説明

導電シート及び静電容量方式タッチパネル

【課題】大格子間を接続する接続部が完全に断線する蓋然性を従来よりも低くすることができる導電シート及び静電容量方式タッチパネルを提供する。
【解決手段】2以上の第1大格子24Aが第1方向に第1接続部28Aを介して直列に電気的に接続されて構成された第1導電パターン18Aが第1透明基体14A上に形成され、2以上の第2大格子24Bが第1方向と直交する第2方向に第2接続部28Bを介して直列に電気的に接続されて構成された第2導電パターン18Bが第2透明基体14B上に形成され、上面から見たとき、第1導電パターン18Aに隣接して第2導電パターン18Bが配置され且つ第1接続部28Aと第2接続部28Bが対向する形態とされ、第1接続部28Aは、第1大格子24A間を3つ以上の接続経路で電気的に接続し、第2接続部28Bは、第2大格子24B間を3つ以上の接続経路で電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電シート及び静電容量方式タッチパネルに関し、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適な導電シート及び静電容量方式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、タッチパネルが注目されている。このようなタッチパネルにおいて、マトリクス状に配列した電極が目立たないようにするために、電極をITO(酸化インジウムスズ)にて構成する例が開示されている(例えば特許文献1及び2参照)。
タッチパネルは、PDA(携帯情報端末)や携帯電話等の小サイズへの適用が主となっているが、パソコン用ディスプレイ等への適用による大サイズ化が進むと考えられる。
このような将来の動向において、従来の電極は、ITO(酸化インジウムスズ)を用いていることから、抵抗が大きく(数百オーム/sq.程度)、適用サイズが大きくなるにつれて、電極間の電流の伝達速度が遅くなり、応答速度(指先を接触してからその位置を検出するまでの時間)が遅くなるという問題がある。
そこで、金属製の細線(金属細線)にて構成した格子を多数並べて電極を構成することで表面抵抗を低下させることが考えられる。金属細線を電極に用いたタッチパネルとしては、例えば、特許文献3〜9が知られている。
【0003】
特許文献3、特許文献4、特許文献5の図1a、及び特許文献6に係る導電シートは、多数の金属細線を縦方向に並べて構成される第1導電パターンと、多数の金属細線を横方向に並べて構成される第2導電パターンと、これら第1導電パターン及び第2導電パターン間に設置された絶縁層とを有する。
また、特許文献7及び8に係る導電シートは、各金属細線にそれぞれ複数のS字状の変形部を形成したパターンを縦方向に配列して構成される第1導電パターンと、複数のS字状の変形部を形成したパターンを横方向に配列して構成される第2導電パターンとを有する。
特許文献9に係るタッチスイッチは、基板と、前記基板の一面に形成され、一定間隔で並べられた複数の第1電極と、前記基板の他面に形成され、一定間隔で並べられ、前記複数の第1電極とで格子状になる複数の第2電極と、を備え、ディスプレイの前面に取り付けられている。
また、この特許文献9の図7には、前記第1電極が、複数の小格子が組み合わされて形成された複数の感知部と、前記感知部間を導体線によって2つの接続経路で接続する接続部とで構成されている点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−086684号公報
【特許文献2】特開平5−224818号公報
【特許文献3】国際公開第97/018508号パンフレット
【特許文献4】特開2003−099185号公報
【特許文献5】米国特許第5113041号明細書
【特許文献6】国際公開第95/027334号パンフレット
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/0239650号明細書
【特許文献8】米国特許第7202859号明細書
【特許文献9】国際公開第2010/013679号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの例では、ある金属細線に断線があると、断線した金属細線に関連するアドレスが認識できなくなるという問題がある。特許文献9のタッチスイッチは、第1電極において、感知部間が2つの接続経路でのみ接続されているので、前記2つの接続経路の両方が断線して、接続部が完全に断線する蓋然性が高い。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、感知部間を接続する接続部が完全に断線する蓋然性を従来よりも低くすることができ、しかも、基体上に形成される導電パターンの低抵抗化を図ることができると共に、視認性も向上させることができ、また、タッチ位置検出の感度の向上、検出精度の向上を図ることができる導電シート及び静電容量方式タッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 第1の本発明に係る導電シートは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1方向に第1接続部を介して直列に電気的に接続されて構成された2以上の第1導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列されて構成され、前記第2導電部は、2以上の第2感知部が前記第2方向に第2接続部を介して直列に電気的に接続されて構成された2以上の第2導電パターンが前記第1方向に配列されて構成され、各前記第1感知部及び各前記第2感知部は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、上面から見たとき、前記第1導電パターンに隣接して前記第2導電パターンが配置され、且つ、前記第1接続部と前記第2接続部とが前記基体を間に挟んで対向する形態とされ、前記第1接続部は、前記第1感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続し、前記第2接続部は、前記第2感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続する構成を有することを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、前記第1接続部は、一方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ3つ以上の導線にて構成され、前記第2接続部は、一方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ3つ以上の導線にて構成されていることを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記第1接続部は、一方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ第1導線部及び第2導線部と、一方の前記第1感知部に含まれる他の小格子の頂点と第1導線部とを結ぶ第3導線部と、他方の前記第1感知部に含まれる他の小格子の頂点と第2導線部とを結ぶ第4導線部とを有し、前記第2接続部は、一方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ第5導線部及び第6導線部と、一方の前記第2感知部に含まれる他の小格子の頂点と第5導線部とを結ぶ第7導線部と、他方の前記第2感知部に含まれる他の小格子の頂点と第6導線部とを結ぶ第8導線部とを有することを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、前記第1導電部は、さらに、前記第1感知部の辺の周囲に、複数の第1補助線からなる第1補助パターンが配列され、前記第2導電部は、さらに、前記第2感知部の辺の周囲に、複数の第2補助線からなる第2補助パターンが配列され、上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの間に、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成されていることを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、前記組合せパターンは、2以上の小格子が組み合わされて構成されていることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、前記第1感知部及び前記第2感知部は、略同一の大きさで構成されているか、異なる大きさで構成されていることを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、前記第1感知部が略正方形状の大格子として構成されており、前記第2感知部が略長方形状の大格子として構成されていることを特徴とする。
[8] 第2の本発明に係る導電シートは、基体と、前記基体の主面に形成された導電部とを有し、前記導電部は、金属細線による2以上の感知部が第1方向に金属細線による接続部を介して直列に電気的に接続されて構成された2以上の導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列されて構成され、各前記感知部は、2以上の小格子が組み合わされて構成され、前記接続部は、前記感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続する構成を有することを特徴とする。
[9] 第2の本発明において、一方の前記感知部と前記接続部との接点から該接続部内への金属細線の数をNa、前記接続部内の複数の交点間の金属細線の数をNb、他方の前記感知部と前記接続部との接点から該接続部内への金属細線の数をNc、隣接する前記感知部間の接続経路の数をNとしたとき、N=Na×(Nb+Nc−1)であることを特徴とする。
[10] 第2の本発明において、前記接続部は、隣接する2つの前記感知部間に所定の接続方向に配置された四角形部を有し、前記四角形部は、互いに対向する金属細線間の距離がLaの第1四角形部と、互いに対向する金属細線間の距離がLbの第2四角形部とを有し、La>Lbであることを特徴とする。
[11] 第2の本発明において、前記長さLbが前記小格子の一辺の長さと同じであることを特徴とする。
[12] 第2の本発明において、1.2×Lb≦La≦3.0×Lbであることを特徴とする。
[13] 第2の本発明において、La=2×Lbであることを特徴とする。
[14] 第2の本発明において、前記第2四角形部の両側に前記第1四角形部が配置されていることを特徴とする。
[15] 第2の本発明において、前記接続部のうち、前記小格子の一辺の長さの3倍以上の長さを有する辺から直交して延びる金属細線による張り出し部を有することを特徴とする。
[16] 第2の本発明において、前記張り出し部は、前記接続部内に向かって張り出していることを特徴とする。
[17] 第2の本発明において、前記張り出し部は、前記接続部から外に向かって張り出していることを特徴とする。
[18] 第3の本発明に係る導電シートは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1接続部を介して接続された2以上の第1導電パターンから構成され、前記第2導電部は、2以上の第2感知部が第2接続部を介して接続された2以上の第2導電パターンから構成され、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは前記接続部上で略直交するように配置されており、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは線幅15μm以下の細線パターンから構成され、前記第1接続部は、前記第1感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続し、前記第2接続部は、前記第2感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続する構成を有することを特徴とする。
[19] 第4の本発明に係る静電容量方式タッチパネルは、上述した第1〜第3の本発明に係る導電シートを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、感知部間又はパッド間を接続する接続部が完全に断線する蓋然性を従来よりも低くすることができ、しかも、基体上に形成される導電パターンの低抵抗化を図ることができると共に、視認性も向上させることができ、例えば静電容量方式タッチパネルに用いて好適となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係る積層導電シート(第1積層導電シート)を一部省略して示す分解斜視図である。
【図2】図2Aは第1積層導電シートの一例を一部省略して示す断面図であり、図2Bは第1積層導電シートの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図3】第1積層導電シートの第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図4】図3の第1接続部を拡大して示す平面図である。
【図5】図5Aは第1接続部の結線状態を示す説明図であり、図5Bは第1接続部の第1変形例の結線状態を示す説明図であり、図5Cは第1接続部の第2変形例の結線状態を示す説明図である。
【図6】第1積層導電シートの第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図7】第1積層導電シートが適用されるタッチパネルを示す斜視図である。
【図8】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第1積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る積層導電シート(第2積層導電シート)の第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図10】第2積層導電シートの第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図11】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第2積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図12】第3の実施の形態に係る積層導電シート(第3積層導電シート)の第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図13】第3積層導電シートの第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図14】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第3積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図15】第4の実施の形態に係る積層導電シート(第4積層導電シート)の第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図16】図15の第1接続部を拡大して示す平面図である。
【図17】第4積層導電シートの第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図18】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第4積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図19】第5の実施の形態に係る積層導電シート(第5積層導電シート)の第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図20】第5積層導電シートの第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図21】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第5積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図22】第6の実施の形態に係る積層導電シート(第6積層導電シート)の第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図23】第6積層導電シートの第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図24】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第6積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図25】第1積層導電シートの製造方法を示すフローチャートである。
