説明

導光板の製造方法およびこの製造方法を用いた導光板

【課題】ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成する。
【解決手段】導光板2は、光源の光を導く入射端面部3と、入射端面部3に対向する反入射端面部4と、入射端面部3と反入射端面部とに接続する側面部5と、入射端面部3と反入射端面部4と側面部5のそれぞれに直交する表面部6および裏面部7とからなる。入射端面部3や反入射端面部4は、側面部5よりも長くする。側面部5に設ける副ゲート9の位置を、入射端面部3からの距離と反入射端面部4からの距離との比率が1:4〜2:3の割合になる入射端面部3寄りに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、入射端面部と反入射端面部とに接続する側面部と、入射端面部と反入射端面部と側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有し、表面部および/または裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板の製造において、入射端面部に対向する反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに側面部に副ゲートを用いる製造方法であり、入射端面部や反入射端面部は側面部よりも長くし、側面部に設ける副ゲートの位置を入射端面部からの距離と主ゲート側の反入射端面部からの距離との比率が所定範囲(1:4〜2:3の範囲)の割合になる入射端面部寄りの位置に設け、副ゲートを主ゲートの大きさよりも小さくしたり、また副ゲートを主ゲートのランナーの断面積よりも大きなランナーの断面積にしたり、さらに副ゲートを主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出するようにした導光板の製造方法および本製造方法による導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の射出成形による導光板の製造方法として、導光板の入射面側のセンター箇所にゲートを設ける、所謂一箇所のセンターゲート方式による射出方法が知られている。この出射方法では、特に大型の液晶表示装置に対応させる場合、輝度の必要性から長短の長い側面側に線状光源からの光線を導く入射端面部として、この入射端面部の位置にゲートを設けている。
【0003】
また、大型の平面照明装置用の導光板を射出成形する従来の導光板の製造方法として、長短の長い側面側に並列に複数のゲートを整列に設ける方法が知られている。
【0004】
さらに、従来の射出成形による導光板の製造方法として、入光部を形成する厚肉部から対辺側に向かって次第に薄肉となる略楔形断面を有する導光板の成形キャビティを形成する導光板の射出成形用金型において、成形キャビティに接続されて溶融樹脂材料を該成形キャビティに導くゲートを、厚肉部の対辺となる薄肉部の外周成形面に開口して、該薄肉部の全長を半分以上の長さに亘って広がるフィルムゲートによって構成した製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−68910号公報
【特許文献2】特開2002−292690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の射出成形による導光板の製造方法として、導光板の入射面側にセンター箇所にゲートを設ける、所謂一箇所のセンターゲート方式による射出方法では、特に大型の液晶表示装置に対応させる場合、輝度の必要性から長短の長い側面側に線状光源からの光線を導く入射端面部として、この入射端面部の一箇所の位置にゲートを設けるので、溶融樹脂の流れがキャビティのゲート部から直進方向のゲート部の反対側方向へと進ませ大きなキャビティ内に充填させるため、ランナーからの圧力を高くしなければならない課題がある。
【0007】
さらに、輝度の必要性から長短の長い側面側に線状光源からの光線を導く入射端面部として、この入射端面部の一箇所の位置にゲートを設けるので、溶融樹脂の流れがキャビティのゲート部から直進方向のゲート部と反対側方向に進み、ゲート部の反対側のキャビティ内に充填された後、樹脂はゲート部方向に進み、最後にゲート部の左右に移動してキャビティ内を満たす。このため、ゲート部の反対側方向とゲート部の左右方向との時間誤差が大きく、特に大型の射出成形導光板では板厚が薄く、さらに導光板形状が楔形形状の場合には金型から熱エネルギの奪われ方がゲート部の反対側方向が著しく、より樹脂の硬化時間差が発生してしまい、成形後の導光板に残留歪みが残ってしまう課題やウェルドの発生する課題が有る。
【0008】
また、従来の導光板の製造方法として、長短の長い側面側に並列に複数のゲートを整列して設ける方法では、隣り合う互いのゲートから隣り合うゲート方向に溶融樹脂が流れ、ゲートに近いために溶融樹脂の流れが強く、互いの流れがぶつかり合い、隣り合うゲートの中間位置から入射端面部方向にウェルドの発生する課題がある。
【0009】
さらに、複数のゲートを整列して設ける方法では、ゲート部分を削除する箇所が多くなり、切削法や溶融法において加工時間が長く掛かり作業性や経済性に劣るとともに削除したゲート部分での散乱要素の確率が多くなる課題がある。
