説明

導電インクおよびその利用

【課題】 低温焼結性を損なうことなく高密着および高粘度を有する導電性インクを実現すること。
【解決手段】 金属コロイド液を用いた低粘度導電インクに水性イソシアネート化合物を添加することによって、高密着および高粘度を有する導電性インクを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の分野で電極および/または樹脂に導電性を付与するために使用することができる導電インク、ならびに当該導電インクを用いた導電性被膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電性被膜の製造方法としては、従来から、銀または他の金属を樹脂成分または有機溶媒で練り込んだ導電ペーストと称されるものを、ディスペンサーまたはスクリーン印刷等で基材に塗布した後加熱処理する方法が広く用いられている。しかしながら、近年の電子機器の高性能化に伴い、導電ペーストを用いて形成される導電性被膜には、より低い電気抵抗、より低い加熱処理温度、基材へのより高い密着化が要求され、その要求は年々厳しさを増している。
【0003】
上記要求に応えるべく、低抵抗・高密着を目指した導電ペーストが種々提案されているが、何れのペーストにおいても200℃以上の温度での熱処理を必要とすることから、描画を行う基板が変形、溶融、劣化等の損傷を受けるため、基板の材料選択が制約を受けてしまう問題があった。
【0004】
また、最近ではナノサイズの金属微粒子を用いることによって、加熱処理温度の低温化、低電気抵抗化を実現した導電インクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−35255号公報(平成13年2月9日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インクの粘度が低いことから、特許文献1に記載されるような導電インクはスクリーン印刷をはじめとする高粘度インクを必要とする方法には適さず、よって印刷方法が制約を受けるという問題を有する。
【0006】
また、ナノサイズの金属微粒子分散液に、増粘剤となる樹脂成分を、導電性を阻害しない程度の微量添加することで、低抵抗を維持しつつ高粘度化を図ることが試みられている。樹脂成分を微量添加して増粘を図るためには、分子量の高い樹脂を使用する必要がある。しかし、分子量の高い樹脂は糸曳きが起こりやすいなどチキソ比の調整が困難となり、スクリーン印刷をはじめとする描画に対する適性に問題を有する。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、低い加熱処理温度にて、高い導電性と、基材との良好な密着性とを発現し、かつスクリーン印刷などの印刷方法を適用することができ、しかも糸曳きを生じない描画適性に優れた導電インクを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る導電インクは、上記課題を解決するために、金属微粒子と水性イソシアネート化合物からなる分散質、ならびに水単独または水および水と相溶する溶剤の混合物からなる分散媒からなり、ここで、当該金属微粒子は、金属成分と分散剤からなり、当該金属微粒子の含有量が40重量%以上であり、当該水性イソシアネート化合物の含有量が金属微粒子に対して0.1重量%以上10重量%未満であることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る導電インクにおいて、上記金属成分は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムからなる群より選ばれる金属の少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る導電インクにおいて、上記分散剤は、分子中に金属表面に対する親和性の高い官能基を少なくとも1個有しかつCOOH基を2個以上有するカルボン酸またはその塩であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る導電インクは、水溶性樹脂をさらに含有することが好ましい。
【0012】
本発明に係る導電インクは、25℃における粘度が、25/秒以下のせん断速度下で100mPa・秒以上であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る導電性被膜は、上記の導電インクから形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上述の構成を採ることにより、印刷による描画適性にすぐれる上、低温で加熱して高導電性および高密着性を示す導電性被膜を形成することができる導電インクおよびそれより形成される導電性被膜を提供することができる。このため、本発明を用いれば、描画装置、印刷機械等の制約を受けずに耐熱性に乏しい基材上にも強く密着した導電性被膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、金属微粒子と水性イソシアネート化合物からなる分散質、ならびに水単独または水および水と相溶する溶剤の混合物からなる分散媒からなる導電インクを提供する。本発明に係る導電インクにおいて、上記金属微粒子は、金属成分と分散剤からなり、当該金属微粒子の含有量が40重量%以上であることが好ましい。また、本発明に係る導電インクにおいて、上記水性イソシアネート化合物の含有量が金属微粒子に対して0.1重量%以上10重量%未満であることが好ましく、25℃における粘度が、25/秒以下のせん断速度下で100mPa・秒以上であることがより好ましい。
