いてもよく、これらは、水和物の形で採用することが好ましい。
【0057】
連鎖延長は、ポリウレタン分散剤に望ましい数平均分子量(Mn)が達成されるように行う。所望のMnが達成したか否かは、ゲル透過クロマトグラフィー(“GPC”)により評価することができる。連鎖延長に望ましい場合、ジアミノ化合物の代わりにジオール、例えばC2−6−アルカンジオールを採用してもよい。適したジオールの例としては、トリメチレングリコール、エタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジアメチロール(cyclohexanediamethylol)、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、パラキシリレンジオール、およびそれらの2以上の混合物が挙げられる。
【0058】
ポリウレタン分散剤は、分枝状であってもよいが、好ましくは線状である。
一例において、ポリウレタンを調製するためのポリウレタン反応混合物に用いられる連鎖延長基の全モル数に対するイソシアネート基の全モル数は、1:1〜3:1、より好ましくは1.05:1〜2.8:1、特に1.1:1〜2.7:1、さらに特に1.2:1〜2.6:1である。
【0059】
他の場合において、ポリウレタンを調製するためのポリウレタン反応混合物に用いられる連鎖延長基の全モル数に対するイソシアネート基の全モル数は、モルベースで、1:1.01〜1:1.7、より好ましくは1:1.05〜1:1.5、特に1:1.1〜1:1.4のポリウレタンプレポリマー中に存在するイソシアネート基である。
【0060】
好ましい連鎖延長基は、−NHまたは−NHNHである。
末端キャッピング
場合によっては、末端キャッピング剤を含有するポリウレタン分散剤を調製することが望ましい。末端キャッピング剤は、イソシアネートまたはアルコール基と反応する単官能性化合物である。末端キャッピング剤は、連鎖延長剤(上記のような)と併せて用いることもできる。ポリウレタン分散剤は、少なくとも1つのジイソシアネート、少なくとも1つのジオールおよび少なくとも1つの末端キャッピング剤を含む組成物を、所望により、少なくとも1つの連鎖延長剤と反応させることにより調製することができる。
【0061】
場合によっては、ポリウレタン分散剤を、
i)少なくとも1つのジイソシアネートおよび少なくとも1つのジオールを含む組成物を反応させることによりプレポリマーを調製し;
ii)該プレポリマーを、少なくとも1つの末端キャッピング剤および所望により少なくとも1つの連鎖延長剤と反応させる、
ことにより、調製することが好ましい。
【0062】
段階ii)で末端キャッピングおよび連鎖延長の両方を用いる場合、これらは、同時または別個に実施することができる。場合によっては、最初にプレポリマーのアルコールまたはイソシアネート基のほんの一部を末端キャップした後、残りのアルコールまたはイソシアネート基を連鎖延長することが望ましい。場合によっては、末端キャッピング剤および連鎖延長剤と同時に反応させることが好ましい。
【0063】
一例において、プレポリマーはイソシアネート官能性であり、末端キャッピング剤はイソシアネート基と反応する。
イソシアネート基に対し反応性を示す好ましい末端キャッピング剤としては、モノアルコール、モノアミン、モノヒドラジドおよびモノチオールが挙げられる。
【0064】
イソシアネート基に好ましい末端キャッピング剤の例としては、ブチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミンが挙げられる。イソシアネート基にもっとも好ましい末端キャッピング剤はブチルアミンである。われわれは、最良の末端キャッピング剤を選択すると、以下を含む性質の1以上をさらに改善することができることを見いだした:ポリウレタン分散剤の溶解性、分散剤の加工、微粉砕の容易さ、分散物の粒径および最終的なプリントの光学濃度。
【0065】
末端キャッピング剤は、モルベースで、ポリウレタンプレポリマー中に存在するイソシアネート基の好ましくは1〜70、より好ましくは5〜50、特に10〜40%と反応する。
好ましいポリウレタン分散剤組成物
上記優先傾向を考慮すると、好ましいポリウレタン分散剤は、以下の成分:
i)エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、ならびに1,5−ナフチレンジイソシアネートから選択される少なくとも1つのジイソシアネート;ならびに
ii)トリメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジアメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、パラキシリレンジオール、グリセロールモノエステル、シクロヘキサンジメタノール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドで延長された水素化ビスフェノールA、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ならびにジヒドロキシアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸)から選択される少なくとも1つのジオール、
を含む混合物の反応により得られる。
【0066】
イソシアネートおよびヒドロキシ基は、後続の連鎖延長に適した上記割合にあることが好ましい。
連鎖延長は、特に連鎖延長剤としてヒドラジンおよび/またはジアミンを用いて、上記のように実施することが好ましい。
【0067】
好ましい分散剤は、末端キャッピング剤を用いて調製することもできる。
好ましいポリウレタン分散剤の末端キャップおよび連鎖延長の両方を行うことが可能である。これは、同時に行うことが好ましい。
【0068】
したがって、より好ましいポリウレタン分散剤は、以下の成分の反応により得られる:
i)エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、ならびに1,5−ナフチレンジイソシアネートから選択される少なくとも1つのジイソシアネート;
iia)トリメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジアメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、パラキシリレンジオール、グリセロールモノエステル、シクロヘキサンジメタノール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドで延長された水素化ビスフェノールA、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ならびにポリカーボネートジオールから選択される少なくとも1つのジオール;ならびに
iib)少なくとも1つのジヒドロキシアルカン酸(好ましくは2,2−ジメチロールプロピオン酸);
iii)所望により連鎖延長剤(好ましくはヒドラジンおよび/またはジアミン);ならびに
iv)所望により末端キャッピング剤。
【0069】
成分i)、iia)およびiib)を最初の工程で反応させて、プレポリマーを形成することが好ましい。その後、成分iii)および/またはiv)をプレポリマーと反応させることができる。成分iii)およびiv)は、別個または同時に反応させることができる。成分iv)は、成分iii)の前、その反応中、またはその後に、反応させることができる。
【0070】
ポリウレタン分散剤は、ジヒドロキシアルカン酸(特に2,2−ジメチロールプロピオン酸)およびイソホロンジイソシアネートからの反復単位を含むことが好ましい。
上記ポリウレタン分散剤のいずれかにおいて、ジオールおよび連鎖延長剤以外の追加的なイソシアネート反応性化合物が用いられていてもよい。例えば、アミン、イミンおよびチオール化合物が、反応混合物中に存在していてもよい。したがって、ポリウレタンは、例えば尿素およびチオ尿素基を追加的に含んでいてもよい。これに加えて、ビウレットおよびアロファネート基など公知の副反応基も存在することができる。したがって、ポリウレタンという用語で、われわれは、連結基として存在する唯一の基がウレタン基であることを意味するわけではなく、むしろ、これが、存在する主たる基であることを意味する。
ポリウレタン分散剤の量
本発明の第1の観点の段階i)における微粉砕組成物は、重量に基づき、固体100部あたり好ましくは7〜35、より好ましくは10〜30、特に15〜25、もっとも特に約20部(+/−1部)のポリウレタン分散剤を含む。われわれは、固体が顔料であるか顔料を含む場合、これらの相対的割合が、意外にも、普通紙上での改善された光学濃度、プリントの良好な堅牢性、および良好なコロイド分散物の安定性をもたらすことを見いだした。
液体媒体
液体媒体は、水であるか水を含むことが好ましい。水に加え、液体媒体は、水混和性有機液体であることが好ましい1以上の有機液体を含むことができる。
【0071】
液体媒体は、水と少なくとも1つの水混和性有機液体を、好ましくは50:50〜99:1、より好ましくは50:50〜95:5、特に60:40〜95:5、もっとも特に60:40〜90:10の重量比で含む。
【0072】
微粉砕段階中に液体媒体中に存在する好ましい水混和性有機液体としては、アルコール(特にグリコール)、ケトン、エーテル、アミド(特に環状アミド)およびスルホランが挙げられる。
【0073】
そのような水混和性有機液体は、ポリウレタン分散剤のより良好な溶解/分散ならびに固体の湿潤および微粉砕に役立つ可能性がある。
場合によっては、微粉砕段階中に、液体媒体は、水と、全液体媒体に基づき10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、特に1重量%未満の1以上の水混和性有機液体とを含むことが望ましい可能性がある。これにより、不要な水混和性有機液体を除去するために組成物を精製する必要がなくなり、最終的なインクおよびインクジェット印刷用インクのための添加剤をより良好に選択することが可能になる。この場合、微粉砕のための組成物を調製する前にポリウレタン分散剤組成物中に存在する水混和性有機液体(例えばn−メチルピロリドン)を除去することが、しばしば好都合である。これは、ポリウレタンの調製と微粉砕のための組成物の形成との間の精製段階により行うことが好ましい。ポリウレタン分散剤から水混和性有機液体を除去するための好ましい精製段階としては、蒸溜および膜洗浄が挙げられる。
