導水ジョイント
【課題】外力を受けた場合にも下水の流れを維持することができ、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる導水ジョイントを提供する。
【解決手段】上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体と、このジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えている。
【解決手段】上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体と、このジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導水ジョイントに関する。さらに詳しくは、本発明は、導水ジョイント及びそれを用いるマンホール設備の改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、下水道、電気ケーブル、通信ケーブル、ガス供給管などの地下に埋設された管路は、マンホールを介して敷設されている。このマンホールは、地上から人が出入りできる径を有する孔であり、前記下水道、埋設された電気・通信ケーブルなどの維持や管理に利用されている。
【0003】
近年、車の振動、地震、地盤変動などに起因する前記マンホールと管路との接合部への外力に対する耐性(外力耐性)を向上させるために、マンホールの設置に際しては、前記マンホールと管路とが、可撓性を有する継手装置を介して接続されている(特許文献1及び2を参照)。しかしながら、既設のマンホールのなかには、モルタル等により管路が固定されているものもあるため、特許文献1及び2に記載の継手装置を用いて既設のマンホールにおける外力耐性を向上させる場合には、既設のマンホールへの特許文献1及び2に記載の継手装置の取り付けに際して、マンホール周囲の開削などの大規模な工事を要し、多大な工事費用を要する場合がある。
【0004】
また、地震や地盤変動による引っ張り荷重や曲げ剪断荷重に対するマンホールと管路との接続部の破損をくい止めることができるマンホールと汚水管との接続構造として、コンクリート製のマンホール本体の側壁に設けられた流入側および流出側の両接続口にそれぞれ接続されているコンクリート製の両汚水管の端部内に、管壁の一部が長手方向に切り欠かれた合成樹脂製の短管状体がその切欠き部を上側にしてマンホール内からそれぞれ挿入され、両短管状体の上半部一端から外方に突設された鍔部がマンホール内面に固着されて密着状態で装着されている構造が知られている(特許文献3を参照のこと)。
【特許文献1】特開平11−191918号公報
【特許文献2】特開2007−113360号公報
【特許文献3】特開2000−64322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載の接続構造は、汚水管の端部内に、管壁の一部が長手方向に切り欠かれた合成樹脂製の短管状体がマンホール内からそれぞれ挿入され、短管状体の上半部一端から外方に突設された鍔部がマンホール内面に固着されて密着状態で装着されている構造であるため、マンホールと下水管との接合部が補強されているに過ぎず、地震や地盤変動により、接続構造そのものが破壊された場合、マンホール内で下水の流れが停滞する場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持することができ、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる、導水ジョイントを提供することを1つの目的とする。また、本発明は、外力を受けた場合にも下水の流れを維持する性質を、既設マンホール及び下水管に付与することができるとともに、簡便に施工できる、マンホールの改修方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の導水ジョイントは、マンホールに接続されている既設の一対の下水管路同士を当該マンホール内において導水可能に接続するための導水ジョイントであって、上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体と、このジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明の導水ジョイントは、ジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えているため、簡便に、マンホールに接続されている既設の一対の下水管路同士を当該マンホール内において導水可能に接続することができる。このように、本発明の導水ジョイントによれば、この導水ジョイントを介して、既設の一対の下水管路同士を接続することができるので、外力を受けた場合にも下水の流れを維持することができる。
【0009】
また、本発明の導水ジョイントは、上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体を備えているので、ジョイント本体の上方開口部から、この導水ジョイントの接続部を下水管の内面に配置し、内接させ、固定するなどの操作を容易に行なうことができる。したがって、本発明の導水ジョイントは、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。
【0010】
前記ジョイント本体は、平板上に展開可能な可撓性を有する材料よりなることが好ましい。
また、前記ジョイント本体は、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部を備えていることが好ましい。
【0011】
本発明のマンホール設備の改修方法は、一対の下水管がマンホールに接続されている既設のマンホール設備の改修方法であって、
(A) 前記マンホールに接続されている一対の下水管内に、このマンホール内側から、前記導水ジョイントを配置する工程、並びに
(B) 前記マンホール内側から、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部のうちの少なくとも下水管上流側の一方を前記下水管内側に固定して、マンホールに接続されている一対の下水管同士を当該マンホール内に導水可能に接続する工程、
を含むことを特徴としている。
【0012】
本発明のマンホール設備の改修方法は、前記導水ジョイントが用いられているため、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を、既設マンホール及び下水管に付与することができる。また、本発明のマンホール設備の改修方法は、マンホール内側から、当該マンホールに接続されている下水管に、導水ジョイントを接続するため、大規模な工事を行なわずとも、簡便に施工することができる。
【0013】