【0016】
本発明に係る導電インクを用いれば、スクリーン印刷をはじめ、描画装置、印刷機械等に幅広く適用可能である上、120℃〜150℃程度の低温加熱処理で高い導電性と良好な密着性とを発現する被膜を形成することができる。
【0017】
本発明に係る導電インクを用いて導電性被膜を形成させる際に使用する基材は、特に限定されない。よって、本発明に係る導電インクを用いれば、基材を選ぶことなく高い密着性を有する被膜を発現させることができる。本発明に係る導電インクを適用する基材としては、例えば、熱に強い金属、ガラス、セラミック、ITO処理された基材をはじめ、高温をかけると変形または分解するおそれのある高分子系の基体(例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂等)が挙げられる。また、その形状としては、例えば、板状、フィルム状、繊維状等が挙げられる。
【0018】
本発明に係る導電インクと基材との濡れ性が悪い場合には、基材を表面処理し、濡れ性を向上させればよい。適用可能な基材の表面処理方法としては、種々の公知の手法(例えば、物理的に表面を荒らす方法;プラズマ処理、オゾン処理、コロナ処理等の乾式化学処理法;クロム酸混液、濃硫酸、濃塩酸中に浸漬させる方法;シランカップリング剤やチタネートカップリング剤による湿式化学処理等)が挙げられる。これらの方法を、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本発明に係る導電インクを基材上に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、凹板印刷、フレキソ印刷、バーコート法による方法等が挙げられるが、特に限定されない。
【0020】
本発明に係る導電性被膜が形成された基材を、必要に応じて加熱してもよい。上記加熱方法としては、例えば、オーブン中で加熱する方法の他、誘電加熱法、高周波過熱法等が挙げられるが、特に限定されない。
【0021】
本発明に係る導電インクにおいて、本発明に係る導電インクを構成する分散質に水性イソシアネート化合物を用いることが好ましい。水性イソシアネートは、金属微粒子の分散剤に含まれるCOOH基またはそのイオンに対する強い相互作用を有するので、水系金属微粒子分散液の増粘剤および密着向上成分として好適に用いられ得る。
【0022】
水性イソシアネート化合物は、一分子中に1個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートを、ポリエチレンオキサイド、カルボキシル基またはスルホン酸基等の各種親水性基によって変性して自己乳化型にした形態、または界面活性剤などによって強制乳化して水分散可能にした形態の化合物である。
【0023】
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネートまたはテトラメチレンキシリレンジイソシアネート等が挙げられるが、特に限定されない。これらは、単独で使用されても、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0024】
また、有機ポリイソシアネートから誘導される種々のプレポリマー類等、さらには、これらの有機ポリイソシアネート中のイソシアネート基を、それぞれ、アルコール類、フェノール類、オキシム類、メルカプタン類、アミド類、イミド類またはラクタム類などでブロック化せしめた形態の化合物、すなわち、いわゆるブロック化ポリイソシアネート化合物もまた好適に用いられ得る。
【0025】
水性イソシアネート化合物として、上述のように種々の化合物を利用することができるが、市販の化合物を使用することもできる。
【0026】
市販の水性イソシアネート化合物としては、デュラネートWB40−100(旭化成ケミカルズ(株)製)、タケネートWD−220、タケネートWD−240、タケネートWD−720、タケネートWD−725、タケネートWD−726、タケネートWD−730、タケネートWB−700、タケネートWB−820、タケネートWB−920(以上三井武田ケミカル(株)製)、バイヒジュール3100、バイヒジュールVPLS2306、バイヒジュールVPLS2319、バイヒジュールVPLS2336、バイヒジュールVPLS2150/1、バイヒジュールVPLS2150RA、バイヒジュールBL5140、バイヒジュールBL5235、バイヒジュールVPLS2240、バイヒジュールVPLS2310(以上住化バイエルウレタン(株)製)、バーノックDNW−5000(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは、単独で使用されても、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。特に、バイヒジュールBL5140、バイヒジュールBL5235の密着および増粘の効果が大きく、よってこれらは好適に使用され得る。
【0027】
本発明に係る導電インクにおける水性イソシアネート化合物の含有量は、還元生成される金属微粒子の含有量によって規定され、金属微粒子に対して0.1重量%以上10重量%未満であることが望ましい。水性イソシアネート化合物の含有量が金属微粒子に対して0.1重量%未満であると、水性イソシアネート化合物を混ぜたことによる密着・増粘の効果が小さく、また10重量%を超えると、絶縁体であるイソシアネート化合物が導電性を阻害する。
【0028】