【図26】図26Aは作製された感光材料を一部省略して示す断面図であり、図26Bは感光材料に対する両面同時露光を示す説明図である。
【図27】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達せず、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達しないようにして第1露光処理及び第2露光処理を行っている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る導電シート及び静電容量方式タッチパネルの実施の形態例について図1〜図27を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0011】
第1の実施の形態に係る積層導電シート(以下、第1積層導電シート10Aと記す)は、図1及び図2Aに示すように、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bとが積層されて構成されている。x方向は、例えば後述する投影型静電容量方式のタッチパネル100(図7参照)の水平方向(又は垂直方向)あるいはタッチパネル100を設置した表示パネル110の水平方向(又は垂直方向)を示す。
【0012】
第1導電シート12Aは、図1及び図3に示すように、第1透明基体14A(図2A参照)の一主面上に形成された第1導電部16Aを有する。この第1導電部16Aは、それぞれ第1方向(x方向)に延在し、且つ、第1方向と直交する第2方向(y方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線による2以上の第1導電パターン18Aと、各第1導電パターン18Aの周辺に配列された金属細線による第1補助パターン20Aとを有する。
【0013】
第1導電パターン18Aは、金属細線による2以上の第1大格子24A(第1感知部、第1パッド部)が第1方向に直列に接続されて構成され、各第1大格子24Aは、それぞれ2以上の小格子26が組み合わされて構成されている。また、第1大格子24Aの辺の周囲に、第1大格子24Aと非接続とされた上述の第1補助パターン20Aが形成されている。なお、小格子26は、ここでは一番小さい正方形状とされている。隣接する第1大格子24A間には、これら第1大格子24Aを電気的に接続する第1接続部28Aが形成されている。金属細線は例えば金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)で構成されている。以下の説明では、金属細線を導線とも記す。
【0014】
図3に示すように、第1大格子24Aは、正方形の対角線上に位置する角部において小格子26の一部(本実施の形態では5つの小格子26)を除去した形状を有し、直線形状の4つの直辺30と、ジグザグ形状の2つの多角辺32とを有している。
【0015】
1つの第1大格子24Aと第1接続部28Aとの接続点(接点)は、この例では3つ存在し、第1接点34、第2接点36及び第3接点38である。第1接点34は、第1大格子24Aに含まれる小格子26の頂点のうち、隣接する第1大格子24Aに最も近い頂点が対応する。第2接点36は、多角辺32に位置して第1接点34と隣接する頂点が対応する。第3接点38は、直辺30と多角辺32との交点であって隣接する第1大格子24Aに2番目に近い頂点が対応する。なお、後述する第2大格子24Bについても同様とする。また、隣接する第1大格子24Aのうち、両者を区別する場合には、一方の第1大格子24Aに参照符号24Aaを付し、他方の第1大格子24Aに参照符号24Abを付して説明する。
【0016】
第1接続部28Aは、1つの頂角を有し、一方の第1大格子24Aaの第1接点34と他方の第1大格子24Abの第2接点36との間を結ぶL字状の第1導線部40aと、1つの頂角を有し、他方の第1大格子24Abの第1接点34と一方の第1大格子24Aaの第2接点36との間を結ぶL字状の第2導線部40bとを有し、これら第1導線部40aと第2導線部40bとで1つの長方形部42を形づくっている。
【0017】
ここで、第1方向と第2方向とを二等分する方向を第3方向(m方向)とし、第3方向と直交する方向を第4方向(n方向)としたとき、第1接続部28Aは、一方の第1大格子24Aaの第3接点38から第1導線部40aまで第4方向に延びる第3導線部40cと、他方の第1大格子24Abの第3接点38から第2導線部40bまで第4方向に延びる第4導線部40dとを有する。また、第1接続部28Aは、第1導線部40aと第3導線部40cとの交点P1、第2導線部40bと第3導線部40cとの交点P2、第2導線部40bと第4導線部40dとの交点P3、第1導線部40aと第4導線部40dとの交点P4を有する。すなわち、第1接続部28Aを構成する長方形部42は、一方の第1大格子24Aa側の第1長方形部42a(第1接点34、第2接点36、第1交点P1及び第2交点P2を有する)と、第1交点P1〜第4交点P4を有する第2長方形部42bと、他方の第1大格子24Ab側の第1長方形部42a(第1接点34、第2接点36、第3交点P3及び第4交点P4を有する)とを有する。
【0018】
第1長方形部42aの長辺は小格子26の一辺の長さの3倍の長さを有し、短辺は小格子26の一辺の長さの2倍の長さを有する。また、第2長方形部42bの長辺は小格子26の一辺の長さの3倍の長さを有し、短辺は小格子26の一辺の長さを有する。すなわち、第1長方形部42aの互いに対向する金属細線(長辺)間の距離をLa、第2長方形部42bの互いに対向する金属細線(長辺)間の距離をLbとしたとき、La>Lbを満足する。好ましくは、1.2×Lb≦La≦3.0×Lbである。この例では、上述したように、距離Lbが小格子26の一辺の長さと同じであって、La=2×Lbである。
【0019】
図4に示すように、第1導線部40aは、一方の第1大格子24Aaの第1接点34から第4方向に延びた第1導線44aと、第1導線44aの先端から第1交点P1にかけて第3方向に延びる第2導線44bと、第1交点P1と第4交点P4とを結ぶ第3導線44cと、第4交点P4と他方の第1大格子24Abの第2接点36とを結ぶ第4導線44dとを有する。
第2導線部40bは、他方の第1大格子24Abの第1接点34から第4方向に延びた第5導線44eと、第5導線44eの先端から第3交点P3にかけて第3方向に延びる第6導線44fと、第3交点P3と第2交点P2とを結ぶ第7導線44gと、第2交点P2と一方の第1大格子24Aaの第2接点36とを結ぶ第8導線44hとを有する。
第3導線部40cは、一方の第1大格子24Aaの第3接点38と第2交点P2とを結ぶ第9導線44iと、第2交点P2と第1交点P1とを結ぶ第10導線44jとを有する。
第4導線部40dは、他方の第1大格子24Abの第3接点38と第4交点P4とを結ぶ第11導線44kと、第4交点P4と第3交点P3とを結ぶ第12導線44lとを有する。
【0020】
上述のように構成された第1接続部28Aは、第1大格子24A間を3つ以上の接続経路で電気的に接続されることとなる。具体的には、第1接続部28Aは、第1大格子24Aaの第1接点34を通る場合に次の6つの接続経路を有する。
(1) 第1大格子24Aaの第1接点34から導線44a、44b、44c、44l、44f、44eを介して第1大格子24Abの第1接点34に繋がる第1接続経路(小格子の一辺の12倍の長さ)。
(2) 第1大格子24Aaの第1接点34から導線44a、44b、44j、44g、44f、44eを介して第1大格子24Abの第1接点34に繋がる第2接続経路(小格子の一辺の12倍の長さ)。
(3) 第1大格子24Aaの第1接点34から導線44a、44b、44c、44dを介して第1大格子24Abの第2接点36に繋がる第3接続経路(小格子の一辺の7倍の長さ)。
(4) 第1大格子24Aaの第1接点34から導線44a、44b、44j、44g、44l、44dを介して第1大格子24Abの第2接点36に繋がる第4接続経路(小格子の一辺の13倍の長さ)。
(5) 第1大格子24Aaの第1接点34から導線44a、44b、44c、44kを介して第1大格子24Abの第3接点38に繋がる第5接続経路(小格子の一辺の7倍の長さ)。
(6) 第1大格子24Aaの第1接点34から導線44a、44b、44j、44g、44l、44kを介して第1大格子24Abの第3接点38に繋がる第6接続経路(小格子の一辺の13倍の長さ)。
【0021】
なお、第1大格子24Aaの第2接点36を通る場合と、第1大格子24Aaの第3接点38を通る場合の具体的な接続経路の説明は省略するが、それぞれ6つの接続経路を有することとなるので、結果として、第1接続部28Aは、18通りの接続経路を有する。
つまり、一般化して述べると、一方の大格子と接続部との複数の接点から接続部内への金属細線の数をNa、接続部内の複数の交点間の金属細線の数をNb、他方の大格子と接続部との接点から接続部内への金属細線の数をNc、隣接する大格子間の接続経路の数をNとしたとき、
N=Na×(Nb+Nc−1)
である。
【0022】
図3に示す第1接続部28Aの例では、図5Aに示すように、Na=3、Nb=4、Nc=3であるから、N=3×(4+3−1)=18となる。
第1接続部28Aの変形例として、図5Bや図5Cの例が考えられる。図5Bの第1変形例では、Na=4、Nb=7、Nc=4であるから、N=4×(7+4−1)=40となる。また、図5Cの第2変形例では、Na=4、Nb=12、Nc=4であるから、N=4×(12+4−1)=60となる。
【0023】
さらに、第1接続部28Aは、第1長方形部42aの長辺(小格子26の一辺の長さの3倍以上の長さを有する)のうち、各第1接点34から第2長方形部42bに向かって直交して延びる金属細線による張り出し部(第1突出線52A)を有する。つまり、この張り出し部は第1接続部28A内に張り出した形態となっている。第1突出線52Aの長さは、小格子26の一辺の長さ同等の長さを有している。
また、隣接する第1導電パターン18A間は電気的に絶縁された第1絶縁部54Aが配されている。
【0024】
第1補助パターン20Aは、第1大格子24Aの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って配列された複数の第1補助線56A(第3方向を軸線方向とする)と、第1大格子24Aの辺のうち、第4方向と直交する辺に沿って配列された複数の第1補助線56A(第4方向を軸線方向とする)と、第1絶縁部54Aにおいて、それぞれ2つの第1補助線56AがL字状に組み合わされた2つの第1L字状パターン58Aが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
各第1補助線56Aの軸線方向の長さは小格子26の内周に沿った1つの辺の1/2の長さを有する。また、各第1補助線56Aは、第1大格子24Aから所定距離(この例では、小格子26の内周に沿った1つの辺の1/2の長さ)だけ離間した位置に形成されている。
【0025】
上述のように構成された第1導電シート12Aは、図1に示すように、各第1導電パターン18Aの一方の端部側に存在する第1大格子24Aの開放端は、第1接続部28Aが存在しない形状となっている。各第1導電パターン18Aの他方の端部側に存在する第1大格子24Aの端部は、第1結線部60Aを介して金属細線による第1端子配線パターン62Aに電気的に接続されている。
【0026】
一方、第2導電シート12Bは、図1及び図6に示すように、第2透明基体14B(図2A参照)の一主面上に形成された第2導電部16Bを有する。この第2導電部16Bは、それぞれ第2方向(y方向)に延在し、且つ、第1方向(x方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線による2以上の第2導電パターン18Bと、各第2導電パターン18Bの周辺に配列された金属細線による第2補助パターン20Bとを有する。
【0027】
第2導電パターン18Bは、金属細線による2以上の第2大格子24B(第2感知部、第2パッド部)が第2方向に直列に接続されて構成され、各第2大格子24Bは、それぞれ2以上の小格子26が組み合わされて構成されている。また、第2大格子24Bの辺の周囲に、第2大格子24Bと非接続とされた上述の第2補助パターン20Bが形成されている。隣接する第2大格子24B間には、これら第2大格子24Bを電気的に接続する第2接続部28Bが形成されている。
【0028】
図6に示すように、第2大格子24Bは、正方形の対角線上に位置する角部において小格子26の一部(本実施の形態では5つの小格子26)を除去した形状を有し、直線形状の4つの直辺30と、ジグザグ形状の2つの多角辺32とを有している。
【0029】
以下の説明では、隣接する第2大格子24Bのうち、両者を区別する場合には、一方の第2大格子24Bに参照符号24Baを付し、他方の第2大格子24Bに参照符号24Bbを付して説明する。
【0030】
第2接続部28Bは、上述した第1接続部28Aと同様であるので、その重複説明を省略するが、1つの頂角を有し、一方の第2大格子24Baの第1接点34と他方の第2大格子24Bbの第2接点36との間を結ぶL字状の第5導線部40eと、1つの頂角を有し、他方の第2大格子24Bbの第1接点34と一方の第2大格子24Baの第2接点36との間を結ぶL字状の第6導線部40fとを有し、これら第5導線部40eと第6導線部40fとで1つの長方形部42を形づくっている。
第2接続部28Bは、一方の第2大格子24Baの第3接点38から第5導線部40eまで第4方向に延びる第7導線部40gと、他方の第2大格子24Bbの第3接点38から第6導線部40fまで第4方向に延びる第8導線部40hとを有する。
第5導線部40eは、第1導線部40aと同様に、図6において、参照符号の表記を省略するが、第1導線44a〜第4導線44dを有し、第6導線部40fは、第2導線部40bと同様に、第5導線44e〜第8導線44hを有し、第7導線部40gは、第3導線部40cと同様に、第9導線44i及び第10導線44jを有し、第8導線部40hは、第4導線部40dと同様に、第11導線44k及び第12導線44lを有する。
第2接続部28Bのその他の構成は、上述した第1接続部28Aと同様であるので、その重複説明を省略する。
この第2導電シート12Bにおいて、隣接する第2導電パターン18B間は電気的に絶縁された第2絶縁部54Bが配されている。
【0031】
第2補助パターン20Bは、第2大格子24Bの辺のうち、第4方向と直交する辺に沿って配列された複数の第2補助線56B(第4方向を軸線方向とする)と、第2大格子24Bの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って配列された複数の第2補助線56B(第3方向を軸線方向とする)と、第2絶縁部54Bにおいて、それぞれ2つの第2補助線56BがL字状に組み合わされた2つの第2L字状パターン58Bが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
各第2補助線56Bの軸線方向の長さは小格子26の内周に沿った1つの辺の1/2の長さを有する。また、各第2補助線56Bは、第2大格子24Bから所定距離(この例では、小格子26の内周に沿った1つの辺の1/2の長さ)だけ離間した位置に形成されている。
【0032】
上述のように構成された第2導電シート12Bは、図1に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の第2導電パターン18Bの一方の端部側に存在する第2大格子24Bの開放端、並びに偶数番目の第2導電パターン18Bの他方の端部側に存在する第2大格子24Bの開放端には、それぞれ第2接続部28Bが存在しない形状となっている。一方、奇数番目の各第2導電パターン18Bの他方の端部側に存在する第2大格子24Bの端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン18Bの一方の端部側に存在する第2大格子24Bの端部は、それぞれ第2結線部60Bを介して金属細線による第2端子配線パターン62Bに電気的に接続されている。
【0033】
