導電性の配線
【課題】導電性の配線がRF信号のために使用された場合、導電性の配線における反射および/または損失の低減を可能にする導電性の配線を提供する。
【解決手段】導電性の配線は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションを含む。フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍より大きい。方向の変更のために、アーチ型である様々な形状は、既定の最小限の曲線半径Rminよりも大きい曲線半径を含む。
【解決手段】導電性の配線は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションを含む。フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍より大きい。方向の変更のために、アーチ型である様々な形状は、既定の最小限の曲線半径Rminよりも大きい曲線半径を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施の形態は、分布回路におけるアンテナまたは導線として、導電性の配線およびその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なって形づくられた導電性の配線を有するアンテナは公知であった。たとえば、米国特許第6,476,766号B1は、古典的フラクタル構造を使用している周知のフラクタル・アンテナおよびフラクタル回路を示す。そのようなフラクタル・アンテナは、図2に示される。ガリ,H(Ghali,H.);モーズリー,T.A.(Moselhy,T.A.)著,「小型化されたフラクタル・ラットレース、分岐線および結合線ハイブリッド(Fractal Rat−Race,Branch−Line and Coupled−Line Hybrids)」,マイクロ波理論およびIEEE論文集マイクロ波の理論および技術におけるIEEE論文集(IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques)、第52巻,No.11,2004年11月,pp.2513−2520によれば、第2反復におけるムーア・フラクタルとして、ラットレースハイブリッド(ハイブリッド結合器)の他の例が、図3において示される。
【0003】
米国特許出願公開第2010/0177001号A1のアンテナ構造が類似している。たとえば、第2から第6反復(n=2−6)における図6において描かれているように、それらは、修正された多角形のポリア曲線を表す。周知のアンテナのこのタイプは、無線周波数幅(RFレンジ)において、角および曲がりで、強い反射が起こるという不利な点を有する。そのような曲線を用いることによって、たとえば、遅延回路が小型化されうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、導電性の配線がRF信号のために使用された場合、導電性の配線における反射および/または損失の低減を可能にする導電性の配線を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載の導電性の配線によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による実施の形態は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションを含む導電性の配線を提供する。フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍より大きい。アーチ型である様々な形状は、方向の変更のために、既定の最小限の曲線半径より大きい曲線半径を含む。
【0007】
本発明による実施の形態は、フラクタル(少なくとも部分の中で)の形状を有する導電性の配線を使用するという中心的なアイデアに基づき、導電性の配線は、角というよりむしろアーチ型の部分を含む。このように、一方では、長い長さの導電性の配線は、フラクタル型の導電性の配線を利用することによって、非常にスペースをとらない方法で実現される。他方では、RF信号(無線周波数信号、たとえば、1,10,100または1000MHz)が使用される場合、(フラクタルの角の)アーチ型のバリエーションのため、導電性の配線における反射および損失は、明らかに低減されうる。
【0008】
本発明のいくつかの実施の形態において、ペアノ曲線またはボックスフラクタルが、形成的なフラクタルとして使用される。
【0009】
本発明の更なる実施の形態において、アーチ型を有する様々な形状が、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分のラスタの上に適合する。そのようなラスタを使用することによって、導電性の配線は、既定の最小限の曲線半径に達しないことのないその形状を系統的に与えられうる。
【0010】
本発明による実施の形態は、添付の図に関して以下において更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1a】図1aは、導電性の配線である。
【図1b】図1bは、第2反復ペアノ曲線の形状のアーチ形のバリエーションである。
【図1c】図1cは、既定の最小限の曲線半径のための可能な定義の概略図である。
【図2】図2は、周知のフラクタル・アンテナである。
【図3】図3は、周知のラットレースハイブリッドである。
【図4】図4は、連続した導電リード(導線)の周知の渦巻きの実施例である。
【図5】図5は、連続して導電リードの周知の渦巻きの更なる実施例である。
【図6】図6は、第2から第6反復における修正された多角形のポリア曲線である。
【図7】図7は、アーチ型の区分による第1反復のペアノ曲線の近似である。
【図8a】図8aは、第1反復のペアノ曲線である。
【図8b】図8bは、修正された第1反復のペアノ曲線である。
【図9a】図9aは、蛇状の000 000 000タイプの第2反復のペアノ曲線である。
【図9b】図9bは、蛇状の000 000 000タイプの修正された第2反復のペアノ曲線である。
【図10a】図10aは、蛇状の111 111 111タイプの第2反復のペアノ曲線である。
【図10b】図10bは、蛇状の111 111 111タイプの修正された第2反復のペアノ曲線である。
【図11a】図11aは、蛇状の101 101 010タイプの第2反復のペアノ曲線である。
【図11b】図11bは、蛇状の010 101 010タイプの修正された第2反復のペアノ曲線である。
【図12a】図12aは、修正された第1反復のボックスフラクタルである。
【図12b】図12bは、修正された第2反復のボックスフラクタルである。
【図12c】図12cは、修正された第3反復のボックスフラクタルである。
【図13a】図13aは、短縮線による非接触の経路設定を有するボックスフラクタルである。
【図13b】図13bは、丸い格子に対する配列による非接触の経路設定を有するボックスフラクタルである。
【図14】図14aは、従来のバトラー・マトリックスであり、図14bは、小型化されたバトラー・マトリックスである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、同じ参照番号が、同一であるか類似の機能的特性を有する目的および機能単位のために使われることがある。加えて、異なる実施の形態の任意の特徴は、相互に組合わせ可能であり、あるいは相互に交換可能でもよい。
