説明

尋常性ざ瘡の治療薬及び使用方法

尋常性ざ瘡の治療薬は、局所治療に提供される。本発明によれば、方法は、感染域に組成物物質を適用する段階と、感染域内に組成物を作用させる段階と、感染域から組成物を除去する段階とが提供される。組成物は、ラウロイルサルコシンナトリウムと組合せて、少なくとも1つのエトキシレートを含む。或いは、エトキシレートをメトキシレート又はプロポキシレートに置換することができる。ポリエチレンビーズのような不活性洗浄剤もまた含めることができる。アセチル化ラノリンアルコール、ラウロイルサルコシンナトリウム、EDTA、気泡安定剤、及び水もまた、作用を助けるために組成物に添加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尋常性ざ瘡を治療するための界面活性剤を含む組成物に関する。使用方法もまた含まれる。
【背景技術】
【0002】
尋常性ざ瘡(又は「アクネ」)は、脂腺の疾患である。これは、非炎症性又は炎症性の丘疹及び結節のいずれかである外傷を特徴とする。非炎症性丘疹は、通常「黒にきび」と呼ばれる開放性のもの、或いは通常「白にきび」と呼ばれる閉鎖性のものとすることができる。1つのグループとして非炎症性丘疹は、面皰と呼ばれる。閉鎖性の面皰は、炎症性結節、丘疹、及び膿疱を生じる可能性がある。尋常性ざ瘡の重症例では、くぼみを特徴とする瘢痕を引き起こす場合がある。
【0003】
アクネは、部分的に炎症を起こした小胞の部分的破裂によって生じると考えられる。次いで、小胞はその成分を溢れさせ、これによって小胞周囲の炎症プロセスを進行させることになる。一般的に、初期の外傷は無菌状態であるが、その後グラム陽性類ジフテリア菌が存在する。往々にして皮膚は脂分の多い外観を有することになり、すなわちこれは少なくとも部分的には、P.アクネにより誘発されたリポリーシス中の脂肪酸の放出に恐らく起因するものである。
【0004】
アクネは、重大な問題となる可能性がある。一般にアクネは、青年期に発現して十代後半又は二十代前半に自然に消散するが、人によっては一生を通じた問題になる場合もある。軽度から中等度のアクネは、ほとんどの場合局所薬で治療される。更に重症例は、病巣の切開及びドレナージ、紫外線治療、及び抗生物質の全身投与で治療される。
【0005】
従来技術は、アクネの治療に用いる多くの組成物を備えている。過酸化ベンゾイルのような局所薬は、細菌を減少させると考えられ、アクネの治療に用いられることが多い。これらの治療薬は、ローション、ゲル、パッド、及びその他など多くの形態で見られ、一般に薬局で入手可能である。様々な形態のレチノールが、様々な発明者らによって最近提案されている。アクネの治療に用いられる多くの石鹸もまた存在する。従来技術のほとんどの重大な欠点は、これらが十分浸透しない場合が多く、皮膚を乾燥させることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、尋常性ざ瘡に起因する局所徴候及び症状を軽減するのに役立つ治療を提供することである。
本発明の別の目的は、本発明の治療薬の使用方法を提供することである。
本発明の更に別の目的は、治療効果を変えることなく第2ノニルフェニルエトキシレート、アセチル化ラノリンアルコール、EDTA、気泡安定剤、水及び不活性ポリエチレン顆粒を添加することができる、少なくとも第1ノニルフェニルエトキシレート及びラウロイルサルコシンナトリウムを含む治療薬を提供することである。
本発明の更に別の目的は、安全に使用できる治療薬を提供することである。
本発明の更に別の目的は、局所的であり、店頭で購入することができ、且つ経済的とすることができる治療薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上述の目的は、尋常性ざ瘡に対する局所治療に提供される。本発明によれば、本方法は、感染域に物質の組成物を適用する段階と、感染域内に組成物を作用させる段階と、感染域から組成物を除去する段階とが提供される。組成物は、ラウロイルサルコシンナトリウム(又は「SLS」)と組合せた少なくとも1つのエトキシレートを含む。ポリエチレンビーズのような不活性洗浄剤もまた、処方に含めることができる。アセチル化ラノリンアルコール、第2エトキシレート、EDTA、気泡安定剤、及び水もまた、効果に影響することなく組成物に添加することができる。
【0008】
極性を本発明の処方の極性と同様に保持する他の処方もまた機能するであろう。極性を同様に保持するためには、化合物が炭素鎖、カルボニル基、炭素に結合した窒素、芳香環、オキシレート基、及び個々の分子の端部にある適切な官能基などの、同様の特性を有する必要がある。理想的な置換化学物質は、上述の特性の全てを有することになるが、必ずしも記載したものを全て有する必要はない。例えば、個々の分子端部にある官能基がエマルジョン重合を受ける機能を保持する他の官能基に置換される場合、その化合物の有効性もまた保持される。別の実施例は、エトキシレートをメトキシレート又はプロポキシレートに変換することである。これらの構成物では、依然として同様の極性は保持するが、特性が異なる様々な化合物となる。更に別の実施例では、三重結合窒素を二重結合と置換するか、又は、場合によっては、窒素に結合された4炭素と置換することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
化学的分析及び研究では、本発明の組成物の成分の2つ、すなわちエトキシレート及びラウロイルサルコシンナトリウム(「SLS」)が主にアクネの治療薬としてその有効性に関与していることが明らかになった。エトキシレートは、ノニルフェノールエトキシレートであるのが好ましい。
【0010】
しかしながら、発明者はまた、本発明の製剤の極性と同様の極性を保持する他の製剤も正しく機能するようになることを見出した。極性を同様に保持するためには、化合物が、炭素鎖、カルボニル基、炭素に結合した窒素、芳香環、オキシレート基、及び個々の分子の端部にある適切な官能基などの同様の特性を有することが必要である。理想的な置換化学物質は、上述の特性の全てを有することになるが、必ずしも記載したものを全て有する必要はない。例えば、個々の分子端部にある官能基が、エマルジョン重合を受ける機能を保持する他の官能基と置換される場合、その化合物の有効性も保持される。別の実施例は、エトキシレートをメトキシレート又はプロポキシレートに変換することである。これらの構成物では、依然として同様の極性は保持するが、特性が異なる様々な化合物となる。更に別の実施例では、三重結合窒素を二重結合と置換するか、又は、場合によっては、窒素に結合された4炭素と置換することになる。
【0011】
発明者はまた、不活性洗浄剤の添加により本発明の組成物の作用が改善されることを発見した。ビーズは、効果的である程には大きくなければならないが、表皮剥脱を起こさない大きさであるのがよい。発明者は、平均サイズが約25ミクロン又は50メッシュである5ミクロン〜50ミクロンの範囲内のビーズを提案する。
【0012】
本発明の組成物を作るためには、SLSに対するエトキシレートの正確な比はそれほど重要ではない。唯一の要件は、エトキシレートがSLSと完全に反応してポリマーを生成することである。これは使用されるエトキシレートによって異なるが、発明者はエトキシレート対SLSの比が1.5:2であるのが好ましいことを確認した。ポリエチレンビーズの重量は、所望の粗さによって異なるものとすることができる。発明者は、エトキシレート:SLS:ポリエチレンが40:20:40の処方が好ましいが、他の濃度の処方も有用であることが分かった。従って、生産目的のためには、重量で10%〜20%の範囲のSLS、重量で20%〜40%の範囲のエトキシレート、及び重量で20%〜50%のポリエチレンビーズを有する処方が妥当である。しかしながらこの場合もやはり、該処方はこれらの範囲に限定されず、本範囲は例証の目的のためにだけ提示される。