第1大格子24A及び第2大格子24Bの一辺の長さ(直辺30の長さ)は、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第1大格子24A及び第2大格子24Bの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1大格子24A及び第2大格子24Bを構成する小格子26の一辺の長さは50μm以上であることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。小格子26が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
また、第1導電パターン18A(第1大格子24A、第1接続部28A)の線幅、並びに第2導電パターン18B(第2大格子24B、第2接続部28B)の線幅は、それぞれ1〜15μmである。
【0034】
第1補助パターン20A(第1補助線56A)及び第2補助パターン20B(第2補助線56B)の線幅はそれぞれ1〜15μmである。この場合、第1導電パターン18Aの線幅や第2導電パターン18Bの線幅と同じでもよく、異なっていてもよい。ただ、第1導電パターン18A、第2導電パターン18B、第1補助パターン20A及び第2補助パターン20Bの各線幅を同じにすることが好ましい。
【0035】
ここで、上述の第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを用いたタッチパネル100について図7も参照しながら説明する。
タッチパネル100は、センサ本体102と図示しない制御回路(IC回路等で構成)とを有する。センサ本体102は、図1、図2A及び図7に示すように、上述した第1導電シート12Aと第2導電シート12Bとが積層されて構成された第1積層導電シート10Aと、その上に積層された保護層106(図2Aでは保護層106の記述を省略している)とを有する。第1積層導電シート10A及び保護層106は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置108における表示パネル110上に配置されるようになっている。センサ本体102は、上面から見たときに、表示パネル110の表示画面110aに対応した領域に配されたセンサ部112と、表示パネル110の外周部分に対応する領域に配された端子配線部114(いわゆる額縁)とを有する。
【0036】
タッチパネル100に適用した第1導電シート12Aは、図1に示すように、センサ部112に対応した部分に、上述した多数の第1導電パターン18Aが配列され、端子配線部114には各第1結線部60Aから導出された金属細線による複数の第1端子配線パターン62Aが配列されている。
【0037】
図7の例では、第1導電シート12Aの外形は、上面から見て長方形状を有し、センサ部112の外形も長方形状を有する。端子配線部114のうち、第1導電シート12Aの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第1端子116aが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の長辺(第1導電シート12Aの一方の長辺に最も近い長辺:y方向)に沿って複数の第1結線部60Aが直線状に配列されている。各第1結線部60Aから導出された第1端子配線パターン62Aは、第1導電シート12Aの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子116aに電気的に接続されている。従って、センサ部112における一方の長辺の両側に対応する各第1結線部60Aに接続された第1端子配線パターン62Aは、ほぼ同じ長さにて引き回されることになる。もちろん、第1端子116aを第1導電シート12Aのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、複数の第1端子配線パターン62Aのうち、最も長い第1端子配線パターン62Aと最も短い第1端子配線パターン62Aとの間に大きな長さ上の違いが生じ、最も長い第1端子配線パターン62Aとその近傍の複数の第1端子配線パターン62Aに対応する第1導電パターン18Aへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第1導電シート12Aの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第1端子116aを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
【0038】
同様に、第2導電シート12Bにおいても、センサ部112に対応した部分に、多数の第2導電パターン18Bが配列され、端子配線部114には各第2結線部60Bから導出された複数の第2端子配線パターン62Bが配列されている。
図7に示すように、端子配線部114のうち、第2導電シート12Bの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第2端子116bが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の短辺(第2導電シート12Bの一方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部60B(例えば奇数番目の第2結線部60B)が直線状に配列され、センサ部112の他方の短辺(第2導電シート12Bの他方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部60B(例えば偶数番目の第2結線部60B)が直線状に配列されている。
【0039】
複数の第2導電パターン18Bのうち、例えば奇数番目の第2導電パターン18Bが、それぞれ対応する奇数番目の第2結線部60Bに接続され、偶数番目の第2導電パターン18Bが、それぞれ対応する偶数番目の第2結線部60Bに接続されている。奇数番目の第2結線部60Bから導出された第2端子配線パターン62B並びに偶数番目の第2結線部60Bから導出された第2端子配線パターン62Bは、第2導電シート12Bの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子116bに電気的に接続されている。従って、例えば第1番目と第2番目の第2端子配線パターン62Bは、ほぼ同じ長さにて引き回され、以下同様に、第2n−1番目と第2n番目の第2端子配線パターン62Bは、それぞれほぼ同じ長さにて引き回されることになる(n=1、2、3・・・)。
【0040】
もちろん、第2端子116bを第2導電シート12Bのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、上述したように、最も長い第2端子配線パターン62Bとその近傍の複数の第2端子配線パターン62Bに対応する第2導電パターン18Bへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第2導電シート12Bの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第2端子116bを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
なお、第1端子配線パターン62Aの導出形態を上述した第2端子配線パターン62Bと同様にし、第2端子配線パターン62Bの導出形態を上述した第1端子配線パターン62Aと同様にしてもよい。
そして、この第1積層導電シート10Aをタッチパネル100として使用する場合は、第1導電シート12A上に保護層を形成し、第1導電シート12Aの多数の第1導電パターン18Aから導出された第1端子配線パターン62Aと、第2導電シート12Bの多数の第2導電パターン18Bから導出された第2端子配線パターン62Bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
【0041】
タッチ位置の検出方式としては、自己容量方式や相互容量方式を好ましく採用することができる。すなわち、自己容量方式であれば、第1導電パターン18Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン18Bに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給する。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン18A及び第2導電パターン18BとGND(グランド)間の容量が増加することから、当該第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形が他の導電パターンからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bから供給された伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。一方、相互容量方式の場合は、例えば第1導電パターン18Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン18Bに対して順番にセンシング(伝達信号の検出)を行う。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン18Aと第2導電パターン18B間の寄生容量に対して並列に指の浮遊容量が加わることから、当該第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形が他の第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、電圧信号を供給している第1導電パターン18Aの順番と、供給された第2導電パターン18Bからの伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。このような自己容量方式又は相互容量方式のタッチ位置の検出方法を採用することで、保護層106の上面に同時に2つの指先を接触又は近接させても、各タッチ位置を検出することが可能となる。なお、投影型静電容量方式の検出回路に関する先行技術文献として、米国特許第4,582,955号明細書、米国特許第4,686,332号明細書、米国特許第4,733,222号明細書、米国特許第5,374,787号明細書、米国特許第5,543,588号明細書、米国特許第7,030,860号明細書、米国公開特許第2004/0155871号明細書等がある。
【0042】
そして、例えば第2導電シート12B上に第1導電シート12Aを積層して第1積層導電シート10Aとしたとき、図8に示すように、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとが交差して配置された形態とされ、具体的には、第1導電パターン18Aの第1接続部28Aと第2導電パターン18Bの第2接続部28Bとが第1透明基体14A(図2A参照)を間に挟んで対向し、第1導電部16Aの第1絶縁部54Aと第2導電部16Bの第2絶縁部54Bとが第1透明基体14Aを間に挟んで対向した形態となる。なお、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bの各線幅は同じであるが、図3、図6、図8〜図15、図17〜図24では、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bの位置がわかるように、第1導電パターン18Aの線幅を太く、第2導電パターン18Bの線幅を細くして誇張して図示してある。
【0043】
積層した第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを上面から見たとき、第1導電シート12Aに形成された第1大格子24Aの隙間を埋めるように、第2導電シート12Bの第2大格子24Bが配列された形態となる。つまり、大格子が敷き詰められた形態となる。このとき、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの間に、第1補助パターン20Aと第2補助パターン20Bとが対向することによる組合せパターン75が形成される。
【0044】
組合せパターン75は、第1補助線56Aと第2補助線56Bとが直交して重ならない形態を有する。
すなわち、組合せパターン75のうち、第1大格子24Aの辺に沿って配列された第1補助線56Aと第2大格子24Bの辺に沿って配列された第2補助線56Bとによる組合せパターン75は、各第1補助線56Aの一方の端部(第1大格子24Aに遠い側の端部)が第2大格子24Bの直辺30に接続されたような形状になると共に、各第1補助線56Aの他方の端部(第1大格子24Aに近い側の端部)が第2補助線56Bの一方の端部(第2大格子24Bに近い側の端部)に接続されたような形状になり、同様に、各第2補助線56Bの他方の端部(第2大格子24Bに遠い側の端部)が第1大格子24Aの直辺30に接続されたような形状になって、結果的に複数の小格子26が配列された形態となり、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの境界をほとんど見分けることができない状態となる。
【0045】
ここで、例えば第1補助パターン20A及び第2補助パターン20Bを形成しなかった場合は、組合せパターン75の幅に相当する空白領域が形成され、これにより、第1大格子24Aの境界、第2大格子24Bの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。これを避けるために、第1大格子24Aの各直辺30に第2大格子24Bの直辺30を重ねて、空白領域をなくすことも考えられるが、重ね合わせの位置精度の僅かなズレにより、直線形状同士の重なり部分の幅が大きくなり(線太り)、これにより、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。
これに対して、本実施の形態では、上述したように、第1補助線56Aと第2補助線56Bとの重なりにより、第1大格子24Aと第2大格子24Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0046】
また、上述したように、第1大格子24Aの各直辺30に第2大格子24Bの直辺30を重ねて、空白領域をなくした場合、第1大格子24Aの各直辺30の直下に第2大格子24Bの直辺30が位置することになる。このとき、第1大格子24Aの直辺30並びに第2大格子24Bの直辺30もそれぞれ導電部分として機能することから、第1大格子24Aの直辺30と第2大格子24Bの直辺30との間に寄生容量が形成され、この寄生容量の存在が電荷情報に対してノイズ成分として働き、S/N比の著しい低下を引き起こす。しかも、各第1大格子24Aと各第2大格子24B間に寄生容量が形成されることから、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bに多数の寄生容量が並列に接続された形態となり、その結果、CR時定数が大きくなるという問題がある。CR時定数が大きくなると、第1導電パターン18A(及び第2導電パターン18B)に供給された電圧信号の波形の立ち上がり時間が遅くなり、所定のスキャン時間において位置検出のための電界の発生がほとんど行われなくなるおそれがある。また、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形の立ち上がり時間又は立ち下がり時間も遅くなり、所定のスキャン時間において伝達信号の波形の変化を捉えることができなくなるおそれがある。これは、検出精度の低下、応答速度の低下につながる。つまり、検出精度の向上、応答速度の向上を図るためは、第1大格子24A及び第2大格子24Bの数を減らしたり(分解能の低減)、適応させる表示画面のサイズを小さくするしかなく、例えばB5版、A4版、それ以上の大画面に適用させることができないという問題が生ずる。
【0047】
これに対して、本実施の形態では、図2Aに示すように、第1大格子24Aの直辺30と、第2大格子24Bの直辺30との投影距離Lfを小格子26の一辺の長さとほぼ同じにしている。そのため、第1大格子24Aと第2大格子24B間に形成される寄生容量は小さくなる。その結果、CR時定数も小さくなり、検出精度の向上、応答速度の向上を図ることができる。なお、第1補助パターン20Aと第2補助パターン20Bとの組合せパターン75では、第1補助線56Aの端部と第2補助線56Bの端部とがそれぞれ対向する場合もあるが、第1補助線56Aは第1大格子24Aから非接続とされて電気的に絶縁となっており、第2補助線56Bも第2大格子24Bから非接続とされて電気的に絶縁となっているため、第1大格子24Aと第2大格子24B間に形成される寄生容量の増加にはつながらない。
【0048】