本発明のマンホール設備の改修方法は、前記工程(B)において、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部の両方をそれぞれ前記下水管内側に固定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持することができ、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。また、本発明のマンホールの改修方法によれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を既設マンホール及び下水管に付与することができるとともに、簡便に施工できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の導水ジョイントの一実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態(実施の形態1)の導水ジョイント1を示す概略説明図である。
【0016】
本実施の形態1の導水ジョイント1は、上方開口状の溝2−2断面に形成されたジョイント本体2と、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の一方の内面に接続可能な第一接続部3と、ジョイント本体2の長手方向他端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の他方の内面に接続可能な第二接続部4とを備えている。
【0017】
本実施の形態1の導水ジョイント1は、上方開口部2−1が設けられているため、この導水ジョイント1の第一接続部3及び第二接続部4を下水管の内面に配置し、ジョイント本体2の内側から、下水管の内面に内接させ、固定するなどの操作を容易に行なうことができる。したがって、本発明の導水ジョイント1は、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。
【0018】
第一接続部3及び第二接続部4は、下水管のマンホール側端部の内側に挿入して配置できるように構成されている。
第一接続部3及び第二接続部4それぞれにおける外径は、下水管の内面への固定に際して、第一接続部3及び第二接続部4それぞれの位置における導水ジョイント1のマンホール側表面が、下水管の内面に密着させるように設定できる。前記外径は、例えば、当該下水管の内径と同程度であればよい。
【0019】
第一接続部3及び第二接続部4は、それぞれ、図11に示される固定具6により、導水ジョイント1の内側から、当該導水ジョイント1の第一接続部3及び第二接続部4それぞれの位置における導水ジョイントのマンホール側表面が下水管の内面に密着するように固定される。
【0020】
固定具6は、図11に示されるように、前記導水ジョイントの第一接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面および第二接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面に内接させる円筒状のバンド部22と、ボルト23が螺嵌する螺嵌部を有する拡張部本体21−1とボルト23が螺嵌する螺嵌部を有する拡張部本体21−2とからなり、ボルト23を締め付けることにより前記バンド部の断面径を拡張させる拡張部21と、を備える。
【0021】
この固定具6は、前記導水ジョイントの第一接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面および第二接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面それぞれに、当該固定具6の円筒状のバンド部22が内接させるように取り付けられる。この固定具6によれば、ボルト23を締め付けることにより、拡張部21へのボルト23の螺合の度合いに応じて、バンド部22の断面径を拡張させることができ、それにより、第一接続部3及び第二接続部4それぞれの位置における導水ジョイント1の外径が調整される。
【0022】
導水ジョイント1の第一接続部3の位置の内周面及び第二接続部4の位置の内周面には、導水ジョイント1の所定の位置に固定具6を設置するに適した固定具設置部3−1,4−1が設けられている。固定具設置部3−1,4−1は、導水ジョイントの第一接続部3の位置の内周面及び第二接続部4の位置の内周面それぞれに内周方向に沿って設けられている。また、固定具設置部3−1,4−1は、固定具6の短手方向幅と同じ大きさの軸方向幅を有し、固定具6のバンド部22を少なくとも嵌め込むことができる大きさの径方向外方深さを有する。
【0023】
図4は、マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の横断面方向の部分概略説明図である。また、図5は、マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の縦断面方向の部分概略説明図である。図4及び図5においては、設置例の説明を容易にするため、導水ジョイント1の設置部における各部材を誇張して記載している。
【0024】
本実施の形態1の導水ジョイント1では、図4及び図5に示されるように、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成されている第一接続部3は、導水ジョイント1の内側から、この第一接続部3のマンホール10側表面がマンホール10に接続されている下水管11の内面に密着するように、この導水ジョイントの第一接続部3に設置された固定具6により固定されている。
【0025】
また、同様に、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成されている第二接続部4は、導水ジョイント1の内側から、この第二接続部4のマンホール10側表面がマンホール10に接続されている下水管11の内面に密着するように、この導水ジョイントの第二接続部4に設置された固定具6により固定されている。
【0026】
なお、図1では、本実施の形態の導水ジョイント1は、上方開口部2−1を有する円筒状の形状を有する導水ジョイントとして示されているが、本発明においては、導水ジョイントは、下水管の内面に固定する際に、上方開口部2−1を有する円筒状の形状とすることができれば、図2に示される実施の形態2の導水ジョイント1のように、平板状に展開できる導水ジョイントであってもよい。
【0027】
本実施の形態1の導水ジョイント1において、ジョイント本体2は、容易に製造でき、製造コストを低減させることができる観点から、前記ジョイント本体2は、平板状に展開可能な可撓性を有する材料よりなることが好ましい。
【0028】
図2は、実施の形態2の導水ジョイント1の概略説明図である。図2(a)は、下水管に接続していない状態の本実施の形態2の導水ジョイント1の平面概略説明図である。また、図2(b)は、図2(a)のa-a’で切断した場合の断面の概略説明図である。
