導電性シリカ系中空粒子の製造方法
【課題】 導電性を有すると共に、光学的な透明性を備えたシリカ系中空粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法は、(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、を含む。
【解決手段】 本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法は、(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性シリカ系中空粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬や化粧品、光学分野で使用可能な機能性中空粒子の開発が行われている。機能性中空粒子の中でも、透明性および強度に優れたシリカ系被覆層を有する中空粒子が特に注目されている(例えば、特許文献1ないし3参照)。
【0003】
また、このようなシリカ系被覆層を有する中空粒子に様々な機能を付与する研究も行われている。例えば、特許文献4には、紫外線に対して高い反射率を有し、また、水蒸気を透過しにくい光半導体用反射剤が開示されている。
【0004】
しかしながら、シリカ系被覆層を有する中空粒子に導電性を付与した研究例は、ほとんど見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−330606号公報
【特許文献2】特開平7−013137号公報
【特許文献3】特開平11−029318号公報
【特許文献4】特開2008−243892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、中空粒子が本来有する光学的な透明性を損なうことなく、導電性が付与されたシリカ系中空粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法は、
(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、
(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、
(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、
を含む。
【0008】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法において、前記工程(b)を行う前に、さらに、減圧下で前記シリカ系中空粒子を加熱する工程を含むことができる。
【0009】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法において、前記工程(b)は、減圧下で行うことができる。
【0010】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法において、前記工程(a)における前記シリカ系中空粒子の合成方法として、有機粒子テンプレート法を用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記導電性シリカ系中空粒子の製造方法によれば、シリカ系中空粒子が本来有する光学的な透明性を損なうことなく、シリカ系中空粒子に導電性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1で作製されたシリカ系中空粒子のTEM写真である。
【図2】電気抵抗率を測定するための治具を模式的に示した断面図である。
【図3】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図4】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図5】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図6】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図7】実施例1で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図8】実施例1で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図9】実施例1で作製された導電性シリカ系中空粒子のTEM写真である。
【図10】実施例2で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図11】実施例2で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図12】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図13】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図14】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図15】実施例1および実施例2で作製された導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンである。
【図16】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法について具体的に説明する。
【0014】
1.導電性シリカ系中空粒子の製造方法
本実施の形態に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法は、
(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、
(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、
(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、を含む。
【0015】
以下、本実施の形態に係る導電性中空粒子の製造方法について、各工程ごとに説明する。
【0016】
1.1.工程(a)
工程(a)は、シリカ系中空粒子を合成する工程である。工程(a)は、シリカ系中空粒子を合成することができれば、特に限定されない。シリカ系中空粒子の合成方法として、例えば、以下に掲げる方法が挙げられる。
【0017】
1.1.1.有機粒子テンプレート法