【0010】
さらに説明すると、図4に示すように、従来の導光板2の製造方法は、長短の長い側面である反入射端面部4側に並列に複数のゲート8’を整列に設ける方法なので、隣り合う互いのゲート8’から隣り合うゲート8’方向の溶融樹脂が流れL、隣り合うゲート8’に近いために溶融樹脂の流れLが強く、互いの流れLがぶつかり合い、隣り合うゲート8’の中間位置から入射端面部3方向にウェルドWの発生してしまう。
【0011】
また、従来の複数のゲート8’を整列に設ける方法では、ゲート8’部分を削除する箇所が多くなり、切削法や溶融法において加工時間が長く掛かり作業性や経済性に劣るとともに削除したゲート8’部分での散乱要素の確率が多くなってしまう。
【0012】
また、従来の射出成形による導光板の製造方法として、入光部を形成する厚肉部から対辺側に向かって次第に薄肉となる略楔形断面を有する導光板の成形キャビティを形成する導光板の射出成形用金型において、成形キャビティに接続されて溶融樹脂材料を該成形キャビティに導くゲートを、厚肉部の対辺となる薄肉部の外周成形面に開口して、該薄肉部の全長を半分以上の長さに亘って広がるフィルムゲートによって構成した製造方法では、光学的特性がそれ程重視されない導光板の薄肉部にゲートが設定されることから、ゲートの後処理が容易となり、導光板の製作作業も容易となるが、フィルム状のゲートを用いるためにランナーから溶融樹脂材料を高い圧力で射出しなければならない課題があるとともに大きな導光板ではより高い圧力が必要であるとともにゲート付近で金型から熱エネルギの奪われ方が激しい課題がある。
【0013】
(発明の目的)
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、入射端面部と反入射端面部とに接続する側面部と、入射端面部と反入射端面部と側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有し、表面部および/または裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板の製造において、入射端面部に対向する反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに側面部に副ゲートを用いる製造方法であり、入射端面部や反入射端面部は側面部よりも長くし、側面部に設ける副ゲートの位置を入射端面部からの距離と主ゲート側の反入射端面部からの距離との比率が所定範囲(4:1〜3:2の範囲)の割合になる入射端面部寄りの位置に設けて、副ゲートを主ゲートの大きさよりも小さくしたり、また副ゲートを主ゲートのランナーの断面積よりも大きなランナーの断面積にしたり、さらに副ゲートを主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出するようにした導光板の製造方法によって、成形後の導光板に残留歪みが残ったり、ウェルドの発生の無い大きな導光板を製造する導光板の製造方法および本製造方法による導光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る導光板の製造方法は、光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、前記入射端面部と前記反入射端面部とに接続する側面部と、前記入射端面部と前記反入射端面部と前記側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有して前記表面部および/または前記裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板において、
前記入射端面部に対向する前記反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに前記側面部に副ゲートを用いることを特徴とする。
【0015】
請求項1に係る導光板の製造方法は、光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、入射端面部と反入射端面部とに接続する側面部と、入射端面部と反入射端面部と側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有して表面部および/または裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板において、
入射端面部に対向する反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに側面部に副ゲートを用いるので、大きな導光板でも射出成形を可能にし、成形サイクルが短い時間で行なえるとともにウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成することができる。
さらに、入射端面部に対向する反入射端面部に1つのみのゲートを設けたため、ゲート部分の後処理を行なった後に於いても入射端面部からのエネルギの強い光を受ける反入射端面部での光散乱要素を最小限に留めることができる。