【0013】
図1aは、本発明の実施の形態による導電性の配線100の概略図を示す。導電性の配線100は、少なくとも部分的に、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分で形状のアーチ型のバリエーションを含む。フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍より大きい。アーチ型である様々な形状は、方向の変更のために、既定の最小限の曲率半径Rminを含む。
【0014】
図1aは、アーチ型である様々な形状において、図1bにおいて示されるような第2反復のペアノ曲線の部分の形状を有する導電性の配線100の例を示す。導電性の配線100のために使用されるペアノ曲線の部分は、円160において描かれることによって明らかにされる。
【0015】
フラクタルに基づく形状を用いて、長い導電性の配線は、ほとんど空間を必要とせずに実現されうる。フラクタルの形状の、あるいは、一部のフラクタルのアーチ型のバリエーションのために、角または曲げにおいて、他存在される反射または損失が、全体として明らかに低減されるかまたは防止されうる。
【0016】
たとえば、導電性の配線は、銅、アルミニウムまたは異なる導電材料を含みうる。さらに、少なくとも部分のフラクタルのアーチ型のバリエーションとして形作られるその部分に加えて、導電性の配線100は、異なる形状を有するさらなる部分も含みうる。図1aにおいて示されるように、導電性の配線100は、たとえば、電気回路に接続しうる開放端を有しうる。あるいは、導電性の配線100は、閉曲線を形成することも可能であり、いかなる位置でも閉曲線に接続されうる。
【0017】
原則として、フラクタルは、いかなるフラクタルでもよく、たとえば、導電性の配線100のそれぞれのアプリケーションに依存する。曲線のフラクタルの特性は、たとえば、自己相似性によって認識されうる。たとえば、フラクタルは、ペアノ曲線またはボックスフラクタルでありうる。たとえば、蛇状のタイプのペアノ曲線が使用されうる。ボックスフラクタルまたは(蛇状のタイプの)ペアノ曲線を使用することによって、三角領域のみがポリア曲線を伴ってふさがっているのに対して、矩形または正方形領域が、反復ですでに満たされうる。
【0018】
ボックスフラクタルや(蛇状のタイプの)ペアノ曲線に当てはまる2つの反復ステップ(すなわち、1つの反復において)の間において、優先的な使用は、線分の数が少なくとも3倍になるフラクタルでできている。換言すれば、1つの反復ステップにおいて修正される線分の数は、少なくとも、3に設定される。しかしながら、ポリア曲線を伴って、線分の数は、各反復ステップによって2倍になるだけである。
【0019】
できるだけ多くの空間を節約する方法における導電性の配線100を実現するために、フラクタルは、たとえば、これに関連して、空間充填曲線として参照もされる空間充填フラクタルでもよい。
【0020】
【0021】
そのような空間充填曲線は、イニシエータ(始動図『ベース』)およびジェネレータ(構成の規格(formation specification)『モチーフ』)によって反復的に記載されうる。この構成の規格の反復適用によって、記載されている曲線の空間充填特性は、達成されうる。
【0022】
実用化において、反復は、N段階の後、中止されなければならない。そして、その結果、定義に従う曲線は、まだ、空間充填でない。しかしながら、構成の規格を用いて、(理論上は、)より小さいスケール間隔における如何なる長さのための反復も続けることが可能である。したがって、そのような構成の規格の存在は、曲線が空間充填特性を有するか否か、という問題に対して決定的である。
【0023】
空間充填特性は、(無限の継続とともに)反復の規格を用いて対応される。しかしながら、おそらく、反復ステージの間において、自己相似性は無いので、曲線がフラクタルの特性を有しなければならないことを意味しない。たとえば、垂直方向において、異方性のスケーリングだけが、反復ステージの間において行われることも可能である。
【0024】
しかしながら、記載されている概念により使用される構造は、正確な自己相関性に必要である反復の間における等方性のスケーリングを有するフラクタル曲線である。たとえば、前記反復は、準自己相似性または統計的自己相似性を有する曲線とも異なる。
【0025】
「少なくともフラクタルの部分」は、これが、特定の反復の全体のフラクタルでありうることを意味することを理解されている。換言すれば、フラクタルの部分は、フラクタルの厳密なサブセットである必要はなく、「フラクタルの部分」は、全体のフラクタルを意味するようにも理解しうる。異なって見えるように、全体のフラクタルは、いずれにしろ、より高い反復(たとえば、第3の全体の第3反復のフラクタルは、第4反復のフラクタルの部分である。)のフラクタルの部分でもある。
【0026】
しかしながら、第1反復のフラクタルがしばしば非常に単純な構造を有しているので、そして、さもなければ導線のスペースをとらないルーティングの効果がフラクタルの利用の効果を有しないので、フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の少なくとも2倍よりも大きくなければならない。「フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍よりも大きい」の表現は、フラクタルの部分の範囲内における導電性の配線が、(アーチ型のバリエーションにおける)フラクタルの第1反復の形状の2倍以上を適応することを意味する。換言すれば、フラクタルの部分は、2倍以上の第1反復におけるフラクタル(の形状)を含む。
【0027】
多くのフラクタルは、それらの周知の表現において、角張った形を有する。フラクタルの前記周知の形状と比較すると、アーチ型の様々な形状は、導電性の配線の方向の変更のために、既定の最小限の曲線半径Rminを有し、最小限の曲線半径Rminは、それを下回らない。これに関連して、最小限の曲線半径は、たとえば、導電性の配線100の幅の、たとえば、少なくとも3倍(または、同様に、1.5倍、2倍、4倍、またはより多く)に等しい。あるいは、最小限の曲線半径は、以下の式により決定されうる。
ここで、Wは導電性の配線の幅であり、そして、Dminは、図1cにおいて示されるように、正方形の角の位置に配置されて、対角線上に互いに配置されるラスタの2つのリングにおける最小限の距離である。そして、以下において、更に詳細に記載する。
【0028】
導電性の配線の方向の変更の曲線半径は、方向の変更に対応するフェーズにおける、たとえば、導電性の配線の内半径、中心半径または外半径に関する。
【0029】
一般に、たとえば、導電性の配線100の長さは、導電性の配線100の幅の10倍(または、20倍、50倍、100倍もしくはそれ以上)より長く、導電性の配線の高さの10倍(または、20倍、50倍、100倍もしくはそれ以上)より長い。導電性の配線100は、その長手方向の延長(その最も長い延長の方向)において、アーチ型の様々な形状が適応する。
【0030】