微粉砕する組成物のための所望による添加剤
微粉砕のための組成物は、固体、液体媒体およびポリウレタン分散剤に加え、広い範囲の所望による添加剤を含むことができる。適した所望による添加剤としては、界面活性剤、pH緩衝剤、塩基、殺生物剤、殺カビ剤および粘度調整剤が挙げられる。
微粉砕
微粉砕という語は、段階i)において組成物に十分なエネルギーを与えて固体の平均粒径を低減する方法を包含すると理解される。ミル粉砕がこの種のもっとも一般的な方法であるが、他の微粉砕方法としては、ミクロ流動化、音波処理および均質化が挙げられる。これらのうち、ミル粉砕、特にビーズミル粉砕が、好ましい微粉砕法である。
【0074】
攪拌、ブレンディング、混合、タンブリングおよびフォールディング(folding)などの低エネルギー法は、固体の粒径が実質的に変化しないままなので、微粉砕法とみなさない。
【0075】
上記のように、微粉砕前に、固体は、1ミクロン以上の平均粒径を有することが好ましい。典型的には、微粉砕前に、固体は1〜100ミクロンの平均粒径を有する。微粉砕は、微粉砕後の固体が、1ミクロン未満、より好ましくは30〜500nm、特に30〜200nm、もっとも特に50〜170nmの平均粒径を有するようなものであることが好ましい。平均粒径は、Zまたは体積平均径であることができる。粒径を測定するためにあらゆる適した方法を用いることができるが、好ましい方法は光散乱である。
【0076】
好ましい封入固体粒子は、実質的に他の種類のポリマー分散剤ではなく、ポリウレタン分散剤により封入されている。
実質的にという語により、本発明の第1の観点の段階i)において、組成物は、ポリウレタン以外のポリマー分散剤を、ポリウレタン分散剤10部あたり1部未満、より好ましくは0.1部未満、特に0部含むことが好ましい。ここにおいて、部はすべて重量に基づく。
【0077】
段階i)において組成物中に存在しないことが好ましいポリウレタン以外の分散剤としては、ポリアクリル、ポリスチレンおよびポリエステル分散剤が挙げられる。
ポリウレタン以外の分散剤は、段階i)とii)の間に、微粉砕された固体に加えないことが好ましい。したがって、固体の周囲に架橋する唯一の分散剤は、実質的にポリウレタンである。
【0078】
最終的な封入固体は、ポリウレタン以外の架橋ポリマー分散剤を、架橋ポリウレタン分散剤10部あたり好ましくは1部未満、より好ましくは0.1部未満、特に0部含む。ここにおいて、部はすべて重量に基づく。
【0079】
最終的な封入固体は、ポリウレタン以外のポリマー分散剤を含まないことが好ましい(架橋しているか否かに関わらない)。
架橋
微粉砕段階の後、固体および液体媒体の存在下でポリウレタン分散剤を架橋して、固体粒子を封入する。液体媒体は、微粉砕段階で用いたもの同じであってもよく、異なっていてもよい。液体媒体は、先に記載したとおりであることが好ましい。
【0080】
多くの方法が、ポリウレタンの架橋をもたらすのに適している。例えば、加熱、触媒の添加、または反応性基の脱保護により架橋することができる基をポリウレタン中に包含させることが可能である。これは、外部の架橋剤を必要としないので“自己”架橋性である。
【0081】
あるいは、架橋を、架橋剤の添加により生じさせることができる。
一例では、イソシアネート官能性ポリウレタン分散剤を、続いて、2以上のイソシアネート反応性基を含有する架橋剤により架橋する。アルコール、チオール、アミン、ヒドラジンおよびヒドラジドが特に適している。
【0082】
同様に他の一例では、ヒドロキシ官能性ポリウレタン分散剤を、2以上のイソシアネート、アジリジン、エポキシ、シラン、カルボジイミド、メラミンまたはオキサゾリン基を含有する架橋剤により架橋する。
【0083】
好ましい架橋法において、ポリウレタン分散剤は、カルボジイミド、アジリジン、オキサゾリンおよび特にエポキシ基から選択される1以上の架橋剤と架橋しているカルボン酸基を含有する。この態様において、架橋反応および架橋剤は、PCT公開WO2006/064193号およびWO2008/107658号に開示されているとおりであることができる。
【0084】
特に好ましい架橋剤としては、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルおよび/またはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが挙げられる。適したポリグリセロールポリグリシジルエーテルの例は、Nagase ChemteXからDencaolRTM EX−521として市販されている。ポリアルキレンオキシポリグリシジルエーテルも用いることができる。
【0085】
架橋は、加熱により生じさせることがもっとも好ましい。架橋温度は、好ましくは50〜120℃、より好ましくは50〜100℃である。架橋反応にかかる時間は、好ましくは10分〜16時間、特に1〜10時間、さらに特に3〜8時間である。
分散剤の乾燥
所望の場合、本発明の第1の観点に従った方法を用いて、濃縮された形または乾燥した形で封入粒状固体を調製することができる。さらなる段階において、液体媒体の一部またはすべてを除去することができる。
【0086】
したがって、本発明の第1の観点に従った方法は、液体媒体の一部を除去して、濃縮された分散物、ペーストまたは湿潤ケークを調製する段階を、追加的に含むことができる。
同様に、本発明の第1の観点に従った方法は、液体媒体のすべてを除去し、これにより乾燥封入粒状固体を提供する段階を、さらに含むことができる。この固体は、続いて、最終用途のための液体媒体に再び分散させることができる。これの利点は、液体媒体の不必要な重量を除いて粒状固体を輸送することが可能になる点である。
第2の観点
本発明の第2の観点に従って、本発明の第1の観点の方法により得ることができる、または得た分散物を提供する。固体は、上記のように顔料であるか顔料を含むことが好ましい。
インクの調製
架橋段階ii)の後、例えば未架橋またはフリーな分散剤を除去するために、分散物を精製してもよい。適した精製法としては、濾過、遠心分離および特に膜精製が挙げられる。PCT公開WO2008/043984号に記載されている方法が、これらの分散物の精製に特に適している。クロスフロー膜精製を用いることが好ましい。
【0087】
架橋段階ii)の後、大きすぎる粒子を除去するために、分散物を濾過または遠心分離してもよい。段階ii)の後、分散物を濾過および/または遠心分離して、1ミクロン以上の大きさを有する固体粒子を除去することが好ましい。
【0088】
特にインクがインクジェット印刷用インクとして用いられることになっている場合、分散物を処理して二価以上の金属イオンを除去する。最終的な分散物は、好ましくは1000ppm、より好ましくは500ppm未満、特に100ppm未満の二価以上の金属イオンを含有する。本明細書中で用いるppmという用語は、液体媒体の全成分に基づく重量基準での100万部あたりの部を意味する。
【0089】
特に固体が顔料であるか顔料を含む場合、インク、特にインクジェット印刷用インクを調製するために、封入顔料分散物を用いることが好ましい。これは、本発明の第1の観点に従った方法であって、さらに、粘度調整剤、pH緩衝剤、腐食抑制剤、殺生物剤、染料、他の顔料、コゲーション低減剤(kogation reducing additive)、キレート化剤、バインダーおよび水混和性有機液体から選択される1以上のインク添加剤を加えることによりインクを調製する段階を含む方法により、行うことが好ましい。そのような添加剤は、最適なインクジェット印刷用インクの配合に有用である。
【0090】
好ましい水混和性有機液体は、インク、特にインクジェット印刷用インクでの使用に適したもののいずれかであることが好ましい。そのような水混和性有機液体の例は、当分野で、例えばWO2006/103414号の10頁、17行〜11頁、23行において、十分に記載されている。参考までに、本明細書中で用いる有機液体という用語は、WO2006/103414号に有機溶媒として挙げられているものと同じ液体を包含する。
【0091】
好ましいインク(特にインクジェット印刷用インク)は、水および少なくとも1つの水混和性有機液体を液体媒体として含有する。水と全水混和性有機液体の量は、好ましくは50:50〜99:1、より好ましくは50:50〜95:5、特に60:40〜95:5、もっとも特に60:40〜90:10の重量比にある。
【0092】
インクジェット印刷用インクの場合、インクは、好ましくは50mPa.s未満、より好ましくは30mPa.s未満、特に1〜20mPa.sの粘度を有する。粘度は、25℃の温度で流動計により測定することが好ましい。粘性は、その挙動においてニュートン粘性であることが好ましい。
【0093】
好ましいインクは以下を含む:
i)本発明の第1の観点に従った方法により調製した封入顔料粒子を、重量に基づき0.01〜50部、より好ましくは0.1〜30部、特に1〜15部;および
ii)液体媒体を、重量に基づき50〜99.99部、より好ましくは70〜99.9部、特に85〜99部;
ここにおいて、部は重量に基づき、成分i)およびii)の部の合計は100部である。
【0094】
インクは、インクジェット印刷機、特に、音響式、サーマル式または圧電式インクジェット印刷機での使用に適していることが好ましい。
他の観点
本発明の第3の観点に従って、本発明の第2の観点に従った分散物を含むインクジェット印刷機用インクを提供する。
【0095】
本発明の第4の観点に従って、チャンバーおよび本発明の第3の観点に従ったインクを含むインクジェット印刷機用カートリッジであって、該インクが該チャンバー内にある、前記カートリッジを提供する。
【0096】
本発明の第5の観点に従って、本発明の第4の観点に従ったインクジェット印刷機用カートリッジを含むインクジェット印刷機を提供する。
本発明の第6の観点に従って、本発明の第3の観点に従ったインクが印刷される基材を提供する。基材は、紙、プラスチック、ガラス、金属または布であることができる。紙は、インクジェット受容体コーティング(receptor coating)を有していても有していなくてもよい。紙は、膨潤性または多孔質の種類の受容体コーティングを有することができる。紙は、事実上、酸性、塩基性または中性であることができる。