【0016】
また、請求項2に係る導光板の製造方法は、請求項1の導光板の製造方法において、
前記副ゲートは、前記主ゲートの大きさよりも小さいことを特徴とする。
【0017】
請求項2に係る導光板の製造方法は、副ゲートが主ゲートの大きさよりも小さいので、キャビティ内に流れ込む溶融樹脂の量を主ゲートよりも少なくし、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
【0018】
さらに、請求項3に係る導光板の製造方法は、請求項1又は2の導光板の製造方法において、
前記副ゲートは、前記主ゲートのランナーの断面積よりも大きな前記ランナーの断面積を有することを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る導光板の製造方法は、副ゲートが、主ゲートのランナーの断面積よりも大きなランナーの断面積を有するので、主ゲートにかかる圧力よりも副ゲートにかかる圧力の方が低くなるために、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
【0020】
また、請求項4に係る導光板の製造方法は、請求項1〜3の何れかの導光板の製造方法において、
前記副ゲートは、前記主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出することを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る導光板の製造方法は、副ゲートが、主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出するので、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
【0022】
さらに、請求項5に係る導光板の製造方法は、請求項1〜4の何れかの導光板の製造方法において、
前記副ゲートは、前記入射端面部寄りの位置に設けることを特徴とする。
【0023】
請求項5に係る導光板の製造方法は、副ゲートを入射端面部寄りの位置に設けるので、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
【0024】
また、請求項6に係る導光板の製造方法は、請求項1〜5の何れかの導光板の製造方法において、
前記入射端面部および前記反入射端面部は、前記側面部よりも長いことを特徴とする。
【0025】
請求項6に係る導光板の製造方法は、入射端面部および反入射端面部が側面部よりも長いので、大型の液晶表示装置等に対応でき、輝度の必要性から互いに対向する距離の短い1側面に光源を設けることができる。
【0026】
また、請求項7に係る導光板の製造方法は、請求項1〜6の何れかの導光板の製造方法において、
前記主ゲートは、前記反入射端面部から左右両方の前記側面部方向に向けたゲートランドを有することを特徴とする。
【0027】
請求項7に係る導光板の製造方法は、主ゲートが、反入射端面部から左右両方の側面部方向に向けたゲートランドを有するので、特に大きな導光板等の場合に側面方向に向け広がるように射出成形されるので、左右両端部等での樹脂の速度を速めることができ、副ゲート付近までの両側面部方向に速やかに溶融樹脂を充填することができる。
【0028】
さらに、請求項8に係る導光板は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の導光板の製造方法により射出成形されることを特徴とする。
【0029】
請求項8に係る導光板は、請求項1〜請求項7の何れかの導光板の製造方法により射出成形されるので、大きな導光板を可能にし、ウェルドの発生や残留歪みが無く大きく作成することができる。
【0030】
また、請求項9に係る導光板は、請求項8の導光板において、
前記表面部または/および前記裏面部は、球および楕円球の一部ならびに三角錐、円錐、四角錐、三角柱、四角柱、円柱等から成る形状を垂直にまたは三角柱、四角柱、半円柱等から成る形状を水平にランダムおよび直線状や曲線状ならびに任意の分布で光制御部を設けることを特徴とする。
【0031】
請求項9に係る導光板は、表面部または/および裏面部に対し、球および楕円球の一部ならびに三角錐、円錐、四角錐、三角柱、四角柱、円柱等から成る形状を垂直にまたは三角柱、四角柱、半円柱等から成る形状を水平にランダムおよび直線状や曲線状ならびに任意の分布で光制御部を設けるので、大きさや縦横の長短比など目的に合わせて光制御部の形状を選択することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、請求項1に係る導光板の製造方法は、光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、入射端面部と反入射端面部とに接続する側面部と、入射端面部と反入射端面部と側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有して表面部および/または裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板において、