導電性の配線100は、その長さ以上の一定の幅(または高さ)を有し、または、あるいは、異なる部分において、異なる幅(または高さ)を有する。これは、特定のアプリケーションによってされる要求に応じて、異なりうる。
【0031】
通常、導電性の配線100は、平面の範囲内において位置する。その結果、アーチ型の様々な形状は、容易に可視化される。これは、その長手方向の延長およびその横方向の延長において、導電性の配線は、平面の範囲内において延長するということを意味する。しかしながら、三次元構造が、導電性の配線100によって形成しうることも可能である。その結果、導電性の配線100の部分が、異なる平面の範囲内において位置しうる。
【0032】
導電性の配線100は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションのいくつかの事例を含む。これらは、同じフラクタルの部分でもよく、または異なるフラクタルでもよい。大きな空間の節約効果を達成するために、たとえば、導電性の配線100は、その長さの少なくとも50%(または、20%、30%、70%、80%あるいはそれ以上)以上の、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分のアーチ型のバリエーションの1つまたはいくつかの事例を含むことを明記されうる。
【0033】
本発明のいくつかの実施の形態において、導電性の配線は、アーチ型である様々な形状を有し、そして、もっぱら、(既定の最小限の曲線半径よりも大きい)同一の曲線半径を有する方向の変更を含む。それが、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分のアーチ型である様々な形状に対応するその部分よりも大きい場合、これは、全ての導電性の配線にも関しうる。
【0034】
そのような構造を設計する1つの可能性は、環状の区分からなるラスタに導電性の配線を適応させることである。換言すれば、アーチ型である様々な形状は、たとえば、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分(たとえば、図1c)のラスタ上に、適合する。環状の部分の平均直径は、環状の区分の内径(2*R1)のおよび外径(2*R2)の平均値である。ラスタの環状の区分は、大きさが等しい。
【0035】
本発明のいくつかの実施の形態は、記載される概念による導電性の配線を含むアンテナ、導線または分布回路に関する。
【0036】
このように、アンテナ、または、たとえば、遅延回路は、まさしく、空間の節約、低反射および/または低損失の方法において実現される。
【0037】
本発明によるいくつかの他の実施の形態は、導電性の配線を製造する方法に関し、そして、導電性の配線は、(基板に)記載されている形状によって製造される。
【0038】
丸い格子(環状の区分を有するラスタ)(形状のアーチ形のバリエーション)に修正される空間充填曲線およびフラクタルを利用すると共に、本発明によるいくつかの実施の形態は、アンテナ、導線および/または分布回路に関する。これに関連して、記載されている概念による導電性の配線が適用される。
【0039】
たとえば、分布回路は、無線周波数回路でもよい。換言すれば、アンテナ、導線および/または受動的な無線周波数回路は、修正された空間充填曲線および(または)フラクタルを用いて設計されうる。
【0040】
周知の回路またはアンテナにおいて、屈曲が生ずるように、導線が形成される。結果として生じる屈曲が先細りにならない場合、付加的な損失を結果として得るように、導線の伝送特性は妨げられる。損失において最も低いことは、(両面に)アーチ型の変わり目である;屈曲半径は、たとえば、導体幅の少なくとも3倍に等しい。これは、半径が、上述の値に及ばないように、アーチの特性インピーダンスが明らかに変化して、そして、不連続を示すという事実に起因する。ポプガエフ,A.E.(Popugaev,A.E.)およびヴァンシュ,R(Wansch,R)著,「マイクロストリップ供給ネットワーク設計における新規な小型化テクニック(A Novel Miniaturization Technique in Microstrip Feed Network Design)」,第3回 アンテナおよび伝播,ヨーロッパ会議(EuCAP 2009),議事録,CD−ROM:23−27,2009年3月,ベルリン,ドイツ,ベルリン:VDE−Verlag,2009年,pp.2309−2313において、直線タイプの導電リード/アーチの不連続が結果として得られるように、小型化される回路が完全にアーチ型に構成されうることが示された。補助ツールのそれが、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分からなるラスタを使用することができるように、各区分は、4つの等しい四分円に再分割される。丸い格子上に整列配置されるが、フラクタルまたは空間充填曲線ではない、いくつかの導線−ルーティング曲線が表される;また、反復の規格は、示されない。これらの曲線は、フリーハンドの曲線である;次のスケール・ステージ・ダウンへの移行のための反復の規格は、表示されず認識可能でもない。したがって、示される曲線は、空間充填曲線ではない。図4および図5は、直線の導電リードを巻き込むためのそのようなラスタを例示する。
【0041】
たとえば、フラクタルのための丸い区分を使用すると共に、遅延回路は効果的に小型化されうる。
【0042】
提案される概念は、屈曲が生じないように、修正されたペアノ曲線に基づいて、たとえば、フラクタル・アンテナおよび回路の設計を可能にする。その結果、反射に関する最適トランスミッションの特性は、たとえば、マイクロストリップ線回路で、特に、確実にされうる。
【0043】
丸い格子に修正されるペアノ曲線のために、図4および図5に従ってラスタを取り込み、図7に示される曲線を描き、45度によるラスタを有する曲線を回転させた場合、そのようになり、そして、それは、図8aおよび図8bにおいて示されるように、前記曲線が第1反復のペアノ曲線と非常に類似していることがわかる。図8aは、第1反復のペアノ曲線を示し、そして、図8bは、修正された第1反復のペアノ曲線を示す。修正された曲線は、アーチ型の区分を通じて、ペアノ曲線に近似しているようにみなしうる。
【0044】
図8aおよび図8bにおいて示される修正された第1反復のペアノ曲線の継続した再分割によって、修正された蛇状のタイプのペアノ曲線を得ることもできる。図9a(蛇状の000 000 000タイプの第2反復のペアノ曲線)および9b(蛇状の000 000 000タイプの修正された第2反復のペアノ曲線)、図10a(蛇状の111 111 111タイプの第2反復のペアノ曲線)、図10b(蛇状の111 111 111タイプの修正された第2反復のペアノ曲線)、図11a(蛇状の101 101 010タイプの第2反復のペアノ曲線)および図11b(蛇状の010 101 010タイプの修正された第2反復のペアノ曲線)が、3つの異なる異型の第2反復を示す。
【0045】
あるいは、たとえば、丸い格子に修正されるボックスフラクタル(ヴィチェック・フラクタル、ミンコフスキー・アイランド)が、使用されうる。図2に示されるフラクタル・アンテナは、丸い格子に修正されうる。第1の3つの反復は、図12a〜図12cにおいて例示される。