【0097】
本発明を以下の実施例によりさらに例示する。ここにおいて、部はすべて、特記しない限り重量に基づく。
【実施例】
【0098】
1. 分散剤の調製
1.1 分散剤(1)の調製
1.1.1 プレポリマー溶液(1)の調製
N−メチルピロリドン(200部)、2,2−ジメチロールプロピオン酸(57.37部)およびイソホロンジイソシアネート(142.63部)を、25℃の温度において反応容器に入れた。
【0099】
反応器内容物を攪拌しながら50℃に加熱し、オクタン酸スズを2滴加えた。その後、反応器内容物を95℃に加熱し、その温度で2.5時間維持した。反応器内容物をサンプリングし、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は4.2%w/wであることが見いだされた。さらにN−メチルピロリドン(262.9部)を反応器に加えた後、25℃に冷却した。
【0100】
これをプレポリマー溶液(1)とした。
1.1.2 連鎖延長および分散剤溶液(1)の調製
N−メチルピロリドン(640部)およびヒドラジン(11.05部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を25℃で攪拌した。段階1.1.1で形成したプレポリマー溶液(1)(640部)を、70℃において10分間かけて加えた。第2の反応器の内容物(1)の温度は、プレポリマー溶液(1)の添加中そのまま上昇させた。添加終了後、攪拌をさらに1時間継続し、反応器内容物をそのまま25℃に冷却した。
【0101】
これを分散剤溶液(1)とした。
1.1.3 透析による分散剤溶液(1)からのN−メチルピロリドンの除去
段階1.1.2で調製した分散剤溶液(1)の一部をとり、透析してN−メチルピロリドンを除去し、透析した材料を70℃のオーブンで乾燥した。
【0102】
これを分散剤(1)とした。
分散剤(1)は、22518の数平均分子量および42178の重量平均分子量を有していた。
【0103】
該分散剤の計算酸価は2.0mmol/gであった。
1.2 分散剤(2)の調製
1.2.1 プレポリマー溶液(2)の調製
N−メチルピロリドン(107.69部)、2,2−ジメチロールプロピオン酸(40.2部)、エチレングリコール(9.39部)およびイソホロンジイソシアネート(150.41部)を、25℃の温度において反応容器に入れた。
【0104】
反応器内容物を攪拌しながら50℃に加熱し、オクタン酸スズを2滴加えた。その後、反応器内容物を95℃に加熱し、その温度で1.5時間維持した。反応器内容物をサンプリングし、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は6.0%w/wであることが見いだされた。さらにN−メチルピロリドン(354.9部)を反応器に加えた後、25℃に冷却した。
【0105】
これをプレポリマー溶液(2)とした。
1.2.2 連鎖延長および分散剤溶液(2)の調製
N−メチルピロリドン(320部)およびヒドラジン(6.07部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を25℃で攪拌した。段階1.2.1で形成したプレポリマー溶液(2)(320部)を、70℃において10分間かけて加えた。第2の反応器の温度は、プレポリマー溶液(2)の添加中そのまま上昇させた。添加終了後、攪拌を1時間継続し、反応器をそのまま25℃に冷却した。
【0106】
これを分散剤溶液(2)とした。
1.2.3 透析による分散剤溶液(2)からのN−メチルピロリドンの除去
段階1.2.2で調製した分散剤溶液(2)の一部をとり、透析してN−メチルピロリドンを除去し、透析した材料を70℃のオーブンで乾燥した。
【0107】
これを分散剤(2)とした。
分散剤(2)は、22104の数平均分子量および40366の重量平均分子量を有していた。
【0108】
該分散剤の計算酸価は1.41mmol/gであった。
1.3 分散剤(3)の調製
1.3.1 プレポリマー溶液(3)の調製
N−メチルピロリドン(107.69部)、2,2−ジメチロールプロピオン酸(33.50部)、エチレングリコール(13.06部)およびイソホロンジイソシアネート(153.44部)を、25℃の温度において反応容器に入れた。
【0109】
反応器内容物を攪拌しながら50℃に加熱し、オクタン酸スズを2滴加えた。その後、反応器内容物を95℃に加熱し、その温度で1.5時間維持した。反応器内容物をサンプリングし、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は6.1%w/wであることが見いだされた。さらにN−メチルピロリドン(353.96部)を反応器に加えた後、25℃に冷却した。
【0110】
これをプレポリマー溶液(3)とした。
1.3.2 連鎖延長および分散剤溶液(3)の調製
N−メチルピロリドン(320部)およびヒドラジン(6.182部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を25℃で攪拌し、上記段階1.3.1で形成したプレポリマー溶液(3)(320部)を、70℃において10分間かけて加えた。第2の反応器の温度は、プレポリマー溶液(3)の添加中そのまま上昇させた。添加終了後、攪拌を1時間継続し、反応物をそのまま25℃に冷却した。
【0111】
これを分散剤溶液(3)とした。
1.3.3 透析による分散剤溶液(3)からのN−メチルピロリドンの除去
段階1.3.2で調製した分散剤溶液(3)の一部をとり、透析してN−メチルピロリドンを除去し、透析した材料を70℃のオーブンで乾燥した。
【0112】
これを分散剤(3)とした。
分散剤(3)は、22674の数平均分子量および41524の重量平均分子量を有していた。
【0113】
該分散剤の計算酸価は1.17mmol/gであった。
1.4 分散剤(4)および分散剤水溶液(4)の調製
1.4.1 分散剤(4)の調製
ジメチロールプロピオン酸(53.54部)、エチレングリコール(13.5部)、スルホラン(300部)およびオクタン酸スズ(0.02部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を100℃に加熱し、イソホロンジイソシアネート(132.96部)を約1.5時間かけて反応器に加えた。反応器を約100℃でさらに15時間維持して、スルホラン中の分散剤(4)の溶液を生産した。
1.4.2 分散剤水溶液(4)の調製
1.4.1で調製した分散剤(4)の溶液を80℃で攪拌し、これに、脱イオン水(292.46部)および水酸化カリウム水溶液45%w/w(37.71部)を含む供給物を加えた。得られた溶液のpHを、水酸化カリウム水溶液10%w/wを用いて9の値に調整した。
【0114】
これを分散剤水溶液(4)とした。該水溶液は、約23.8重量%の分散剤(4)を含有していた。
分散剤(4)は、20206の数平均分子量および49058の重量平均分子量を有していた。
【0115】
分散剤(4)の計算酸価は2.0mmol/gであった。
1.5 分散剤(5)および分散剤水溶液(5)の調製
1.5.1 プレポリマー溶液(5)の調製
ジメチロールプロピオン酸(32.99部)、スルホラン(172.5部)およびイソホロンジイソシアネート(82.01部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(0.0107部)を反応器に加えた。
【0116】
反応器を約95℃に加熱してその温度で1.5時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.4%w/wであることが見いだされた。
【0117】
これをプレポリマー溶液(5)とした。
1.5.2 連鎖延長および分散剤水溶液(5)の調製
脱イオン水(217.66部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(100.61部)およびヒドラジン(2.653部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(5)(262部)を30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(5)の温度は約70℃で維持した。プレポリマー溶液(5)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を2時間継続し、その間に反応物をそのまま25℃に冷却した。
【0118】
これを分散剤水溶液(5)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(5)を含有していた。
分散剤(5)は、17055の数平均分子量および46853の重量平均分子量を有していた。
【0119】
分散剤(5)の計算酸価は2.10mmol/gであった。
1.6 分散剤(6)および分散剤水溶液(6)の調製
1.6.1 プレポリマー溶液(6)の調製
ジメチロールプロピオン酸(30.94部)、エチレングリコール(19.17部)、スルホラン(345部)およびイソホロンジイソシアネート(179.89部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(0.0233部)を反応器に加えた。
【0120】
反応器を約95℃に加熱してその温度で2時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.8%w/wであることが見いだされた。
【0121】
これをプレポリマー溶液(6)とした。
1.6.2 連鎖延長および分散剤水溶液(6)の調製
脱イオン水(251.2部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(5.97部)およびヒドラジン一水和物(7.203部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(6)(265.2部)と、水酸化カリウム水溶液10%w/w(53.71部)の別個の供給物とを、30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(6)の温度は約70℃で維持した。プレポリマー溶液(6)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を1時間継続し、その間に反応物をそのまま冷却した。