入射端面部に対向する反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに側面部に副ゲートを用いるので、大きな導光板でも射出成形を可能にし、成形サイクルが短い時間で行なえるとともにウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成することができる。
さらに、入射端面部に対向する反入射端面部に1つのみのゲートを設けたため、ゲート部分の後処理を行なった後に於いても入射端面部からのエネルギの強い光を受ける反入射端面部での光散乱要素を最小限に留めることができる。
そのために、斑の無い均一な出射光を得られる導光板を効率よく生産することができるとともに経済性にも優れている。
【0033】
請求項2に係る導光板の製造方法は、副ゲートが主ゲートの大きさよりも小さいので、キャビティ内に流れ込む溶融樹脂の量を主ゲートよりも少なくし、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
そのために、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成することができる。
【0034】
請求項3に係る導光板の製造方法は、副ゲートが、主ゲートのランナーの断面積よりも大きなランナーの断面積を有するので、主ゲートにかかる圧力よりも副ゲートにかかる圧力の方が低くなるために、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
そのために、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成することができる。
【0035】
請求項4に係る導光板の製造方法は、副ゲートが、主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出するので、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
そのために、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成することができる。
【0036】
請求項5に係る導光板の製造方法は、副ゲートを入射端面部寄りの位置に設けるので、主ゲートから入射端面部方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲートから溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート付近で一致することができる。
そのために、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成することができる。
【0037】
請求項6に係る導光板の製造方法は、入射端面部および反入射端面部が側面部よりも長いので、大型の液晶表示装置等に対応でき、輝度の必要性から互いに対向する距離の短い1側面に光源を設けることができる。
そのために、明るく光源に用いる数量が少量でよく、経済性に優れているとともに生産性にも優れている。
【0038】
請求項7に係る導光板の製造方法は、主ゲートが、反入射端面部から左右両方の側面部方向に向けたゲートランドを有するので、特に大きな導光板等の場合に側面方向に向け広がるように射出成形されるので、左右両端部等での樹脂の速度を速めることができ、副ゲート付近までの両側面部方向に速やかに溶融樹脂を充填することができる。
そのために、大きな導光板でも均一の速度で樹脂を充填され両面または片面に反射や屈折等を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を精度良く成形することができる。
さらに、時間的な経済性に優れているとともにウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板を作成することができる。
【0039】
請求項8に係る導光板は、請求項1〜請求項7の何れかの導光板の製造方法により射出成形されるので、大きな導光板を可能にし、ウェルドの発生や残留歪みが無く大きく作成することができる。
そのために、斑の無い均一な出射光を得られる。
【0040】
請求項9に係る導光板は、表面部または/および裏面部に対し、球および楕円球の一部ならびに三角錐、円錐、四角錐、三角柱、四角柱、円柱等から成る形状を垂直にまたは三角柱、四角柱、半円柱等から成る形状を水平にランダムおよび直線状や曲線状ならびに任意の分布で光制御部を設けるので、大きさや縦横の長短比など目的に合わせて光制御部の形状を選択することができる。
そのために、斑の無い均一な出射光を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る導光板の製造方法の概略平面図である。
【図2】本発明に係る導光板の製造方法の概略平面図である。
【図3】本発明に係る導光板の製造方法の部分概略平面図である。
