説明

封止体の作製方法及び封止体、並びに発光装置の作製方法及び発光装置

【課題】生産性の高い、ガラスフリットを用いた基板の封止方法を提供する。また、耐熱性の低い材料が設けられた基板にも適用可能な、ガラスフリットを用いた基板の封止方法を提供する。またこのような方法により作製された気密性の高い封止体を提供する。また、生産性が高く、且つ信頼性の高い発光装置、及びその作製方法を提供する。
【解決手段】フリット材とバインダとを含むペーストを塗布する領域と重なるように誘導加熱によって発熱する導電性の材料を含む発熱層を形成する。または、ペースト自体に誘導加熱によって発熱する導電性の材料を付加する。さらに誘導加熱を用いて当該ペーストを局所的に加熱し、ペーストに含有されたバインダを除去すればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の基板を用いた封止体とその作製方法に関する。また本発明は有機EL素子が適用された発光装置とその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚の基板を低融点ガラスからなるガラスフリット(フリットガラスとも言う。)で貼り合わせ、高い気密性を有する封止体を形成する技術が知られている。特許文献1に記載された技術は、低融点ガラスからなるフリット材とバインダとを含むペーストをガラス基板の縁に沿って塗布し、当該ペーストを焼成してバインダを除去すると共にフリット材を溶融してガラスフリットとし、当該基板と対向基板とを重ね合わせてガラスフリットにレーザ光を照射して、基板とガラスフリットと対向基板とを溶着させ、高い気密性を有する封止体を形成するものである。
【0003】
ガラスフリットは高いガスバリア性を有しているため、封止された内部を外部の雰囲気と隔離することができる。このようなガラスフリットを用いた封止方法は、例えば有機EL素子のように、素子が大気(水分、酸素などを含む)に曝されると急速にその性能が低下するような素子が適用されたデバイスに応用される。
【0004】
有機EL素子が適用されたデバイスとしては、例えば照明装置や、薄膜トランジスタと有機EL素子とを組み合わせた画像表示装置などが挙げられる。有機EL素子は膜状に形成可能で、大面積の素子を容易に形成できるため、面光源を有する照明装置を実現できる。また有機EL素子が適用された画像表示装置は、バックライトが不要なため薄型、軽量、高コントラストな表示装置を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−65895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、ガラスフリットを用いた封止方法では、フリット材とバインダを含むペーストを基板に塗布した後に、バインダを除去するため当該ペーストを焼成する必要がある。バインダを除去することにより、レーザ光照射後のガラスフリットに高いガスバリア性を持たせることができる。バインダを完全に除去するためには、その材料によって異なるが、一般的には350℃から450℃程度の高温で焼成する必要がある。
【0007】
また、ペーストの焼成を行うために通常ではオーブンやアニール炉などの加熱装置が用いられる。しかし、このような加熱装置は装置規模が大きく、また基板の熱容量に起因して所望の焼成温度に達するまでに長い時間を要する。したがって、当該ペーストの焼成工程に掛かる時間が長いことや、加熱装置の導入コストやランニングコストが高いことなどにより、生産性に大きく影響してしまう問題があった。
【0008】
また、ペーストが塗布された基板を高温で焼成出来ない場合がある。例えば、基板上に耐熱性の低い有機物などが形成されている場合では、当該基板にペーストを塗布した後に、基板に対して高温の加熱処理を行うことが出来ない。例えば有機ELデバイスにおいては、基板上に設けられる耐熱性の低いものとしてカラーフィルタや、光取出し効率の向上を目的として設けられるマイクロレンズアレイなどの光学調整層などが挙げられる。
【0009】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって本発明は、生産性の高い、ガラスフリットを用いた基板の封止方法を提供することを課題の一とする。また、耐熱性の低い材料が設けられた基板にも適用可能な、ガラスフリットを用いた基板の封止方法を提供することを課題の一とする。またこのような方法により作製された気密性の高い封止体を提供することを課題の一とする。また、生産性が高く、且つ信頼性の高い発光装置、及びその作製方法を提供することを課題の一とする。
【0010】
本発明の一態様は、上記課題の少なくとも一を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明は、フリット材とバインダを含むペーストを基板に塗布した後に、当該ペーストが塗布された領域を局所的に加熱して焼成することに着眼した。ペーストを塗布する領域と重なるように誘導加熱によって発熱する導電性の材料を含む発熱層を形成する。または、ペースト自体に誘導加熱によって発熱する導電性の材料を付加する。このような方法により、ペーストが塗布された領域またはペースト自体を局所的に加熱することが出来る。
【0012】
誘導加熱法とは、電磁誘導現象を利用して被加熱体を非接触で加熱する方法である。例えば交流電源が接続されたコイルの発生する磁界中に導電性を有する被加熱体を配置すると、コイルによって生じる磁界の変動により被加熱体中に渦電流が生じ、その電流のジュール熱により被加熱体自体を非接触で加熱させることができる。
【0013】
このように誘導加熱法は、導電性を有する被加熱体自体を加熱することができる。したがって誘導加熱法を適用することにより、ペーストが塗布される基板の熱容量に関係なく、急速に加熱処理を施すことが可能となるため、焼成処理の時間を大幅に短縮することができる。さらに、誘導加熱は簡易な装置構成で行うことが出来るため、オーブンやアニール炉を用いた加熱方法と比較して装置構成を簡略化でき、量産性を向上させることができる。
【0014】
さらに、このような誘導加熱法を用いてペーストを局所的に焼成することにより、ペーストが設けられていない領域は加熱の影響をほとんど受けない。したがって、基板上に耐熱性の低い材料が設けられていた場合であっても、このような材料に熱の影響を及ぼすことなくペーストの焼成を行うことができる。
【0015】
すなわち、本発明の一態様は、第1の基板上に発熱層を形成する工程と、発熱層上に、フリット材とバインダを含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、発熱層を誘導加熱で加熱することにより、バインダを除去すると共にフリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、第1の基板と第2の基板とを対向して設けると共に、ガラスフリットと第2の基板を密着させ、ガラスフリットにレーザ光を照射して、ガラスフリットと第2の基板とを融着させ、第1の基板と第2の基板とガラスフリットと発熱層とで囲まれる閉空間を形成する工程と、を有する、封止体の作製方法である。
【0016】
また、本発明の一態様は、第1の基板上にフリット材とバインダと導電性材料を含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、フリットペーストを誘導加熱で加熱することにより、バインダを除去すると共にフリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、第1の基板と第2の基板とを対向して設けると共に、ガラスフリットと第2の基板を密着させ、ガラスフリットにレーザ光を照射して、ガラスフリットと第2の基板とを融着させ、第1の基板と第2の基板とガラスフリットとで囲まれる閉空間を形成する工程と、を有する、封止体の作製方法である。
【0017】
このように、誘導加熱によって発熱する発熱性の材料を含むペーストを用いることにより、発熱層を形成する工程を簡略化できるため、より生産性を向上することができる。
【0018】
また、本発明の一態様は、第1の基板と、第2の基板と、導電性材料を含むガラスフリットと、を有し、第1の基板と、第2の基板と、ガラスフリットに囲まれた閉空間が形成された、封止体である。
【0019】
上記作製方法によって封止体を作製することにより、高い生産性と高い気密性が実現された封止体とすることができる。
【0020】
また、本発明の一態様は、第1の基板の一表面上に発熱層を形成する工程と、発熱層上に、フリット材とバインダを含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、発熱層を誘導加熱で加熱することにより、バインダを除去すると共にフリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、第1の基板と第2の基板とを対向して設けると共に、ガラスフリットと第2の基板を密着させ、ガラスフリットにレーザ光を照射して、ガラスフリットと第2の基板とを融着させ、第1の基板と第2の基板とガラスフリットと発熱層とで囲まれ、発光ユニットが封入された閉空間を形成する工程と、を有する、発光装置の作製方法である。
【0021】