上述の投影距離Lfの最適距離は、第1大格子24A及び第2大格子24Bのサイズよりは、第1大格子24A及び第2大格子24Bを構成する小格子26のサイズ(線幅及び一辺の長さ)に応じて適宜設定することが好ましい。この場合、一定のサイズを有する第1大格子24A及び第2大格子24Bに対して、小格子26のサイズが大きすぎると、透光性は向上するが、伝達信号のダイナミックレンジが小さくなることから、検出感度の低下を引き起こすおそれがある。反対に、小格子26のサイズが小さすぎると、検出感度は向上するが、線幅の低減には限界があるため、透光性が劣化するおそれがある。
【0049】
そこで、上述の投影距離Lfの最適値(最適距離)は、小格子26の線幅を1〜15μmとしたとき、100〜400μmが好ましく、さらに好ましくは200〜300μmである。小格子26の線幅を狭くすれば、上述の最適距離も短くできるが、電気抵抗が高くなってくるため、寄生容量が小さくても、CR時定数が高くなってしまい、結果的に検出感度の低下、応答速度の低下を引き起こすおそれがある。従って、小格子26の線幅は上述の範囲が好ましい。
【0050】
そして、例えば表示パネル110のサイズあるいはセンサ部112のサイズとタッチ位置検出の分解能(駆動パルスのパルス周期等)とに基づいて、第1大格子24A及び第2大格子24Bのサイズ並びに小格子26のサイズが決定され、小格子26の線幅を基準に第1大格子24Aと第2大格子24B間の最適距離が割り出されることになる。
本実施の形態では、端子配線部114のうち、第1導電シート12Aの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第1端子116aを形成し、第2導電シート12Bの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第2端子116bを形成するようにしている。特に、図7の例では、第1端子116aと第2端子116bとが重ならないように、且つ、互いに接近した状態で配列し、さらに、第1端子配線パターン62Aと第2端子配線パターン62Bとが上下で重ならないようにしている。なお、第1端子116aと例えば奇数番目の第2端子配線パターン62Bとが一部上下で重なる形態にしてもよい。
これにより、複数の第1端子116a及び複数の第2端子116bを、2つのコネクタ(第1端子用コネクタ及び第2端子用コネクタ)あるいは1つのコネクタ(第1端子116a及び第2端子116bに接続される複合コネクタ)及びケーブルを介して制御回路に電気的に接続することができる。
また、第1端子配線パターン62Aと第2端子配線パターン62Bとが上下で重ならないようにしているため、第1端子配線パターン62Aと第2端子配線パターン62B間での寄生容量の発生が抑制され、応答速度の低下を抑えることができる。
【0051】
第1結線部60Aをセンサ部112の一方の長辺に沿って配列し、第2結線部60Bをセンサ部112の両側の短辺に沿って配列するようにしたので、端子配線部114の面積を縮小することができる。これは、タッチパネル100を含めた表示パネル110の小型化を促進させることができると共に、表示画面110aを印象的に大きく見せることができる。また、タッチパネル100としての操作性も向上させることができる。
端子配線部114の面積をさらに小さくするには、隣接する第1端子配線パターン62A間の距離、隣接する第2端子配線パターン62B間の距離を狭くすることが考えられるが、この場合、マイグレーションの発生防止を考慮すると、10μm以上50μm以下が好ましい。
【0052】
その他、上面から見たときに、隣接する第1端子配線パターン62A間に第2端子配線パターン62Bを配置することによって、端子配線部114の面積を小さくすることが考えられるが、パターンの形成ずれがあると、第1端子配線パターン62Aと第2端子配線パターン62Bとが上下で重なり、配線間の寄生容量が大きくなるおそれがある。これは応答速度の低下をもたらす。そこで、このような配置構成を採用する場合は、隣接する第1端子配線パターン62A間の距離を50μm以上100μm以下にすることが好ましい。
図7に示すように、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bの例えば各コーナー部に、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bの貼り合わせの際に使用する位置決め用の第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bを形成することが好ましい。この第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bは、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bを貼り合わせて第1積層導電シート10Aとした場合に、新たな複合アライメントマークとなり、この複合アライメントマークは、該第1積層導電シート10Aを表示パネル110に設置する際に使用する位置決め用のアライメントマークとしても機能することになる。
この第1積層導電シート10Aにおいては、多数の第1導電パターン18A及び第2導電パターン18BのCR時定数を大幅に低減することができ、これにより、応答速度を速めることができ、駆動時間(スキャン時間)内での位置検出も容易になる。これは、タッチパネル100の画面サイズ(縦×横のサイズで、厚みを含まず)の大型化を促進できることにつながる。
【0053】
そして、第1接続部28Aと第2接続部28Bとが対向した部分を上面から見たとき、第1導電シート12Aにおける第1導線部40aの第1導線44aと第2導線44bとの交点が第2大格子24Bの多角辺32に位置する小格子26の頂点76に位置し、第2導電シート12Bにおける第5導線部40eの第1導線44aと第2導線44bとの交点が第1大格子24Aの多角辺32に位置する小格子26の頂点78に位置し、第1突出線52Aの各端部が第2接続部28Bの第1交点P1及び第3交点P3に位置し、第2突出線52Bの各端部が第1接続部28Aの第1交点P1及び第3交点P3に位置することとなり、これら第1接続部28Aにおける第1導線部40a〜第4導線部40d及び第1突出線52A並びに第2接続部28Bにおける第5導線部40e〜第8導線部40h及び第2突出線52Bの組み合わせによって、複数の小格子26が形成された形態となる。すなわち、第1接続部28Aと第2接続部28Bとが対向した部分に、第1接続部28Aと第2接続部28Bの組み合わせによって、複数の小格子26が配列された形態となり、周りの第1大格子24Aを構成する小格子26や第2大格子24Bを構成する小格子26と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0054】
また、第1絶縁部54Aと第2絶縁部54Bとが対向した部分を上面から見たとき、第1L字状パターン58Aの屈曲部が第2大格子24Bの直辺30同士の交点に位置すると共に、第2L字状パターン58Bの屈曲部が第1大格子24Aの直辺30同士の交点に位置することとなり、これら第1L字状パターン58A及び第2L字状パターン58Bの組み合わせによって、複数の小格子26が配列された形態となる。その結果、周りの第1大格子24Aを構成する小格子26や第2大格子24Bを構成する小格子26と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0055】
さらに、本実施の形態においては、第1接続部28Aによって第1大格子24A間を18通りの接続経路で接続しているので、例えば、第1接続部28Aにおいて、第2導線部40bの任意の部位と第3導線部40cの任意の部位とが断線したとしても、断線していない上述した第1接続経路等によって第1大格子24A間の電気的な接続が確保される。これにより、第1接続部28Aが完全に断線する蓋然性を従来よりも低くすることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、第1接続部28Aは、小格子26の一辺の長さの7倍の長さを有する接続経路(例えば、第3及び第5接続経路)と、小格子26の一辺の長さの8倍の長さを有する接続経路と、小格子26の一辺の長さの12倍の長さを有する接続経路(例えば、第1及び第2接続経路)と、小格子26の一辺の長さの13倍の長さを有する接続経路(例えば、第4及び第6接続経路)とを有し、各接続経路に含まれる第3導線44c及び第7導線44gの長さが小格子26の一辺の長さと同等の長さを有している。そのため、接続経路のうち第3導線44c及び第7導線44gが断線する確率は、1/7よりも低くなる。そのため、第1接続部28Aに含まれる2本の導線(第3導線44c及び第7導線44g)の両方が断線して第1接続部28Aが完全に断線する確率は相当低くなる。なお、小格子26の一辺の長さの8倍の長さを有する接続経路の例としては、第1大格子24Aaの第3接点38から第3導線部40c、第3導線44c及び第4導線44dを介して第1大格子24Abの第2接点36に繋がる接続経路等が挙げられる。
【0057】
これは、第2接続部28Bにおいても同様であり、第2接続部28Bによって第2大格子24B間を18通りの接続経路で接続しているので、例えば、第2接続部28Bにおいて、第6導線部40fの任意の部位と第7導線部40gの任意の部位とが断線したとしても、断線していない上述した第1接続経路等によって第2大格子24B間の電気的な接続が確保される。これにより、第2接続部28Bが完全に断線する蓋然性を従来よりも低くすることができる。
【0058】
このように、第1積層導電シート10Aにおいては、該第1積層導電シート10Aを用いて例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに適用した場合に、その表面抵抗が小さいことから応答速度を速めることができ、タッチパネルの大サイズ化を促進させることができる。また、電荷を蓄積するセルとして機能する第1大格子24A及び第2大格子24Bがそれぞれ多数の小格子26にて構成されていることから、第1大格子24A及び第2大格子24Bに蓄積される信号電荷の量が多くなり、その結果、入力に対する出力ダイナミックレンジが大きくなる。これにより、第1導電シート12A、あるいは第2導電シート12Bあるいは第1積層導電シート10Aをタッチパネルに使用した場合に、指先のタッチ位置を検出する感度(検出感度)を高めることができ、また、ノイズ成分に対する信号成分が大きくなることから、検出信号のS/N比を向上させることができる。これは、タッチ位置の検出精度の向上につながる。
【0059】
しかも、第1導電シート12Aの第1大格子24Aの周辺に形成された第1補助パターン20Aと第2導電シート12Bの第2大格子24Bの周辺に形成された第2補助パターン20Bとの組み合わせによって複数の小格子26が形づくられ、また、第1接続部28Aと第2接続部28Bとの組み合わせによって複数の小格子26が形づくられ、さらに、第1絶縁部54Aと第2絶縁部54Bとの組み合わせによって複数の小格子26が形づくられることから、第1導電シート12Aの第1大格子24Aと第2導電シート12Bの第2大格子24Bとの境界が目立たなくなり、局部的に線太りが生じる等の不都合もなくなり、全体として、視認性が良好となる。
【0060】
上述の第1積層導電シート10Aでは、小格子26の形状を正方形状としたが、その他、多角形状としてもよい。また、一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
【0061】
上述した第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおいては、第1導線44a及び第5導線44eの長さを小格子26の一辺の長さの2倍の長さに設定したが、その他、1.5倍、2.5倍、3倍等、種々の組み合わせに設定することができる。また、第1導線部40aの第3方向に沿った導線(第2導線44b、第3導線44c及び第4導線44d)、第2導線部40bの第3方向に沿った導線(第5導線44e、第6導線44f及び第7導線44g)、第3導線部40c、第4導線部40dのそれぞれの長さを小格子26の一辺の長さの5倍の長さに設定したが、その他、3倍、4倍、6倍等、種々の組み合わせに設定することができる。但し、第1接続部28A及び第2接続部28Bがあまりに大きすぎると、第1大格子24Aや第2大格子24Bの配置が難しくなり、また、交差部での静電容量変化が大きくなってノイズ成分が大きくなるため、第1導線44a及び第5導線44eの長さを小格子26の一辺の長さの4倍以下の長さに設定すると共に、第1導線部40aの第3方向に沿った導線、第2導線部40bの第3方向に沿った導線、第3導線部40c及び第4導線部40dのそれぞれの長さを小格子26の内周に沿った1つの辺の6倍以下の長さに設定することが好ましい。
【0062】
また、第1接続部28Aは、3つ以上の接続経路を有する限り、その構成を任意に変更することができる。例えば、第1接続部28Aにおいて、第3導線部40c又は第4導線部40dを省略してもよい。この場合、第1接続部28Aは9通りの接続経路を有することとなる。つまり、第1接続部28Aは、第1大格子24Aaに含まれる1以上の小格子26の頂点と第1大格子24Abに含まれる1以上の小格子26の頂点との間を結ぶ3つ以上の導線を有していればよい。これは、第2接続部28Bにおいても同様である。
【0063】
また、小格子26のサイズ(1辺の長さや対角線の長さ等)や、第1大格子24Aを構成する小格子26の個数、第2大格子24Bを構成する小格子26の個数も、適用されるタッチパネルのサイズや分解能(配線数)に応じて適宜設定することができる。
【0064】
上述の第1積層導電シート10Aでは、図1及び図2Aに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第2透明基体14Bの一主面に第2導電部16Bを形成して、積層するようにしたが、その他、図2Bに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体14Bが存在せず、第2導電部16B上に、第1透明基体14Aが積層され、第1透明基体14A上に第1導電部16Aが積層された形態となる。また、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電部16Aと第2導電部16Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0065】
次に、第2の実施の形態に係る積層導電シート(以下、第2積層導電シート10Bと記す)について、図9〜図11を参照しながら説明する。
この第2積層導電シート10Bは、上述した第1積層導電シート10Aとほぼ同様の構成を有するが、図9に示すように、第1導電シート12Aの第1接続部28Aに張り出し部(第1突出線52A)が存在せず、図10に示すように、第2導電シート12Bの第2接続部28Bに張り出し部(第2突出線52B)が存在しない点で異なる。
【0066】
従って、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bを積層して第2積層導電シート10Bとした場合、図11に示すように、第1接続部28Aの第1交点P1に隣接する部分及び第3交点P3に隣接する部分にそれぞれ2つの小格子26を配列させた分の第1空白領域27Aが形成され、第2接続部28Bの第1交点P1に隣接する部分及び第3交点P3に隣接する部分にそれぞれ2つの小格子26を配列させた分の第2空白領域27Bが形成される。
この場合、規則的に第1空白領域27A及び第2空白領域27Bが配置され、しかも、各空白領域の大きさは、2つの小格子26が並んだ分の僅かな大きさであるため、ほとんど目立つことはないはないが、上述した第1積層導電シート10Aよりは視認性が劣ることになる。なお、第1積層導電シート10Aでは、第1接続部28Aに形成された張り出し部(第1突出線52A)によって第2空白領域27Bをそれぞれ2つに分断し、第2接続部28Bに形成された張り出し部(第2突出線52B)によって第1空白領域27Aをそれぞれ2つに分断するかたちになるため、図8にも示すように、周りの第1大格子24Aを構成する小格子26や第2大格子24Bを構成する小格子26と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0067】
次に、第3の実施の形態に係る積層導電シート(以下、第3積層導電シート10Cと記す)について、図12〜図14を参照しながら説明する。
この第3積層導電シート10Cは、上述した第1積層導電シート10Aとほぼ同様の構成を有するが、張り出し部が接続部から外に向かって張り出している点で異なる。
すなわち、第1接続部28Aは、図12に示すように、第1導線部40aの第3方向に沿った導線の第1交点P1と、第2導線部40bの第3方向に沿った導線の第3交点P3とからそれぞれ直交して延びる金属細線による張り出し部(第1突出線52A)を有する。