【図4】従来の導光板の製造方法の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、本発明は、光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、入射端面部と反入射端面部とに接続する側面部と、入射端面部と反入射端面部と側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有し、表面部および/または裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板の製造において、入射端面部に対向する反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに側面部に副ゲートを用いる製造方法であり、入射端面部や反入射端面部は側面部よりも長くし、側面部に設ける副ゲートの位置を入射端面部からの距離と主ゲート側の反入射端面部からの距離との比率が所定範囲(4:1〜3:2の範囲)の割合になる入射端面部寄りの位置に設けて、副ゲートを主ゲートの大きさよりも小さくしたり、また副ゲートを主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出するようにしたり、主ゲートのゲートランドを側面部の左右の2方向に向け溶融樹脂を射出するようにした導光板の製造方法によって、成形後の導光板に残留歪みが残ったり、ウェルドの発生の無い大きな導光板を製造することができるとともに、導光板の表面部や裏面部に設けた反射や屈折等を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部に確実に樹脂を充填するとともに両面成形導光板や片面成形導光板の隅々まで成形できる導光板の製造方法および本製造方法による導光板を提供することにある。
【0043】
図1および図2は本発明に係る導光板の製造方法の概略平面を示す図、図3は本発明に係る導光板の製造方法の部分概略平面を示す図である。
【0044】
本例の導光板の製造方法によって射出生成される導光板2は、図1に示すように、光源の光を導く入射端面部3と、当該入射端面部3に対向する反入射端面部4と、入射端面部3と反入射端面部4とに接続する側面部5と、入射端面部3と反入射端面部4と側面部5のそれぞれに直交する表面部6および裏面部7を有し、反入射端面部4の中心位置に主ゲート8を用いるとともに側面部5に副ゲート9を設ける。
【0045】
導光板2は、屈折率が1.4〜1.7程度の無色透明なアクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)等により形成される。図1に示すように、導光板2は、外形が光源の光を導く入射端面部3と、反入射端面部4と側面部5および表面部6と表面部6に対向する裏面部7とからなる矩形形状に形成されている。
【0046】
尚、導光板2に入射した光は、屈折角γが0≦|γ|≦Sin-1(1/n)を満たす範囲で導光板2内に進む。例えば一般の導光板2に使用されている樹脂材料であるアクリル樹脂の屈折率はn=1.49程度であるので、入射端面部3で屈折する屈折角γはγ=0〜±42°程度の範囲内になる。
【0047】
さらに、屈折角γ=0〜±42°の範囲内で導光板2内に入射した光は、導光板2と空気層(屈折率n=1)との境界面において、Sinα=(1/n)により臨界角を表すことができる。例えば一般の導光板2に使用されている樹脂材料であるアクリル樹脂の屈折率はn=1.49程度であるので、臨界角αはα=42°程度になり、導光板2の表面部6や裏面部7が平らな面の時に光線を偏向する凸や凹等が無かったり、臨界角αを越えなければ導光板2内の光は表面部6や裏面部7で全て全反射しながら入射端面部3から反対方向の反入射端面部4方向へ進むことになる。
【0048】
また、図示しないが、表面部6や裏面部7には、微細な多数の凸状や凹状からなる球および楕円球の一部ならびに三角錐、円錐、四角錐、三角柱、四角柱、円柱等から成る形状を垂直にまたは三角柱、四角柱、半円柱等から成る形状を水平にランダムおよび直線状や曲線状ならびに任意の分布で光制御部を施してある。これにより、臨界角αを越えた導光板2内の光は表面部6や裏面部7から外部に出射し、導光板2の大きさや縦横の長短比などで目的に合わせて光制御部の形状を選択することによって、斑の無い均一な出射光を得る。
【0049】
また、図1に示すように、導光板2の製造方法は、副ゲート9を主ゲート8の大きさよりも小さくする。
【0050】
副ゲート9を主ゲート8の大きさよりも小さくすることによって、キャビティ内に流れ込む溶融樹脂の量を主ゲート8よりも少なくし、主ゲート8から入射端面部3方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲート9から溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート9付近で一致することができ、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板2を作成することができる。
【0051】