水性イソシアネート化合物を混合して本発明の導電インクを製造する方法は、特に限定されず、例えば、水性イソシアネート化合物単体を金属塩微粒子分散液に混ぜてもよく、水性イソシアネート化合物を金属塩微粒子分散液と相溶する溶媒に予め分散させておいて、その分散液を金属塩微粒子分散液に加えてもよい。
【0029】
本発明の導電インクにおいて、上記金属成分としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウム等が挙げられるが、特に限定されない。これらのなかでも、金、銀、白金、パラジウムが好ましい。また、これらの金属は単独で用いられてもよく2種以上が併用されてもよい。
【0030】
銀を用いた導電インクによって形成される導電性被膜の導電率は、良好であるが、エレクトロマイグレーションの問題を考慮する必要性が生じる。よって、エレクトロマイグレーションを防止するためには、銀とその他の金属とを併用することが好ましい。上記その他の金属としては、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等が挙げられる。特に、金、銅、白金、パラジウムが好ましい。
【0031】
本発明に係る導電インクにおいて、生成された金属微粒子の平均粒子径は、1〜400nmであることが好ましい。平均粒子径が1nm未満である粒子の製造はコストが高過ぎて実用的でなく、400nmを超えると、粒子の分散安定性が経時的に変化しやすい。
【0032】
本発明に係る導電インクにおいて使用される分散剤は、分子中に金属表面に対する親和性が高い官能基を少なくとも1個有し、かつ、COOH基を2個以上有するカルボン酸またはその塩が好ましい。このような分散剤としては、溶媒に溶解し、分散効果を示すものであれば特に限定されず、具体的には、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、チオリンゴ酸、チオジグリコール酸、ポリアクリル酸等、およびこれらの塩が挙げられる。また、これらの分散剤は、単独で使用されても、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0033】
本発明の導電インクにおいて、上記金属微粒子の固形分濃度が40重量%以上であることが好ましい。ここで、固形分とは、導電インクから大部分の溶媒をシリカゲル等により取り除いた後、70℃以下の温度で乾燥させたときに残存する固形分をいい、通常、この固形分は、金属成分、残留分散剤、残留還元剤および残留樹脂等からなる。
【0034】
上記固形分の濃度が40重量%未満の場合、金属微粒子の分散剤に含まれるCOOH基またはそのイオンの含有量が少なく、水性イソシアネート化合物との相互作用による増粘の効果が小さくなってしまう。
【0035】
本発明に係る導電インクは、バインダー成分として水溶性樹脂を含んでもよい。バインダー成分が添加されることにより、本発明に係る導電インクは、各種塗布方法に応じた粘度・チキソ比等の調整、およびレベリング性の付与を可能にする。水溶性の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等が挙げられるが、特に限定されない。添加量は、多すぎると絶縁体である水溶性樹脂が導電性を阻害するので、金属微粒子に対して5重量%以下であることが望ましい。
【0036】
本発明に係る導電インクは、上記の他に、液の特性を改質するための添加剤を含んでもよい。
【0037】
上記分散剤、水性イソシアネート化合物以外の添加剤としては、例えば、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、揮発抑制剤等が挙げられるが、特に限定されない。
【0038】
本発明に係る導電インクは上述の様な構成からなるので、低温での処理が可能である。よって、適用する基材の種類に制約を受けることがない。本発明に係る導電インクに対して、スクリーン印刷をはじめ、描画装置、印刷機械等を幅広く適用することができ、よって導電性および密着性に優れた導電パターンを形成することができる。
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0040】
<実施例1>
(1)導電インクの作製
硝酸銀(和光純薬工業社製)59.1gを含む水溶液1.5L、分散剤としてクエン酸三ナトリウム二水和物(和光純薬工業社製)512.64gを含む水溶液1L、還元剤としてタンニン酸(和光純薬工業社製)10.8gを含む水溶液0.5L、pH調整剤として10N−NaOH水溶液90mLを混合、撹拌することにより、銀粒子を含む溶液を得た。得られた銀粒子を含む溶液を、中空糸モジュール(旭化成製、マイクローザUFラボモジュールSLP−1053)を用いて脱塩した。CM−20S(東亜電波工業社製)で測定したろ液の電導度が100μS/cm以下になるまで脱塩を繰り返した後、溶液中の銀固形分が50wt%以上になるまで濃縮し、この濃縮液を3000rpmで10分間遠心分離した。このとき、下層の沈殿と上層の分散液に分離するが、この上層の分散液を銀コロイド液として採取した。
【0041】
その後、バイヒジュールBL5235(住化バイエルウレタン(株)製、固形分35%)を、銀に対して固形分で2.5重量%になるように添加し、撹拝することにより導電インクを得た。最終的な配合比(重量)は、銀/バイヒジュールBL5235/水=50/1.25/48.75。
【0042】
(2)導電性被膜の作製
基材上に導電インクをスキージーにて塗布し、風乾した後、ギヤオーブン中で150℃にて30分間加熱処理した。
【0043】
<実施例2>
