説明

封緘装置

【課題】本発明は、粘着剤の転写機構とフラップの折り返し機構とを必要としない安価な封緘装置を提供することを課題とする。
【解決手段】熱活性粘着剤が塗布された封筒2をフラップが折り返された状態で保持する封筒保持部3と、封筒保持部3からフラップ側を先頭にして送り出された封筒2を挟持搬送しながら熱活性粘着剤を活性化させる熱活性部7と、熱活性部7の下流側に配置され、封筒2の逆方向への搬送時に、フラップを起こして熱活性粘着剤を表出させるフラップ起こし手段と、折り返されたフラップを封筒本体に圧着させる圧着部8とを設け、送り出された封筒2をフラップが完全にフラップ起こし手段を通過するまで搬送させた後、逆方向に搬送させることでフラップ21を起こし、表出された熱活性粘着剤を活性化させ、活性化された熱活性粘着剤を用いて封筒本体にフラップを圧着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒を封緘する封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の封筒の封緘作業を行うために、封筒のフラップや折り返したフラップに対向する領域に粘着剤を転写する転写機構と、フラップを折り返す折り返し機構とを備え、転写した粘着剤を用いて折り返したフラップを貼着させる封緘装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来技術では、複雑な転写機構と折り返し機構が必要となり、特に折り返し機構においては、フラップを折り返すための可動部材が必要であるため、装置が複雑でコスト高になってしまうという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】特開2006−151518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、粘着剤の転写機構とフラップの折り返し機構とを必要としない安価な封緘装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、封筒を封緘する封緘装置であって、フラップを貼着するために熱活性粘着剤が塗布された前記封筒を前記フラップが折り返された状態で保持する封筒保持手段と、該封筒保持手段から前記フラップ側を先頭にして前記封筒を送り出す送り出し手段と、該送り出し手段によって前記フラップ側を先頭にして送り出された前記封筒を挟持搬送しながら前記熱活性粘着剤を活性化させる熱活性手段と、該熱活性手段の下流側に配置され、前記封筒の逆方向への搬送時に、折り返された前記フラップと封筒本体との間に入り込むことで、前記フラップを起こして前記熱活性粘着剤を表出させるフラップ起こし手段と、前記熱活性手段の下流側に配置され、折り返された前記フラップを前記封筒本体に圧着させる圧着手段とを具備し、前記送り出し手段によって前記フラップ側を先頭にして送り出された前記封筒を前記フラップが完全に前記フラップ起こし手段を通過するまで搬送させた後、逆方向に搬送させることで前記フラップ起こし手段によって前記フラップを起こして前記熱活性粘着剤を表出させ、表出された前記熱活性粘着剤を前記熱活性手段によって活性化させ、前記圧着手段によって前記フラップを前記封筒本体に活性化された前記熱活性粘着剤を用いて圧着させることを特徴とする封緘装置に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記圧着手段は、前記封筒を挟持搬送する一対のローラからなり、前記熱活性粘着剤が塗布されている面側に当接する前記ローラが、前記封筒の逆方向への搬送時に、折り返された前記フラップと前記熱活性粘着剤との間に入り込む前記フラップ起こし手段として機能することを特徴とする請求項1記載の封緘装置に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記熱活性手段は、前記封筒を挟持搬送する熱活性プラテンローラと熱活性ヘッドとからなり、前記熱活性ヘッドが、前記封筒の逆方向への搬送時に、折り返された前記フラップと前記熱活性粘着剤との間に入り込む前記フラップ起こし手段として機能することを特徴とする請求項1記載の封緘装置に存する。