さらに、図1に示すように、導光板2の製造方法は、樹脂注入穴をも含めて副ゲート9のランナーの断面積を主ゲート8のランナーの断面積よりも大きなランナーの断面積にする。例えば副ゲート9のランナーの樹脂注入穴10−2は主ゲート8のランナーの樹脂注入穴10−1よりも大きくし、主ゲート8にかかる圧力よりも副ゲート9にかかる圧力の方が低くなるために、主ゲート8から入射端面部3方向に溶融樹脂が充填されるのと副ゲート9から溶融樹脂が充填されるのとが副ゲート9付近で一致することができ、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板2を作成することができる。
【0052】
また、図示しないが、導光板2の製造方法は、副ゲート9の溶融樹脂を射出する時間を主ゲート8に溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出する。そのため、主ゲート8から入射端面部3方向に充填される溶融樹脂と、副ゲート9から充填される溶融樹脂とが副ゲート9付近で一致するので、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板2を作成することができる。
【0053】
さらに、図1に示すように、導光板2の製造方法は、副ゲート9を入射端面部3からの距離と反入射端面部4からの距離との比率が所定範囲(1:4〜2:3の範囲)の割合になる入射端面部3寄りの位置に設ける。そのため、主ゲート8から入射端面部3方向に充填される溶融樹脂と副ゲート9から充填される溶融樹脂とが副ゲート9付近で一致することができ、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板2を作成することができる。
【0054】
また、図1に示すように、導光板2の製造方法は、入射端面部3や反入射端面部4が側面5よりも長い。そのため、大型の液晶表示装置等に対応でき、輝度の必要性から互いに対向する距離の短い1側面である入射端面部3のみに光源を設けることができ、明るく光源の数量が少量でよく、経済性に優れているとともに生産性にも優れている。
【0055】
これら1側面の入射端面部3のみに光源を設けるものであるが、図2に示すように、導光板2は、光源を2側面に備える場合に、図1での入射端面部3と1つの側面部5から成るように例えば光源がL字状のときに、光を導く長い側面からなる入射端面部3と短い側面からなる入射端面部3’と、反入射端面部4と側面部5とから成り、反入射端面部4の中心位置に主ゲート8を用いるとともに1側面部に副ゲート9を設ける。
【0056】
このような場合に於いても、主ゲート8から充填される溶融樹脂と、副ゲート9から充填される溶融樹脂とが副ゲート9付近で一致し、入射端面部3と入射端面部3’との接続部付近に進み充填するので、ウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板2を作成することができる。
【0057】
さらに、図3に示すように、導光板2の製造方法は、主ゲート8の部分がランナー・ゲート部8−2を有し、溶融樹脂を注入する樹脂注入穴10と、樹脂注入穴10からランナー幅11、ランナー厚12から成るランナを流れ、溶融樹脂をゲートランドの間に設けた流動堤14で主ゲート8を反入射端面部4から左右両方の側面部5方向に分岐させるように左右両方の側面部5方向に向けた両端ゲート13から成るゲートランドを有する。
【0058】
このように、ワイド画面を有する導光板2を得る金型キャビティ内に溶融樹脂を射出する主ゲート8のランナー・ゲート部8−2は、樹脂注入穴10から注入された溶融樹脂がランナに流れ、両端ゲート13のゲートランドの間に設けた流動堤14によってランナーの中心部での樹脂の速度を遅くし、両端ゲート13の両端部等のランナー形状に対応して中心部から両端ゲート13の両端部へ徐々に樹脂の速度を速めることができ、特に大きなワイド画面導光板2等の場合に溶融樹脂を供給する注入口の両端ゲート13のゲートランドによって側面部5方向に向け広がるようにキャビティ内に溶融樹脂を射出成形される。これにより、左右両端の側面部5等での樹脂の速度を速めることができ、副ゲート9付近までの両側面部5方向に速やかに溶融樹脂を充填することができる。
【0059】
そのために、大きな導光板2でも均一の速度で樹脂が充填され、表面部6や裏面部7に反射や屈折等を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を精度良く成形することができるとともに両面成形導光板や片面成形導光板の隅々まで同圧成形し、さらに成形導光板2の中心部と隅とが同時刻に成形するようにして、ウェルドの発生が無く残留歪みが残らないように射出成形する導光板2の製造方法および導光板を提供することにある。
さらに、時間的な経済性に優れているとともにウェルドの発生や残留歪みの無い大きな導光板2を作成することができる。
【0060】
次に、本発明に係る導光板の製造方法によって射出成形される導光板の実施例を以下に示す。
導光板2のサイズ:32インチ、厚さ2mm
材質:アクリル樹脂材(クラレ GH1000−S)
550tプレス成形機を使用
溶融温度:275℃
注入圧力:500Kgf/cm2
注入速度/量 主ゲート:60g/s、副ゲート:20g/s(左右両側面部)
上記の条件に於いて、導光板2を射出成形したところ、成形された導光板2にウェルドの発生および残留歪みが無かった。
【0061】