(1)まず、コアとなる有機粒子を用意する。かかる有機粒子としては、除去可能なテンプレートであれば特に制限されないが、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂が挙げられる。かかる有機粒子の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜50,000である。なお、この重量平均分子量は、GPC測定装置を用いて測定することができる。本願発明に用いる有機粒子の重量平均分子量を測定する場合、通常、標準物質としてポリスチレンを用い、カラムは超高分子測定用カラムを使用し、溶出液としてはテトラヒドロフランを使用し、40℃において測定する。
【0018】
かかる有機粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10〜5,000nmであり、より好ましくは30〜1,000nmであり、特に好ましくは50〜500nmである。なお、この平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定することができる。かかる有機粒子の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。
【0019】
(2)次に、前記有機粒子の表面に選択的にシェルとなるシリカを析出させることで、コア/シェル粒子を得る。有機粒子の表面にシリカを析出させる方法としては、ゾルゲル法が好ましい。
【0020】
ゾルゲル法とは、金属アルコキシドからなるゾルを加水分解反応ないし重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、該ゲルを加熱して酸化物を得る方法である。ここで、金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。これらの化合物の中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。前記例示した金属アルコキシドは、1種単独でまたは2種以上を同時に使用してもよい。
【0021】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒が好ましい。
【0022】
加水分解反応ないし重縮合反応における反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃である。また、加水分解反応ないし重縮合反応における反応時間は、30〜1,000分間、好ましくは30〜300分間である。
【0023】
ゾルゲル法では、加水分解反応ないし重縮合反応を促進させる観点から、塩基性化合物を触媒として使用することが好ましい。触媒として使用可能な塩基性化合物としては、アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。これらの化合物の中でも、アンモニアが好ましい。
【0024】
(3)次に、得られたコア/シェル粒子を濾過・乾燥後、前記有機粒子を除去することで、シリカ系中空粒子が得られる。有機粒子の除去方法としては、熱分解法(燃焼法)や化学分解法が挙げられる。
【0025】
熱分解法においては、コアの有機粒子の種類により異なるが、好ましくは100℃以上、より好ましくは450℃以上に加熱する。これにより、コアを構成する有機粒子を分解しガス化させてコア/シェル粒子内部から飛散させて、粒子の内部に空孔を形成することができる。加熱する際の雰囲気は、特に限定されず、空気、酸素存在下以外にも、真空、不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
【0026】
かかる有機粒子テンプレート法によれば、コアとなる有機粒子を除去することでコア/シェル粒子を中空化するため、中空形状の安定したシリカ系中空粒子を得ることができる。また、コアとなる有機粒子のサイズがシリカ系中空粒子の中空径となるので、シリカ系中空粒子のサイズを制御しやすい。
【0027】
1.1.2.無機粒子テンプレート法
無機粒子テンプレート法は、以下の点で有機粒子テンプレート法とは異なる。
【0028】
(1)テンプレートとして炭酸カルシウム等の無機粒子を使用する。無機テンプレート法は、無機結晶特有の晶癖を用いることで、有機粒子テンプレート法ではなし得なかったユニークな形状粒子の合成が可能となる。
【0029】
(2)無機粒子の除去には、塩酸等の無機酸を使用する。有機粒子テンプレート法は、有機粒子の除去方法として熱分解法(燃焼法)や化学分解法を使用するが、環境に対する負荷が大きいという欠点があった。例えば、有機粒子としてポリスチレン粒子を用いた場合、溶解除去にはトルエン等の有機溶媒が用いられ、有機廃液を生じることとなる。また、燃焼法でポリスチレン粒子を除去する工程では大量の二酸化炭素を排出することとなる。一方、無機粒子テンプレート法は、無機粒子の除去に塩酸等の無機酸を使用することで、廃酸水溶液である塩化カルシウム水溶液および溶解時に生成する二酸化炭素を再び炭酸カルシウム合成原料として用いることができる。
【0030】
1.2.工程(b)
工程(b)は、工程(a)で得られたシリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程である。
【0031】
工程(b)を行う前に、あらかじめ工程(a)で得られたシリカ系中空粒子を減圧下で乾燥させる工程を行うことが好ましい。かかる工程を行うことにより、工程(a)で作製されたシリカ系中空粒子が完全に乾燥されて、工程(b)を行うに際し適した材料となる。
【0032】
本工程は、例えば三叉フラスコの口に分液ロートを接続し、別の口にチューブを介してロータリーポンプを接続した減圧滴下装置を用いて行うことができる。具体的には、工程(a)で得られたシリカ系中空粒子を三叉フラスコに適量投入し、分液ロートには塩化スズ(IV)溶液をセットする。次いで、ロータリーポンプで減圧しながら、分液ロートから塩化スズ(IV)溶液を徐々に滴下することで、シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させることができる。減圧条件下とすることにより、シリカ系中空粒子へのスズイオンの吸着反応を促進させることができる。その後、シリカ系中空粒子へのスズイオンの吸着量を増加させるため、室温下で撹拌してもよい。
【0033】
塩化スズ(IV)溶液の溶媒としては、水または有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン系溶媒等を挙げることができる。
【0034】
本工程において塩化スズ(IV)溶液を用いる理由は、後述する工程(c)において焼成することによりシリカ系中空粒子に吸着したスズイオンを酸化させて、導電性を有するルチル型酸化スズ(IV)の結晶を成長させるためである。