また、本発明の一態様は、第1の基板の一表面上に、フリット材とバインダと導電性材料を含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、フリットペーストを誘導加熱で加熱することにより、バインダを除去すると共にフリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、第1の基板と第2の基板とを対向して設けると共に、ガラスフリットと第2の基板を密着させ、ガラスフリットにレーザ光を照射して、ガラスフリットと第2の基板とを融着させ、第1の基板と第2の基板とガラスフリットとで囲まれ、発光ユニットが封入された閉空間を形成する工程と、を有する、発光装置の作製方法である。
【0022】
また、本発明の一態様は、第1の基板と、発光ユニットを備える第2の基板と、導電性材料を含むガラスフリットと、を有し、第1の基板と、第2の基板と、ガラスフリットに囲まれ、発光ユニットが封入された閉空間が形成された、発光装置である。
【0023】
このように、本発明の一態様の封止体の作製方法及び封止体を、発光ユニットを備えた発光装置に適用することが出来る。したがって、生産性が高く、且つ信頼性の高い発光装置を作製することができる。
【0024】
また、本発明の一態様は、第1の基板の一表面上に発熱層を形成する工程と、第1の基板の一表面上の発熱層と重ならない領域にカラーフィルタを形成する工程と、発熱層上に、フリット材とバインダを含むフリットペーストを、カラーフィルタを囲う閉曲線を成すように形成する工程と、発熱層を誘導加熱で加熱することにより、バインダを除去すると共にフリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、第1の基板と第2の基板とを、カラーフィルタと発光ユニットとが対向するように設けると共に、ガラスフリットと第2の基板を密着させ、ガラスフリットにレーザ光を照射して、ガラスフリットと第2の基板とを融着させ、第1の基板と第2の基板とガラスフリットと発熱層とで囲まれ、発光ユニットとカラーフィルタが封入された閉空間を形成する工程と、を有する、発光装置の作製方法である。
【0025】
また、本発明の一態様は、第1の基板の一表面上にカラーフィルタを形成する工程と、第1の基板の一表面上に、フリット材とバインダと導電性材料を含むフリットペーストを、カラーフィルタを囲う閉曲線を成すように形成する工程と、フリットペーストを誘導加熱で加熱することにより、バインダを除去すると共にフリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、第1の基板と第2の基板とを、カラーフィルタと発光ユニットとが対向するように設けると共に、ガラスフリットと第2の基板を密着させ、ガラスフリットにレーザ光を照射して、ガラスフリットと第2の基板とを融着させ、第1の基板と第2の基板とガラスフリットとで囲まれ、発光ユニットとカラーフィルタが封入された閉空間を形成する工程と、を有する、発光装置の作製方法である。
【0026】
また特に、発光装置の一態様として、カラーフィルタを用いる上面発光型の表示装置に、ガラスフリットを用いた封止方法を適用する場合、有機EL素子が形成された基板、またはカラーフィルタが形成された対向基板のいずれかに上記ペーストを塗布し、焼成を行う必要がある。しかし、有機EL素子とカラーフィルタのいずれも耐熱性が低いため、焼成を行うことが出来ない。
【0027】
また、カラーフィルタの形成をペーストの焼成後に行ってもよいが、表示装置が高精細な場合にはカラーフィルタの形成は通常フォトリソグラフィ法を用いて行うため、カラーフィルタを構成する膜を塗布する工程において、ガラスフリットの段差によって塗布ムラが生じてしまう問題がある。
【0028】
したがって、本発明の一態様の誘導加熱を用いたペーストの焼成方法を適用することにより、カラーフィルタが適用された信頼性の高い表示装置を作製することが出来る。
【0029】
また、本発明の一態様は、カラーフィルタを備える第1の基板と、発光ユニットを備える第2の基板と、導電性材料を含むガラスフリットと、を有し、第1の基板と、第2の基板と、ガラスフリットに囲まれ、カラーフィルタと発光ユニットとが対向して封入された閉空間が形成された、発光装置である。
【0030】
上記作製方法によって発光装置を作製された発光装置は、信頼性の高い発光装置を実現できる。また、カラーフィルタが適用された、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0031】
なお、本明細書等において、閉曲線とは、両端が一致している連続曲線のことを言う。また、ここでいう曲線には、広義に直線や線分の概念を含むものとする。したがって、例えば四辺形の外周のように、複数の線分で構成され、且つ各々の線分の両端がそれぞれ他の線分の一端と一致している場合も、閉曲線の一態様である。また、多角形、円や楕円、曲率の異なる複数の曲線部が連続して構成された形状や、直線部と曲線部とが混在して構成された形状なども閉曲線の一態様である。
【0032】
なお、本明細書等において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられ、少なくとも発光性の有機化合物を含む層(発光層とも呼ぶ)、または発光層を含む積層体を示すものとする。
【0033】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示デバイス、発光ユニット、もしくは光源を具備するものである。したがって、画像表示デバイスが適用された表示装置や、発光ユニット又は光源が適用された照明装置などは、発光装置の一態様である。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、生産性の高い、ガラスフリットを用いた基板の封止方法を提供できる。また、耐熱性の低い材料が設けられた基板にも適用可能な、ガラスフリットを用いた基板の封止方法を提供できる。またこのような方法により作製された気密性の高い封止体を提供できる。また、生産性が高く、且つ信頼性の高い発光装置、及びその作製方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一態様の、封止体の作製方法を説明する図。
【図2】本発明の一態様の、封止体の作製方法を説明する図。
【図3】本発明の一態様の、封止体の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の一態様の、発光装置の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の一態様の、発光装置を説明する図。
【図6】本発明の一態様の、発光装置を説明する図。
【図7】本発明の一態様の、EL層を説明する図。
【図8】本発明の一態様の、電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0037】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0038】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の封止体の作製方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0039】
<作製方法例1>
図1(A)乃至(D)、図2(A)、(B)は本作製方法例で例示する封止体の作製方法を説明する図である。それぞれの図において、上面概略図と断面概略図を並べて明示している。
【0040】
まず、第1の基板111上に発熱層113を形成する(図1(A)参照)。発熱層113は、後の誘導加熱処理によって発熱可能な導電性の材料を含んで構成される。発熱層113は、発熱層113上に形成するフリットペースト115を加熱し、当該フリットペースト115中のバインダが除去されると共に、フリットペースト115中のフリット材が溶融する程度に発熱する材料で構成される。また発熱層113には少なくともフリットペースト115に含有するバインダが除去される温度よりも高い耐熱性を有する材料を用いる。
【0041】
誘導加熱によって発熱可能な材料としては、少なくとも導電性を有する材料が挙げられる。例えば金属材料を用いることができる。また、材料として比較的高抵抗な導電性材料を用いると、誘導加熱法に対する発熱性を高めることができるため好ましい。例えば、鉄、タングステン、モリブデン、ステンレスや、これらを含む合金などが挙げられる。また、発熱層113は、上記材料で構成される膜を積層して用いることもできる。
【0042】
また、後に説明するように、誘導加熱法では導体の表面に近いほど発熱が大きく、用いる周波数や導体の物性(例えば導電率や透磁率など)によって、導体内部への加熱のしやすさが異なる。したがって、発熱層113の厚さは、その材質や後の誘導加熱に用いる周波数によって適宜調整すればよく、好ましくは0.5μm以上100μm以下とすればよい。
【0043】
発熱層113は、スパッタリング法やCVD法などの成膜方法により第1の基板111上に導電膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法などのパターニング技術を用いて不要な領域の導電膜を除去することにより形成できる。発熱層113の形成方法はこれに限られず、めっき法によって形成しても良いし、スクリーン印刷法などの印刷法やインクジェット法などの吐出法によって形成しても良い。発熱層113は、後に形成されるフリットペースト115のパターンと略一致するように、第1の基板111の外周に沿って閉曲線を成すように設けることが好ましい。また、必ずしも閉曲線を成すように形成する必要は無く、後に形成されるフリットペースト115の下に重なるように、一以上の島状パターンに加工された発熱層113を設けても良い。
【0044】
