説明

射出成形機

【課題】成形型装置において成形された成形品を順次受けて所定位置まで下降させて整列させることができる射出成形機を提供する。
【解決手段】材料可塑化供給装置20から供給される溶融樹脂材料が射出装置55の射出ノズルから射出されて成形型装置60のキャビティ67に充填される。成形型装置60の下方には、脱型された成形品100を受ける成形品取出装置70が配置される。成形品取出装置70は、上向きに設置された取出シリンダ71とそのロッド72の先端部に取り付けられて昇降動作する成形品受け部材73とを備える。成形型装置60の下方には、成形品受け部材73が成形品100を受けて所定位置まで下降する直前に成形品100を受け取ってその成形品100を滑走させる払出シュート80が傾斜状に設置される。払出シュート80の下傾端には、成形品100を受け止めるストッパ体83が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は射出成形機に関し、詳しくは、材料ホッパから供給される樹脂材料が材料可塑化供給装置によって溶融されながら移送されて射出室に供給され、射出シリンダの射出プランジャによって射出室の溶融樹脂材料が射出ノズルから射出されて成形型装置のキャビティに充填されるように構成された射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプリプラ式の射出成形機においては、本体フレームに射出シリンダよりなる射出装置が横置き(水平)に設置され、その射出装置の前側に溶融樹脂材料の射出室と射出ノズルとが横方向に直列に設置されている。
一方、溶融樹脂材料を射出室に供給するためのスクリュシリンダよりなる材料可塑化供給装置は、射出室に連通する材料供給口が設けられる下流側を下、材料ホッパが設けられる上流側を上にして斜めに設置されているのが一般的である。
また、従来、射出装置と材料可塑化供給装置とが平行状をなして横置きに設置され、材料可塑化供給装置の材料供給口と射出室とが斜めの連通路によって連通されたプリプラ式の射出成形機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−165335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、成形型装置において成形された成形品を順次受けて所定位置まで下降させて整列させることができる射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、この発明の請求項1に係る射出成形機は、材料ホッパから供給される樹脂材料が材料可塑化供給装置によって溶融されながら移送されて射出室に供給され、射出装置によって前記射出室の溶融樹脂材料が射出ノズルから射出されて成形型装置のキャビティに充填されるように構成された射出成形機であって、
前記成形型装置の下方には、同成形型装置から脱型された成形品を受ける成形品取出装置が配置され、
前記成形品取出装置は、上向きに設置された取出シリンダとそのロッドの先端部に取り付けられて昇降動作する成形品受け部材とを備え、
前記成形型装置の下方には、前記成形品受け部材が成形品を受けて所定位置まで下降する直前に成形品を受け取ってその成形品を滑走させる払出シュートが傾斜状に設置され、 前記払出シュートの下傾端には、前記成形品を受け止めるストッパ体が設けられていることを特徴とする。
【0006】
前記構成において、成形型装置で射出成形された成形品が成形型装置から脱型される際、取出シリンダのロッドが伸長され、成形品受け部材が所定位置まで上昇して成形品を受けた後、成形品受け部材が元の位置まで下降する。すると、成形品は払出シュートに沿って滑走し、ストッパ体に当接して止められる。
そして、前記した工程が繰り返し行われることで、払出シュート上には、そのストッパ体に最前列の成形品が止められた状態でその最前列の成形品の後側に順次に成形品が接した状態で整列されて貯められる。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、前記したように、成形型装置において成形された成形品を順次受けて所定位置まで下降させて整列させることができる射出成形機全体の長さ寸法を小さくして小型化を図ることができるため、小さい設置面積内において射出成形機を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施例に係る射出成形機全体を示す縦断面図である。
【図2】同じく射出室及び射出室周辺を拡大して示す縦断面図である。
【図3】同じく成形品取出装置及び払出シュートを示す側面図である。
【図4】同じく型開きされた可動型から脱型されかつ成形品と分離して落下するスプルー、ランナ、ゲート等の廃材が粉砕機に受けられる前の状態を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例】
【0010】