同様に、第2接続部28Bは、図13に示すように、第5導線部40eの第4方向に沿った導線の第1交点P1と、第6導線部40fの第4方向に沿った導線の第3交点P3とからそれぞれ直交して延びる金属細線による張り出し部(第2突出線52B)を有する。
【0068】
従って、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bを積層して第3積層導電シート10Cとした場合、図14に示すように、第1接続部28Aに形成された張り出し部(第1突出線52A)によって第1空白領域27A(図11参照)をそれぞれ2つに分断し、第2接続部28Bに形成された張り出し部(第2突出線52B)によって第2空白領域27B(図11参照)をそれぞれ2つに分断するかたちになるため、周りの第1大格子24Aを構成する小格子26や第2大格子24Bを構成する小格子26と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0069】
次に、第4の実施の形態に係る積層導電シート(以下、第4積層導電シート10Dと記す)について、図15〜図18を参照しながら説明する。
この第4積層導電シート10Dは、上述した第1積層導電シート10Aとほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、図15及び図16に示すように、第1接続部28Aの第3導線部40cは、1つの頂角を有し、一方の第1大格子24Aaの第3接点38と他方の第1大格子24Abの第3接点38との間を結ぶL字状の導線部として形成され、第4導線部40dは、1つの頂角を有し、他方の第1大格子24Abの第3接点38と一方の第1大格子24Aaの第3接点38との間を結ぶL字状の導線部として形成されている。さらに、第1大格子24Aの第3方向(m方向)に沿った辺と第1導線部40a及び第2導線部40bとの間にそれぞれ小格子26の一辺の長さ分だけ欠除された部分(第1欠除部80A)が形成されると共に、1つ分の第1補助線56Aも欠除された形態となっている。第1接点34は存在しない。
同様に、図17に示すように、第2接続部28Bの第7導線部40gは、1つの頂角を有し、一方の第2大格子24Baの第3接点38と他方の第2大格子24Bbの第3接点38との間を結ぶL字状の導線部として形成され、第8導線部40hは、1つの頂角を有し、他方の第2大格子24Bbの第3接点38と一方の第2大格子24Baの第3接点38との間を結ぶL字状の導線部として形成されている。また、第2大格子24Bの第4方向(n方向)に沿った辺と第5導線部40e及び第6導線部40fとの間にそれぞれ小格子26の一辺の長さ分だけ欠除された部分(第2欠除部80B)が形成されると共に、1つ分の第2補助線56Bも欠除された形態となっている。この場合も第1接点34は存在しない。
なお、図17において参照符号の表記を省略するが、第7導線部40gは、第1接続部28Aにおける第3導線部40cと同様に、第9導線44i、第10導線44j、第13導線44m及び第14導線44nを有する。第8導線部40hは、第1接続部28Aにおける第4導線部40dと同様に、第11導線44k、第12導線44l、第15導線44o及び第16導線44pを有する。
【0070】
従って、この第4積層導電シート10Dの第1接続部28Aにおいては、一方の第1大格子24Aaと第1接続部28Aとの複数の接点から第1接続部28A内への金属細線の数Naが4、第1接続部28A内の複数の交点間の金属細線の数Nbが4、他方の第1大格子24Abと第1接続部28Aとの複数の接点から第1接続部28A内への金属細線の数Ncが4となるため、隣接する第1大格子24A間の接続経路の数Nは、N=4×(4+4−1)=28となり、第1積層導電シート10Aの第1導電シート12Aにおける第1接続部28Aの接続経路の数(=18)よりも10だけ多くなっている。そのため、第1接続部28Aが完全に断線する蓋然性をさらに低くすることができ、信頼性の向上を高めることができる。これは、第2接続部28Bにおいても同様である。
【0071】
また、この第4積層導電シート10Dにおいては、第1接続部28Aの第3導線部40cを構成する第13導線44mと、第4導線部40dを構成する第15導線44oが第3積層導電シート10Cにおける第1接続部28Aの張り出し部(第1突出線52A)と同様の機能を果たし、同様に、第2接続部28Bの第7導線部40gを構成する第13導線44mと、第8導線部40hを構成する第15導線44oが第3積層導電シート10Cにおける第2接続部28Bの張り出し部(第2突出線52B)と同様の機能を果たすことになる。
【0072】
すなわち、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bを積層して第4積層導電シート10Dとした場合、図18に示すように、第1接続部28Aに形成された第3導線部40cの第13導線44m及び第14導線44nと第4導線部40dの第15導線44o及び第16導線44pとによって第1空白領域27A(図11参照)をそれぞれ2つに分断すると共に、第2欠除部80B及び欠除された1つ分の第2補助線56Bに相当する空白を補完するかたちになり、また、第2接続部28Bに形成された第7導線部40gの第13導線44m及び第14導線44nと第8導線部40hの第15導線44o及び第16導線44pとによって第2空白領域27B(図11参照)をそれぞれ2つに分断すると共に、第1欠除部80A及び欠除された1つ分の第1補助線56Aに相当する空白を補完するかたちになるため、周りの第1大格子24Aを構成する小格子26や第2大格子24Bを構成する小格子26と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0073】
次に、第5の実施の形態に係る積層導電シート(以下、第5積層導電シート10Eと記す)について、図19〜図21を参照しながら説明する。
この第5積層導電シート10Eは、上述した第1積層導電シート10Aと比較して以下の点で異なる。
すなわち、図19に示すように、本実施の形態に係る第1導電部16Aでは、第1導電パターン18Aを構成する第1大格子24Aの間隔が広くなると共に、第1絶縁部54Aの領域が広くなっている。
つまり、第1接続部200Aは、1つの頂角を有し、一方の第1大格子24Aaの第1接点34と他方の第1大格子24Abの第2接点36とを結ぶL字状の第1導線部202aと、1つの頂角を有し、他方の第1大格子24Abの第1接点34と一方の第1大格子24Aaの第2接点36との間を結ぶL字状の第2導線部202bとを有し、これら第1導線部202aと第2導線部202bとを含んで1つの長方形部204を形づくっている。なお、長方形部204は、上述した長方形部42よりも一回り大きくなっている。
また、第1接続部200Aは、一方の第1大格子24Aaの第3接点38から第1導線部202aまで第4方向に延びる第3導線部202cと、他方の第1大格子24Abの第3接点38から第2導線部202bまで第4方向に延びる第4導線部202dとを有する。
【0074】
第1接続部200Aは、第1導線部202aと第3導線部202cとの交点P1、第2導線部202bと第3導線部202cとの交点P2、第2導線部202bと第4導線部202dとの交点P3、第1導線部202aと第4導線部202dとの交点P4を有する。
長方形部204は、長方形部42と同様に、第1長方形部204a及び第2長方形部204bを有する。第1長方形部204aの長辺は小格子26の一辺の長さの5倍の長さを有し、短辺は小格子26の一辺の長さの2倍の長さを有する。第2長方形部204bの長辺は小格子26の一辺の長さの5倍の長さを有し、短辺は小格子26の一辺の長さの3倍の長さを有する。
【0075】
また、第1接続部200Aは、4つの張り出し部(突出線208A)を有する。具体的には、突出線208Aは、第1導線部202aの第4方向に沿った導線のうち一方の第1大格子24Aaの第1接点34から小格子26の一辺の長さ分だけ離間した位置と、第1導線部202aの第3方向に沿った導線のうち第4交点P4から第1交点P1側に小格子26の一辺の長さ分だけ離間した位置と、第2導線部202bの第4方向に沿った導線のうち他方の第1大格子24Abの第1接点34から小格子26の一辺の長さ分だけ離間した位置と、第2導線部202bの第3方向に沿った導線のうち第2交点P2から第3交点P3側に小格子26の一辺の長さ分だけ離間した位置とに接続されている。なお、突出線208Aは、小格子26の一辺の長さと同等の長さを有した直線状の金属細線を2本接続してL字状に形成されている。
なお、図19から諒解されるように、第1大格子24Aの第1接点34には突出線52Aが設けられている。
【0076】
第1補助パターン212Aは、第1接続部200Aを構成する第2長方形部204b内に配置された平行な一対の補助線210と、第1大格子24Aの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って配列されたコ字状パターン(門型形状パターン)218Aと、第1大格子24Aの辺のうち、第4方向と直交する辺に沿って配列されたコ字状パターン(門型形状パターン)218Aと、第1絶縁部54Aに位置する四角環状パターン220とを有する。
一対の補助線210は、第4方向の位置を揃えた状態で第3方向に離間している。各コ字状パターン218Aは、小格子26の一辺と同一の長さを有した3つの直線状の金属細線によって構成されている。各コ字状パターン218Aは、第1大格子24Aから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さ)だけ離間した位置に形成されている。四角環状パターン220は、小格子26と同一の形状及び大きさに構成されている。また、図19から諒解されるように、第4方向において、四角環状パターン220とコ字状パターン218Aとの間には、第3方向に延びた補助線214が設けられている。
【0077】
また、図20に示すように、本実施の形態に係る第2導電部16Bでは、第2大格子24Bが一回り大きく形成されている。つまり、第2大格子24Bは、第1大格子24Aよりも一回り大きい略正方形状に形成されている。
1つの第2大格子24Bと第2接続部200Bとの接続点(接点)は、この例では4つ存在し、第1接点222、第2接点224、第3接点226及び第4接点228である。第1接点222は、第4方向に延びた直辺30と多角辺32との交点が対応する。第2接点224は、第2大格子24Bに含まれる小格子26の頂点のうち、多角辺32に位置して第1接点222から小格子26の一辺の長さの2倍の距離だけ離れた頂点が対応する。第3接点226は、第3方向に沿って延びた直辺30と多角辺32との交点が対応する。第4接点228は、第2大格子24Bに含まれる小格子26の頂点のうち、多角辺32に位置して第3接点226に隣接する頂点が対応する。
第2大格子24Bには、小格子26の頂点のうち、多角辺32における第1接点222及び第2接点224の間に位置する頂点から第4方向に延びた突出線230が設けられている。
【0078】
第2接続部200Bは、2つの頂角を有し、一方の第2大格子24Baの第1接点222と他方の第2大格子24Bbの第2接点224との間を結ぶ第5導線部202eと、2つの頂角を有し、他方の第2大格子24Bbの第1接点222と一方の第2大格子24Baの第2接点224との間を結ぶ第6導線部202fと、一方の第2大格子24Baの第3接点226から第5導線部202eまで第3方向に延びる第7導線部202gと、他方の第2大格子24Bbの第3接点226から第6導線部202fまで第3方向に延びる第8導線部202hと、一方の第2大格子24Baの第4接点228から第5導線部202eまで第3方向に延びる第9導線部202iと、他方の第2大格子24Bbの第4接点228から第6導線部202fまで第3方向に延びる第10導線部202jとを有する。
また、第2接続部200Bは、第5導線部202eと第7導線部202gとの交点P1と、第5導線部202eと第8導線部202hとの交点P2と、第5導線部202eと第10導線部202jとの交点P3と、第6導線部202fと第9導線部202iとの交点P4と、第6導線部202fと第7導線部202gとの交点P5と、第6導線部202fと第8導線部202hとの交点P6とを有する。
【0079】
従って、この第5積層導電シート10Eの第2接続部200Bにおいて、一方の第2大格子24Baと第2接続部200Bとの複数の接点から第2接続部200B内への金属細線の数Naが4、第2接続部200B内の複数の交点間の金属細線の数Nbが8、他方の第2大格子24Bbと第2接続部200Bとの複数の接点から第2接続部28B内への金属細線の数Ncが4となるため、隣接する第2大格子24B間の接続経路の数Nは、N=4×(8+4−1)=44となり、第1積層導電シート10Aの第2導電部16Bにおける第2接続部28Bの接続経路の数(=18)よりも26だけ多くなっている。そのため、第2接続部200Bが完全に断線する蓋然性をさらに低くすることができ、信頼性の向上を高めることができる。
【0080】
第2接続部200Bは、4つの直線状の張り出し部(突出線208B)と、3つの頂角を有する一対の張り出し部(突出線232)とを有する。突出線208Bは、第5導線部202eの第3方向に沿った導線のうち第9導線部202iとの交点から第1交点P1側に小格子26の一辺の長さ分だけ離間した位置と、第1交点P1と、第6導線部202fの第3方向に沿った導線のうち第10導線部202jとの交点から第6交点P6側に小格子26の一辺の長さ分だけ離間した位置と、第6交点P6とに接続されている。
突出線232は、第5導線部202eのうち他方の第2大格子24Bb側の頂角(角部)と、第6導線部202fのうち一方の第2大格子24Ba側の頂角(角部)とに接続されている。
図20から諒解されるように、突出線232は、第5導線部202e(又は第6導線部202f)から外側(第4方向)に延びた第1直線234と、第1直線234の先端から第2大格子24B側に延びた第2直線236と、第2直線236の先端から外側に延びた第3直線238と、第3直線238の先端から第2大格子24Bが位置する側とは反対側に延びた第4直線240とを含む。
【0081】
第2補助パターン212Bは、第2大格子24Bの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って配列されたコ字状パターン(門型形状パターン)218Bと、第2大格子24Bの辺のうち、第4方向と直交する辺に沿って配列されたコ字状パターン(門型形状パターン)218Bと、隣接する第2導電パターン18Bを構成する第2大格子24Bと前記コ字状パターン218Bとの間に設けられた複合パターン242とを有する。
各コ字状パターン218Bは、小格子26の一辺と同一の長さを有した3つの直線状の金属細線によって構成されている。各コ字状パターン218Bは、第2大格子24Bから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さ)だけ離間した位置に形成されている。複合パターン242は、四角環状パターン及びL字状パターンを接続してアラビア数字の9又は6の形態に形成されている。四角環状パターンは、小格子26と同一の形状及び大きさに構成され、L字状パターンは、軸方向の長さが小格子26の一辺と同一の長さを有した2つの直線状の金属細線によって構成されている。
【0082】
従って、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bを積層して第5積層導電シート10Eとした場合、第1導電部16Aに対して、突出線52A、突出線208A及び第1補助パターン212Aを設けると共に、第2導電部16Bに対して、突出線230、突出線208B、突出線232及び第2補助パターン212Bを設けているので、第1大格子24Aを構成する小格子26や第2大格子24Bを構成する小格子26と見分けがつかなくなり、視認性が向上する(図21参照)。
【0083】
本実施の形態では、第2大格子24Bを第1大格子24Aよりも大きく形成しているが、第2大格子24Bを第1大格子24Aよりも小さく形成してもよい。このように、第1大格子24Aと第2大格子24Bの大きさを異ならせることができるので、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bの組み合わせのバリエーションを増加させることができる。
【0084】
次に、第6の実施の形態に係る積層導電シート(以下、第6積層導電シート10Fと記す)について、図22〜図24を参照しながら説明する。
この第6積層導電シート10Fは、上述した第5積層導電シート10Eに対して以下の点で異なる。