実施例1と同様にして作製した銀コロイド液に,バイヒジュールBL5235を銀に対して2.5重量%ポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)製K90)を銀に対して0.5重量%になるようにそれぞれ添加し、撹拌することにより導電インクを得た。最終的な配合比(重量)は、銀/バイヒジュールBL5235/ポリビニルピロリドン/水=50/1.25/0.25/48.5。さらに、実施例1と同様にして導電性被膜を得た。
【0044】
<比較例1>
バイヒジュールBL5235を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして作製することにより、導電インクおよび導電性被膜を得た。
【0045】
<比較例2>
実施例1と同様にして作製した銀コロイド液にポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)製、分子量2,000,000)を、銀に対して1.0重量%になるように添加し、撹拌することにより導電インクを得た。最終的な配合比(重量)は、銀/ポリエチレングリコール/水=50/0.5/49.5。
【0046】
さらに、実施例1と同様にして導電性被膜を得た。
【0047】
<評価>
実施例1〜2および比較例1〜2で得た導電インクおよび導電性被膜に対して以下の評価を行った。
【0048】
(1)インクの粘度およびチキソ比
導電インクの粘度を、ストレスレオメーターRC20型(レオテック社製)により,せん断速度1〜25/秒下において測定した。また、チキソ比を、せん断速度1/秒と25/秒の粘度比から算出した。用いた測定条件を以下に示す。但し、比較例1の粘度は測定範囲外であり、正確な測定値を得ることができなかった。
・測定モード:せん断速度依存
・測定治具:コーンプレート;C50−2(DIN53018準拠)
・測定温度:25℃。
【0049】
(2)被膜の導電性
被膜の電気抵抗を、ダブルブリッジ2769(横河M&C社製)により測定し、体積抵抗率は下記式を用いて算出した。
ρv=Rwt/1
ここで、
・ρv:体積抵抗率(Ω・cm)
・R:測定端子問の被膜の電気抵抗(Ω)
・w:測定端子問の被膜の幅(cm)
・T:測定端子間の被膜の厚み(cm)
・l:測定端子間の被膜の長さ(cm)。
【0050】
(3)被膜の密着性
基材に対する被膜の密着性を、メンディングテープNo.810(住友スリーエム(株)製)を用いた剥離試験にて評価した。この際、メンディングテープを被膜に完全に付着させてから1分後に、テープの一方の端を持って基材に対して90℃の角度を保ちながら一気に引き剥がすことによって、剥離を行った。評価基準としては、剥離しなかった場合を○、剥離した場合を×とした。
【0051】
<表1:配合比(重量)>
【0052】
【表1】

【0053】
<表2:評価結果>
【0054】
【表2】

【0055】
表2に示したように、金属コロイド液に水性イソシアネート化合物を配合することによって、導電インクが高い粘度およびチキソ比を有する。この結果より、金属コロイド液に水性イソシアネート化合物を配合することによって得た導電インクを用いれば、印刷による描画適性が優れ、高導電性および高密着性を示す導電性被膜を低温加熱によって形成することができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ブラウン管の電磁波遮蔽、建材または自動車の赤外線遮蔽、電子機器または携帯電話の静電気帯電防止剤、曇ガラスの熱線、回路基板またはICカードの配線、フラットパネルディスプレイの電極、樹脂に導電性を付与するためのコーティング、導電繊維、スルーホール、回路自体等の広い分野にも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属微粒子と水性イソシアネート化合物からなる分散質、ならびに水単独または水および水と相溶する溶剤の混合物からなる分散媒からなる導電インクであって、
当該金属微粒子は、金属成分と分散剤からなり、
当該金属微粒子の含有量が40重量%以上であり、
当該水性イソシアネート化合物の含有量が金属微粒子に対して0.1重量%以上10重量%未満であることを特徴とする導電インク。
【請求項2】
前記金属成分が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムからなる群より選ばれる金属の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の導電インク。
【請求項3】
前記分散剤が、分子中に金属表面に対する親和性が高い官能基を少なくとも1個有しかつCOOH基を2個以上有するカルボン酸またはその塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電インク。
【請求項4】
水溶性樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電インク。
【請求項5】
25℃における粘度が、25/秒以下のせん断速度下で100mPa・秒以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電インク。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電インクから形成されることを特徴とする導電性被膜。

【公開番号】特開2006−193594(P2006−193594A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5717(P2005−5717)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】