続いて、発熱層113上にフリットペースト115を形成する(図1(B)参照)。フリットペースト115は、粉末ガラスからなるフリット材と、バインダとを含み、スクリーン印刷法などの印刷法やディスペンス法などを用いて形成することができる。フリットペースト115は、第1の基板111の外周に沿って閉曲線を成すように設ける。
【0045】
フリット材は、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、酸化鉛、酸化スズ、酸化リン、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化アンチモン、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸塩ガラス及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選択された一以上の化合物を含むことが好ましい。これに、例えば有機溶媒で希釈した樹脂からなるバインダを混ぜ、フリットペーストとする。
【0046】
なお、発熱層113とフリットペースト115との間に、当該発熱層113と、後に形成されるガラスフリット119との密着性を改善するためのバッファー層を形成してもよい。当該バッファー層は、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、又は酸化アルミニウム膜などといった、耐熱性の高い酸化物又は窒化物などの絶縁物を用いることができる。
【0047】
続いて、誘導加熱装置131を用いて誘導加熱により発熱層113を発熱させ、発熱層113上のフリットペースト115の焼成を行う(図1(C)参照)。
【0048】
誘導加熱装置131はコイル133を有し、コイル133に交流電源が接続される。また誘導加熱装置131には出力制御回路(図示しない)が備えられ、当該出力制御回路によってコイル133に流れる交流電流を制御することにより、誘導加熱装置131内のコイル133から発生する磁界の強度や周波数を制御する。またコイル133は、被加熱体である発熱層113の発熱が均一になるように、発熱層113のレイアウトに応じて配置される。
【0049】
誘導加熱装置131内のコイル133から発生する磁界中の発熱層113には渦電流が生じ、そのジュール熱によって発熱層113が発熱する。したがって、発熱層113上に設けられたフリットペースト115を、当該発熱層113の発生する熱によって加熱することができる。
【0050】
加熱によって、フリットペースト115内のバインダが除去される。また、当該加熱によってフリットペースト115内のフリット材に含まれる粉末ガラスを溶融し融合させた後に固化させ、ガラスフリット117が形成される。
【0051】
誘導加熱法は、導体の表面に近いほど発熱が大きく、表面から内部に向かって指数関数的に発熱が小さくなることが知られている。また、用いる周波数が小さいほど、導体の内部まで加熱することが出来る。本構成例では発熱層113上のフリットペーストが加熱できればよいため、発熱層113の少なくとも表面が十分発熱するように、その材料や発熱層113の厚さに応じて周波数を選択すればよい。また、周波数を高く設定するほど、加熱時間を短縮できるため好ましい。用いる周波数としては、1Hz以上10MHz以下、好ましくは、1kHz以上5MHz以下の範囲の周波数を用いる。
【0052】
このように誘導加熱法を用いることにより、発熱層113を急速に加熱することが可能となるため、極めて短い時間でフリットペースト115の焼成を終えることができるため、生産性を向上させることができる。
【0053】
続いて、シール材121を形成する。シール材121は、後に第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる際に、これらを仮接着するために設けられる。シール材121によって仮接着することにより、第1の基板と第2の基板との相対位置がずれないようにすることができる。なお、第1の基板と第2の基板との相対位置を厳密に合わせる必要が無い場合には、シール材121を形成しなくてもよい。
【0054】
シール材121は、ガラスフリット117よりも外側に配置することが好ましい。シール材121をガラスフリット117の成す閉曲線よりも内側に設けてもよいが、これよりも外側に設けることにより、基板を貼り合わせた際にシール材121に含まれる有機溶媒などの不純物が封止領域内に残存することを抑制することができ、当該封止領域内を清浄な状態にすることができるため好ましい。また、シール材121は、ガラスフリット117と同様に閉曲線を成すように設けることが好ましい。シール材121を、閉曲線を成すようにガラスフリット117を囲って設けることにより、後のレーザ照射工程を大気下で行うことができるため、レーザ照射装置を簡易な構成とすることができる。
【0055】
シール材121は例えばスクリーン印刷法などの印刷法やディスペンス法により形成することができる。また、シール材121は少なくともガラスフリット117と発熱層113の積層体よりも厚く形成する。シール材121としては、光硬化性樹脂、好ましくは紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0056】
続いて、上記ガラスフリット117とシール材121が形成された第1の基板111と、第2の基板101との貼り合わせを行う(図2(A)参照)。
【0057】
第1の基板111と第2の基板101を、第2の基板101とシール材121が密着するように貼り合わせる。その後、シール材121に対して紫外光135を照射し、シール材121を硬化させ、第1の基板111と第2の基板101とを仮接着する。シール材121は紫外光135が照射されると硬化してシール材123となる。
【0058】
上記貼り合わせ工程は、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気下、若しくは減圧雰囲気下で行い、水や酸素などが含まれない雰囲気下で行うことが好ましい。このような雰囲気下で貼り合わせを行うことにより、封止領域内を清浄な雰囲気で満たすことができる。
【0059】
紫外光135の照射は、例えば図2(A)に示すように紫外線を透過しない遮蔽板137を紫外光135の照射する側の基板に押し当て、紫外線ランプなどを用いて紫外線を照射する。このとき、遮蔽板137によって封止領域内への紫外光135が照射されないようにすると共に、外圧を加えながら行うことが好ましい。外圧を加えることによりガラスフリット117と第2の基板101とが接するように仮接着を行うことが出来る。なお、紫外光135の照射はこれに限られず、線状の光源を用いてシール材121に沿うように線状に紫外光135を照射しても良いし、光源と第1の基板111とを相対的に走査させながら紫外光135を照射してもよい。なお、いずれの照射方法を用いる場合でも、封止領域内部への紫外光の拡散を防止するために遮蔽板137を設けることが好ましい。
【0060】
なお、本作製方法例では、紫外光135の照射を第1の基板111側から照射するようにしたが、第2の基板101側から上記と同様に照射を行っても良い。
【0061】
続いて、ガラスフリット117に対してレーザ光141を照射し、第1の基板111と第2の基板101とを接着させる(図2(B)参照)。
【0062】
レーザ光141は、ガラスフリット117が形成されている領域に沿って走査させながら照射する。レーザ光141の照射工程は、第1の基板111と第2の基板101とに外圧を加えながら行うことが好ましい。レーザ光141によってガラスフリット117が溶融し、第2の基板101との接触部において融着する。その後ガラスフリット117が固化して発熱層113と第2の基板101とを接着するガラスフリット119が形成される。当該ガラスフリット119は極めて高いガスバリア性を有しているため、第1の基板111と第2の基板101と、ガラスフリット119とで囲われる閉空間(封止領域とも呼ぶ)は外気から完全に遮断される。
【0063】
レーザ光141は、透光性を有する基板側から照射することができる。また、レーザ光141は、発熱層113が形成された第1の基板111側、若しくは第2の基板101側からのどちらから照射してもよい。ここで、発熱層113がレーザ光141の波長に対して吸収性を有している場合、発熱層113が加熱され、ガラスフリット117を間接的に加熱することができるため、より効率的にガラスフリット117を加熱することが出来る。
【0064】
レーザ光141としては、照射する側の基板を透過し、且つガラスフリット117と発熱層113の両方又はいずれかを加熱しうる程度のエネルギーと波長を有するレーザ光を用いる。レーザ光141として、例えばNd:YAGレーザや半導体レーザなどを用いることが好ましい。なお、ガラスフリット117にレーザ光141の波長の光を吸収する吸収剤を添加したものを用いても良い。
【0065】
ここで、上記シール材123をガラスフリット117よりも外側に閉曲線を成すように設ける場合、当該レーザ光141の照射工程は大気中で行うことが出来る。すなわち、シール材123によって封止領域内は外気から遮断されているため、レーザ光141の照射工程を大気中で行ったとしても、封止領域内部に大気に含まれる水や酸素といった不純物の混入が抑制される。したがって、レーザ光141の照射装置を簡略化された構成とすることができる。なお、シール材123を設けない、若しくはシール材123を島状に形成する場合は、当該レーザ光141の照射工程は減圧下、または不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0066】