また請求項4記載の発明の要旨は、前記封筒を挟持搬送しながら印字を施す印字手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の封緘装置に存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の封緘装置は、フラップを貼着するために熱活性粘着剤が塗布された封筒をフラップが折り返された状態で保持する封筒保持手段と、封筒保持手段からフラップ側を先頭にして封筒を送り出す送り出し手段と、送り出し手段によってフラップ側を先頭にして送り出された封筒を挟持搬送しながら熱活性粘着剤を活性化させる熱活性手段と、熱活性手段の下流側に配置され、封筒の逆方向への搬送時に、折り返されたフラップと封筒本体との間に入り込むことで、フラップを起こして熱活性粘着剤を表出させるフラップ起こし手段と、熱活性手段の下流側に配置され、折り返されたフラップを封筒本体に圧着させる圧着手段とを設け、送り出し手段によってフラップ側を先頭にして送り出された封筒をフラップが完全にフラップ起こし手段を通過するまで搬送させた後、逆方向に搬送させることでフラップ起こし手段によってフラップを起こして熱活性粘着剤を表出させ、表出された熱活性粘着剤を熱活性手段によって活性化させ、前記フラップを前記封筒本体に活性化された前記熱活性粘着剤を用いて圧着させるように構成することにより、フラップを貼着するために熱活性粘着剤が塗布された封筒を用いるため、粘着剤の転写機構を必要としないと共に、封筒をフラップが折り返された状態で保持し、逆方向への搬送時に、フラップを起こして熱活性粘着剤を活性化させるため、フラップの折り返し機構とを必要とせず、安価な装置を提供することができるという効果を奏する。
【0008】
さらに、本発明の封緘装置は、圧着手段として封筒を挟持搬送する一対のローラを設け、熱活性粘着剤が塗布されている面側に当接するローラを、封筒の逆方向への搬送時に、折り返されたフラップと熱活性粘着剤との間に入り込むフラップ起こし手段として機能させることにより、圧着手段とフラップ起こし手段とを兼用することができるため、より安価な装置を提供することができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明の封緘装置は、熱活性手段として封筒を挟持搬送する熱活性プラテンローラと熱活性ヘッドとを設け、熱活性ヘッドを、封筒の逆方向への搬送時に、折り返されたフラップと熱活性粘着剤との間に入り込むフラップ起こし手段として機能させることにより、熱活性手段とフラップ起こし手段とを兼用することができるため、より安価な装置を提供することができるという効果を奏する。
【0010】
さらに、本発明の封緘装置は、封筒を挟持搬送しながら印字を施す印字手段を設けることにより、封緘と共に宛名の印字を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る封緘装置の実施の形態によって封緘する封筒の構成を示す図であり、(a)および(b)は、平面図であり、(c)は、側面図である。図2は、本発明に係る封緘装置の実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図3は、図2に示す封緘装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施の形態の封緘装置1は、図1に示すような、フラップ21を封緘するための熱活性粘着剤22が封筒本体23に塗布された封筒2を用いて、封筒2に宛名等を印字すると共に、封筒2を封緘する装置であり、図2を参照すると、積層された状態で封筒2を保持する封筒保持部3と、封筒2に宛名を印字する印字部4と、封筒保持部3から封筒2を送り出す送り出しローラ5と、送り出しローラ5によって送り出された封筒2を印字部4に向けて搬送する搬送部6と、封筒2に塗布された熱活性粘着剤22の粘着力を発現させる熱活性部7と、フラップ21を熱活性粘着剤22に圧着させる圧着部8とを備えている。
【0014】
封筒保持部3には、図1(b)および(c)に示すように、封筒2に内容物を投入後、フラップ21を折り返した状態で、且つ熱活性粘着剤22が塗布された面が下側になり、さらに、内容物の投入口、すなわちフラップ21の根元が搬送方向の先端Xになるように積層される。以下、熱活性粘着剤22が塗布された封筒本体23の一方面を裏面と称し、当該裏面と反対側の封筒本体23の他方面を表面と称す。
【0015】
熱活性粘着剤22は、粘着力を付与する熱可塑性樹脂と、加熱により溶融して樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現させる固体可塑剤のような熱溶融性物質を主成分とし、必要に応じて粘着性を向上させる粘着付与剤を含有してなり、常温では非粘着性であるが加熱により粘着性が発現する。なお、熱活性粘着剤中の熱溶融性物質は、溶融後にゆっくりと結晶化するため、発現した粘着性は、長時間持続される。熱活性粘着剤の主成分の1つである熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、天然ゴムラテックス、ポリ酸ビニル、合成ゴム等の高分子樹脂を用いることができ、熱可塑性樹脂の選定および感熱性粘着剤中の含有率は、所望の粘着力に応じて適宜設定される。また、熱活性粘着剤の主成分の1つである熱溶融性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、フタル酸ジヘキシル等のフタル酸エステル類を用いることができ、熱溶融性物質の選定および感熱性粘着剤中の含有率は、所望の熱感度特性に応じて適宜設定される。さらに、熱活性粘着剤に必要に応じて添加される粘着付与剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、石油樹脂系、フェノール樹脂系、ロジン誘導体等を用いることができ、粘着付与剤の選定および感熱性粘着剤中の含有率は、所望の粘着力に応じて適宜設定される。