【0122】
これを分散剤水溶液(6)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(6)を含有していた。
分散剤(6)は、17348の数平均分子量および66224の重量平均分子量を有していた。
【0123】
分散剤(6)の計算酸価は0.96mmol/gであった。
1.7 分散剤(7)および分散剤水溶液(7)の調製
1.7.1 プレポリマー溶液(7)の調製
ジメチロールプロピオン酸(26.9部)、エチレングリコール(16.67部)、スルホラン(300部)およびイソホロンジイソシアネート(156.43部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(0.0233部)を反応器に加えた。
【0124】
反応器を約95℃に加熱してその温度で1.5時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.9%w/wであることが見いだされた。
【0125】
これをプレポリマー溶液(7)とした。
1.7.2 連鎖延長および分散剤水溶液(7)の調製
脱イオン水(210.7部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(4.98部)およびヒドラジン一水和物(6.43部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(7)(221.5部)と、水酸化カリウム水溶液10%w/w(44.86部)の別個の供給物とを、30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(7)の温度は約70℃で維持した。プレポリマー溶液(7)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を1時間継続し、その間に反応物をそのまま冷却した。
【0126】
これを分散剤水溶液(7)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(7)を含有していた。
分散剤(7)は、14780の数平均分子量および35864の重量平均分子量を有していた。
【0127】
分散剤(7)の計算酸価は0.96mmol/gであった。
1.8 分散剤(8)および分散剤水溶液(8)の調製
1.8.1 プレポリマー溶液(8)の調製
ジメチロールプロピオン酸(30.94部)、エチレングリコール(19.17部)、スルホラン(345部)およびイソホロンジイソシアネート(179.89部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(0.0234部)を反応器に加えた。
【0128】
反応器を約95℃に加熱してその温度で2時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.8%w/wであることが見いだされた。
【0129】
これをプレポリマー溶液(8)とした。
1.8.2 連鎖延長および分散剤水溶液(8)の調製
脱イオン水(177.6部)、スルホラン(85.71部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(4.92部)およびエチレンジアミン(7.7部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(8)(257.1部)と、水酸化カリウム水溶液10%w/w(44.27部)の別個の供給物とを、30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(8)の温度は約70℃で維持した。プレポリマー溶液(8)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を1時間継続し、その間に反応物をそのまま冷却した。
【0130】
これを分散剤水溶液(8)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(8)を含有していた。
分散剤(8)は、11893の数平均分子量および43508の重量平均分子量を有していた。
【0131】
分散剤(8)の計算酸価は0.93mmol/gであった。
1.9 分散剤(9)および分散剤水溶液(9)の調製
1.9.1 プレポリマー溶液(9)の調製
ジメチロールプロピオン酸(50.44部)、エチレングリコール(31.26部)、スルホラン(563部)およびイソホロンジイソシアネート(293.3部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(0.0493部)を反応器に加えた。
【0132】
反応器を約95℃に加熱してその温度で2時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.9%w/wであることが見いだされた。
【0133】
これをプレポリマー溶液(9)とした。
1.9.2 連鎖延長および分散剤水溶液(9)の調製
脱イオン水(226部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(5部)、ブチルアミン(2.152部)およびエチレンジアミン(5部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(9)(222部)と、水酸化カリウム水溶液10%w/w(45部)の別個の供給物とを、30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(9)の温度は約70℃で維持した。プレポリマー溶液(8)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を1時間継続し、その間に反応物をそのまま冷却した。これを分散剤水溶液(9)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(9)を含有していた。
【0134】
分散剤(9)は、19134の数平均分子量および52740の重量平均分子量を有していた。
分散剤(9)の計算酸価は0.93mmol/gであった。
1.10 分散剤(10)および分散剤水溶液(10)の調製
1.10.1 プレポリマー溶液(10)の調製
ジメチロールプロピオン酸(40.35部)、エチレングリコール(25部)、スルホラン(450部)およびイソホロンジイソシアネート(234.6部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(0.0427部)を反応器に加えた。
【0135】
反応器を約95℃に加熱してその温度で2時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.7%w/wであることが見いだされた。
【0136】
これをプレポリマー溶液(10)とした。
1.10.2 連鎖延長および分散剤水溶液10の調製
脱イオン水(234部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(5.24部)、エタノールアミン(1.88部)およびエチレンジアミン(5.243部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(10)(233部)と、水酸化カリウム水溶液10%w/w(47.12部)の別個の供給物とを、30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(10)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を1時間継続し、その間に反応物をそのまま冷却した。
【0137】
これを分散剤水溶液(10)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(10)を含有していた。
分散剤(10)は、20774の数平均分子量および53172の重量平均分子量を有していた。
【0138】
分散剤(10)の計算酸価は0.93mmol/gであった。
1.11 分散剤(11)および分散剤水溶液(11)の調製
1.11.1 プレポリマー溶液(11)の調製
ジメチロールプロピオン酸(62.81部)、エチレングリコール(24.5部)、スルホラン(563部)およびイソホロンジイソシアネート(287.7部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(0.04部)を反応器に加えた。
【0139】
反応器を約95℃に加熱してその温度で2時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.8%w/wであることが見いだされた。
【0140】
これをプレポリマー溶液(11)とした。
1.11.2 連鎖延長および分散剤水溶液(11)の調製
脱イオン水(228部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(6.47部)、ブチルアミン(2.233部)およびエチレンジアミン(5.19部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(11)(230.8部)と、水酸化カリウム水溶液10%w/w(58.22部)の別個の供給物とを、30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(11)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を1時間継続し、その間に反応物をそのまま冷却した。
【0141】
これを分散剤水溶液(11)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(11)を含有していた。
分散剤(11)は、19328の数平均分子量および64203の重量平均分子量を有していた。
【0142】