また、第1の基板111と第2の基板101とを貼り合わせ、シール材121に対して紫外光135を照射する工程を、減圧雰囲気下で行った場合、封止領域内部が減圧された状態で保持される。したがって、大気圧下では第1の基板111と第2の基板101とが大気圧によって加圧された状態が維持されるため、レーザ光141の照射工程を特に加圧手段を設けることなく行うことができる。
【0067】
以上の工程により、高い気密性を有する封止体100を作製することができる。
【0068】
このような方法によりガラスフリットを用いて2枚の基板によって封止された封止体を作製することにより、極めて高い気密性を有する封止体を作製することができる。また、フリットペーストの仮焼成を、誘導加熱を用いて行うことにより、フリットペーストが設けられた基板を直接加熱することなく局所的にフリットペーストを焼成することが出来るため、耐熱性の低い材料が設けられた基板にも適用可能である。さらに誘導加熱法を用いることにより、極めて短時間で焼成を行うことができると共に、オーブンや炉に比べて簡便な装置構成で焼成を行うことが出来るため、作製コストや初期投資が抑制され、生産性の高い封止体の作製方法とすることができる。
【0069】
<作製方法例2>
ここで、フリットペーストに導電性の材料を含有させることにより、上述の発熱層113を設けることなく、誘導加熱法によりフリットペースト自体を焼成することができる。以下では、導電性材料を含むフリットペーストを用いた封止体の作製方法について図3を用いて説明する。なお、作製方法例1と重複する部分については説明を省略するか、簡略化して説明するものとする。
【0070】
図3は本作製方法例で例示する封止体の作製方法を説明する図である。なお、図3には各工程における断面概略図のみを明示している。
【0071】
まず、第1の基板111上に、フリットペースト155を形成する(図3(A)参照)。
【0072】
フリットペースト155は、上述のフリットペースト115に、導電性の材料が添加されたペーストを用いる。導電性の材料としては、上述の発熱層113に用いることのできる材料が挙げられる。当該導電性の材料は、好ましくは粉末状であり、フリット材と共にバインダと混合される。当該粉末の粒径としては、1nm以上100μm以下、好ましくは1nm以上10μm以下とすればよい。
【0073】
フリットペースト155は、作製方法例1と同様の方法により、第1の基板111に形成することができる。
【0074】
続いて、誘導加熱装置131を用いて、フリットペースト155の加熱を行う(図3(B)参照)。
【0075】
誘導加熱装置131内のコイル133から発生する磁界によって、フリットペースト155内の導電性材料が発熱し、この発生した熱によってフリットペースト155内のバインダが除去されると共に、フリット材に含まれる粉末ガラスが溶融する。このようにして、ガラスフリット157が形成される。
【0076】
続いて、作製方法例1と同様に、シール材121を形成する(図3(C)参照)。さらに、ガラスフリット157が形成された第1の基板111と第2の基板101とを貼り合わせ、紫外光135を照射し、第1の基板111と第2の基板101とを仮接着する(図3(D)参照)。
【0077】
その後、ガラスフリット157が形成されている領域に、選択的にレーザ光141を照射する。レーザ光141の照射によりガラスフリット157が溶融した後に固化することで、第1の基板111と第2の基板101とを接着するガラスフリット159が形成される。ここで、ガラスフリット157に含まれる導電性材料がレーザ光141に対する吸収性を有している場合には、より効率的にガラスフリット157を加熱することができるため好ましい。なお、ガラスフリット157には、そのほかにレーザ光141の波長の光を吸収する吸収剤が添加されていても良い。
【0078】
以上の方法により、高い気密性を有する封止体150を作製することができる。
【0079】
なお、レーザ光141の照射が行われた後のガラスフリット159には、上記導電性材料が含まれる。ガラスフリット159内には、粉末状の導電性材料が分散した状態で存在する。また当該導電性材料が部分的に凝集した状態で存在している場合もある。
【0080】
このような方法を適用することにより、発熱層113の形成工程が簡略化でき、より生産性の高い封止体150の作製方法とすることができる。また、ガラスフリット159と第1の基板111との間に発熱層113を設けないため、ガラスフリット159と第1の基板111との密着性が高まる場合がある。例えば第1の基板111にガラス基板を用いた場合では特に、第1の基板111とガラスフリット159との密着性を高めることができる。
【0081】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0082】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で例示した本発明の一態様の封止体の作製方法を、発光装置に適用する例について説明する。本実施の形態では、耐熱性の低い材料が設けられた発光装置、特にカラーフィルタが適用された発光装置の作製方法について、図4を用いて説明する。
【0083】
なお、本実施の形態において、実施の形態1で説明した内容と重複する部分については、説明を省略するか、簡略化して説明するものとする。
【0084】
<作製方法例>
図4(A)乃至(D)は本作製方法例で例示する発光装置の作製方法を説明する図である。それぞれの図において、上面概略図と断面概略図を並べて明示している。
【0085】
まず、第1の基板111上に、発熱層113を形成する。発熱層113は、実施の形態1で例示した材料、方法により形成することができる。
【0086】
続いて、第1の基板111上に、カラーフィルタ181を形成する。カラーフィルタ181は、後に説明する発光ユニット183からの発光色を調色する目的で設けられる。例えばフルカラーの発光装置(画像表示装置または調色可能な照明装置)とする場合には、複数色のカラーフィルタを設ける。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色を用いても良いし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。また、それぞれのカラーフィルタの間にブラックマトリックス(BM)を設けても良い。また、調色可能な照明装置とする場合には、単色のカラーフィルタを設ける構成としてもよいし、2色以上の複数のカラーフィルタを用い、それぞれのカラーフィルタが設けられた領域を線状、またはタイル状に交互に敷き詰める構成としてもよい。また、それぞれの領域の間にBMを設けても良い。上記カラーフィルタは、発光ユニット内の画素や発光単位となる領域に重なるように設けられる。
【0087】
カラーフィルタ181は、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ法などにより所望の位置に形成することができる。特に、高精細の画像表示装置においては、フォトリソグラフィ法によって形成することが好ましい。
【0088】
カラーフィルタ181は、顔料を含んだ有機樹脂を用いることができる。また有彩色の透光性樹脂を用いることが好ましい。このような有機樹脂はとしては、感光性または非感光性のいずれの有機樹脂を用いることができるが、フォトリソグラフィ法で形成する場合は、感光性の有機樹脂を用いると工程が簡略化されるため好ましい。
【0089】
また、カラーフィルタ181を覆うオーバーコート層を設けても良い。オーバーコート層を設けることにより、カラーフィルタ181の劣化や、カラーフィルタ181からの顔料の流出を抑制することができるため、信頼性の高い発光装置とすることが出来る。オーバーコート層は透光性を有し、有機材料または無機材料からなる層、またはこれらを積層して用いることができる。
【0090】
次に、発熱層113上にフリットペースト115を形成する。フリットペースト115は、実施の形態1で例示した方法により形成することができる。
【0091】
この段階における上面概略図及び断面概略図が図4(A)に相当する。
【0092】
続いて、誘導加熱装置131を用いて誘電加熱法により発熱層113を加熱し、間接的にフリットペースト115を焼成する(図4(B)参照)。フリットペースト115の焼成により、フリットペースト115中のバインダが除去されると共に、フリット材が溶融して融合した後に固化し、ガラスフリット117が形成される。
【0093】
ここで、フリットペースト115の焼成において、誘電加熱法を用いることにより、発熱層113を局所的に加熱することが出来るため、同一基板上に形成されたカラーフィルタ181が形成された領域はほとんど加熱することがない。したがって、カラーフィルタ181への熱的な影響を及ぼすことなくフリットペースト115の焼成を行うことが出来る。
【0094】
また、誘導加熱法を用いることにより、発熱層113を急速に加熱することが可能となるため、極めて短い時間でフリットペースト115の焼成を終えることができるため、生産性を向上させることができる。また例えば、発熱層113の熱が基板を介してカラーフィルタ181に伝わる場合であっても、加熱時間が極めて短いためにその影響は小さいものとすることができる。
【0095】
続いて、第1の基板111にシール材121を形成する。シール材121は、実施の形態1で例示した方法により形成することができる。
【0096】
次に、発光ユニット183が形成された第2の基板101と、第1の基板111とを貼り合わせた後、シール材121に対して紫外光135を照射して硬化させ、第2の基板101と第1の基板111との仮接着を行う(図4(C)参照)。紫外光135の照射により、シール材121が硬化して、第1の基板111と第2の基板101とを接着するシール材123が形成される。