【0016】
送り出しローラ5は、周面の一部がカットされた断面がD型のローラである。図示しない駆動モータによって送り出しローラ5を一回転させることで、送り出しローラ5の周面が封筒本体23の表面に当接し、一通の封筒2が折り返されたフラップ21側、すなわち先端Xを先頭にして搬送部6に送り出される。
【0017】
搬送部6は、一対のローラにベルトが掛け渡されているベルトコンベアであり、封筒保持部3から送り出しローラ5によって送り出された封筒2をベルト上に載置して印字部4に向けて搬送する。
【0018】
印字部4は、封筒本体23の裏面に当接して封筒2を搬送するプラテンローラ41と、発熱体がプラテンローラ41に対向する面に形成されているサーマルヘッド42とを有し、封筒本体23の表面側にインクリボン9を重ねてプラテンローラ41とサーマルヘッド42との間に挟持搬送し、サーマルヘッド42の発熱体を選択的に発熱させることにより、封筒本体23の表面にインクリボン9からインクを転写させて所望の文字、バーコード等の印字を施すように構成されている。
【0019】
インクリボン9は、リボン供給部43とリボン巻き取り部44との間に架け渡され、リボン供給部43にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン9は、プラテンローラ41とサーマルヘッド42との間に供給され、転写後のインクリボン9は、リボン巻き取り部44によって巻き取られる。
【0020】
熱活性部7は、封筒本体23の表面に当接して封筒2を搬送する熱活性プラテンローラ71と、発熱体が熱活性プラテンローラ71に対向する面に形成されている熱活性ヘッド72とを有し、印字部4の下流側に配置されている。熱活性部7は、封筒2を熱活性プラテンローラ71と熱活性ヘッド72との間に挟持搬送し、封筒本体23の裏面側から熱活性ヘッド72の発熱体を発熱させることにより、封筒2に塗布された熱活性粘着剤22の粘着力を発現させる。
【0021】
圧着部8は、封筒本体23の表面側に当接する大径ローラ81と、封筒本体23の裏面側に当接する小径ローラ82と、大径ローラ81と小径ローラ82との間に封筒2を案内する、封筒本体23の裏面側に配置されたガイド板83とからなり、熱活性部7の下流側に配置されている。圧着部8は、大径ローラ81と小径ローラ82とで、小径ローラ82が封筒本体23の裏面に当接するように挟持搬送して折り返されたフラップ21を封筒本体23の裏面に圧着させる。
【0022】
プラテンローラ41は、回転量および回転方向、すなわち封筒2の搬送距離や搬送方向を制御することができるステッピングモータ等の搬送モータ10によって回転駆動されるように構成されている。また、搬送部6のローラ、熱活性プラテンローラ71および大径ローラ81は、プラテンローラ41にタイミングベルト等を介して接続され、搬送部6、印字部4、熱活性部7および圧着部8において、封筒2を同一の速度で搬送するようになっている。
【0023】
封緘装置1による印字動作および封緘動作は、制御部30によって制御される。制御部30には、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であるホスト100が外部インタフェース(外部I/F)11を介して接続され、外部I/F11を介して、ホスト100との間で各種データやコマンドの送受信を行うことができるようになっており、制御部30は、ホスト100から印字データが受信されると、受信した印字データに基づく印字動作および封緘動作を実行する。また、制御部30には、各種データやコマンドを入力するための入力部12がインタフェース(I/F)13を介して接続され、入力部12から入力された入力データは、I/F13を介して制御部30に供給される。
【0024】
搬送部6によって搬送される封筒本体23の裏面側には、封筒2の先端Xを検出し、先端検出信号を出力する先端検出センサ14が設けられている。先端検出信号は、先端検出センサ14から制御部30に入力され、制御部30は、先端検出信号に基づく印字タイミングで、サーマルヘッド42と、プラテンローラ41を回転駆動する搬送モータ10とを制御して印字を行う。
【0025】