【0046】
記載されている技術(導電性の配線のために記載されている概念)を用いて、アンテナ、導線および/または複合の回路は構築されうる。そして、それは、フラクタル構造の効果を利用するが、より単純なおよびより速い方法でおよび/または、とりわけ、より少ない反射および/または損失によって実現されうる。丸い格子上の配列のため、非接触の導線の経路指定は、手動で原型のフラクタル構造線部分を短くしなくても実現されうる(図13aおよび13b)。
【0047】
たとえば、バトラー・マトリックスは、2x2のアンテナ装置のために開発されて、その後、小型化された。回路は、(ポートの組合せに応じて)一様な振幅の割り当ておよび以下の位相の割り当てを実現することを意味する:−180度/−90度/−180度/−270度;−90度/−180度/−270度/−180度;−180度/−270度/−180度/−90度および−270度/−180度/−90度/−180度。
【0048】
構築されたバトラー・マトリックスの直接比較は、図14aおよび14bに示すことができる。図14bは、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分1410の形状のアーチ型のバリエーションのいくつかの事例を有する導電性の配線1400を示す。
【0049】
図14aおよび図14bに示される導電性の配線は、異なる区域において、異なる幅を有する。
【0050】
それは、(図14bにおける)小型化された供給ネットワークが、従来の構成(図14a)のほぼ3倍小さいことがわかる。回路は、90度ハイブリッド、クロス・カプラおよび遅延回路を含む。直列に接続される2つの90度ハイブリッドを小型化したような小型化されたクロス・カプラが構成されている。そして、各小型化された90度のハイブリッドが図11bの修正されたペアノ曲線(一部の)を表す。構築されたバトラー・マトリックスの測定結果は、以下の表にまとめられる。
【0051】
【表1】
【0052】
従来のおよび小型化されたバトラー・マトリックスの中で達成される結果は、ほぼ同一である。そして、小型化されたバトラー・マトリックスの所要スペースが、1/3だけとなる。
【0053】
フラクタル構造を有する空間充填曲線を有する上に、本発明によるいくつかの実施の形態は、製造されたアンテナ、導線および/または分布回路に関し、フラクタル構造は、正確な自己相似性またはスケール不変性を含み、少なくとも1つの反復ステージが実行され、あるいは、そのようなフラクタル曲線の1つ以上の区域が使用され、結果として得られる曲線は、非接触および屈曲なしの導線の経路指定が達成されるように、丸い格子によって修正され、その結果、原型のフラクタルの構造の導線部分は、非接触の経路指定を達成するために、手動で見軸する必要がない。それによって、従来の構成と比較すると、明らかに単純化された導線の経路指定が可能にされ、そして、反射に関する最適トランスミッションの特性が確実にされうる。
【0054】
いくつかの態様が装置の前後関係の範囲内で記載されていた場合であっても、前記態様も対応する方法の説明を表すものと理解される。その結果、装置のブロックまたは構造の構成要素は対応する方法ステップとして、または、方法ステップの特徴として理解されもすることになっている。それとともに類似によって、方法ステップと関連して、または、方法のステップとしても記載されていた態様は、対応する装置の対応するブロックまたは詳細または特徴の説明を表す。ハードウエア装置(たとえば、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路)を使用すると共に、方法ステップのいくらかまたは全ては実行されうる。いくつかの実施の形態では、いくらかまたは最も重要な方法ステップのいくつかは、そのような装置によって実行されうる。
【0055】
上記の実施の形態は、単に本発明の原理の実施の形態を表すだけである。他の当業者が本願明細書において記載されている準備および詳細のいかなる修正変更も正当に評価するものと理解される。このようなわけで、本発明は、実施の形態の説明および議論によって本願明細書において示された具体的な詳細によってよりむしろ以下の請求項の範囲だけによって制限されることを意図する。
【符号の説明】
【0056】
100 導電性の配線
【技術分野】
【0001】
本発明による実施の形態は、分布回路におけるアンテナまたは導線として、導電性の配線およびその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なって形づくられた導電性の配線を有するアンテナは公知であった。たとえば、米国特許第6,476,766号B1は、古典的フラクタル構造を使用している周知のフラクタル・アンテナおよびフラクタル回路を示す。そのようなフラクタル・アンテナは、図2に示される。ガリ,H(Ghali,H.);モーズリー,T.A.(Moselhy,T.A.)著,「小型化されたフラクタル・ラットレース、分岐線および結合線ハイブリッド(Fractal Rat−Race,Branch−Line and Coupled−Line Hybrids)」,マイクロ波理論およびIEEE論文集マイクロ波の理論および技術におけるIEEE論文集(IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques)、第52巻,No.11,2004年11月,pp.2513−2520によれば、第2反復におけるムーア・フラクタルとして、ラットレースハイブリッド(ハイブリッド結合器)の他の例が、図3において示される。
【0003】
米国特許出願公開第2010/0177001号A1のアンテナ構造が類似している。たとえば、第2から第6反復(n=2−6)における図6において描かれているように、それらは、修正された多角形のポリア曲線を表す。周知のアンテナのこのタイプは、無線周波数幅(RFレンジ)において、角および曲がりで、強い反射が起こるという不利な点を有する。そのような曲線を用いることによって、たとえば、遅延回路が小型化されうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、導電性の配線がRF信号のために使用された場合、導電性の配線における反射および/または損失の低減を可能にする導電性の配線を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載の導電性の配線によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による実施の形態は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションを含む導電性の配線を提供する。フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍より大きい。アーチ型である様々な形状は、方向の変更のために、既定の最小限の曲線半径より大きい曲線半径を含む。
【0007】