すなわち、図22に示すように、本実施の形態に係る第1導電部16Aでは、第1接続部250Aの構成が異なる。第1接続部250Aは、第1導線部202aと同一形状の第1導線部252aと、第2導線部202bと同一形状の第2導線部252bとを有し、これら第1導線部252aと第2導線部252bとを含んで1つの長方形部254を形づくっている。
また、第1接続部250Aは、一方の第1大格子24Aaの第3接点38から第2導線部252bまで第4方向に延びる第3導線部252cと、他方の第1大格子24Abの第3接点38から第1導線部252aまで第4方向に延びる第4導線部252dと、第1導線部252aの第3方向に沿った導線と第2導線部252bの第3方向に沿った導線とを結ぶ第5導線部252e及び第6導線部252fとを有する。
【0085】
第1接続部250Aは、第1導線部252aと第5導線部252eとの交点P1、第2導線部252bと第5導線部252eとの交点P2、第2導線部252bと第6導線部252fとの交点P3、第1導線部252aと第6導線部252fとの交点P4を有する。
長方形部254は、長方形部204と同様に、第1長方形部254a及び第2長方形部254bを有する。第1長方形部254aの長辺は小格子26の一辺の長さの5倍の長さを有し、短辺は小格子26の一辺の長さの3倍の長さを有する。第2長方形部254bの長辺は小格子26の一辺の長さの5倍の長さを有し、短辺は小格子26の一辺の長さと同一の長さを有する。そのため、本実施の形態に係る第1接続部250Aでは、La>Lbを満足する。この例では、La=3×Lbである。
【0086】
また、第1接続部250Aには、4つの張り出し部(突出線256)が設けられている。具体的には、突出線256は、第5導線部252eのうち第1交点P1から小格子26の一辺の長さの2倍の長さ分だけ離間した位置と、第5導線部252eのうち第2交点P2から小格子26の一辺の長さの2倍の長さ分だけ離間した位置と、第6導線部252fのうち第3交点P3から小格子26の一辺の長さの2倍の長さ分だけ離間した位置と、第6導線部252fのうち第4交点P4から小格子26の一辺の長さの2倍の長さ分だけ離間した位置とに接続されている。突出線256は、小格子26の一辺の長さの2倍の長さを有した直線状の金属細線により構成されている。
なお、図22から諒解されるように、第1大格子24Aの第1接点34には突出線52Aが設けられている。
【0087】
第1補助パターン258Aは、第1大格子24Aの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って配列された複数の補助長線260と、これら補助長線260の間に設けられた補助短線262と、第1大格子24Aの第3方向に沿って延びた直辺30に対向配置された複合パターン264とを有する。
各補助長線260の軸方向の長さは、小格子26の一辺の長さの2倍の長さを有する。各補助長線260は、第1大格子24Aから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さ)だけ離間した位置に形成されている。各補助短線262の軸方向の長さは、小格子26の一辺の長さと同一である。各補助短線262は、第1大格子24Aから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さの2倍の長さ)だけ離間した位置に形成されている。
なお、図22から諒解されるように、第1接続部250Aに最も近い補助長線260における第1大格子24A側の端部には、第4方向に沿って延びた補助線266が接続されている。つまり補助長線260及び補助線266が組み合わされてL字状パターンを構成している。
複合パターン264は、第1大格子24Aの辺のうち、第4方向と直交する辺に沿って配列された複数(図22では5つ)の補助線268と、これら補助線268の第1大格子24A側の端部を連結する長尺な補助線270と、補助線270の第1絶縁部54A側の端部に接続されて第4方向に沿って延びた補助線272と、補助線272から第3方向に沿って延びた一対の補助線274a、274bとを有する。
補助線268及び補助線274a、274bの軸方向の長さは、小格子26の一辺の長さと同一である。各補助線268は、第1大格子24Aから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さ)だけ離間した位置に形成されている。つまり、複合パターン264は、第1大格子24Aから離間している。
図22から諒解されるように、補助線274aは、補助線268の1つに接続して四角環状パターンを形成しており、補助線274bは、補助線272における第1大格子24Aが位置する側とは反対側の端部に接続している。
【0088】
また、図23に示すように、本実施の形態に係る第2導電部16Bでは、第2大格子24Bが略長方形状に形成されている。つまり、第2大格子24Bは、第1大格子24Aに対して大きさ及び形状が異なっている。なお、この例では、第2大格子24Bの長辺は第4方向に沿って延在している。
1つの第2大格子24Bと第2接続部250Bとの接続点(接点)は、第1接点222、第2接点300、第3接点226及び第4接点228である。第2接点300は、第2大格子24Bに含まれる小格子26の頂点のうち、多角辺32に位置して第1接点222から小格子26の一辺の長さだけ離間した頂点が対応する。なお、図20に示す突出線230は省略されている。
【0089】
第2接続部250Bは、第5導線202eと同一形状の第7導線部252gと、第6導線部202fと同一構成の第8導線部252hと、一方の第2大格子24Baの第3接点226から第8導線部252hまで第3方向に延びる第9導線部252iと、他方の第2大格子24Bbの第3接点226から第7導線部252gまで第3方向に延びる第10導線部252jと、1つの頂角を有し、第7導線部252gに接すると共に一方の第2大格子24Baの第4接点228と第8導線部252hとを結ぶ第11導線部252kと、1つの頂角を有し、第8導線部252hに接すると共に他方の第2大格子24Bbの第4接点228と第7導線部252gとを結ぶ第12導線部252lとを有する。
また、第2接続部250Bは、第7導線部252gの第3方向に沿った導線と第12導線部252lの第4方向に沿った導線との交点P1、第7導線部252gと第11導線部252kとの交点P2、第8導線部252hの第4方向に沿った導線と第11導線部252kの第3方向に沿った導線との交点P3、第7導線部252gの第4方向に沿った導線と第12導線部252lの第3方向に沿った導線との交点P4、第8導線部252hと第12導線部252lとの交点P5、第8導線部252hの第3方向に沿った導線と第11導線部252kの第4方向に沿った導線との交点P6を有する。
【0090】
これにより、第7導線部252gのうち第2交点P2及び第4交点P4間の導線、第8導線部252hのうち第3交点P3及び第5交点P5間の導線、第11導線部252kのうち第2交点P2及び第3交点P3間の導線、及び第12導線部252lのうち第4交点P4及び第5交点P5間の導線によって長方形部302が形成される。
長方形部302の長辺は第3方向に沿って延在している。長方形部302は、一方の第2大格子24Ba側の小さい長方形部302a(第2交点P2、第3交点P3及び第6交点P6を有する)と、第1交点P1、第2交点P2、第5交点P5及び第6交点P6を有する正方形部302bと、他方の第2大格子24Bb側の小さい長方形部302a(第1交点P1、第4交点P4及び第5交点P5を有する)とを含む。
長方形部302aの長辺は小格子26の一辺の長さの4倍の長さを有し、短辺は小格子26の一辺の長さと同一の長さを有する。正方形部302bの一辺は小格子26の一辺の長さの3倍の長さを有する。そのため、本実施の形態に係る第2接続部250Bは、La>Lbを満足する。この例では、La=3×Lbである。
【0091】
また、第2接続部250Bは、一対の直線状の張り出し部(突出線304)と、1つの頂角を有する一対の張り出し部(突出線306)と、2つの頂角を有する一対の張り出し部(突出線308)とを有する。突出線304は、第1交点P1及び第6交点P6に接続されている。
一対の突出線306は、第7導線部252gのうち第4交点P4から小格子26の一辺の長さの2倍の長さ分だけ第1交点P1側に移動した位置と、第8導線部252hのうち第3交点P3から小格子26の一辺の長さの2倍の長さ分だけ第6交点P6側に移動した位置とに接続されている。各突出線306は、L字状に形成されている。
一対の突出線308は、第7導線部252gのうち他方の第2大格子24Bb側の頂角(角部)と、第8導線部252hのうち一方の第2大格子24Ba側の頂角(角部)とに接続されている。各突出線308は、第7導線部252g(又は第8導線部252h)から外側(第4方向)に延びた第1直線310と、第1直線310の先端から第2大格子24B側に延びた第2直線312と、第2直線312の先端から内側に延びた第3直線314とを含む。
【0092】
第2補助パターン258Bは、第2接続部250Bを構成する第2長方形部254b内に配置された平行な一対の補助線315と、第2大格子24Bの辺のうち、第4方向に直交する辺に沿って配列された複数の補助線316と、第2大格子24Bの第4方向に沿って延びた直辺30に対向配置された複合パターン318と、第2絶縁部54Bに配置された平行な一対の補助線320とを有する。
一対の補助線315は、第3方向の位置を揃えた状態で第4方向に離間している。なお、一対の補助線320も同様である。各補助線315、316、320の軸方向の長さは、小格子26の一辺の長さと同一の長さを有する。各補助線316は、第2大格子24Bから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さ)だけ離間した位置に形成されている。
複合パターン318は、第2大格子24Bの辺のうち、第3方向と直交する辺に沿って交互に配置された補助長線322及び補助短線324と、補助長線322の第2大格子24B側の端部を連結して第4方向に延びた長尺な補助線326と、補助短線324の第2大格子24B側の端部を連結して第4方向に延びた長尺な補助線328と、補助線328の第2絶縁部54B側の端部同士を連結して第3方向に延びた補助線330と、補助線330のうち第2大格子24Bが位置する側とは反対側の端部から外側に延びた補助線332とを有する。
各補助長線322の軸方向の長さは、小格子26の一辺の長さの2倍の長さである。各補助長線322は、第2大格子24Bから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さ)だけ離間した位置に形成されている。各補助短線324の軸方向の長さは、小格子26の一辺の長さと同一である。各補助短線324は、第2大格子24Bから所定距離(この例では、小格子26の一辺の長さの2倍の長さ)だけ離間した位置に形成されている。つまり、複合パターン318は、第2大格子24Bから離間している。
【0093】
従って、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bを積層して第6積層導電シート10Fとした場合、第1導電部16Aに対して、突出線52A、突出線256及び第1補助パターン258Aを設けると共に、第2導電部16Bに対して、突出線304、突出線306、突出線312及び第2補助パターン258Bを設けているので、第1大格子24Aを構成する小格子26や第2大格子24Bを構成する小格子26と見分けがつかなくなり、視認性が向上する(図24参照)。
【0094】
本実施の形態では、第1大格子24Aを略正方形状に形成すると共に第2大格子24Bを略長方形状に形成しているが、第1大格子24Aを略長方形状に形成すると共に第2大格子24Bを略正方形状に形成してもよい。このように、第1大格子24Aと第2大格子24Bの形状を異ならせることができるので、第1導電シート12Aと第2導電シート12Bの組み合わせのバリエーションを増加させることができる。
上述の例では、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを投影型静電容量方式のタッチパネル100に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができることはもちろんである。
【0095】
次に、第1導電パターン18Aや第2導電パターン18Bを形成する方法としては、例えば第1透明基体14A上及び第2透明基体14B上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成して第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0096】
一方、図2Bに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電パターン18Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電パターン18Bを形成する場合、通常の製法に則って、最初に一主面を露光し、その後に、他主面を露光する方法を採用すると、所望の第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bを得ることができない場合がある。特に、第1大格子24Aの直辺30に沿って多数の第1補助線56Aが配列されたパターン、第1絶縁部54Aに配置された第1L字状パターン58A、第2大格子24Bの直辺30に沿って多数の第2補助線56Bが配列されたパターン、並びに第2絶縁部54Bに配置された第2L字状パターン58B等を均一に形成することは困難性が伴う。
【0097】
そこで、以下に示す製造方法を好ましく採用することができる。
すなわち、第1透明基体14Aの両面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層に対して一括露光を行って、第1透明基体14Aの一主面に第1導電パターン18Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電パターン18Bを形成する。
【0098】
この製造方法の具体例を、図25〜図27を参照しながら説明する。
先ず、図25のステップS1において、長尺の感光材料140を作製する。感光材料140は、図26Aに示すように、第1透明基体14Aと、該第1透明基体14Aの一方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第1感光層142aという)と、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第2感光層142bという)とを有する。
【0099】
図25のステップS2において、感光材料140を露光する。この露光処理では、第1感光層142aに対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第1感光層142aを第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層142bに対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第2感光層142bを第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。図26Bの例では、長尺の感光材料140を一方向に搬送しながら、第1感光層142aに第1光144a(平行光)を第1フォトマスク146aを介して照射すると共に、第2感光層142bに第2光144b(平行光)を第2フォトマスク146bを介して照射する。第1光144aは、第1光源148aから出射された光を途中の第1コリメータレンズ150aにて平行光に変換されることにより得られ、第2光144bは、第2光源148bから出射された光を途中の第2コリメータレンズ150bにて平行光に変換されることにより得られる。図26Bの例では、2つの光源(第1光源148a及び第2光源148b)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光144a及び第2光144bとして第1感光層142a及び第2感光層142bに照射してもよい。
【0100】
そして、図25のステップS3において、露光後の感光材料140を現像処理することで、図2Bに示すように、第1積層導電シート10Aが作製される。第1積層導電シート10Aは、第1透明基体14Aと、該第1透明基体14Aの一方の主面に形成された第1露光パターンに沿った第1導電部16A(第1導電パターン18A等)と、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された第2露光パターンに沿った第2導電部16B(第2導電パターン18B等)とを有する。なお、第1感光層142a及び第2感光層142bの露光時間及び現像時間は、第1光源148a及び第2光源148bの種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。