【0097】
第1の基板111と第2の基板101とは、発光ユニット183とカラーフィルタ181との相対的な位置がずれないようにして貼り合わせる。なお、位置合わせを行うためのアラインメントマーカを、第1の基板111及び第2の基板101に事前に設けても良い。第1の基板111にアラインメントマーカを設ける場合には、発熱層113またはカラーフィルタ181の形成と同時に形成すると工程が簡略化できるため好ましい。
【0098】
第2の基板101に設けられた発光ユニット183としては、有機EL素子が適用された発光ユニットを用いることができる。例えば照明用途を目的とした大きな発光部を有する発光ユニットや、パッシブマトリクス型の画像表示装置、または薄膜トランジスタと有機EL素子を組み合わせて形成されたアクティブマトリクス型の画像表示装置などを用いることができる。発光ユニット183に用いることの出来る構成の例については、実施の形態3で詳細に説明する。
【0099】
発光ユニット183が形成された第2の基板101は、発光ユニット183を形成してから仮接着の工程を終えるまでのあいだ、発光ユニット183中の有機EL素子が水や酸素などの不純物に触れないようにすることが好ましく、不活性雰囲気下、または減圧雰囲気下で一連の処理を行うことが好ましい。また、シール材121を、閉曲線を成すように第1の基板111の外周に沿って形成した場合は、仮接着を行った後は大気中で後の処理を行うことが出来る。
【0100】
最後に、ガラスフリット117に対してレーザ光141を照射してガラスフリット117を溶融した後に固化し、第1の基板111と第2の基板101とを接着するガラスフリット119を形成する(図4(D)参照)。レーザ光141の照射は、実施の形態1で例示した方法を用いることができる。
【0101】
以上の工程により、ガラスフリット119によって封止された発光装置180を作製することができる。
【0102】
このようにして発光装置180を作製することにより、ガラスフリット119により高い気密性を有する発光装置180とすることができ、封入された発光ユニット183を水や酸素といった不純物による劣化が抑制された、信頼性の高い発光装置とすることができる。
【0103】
さらに、誘導加熱法によりフリットペーストを焼成することにより、耐熱性の低いカラーフィルタが形成された基板であっても、ガラスフリットを用いた封止を適用することができる。さらに、フリットペーストの焼成を誘導加熱法により行うことで、当該フリットペーストの極めて短時間で処理を行うことが出来ると共に、オーブンや炉に比べて簡便な装置構成とすることが出来るため、作製コストや初期投資が抑制され、生産性の高い発光装置の作製方法とすることができる。
【0104】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0105】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の封止体の作製方法に適用可能な発光ユニットの構成例について、図5及び図6を用いて説明する。
【0106】
<構成例1>
本構成例では、パッシブマトリクス型の発光ユニットについて例示する。図5(A)は、本構成例で例示するパッシブマトリクス型の発光ユニット300の上面概略図であり、図5(B)は、図5(A)中の切断線A−A’における断面概略図である。
【0107】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)の発光ユニットは、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設けられており、その交差部に発光層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
【0108】
図5(A)に示す発光ユニット300は、基板301上に形成され、走査線303と、データ線307との間にEL層305を有する。また隣接するデータ線307間には隔壁309が設けられ、これらが電気的に分離されている。ここで、走査線303とデータ線307とが交差する領域(領域315)が一つの画素に相当する。
【0109】
走査線303は、入力端子313aを介してFPC311a(FPC:Flexible Printed Circuit)に電気的に接続されている。また、データ線307は、接続配線312及び入力端子313bを介してFPC311bに接続されている。FPC311a及びFPC311bには、外部からの入力信号が入力される。
【0110】
基板301上には、下地層302が形成されている。下地層302は、基板301からの不純物がEL層305に拡散することを防ぐために設ける。なお、下地層302は必要でないなら設けなくても良い。
【0111】
下地層302上には、走査線303がストライプ状に等間隔に並べて複数設けられている。走査線303は、EL素子の下部電極として機能する。また、走査線303と同じ膜で接続配線312が形成されていてもよい。
【0112】
走査線303上には、各画素に対応する開口部を有する絶縁層308が形成されている。絶縁層308は絶縁性を有し、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、アクリルなどの感光性または非感光性の有機材料や、アルキル基を含むSiOなどのSOG膜を用いることができる。絶縁層308の端部は緩やかなテーパ形状を有していることが好ましい。なお、各画素に対応する開口部が発光領域となる。
【0113】
絶縁層308上には、走査線303と交差する複数の隔壁309が設けられている。隔壁309は、それぞれ互いに平行に設けられており、逆テーパ形状またはT字形状を成している。したがって、当該隔壁309の上方から成膜される膜を物理的に分断することができる。
【0114】
走査線303及び隔壁309上には、EL層305及びデータ線307が順次積層されて設けられる。ここでデータ線307は、EL素子の上部電極としての機能を有する。隔壁309を境界として、EL層305及びデータ線307が物理的に分断されることにより、電気的に分断されている。したがって、各画素に対応する発光領域は、それぞれ電気的に独立して形成され、各々を個別に発光させることができる。
【0115】
隔壁309によって電気的に分断された複数のデータ線307は、走査線303と交差する方向に伸長するストライプ状の配線となる。なお、隔壁309上にもEL層305及びデータ線307を構成する膜が成膜されるが、EL層305及びデータ線307とは物理的、電気的に分断されている。
【0116】
このような発光ユニット300に、上記実施の形態で例示した封止体の作製方法を適用することができる。したがって、ガラスフリットで封止された気密性の高い封止領域に発光ユニット300を封入することにより、EL素子の劣化を著しく抑制することができ、信頼性の高い発光装置とすることができる。
【0117】
なお、図5では、駆動回路を基板上に設けない例を示したが、基板上に駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
【0118】
また、ICチップを実装させる場合には、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをそれぞれ実装する。実装方式は、COG方式、TCP、ワイヤボンディング方式等を用いることができる。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC及び走査線側ICは、シリコン基板やSOI(Silicon On Insulator)基板に形成されたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板、またはプラスチック基板上に形成されたものであってもよい。
【0119】
<構成例2>
続いて本構成例では、アクティブマトリクス型の発光ユニットに本発明のガラスフリットを用いた封止方法を適用した構成ついて例示する。図6(A)は、本構成例で例示するアクティブマトリクス型の発光ユニットが適用された発光装置350の上面概略図であり、図6(B)は、図6(A)中の切断線B−B’における断面概略図である。
【0120】
本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置350は、第2の基板351上に設けられた画素部352と、駆動回路部(ソース側駆動回路)353と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)354とを有する。画素部352、駆動回路部353、及び駆動回路部354は、ガラスフリット359と第2の基板351と第1の基板361とで囲まれたガラス封止体の中に封止されている。
【0121】
第2の基板351上には、駆動回路部353及び駆動回路部354に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、またはリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き出し配線355が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC356を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における発光装置は、発光装置本体だけでなく、発光装置本体にFPCまたはPWBが取り付けられた状態のものも範疇に含むものとする。
【0122】