【0029】
図2に示される本実施の形態2の導水ジョイント1は、下水管への接続に際して、短手方向に丸めて、円筒状にして用いられる。
【0030】
本実施の形態2の導水ジョイントにおいて、ジョイント本体2は、平板状に展開可能な可撓性を有する材料よりなる。これにより、容易に製造でき、製造コストを低減させることができる。平板状に展開可能な可撓性を有する材料としては、例えば、合成ゴム、硬質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0031】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、本実施の形態2の導水ジョイント1も、前記実施の形態1の導水ジョイント1と同様に、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の一方の内面に接続可能な第一接続部3と、ジョイント本体2の長手方向他端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の他方の内面に接続可能な第二接続部4とを備えている。
【0032】
本実施の形態2の導水ジョイント1の短手方向両端部のそれぞれには、図2(a)に示されるように、下水管に、導水ジョイントを接続させる際に、図1に示される実施の形態1の導水ジョイント1の上方開口部2−1と同様の上方開口部を形成する切り欠き部を有する。これにより、本実施の形態2の導水ジョイント1を下水管に接続する際の作業用の孔を確保することができる。
【0033】
図3は、実施の形態2の導水ジョイント1の変形例の概略説明図である。図3に示される導水ジョイント1では、ジョイント本体2は、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部5を備えている。
【0034】
蛇腹部5は、図3に示される導水ジョイント1において、この蛇腹部5の厚さ方向下端部に形成されている下部屈曲部5−1と、蛇腹部5の厚さ方向上端部に形成されている上部屈曲部5−2との間の厚さ方向長さが、導水ジョイント1の第一接続部3の厚さ方向長さA−Bと同じであるか、それよりも小さくなるように設定される。これにより、下水の流れを妨げることなく良好に維持することができる。
【0035】
導水ジョイント1のジョイント本体2が、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部5を備えている場合、マンホールに接続される下水管路の配設形状(マンホールへの下水管の流出入角度)に適応させることが容易になる。
【0036】
図6は、マンホール設備における導水ジョイント1の設置例を示す概略説明図である。なお、本明細書において、「マンホール設備」とは、マンホール10と下水管11とを含む設備をいう。
【0037】
導水ジョイント1は、ジョイント本体2が蛇腹部5を備えることにより、例えば、図6の導水ジョイント1のように、マンホール10を介して直線状に配されている下水管路の形状を維持したまま、当該マンホールに接続されている下水管同士を接続することもでき、導水ジョイント1’のように、マンホール10を介して屈曲して配されている下水管路の形状を維持したまま、当該マンホールに接続されている下水管同士を接続することもできる。これにより、下水の流れを停滞させることなく、良好に維持することができる。また、ジョイント本体2が、この蛇腹部5を備える場合、マンホール内側からの導水ジョイント1の接続を行なう作業性を向上させることもできる。
【0038】
本発明の導水ジョイントは、上方開口状の溝を備えるとともに、下水管に接続可能な第一接続部及び第二接続部を備えている。したがって、本発明の導水ジョイントは、図7〜10に示されるように、上方開口部から、マンホールに接続されている既設の一対の下水管に対し、第一接続部及び第二接続部を介して、簡便に取り付けることができるため、当該導水ジョイントによれば、マンホール設備の改修を、大規模な工事を行なわずとも、簡便に施工することができる。
【0039】
以下、マンホール設備の改修における実施の形態2の導水ジョイント1の使用例を図7〜図10により説明するとともに、マンホール設備の改修における実施の形態2の導水ジョイント1の利点を説明する。図7は、マンホール内への実施の形態2の導水ジョイント1の搬入工程の概略説明図である。また、図8は、下水管の内部11−1への実施の形態2の導水ジョイント1の配置工程の概略説明図である。さらに、図9は、下水管の内面11−2への実施の形態2の導水ジョイント1の密着工程の概略説明図である。図10は、下水管11への実施の形態2の導水ジョイント1の接続工程の概略説明図である。
【0040】
まず、導水ジョイント1は、図7に示されるように、マンホール孔10−2からマンホール本体内部10−1に搬入される。なお、図7に示されるように、マンホール孔10−2の内径が、導水ジョイント1の短手方向長さよりも小さい場合、マンホール本体内部10−1への導水ジョイント1の搬入は、必要に応じて、マンホール孔10−2通るように屈曲させることにより行なうことができる。
【0041】
つぎに、図8に示されるように、導水ジョイント1を配置する。具体的には、マンホール10の内側から、当該マンホール10に接続されている一方の下水管11のマンホール10側端部の内部11−1に、当該導水ジョイント1の第一接続部3を挿入するとともに、マンホール10の内側から、当該マンホール10に接続されている他方の下水管11のマンホール10側端部の内部11−1に、当該導水ジョイント1の第二接続部4を挿入することにより、導水ジョイント1が配置される。
【0042】
ここで、導水ジョイント1を、形成される上方開口部2−1がマンホール10のマンホール孔10−2側方向に向くように配置することにより、導水ジョイント1を下水管11に接続する際の作業用のスペースが確保できる。
【0043】
さらに、導水ジョイント1は、図9に示されるように、第一接続部3の下水管側周表面を、下水管の内面11−1のマンホール側端部に密着させ、かつ第二接続部4の下水管側周表面を、下水管の内面11−1のマンホール側端部に密着させるように設置される。これにより、導水ジョイント1と下水管11との接続が容易になるとともに、導水ジョイントと下水管11とを良好な状態で接続できる。
【0044】
その後、図10に示されるように、図11に示される固定具6を、上方開口部2−1から導水ジョイント1内に挿入し、導水ジョイント1の第一接続部3の内周面及び第二接続部4の内周面のそれぞれに取り付ける。
【0045】