分散剤(11)の計算酸価は1.16mmol/gであった。
1.12 分散剤(12)および分散剤水溶液(12)の調製
1.12.1 プレポリマー溶液(12)の調製
ジメチロールプロピオン酸(70.46部)、スルホラン(524部)、エチレングリコール(16.5部)およびイソホロンジイソシアネート(236.2部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(2滴)を反応器に加えた。
【0143】
反応器を約95℃に加熱してその温度で3時間維持し、この時点で加熱装置を取り外し、反応器内容物をサンプリングして、滴定によりイソシアネート含有率を決定した。イソシアネート含有率は3.3%w/wであることが見いだされた。
【0144】
これをプレポリマー溶液(12)とした。
1.12.2 連鎖延長および分散剤水溶液(12)の調製
脱イオン水(254部)、水酸化カリウム水溶液10%w/w(9部)およびエチレンジアミン(5.04部)を第2の反応器に加えた。第2の反応器の内容物を40℃で攪拌し、プレポリマー溶液(12)(267部)と、水酸化カリウム水溶液10%w/w(80.8部)の別個の供給物とを、30分間かけて加えた。プレポリマー溶液(12)を添加し始めてから終わるまで、第2の反応器の温度は約40℃で維持した。添加終了後、攪拌を1時間継続し、その間に反応物をそのまま冷却した。
【0145】
これを分散剤水溶液(12)とした。該水溶液は、約20重量%の分散剤(12)を含有していた。
分散剤(12)は、18037の数平均分子量および52585の重量平均分子量を有していた。
【0146】
分散剤(12)の計算酸価は1.55mmol/gであった。
1.13 比較分散剤溶液(1)の調製
モノマー供給組成物を、メタクリル酸ベンジル(785部)、メタクリル酸(215部)、3−メルカプトプロピオン酸ブチル(5.97部)およびジプロピレングリコール(375部)を混合することにより調製した。
【0147】
開始剤供給組成物を、ペルオキシ−2−エチキルヘキサン酸tert−ブチル(17.60部)およびジプロピレングリコール(187.5部)を混合することにより調製した。
【0148】
ジプロピレングリコール(187.5部)を反応容器内で80℃に加熱し、継続的に攪拌し、窒素ガス雰囲気でパージした。モノマー供給組成物および開始剤供給組成物を反応容器に徐々に供給する一方、内容物を攪拌し、温度を80℃で維持し、窒素雰囲気を維持した。モノマー供給物および開始剤供給物の両方を、4時間かけて反応器に供給した。反応容器の内容物をさらに6時間にわたり80℃で維持した後、25℃に冷却した。最終的な固体含有率は40%であった。これを比較分散剤溶液(1)とした。
【0149】
比較分散剤(1)は、51154の数平均分子量、86797の重量平均分子量、およびGPCにより測定して1.7の多分散性を有するアクリルコポリマーであった。比較分散剤(1)は、2.5ミリモルの酸基/分散剤1gに相当する酸価を有していた。比較分散剤(1)は、メタクリル酸ベンジルおよびメタクリル酸からの反復単位を、それぞれ重量に基づき78.5:21.5の割合で含有していた。
1.14 比較分散剤(2)の調製
1.14.1 比較プレポリマー溶液(2)の調製
ジメチロールプロピオン酸(51.6部)、ポリカプロラクトン1250ジオール(208.4部)、メチルエチルケトン(360部)およびイソホロンジイソシアネート(140部)を、25℃において反応器に入れた。反応器を攪拌し、オクタン酸スズ(2滴)を反応器に加えた。
【0150】
反応器を81〜83℃に加熱し、その温度で7.5時間維持した。反応器内容物をサンプリングし、イソシアネート含有率を滴定により決定した。イソシアネート含有率は0.82%w/wであることが見いだされた。
【0151】
これを比較プレポリマー溶液(2)とした。この比較例は、特開平09−104834号、[0120]、合成例7に基づいている。
1.14.2 連鎖延長および比較分散剤水溶液(2)の調製
比較プレポリマー溶液(2)をメチルエチルケトン(450部)で希釈した。メチルエチルケトン(53.14部)およびエチレンジアミン(2.648部)からなる溶液を調製した。反応器内容物を室温で攪拌し、エチレンジアミン溶液を迅速に加えた。添加終了後、攪拌を1時間継続した。この溶液の一部(480部)をとり、回転蒸発により溶媒を除去した。脱イオン水(141.78部)、水酸化カリウム水溶液45%w/w(10.19部)およびスルホラン(247.6g)をフラスコに加え、これを、均質溶液が得られるまで80℃で加熱した。
【0152】
これを比較分散剤水溶液(2)とした。該水溶液は、約20重量%の比較分散剤(2)を含有していた。
比較分散剤(2)は、28046の数平均分子量および67146の重量平均分子量を有していた。
【0153】
比較分散剤(2)の計算酸価は0.96mmol/gであった。
2. 分散剤水溶液の調製
2.1 分散剤水溶液(1)
1.1.3で調製した分散剤(1)(100部)、水酸化カリウム溶液(45%w/w)(20.6部)および脱イオン水(607.8部)を、70℃の反応器で1時間加熱した。水酸化カリウム溶液(45%w/w)を、約9のpHに達するまで滴下して加えた。
【0154】
これを、分散剤水溶液(1)とした。該水溶液は、約15重量%の分散剤(1)を含有していた。
2.2 分散剤水溶液(2)
1.2.3で調製した分散剤(2)(100部)、水酸化カリウム溶液(45%w/w)(14.4部)および脱イオン水(595.4部)を、70℃の反応器で1時間加熱した。水酸化カリウム溶液(45%w/w)を、約9のpHに達するまで滴下して加えた。
【0155】
これを、分散剤水溶液(2)とした。該水溶液は、約15重量%の分散剤(2)を含有していた。
2.3 分散剤水溶液(3)
1.3.3で調製した分散剤(3)(100部)、水酸化カリウム溶液(45%w/w)(12部)および脱イオン水(590.6部)を、70℃の反応器で1時間加熱した。水酸化カリウム溶液(45%w/w)を、約9のpHに達するまで滴下して加えた。
【0156】
これを、分散剤水溶液(3)とした。該水溶液は、約15重量%の分散剤(3)を含有していた。
2.4 比較分散剤水溶液(1)
1.13で調製した比較分散剤溶液(1)(100部)を水酸化カリウム水溶液で中和して、約9のpHを有する水溶液を得た。これにより、約29重量%の比較分散剤(1)を含有する比較分散剤水溶液(1)が得られた。
3. 微粉砕によるミルベースの調製
3.1 黒色ミルベース(1)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、2.1で調製した分散剤水溶液(1)(100部)および水(325部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0157】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて1時間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.2mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を7時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0158】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(1)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、93nmのZ−平均粒径を有していた。Z−平均粒径は、Malvernから得たZetasizerRTM 3000を用いて、すべての分散物について確定した。
3.2 黒色ミルベース(2)
黒色ミルベース(2)は、2.2で調製した分散剤水溶液(2)を分散剤水溶液(1)の代わりに用いた点を除き、黒色ミルベース(1)と同様に調製した。得られたミルベース中の顔料粒子は、99nmのZ−平均粒径を有していた。
3.3 黒色ミルベース(3)
黒色ミルベース(3)は、2.3で調製した分散剤水溶液(3)を分散剤水溶液(1)の代わりに用い、ミル粉砕時間を7時間から8時間に延ばした点を除き、黒色ミルベース(1)と同様に調製した。得られたミルベース中の顔料粒子は、106nmのZ−平均粒径を有していた。
3.4 黒色ミルベース(4)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.4.2で調製した分散剤水溶液(4)(47部)および水(378部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0159】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて0.5時間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を8時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0160】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(4)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、106nmのZ−平均粒径を有していた。
3.5 黒色ミルベース(5)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、165部)、1.5.2で調製した分散剤水溶液(5)(165部)および水(770部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0161】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて1時間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を1.1時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0162】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(5)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、142nmのZ−平均粒径を有していた。