制御部30は、図3を参照すると、所定の制御プログラムとフォントデータとが記憶されているROM(read only memory)21と、ROM31に記憶されている制御プログラムに従って動作し、各部を制御するCPU(central processing unit)22と、CPU32が動作する上で必要となる各種データを記憶するRAM(random access memory)23と、搬送モータ10にパルス信号等のモータ駆動信号を供給し、搬送モータ10を回転させる搬送制御部34と、CPU32からの指示に基づいてサーマルヘッド42に印字動作を行わせる印字制御部35と、CPU32からの指示に基づいて熱活性ヘッド72を発熱させて封筒2に塗布された熱活性粘着剤22の粘着力を発現させる熱活性制御部36と、CPU32の制御下、先端検出センサ14から用紙検出信号を受け取り、デジタルのデータに変換することでピッチ信号としてCPU32に供給する封筒位置検出部37とを備えている。
【0026】
次に、本実施の形態の動作について図4乃至図6を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明に係る封緘装置の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図5および図6は、本発明に係る封緘装置の実施の形態の動作を説明するための概略側面図である。
【0027】
図4を参照すると、まず、入力部12から封筒2のフラップ21のフラップ長Aと、先端Xから熱活性粘着剤22が塗布されている領域までの距離Bとを入力し、制御部30のCPU32は、入力部12から入力されたフラップ長Aと距離Bとを封筒情報として設定しておく(ステップA1)。なお、封筒情報は、印字する封筒2に変更がない場合には、予め設定しておいても良く、また、仕様の異なる封筒2にそれぞれ対応する複数の封筒情報の中から選択できるようにしても良い、さらに、ホスト100から印字データと共に封筒情報を送信して設定するようにしても良い。
【0028】
次に、CPU32は、外部I/F11を介してホスト100から印字データを受信すると(ステップA2)、図示しない駆動モータを制御することで送り出しローラ5を1回転させて封筒保持部3から一通の封筒2を送り出させると共に、搬送制御部34に封筒2の正方向への搬送開始を指示し、さらに、受信した印字データに含まれる文字コードに対応するフォントデータをROM31から読み出し、印字データに対応するビットマップイメージデータをRAM33の描画領域に展開する。
【0029】
次に、CPU32は、封筒位置検出部37から入力される先端検出信号に基づく印字タイミングでの印字を搬送制御部34および印字制御部35に指示する。印字制御部35は、CPU32からの指示に基づいて、RAM33の描画領域に展開されているビットマップイメージデータに対応して、サーマルヘッド42に対して制御信号を供給すると共に、搬送制御部34は、CPU32からの指示に基づいて、モータ駆動信号を搬送モータ10に供給することで、プラテンローラ41とサーマルヘッド42とで挟持搬送しながら封筒本体23の表面に印字データを印字する印字処理が実行される(ステップA3)。
【0030】
ステップA3の印字処理が終了すると、CPU32は、搬送制御部34に更なる封筒2の正方向への搬送を指示し、搬送制御部34は、CPU32からの指示に基づいて、モータ駆動信号を搬送モータ10に供給することで、図5(a)に示すように、先端Xが圧着部8を通過して封筒情報として設定されているフラップ長Aより圧着部8から突出する位置まで、すなわち封筒2の折り返されているフラップ21が圧着部8を完全に通過する位置まで封筒2を搬送させる(ステップA4)。
【0031】
次に、CPU32は、搬送制御部34に封筒2の逆方向への搬送を指示し、搬送制御部34は、CPU32からの指示に基づいて、モータ駆動信号を搬送モータ10に供給することで、図5(b)に示すように、先端Xが熱活性部7に対して封筒情報として設定されている距離Bよりも近づく位置、すなわち、封筒本体23の裏面に塗布された熱活性粘着剤22が熱活性部7の上流側に位置するまで、封筒2を逆方向に搬送させる(ステップA5)。
【0032】
逆搬送時においては、図6(a)に示すように、封筒本体23の裏面側に配置されている圧着部8の小径ローラ82によって、折り返されているフラップ21が起こされ、封筒本体23の裏面に塗布されている熱活性粘着剤22が表出した状態で、逆方向に搬送されることになる。すなわち、フラップ21を折り返したのみで接着していない場合には、フラップ21の先端が封筒本体23の裏面から離れた状態になる。従って、封筒2が圧着部8を通過するに際し、ステップA4における通常の封筒2の搬送では、封筒2は、フラップ21が折り返された状態で、ガイド板83に案内されて圧着部8の大径ローラ81と小径ローラ82との間に導かれるが、ステップA5における逆方向の封筒2の搬送では、折り返されているフラップ21の先端と封筒本体23の裏面との間に小径ローラ82が入り込んでフラップ21が起こされることになる。なお、小径ローラ82の径は、対象とする封筒2の材質や形状に応じて適宜設定することができるが、一般的にフラップ長Aの1/4程度が望ましい。