つぎに、固定具6の拡張部21に螺嵌するボルト23を強く締め付けてバンド部の断面径を拡張させることにより、導水ジョイント1の第一接続部3及び第二接続部4それぞれの下水管11側表面を、下水管11の内面11−2のマンホール10側端部に圧着させる。このようにして、導水ジョイント1は、下水管11に固定して接続される。これにより、実施の形態2の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を、既設マンホール及び下水管に付与することができる。
【0046】
このように、本発明の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持することができ、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。したがって、本発明の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を既設マンホール及び下水管に付与することができるとともに、マンホール設備の改修を簡便に施工できる。
【0047】
図12は、実施の形態3の導水ジョイント1の概略説明図である。実施の形態3の導水ジョイント1は、第一接続部3が、マンホールに接続されている既設の上流側下水管11aの内面に固定して接続できるように構成され、第二接続部4が、下流側下水管11bの内面に固定せずにそのまま配置された状態で接続できるように構成されている。そのため、本実施の形態3の導水ジョイント1は、短時間で、マンホール内側から下水管に取り付けることができる。したがって、本実施の形態3の導水ジョイント1によれば、より短時間でマンホール設備の改修を行なうことができる。
【0048】
なお、本明細書において、「接続」には、図12に示される本実施の形態3の導水ジョイント1のように、下流側下水管11bの内面に固定せずにそのまま配置され、導水可能となっている状態も含まれる。
【0049】
本実施の形態3の導水ジョイント1は、図13に示されるように、平板状に展開できる導水ジョイントであってもよい。なお、図13は、下水管に接続していない状態の実施の形態3の導水ジョイント1の平面概略説明図である。
【0050】
図13に示される本実施の形態3の導水ジョイント1は、下水管への接続に際して、短手方向に丸めて、円筒状にして用いられる。図13に示される本実施の形態3の導水ジョイント1は、第一接続部3が上流側下水管11aの内面に位置し、第二接続部4が下流側下水管11bの内面に位置するように配置される。そして、本実施の形態3の導水ジョイント1では、この第一接続部3が上流側下水管11aの内面に固定されて接続され、一方、第二接続部4が下流側下水管11bの内面に配置したまま状態で固定されずに接続される。
【0051】
このように、本実施の形態の導水ジョイント1は、第一接続部3を上流側下水管11aの内面に固定することにより、マンホールに接続されている一対の下水管同士を当該マンホール内に導水可能に簡便に接続することができる。したがって、本実施の形態3の導水ジョイント1によれば、より短時間でマンホール設備の改修を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態(実施の形態1)の導水ジョイント1を示す概略説明図である。
【図2】本発明の他の実施の形態(実施の形態2)の導水ジョイント1の概略説明図である。図2(a)は、下水管に接続していない状態の本実施の形態2の導水ジョイント1の平面概略説明図である。また、図2(b)は、図2(a)のa-a’で切断した場合の断面の概略説明図である。
【図3】実施の形態2の導水ジョイント1の変形例の概略説明図である。
【図4】マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の横断面方向の部分概略説明図である。
【図5】マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の縦断面方向の部分概略説明図である。
【図6】マンホール設備における導水ジョイントの設置例の概略説明図である。
【図7】マンホール内への実施の形態2の導水ジョイント1の搬入工程の概略説明図である。
【図8】下水管の内部11−1への実施の形態2の導水ジョイント1の配置工程の概略説明図である。
【図9】下水管の内面11−2への実施の形態2の導水ジョイント1の密着工程の概略説明図である。
【図10】下水管11への実施の形態2の導水ジョイント1の接続工程の概略説明図である。
【図11】固定具6の概略説明図である。
【図12】実施の形態3の導水ジョイント1の概略説明図である。
【図13】下水管に接続していない状態の実施の形態3の導水ジョイント1の平面概略説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 導水ジョイント
1’ 導水ジョイント
2 ジョイント本体
2−1 上方開口部
2−2 溝
3 第一接続部
3−1 固定具設置部
4 第二接続部
4−1 固定具設置部
5 蛇腹部
5−1 下部屈曲部
5−2 上部屈曲部
6 固定具
10 マンホール
10−1 マンホール本体内部
10−2 マンホール孔
11 下水管
11a 上流側下水管
11b 下流側下水管
11−1 下水管の内部
11−2 下水管の内面
21 拡張部
21−1 拡張部本体
21−2 拡張部本体
22 バンド部
23 ボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、導水ジョイントに関する。さらに詳しくは、本発明は、導水ジョイント及びそれを用いるマンホール設備の改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、下水道、電気ケーブル、通信ケーブル、ガス供給管などの地下に埋設された管路は、マンホールを介して敷設されている。このマンホールは、地上から人が出入りできる径を有する孔であり、前記下水道、埋設された電気・通信ケーブルなどの維持や管理に利用されている。
【0003】
近年、車の振動、地震、地盤変動などに起因する前記マンホールと管路との接合部への外力に対する耐性(外力耐性)を向上させるために、マンホールの設置に際しては、前記マンホールと管路とが、可撓性を有する継手装置を介して接続されている(特許文献1及び2を参照)。しかしながら、既設のマンホールのなかには、モルタル等により管路が固定されているものもあるため、特許文献1及び2に記載の継手装置を用いて既設のマンホールにおける外力耐性を向上させる場合には、既設のマンホールへの特許文献1及び2に記載の継手装置の取り付けに際して、マンホール周囲の開削などの大規模な工事を要し、多大な工事費用を要する場合がある。
【0004】
また、地震や地盤変動による引っ張り荷重や曲げ剪断荷重に対するマンホールと管路との接続部の破損をくい止めることができるマンホールと汚水管との接続構造として、コンクリート製のマンホール本体の側壁に設けられた流入側および流出側の両接続口にそれぞれ接続されているコンクリート製の両汚水管の端部内に、管壁の一部が長手方向に切り欠かれた合成樹脂製の短管状体がその切欠き部を上側にしてマンホール内からそれぞれ挿入され、両短管状体の上半部一端から外方に突設された鍔部がマンホール内面に固着されて密着状態で装着されている構造が知られている(特許文献3を参照のこと)。