3.6 黒色ミルベース(6)
黒色ミルベース(6)は、ミル粉砕時間を1.1時間から1.4時間に延ばした点を除き、黒色ミルベース(5)と同様に調製した。得られたミルベース中の顔料粒子は、134nmのZ−平均粒径を有していた。
3.7 黒色ミルベース(7)
黒色ミルベース(7)は、ミル粉砕時間を1.1時間から5時間に延ばした点を除き、黒色ミルベース(5)と同様に調製した。得られたミルベース中の顔料粒子は、110nmのZ−平均粒径を有していた。
3.8 黒色ミルベース(8)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.5.2で調製した分散剤水溶液(5)(37.5部)および水(387.5部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0163】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて5分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を7時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0164】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(8)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、98nmのZ−平均粒径を有していた。
3.9 黒色ミルベース(9)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.6.2で調製した分散剤水溶液(6)(75部)、水(308部)およびスルホラン(42部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0165】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて45分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を5.5時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0166】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(9)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、147nmのZ−平均粒径を有していた。
3.10 黒色ミルベース(10)
黒色ミルベース(10)は、ミル粉砕時間を5.5時間から11時間に延ばした点を除き、黒色ミルベース(9)と同様に調製した。得られたミルベース中の顔料粒子は、126nmのZ−平均粒径を有していた。
3.11 黒色ミルベース(11)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.6.2で調製した分散剤水溶液(6)(75部)、水(240部)およびスルホラン(110部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0167】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて45分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を10時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0168】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(11)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、133nmのZ−平均粒径を有していた。
3.12 黒色ミルベース(12)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 70カーボンブラック顔料、75部)、1.7.2で調製した分散剤水溶液(7)(75部)および水(350部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0169】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて10分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を6時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0170】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(12)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、140nmのZ−平均粒径を有していた。
3.13 黒色ミルベース(13)
黒色ミルベース(13)は、顔料としてNIPexRTM 70の代わりにNIPexRTM 160IQ(Evonik degussaから、75部)を用いた点を除き、黒色ミルベース(12)と同様に調製した。得られたミルベース中の顔料粒子は、108nmのZ−平均粒径を有していた。
3.14 黒色ミルベース(14)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.7.2で調製した分散剤水溶液(7)(113部)、水(240部)およびスルホラン(60部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0171】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて1時間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を13時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0172】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(14)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、123nmのZ−平均粒径を有していた。
3.15 黒色ミルベース(15)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.7.2で調製した分散剤水溶液(7)(150部)および水(275部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0173】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて30分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を4時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0174】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(15)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、113nmのZ−平均粒径を有していた。
3.16 黒色ミルベース(16)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.8.2で調製した分散剤水溶液(8)(113部)および水(312部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0175】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて10分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を9時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0176】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(16)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、116nmのZ−平均粒径を有していた。
3.17 黒色ミルベース(17)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.9.2で調製した分散剤水溶液(9)(75部)および水(350部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0177】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて45分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を12時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0178】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(17)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、110nmのZ−平均粒径を有していた。
3.18 黒色ミルベース(18)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.9.2で調製した分散剤水溶液(9)(75部)、水(175部)およびジプロピレングリコール(175部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0179】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて1時間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を6.5時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0180】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(18)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、96nmのZ−平均粒径を有していた。