次に、アクティブマトリクス型の発光ユニットが適用された発光装置350の断面構造について図6(B)を用いて説明する。なお、第2の基板351上には駆動回路部353、駆動回路部354及び画素部352が形成されているが、図6(B)においては、ソース側駆動回路である駆動回路部353と、画素部352を示している。
【0123】
駆動回路部353は、nチャネル型のTFT371とpチャネル型のTFT372とを組み合わせたCMOS回路を有する例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路、またはNMOS回路で形成することができる。また、本実施の形態では、画素部が形成された基板上に駆動回路が形成されたドライバー一体型を示すが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、画素部が形成された基板とは別の基板に駆動回路を形成することもできる。
【0124】
画素部352は、スイッチング用のTFT373と、電流制御用のTFT374と、電流制御用のTFT374の配線(ソース電極またはドレイン電極)に電気的に接続された下部電極375とを含む複数の画素により形成されている。また、下部電極375の端部を覆って絶縁層378が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。なお、スイッチング用のTFT373や電流制御用のTFT374といったTFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、トップゲート型のTFTでもよいし、ボトムゲート型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の材料についても特に限定されず、シリコンを用いてもよいし、インジウム、ガリウム、及び亜鉛の少なくともひとつを含む酸化物等の酸化物半導体を用いてもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。
【0125】
発光素子379は、下部電極375、EL層376、及び上部電極377によって構成されている。発光素子の構造、材料等については実施の形態4で詳細に説明する。また、ここでは図示しないが、上部電極377は外部入力端子であるFPC356に電気的に接続されている。
【0126】
絶縁層378は、下部電極375の端部を覆って設けられている。そして、絶縁層378の上層に形成される上部電極377の被覆性を少なくとも良好なものとするため、絶縁層378の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁層378の上端部または下端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせるのが好ましい。また、絶縁層378の材料としては、光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型の感光性樹脂、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型の感光性樹脂などの有機化合物や、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0127】
第1の基板361には、発光素子379と重なる位置にカラーフィルタ381が設けられている。カラーフィルタ381は、上記実施の形態で例示した材料及び構成を適用できる。また、発光素子379と重ならない領域には、ブラックマトリックス382が設けられている。なお、カラーフィルタ381の端部を、ブラックマトリックス382と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。ブラックマトリックス382は、発光素子379からの発光を遮光する材料を用いることができ、金属、有機樹脂などの材料を用いて形成することができる。また、ブラックマトリックス382を、発熱層358と同じ膜から形成してもよい。
【0128】
カラーフィルタ381及びブラックマトリックス382を覆うオーバーコート383が形成されている。オーバーコート383は、発光素子379からの発光を透過する材料から構成され、例えばシリコンを含む絶縁膜や、有機絶縁膜を用いることができる。なお、オーバーコート383は必要なければ設けなくても良い。
【0129】
また、図6(B)に示す断面図では発光素子379を1つのみ図示しているが、画素部352においては、複数の発光素子がマトリクス状に配置されている。例えば、画素部352に3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。後の実施の形態で例示する白色発光のEL層を有する発光素子とカラーフィルタを組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置とすることができる。また、当該発光素子は、上面射出方式(トップエミッション方式とも言う)、または両面射出方式のいずれも採ることができる。
【0130】
また、発光素子379は、第1の基板361、第2の基板351、及びガラスフリット359で囲まれた封止領域内に設けられている。当該封止領域は、希ガスまたは窒素ガスが充填されていてもよいし、固体で充填されていてもよく、減圧雰囲気となっていてもよい。
【0131】
第1の基板361には、ガラスフリット359と重なる領域に発熱層358が設けられている。なお、ガラスフリット359が導電性の材料を含む場合、発熱層358は設けなくても良い。ガラスフリット359が導電性の材料を含む場合は、引き出し配線355とガラスフリット359がショートしてしまう恐れがあるため、引き出し配線355上に、絶縁層を設ける。当該絶縁層は、ガラスフリット359との密着性がよく、ガラスフリット359が溶融する温度に対する耐熱性を有する膜を用いる。例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、酸化アルミニウム膜などの酸化膜又は窒化膜などを用いることができる。
【0132】
以上のようにして、本発明の一態様の封止体の作製方法を適用して封止された、アクティブマトリクス型の発光ユニットが適用された発光装置を得ることができる。このような発光装置は、より長寿命で衝撃や歪みなどの外力に強いなどの特徴を有する。
【0133】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に適用できるEL層の一例について、図7を用いて説明する。
【0134】
図7(A)に示すEL層105は、第1の電極103と第2の電極107の間に設けられている。第1の電極103及び第2の電極107は、上記実施の形態で例示した下部電極または上部電極と同様の構成を適用することができる。
【0135】
本実施の形態で例示するEL層105を有する発光素子は、上記実施の形態で例示した発光装置に適用可能である。
【0136】
EL層105は、少なくとも発光性の有機化合物を含む発光層が含まれていればよい。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。本実施の形態において、EL層105は、第1の電極103側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、及び電子注入層705の順で積層されている。なお、これらを反転させた積層構造としてもよい。
【0137】
図7(A)に示す発光素子の作製方法について説明する。
【0138】
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0139】
また、低分子の有機化合物である芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0140】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。また、酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0141】
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1の電極103からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質(電子受容体)とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1の電極103からEL層105への正孔注入が容易となる。
【0142】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0143】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、芳香族アミン化合物や、カルバゾール誘導体、そのほか正孔移動度の高い芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0144】
また、アクセプター物質としては、有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0145】
なお、高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層701に用いてもよい。
【0146】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、芳香族アミン化合物を用いることができる。これは主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0147】