【特許文献1】特開平11−191918号公報
【特許文献2】特開2007−113360号公報
【特許文献3】特開2000−64322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載の接続構造は、汚水管の端部内に、管壁の一部が長手方向に切り欠かれた合成樹脂製の短管状体がマンホール内からそれぞれ挿入され、短管状体の上半部一端から外方に突設された鍔部がマンホール内面に固着されて密着状態で装着されている構造であるため、マンホールと下水管との接合部が補強されているに過ぎず、地震や地盤変動により、接続構造そのものが破壊された場合、マンホール内で下水の流れが停滞する場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持することができ、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる、導水ジョイントを提供することを1つの目的とする。また、本発明は、外力を受けた場合にも下水の流れを維持する性質を、既設マンホール及び下水管に付与することができるとともに、簡便に施工できる、マンホールの改修方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の導水ジョイントは、マンホールに接続されている既設の一対の下水管路同士を当該マンホール内において導水可能に接続するための導水ジョイントであって、上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体と、このジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明の導水ジョイントは、ジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えているため、簡便に、マンホールに接続されている既設の一対の下水管路同士を当該マンホール内において導水可能に接続することができる。このように、本発明の導水ジョイントによれば、この導水ジョイントを介して、既設の一対の下水管路同士を接続することができるので、外力を受けた場合にも下水の流れを維持することができる。
【0009】
また、本発明の導水ジョイントは、上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体を備えているので、ジョイント本体の上方開口部から、この導水ジョイントの接続部を下水管の内面に配置し、内接させ、固定するなどの操作を容易に行なうことができる。したがって、本発明の導水ジョイントは、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。
【0010】
前記ジョイント本体は、平板上に展開可能な可撓性を有する材料よりなることが好ましい。
また、前記ジョイント本体は、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部を備えていることが好ましい。
【0011】
本発明のマンホール設備の改修方法は、一対の下水管がマンホールに接続されている既設のマンホール設備の改修方法であって、
(A) 前記マンホールに接続されている一対の下水管内に、このマンホール内側から、前記導水ジョイントを配置する工程、並びに
(B) 前記マンホール内側から、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部のうちの少なくとも下水管上流側の一方を前記下水管内側に固定して、マンホールに接続されている一対の下水管同士を当該マンホール内に導水可能に接続する工程、
を含むことを特徴としている。
【0012】
本発明のマンホール設備の改修方法は、前記導水ジョイントが用いられているため、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を、既設マンホール及び下水管に付与することができる。また、本発明のマンホール設備の改修方法は、マンホール内側から、当該マンホールに接続されている下水管に、導水ジョイントを接続するため、大規模な工事を行なわずとも、簡便に施工することができる。
【0013】
本発明のマンホール設備の改修方法は、前記工程(B)において、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部の両方をそれぞれ前記下水管内側に固定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持することができ、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。また、本発明のマンホールの改修方法によれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を既設マンホール及び下水管に付与することができるとともに、簡便に施工できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の導水ジョイントの一実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態(実施の形態1)の導水ジョイント1を示す概略説明図である。
【0016】
本実施の形態1の導水ジョイント1は、上方開口状の溝2−2断面に形成されたジョイント本体2と、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の一方の内面に接続可能な第一接続部3と、ジョイント本体2の長手方向他端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の他方の内面に接続可能な第二接続部4とを備えている。
【0017】
本実施の形態1の導水ジョイント1は、上方開口部2−1が設けられているため、この導水ジョイント1の第一接続部3及び第二接続部4を下水管の内面に配置し、ジョイント本体2の内側から、下水管の内面に内接させ、固定するなどの操作を容易に行なうことができる。したがって、本発明の導水ジョイント1は、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。
【0018】
第一接続部3及び第二接続部4は、下水管のマンホール側端部の内側に挿入して配置できるように構成されている。
第一接続部3及び第二接続部4それぞれにおける外径は、下水管の内面への固定に際して、第一接続部3及び第二接続部4それぞれの位置における導水ジョイント1のマンホール側表面が、下水管の内面に密着させるように設定できる。前記外径は、例えば、当該下水管の内径と同程度であればよい。
