説明

導水用取付金具、及びこれを装着した側溝ブロック

【課題】本発明の目的は、比較的簡易な構成で強度耐久性等に優れた導水用取付金具、及びこれを装着した側溝ブロックを提供すること。
【解決手段】導水用取付金具10は、側溝ブロックの所定部位に取り付けられる。板材を鍵状に折曲成形してなる上面11と側面12を有し、上面11の内側端に折曲成形された折曲部13と側面12の下側端より傾設された延出部14を設ける。上面11および側面12のそれぞれに導水孔15,16を開設する。前記埋設領域及び前記密着領域に、前記側溝ブロックのコンクリート材が充填されるようにした複数の通穴19A,Bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝ブロックに取り付けて効率よく排水するために使用する導水用取付金具、及びこれを装着した側溝ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
降雨時等に舗装道路等においては、その路面に水溜まりが発生する場合、走行車両等に対して危険であり、そのような水溜まりの発生を防止し、あるいは迅速に排水する必要がある。
従来、舗装道路では雨水等を迅速に路肩に設置された排水溝に集水・排水するための種々の工夫が施されている。
【0003】
その例としては、例えば特許文献1には、道路舗装材に対面する側溝ブロックの側壁または上壁に形成された所定の大きさの孔部または切欠部に装着されるとともに、2つの側溝ブロックに跨って装着されることでそれらを連結するようにした導水用部材が開示されている。
或いはまた特許文献2には、路面排水用側溝その他のコンクリート部の側辺の一部にポーラスコンクリートによる透水部を設けて集水するようにした路面排水用コンクリート部体が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第2987575号公報
【特許文献2】特開平10−131269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の導水用部材等においては、側溝ブロックに取付固定するためにアンカやボルト等の固定手段を使用する必要があり、しかもこれら別部品を用いるため部品点数が多くなる。
また小物の割りに構造的に複雑であること等から、製造の工数が増える等の問題があった。
更に実使用においては、例えば側溝ブロックを道路を横断するように配設した場合に、走行する車両等からの衝撃荷重等による負荷を受け易く、強度耐久性を確保するのが必ずしも容易でなかった。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑み、比較的簡易な構造の強度耐久性等に優れた導水用取付金具を提供すること、及びこれを装着した側溝ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような問題点を背景に鋭意研究した結果、一枚の板状のものを単に曲げ折り加工することで簡単な構造でしかも強度的に優れた導水用取付金具を得ることができたものである。
【0008】
すなわち本発明は、(1)、側溝ブロックの所定部位に取り付けられる導水用取付金具であって、板材を鍵状に折曲成形してなる上面と側面を有し、前記上面の内側端に折曲成形された折曲部と前記側面の下側端より傾設された延出部を設け、前記上面および前記側面のそれぞれに導水孔を開設した導水用取付金具に存する。
【0009】
また、本発明は、(2)、前記上面及び前記側面の鍵状の角部に設けた導水孔は、前記上面及び前記側面の双方に開口する上記(1)に記載の導水用取付金具に存する。
【0010】
また、本発明は、(3)、前記延出部は、前記側溝ブロックのコンクリート材に埋設される埋設領域として設定した上記(1)または(2)に記載の導水用取付金具に存する。
【0011】
また、本発明は、(4)、前記上面、前記側面及び前記折曲部の両側縁部と前記側面の下部位に、前記側溝ブロックのコンクリート材と密着する密着領域を設定した上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の導水用取付金具に存する。
【0012】
また、本発明は、(5)、前記埋設領域及び前記密着領域に、前記側溝ブロックのコンクリート材が充填されるようにした複数の通穴を設けた上記(4)に記載の導水用取付金具に存する。
【0013】
また、本発明は、(6)、前記側面の下側端より傾設された延出部が、側面に対して45°に形成されている上記(1)記載の導水用取付金具に存する。
【0014】
また、本発明は、(7)、その所定部位に上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の導水用取付金具が取り付けられる側溝ブロックに存する。
【0015】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記発明を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導水用取付金具は簡単な一枚板が鍵状に屈曲された立体的構造を有ししていることから単体でも高い剛性強度が確保される。
また、導水用取付金具は、埋設領域が側溝ブロックのコンクリート材中に埋設されるため、側溝ブロックとの結合強度が大幅に強化される。
【0017】
また、密着領域において、側溝ブロックのコンクリート材と密着し、埋設領域及び密着領域に設けた通穴に側溝ブロックのコンクリート材が充填される。
これらにより側溝ブロックとの結合強度が強化されるばかりか、導水用取付金具に対する高い支持剛性が得られる。
特に延出部である埋設領域の通孔は、これを通じて両側のコンクリートが相通じるために結合強度を極めて大きくできる。
【0018】
実際に設置された場合、導水孔は上面から側面に跨って形成されているため、主に地表水を上方及び側方から導水する。