【0033】
次に、CPU32は、搬送制御部34に封筒2の正方向への搬送を指示すると共に、熱活性制御部36に熱活性ヘッド72の発熱を指示する。搬送制御部34は、CPU32からの指示に基づいて、モータ駆動信号を搬送モータ10に供給することで封筒2を排出するまで正方向に配送させる(ステップA6)。また、熱活性制御部36は、封筒2に塗布された熱活性粘着剤22が通過するタイミングに合わせて、封筒本体23の裏面側から熱活性ヘッド72の発熱体を発熱させることにより、封筒2に塗布された熱活性粘着剤22の粘着力を発現させる(ステップA7)。
【0034】
熱活性粘着剤22の粘着力が発現された状態で封筒2が正方向に搬送されると、図6(b)に示すように、フラップ21には折り目がついているため、ガイド板83によってフラップ21が簡単に折り返され、封筒2は、先端Xから圧着部8の大径ローラ81と小径ローラ82との間に導かれて、圧着部8の大径ローラ81と小径ローラ82とで挟持搬送され、粘着力が発現した熱活性粘着剤22によってフラップ21が封筒本体23の裏面に圧着され、封筒2が封緘されて排出される。
【0035】
図7は、本発明に係る封緘装置における逆方向への搬送時に折り返されているフラップを起こすフラップ起こし手段の他の実施の形態の構成を示す概略側面図である。
なお、本実施の形態では、圧着部8の小径ローラ82を逆方向への搬送時に折り返されているフラップ21を起こすフラップ起こし手段として用いるように構成したが、図7(a)に示すように、搬送される封筒本体23の裏面側に配置され、ステップA5における逆方向の封筒2の搬送時に、折り返されているフラップ21の先端と封筒本体23の裏面との間に入り込む新たな部材84や、図7(b)に示すように、折り返されているフラップ21の先端と封筒本体23の裏面との間に入り込むような形状を採用した熱活性ヘッド72aをフラップ起こし手段として用いるようにしても良い。また、部材84や熱活性ヘッド72aをフラップ起こし手段として用いる場合には、圧着部8をフラップ起こし手段として用いる必要がないため、圧着部8を一対の大径ローラ81で構成することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によれば、フラップ21を貼着するために熱活性粘着剤22が塗布された封筒2をフラップ21が折り返された状態で保持する封筒保持部3と、封筒保持部3からフラップ21側を先頭にして封筒を送り出す送り出しローラ5と、送り出しローラ5によってフラップ21側を先頭にして送り出された封筒2を挟持搬送しながら熱活性粘着剤22を活性化させる熱活性部7と、熱活性部7の下流側に配置され、封筒2の逆方向への搬送時に、折り返されたフラップ21と封筒本体23との間に入り込むことで、フラップ21を起こして熱活性粘着剤22を表出させるフラップ起こし手段と、熱活性部7の下流側に配置され、折り返されたフラップ21を封筒本体23に圧着させる圧着部8とを設け、送り出しローラ5によってフラップ21側を先頭にして送り出された封筒2をフラップ21が完全にフラップ起こし手段を通過するまで搬送させた後、逆方向に搬送させることでフラップ起こし手段によってフラップ21を起こして熱活性粘着剤22を表出させ、表出された熱活性粘着剤22を熱活性部7によって活性化させ、圧着部8によってフラップ21を封筒本体23に活性化された熱活性粘着剤22を用いて圧着させるように構成することにより、フラップ21を貼着するために熱活性粘着剤22が塗布された封筒2を用いるため、粘着剤の転写機構を必要としないと共に、封筒2をフラップ21が折り返された状態で保持し、逆方向への搬送時に、フラップ21を起こして熱活性粘着剤22を活性化させるため、フラップ21の折り返し機構とを必要とせず、安価な装置を提供することができるという効果を奏する。
【0037】
さらに、本実施の形態によれば、圧着部8として封筒2を挟持搬送する大径ローラ81と小径ローラ82と設け、熱活性粘着剤22が塗布されている面側に当接する小径ローラ82を、封筒2の逆方向への搬送時に、折り返されたフラップ21と熱活性粘着剤22との間に入り込むフラップ起こし手段として機能させることにより、圧着部8とフラップ起こし手段とを兼用することができるため、より安価な装置を提供することができるという効果を奏する。
【0038】