3.19 黒色ミルベース(19)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.9.2で調製した分散剤水溶液(9)(113部)および水(312部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0181】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて15分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を8時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0182】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(19)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、114nmのZ−平均粒径を有していた。
3.20 黒色ミルベース(20)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.10.2で調製した分散剤水溶液(10)(75部)および水(350部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0183】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて45分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を7.5時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0184】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(20)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、104nmのZ−平均粒径を有していた。
3.21 黒色ミルベース(21)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.11.2で調製した分散剤水溶液(11)(113部)および水(312部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0185】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて15分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を7時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0186】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(21)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、104nmのZ−平均粒径を有していた。
3.22 黒色ミルベース(22)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、75部)、1.12.2で調製した分散剤水溶液(12)(75部)および水(350部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0187】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて10分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を8時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0188】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより黒色ミルベース(22)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、88nmのZ−平均粒径を有していた。
3.23 比較黒色ミルベース(1)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、60部)、2.4で調製した比較分散剤水溶液(1)(140部)および水(200部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。該予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて15分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.5mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を6.5時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0189】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを濾過した。これにより比較黒色ミルベース(1)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、104nmのZ−平均粒径を有していた。
3.25 比較黒色ミルベース(2)
顔料粉末(Evonik DegussaからのNIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料、30部)、1.14.2で調製した比較分散剤水溶液(2)(45部)および水(175部)を一緒に混合して、予備混合物を形成した。
【0190】
予備混合物を、SilversonRTMミキサーを用いて10分間にわたり一緒に完全に混合した。混合後、混合物を0.38mmのビーズが入っている水平型ビーズミルに移した。その後、混合物を19時間にわたり微粉砕(ミル粉砕)した。
【0191】
その後、ミル粉砕した混合物からミル粉砕ビーズを分離した。これにより比較黒色ミルベース(2)が得られた。得られたミルベース中の顔料粒子は、112nmのZ−平均粒径を有していた。
4. 封入顔料分散物を調製するためのポリウレタン分散剤の架橋
4.1 ポリウレタン分散剤の架橋
上記項目3.1〜3.24で調製したすべてのミルベースを、水を加えることにより、重量に基づき約5%または10%の顔料含有率に調整した。
【0192】
その後、各ミルベール中の分散剤を、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(Nagase ChemteXから得たDenacolRTM EX−521、エポキシあたりの重量=181、以後EX−521と略す)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(Nagase ChemteXから得たDenacol EX−321RTM、エポキシあたりの重量=140、以後EX−321と略す)またはソルビトールポリグリシジルエーテル(Nagase ChemteXから得たDenacolRTM EX−614B、エポキシあたりの重量=173、以後EX−614Bと略す)のいずれかの架橋剤を用いて架橋した。これにより分散剤中のカルボン酸基の一部が架橋され、それにより顔料が封入された。架橋反応は、ホウ酸(Aldrichから得た)の存在下で実施した。各場合において、表1に明記した成分の量を含有する混合物を調製した。架橋反応は、上記混合物を約65℃の温度に5時間加熱することにより生じさせた。これにより、表1の第1列に示した参照名を有するさまざまな封入顔料分散物を調製した。
【0193】
【表1】

【0194】
【表2】

【0195】
【表3】

【0196】
5. 限外濾過
上記4.1で調製した封入顔料分散物を、50kDの分子量カットオフを有する膜を用いて限外濾過によりそれぞれ精製した。封入顔料分散物を、封入顔料分散物1体積あたり約6洗浄体積(wash volume)の純粋な脱イオン水を用いて透析濾過した(diafiltered)。その後、限外濾過膜を用いて、封入分散物を約10〜15重量%の固形分に再び濃縮した。
【0197】

6. 比較自己分散性顔料分散物の調製
6.1 比較自己分散性黒色顔料分散物(1)
表面がカルボン酸基で官能基化されている自己分散性顔料を含む比較顔料分散物を、以下のように調製した。
【0198】
水(5mL)中のNaNO(2.3g、33.3mmol)の溶液を、水(45mL)と濃HCl(8.5mL)の混合物中の4−アミノ安息香酸(4.5g、33mmol)の冷却した(5℃)攪拌懸濁液に、5分間かけて加えた。該混合物を0〜5℃で1時間攪拌した後、NIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料(50g)の冷却した(<5℃)攪拌懸濁液に一度に加えた。反応混合物を、徐々に室温まで温めながら攪拌した。水性KOHを用いて反応混合物をpH9.6に調整し、懸濁液を均質化した(UltraturraxRTM)。
【0199】
該反応混合物を50マイクロScm−1未満の導電率まで透析し、5℃において1時間にわたり超音波処理(Branson Digital Sonifier)した。該分散物を60℃のオーブンで濃縮して、約10〜15重量%の顔料含有率を得た。得られた分散物を、比較自己分散性黒色顔料分散物(1)とした。
【0200】
得られた分散物中の顔料粒子は、150nmのMv平均粒径を有していた。Mv平均粒径は、Honeywell−Microtracから得たNanotrac 150を用いて、すべての分散物について確定した。
6.2 比較自己分散性黒色顔料分散物(2)