この発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、射出成形機の本体フレーム10には、材料可塑化供給装置20、射出室(計量室でもある)51を有する射出ヘッド50、射出装置55、成形型装置60、成形品取出装置70、払出シュート80等が設置される。
そして、材料可塑化供給装置20から溶融樹脂材料が射出室51に供給され、射出装置55によって射出室51の溶融樹脂材料が射出ヘッド50の射出ノズル52から射出されて成形型装置60のキャビティ67に充填されることで所望とする成形品(例えば、車両用アシストグリップ)100が成形される。
【0011】
この実施例において、図1と図2に示すように、射出装置55は射出シリンダ56よりなり、本体フレーム10に縦置き(垂直状)に設置されている。
射出シリンダ56の射出プランジャ57の上側には、上下方向に延びる射出室51を有する射出ヘッド50が設けられている。この射出ヘッド50の一側壁には、射出室51の上テーパ部51aの上端部に連通するノズル孔52aが中心部に貫設された射出ノズル52が横向き(水平状)に突出されている。
【0012】
図1と図2に示すように、材料可塑化供給装置20は、材料ホッパ32から供給された樹脂材料を溶融しながら射出室51に供給するものであり、モータ24を駆動源として回転されるスクリュウ22が内設されたスクリュシリンダ21によって構成されている。
そして、スクリュシリンダ21は、本体フレーム10の一側において、下流側を上、上流側を下にして斜め又は縦置き(垂直状)にして設置されている。この実施例では、垂直線Lに対し10度〜30度程度の傾斜角θをもってスクリュシリンダ21が設置されている。
図2に示すように、スクリュシリンダ21の材料流路の下流端(上端)は、連通路53によって射出室51の上テーパ部51aの略中間高さ位置に連通されている。そして、連通路53の途中には、チェックボール等の逆流防止弁54が設けられており、この逆流防止弁54によって射出室51側の溶融樹脂材料がスクリュシリンダ21側に逆流するのを防止するようになっている。
【0013】
図1に示すように、スクリュシリンダ21の上流側である下部には、材料受入口30が設けられるとともに、その材料受入口30に連通する材料投入路31を有するホッパ支持体31aがスクリュシリンダ21に直交する方向に突設されている。
ホッパ支持体31aの上側には、材料ホッパ32が略垂直状をなして設置され、材料ホッパ32内の樹脂材料がその下端の材料放出口から材料投入路31に放出されるようになっている。
また、ホッパ支持体31aの突出端には、材料ホッパ32の材料放出口から放出された樹脂材料をスクリュシリンダ21の材料受入口30に投入する材料押込機構40が設けられている。この材料押込機構40は、往復動作によって樹脂材料をスクリュシリンダ21の材料受入口30に投入するプランジャ42を有するエアーシリンダよりなる押込シリンダ41によって構成されている。
【0014】
図3と図4に示すように、本体フレーム10の上面には、横方向に開閉動作しかつキャビティ67を構成する固定型65と可動型66とを備えた成形型装置60が設置されている。
すなわち、成形型装置60は、本体フレーム10の上面に所定間隔を隔てて固定された第1、第2の両固定盤61、62と、これら第1、第2の両固定盤61、62間に跨って設けられたガイドロッド63に沿って移動可能に設けられかつ第2固定盤62に固定された開閉シリンダ68のロッド69先端部に連結されて第1固定盤61に対し開閉動作される可動盤64と、第1固定盤61と可動盤64の相対する面にそれぞれ固定された固定型65及び可動型66を備えて構成されている。そして、固定型65と可動型66と間には、成形品100に対応するキャビティ67が形成されるとともに、射出ノズル52から射出された溶融樹脂材料をキャビティ67に導くスプルー路、ランナー路、及びゲートが形成されている。
【0015】
図3と図4に示すように、成形型装置60の下方には、可動型66が型開き動作しかつエジェクタピン(図示しない)によって可動型66から脱型された成形品100を受ける成形品取出装置70が設置されている。この成形品取出装置70は、上向きに設置された取出シリンダ71とそのロッド72の先端部に取り付けられて昇降動作する成形品受け部材73とを備えて構成されている。
また、成形型装置60の下方には、成形品受け部材73が成形品100を受けて所定位置まで下降する直前に成形品100を受け取ってその成形品100を滑走させる払出シュート80が傾斜状に設置され、この払出シュート80の下傾端には、成形品100を受け止めるストッパ体83が設けられている(図1参照)。
また、払出シュート80は、図に示すように、成形品取出装置70の成形品受け部材73が挿通可能な間隔を隔てた両シュートバー81が連結支持体82によって一体状に連結されて形成されている。
【0016】
図3と図4に示すように、成形型装置60の下方には、可動型66が型開き動作しかつ可動型66から成形品100と分離して落下するスプルー、ランナ、ゲート等の廃材101を受け入れて粉砕する粉砕機90が設置されている。