また、正孔輸送層702には、カルバゾール誘導体や、アントラセン誘導体や、そのほか正孔輸送性の高い高分子化合物を用いてもよい。
【0148】
発光性の有機化合物を含む層703は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0149】
なお、発光性の有機化合物を含む層703としては、発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0150】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するために結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うために、さらに異なる物質を添加してもよい。
【0151】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光性の有機化合物を含む層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0152】
また、発光性の有機化合物を含む層703として高分子化合物を用いることができる。
【0153】
また、発光性の有機化合物を含む層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光性の有機化合物を含む層を2つ有する発光素子において、第1の発光性の有機化合物を含む層の発光色と第2の発光性の有機化合物を含む層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、発光性の有機化合物を含む層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0154】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0155】
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0156】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0157】
EL層は、図7(B)に示すように、第1の電極103と第2の電極107との間に複数積層されていてもよい。この場合、積層された第1のEL層800と第2のEL層801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質(ドナー性物質)と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0158】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
【0159】
また、演色性の良い白色発光を得る場合、発光スペクトルが可視光全域に広がるものとする必要があり、3つ以上のEL層が積層された発光素子とすることが好ましい。例えばそれぞれ赤色、青色、緑色の発光色のEL層を積層して発光素子を形成することができる。このように異なる3色以上のEL層が積層された発光素子とすることにより演色性を高めることが出来る。
【0160】
第1の電極103と第2の電極107との間に光学調整層を形成してもよい。光学調整層は、反射性を有する電極と透過性を有する電極との間の光学距離を調整する層である。光学調整層を設けることにより、特定の範囲の波長の光を強調することができるため、色調を調整することができる。
【0161】
EL層105は、図7(C)に示すように、第1の電極103と第2の電極107との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極107と接する複合材料層708を有していてもよい。
【0162】
第2の電極107と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極107を形成する際に、EL層105が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0163】
さらに、電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0164】
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0165】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0166】
さらに、電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0167】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
【0168】
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0169】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0170】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定であると考えられる。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
【0171】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。特に、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすい材料は、アクセプター性が高いため好ましい。
【0172】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0173】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいてもよい。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0174】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0175】
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すればよい。
【0176】
正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、及び電子輸送層704は前述の材料を用いてそれぞれ形成すればよい。
【0177】
以上により、本実施の形態のEL層105を作製することができる。
【0178】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0179】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の封止体の作製方法が適用された発光装置を有する電子機器や照明装置の例について、図8を用いて説明する。
【0180】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどのカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図8に示す。
【0181】
図8(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0182】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0183】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0184】
図8(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
【0185】
図8(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図8(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図8(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図8(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0186】
図8(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0187】
図8(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0188】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0189】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0190】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0191】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0192】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0193】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0194】
図8(E)は、照明装置の一例を示している。照明装置7500は、筐体7501に光源として本発明の一態様の発光装置7503a〜7503dが組み込まれている。照明装置7500は、天井や壁等に取り付けることが可能である。