【0101】
そして、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1露光処理は、図27に示すように、第1感光層142a上に第1フォトマスク146aを例えば密着配置し、該第1フォトマスク146aに対向して配置された第1光源148aから第1フォトマスク146aに向かって第1光144aを照射することで、第1感光層142aを露光する。第1フォトマスク146aは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン152a)とで構成されている。従って、この第1露光処理によって、第1感光層142aのうち、第1フォトマスク146aに形成された第1露光パターン152aに沿った部分が露光される。第1感光層142aと第1フォトマスク146aとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0102】
同様に、第2露光処理は、第2感光層142b上に第2フォトマスク146bを例えば密着配置し、該第2フォトマスク146bに対向して配置された第2光源148bから第2フォトマスク146bに向かって第2光144bを照射することで、第2感光層142bを露光する。第2フォトマスク146bは、第1フォトマスク146aと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン152b)とで構成されている。従って、この第2露光処理によって、第2感光層142bのうち、第2フォトマスク146bに形成された第2露光パターン152bに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層142bと第2フォトマスク146bとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0103】
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源148aからの第1光144aの出射タイミングと、第2光源148bからの第2光144bの出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層142a及び第2感光層142bを同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0104】
ところで、第1感光層142a及び第2感光層142bが共に分光増感されていない場合、感光材料140に対して両側から露光すると、片側からの露光がもう片側(裏側)の画像形成に影響を及ぼすこととなる。
【0105】
すなわち、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第1感光層142a中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として第1透明基体14Aを透過し、その一部が第2感光層142bにまで達する。そうすると、第2感光層142bと第1透明基体14Aとの境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像が形成される。そのため、第2感光層142bでは、第2光源148bからの第2光144bによる露光と第1光源148aからの第1光144aによる露光が行われてしまい、その後の現像処理にて第1積層導電シート10Aとした場合に、第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部16B)に加えて、該導電パターン間に第1光源148aからの第1光144aによる薄い導電層が形成されてしまい、所望のパターン(第2露光パターン152bに沿ったパターン)を得ることができない。これは、第1感光層142aにおいても同様である。
これを回避するため、鋭意検討した結果、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを特定の範囲に設定したり、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を規定することで、ハロゲン化銀自身が光を吸収し、裏面へ光透過を制限できることが判明した。本実施の形態では、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを1μm以上、4μm以下に設定することができる。上限値は好ましくは2.5μmである。また、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を5〜20g/m2に規定した。
【0106】
上述した両面密着の露光方式では、フイルム表面に付着した塵埃等で露光阻害による画像欠陥が問題となる。塵埃付着防止として、フイルムに導電性物質を塗布することが知られているが、金属酸化物等は処理後も残存し、最終製品の透明性を損ない、また、導電性高分子は保存性等に問題がある。そこで、鋭意検討した結果、バインダーを減量したハロゲン化銀により帯電防止に必要な導電性が得られることがわかり、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダーの体積比を規定した。すなわち、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダー体積比は1/1以上であり、好ましくは、2/1以上である。
【0107】
上述のように、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚み、塗布銀量、銀/バインダーの体積比を設定、規定することで、図27に示すように、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第2感光層142bまで達しなくなり、同様に、第2感光層142bに到達した第2光源148bからの第2光144bは、第1感光層142aまで達しなくなり、その結果、その後の現像処理にて第1積層導電シート10Aとした場合に、図2Bに示すように、第1透明基体14Aの一方の主面には第1露光パターン152aによる導電パターン(第1導電部16Aを構成するパターン)のみが形成され、第1透明基体14Aの他方の主面には第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部16Bを構成するパターン)のみが形成されることとなり、所望のパターンを得ることができる。
【0108】
このように、上述の両面一括露光を用いた製造方法においては、導電性と両面露光の適性を両立させた第1感光層142a及び第2感光層142bを得ることができ、また、1つの第1透明基体14Aへの露光処理によって、第1透明基体14Aの両面に同一パターンや異なったパターンを任意に形成することができ、これにより、タッチパネル100の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル100の薄型化(低背化)を図ることができる。
上述の例は、感光性ハロゲン化銀乳剤層を用いて第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bを形成する製造方法であるが、その他の製造方法としては、以下のような製造方法がある。
【0109】
すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
【0110】
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1導電部16A及び第2導電部16Bをスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bをインクジェットにより形成するようにしてもよい。
【0111】
次に、本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおいて、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0112】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
【0113】
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0114】
ここで、本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[第1透明基体14A、第2透明基体14B]
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。積層導電シート10に使用される第1導電シート12A及び第2導電シート12Bのような導電性フイルムは透明性が要求されるため、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの透明度は高いことが好ましい。
【0115】
[銀塩乳剤層]
第1導電シート12Aの第1導電部16A(第1大格子24A、第1接続部28A、第1補助パターン20A等)及び第2導電シート12Bの第2導電部16B(第2大格子24B、第2接続部28B、第2補助パターン20B等)となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/m2が好ましく、1〜25g/m2がより好ましく、5〜20g/m2がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、積層導電シート10とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する積層導電シートを得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0116】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の銀塩乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0117】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
【0118】
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
【0119】
次に、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、第1導電部16A及び第2導電部16Bを印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、第1導電部16A及び第2導電部16Bを露光と現像等によって形成する。すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0120】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
以上の工程を経て導電シートは得られるが、得られた導電シートの表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。前記下限値は、1オーム/sq.以上、3オーム/sq.以上、5オーム/sq.以上、10オーム/sq.であることが好ましい。前記上限値は、70オーム/sq.以下、50オーム/sq.以下であることが好ましい。このような範囲に表面抵抗を調整することで、面積が10cm×10cm以上の大型のタッチパネルでも位置検出を行うことができる。また、現像処理後の導電シートに対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0121】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0122】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0123】
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部の線幅(金属細線の線幅)は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。線間隔(ここでは小格子26の互いに対向する辺の間隔)は30μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上400μm以下、最も好ましくは100μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、第1導電部16A及び第2導電部16Bの導電部分を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状の開口率は、90%である。
【0124】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bのうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
【0125】
[第1導電シート12A及び第2導電シート12B]
本実施の形態に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bにおける第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの厚さは、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられる金属銀部の厚さは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
導電性金属部の厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する第1導電シート12A及び第2導電シート12Bであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る第1導電シート12Aや第2導電シート12Bの製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る第1導電シート12Aや第2導電シート12Bの製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0126】
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号公報に記載のものを挙げることができる。
【0127】
上述の例では、第1導電パターン18Aを、2以上の第1大格子24Aを第1方向に直列に接続して構成し、第2導電パターン18Bを、2以上の第2大格子24Bを第2方向に直列に接続して構成した例を示したが、その他、第1導電パターン18Aを、ITO(酸化インジウムスズ)膜による例えばひし形状の2以上の透明電極を第1方向に直列に接続して構成し、第2導電パターン18Bを、ITO膜による例えばひし形状の2以上の透明電極を第2方向に直列に接続して構成してもよい。
また、導電シートには、反射防止層やハードコート層などの機能層を付与してもよい。
【0128】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【実施例】
【0131】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[第1実施例]
第1実施例では、後述する処理に基づいて第1導電シート12A及び第2導電シート12Bをそれぞれ100シート作製した。金属細線の線幅を1μmとし、小格子26の一辺の長さを100μmとした。
【0132】
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/m2となるように第1透明基体14A及び第2透明基体14B(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0133】
(露光)
露光のパターンは、積層導電シート10の第1導電シート12Aについては図1及び図3に示すパターンで、第2導電シート12Bについては図1及び図4に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体14A及び第2透明基体14Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
【0134】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