また、側面の導水孔は地中水を導水し、これらにより雨水等を効率よく導水して排水溝に迅速に集水・排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明による導水用取付金具及びこれを装着した側溝ブロックの好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態における導水用取付金具10を示している。
また、図2は正面図、図3は側断面図、図4は上面図及び底面図である。
導水用取付金具10は、後述するように側溝ブロック100の所定部位に取り付けられるが、一枚の鋼板(例えば、SS材等)をプレス加工することにより折曲成形してなるものであり、側溝ブロックと一体的に結合することで導水機能を発揮する。
【0020】
導水用取付金具10はその基本構成において、鍵状に折曲成形してなる上面(上壁部)11と側面(側壁部)12を有し、上面11の内側端に折曲成形された折曲部13と側面12の下側端より傾設された延出部14とを備える。
上面11及び側面12のそれぞれには導水孔15、導水孔16が開設されており、折曲部13には一定の広さの切欠部13aが形成されている。
このうち上面11の導水孔15は、複数個、平行に並んで形成され、また側面12の導水孔16は、複数個、複数列に形成されている。
【0021】
ここで導水用取付金具10を備える対象となる側溝ブロック100について述べると、図6に示すように、側溝ブロック100は、例えば門型を呈し、梁部101の一部に開口部102が開設されている。
この開口部102には、図示しない蓋、例えばコンクリート製の蓋や金属製の格子状蓋(通常「グレーチング」という)が被せられるようになっており、開口部102の開口縁の適所に導水用取付金具10を装着するための取付部103が設定される。
【0022】
なお、この取付部103は、型枠を使って側溝ブロック100に導水用取付金具10をインサート成形する際、必然的に形成されるものである。
導水用取付金具10は、このようにインサート成形されるかたちで、側溝ブロック100と一体的に強く結合する。
なお、前述した切欠部13aは、開口部102に蓋が被せられた場合に、その蓋上から流れ込む雨水等の落下をし易くする機能もある。
【0023】
導水用取付金具10において、導水孔15は上面11及び側面12の鍵状の角部に設けられており、上面11及び側面12の双方に開口する。
この例では上面11の導水孔15は矩形状(長方形)となっており、上面11から側面12に跨って形成されている。
また、側面12に形成された導水孔16は、適度なピッチ間隔で上下及び左右(幅方向)に列設されている。
【0024】
導水用取付金具10が実際に側溝ブロック100に取り付けられた際、上面11は略水平方向に、側面12は略垂直方向に配置されるようになっている。
【0025】
図3に示される施工例のように、折曲部13は適度に外側寄りに傾斜して略垂直に、また、延出部14は側面12に対して内側に傾斜して(好適にはθ;45°前後傾斜して)配置される。
この場合、折曲部13が外側寄りに傾斜しているのは、製造時に型枠に導水用取付金具10を仮固定しておく場合に、導水用取付金具10が型枠の間に挿入された際、折曲部13により弾圧力を発揮することができる理由からである(すなわち、型枠の間に挿入された場合、側面12と折曲部13とで弾圧力を生じる)。
導水用取付金具10は、概略変形「C」の字状もしくは略変形「コ」の字状の断面形状を有する。
因みにこの断面形状により強度が十分発揮できる。
【0026】
また、導水用取付金具10において、延出部14(側面12の下部位を含む)には図1に示されるように、側溝ブロック100のコンクリート材に埋設される埋設領域17が設定される。
この埋設領域17は、側溝ブロック100のコンクリート内にインサート成形されるものである。
【0027】
また、上面11、側面12及び折曲部13の両側縁部と側面12の下部位には、それぞれ、側溝ブロック100のコンクリート材と密着する密着領域18A,18Bが設定される。
この密着領域18の内面側には側溝ブロック100の製造時にインサート成形によりコンクリート材が流し込まれるようになっており、そのため密着領域18の内面側がコンクリートに密に接する状態となる。
【0028】
また、延出部である埋設領域17、及び折曲部13と側面12の両側縁部の密着領域18には、インサート成形により側溝ブロック100のコンクリート材が充填されるようにした複数の通穴、すなわち通穴19A1、通穴19A2、通穴19A3が設けられている。
また側面12の下部位の密着領域18にも一つの通穴19Bが設けられる。
なお、この通穴19Bは、側溝ブロック100を型枠を使って導水用取付金具10をインサート成形する際、該導水用取付金具10を型枠に共に仮止めさせておくための図示しない止め具を挿入する際に使用するものである。
因みに導水用取付金具10自体の折曲部13がよっても型枠への弾圧力に寄与していることは既に述べた。
【0029】
さて導水用取付金具10は鋼板を用いてプレス成形により折曲成形することで、立体的構造を備えた形状に簡単に製造でき、これにより先述したように導水用取付金具10単体でも高い剛性強度が確保される。
また、導水用取付金具10は、図6に示されるように、側溝ブロック100の取付部103に一体的に取り付けられる。
この場合、埋設領域17は、側溝ブロック100のコンクリート材中に埋設されるため、側溝ブロック100との結合強度が大幅に強化される。
【0030】
特に、図5(b)に示したように延出部14全体がコンクリート材中に埋設され、しかも側面12に対して、この場合、角度θ;45°に傾斜している。
これにより延出部14は両側から均等に、且つ一定深さに対して埋設長さを最大とするように埋設されるので、側溝ブロック100の限定されたスペース内で有効に結合強度を確保することができる。
【0031】
また、上面11、側面12及び折曲部13の両側縁部と側面12の下部位に設定した密着領域18A,18Bにおいて、導水用取付金具10の裏側は側溝ブロック100のコンクリート材と密着する。
さらに、埋設領域17及び密着領域18Aと密着領域18Bに設けた通穴19A1、通穴19A2、通穴19A3には、側溝ブロック100のコンクリート材が充填される。