また、図に示すように、粉砕機90と材料ホッパ32との間には、粉砕機90によって粉砕された廃材101をリサイクル材料として材料ホッパ32に供給するリサイクル材料供給手段としてのリサイクル材料供給管95が設けられている。このリサイクル材料供給管95には、例えば、ブロアー装置(図示しない)が接続されている。そして、ブロアー装置からリサイクル材料供給管95内に吹き込まれる空気とともにリサイクル材料を材料ホッパ32に供給するようになっている。
【0017】
上述したように構成されるこの実施例に係る射出成形機において、材料ホッパ32から材料投入路31に流入した樹脂材料は、押込シリンダ41のプランジャ42の往復動作によってスクリュシリンダ21の材料受入口30に投入される。
スクリュシリンダ21に投入された樹脂材料はスクリュウ22によって下流側(上側)に移送されながら溶融されて溶融樹脂材料となり、スクリュウ22の先端(上端)から連通路53の逆流防止弁54を経て射出室(計量室でもある)51に注入される。
一方、成形型装置60において、開閉シリンダ68によって可動盤64と一体状の可動型66が型締め位置まで移動される。
【0018】
ここで、射出プランジャ57が前進され、射出室51の溶融樹脂材料が射出ノズル52からスプルー路、ランナー路、及びゲートを通してキャビティ67に射出されて充填され、これによって成型品が成形される。
射出成形後、開閉シリンダ68によって可動盤64とともに可動型66が元の型開き位置まで移動され、エジェクタピンによって可動型66から成形品100が脱型される。
この際、成形品取出装置70をなす取出シリンダ71のロッド72が伸長され、成形品受け部材73が所定位置まで上昇して成形品100を受けた後、成形品受け部材73が元の位置まで下降する。すると、成形品100は払出シュート80のシュートバー81によって受け取られシュートバー81に沿って滑走し、ストッパ体83に当接して止められる。
そして、前記した工程が繰り返し行われることで、払出シュート80のシュートバー81上には、そのストッパ体83に最前列の成形品が止められた状態でその最前列の成形品の後側に順次に成形品が接した状態で整列されて貯められる。
【0019】
一方、射出成形後、可動型66が型開き動作しかつ可動型66から成形品100と脆弱なゲート部において分離し、落下するスプルー、ランナ、ゲート等の廃材101は、粉砕機90に受け入れられて粉砕される。そして、粉砕された廃材はリサイクル材料となり、リサイクル材料供給手段としてのリサイクル材料供給管95内に送られる。
リサイクル材料供給管95内に送られたリサイクル材料は、ブロアー装置からリサイクル材料供給管95内に吹き込まれる空気によって材料ホッパ32に搬送される。そして、材料ホッパ32内のバージン材料とリサイクル材料とが混合された樹脂材料が材料投入路31に流入する。
【0020】
以上、この発明を実施するための最良の形態について実施例にしたがって説明したが、この発明は前記実施例に何等限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
10 本体フレーム
20 材料可塑化供給装置
40 材料押込機構
55 射出装置
60 成形型装置
65 固定型
66 可動型
67 キャビティ
70 成形品取出装置
71 取出シリンダ
72 ロッド
73 成形品受け部材
80 払出シュート
83 ストッパ体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料ホッパから供給される樹脂材料が材料可塑化供給装置によって溶融されながら移送されて射出室に供給され、射出装置によって前記射出室の溶融樹脂材料が射出ノズルから射出されて成形型装置のキャビティに充填されるように構成された射出成形機であって、
前記成形型装置の下方には、同成形型装置から脱型された成形品を受ける成形品取出装置が配置され、
前記成形品取出装置は、上向きに設置された取出シリンダとそのロッドの先端部に取り付けられて昇降動作する成形品受け部材とを備え、
前記成形型装置の下方には、前記成形品受け部材が成形品を受けて所定位置まで下降する直前に成形品を受け取ってその成形品を滑走させる払出シュートが傾斜状に設置され、 前記払出シュートの下傾端には、前記成形品を受け止めるストッパ体が設けられていることを特徴とする射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−45939(P2012−45939A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213789(P2011−213789)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2005−297533(P2005−297533)の分割
【原出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(308039838)テクノハマ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】