【0135】
[比較例]
上述した特許文献9(国際公開第2010/013679号パンフレット)の図7(a)に準拠して上述した第1導電シート12Aに対応する比較用第1導電シートと、上述した第2導電シート12Bに対応する比較用第2導電シートとをそれぞれ100シート作製した。金属細線の線幅を1μmとし、最も小さい格子の一辺の長さを100μmとした。
【0136】
(評価方法)
第2導電シート12B(比較用第2導電シート)の上に第1導電シート12A(比較用第1導電シート)を積層して積層導電シートを作製する前段階において、各導電シートに形成されている導電パターンの両端間の抵抗値をテスターにて測定した。なお、各導電シートには、複数の導電パターンが形成されているが、その全ての導電パターンにおいて抵抗値の測定を行った。
テスターにて測定された抵抗値が1[MΩ]以上である場合、導電パターンに含まれている複数の接続部(大格子間を接続している部位)の少なくとも1つ以上が完全に断線していると判定した。一方、テスターにて測定された抵抗値が1[MΩ]未満である場合、導電パターンに含まれている接続部は断線していないと判断した。
【0137】
(評価結果)
実施例では、全ての第1導電シート12Aにおいて第1接続部28Aの断線は検出されなかった。また、全ての第2導電シート12Bにおいて第2接続部28Bの断線は検出されなかった。一方、比較例では、12シートの比較用第1導電シートにおいて第1接続部の断線があった。また、13シートの比較用第2導電シートにおいて第2接続部の断線があった。
このように、導電シートの作製過程において、比較例では、導電パターンの接続部が完全に断線することがあったが、本実施例では、第1接続部28A及び第2接続部28Bが完全に断線することを抑えることができた。
【0138】
[第2実施例]
実施例1〜9に係る積層導電シートについて、表面抵抗及び透過率を測定し、モアレ及び視認性を評価した。実施例1〜9の内訳並びに測定結果及び評価結果を表3に示す。
上述した第1実施例と同様にして、実施例1〜9に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例1)
作製した第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの導電部(第1導電パターン18A、第2導電パターン18B)の線幅は1μm、小格子26の一辺の長さは50μm、大格子(第1大格子24A及び第2大格子24B)の一辺の長さは3mmである。
(実施例2)
小格子26の一辺の長さを100μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例3)
導電部の線幅を3μmとし、小格子26の一辺の長さを150μmとし、大格子の一辺の長さを4mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例4)
導電部の線幅を4μmとし、小格子26の一辺の長さを210μmとし、大格子の一辺の長さを5mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例5)
導電部の線幅を5μmとし、小格子26の一辺の長さを250μmとし、大格子の一辺の長さを5mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例6)
導電部の線幅を8μmとし、小格子26の一辺の長さを300μmとし、大格子の一辺の長さを6mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例7)
導電部の線幅を9μmとし、小格子26の一辺の長さを300μmとし、大格子の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例8)
導電部の線幅を10μmとし、小格子26の一辺の長さを400μmとし、大格子の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
(実施例9)
導電部の線幅を15μmとし、小格子26の一辺の長さを500μmとし、大格子の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを作製した。
【0139】
(表面抵抗測定)
検出精度の良否を確認するために、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bの表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値である。
(透過率の測定)
透明性の良否を確認するために、第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを分光光度計を用いて透過率を測定した。
(モアレの評価)
実施例1〜9について、第2導電シート12B上に第1導電シート12Aを積層して第1積層導電シート10Aを作製し、その後、液晶表示装置の表示画面に第1積層導電シート10Aを貼り付けてタッチパネル100を構成した。その後、タッチパネル100を回転盤に設置し、液晶表示装置を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
モアレの評価は、液晶表示装置の表示画面から観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。
(視認性の評価)
上述のモアレの評価に先立って、タッチパネル100を回転盤に設置し、液晶表示装置を駆動して白色を表示させた際に、線太りや黒い斑点がないかどうか、また、タッチパネル100の第1大格子24A及び第2大格子24Bの境界が目立つかどうかを肉眼で確認した。
【0140】
【表3】

【0141】
表3から、実施例1〜9のうち、実施例1〜8は、導電性、透過率、モアレ、視認性共に良好であった。実施例9はモアレの評価及び視認性の評価が実施例1〜8よりも劣っているが、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られる程度であり、表示装置の表示画像が見え難くなるということはなかった。
【0142】
[第3実施例]
上述した第2実施例の実施例1〜9に係る第1導電シート12A及び第2導電シート12Bを用いてそれぞれ投影型静電容量方式のタッチパネルを作製した。いずれもモアレは顕在化しなかった。また、指で触れて操作したところ、応答速度が速く、検出感度に優れることがわかった。また、2点以上をタッチして操作したところ、同様に良好な結果が得られ、マルチタッチにも対応できることが確認できた。
本発明に係る導電シート及び静電容量方式タッチパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0143】
10A〜10F…第1積層導電シート〜第6積層導電シート
12A…第1導電シート 12B…第2導電シート
14A…第1透明基体 14B…第2透明基体
16A…第1導電部 16B…第2導電部
18A…第1導電パターン 18B…第2導電パターン
20A、212A、258A…第1補助パターン
20B、212B、258B…第2補助パターン
24A…第1大格子(第1感知部)
24B…第2大格子(第2感知部)
26…小格子
28A、200A、250A…第1接続部
28B、200B、250B…第2接続部 34、222…第1接点
36、224、300…第2接点 38、226…第3接点
40a〜40h…第1導線部〜第8導線部
42、204、254、302…長方形部(四角形部)
42a、204a、254a…第1長方形部(第1四角形部)
42b、204b、254b…第2長方形部(第2四角形部)
44a〜44p…第1導線〜第16導線 52A…第1突出線
52B…第2突出線 54A…第1絶縁部
54B…第2絶縁部 56A…第1補助線
56B…第2補助線 58A…第1L字状パターン
58B…第2L字状パターン 60A…第1結線部
60B…第2結線部 62A…第1端子配線パターン
62B…第2端子配線パターン 100…タッチパネル
102…センサ本体 108…表示装置
110…表示パネル 112…センサ部
114…端子配線部 116a…第1端子
116b…第2端子
202a〜202j…第1導線部〜第10導線部
252a〜252l…第1導線部〜第12導線部
228…第4接点
302a…長方形部(第1四角形部)
302b…正方形部(第2四角形部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1方向に第1接続部を介して直列に電気的に接続されて構成された2以上の第1導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列されて構成され、
前記第2導電部は、2以上の第2感知部が前記第2方向に第2接続部を介して直列に電気的に接続されて構成された2以上の第2導電パターンが前記第1方向に配列されて構成され、
各前記第1感知部及び各前記第2感知部は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンに隣接して前記第2導電パターンが配置され、且つ、前記第1接続部と前記第2接続部とが前記基体を間に挟んで対向する形態とされ、
前記第1接続部は、前記第1感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続し、
前記第2接続部は、前記第2感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続する構成を有することを特徴とする導電シート。
【請求項2】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1接続部は、一方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ3つ以上の導線にて構成され、
前記第2接続部は、一方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ3つ以上の導線にて構成されていることを特徴とする導電シート。
【請求項3】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1接続部は、
一方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第1感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ第1導線部及び第2導線部と、一方の前記第1感知部に含まれる他の小格子の頂点と第1導線部とを結ぶ第3導線部と、他方の前記第1感知部に含まれる他の小格子の頂点と第2導線部とを結ぶ第4導線部とを有し、
前記第2接続部は、
一方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点と他方の前記第2感知部に含まれる1以上の小格子の頂点との間を結ぶ第5導線部及び第6導線部と、一方の前記第2感知部に含まれる他の小格子の頂点と第5導線部とを結ぶ第7導線部と、他方の前記第2感知部に含まれる他の小格子の頂点と第6導線部とを結ぶ第8導線部とを有することを特徴とする導電シート。
【請求項4】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1導電部は、さらに、前記第1感知部の辺の周囲に、複数の第1補助線からなる第1補助パターンが配列され、
前記第2導電部は、さらに、前記第2感知部の辺の周囲に、複数の第2補助線からなる第2補助パターンが配列され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの間に、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成されていることを特徴とする導電シート。
【請求項5】
請求項4記載の導電シートにおいて、
前記組合せパターンは、2以上の小格子が組み合わされて構成されていることを特徴とする導電シート。
【請求項6】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1感知部及び前記第2感知部は、略同一の大きさで構成されているか、異なる大きさで構成されていることを特徴とする導電シート。
【請求項7】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1感知部が略正方形状の大格子として構成されており、
前記第2感知部が略長方形状の大格子として構成されていることを特徴とする導電シート。
【請求項8】
基体と、
前記基体の主面に形成された導電部とを有し、
前記導電部は、金属細線による2以上の感知部が第1方向に金属細線による接続部を介して直列に電気的に接続されて構成された2以上の導電パターンが前記第1方向と直交する第2方向に配列されて構成され、
各前記感知部は、2以上の小格子が組み合わされて構成され、
前記接続部は、前記感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続する構成を有することを特徴とする導電シート。
【請求項9】
請求項8記載の導電シートにおいて、
一方の前記感知部と前記接続部との接点から該接続部内への金属細線の数をNa、前記接続部内の複数の交点間の金属細線の数をNb、他方の前記感知部と前記接続部との接点から該接続部内への金属細線の数をNc、隣接する前記感知部間の接続経路の数をNとしたとき、
N=Na×(Nb+Nc−1)
であることを特徴とする導電シート。
【請求項10】
請求項8記載の導電シートにおいて、
前記接続部は、隣接する2つの前記感知部間に所定の接続方向に配置された四角形部を有し、
前記四角形部は、互いに対向する金属細線間の距離がLaの第1四角形部と、互いに対向する金属細線間の距離がLbの第2四角形部とを有し、
La>Lb
であることを特徴とする導電シート。
【請求項11】
請求項10記載の導電シートにおいて、
前記長さLbが前記小格子の一辺の長さと同じであることを特徴とする導電シート。
【請求項12】
請求項10又は11記載の導電シートにおいて、
1.2×Lb≦La≦3.0×Lb
であることを特徴とする導電シート。
【請求項13】
請求項10又は11記載の導電シートにおいて、
La=2×Lb
であることを特徴とする導電シート。
【請求項14】
請求項10又は11記載の導電シートにおいて、
前記第2四角形部の両側に前記第1四角形部が配置されていることを特徴とする導電シート。
【請求項15】
請求項8記載の導電シートにおいて、
前記接続部のうち、前記小格子の一辺の長さの3倍以上の長さを有する辺から直交して延びる金属細線による張り出し部を有することを特徴とする導電シート。
【請求項16】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記張り出し部は、前記接続部内に向かって張り出していることを特徴とする導電シート。
【請求項17】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記張り出し部は、前記接続部から外に向かって張り出していることを特徴とする導電シート。
【請求項18】
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部は、2以上の第1感知部が第1接続部を介して接続された2以上の第1導電パターンから構成され、
前記第2導電部は、2以上の第2感知部が第2接続部を介して接続された2以上の第2導電パターンから構成され、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは前記接続部上で略直交するように配置されており、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは線幅15μm以下の細線パターンから構成され、
前記第1接続部は、前記第1感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続し、
前記第2接続部は、前記第2感知部間を3つ以上の接続経路で電気的に接続する構成を有することを特徴とする導電シート。
【請求項19】
請求項1又は8記載の導電シートを有することを特徴とする静電容量方式タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−146277(P2012−146277A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104845(P2011−104845)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】