本発明による実施の形態は、フラクタル(少なくとも部分の中で)の形状を有する導電性の配線を使用するという中心的なアイデアに基づき、導電性の配線は、角というよりむしろアーチ型の部分を含む。このように、一方では、長い長さの導電性の配線は、フラクタル型の導電性の配線を利用することによって、非常にスペースをとらない方法で実現される。他方では、RF信号(無線周波数信号、たとえば、1,10,100または1000MHz)が使用される場合、(フラクタルの角の)アーチ型のバリエーションのため、導電性の配線における反射および損失は、明らかに低減されうる。
【0008】
本発明のいくつかの実施の形態において、ペアノ曲線またはボックスフラクタルが、形成的なフラクタルとして使用される。
【0009】
本発明の更なる実施の形態において、アーチ型を有する様々な形状が、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分のラスタの上に適合する。そのようなラスタを使用することによって、導電性の配線は、既定の最小限の曲線半径に達しないことのないその形状を系統的に与えられうる。
【0010】
本発明による実施の形態は、添付の図に関して以下において更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1a】図1aは、導電性の配線である。
【図1b】図1bは、第2反復ペアノ曲線の形状のアーチ形のバリエーションである。
【図1c】図1cは、既定の最小限の曲線半径のための可能な定義の概略図である。
【図2】図2は、周知のフラクタル・アンテナである。
【図3】図3は、周知のラットレースハイブリッドである。
【図4】図4は、連続した導電リード(導線)の周知の渦巻きの実施例である。
【図5】図5は、連続して導電リードの周知の渦巻きの更なる実施例である。
【図6】図6は、第2から第6反復における修正された多角形のポリア曲線である。
【図7】図7は、アーチ型の区分による第1反復のペアノ曲線の近似である。
【図8a】図8aは、第1反復のペアノ曲線である。
【図8b】図8bは、修正された第1反復のペアノ曲線である。
【図9a】図9aは、蛇状の000 000 000タイプの第2反復のペアノ曲線である。
【図9b】図9bは、蛇状の000 000 000タイプの修正された第2反復のペアノ曲線である。
【図10a】図10aは、蛇状の111 111 111タイプの第2反復のペアノ曲線である。
【図10b】図10bは、蛇状の111 111 111タイプの修正された第2反復のペアノ曲線である。
【図11a】図11aは、蛇状の101 101 010タイプの第2反復のペアノ曲線である。
【図11b】図11bは、蛇状の010 101 010タイプの修正された第2反復のペアノ曲線である。
【図12a】図12aは、修正された第1反復のボックスフラクタルである。
【図12b】図12bは、修正された第2反復のボックスフラクタルである。
【図12c】図12cは、修正された第3反復のボックスフラクタルである。
【図13a】図13aは、短縮線による非接触の経路設定を有するボックスフラクタルである。
【図13b】図13bは、丸い格子に対する配列による非接触の経路設定を有するボックスフラクタルである。
【図14】図14aは、従来のバトラー・マトリックスであり、図14bは、小型化されたバトラー・マトリックスである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、同じ参照番号が、同一であるか類似の機能的特性を有する目的および機能単位のために使われることがある。加えて、異なる実施の形態の任意の特徴は、相互に組合わせ可能であり、あるいは相互に交換可能でもよい。
【0013】
図1aは、本発明の実施の形態による導電性の配線100の概略図を示す。導電性の配線100は、少なくとも部分的に、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分で形状のアーチ型のバリエーションを含む。フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍より大きい。アーチ型である様々な形状は、方向の変更のために、既定の最小限の曲率半径Rminを含む。
【0014】
図1aは、アーチ型である様々な形状において、図1bにおいて示されるような第2反復のペアノ曲線の部分の形状を有する導電性の配線100の例を示す。導電性の配線100のために使用されるペアノ曲線の部分は、円160において描かれることによって明らかにされる。
【0015】
フラクタルに基づく形状を用いて、長い導電性の配線は、ほとんど空間を必要とせずに実現されうる。フラクタルの形状の、あるいは、一部のフラクタルのアーチ型のバリエーションのために、角または曲げにおいて、他存在される反射または損失が、全体として明らかに低減されるかまたは防止されうる。
【0016】
たとえば、導電性の配線は、銅、アルミニウムまたは異なる導電材料を含みうる。さらに、少なくとも部分のフラクタルのアーチ型のバリエーションとして形作られるその部分に加えて、導電性の配線100は、異なる形状を有するさらなる部分も含みうる。図1aにおいて示されるように、導電性の配線100は、たとえば、電気回路に接続しうる開放端を有しうる。あるいは、導電性の配線100は、閉曲線を形成することも可能であり、いかなる位置でも閉曲線に接続されうる。
【0017】
原則として、フラクタルは、いかなるフラクタルでもよく、たとえば、導電性の配線100のそれぞれのアプリケーションに依存する。曲線のフラクタルの特性は、たとえば、自己相似性によって認識されうる。たとえば、フラクタルは、ペアノ曲線またはボックスフラクタルでありうる。たとえば、蛇状のタイプのペアノ曲線が使用されうる。ボックスフラクタルまたは(蛇状のタイプの)ペアノ曲線を使用することによって、三角領域のみがポリア曲線を伴ってふさがっているのに対して、矩形または正方形領域が、反復ですでに満たされうる。
【0018】
ボックスフラクタルや(蛇状のタイプの)ペアノ曲線に当てはまる2つの反復ステップ(すなわち、1つの反復において)の間において、優先的な使用は、線分の数が少なくとも3倍になるフラクタルでできている。換言すれば、1つの反復ステップにおいて修正される線分の数は、少なくとも、3に設定される。しかしながら、ポリア曲線を伴って、線分の数は、各反復ステップによって2倍になるだけである。
【0019】
できるだけ多くの空間を節約する方法における導電性の配線100を実現するために、フラクタルは、たとえば、これに関連して、空間充填曲線として参照もされる空間充填フラクタルでもよい。
【0020】
【0021】
そのような空間充填曲線は、イニシエータ(始動図『ベース』)およびジェネレータ(構成の規格(formation specification)『モチーフ』)によって反復的に記載されうる。この構成の規格の反復適用によって、記載されている曲線の空間充填特性は、達成されうる。
【0022】
実用化において、反復は、N段階の後、中止されなければならない。そして、その結果、定義に従う曲線は、まだ、空間充填でない。しかしながら、構成の規格を用いて、(理論上は、)より小さいスケール間隔における如何なる長さのための反復も続けることが可能である。したがって、そのような構成の規格の存在は、曲線が空間充填特性を有するか否か、という問題に対して決定的である。
【0023】
空間充填特性は、(無限の継続とともに)反復の規格を用いて対応される。しかしながら、おそらく、反復ステージの間において、自己相似性は無いので、曲線がフラクタルの特性を有しなければならないことを意味しない。たとえば、垂直方向において、異方性のスケーリングだけが、反復ステージの間において行われることも可能である。