【0019】
第一接続部3及び第二接続部4は、それぞれ、図11に示される固定具6により、導水ジョイント1の内側から、当該導水ジョイント1の第一接続部3及び第二接続部4それぞれの位置における導水ジョイントのマンホール側表面が下水管の内面に密着するように固定される。
【0020】
固定具6は、図11に示されるように、前記導水ジョイントの第一接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面および第二接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面に内接させる円筒状のバンド部22と、ボルト23が螺嵌する螺嵌部を有する拡張部本体21−1とボルト23が螺嵌する螺嵌部を有する拡張部本体21−2とからなり、ボルト23を締め付けることにより前記バンド部の断面径を拡張させる拡張部21と、を備える。
【0021】
この固定具6は、前記導水ジョイントの第一接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面および第二接続部の位置での当該導水ジョイントの内周面それぞれに、当該固定具6の円筒状のバンド部22が内接させるように取り付けられる。この固定具6によれば、ボルト23を締め付けることにより、拡張部21へのボルト23の螺合の度合いに応じて、バンド部22の断面径を拡張させることができ、それにより、第一接続部3及び第二接続部4それぞれの位置における導水ジョイント1の外径が調整される。
【0022】
導水ジョイント1の第一接続部3の位置の内周面及び第二接続部4の位置の内周面には、導水ジョイント1の所定の位置に固定具6を設置するに適した固定具設置部3−1,4−1が設けられている。固定具設置部3−1,4−1は、導水ジョイントの第一接続部3の位置の内周面及び第二接続部4の位置の内周面それぞれに内周方向に沿って設けられている。また、固定具設置部3−1,4−1は、固定具6の短手方向幅と同じ大きさの軸方向幅を有し、固定具6のバンド部22を少なくとも嵌め込むことができる大きさの径方向外方深さを有する。
【0023】
図4は、マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の横断面方向の部分概略説明図である。また、図5は、マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の縦断面方向の部分概略説明図である。図4及び図5においては、設置例の説明を容易にするため、導水ジョイント1の設置部における各部材を誇張して記載している。
【0024】
本実施の形態1の導水ジョイント1では、図4及び図5に示されるように、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成されている第一接続部3は、導水ジョイント1の内側から、この第一接続部3のマンホール10側表面がマンホール10に接続されている下水管11の内面に密着するように、この導水ジョイントの第一接続部3に設置された固定具6により固定されている。
【0025】
また、同様に、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成されている第二接続部4は、導水ジョイント1の内側から、この第二接続部4のマンホール10側表面がマンホール10に接続されている下水管11の内面に密着するように、この導水ジョイントの第二接続部4に設置された固定具6により固定されている。
【0026】
なお、図1では、本実施の形態の導水ジョイント1は、上方開口部2−1を有する円筒状の形状を有する導水ジョイントとして示されているが、本発明においては、導水ジョイントは、下水管の内面に固定する際に、上方開口部2−1を有する円筒状の形状とすることができれば、図2に示される実施の形態2の導水ジョイント1のように、平板状に展開できる導水ジョイントであってもよい。
【0027】
本実施の形態1の導水ジョイント1において、ジョイント本体2は、容易に製造でき、製造コストを低減させることができる観点から、前記ジョイント本体2は、平板状に展開可能な可撓性を有する材料よりなることが好ましい。
【0028】
図2は、実施の形態2の導水ジョイント1の概略説明図である。図2(a)は、下水管に接続していない状態の本実施の形態2の導水ジョイント1の平面概略説明図である。また、図2(b)は、図2(a)のa-a’で切断した場合の断面の概略説明図である。
【0029】
図2に示される本実施の形態2の導水ジョイント1は、下水管への接続に際して、短手方向に丸めて、円筒状にして用いられる。
【0030】
本実施の形態2の導水ジョイントにおいて、ジョイント本体2は、平板状に展開可能な可撓性を有する材料よりなる。これにより、容易に製造でき、製造コストを低減させることができる。平板状に展開可能な可撓性を有する材料としては、例えば、合成ゴム、硬質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0031】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、本実施の形態2の導水ジョイント1も、前記実施の形態1の導水ジョイント1と同様に、ジョイント本体2の長手方向一端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の一方の内面に接続可能な第一接続部3と、ジョイント本体2の長手方向他端部に一体に形成され、マンホールに接続されている既設の一対の下水管の他方の内面に接続可能な第二接続部4とを備えている。
【0032】
本実施の形態2の導水ジョイント1の短手方向両端部のそれぞれには、図2(a)に示されるように、下水管に、導水ジョイントを接続させる際に、図1に示される実施の形態1の導水ジョイント1の上方開口部2−1と同様の上方開口部を形成する切り欠き部を有する。これにより、本実施の形態2の導水ジョイント1を下水管に接続する際の作業用の孔を確保することができる。
【0033】
図3は、実施の形態2の導水ジョイント1の変形例の概略説明図である。図3に示される導水ジョイント1では、ジョイント本体2は、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部5を備えている。
【0034】
蛇腹部5は、図3に示される導水ジョイント1において、この蛇腹部5の厚さ方向下端部に形成されている下部屈曲部5−1と、蛇腹部5の厚さ方向上端部に形成されている上部屈曲部5−2との間の厚さ方向長さが、導水ジョイント1の第一接続部3の厚さ方向長さA−Bと同じであるか、それよりも小さくなるように設定される。これにより、下水の流れを妨げることなく良好に維持することができる。
【0035】