さらに、本実施の形態によれば、熱活性部7として封筒を挟持搬送する熱活性プラテンローラ71と熱活性ヘッド72aとを設け、熱活性ヘッド72aを、封筒2の逆方向への搬送時に、折り返されたフラップ21と熱活性粘着剤22との間に入り込むフラップ起こし手段として機能させることにより、熱活性部7とフラップ起こし手段とを兼用することができるため、より安価な装置を提供することができるという効果を奏する。
【0039】
さらに、本実施の形態によれば、封筒2を挟持搬送しながら印字を施す印字部4を設けることにより、封緘と共に宛名の印字を行うことができるという効果を奏する。また、フラップ21を折り返した状態で封筒2の保管や印字搬送することができ、内容物の紛失を防止することができる。
【0040】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る封緘装置の実施の形態によって封緘する封筒の構成を示す図であり、(a)および(b)は、平面図であり、(c)は、側面図である。
【図2】本発明に係る封緘装置の実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図3】図2に示す封緘装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る封緘装置の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る封緘装置の実施の形態の動作を説明するための概略側面図である。
【図6】本発明に係る封緘装置の実施の形態の動作を説明するための概略側面図である。
【図7】本発明に係る封緘装置における逆方向への搬送時に折り返されているフラップを起こすフラップ起こし手段の他の実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 封緘装置
2 封筒
3 封筒保持部
4 印字部
5 送り出しローラ
6 搬送部
7 熱活性部
8 圧着部
9 インクリボン
10 搬送モータ
11 外部インタフェース
12 入力部
13 インタフェース
14 先端検出センサ
21 フラップ
22 熱活性粘着剤
23 封筒本体
30 制御部
31 ROM
32 CPU
33 RAM
34 搬送制御部
35 印字制御部
36 熱活性制御部
37 封筒位置検出部
41 プラテンローラ
42 サーマルヘッド
43 リボン供給部
44 リボン巻き取り部
71 熱活性プラテンローラ
72 熱活性ヘッド
72a 熱活性ヘッド
81 大径ローラ
82 小径ローラ
83 ガイド板
84 部材
100 ホスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒を封緘する封緘装置であって、
フラップを貼着するために熱活性粘着剤が塗布された前記封筒を前記フラップが折り返された状態で保持する封筒保持手段と、
該封筒保持手段から前記フラップ側を先頭にして前記封筒を送り出す送り出し手段と、
該送り出し手段によって前記フラップ側を先頭にして送り出された前記封筒を挟持搬送しながら前記熱活性粘着剤を活性化させる熱活性手段と、
該熱活性手段の下流側に配置され、前記封筒の逆方向への搬送時に、折り返された前記フラップと封筒本体との間に入り込むことで、前記フラップを起こして前記熱活性粘着剤を表出させるフラップ起こし手段と、
前記熱活性手段の下流側に配置され、折り返された前記フラップを前記封筒本体に圧着させる圧着手段とを具備し、
前記送り出し手段によって前記フラップ側を先頭にして送り出された前記封筒を前記フラップが完全に前記フラップ起こし手段を通過するまで搬送させた後、逆方向に搬送させることで前記フラップ起こし手段によって前記フラップを起こして前記熱活性粘着剤を表出させ、表出された前記熱活性粘着剤を前記熱活性手段によって活性化させ、前記圧着手段によって前記フラップを前記封筒本体に活性化された前記熱活性粘着剤を用いて圧着させることを特徴とする封緘装置。
【請求項2】
前記圧着手段は、前記封筒を挟持搬送する一対のローラからなり、前記熱活性粘着剤が塗布されている面側に当接する前記ローラが、前記封筒の逆方向への搬送時に、折り返された前記フラップと前記熱活性粘着剤との間に入り込む前記フラップ起こし手段として機能することを特徴とする請求項1記載の封緘装置。
【請求項3】
前記熱活性手段は、前記封筒を挟持搬送する熱活性プラテンローラと熱活性ヘッドとからなり、前記熱活性ヘッドが、前記封筒の逆方向への搬送時に、折り返された前記フラップと前記熱活性粘着剤との間に入り込む前記フラップ起こし手段として機能することを特徴とする請求項1記載の封緘装置。
【請求項4】
前記封筒を挟持搬送しながら印字を施す印字手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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