【0024】
しかしながら、記載されている概念により使用される構造は、正確な自己相関性に必要である反復の間における等方性のスケーリングを有するフラクタル曲線である。たとえば、前記反復は、準自己相似性または統計的自己相似性を有する曲線とも異なる。
【0025】
「少なくともフラクタルの部分」は、これが、特定の反復の全体のフラクタルでありうることを意味することを理解されている。換言すれば、フラクタルの部分は、フラクタルの厳密なサブセットである必要はなく、「フラクタルの部分」は、全体のフラクタルを意味するようにも理解しうる。異なって見えるように、全体のフラクタルは、いずれにしろ、より高い反復(たとえば、第3の全体の第3反復のフラクタルは、第4反復のフラクタルの部分である。)のフラクタルの部分でもある。
【0026】
しかしながら、第1反復のフラクタルがしばしば非常に単純な構造を有しているので、そして、さもなければ導線のスペースをとらないルーティングの効果がフラクタルの利用の効果を有しないので、フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の少なくとも2倍よりも大きくなければならない。「フラクタルの部分は、フラクタルの第1反復の2倍よりも大きい」の表現は、フラクタルの部分の範囲内における導電性の配線が、(アーチ型のバリエーションにおける)フラクタルの第1反復の形状の2倍以上を適応することを意味する。換言すれば、フラクタルの部分は、2倍以上の第1反復におけるフラクタル(の形状)を含む。
【0027】
多くのフラクタルは、それらの周知の表現において、角張った形を有する。フラクタルの前記周知の形状と比較すると、アーチ型の様々な形状は、導電性の配線の方向の変更のために、既定の最小限の曲線半径Rminを有し、最小限の曲線半径Rminは、それを下回らない。これに関連して、最小限の曲線半径は、たとえば、導電性の配線100の幅の、たとえば、少なくとも3倍(または、同様に、1.5倍、2倍、4倍、またはより多く)に等しい。あるいは、最小限の曲線半径は、以下の式により決定されうる。
ここで、Wは導電性の配線の幅であり、そして、Dminは、図1cにおいて示されるように、正方形の角の位置に配置されて、対角線上に互いに配置されるラスタの2つのリングにおける最小限の距離である。そして、以下において、更に詳細に記載する。
【0028】
導電性の配線の方向の変更の曲線半径は、方向の変更に対応するフェーズにおける、たとえば、導電性の配線の内半径、中心半径または外半径に関する。
【0029】
一般に、たとえば、導電性の配線100の長さは、導電性の配線100の幅の10倍(または、20倍、50倍、100倍もしくはそれ以上)より長く、導電性の配線の高さの10倍(または、20倍、50倍、100倍もしくはそれ以上)より長い。導電性の配線100は、その長手方向の延長(その最も長い延長の方向)において、アーチ型の様々な形状が適応する。
【0030】
導電性の配線100は、その長さ以上の一定の幅(または高さ)を有し、または、あるいは、異なる部分において、異なる幅(または高さ)を有する。これは、特定のアプリケーションによってされる要求に応じて、異なりうる。
【0031】
通常、導電性の配線100は、平面の範囲内において位置する。その結果、アーチ型の様々な形状は、容易に可視化される。これは、その長手方向の延長およびその横方向の延長において、導電性の配線は、平面の範囲内において延長するということを意味する。しかしながら、三次元構造が、導電性の配線100によって形成しうることも可能である。その結果、導電性の配線100の部分が、異なる平面の範囲内において位置しうる。
【0032】
導電性の配線100は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションのいくつかの事例を含む。これらは、同じフラクタルの部分でもよく、または異なるフラクタルでもよい。大きな空間の節約効果を達成するために、たとえば、導電性の配線100は、その長さの少なくとも50%(または、20%、30%、70%、80%あるいはそれ以上)以上の、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分のアーチ型のバリエーションの1つまたはいくつかの事例を含むことを明記されうる。
【0033】
本発明のいくつかの実施の形態において、導電性の配線は、アーチ型である様々な形状を有し、そして、もっぱら、(既定の最小限の曲線半径よりも大きい)同一の曲線半径を有する方向の変更を含む。それが、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分のアーチ型である様々な形状に対応するその部分よりも大きい場合、これは、全ての導電性の配線にも関しうる。
【0034】
そのような構造を設計する1つの可能性は、環状の区分からなるラスタに導電性の配線を適応させることである。換言すれば、アーチ型である様々な形状は、たとえば、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分(たとえば、図1c)のラスタ上に、適合する。環状の部分の平均直径は、環状の区分の内径(2*R1)のおよび外径(2*R2)の平均値である。ラスタの環状の区分は、大きさが等しい。
【0035】
本発明のいくつかの実施の形態は、記載される概念による導電性の配線を含むアンテナ、導線または分布回路に関する。
【0036】
このように、アンテナ、または、たとえば、遅延回路は、まさしく、空間の節約、低反射および/または低損失の方法において実現される。
【0037】
本発明によるいくつかの他の実施の形態は、導電性の配線を製造する方法に関し、そして、導電性の配線は、(基板に)記載されている形状によって製造される。
【0038】
丸い格子(環状の区分を有するラスタ)(形状のアーチ形のバリエーション)に修正される空間充填曲線およびフラクタルを利用すると共に、本発明によるいくつかの実施の形態は、アンテナ、導線および/または分布回路に関する。これに関連して、記載されている概念による導電性の配線が適用される。
【0039】
たとえば、分布回路は、無線周波数回路でもよい。換言すれば、アンテナ、導線および/または受動的な無線周波数回路は、修正された空間充填曲線および(または)フラクタルを用いて設計されうる。
【0040】