同様に、通穴19Bにもコンクリート材が充填される。
そのために通穴を介して両側のコンクリート材が相通じて一体化される構造となる。
これらにより側溝ブロック本体と側溝ブロック100との結合強度が強化されるばかりか、導水用取付金具10に対する高い支持剛性が得られるのである。
したがって、例えば道路を走行する車両等からの衝撃荷重等による負荷を受けた場合でも、導水用取付金具10が側溝ブロック100から剥がれて脱落するのを抑止し、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0032】
実際に施工されて、例えば図3のように道路1の路肩等に設置された場合、導水用取付金具10はその周囲に透水性舗装部2が施されると共に、路面と略同一高さで設置される。
導水孔15は上面11から側面12に跨って形成されているため、主に地表水を上方及び側方から導水し、また、導水孔16は地中水を導水し、これらにより雨水等を効率よく導水して排水溝に迅速に集水・排水することができる。
【0033】
ここで、導水用取付金具10としては、種々の変形例があるが、そのうちの幾つかを図7及び図8に示す。
【0034】
図7に示す導水用取付金具10は、切り欠き部を備えず、折曲部13を連続する板状にした場合である。
【0035】
また図8に示す導水用取付金具10は、通穴の形や数が異なる例を示す。
本発明の導水用取付金具10においては、いずれのものも、埋設領域17及び密着領域18A,18Bを有することから、側溝ブロック100に対する一定の結合強度が確保されるものであり、また通穴19(19A1、19A2、19A3、19B)を有するためにその結合強度が更に増強される。
【0036】
以上、本発明を実施形態とともに説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、折曲部、上面、側面、延出部等の相互の広さの比率は自由であり、また導水孔15,16の個数、大きさ等も、適宜増減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の実施形態における導水用取付金具を示すそれぞれ斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態における導水用取付金具の正面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態における導水用取付金具の作用を示す部分側断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態における導水用取付金具の上面図及び底面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態における導水用取付金具を装着した側溝ブロックの正面図及び断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態における側溝ブロックの例を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態における導水用取付金具の変形例を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態における導水用取付金具の他の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 導水用取付金具
11 上面
12 側面
13 折曲部
13a 切欠部
14 延出部
15 導水孔
16 導水孔
17 埋設領域
18A,18B 密着領域
19A(19A1,19A2,19A3) 通穴
19B 通穴
100 側溝ブロック
101 梁部
102 開口部
103 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝ブロックの所定部位に取り付けられる導水用取付金具であって、
板材を鍵状に折曲成形してなる上面と側面を有し、前記上面の内側端に折曲成形された折曲部と前記側面の下側端より傾設された延出部を設け、
前記上面および前記側面のそれぞれに導水孔を開設したことを特徴とする導水用取付金具。
【請求項2】
前記上面及び前記側面の鍵状の角部に設けた導水孔は、前記上面及び前記側面の双方に開口することを特徴とする請求項1に記載の導水用取付金具。
【請求項3】
前記延出部は、前記側溝ブロックのコンクリート材に埋設される埋設領域として設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の導水用取付金具。
【請求項4】
前記上面、前記側面及び前記折曲部の両側縁部と前記側面の下部位に、前記側溝ブロックのコンクリート材と密着する密着領域を設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導水用取付金具。
【請求項5】
前記埋設領域及び前記密着領域に、前記側溝ブロックのコンクリート材が充填されるようにした複数の通穴を設けたことを特徴とする請求項4に記載の導水用取付金具。
【請求項6】
前記側面の下側端より傾設された延出部が、側面に対して45°に形成されていることを特徴とする請求項1記載の導水用取付金具。
【請求項7】
その所定部位に請求項1〜6のいずれか1項に記載の導水用取付金具が取り付けられることを特徴とする側溝ブロック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−113250(P2007−113250A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304779(P2005−304779)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000176512)三谷セキサン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】