導水ジョイント1のジョイント本体2が、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部5を備えている場合、マンホールに接続される下水管路の配設形状(マンホールへの下水管の流出入角度)に適応させることが容易になる。
【0036】
図6は、マンホール設備における導水ジョイント1の設置例を示す概略説明図である。なお、本明細書において、「マンホール設備」とは、マンホール10と下水管11とを含む設備をいう。
【0037】
導水ジョイント1は、ジョイント本体2が蛇腹部5を備えることにより、例えば、図6の導水ジョイント1のように、マンホール10を介して直線状に配されている下水管路の形状を維持したまま、当該マンホールに接続されている下水管同士を接続することもでき、導水ジョイント1’のように、マンホール10を介して屈曲して配されている下水管路の形状を維持したまま、当該マンホールに接続されている下水管同士を接続することもできる。これにより、下水の流れを停滞させることなく、良好に維持することができる。また、ジョイント本体2が、この蛇腹部5を備える場合、マンホール内側からの導水ジョイント1の接続を行なう作業性を向上させることもできる。
【0038】
本発明の導水ジョイントは、上方開口状の溝を備えるとともに、下水管に接続可能な第一接続部及び第二接続部を備えている。したがって、本発明の導水ジョイントは、図7〜10に示されるように、上方開口部から、マンホールに接続されている既設の一対の下水管に対し、第一接続部及び第二接続部を介して、簡便に取り付けることができるため、当該導水ジョイントによれば、マンホール設備の改修を、大規模な工事を行なわずとも、簡便に施工することができる。
【0039】
以下、マンホール設備の改修における実施の形態2の導水ジョイント1の使用例を図7〜図10により説明するとともに、マンホール設備の改修における実施の形態2の導水ジョイント1の利点を説明する。図7は、マンホール内への実施の形態2の導水ジョイント1の搬入工程の概略説明図である。また、図8は、下水管の内部11−1への実施の形態2の導水ジョイント1の配置工程の概略説明図である。さらに、図9は、下水管の内面11−2への実施の形態2の導水ジョイント1の密着工程の概略説明図である。図10は、下水管11への実施の形態2の導水ジョイント1の接続工程の概略説明図である。
【0040】
まず、導水ジョイント1は、図7に示されるように、マンホール孔10−2からマンホール本体内部10−1に搬入される。なお、図7に示されるように、マンホール孔10−2の内径が、導水ジョイント1の短手方向長さよりも小さい場合、マンホール本体内部10−1への導水ジョイント1の搬入は、必要に応じて、マンホール孔10−2通るように屈曲させることにより行なうことができる。
【0041】
つぎに、図8に示されるように、導水ジョイント1を配置する。具体的には、マンホール10の内側から、当該マンホール10に接続されている一方の下水管11のマンホール10側端部の内部11−1に、当該導水ジョイント1の第一接続部3を挿入するとともに、マンホール10の内側から、当該マンホール10に接続されている他方の下水管11のマンホール10側端部の内部11−1に、当該導水ジョイント1の第二接続部4を挿入することにより、導水ジョイント1が配置される。
【0042】
ここで、導水ジョイント1を、形成される上方開口部2−1がマンホール10のマンホール孔10−2側方向に向くように配置することにより、導水ジョイント1を下水管11に接続する際の作業用のスペースが確保できる。
【0043】
さらに、導水ジョイント1は、図9に示されるように、第一接続部3の下水管側周表面を、下水管の内面11−1のマンホール側端部に密着させ、かつ第二接続部4の下水管側周表面を、下水管の内面11−1のマンホール側端部に密着させるように設置される。これにより、導水ジョイント1と下水管11との接続が容易になるとともに、導水ジョイントと下水管11とを良好な状態で接続できる。
【0044】
その後、図10に示されるように、図11に示される固定具6を、上方開口部2−1から導水ジョイント1内に挿入し、導水ジョイント1の第一接続部3の内周面及び第二接続部4の内周面のそれぞれに取り付ける。
【0045】
つぎに、固定具6の拡張部21に螺嵌するボルト23を強く締め付けてバンド部の断面径を拡張させることにより、導水ジョイント1の第一接続部3及び第二接続部4それぞれの下水管11側表面を、下水管11の内面11−2のマンホール10側端部に圧着させる。このようにして、導水ジョイント1は、下水管11に固定して接続される。これにより、実施の形態2の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を、既設マンホール及び下水管に付与することができる。
【0046】
このように、本発明の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持することができ、既設マンホール及び下水管に対して簡便に取り付けることができる。したがって、本発明の導水ジョイントによれば、外力を受けてマンホールが変形した場合にも下水の流れを維持する性質を既設マンホール及び下水管に付与することができるとともに、マンホール設備の改修を簡便に施工できる。
【0047】
図12は、実施の形態3の導水ジョイント1の概略説明図である。実施の形態3の導水ジョイント1は、第一接続部3が、マンホールに接続されている既設の上流側下水管11aの内面に固定して接続できるように構成され、第二接続部4が、下流側下水管11bの内面に固定せずにそのまま配置された状態で接続できるように構成されている。そのため、本実施の形態3の導水ジョイント1は、短時間で、マンホール内側から下水管に取り付けることができる。したがって、本実施の形態3の導水ジョイント1によれば、より短時間でマンホール設備の改修を行なうことができる。
【0048】
なお、本明細書において、「接続」には、図12に示される本実施の形態3の導水ジョイント1のように、下流側下水管11bの内面に固定せずにそのまま配置され、導水可能となっている状態も含まれる。
【0049】
本実施の形態3の導水ジョイント1は、図13に示されるように、平板状に展開できる導水ジョイントであってもよい。なお、図13は、下水管に接続していない状態の実施の形態3の導水ジョイント1の平面概略説明図である。
【0050】
図13に示される本実施の形態3の導水ジョイント1は、下水管への接続に際して、短手方向に丸めて、円筒状にして用いられる。図13に示される本実施の形態3の導水ジョイント1は、第一接続部3が上流側下水管11aの内面に位置し、第二接続部4が下流側下水管11bの内面に位置するように配置される。そして、本実施の形態3の導水ジョイント1では、この第一接続部3が上流側下水管11aの内面に固定されて接続され、一方、第二接続部4が下流側下水管11bの内面に配置したまま状態で固定されずに接続される。
【0051】