周知の回路またはアンテナにおいて、屈曲が生ずるように、導線が形成される。結果として生じる屈曲が先細りにならない場合、付加的な損失を結果として得るように、導線の伝送特性は妨げられる。損失において最も低いことは、(両面に)アーチ型の変わり目である;屈曲半径は、たとえば、導体幅の少なくとも3倍に等しい。これは、半径が、上述の値に及ばないように、アーチの特性インピーダンスが明らかに変化して、そして、不連続を示すという事実に起因する。ポプガエフ,A.E.(Popugaev,A.E.)およびヴァンシュ,R(Wansch,R)著,「マイクロストリップ供給ネットワーク設計における新規な小型化テクニック(A Novel Miniaturization Technique in Microstrip Feed Network Design)」,第3回 アンテナおよび伝播,ヨーロッパ会議(EuCAP 2009),議事録,CD−ROM:23−27,2009年3月,ベルリン,ドイツ,ベルリン:VDE−Verlag,2009年,pp.2309−2313において、直線タイプの導電リード/アーチの不連続が結果として得られるように、小型化される回路が完全にアーチ型に構成されうることが示された。補助ツールのそれが、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分からなるラスタを使用することができるように、各区分は、4つの等しい四分円に再分割される。丸い格子上に整列配置されるが、フラクタルまたは空間充填曲線ではない、いくつかの導線−ルーティング曲線が表される;また、反復の規格は、示されない。これらの曲線は、フリーハンドの曲線である;次のスケール・ステージ・ダウンへの移行のための反復の規格は、表示されず認識可能でもない。したがって、示される曲線は、空間充填曲線ではない。図4および図5は、直線の導電リードを巻き込むためのそのようなラスタを例示する。
【0041】
たとえば、フラクタルのための丸い区分を使用すると共に、遅延回路は効果的に小型化されうる。
【0042】
提案される概念は、屈曲が生じないように、修正されたペアノ曲線に基づいて、たとえば、フラクタル・アンテナおよび回路の設計を可能にする。その結果、反射に関する最適トランスミッションの特性は、たとえば、マイクロストリップ線回路で、特に、確実にされうる。
【0043】
丸い格子に修正されるペアノ曲線のために、図4および図5に従ってラスタを取り込み、図7に示される曲線を描き、45度によるラスタを有する曲線を回転させた場合、そのようになり、そして、それは、図8aおよび図8bにおいて示されるように、前記曲線が第1反復のペアノ曲線と非常に類似していることがわかる。図8aは、第1反復のペアノ曲線を示し、そして、図8bは、修正された第1反復のペアノ曲線を示す。修正された曲線は、アーチ型の区分を通じて、ペアノ曲線に近似しているようにみなしうる。
【0044】
図8aおよび図8bにおいて示される修正された第1反復のペアノ曲線の継続した再分割によって、修正された蛇状のタイプのペアノ曲線を得ることもできる。図9a(蛇状の000 000 000タイプの第2反復のペアノ曲線)および9b(蛇状の000 000 000タイプの修正された第2反復のペアノ曲線)、図10a(蛇状の111 111 111タイプの第2反復のペアノ曲線)、図10b(蛇状の111 111 111タイプの修正された第2反復のペアノ曲線)、図11a(蛇状の101 101 010タイプの第2反復のペアノ曲線)および図11b(蛇状の010 101 010タイプの修正された第2反復のペアノ曲線)が、3つの異なる異型の第2反復を示す。
【0045】
あるいは、たとえば、丸い格子に修正されるボックスフラクタル(ヴィチェック・フラクタル、ミンコフスキー・アイランド)が、使用されうる。図2に示されるフラクタル・アンテナは、丸い格子に修正されうる。第1の3つの反復は、図12a〜図12cにおいて例示される。
【0046】
記載されている技術(導電性の配線のために記載されている概念)を用いて、アンテナ、導線および/または複合の回路は構築されうる。そして、それは、フラクタル構造の効果を利用するが、より単純なおよびより速い方法でおよび/または、とりわけ、より少ない反射および/または損失によって実現されうる。丸い格子上の配列のため、非接触の導線の経路指定は、手動で原型のフラクタル構造線部分を短くしなくても実現されうる(図13aおよび13b)。
【0047】
たとえば、バトラー・マトリックスは、2x2のアンテナ装置のために開発されて、その後、小型化された。回路は、(ポートの組合せに応じて)一様な振幅の割り当ておよび以下の位相の割り当てを実現することを意味する:−180度/−90度/−180度/−270度;−90度/−180度/−270度/−180度;−180度/−270度/−180度/−90度および−270度/−180度/−90度/−180度。
【0048】
構築されたバトラー・マトリックスの直接比較は、図14aおよび14bに示すことができる。図14bは、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分1410の形状のアーチ型のバリエーションのいくつかの事例を有する導電性の配線1400を示す。
【0049】
図14aおよび図14bに示される導電性の配線は、異なる区域において、異なる幅を有する。
【0050】
それは、(図14bにおける)小型化された供給ネットワークが、従来の構成(図14a)のほぼ3倍小さいことがわかる。回路は、90度ハイブリッド、クロス・カプラおよび遅延回路を含む。直列に接続される2つの90度ハイブリッドを小型化したような小型化されたクロス・カプラが構成されている。そして、各小型化された90度のハイブリッドが図11bの修正されたペアノ曲線(一部の)を表す。構築されたバトラー・マトリックスの測定結果は、以下の表にまとめられる。
【0051】
【表1】
【0052】
従来のおよび小型化されたバトラー・マトリックスの中で達成される結果は、ほぼ同一である。そして、小型化されたバトラー・マトリックスの所要スペースが、1/3だけとなる。
【0053】
フラクタル構造を有する空間充填曲線を有する上に、本発明によるいくつかの実施の形態は、製造されたアンテナ、導線および/または分布回路に関し、フラクタル構造は、正確な自己相似性またはスケール不変性を含み、少なくとも1つの反復ステージが実行され、あるいは、そのようなフラクタル曲線の1つ以上の区域が使用され、結果として得られる曲線は、非接触および屈曲なしの導線の経路指定が達成されるように、丸い格子によって修正され、その結果、原型のフラクタルの構造の導線部分は、非接触の経路指定を達成するために、手動で見軸する必要がない。それによって、従来の構成と比較すると、明らかに単純化された導線の経路指定が可能にされ、そして、反射に関する最適トランスミッションの特性が確実にされうる。
【0054】
いくつかの態様が装置の前後関係の範囲内で記載されていた場合であっても、前記態様も対応する方法の説明を表すものと理解される。その結果、装置のブロックまたは構造の構成要素は対応する方法ステップとして、または、方法ステップの特徴として理解されもすることになっている。それとともに類似によって、方法ステップと関連して、または、方法のステップとしても記載されていた態様は、対応する装置の対応するブロックまたは詳細または特徴の説明を表す。ハードウエア装置(たとえば、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路)を使用すると共に、方法ステップのいくらかまたは全ては実行されうる。いくつかの実施の形態では、いくらかまたは最も重要な方法ステップのいくつかは、そのような装置によって実行されうる。
【0055】
上記の実施の形態は、単に本発明の原理の実施の形態を表すだけである。他の当業者が本願明細書において記載されている準備および詳細のいかなる修正変更も正当に評価するものと理解される。このようなわけで、本発明は、実施の形態の説明および議論によって本願明細書において示された具体的な詳細によってよりむしろ以下の請求項の範囲だけによって制限されることを意図する。