【0195】
また、本発明の一態様の発光装置は、発光パネルが薄膜状に形成することが可能であるため、曲面を有する基体に貼り付けることで、曲面を有する発光装置とすることができる。また、その発光装置を、曲面を有する筐体に配置することで、曲面を有する電子機器または照明装置を実現することができる。
【0196】
また、長時間使用しても目が疲労し難い明度が高く淡い色を呈する光と、鮮やかな赤色と、異なる鮮やかな色を呈する光を発する発光パネルを備える。発光素子を駆動する条件を発光色ごとに調整することで、使用者が色相を調節できる照明装置を実現できる。
【0197】
上述した電子機器や照明装置などに適用される発光装置は、本発明の一態様のガラスフリットを用いた封止体の作製方法が適用される。したがって、気密性の高い封止領域内に発光素子を封入することが出来るため、信頼性の高い電子機器や照明装置とすることができる。
【0198】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0199】
100 封止体
101 第2の基板
103 第1の電極
105 EL層
107 第2の電極
111 第1の基板
113 発熱層
115 フリットペースト
117 ガラスフリット
119 ガラスフリット
121 シール材
123 シール材
131 誘導加熱装置
133 コイル
135 紫外光
137 遮蔽板
141 レーザ光
150 封止体
155 フリットペースト
157 ガラスフリット
159 ガラスフリット
180 発光装置
181 カラーフィルタ
183 発光ユニット
300 発光ユニット
301 基板
302 下地層
303 走査線
305 EL層
307 データ線
308 絶縁層
309 隔壁
311 FPC
312 接続配線
313 入力端子
315 領域
350 発光装置
351 第2の基板
352 画素部
353 駆動回路部
354 駆動回路部
355 引き出し配線
356 FPC
358 発熱層
359 ガラスフリット
361 第1の基板
371 TFT
372 TFT
373 TFT
374 TFT
375 下部電極
376 EL層
377 上部電極
378 絶縁層
379 発光素子
381 カラーフィルタ
382 ブラックマトリックス
383 オーバーコート
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光性の有機化合物を含む層
704 電子輸送層
705 電子注入層
706 電子注入バッファー層
707 電子リレー層
708 複合材料層
800 第1のEL層
801 第2のEL層
803 電荷発生層
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7500 照明装置
7501 筐体
7503 発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に発熱層を形成する工程と、
前記発熱層上に、フリット材とバインダを含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、
前記発熱層を誘導加熱で加熱することにより、前記バインダを除去すると共に前記フリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、
前記第1の基板と第2の基板とを対向して設けると共に、前記ガラスフリットと前記第2の基板を密着させ、前記ガラスフリットにレーザ光を照射して、前記ガラスフリットと前記第2の基板とを融着させ、前記第1の基板と前記第2の基板と前記ガラスフリットと前記発熱層とで囲まれる閉空間を形成する工程と、
を有する、封止体の作製方法。
【請求項2】
第1の基板上にフリット材とバインダと導電性材料を含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、
前記フリットペーストを誘導加熱で加熱することにより、前記バインダを除去すると共に前記フリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、
前記第1の基板と第2の基板とを対向して設けると共に、前記ガラスフリットと前記第2の基板を密着させ、前記ガラスフリットにレーザ光を照射して、前記ガラスフリットと前記第2の基板とを融着させ、前記第1の基板と前記第2の基板と前記ガラスフリットとで囲まれる閉空間を形成する工程と、
を有する、封止体の作製方法。
【請求項3】
第1の基板と、第2の基板と、導電性材料を含むガラスフリットと、を有し、
前記第1の基板と、前記第2の基板と、前記ガラスフリットに囲まれた閉空間が形成された、封止体。
【請求項4】
第1の基板の一表面上に発熱層を形成する工程と、
前記発熱層上に、フリット材とバインダを含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、
前記発熱層を誘導加熱で加熱することにより、前記バインダを除去すると共に前記フリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、
第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを対向して設けると共に、前記ガラスフリットと前記第2の基板を密着させ、前記ガラスフリットにレーザ光を照射して、前記ガラスフリットと前記第2の基板とを融着させ、前記第1の基板と前記第2の基板と前記ガラスフリットと前記発熱層とで囲まれ、前記発光ユニットが封入された閉空間を形成する工程と、
を有する、発光装置の作製方法。
【請求項5】
第1の基板の一表面上に、フリット材とバインダと導電性材料を含むフリットペーストを、閉曲線を成すように形成する工程と、
前記フリットペーストを誘導加熱で加熱することにより、前記バインダを除去すると共に前記フリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、
第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを対向して設けると共に、前記ガラスフリットと前記第2の基板を密着させ、前記ガラスフリットにレーザ光を照射して、前記ガラスフリットと前記第2の基板とを融着させ、前記第1の基板と前記第2の基板と前記ガラスフリットとで囲まれ、前記発光ユニットが封入された閉空間を形成する工程と、
を有する、発光装置の作製方法。
【請求項6】
第1の基板と、発光ユニットを備える第2の基板と、導電性材料を含むガラスフリットと、を有し、
前記第1の基板と、前記第2の基板と、前記ガラスフリットに囲まれ、前記発光ユニットが封入された閉空間が形成された、発光装置。
【請求項7】
第1の基板の一表面上に発熱層を形成する工程と、
前記第1の基板の一表面上の前記発熱層と重ならない領域にカラーフィルタを形成する工程と、
前記発熱層上に、フリット材とバインダを含むフリットペーストを、前記カラーフィルタを囲う閉曲線を成すように形成する工程と、
前記発熱層を誘導加熱で加熱することにより、前記バインダを除去すると共に前記フリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、
第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを、前記カラーフィルタと前記発光ユニットとが対向するように設けると共に、前記ガラスフリットと前記第2の基板を密着させ、前記ガラスフリットにレーザ光を照射して、前記ガラスフリットと前記第2の基板とを融着させ、前記第1の基板と前記第2の基板と前記ガラスフリットと前記発熱層とで囲まれ、前記発光ユニットと前記カラーフィルタが封入された閉空間を形成する工程と、
を有する、発光装置の作製方法。
【請求項8】
第1の基板の一表面上にカラーフィルタを形成する工程と、
前記第1の基板の一表面上に、フリット材とバインダと導電性材料を含むフリットペーストを、前記カラーフィルタを囲う閉曲線を成すように形成する工程と、
前記フリットペーストを誘導加熱で加熱することにより、前記バインダを除去すると共に前記フリット材を融合してガラスフリットを形成する工程と、
第2の基板の一表面上に、EL素子を含む発光ユニットを形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを、前記カラーフィルタと前記発光ユニットとが対向するように設けると共に、前記ガラスフリットと前記第2の基板を密着させ、前記ガラスフリットにレーザ光を照射して、前記ガラスフリットと前記第2の基板とを融着させ、前記第1の基板と前記第2の基板と前記ガラスフリットとで囲まれ、前記発光ユニットと前記カラーフィルタが封入された閉空間を形成する工程と、
を有する、発光装置の作製方法。
【請求項9】
カラーフィルタを備える第1の基板と、発光ユニットを備える第2の基板と、導電性材料を含むガラスフリットと、を有し、
前記第1の基板と、前記第2の基板と、前記ガラスフリットに囲まれ、前記カラーフィルタと前記発光ユニットとが対向して封入された閉空間が形成された、発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−20964(P2013−20964A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134032(P2012−134032)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】