このように、光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、入射端面部と反入射端面部とに接続する側面部と、入射端面部と反入射端面部と側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有し、表面部および/または裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板の製造に対して、入射端面部に対向する反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに側面部に副ゲートを用いる製造方法であり、入射端面部や反入射端面部は側面部よりも長くし、側面部に設ける副ゲートの位置を入射端面部からの距離と主ゲート側の反入射端面部からの距離との比率が所定範囲(4:1〜3:2の範囲)の割合になる入射端面部寄りの位置に設けて、副ゲートを主ゲートの大きさよりも小さくしたり、また副ゲートを主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出するようにしたり、主ゲートのゲートランドを側面部の左右の2方向に向け溶融樹脂を射出するようにした導光板の製造方法によって、導光板の表面部や裏面部に設けた反射や屈折等を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部に確実に樹脂を充填するとともに両面成形導光板や片面成形導光板の隅々まで成形できる導光板の製造することができ成形後の導光板に残留歪みが残ったり、ウェルドの発生の無い大きな導光板を得ることができる。
【符号の説明】
【0062】
2 導光板
3 入射端面部
4 反入射端面部
5 側面部
6 表面部
7 裏面部
8 主ゲート
8’ 主ゲート
9 副ゲート
10 樹脂注入穴
10−1 樹脂注入穴
10−2 樹脂注入穴
11 ランナー幅
12 ランナー厚
13 両端ゲート
14 流動堤
W ウェルド
L 溶融樹脂流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の光を導く入射端面部と、当該入射端面部に対向する反入射端面部と、前記入射端面部と前記反入射端面部とに接続する側面部と、前記入射端面部と前記反入射端面部と前記側面部のそれぞれに直交する表面部および裏面部とを有して前記表面部および/または前記裏面部に反射または/および屈折を行う微細な多数の凸状や凹状からなる光制御部を設けて射出成形により両面または片面成形される導光板において、
前記入射端面部に対向する前記反入射端面部の中心位置に主ゲートを用いるとともに前記側面部に副ゲートを用いることを特徴とする導光板の製造方法。
【請求項2】
前記副ゲートは、前記主ゲートの大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の導光板の製造方法。
【請求項3】
前記副ゲートは、前記主ゲートのランナーの断面積よりも大きな前記ランナーの断面積を有することを特徴とする請求項1又は2記載の導光板の製造方法。
【請求項4】
前記副ゲートは、前記主ゲートに溶融樹脂を射出する時間よりも遅く溶融樹脂を射出することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の導光板の製造方法。
【請求項5】
前記副ゲートは、前記入射端面部寄りの位置に設けることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の導光板の製造方法。
【請求項6】
前記入射端面部および前記反入射端面部は、前記側面部よりも長いことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の導光板の製造方法。
【請求項7】
前記主ゲートは、前記反入射端面部から左右両方の前記側面部方向に向けたゲートランドを有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の導光板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の導光板の製造方法により射出成形されることを特徴とする導光板。
【請求項9】
前記表面部または/および前記裏面部は、球および楕円球の一部ならびに三角錐、円錐、四角錐、三角柱、四角柱、円柱等から成る形状を垂直にまたは三角柱、四角柱、半円柱等から成る形状を水平にランダムおよび直線状や曲線状ならびに任意の分布で光制御部を設けることを特徴とする請求項8記載の導光板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240249(P2012−240249A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110474(P2011−110474)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(510183187)ライツ・アドバンスト・テクノロジー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】