【符号の説明】
【0056】
100 導電性の配線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の配線(100)は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションを含み、
前記フラクタルの前記部分は、前記フラクタルの第1反復の2倍より大きく、
アーチ型である様々な前記形状は、方向の変更のために、既定の最小限の曲線半径(Rmin)より大きい曲線半径を含む、導電性の配線。
【請求項2】
前記フラクタルは、ペアノ曲線またはボックスフラクタルである、請求項1に記載の導電性の配線。
【請求項3】
前記フラクタルは、空間充填フラクタルである、請求項1または請求項2に記載の導電性の配線。
【請求項4】
前記導電性の配線(100)は、面の範囲内において位置する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項5】
前記導電性の配線(100)の長さは、前記導電性の配線(100)の幅の10倍より大きく、そして、前記導電性の配線(100)の高さの10倍より大きく、前記導電性の配線(100)は、その長手方向の延長において、アーチ型である様々な前記形状を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項6】
前記既定の最小限の曲線半径は、以下の式に等しく、
ここで、Wは、前記導電性の配線の前記幅であり、そして、Dminは、正方形の角の位置に配置されて、対角線上に互いに配置されるラスタの2つのリングにおける最小限の距離である、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項7】
アーチ型である様々な前記形状は、前記同じ曲線半径を有する方向の変更だけ含む、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項8】
アーチ型である様々な前記形状は、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分のラスタの上に適合する、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項9】
前記導電性の配線(100)は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションのいくつかの事例を含む、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項10】
前記導電性の配線(100)は、その長さの少なくとも50%以上の、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分のアーチ型のバリエーションの1つまたはいくつかの事例を含む、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の導電性の配線(100)を含む、アンテナ、導線または分布回路。
【請求項1】
導電性の配線(100)は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションを含み、
前記フラクタルの前記部分は、前記フラクタルの第1反復の2倍より大きく、
アーチ型である様々な前記形状は、方向の変更のために、既定の最小限の曲線半径(Rmin)より大きい曲線半径を含む、導電性の配線。
【請求項2】
前記フラクタルは、ペアノ曲線またはボックスフラクタルである、請求項1に記載の導電性の配線。
【請求項3】
前記フラクタルは、空間充填フラクタルである、請求項1または請求項2に記載の導電性の配線。
【請求項4】
前記導電性の配線(100)は、面の範囲内において位置する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項5】
前記導電性の配線(100)の長さは、前記導電性の配線(100)の幅の10倍より大きく、そして、前記導電性の配線(100)の高さの10倍より大きく、前記導電性の配線(100)は、その長手方向の延長において、アーチ型である様々な前記形状を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項6】
前記既定の最小限の曲線半径は、以下の式に等しく、
ここで、Wは、前記導電性の配線の前記幅であり、そして、Dminは、正方形の角の位置に配置されて、対角線上に互いに配置されるラスタの2つのリングにおける最小限の距離である、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項7】
アーチ型である様々な前記形状は、前記同じ曲線半径を有する方向の変更だけ含む、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項8】
アーチ型である様々な前記形状は、それらの平均直径の距離で配置される環状の区分のラスタの上に適合する、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項9】
前記導電性の配線(100)は、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分の形状のアーチ型のバリエーションのいくつかの事例を含む、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項10】
前記導電性の配線(100)は、その長さの少なくとも50%以上の、少なくとも第2反復の少なくともフラクタルの部分のアーチ型のバリエーションの1つまたはいくつかの事例を含む、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の導電性の配線。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の導電性の配線(100)を含む、アンテナ、導線または分布回路。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【公開番号】特開2012−222826(P2012−222826A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−87775(P2012−87775)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(591037214)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ (259)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87775(P2012−87775)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(591037214)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ (259)
【Fターム(参考)】
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