【0013】
同様に化学的に組成物と反応しない切削剤を添加することができる。切削剤は、組成物全体の流れをより容易にし、これによってチューブのような包装のより多くの選択肢を可能にする。切削剤は、流動性を促進するが組成物の作用には影響しない十分な量だけ添加しなければならない。
【0014】
使用時には、十分な量の組成物を用いて感染域が保護され、該組成物は、感染域に適用された後、洗浄動作によって感染域全体に作用される。感染域が清潔に感じられるよう該感染域を組成物に適切に曝すのを保証するため、十分な時間が経過した後、標準的な人で約10秒〜30秒該感染域を清潔に洗浄する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウロイルサルコシンナトリウム及びノニルフェニルエトキシレートを組合せて含む尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項2】
第2ノニルフェニルエトキシレートを更に含む請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項3】
アセチル化ラノリンアルコールを更に含む請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項4】
ポリエチレン顆粒を更に含む請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項5】
水を更に含む請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項6】
エチレンジアミン四酢酸を更に含む請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項7】
気泡安定剤を更に含む請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項8】
切削剤を更に含む請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項9】
水性溶液及び油性溶液のグループから選択される請求項8に記載の切削剤。
【請求項10】
前記エトキシレートがメトキシレートに置換される請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項11】
前記エトキシレートがプロポキシレートに置換される請求項1に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項12】
エトキシレート、ラウロイルサルコシンナトリウム、及びスクラブ手段を含む尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項13】
前記スクラブ手段がポリエチレンビーズである請求項12に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項14】
切削剤を更に含む請求項12に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項15】
前記エトキシレートがメトキシレートに置換される請求項12に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項16】
前記エトキシレートがプロポキシレートに置換される請求項12に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項17】
第1エトキシレート、第2エトキシレート、アセチル化ラノリンアルコール、ラウロイルサルコシンナトリウム、EDTA、気泡安定剤、水、及び不活性ポリエチレン顆粒を含む尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項18】
前記第1エトキシレートがメトキシレートに置換される請求項17に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項19】
前記第1エトキシレートがプロポキシレートに置換される請求項17に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項20】
エトキシレート、ラウロイルサルコシンナトリウム、及びEDTAを含む尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項21】
前記エトキシレートがメトキシレートに置換される請求項20に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項22】
前記エトキシレートがプロポキシレートに置換される請求項20に記載の尋常性ざ瘡の治療薬。
【請求項23】
エトキシレート及びラウロイルサルコシンナトリウムを含む組成物を準備する段階と、
感染域に前記組成物を適用する段階と、
前記組成物に作用を生じさせることができるように、十分な時間前記感染域に前記組成物を残存させることを可能にする段階と、
前記感染域から前記組成物を除去する段階と、
を含む尋常性ざ瘡の治療方法。
【請求項24】
前記組成物を準備する段階が更に、第2エトキシレートを添加する段階を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物を準備する段階が更に、アセチル化ラノリンアルコールを添加する段階を含む請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物を準備する段階が更に、アセチル化ポリエチレン顆粒を添加する段階を含む請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物を準備する段階が更に、水を添加する段階を含む請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物を準備する段階が更に、EDTAを含む請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物を準備する段階が更に、気泡安定剤を含む請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物に希釈剤を添加する段階を更に含む請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記エトキシレートがメトキシレートに置換される請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記エトキシレートがプロポキシレートに置換される請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2007−521234(P2007−521234A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508238(P2005−508238)
【出願日】平成15年8月12日(2003.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/025207
【国際公開番号】WO2005/018629
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506049518)
【Fターム(参考)】