このように、本実施の形態の導水ジョイント1は、第一接続部3を上流側下水管11aの内面に固定することにより、マンホールに接続されている一対の下水管同士を当該マンホール内に導水可能に簡便に接続することができる。したがって、本実施の形態3の導水ジョイント1によれば、より短時間でマンホール設備の改修を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態(実施の形態1)の導水ジョイント1を示す概略説明図である。
【図2】本発明の他の実施の形態(実施の形態2)の導水ジョイント1の概略説明図である。図2(a)は、下水管に接続していない状態の本実施の形態2の導水ジョイント1の平面概略説明図である。また、図2(b)は、図2(a)のa-a’で切断した場合の断面の概略説明図である。
【図3】実施の形態2の導水ジョイント1の変形例の概略説明図である。
【図4】マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の横断面方向の部分概略説明図である。
【図5】マンホール設備における導水ジョイント1の設置例の縦断面方向の部分概略説明図である。
【図6】マンホール設備における導水ジョイントの設置例の概略説明図である。
【図7】マンホール内への実施の形態2の導水ジョイント1の搬入工程の概略説明図である。
【図8】下水管の内部11−1への実施の形態2の導水ジョイント1の配置工程の概略説明図である。
【図9】下水管の内面11−2への実施の形態2の導水ジョイント1の密着工程の概略説明図である。
【図10】下水管11への実施の形態2の導水ジョイント1の接続工程の概略説明図である。
【図11】固定具6の概略説明図である。
【図12】実施の形態3の導水ジョイント1の概略説明図である。
【図13】下水管に接続していない状態の実施の形態3の導水ジョイント1の平面概略説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 導水ジョイント
1’ 導水ジョイント
2 ジョイント本体
2−1 上方開口部
2−2 溝
3 第一接続部
3−1 固定具設置部
4 第二接続部
4−1 固定具設置部
5 蛇腹部
5−1 下部屈曲部
5−2 上部屈曲部
6 固定具
10 マンホール
10−1 マンホール本体内部
10−2 マンホール孔
11 下水管
11a 上流側下水管
11b 下流側下水管
11−1 下水管の内部
11−2 下水管の内面
21 拡張部
21−1 拡張部本体
21−2 拡張部本体
22 バンド部
23 ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールに接続されている既設の一対の下水管同士を当該マンホール内において導水可能に接続するための導水ジョイントであって、
上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体と、
このジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、
前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えていることを特徴とする導水ジョイント。
【請求項2】
前記ジョイント本体は、平板状に展開可能な可撓性を有する材料よりなる請求項1に記載の導水ジョイント。
【請求項3】
前記ジョイント本体は、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部を備える請求項1又は2に記載の導水ジョイント。
【請求項4】
一対の下水管がマンホールに接続されている既設のマンホール設備の改修方法であって、
(A) 前記マンホールに接続されている一対の下水管内に、このマンホール内側から、請求項1〜3いずれか1項に記載の導水ジョイントを配置する工程、並びに
(B) 前記マンホール内側から、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部のうちの少なくとも下水管上流側の一方を前記下水管内側に固定して、マンホールに接続されている一対の下水管同士を当該マンホール内に導水可能に接続する工程、
を含む、マンホール設備の改修方法。
【請求項5】
前記工程(B)において、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部の両方をそれぞれ前記下水管内側に固定する、請求項4に記載のマンホール設備の改修方法。
【請求項1】
マンホールに接続されている既設の一対の下水管同士を当該マンホール内において導水可能に接続するための導水ジョイントであって、
上方開口状の溝断面に形成されたジョイント本体と、
このジョイント本体の長手方向一端部に一体に形成され、一方の前記下水管の内面に接続可能な第一接続部と、
前記ジョイント本体の長手方向他端部に一体に形成され、他方の前記下水管の内面に接続可能な第二接続部とを備えていることを特徴とする導水ジョイント。
【請求項2】
前記ジョイント本体は、平板状に展開可能な可撓性を有する材料よりなる請求項1に記載の導水ジョイント。
【請求項3】
前記ジョイント本体は、その長手方向中途部が屈曲可能とするための蛇腹部を備える請求項1又は2に記載の導水ジョイント。
【請求項4】
一対の下水管がマンホールに接続されている既設のマンホール設備の改修方法であって、
(A) 前記マンホールに接続されている一対の下水管内に、このマンホール内側から、請求項1〜3いずれか1項に記載の導水ジョイントを配置する工程、並びに
(B) 前記マンホール内側から、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部のうちの少なくとも下水管上流側の一方を前記下水管内側に固定して、マンホールに接続されている一対の下水管同士を当該マンホール内に導水可能に接続する工程、
を含む、マンホール設備の改修方法。
【請求項5】
前記工程(B)において、前記工程(A)で配置された導水ジョイントの第一接続部及び第二接続部の両方をそれぞれ前記下水管内側に固定する、請求項4に記載のマンホール設備の改修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−121036(P2009−121036A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293086(P2007−293086)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(392027900)株式会社イトーヨーギョー (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(392027900)株式会社イトーヨーギョー (43)
【Fターム(参考)】
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