表面酸化により自己分散性にした顔料を含む比較顔料分散物を、以下のように調製した。
【0201】
NIPexRTM 170IQカーボンブラック顔料(20g)と水(90mL)のスラリーを、水(90mL)中の過硫酸カリウム(33g)の攪拌懸濁液に加えた。該混合物を43℃まで加温し、30分間激しく攪拌した。濃硫酸(11.5g)を反応混合物の表面下に20秒かけて加えた。すぐにガスが発生し、混合物を攪拌しながら55℃で一晩加熱した。反応混合物を放置して25℃に冷却し、濃水酸化カリウムを用いてpHを9.5に調整した。反応混合物を50マイクロScm−1未満の導電率まで透析し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮して、約10〜15重量%の顔料含有率を得た。得られた分散剤の粒径を、5℃において1時間にわたり超音波処理(Branson Digital Sonifier)することにより、さらに小さくした。該分散物を、比較自己分散性黒色顔料分散物(2)とした。
【0202】
得られた分散物中の顔料粒子は、107nmのMv平均粒径を有していた。
7. インクおよび比較インクの調製
5.および6.で調製した上記各顔料分散物を用いて、以下の組成を有するインクまたは比較インクを調製した。
インクビヒクル
顔料分散物 X部
2−ピロリドン 3.00部
グリセロール 15.00部
1,2ヘキサンジオール 4.00部
エチレングリコール 5.00部
SurfynolTM 465 0.50部
純水 100部にするのに十分な量
SurfynolRTM 465は、Airproductsから入手可能な界面活性剤である。
X部の封入顔料分散物
活性または固形分ベースで6部の黒色顔料を、すべての場合で用いた(固形分が10重量%である場合、約60部の封入顔料分散物)。
【0203】
上記インク組成を用い、例えば、封入黒色分散物(1)を用いて黒色インク(1)を調製した。参照名の正確な対応の概略を表2に完全に挙げる。
【0204】
【表4】

【0205】
【表5】

【0206】
8. プリントの作製
項目7で上記したインクおよび比較インクのそれぞれを、普通(未加工)紙、すなわちCanon GF500紙上に印刷した。印刷は、Epson SX100 シリーズのインクジェット印刷機により黒色のブロックを100%印刷して実施した。印刷直後に、湿潤摩擦試験を、湿った手袋をはめた指または水に浸した未使用の蛍光ペンのペン先のいずれかを、1つのブロックの中心から紙の印刷していない部分を横切ってこすりつけることにより実施した。
9. 光学濃度および湿潤摩擦の測定
各プリントについて、反射率光学濃度(reflectance optical density)(ROD)を、D65光源を観測視野2°でフィルターを取り付けずに用いて照明したGretag Macbeth key wizard V2.5 Spectrolino光濃度計(photodensitometer)を用いて測定した。測定をプリントに沿って少なくとも2点で行った後、平均化した。
【0207】
湿潤摩擦(WR)測定は、印刷していない紙の上においてWR試験で形成した汚れのRODを、印刷されたブロックに直接隣接する位置で測定することにより、実施した。WR試験での高い値は、紙の印刷されている部分から印刷されていない部分へのインクの望ましくない移動を示している。
10. 光学濃度測定の結果
RODおよびWR測定の結果を、以下の表3にまとめる。
【0208】
【表6】

【0209】
【表7】

【0210】
表3から、本発明の第1の観点に従った方法により調製した封入固体分散物を用いると、普通紙上に印刷したときに特に良好な反射率光学濃度(ROD)および湿潤摩擦堅牢度(WR)を一緒にもたらすインクジェット印刷用インクを調製することができることが、容易にわかる。対照的に、比較インクは、良好なRODまたは良好なWRのいずれかを有するが、両方ではない。
11. さらなるインク
表IおよびIIに記載したさらなるインクを調製することができる。ここにおいて、黒色ミルベース(1)、(2)および(3)は先に定義したとおりであり、インク添加剤は以下に定義するとおりである。第2段以降に示した数字は、関連する構成成分の部数をさし、部はすべて重量に基づく。インクは、サーマル式、圧電式またはMemjetインクジェット印刷により紙に施用することができる。
【0211】
以下の略語を表IおよびIIに用いる:
PG=プロピレングリコール
DEG=ジエチレングリコール
NMP=N−メチルピロリドン
DMK=ジメチルケトン
IPA=イソプロパノール
MEOH=メタノール
2P=2−ピロリドン
MIBK=メチルイソブチルケトン
P12=プロパン−1,2−ジオール
BDL=ブタン−2,3−ジオール
Surf=AirproductsからのSurfynolTM 465
PHO=NaHPOおよび
TBT=第三ブタノール
TDG=チオジグリコール
GLY=グリセロール
nBDPG=ジプロピレングリコールのモノ−n−ブチルエーテル
nBDEG=ジエチレングリコールのモノ−n−ブチルエーテル
nBTEG=トリエチレングリコールのモノ−n−ブチルエーテル
【0212】
【表8】

【0213】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体媒体中の封入固体粒子の分散物を調製するための方法であって、以下を含む方法:
i)固体、液体媒体、および分散剤1gあたり0.55〜3.5ミリモルの酸価を有するポリウレタン分散剤を含む組成物を微粉砕し、
これに関し、前記組成物は、固体100部あたり5〜40部のポリウレタン分散剤を含み、部は重量に基づく;そして
ii)固体および液体媒体の存在下でポリウレタン分散剤を架橋して、固体粒子を封入する;
ここにおいて、ポリウレタン分散剤は、ポリマーアルコールからの反復単位を10重量%未満含有し、各ポリマーアルコールは、500ダルトンを超える数平均分子量を有する。
【請求項2】
ポリウレタン分散剤の酸価が1.0〜3.5ミリモルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階i)における微粉砕組成物が、固体100部あたり10〜30部のポリウレタン分散剤を含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
段階i)において組成物がポリウレタン分散剤以外のポリマー分散剤をポリウレタン分散剤10部あたり1部未満含み、ここにおいて、部はすべて重量に基づく、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
段階i)において組成物がポリウレタン分散剤以外のポリマー分散剤をポリウレタン分散剤10部あたり0.1部未満含み、ここにおいて、部はすべて重量に基づく、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
段階i)の間に、液体媒体が、水と、全液体媒体に基づき10重量%未満の1以上の水混和性有機液体とを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ポリウレタン分散剤が、
i)エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素化誘導体、ならびに1,5−ナフチレンジイソシアネートから選択される少なくとも1つのジイソシアネート;
iia)トリメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジアメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、パラキシリレンジオール、グリセロールモノエステル、シクロヘキサンジメタノール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドで延長された水素化ビスフェノールA、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ならびにポリカーボネートジオールから選択される少なくとも1つのジオール;ならびに
iib)少なくとも1つのジヒドロキシアルカン酸;
iii)所望により連鎖延長剤;ならびに
iv)所望により末端キャッピング剤、
を反応させることにより得られる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
架橋前に、ポリウレタン分散剤が10000〜50000の数平均分子量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
固体が顔料である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
さらに、粘度調整剤、pH緩衝剤、腐食抑制剤、殺生物剤、染料、他の顔料、コゲーション低減剤、キレート化剤、バインダーおよび水混和性有機液体から選択される1以上のインク添加剤を加える段階を含む、インクを調製するための請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により得た、または得ることができる、分散物。
【請求項12】
請求項11に記載の分散物を含む、インクジェット印刷機用インク。
【請求項13】
チャンバーおよび請求項12に記載のインクを含むインクジェット印刷機用カートリッジであって、該インクが該チャンバー内にある、前記カートリッジ。
【請求項14】
請求項13に記載のインクジェット印刷機用カートリッジを含むインクジェット印刷機。
【請求項15】
請求項12に記載のインクジェット印刷機用インクが印刷される基材。

【公表番号】特表2013−520545(P2013−520545A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554411(P2012−554411)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050297
【国際公開番号】WO2011/104526
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(506139635)フジフィルム・イメイジング・カラランツ・リミテッド (75)
【Fターム(参考)】