【0035】
1.3.工程(c)
工程(c)は、スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程である。
【0036】
シリカ系中空粒子分散液からシリカ系中空粒子を分離する方法としては、特に制限されず、例えば遠心分離、加圧濾過等の公知の方法を採用することができる。
【0037】
分離されたシリカ系中空粒子を焼成する前に、該シリカ系中空粒子を水などの溶媒で洗浄してもよい。しかしながら、水などの溶媒で過剰に洗浄してしまうと、シリカ系中空粒子に吸着したスズイオンも同時に洗い流されてしまうので注意を要する。また、水などの溶媒で洗浄したシリカ系中空粒子を乾燥させる工程を設けてもよい。乾燥工程としては、例えば40〜100℃に設定した恒温槽内で約1日間静置させれば十分である。
【0038】
本工程ではスズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を焼成することで、該スズイオンを酸化させてルチル型酸化スズの結晶へと成長させることができる。これにより、シリカ系中空粒子が本来有する光学的な透明性を損なうことなく、シリカ系中空粒子に導電性を付与することができる。スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子の焼成温度は、好ましくは400℃以上900℃以下、より好ましくは500℃以上700℃以下である。焼成温度が900℃を超えると、シリカ系中空粒子の表面が緻密化し、シリカ系中空粒子の表面にクラックが入りやすくなる。一方、焼成温度が400℃未満では、ルチル型酸化スズが結晶化しにくい。
【0039】
2.実施例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
2.1.実施例1
2.1.1.シリカ系中空粒子の合成
上述した有機粒子テンプレート法を用いて、シリカ系中空粒子を合成した。その合成方法の詳細について、以下に示す。
【0041】
平均一次粒子径80nmのポリスチレン粒子分散液(固形分濃度10.8質量%)1mlを100mlの2−プロパノールにより希釈し、超音波照射により十分に分散させた。
【0042】
次いで、アンモニア水溶液を2.0ml加え、さらにテトラエトキシシラン(TEOS)を84.2mmol/lおよび水を1778mmol/lの濃度となるように添加し、20℃恒温水槽中で4時間振とうして反応させた。なお、反応系のpHは、11.4であった。
【0043】
反応終了後、両親媒性フィルター(孔径0.2μm)を用い、ゲージ圧0.3MPaとした加圧濾過を行い、固液分離した。得られたコア/シェル粒子をエタノールで2回洗浄し、乾燥させた。続いて、該コア/シェル粒子を500℃で2時間加熱することで、コアのポリスチレン粒子を除去した。
【0044】
以上の方法により、シリカ系中空粒子を合成した。図1は、合成されたシリカ系中空粒子のTEM写真である。図1より、合成されたシリカ系中空粒子は、10nm程度の均一なシリカ殻を有する中空粒子であることが確認された。
【0045】
2.1.2.導電性シリカ系中空粒子の合成
上記「2.1.1.シリカ系中空粒子の合成」で合成されたシリカ系中空粒子100mgをフラスコに投入し、フラスコ内を減圧しながらマントルヒーターを用いて200℃で2時間加熱した。加熱後自然冷却させて、フラスコ上部に接続した分液ロートから15mMの塩化スズ(IV)水溶液50mlを徐々に滴下した。さらに、室温下で2日間撹拌することにより、シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させた。
【0046】
次いで、加圧濾過を行い固液分離させ、得られた濾過残留物を100mlの水で洗浄した後、100℃で1日間乾燥させた。
【0047】
次いで、該濾過残留物を500℃、2時間仮焼することにより、導電性シリカ系中空粒子を合成した。
【0048】
2.2.実施例2
上記「2.1.2.導電性シリカ系中空粒子の合成」において、「15mMの塩化スズ(IV)水溶液」に代えて「70mMの塩化スズ(IV)水溶液」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性シリカ系中空粒子を合成した。
【0049】
2.3.実施例3
2.3.1.アセチルアセトナート塩化スズ(IV)溶液の作製
アセチルアセトン100mlに所定量の塩化スズ(IV)無水物を添加し十分に撹拌することにより、0.5Mのアセチルアセトナート塩化スズ溶液を得た。
【0050】
2.3.2.導電性シリカ系中空粒子の合成
上記「2.1.1.シリカ系中空粒子の合成」で合成されたシリカ系中空粒子100mgをフラスコに投入し、フラスコ内を減圧しながらマントルヒーターを用いて200℃で2時間加熱した。加熱後自然冷却させて、フラスコ上部に接続した分液ロートから0.5Mのアセチルアセトナート塩化スズ溶液10mlを徐々に滴下した。さらに、25℃で5日間撹拌することにより、シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させた。
【0051】
次いで、加圧濾過(ゲージ圧:0.3MPa)を行い固液分離させ、得られた濾過残留物を50℃で12時間乾燥させた。
【0052】
次いで、該濾過残留物をマッフル炉で第1熱処理(200℃、2時間)し、その後管状炉でさらに第2熱処理(600℃、1時間、酸素流速:30ml/分)することにより、導電性シリカ系中空粒子を得た。
【0053】
2.4.評価方法
2.4.1.顕微鏡による観察
カーボンペーストを試料台の表面に塗布し、そこに実施例1〜実施例3で合成した導電性シリカ系中空粒子を載せて乾燥(100℃、24時間)させたものを、走査型電子顕微鏡(型式「JSM−7000F」、JEOL社製)を用いて加速電圧10.0kV、倍率10万倍で観察した。
【0054】
実施例1で合成した導電性シリカ系中空粒子のエタノール分散液を銅製のマイクログリッドに滴下し乾燥させたものを観察試料とし、透過型電子顕微鏡(型式「2000−EX」、JEOL社製)を用いて加速電圧160.0kVで観察した。
【0055】
2.4.2.XRD測定
実施例1〜実施例3で合成した導電性シリカ系中空粒子に含まれている酸化スズの結晶の状態を解析するため、X線回折(XRD)解析を行った。測定装置は、Rigaku社製の「RINT1000」を使用した。測定条件は、Cu管球で印加電圧が30kV、電流が20M:A、2°/分のスキャン速度であった。
【0056】
2.4.3.電気抵抗率測定
実施例1〜実施例3で合成した導電性シリカ系中空粒子の導電性を評価するため、導電性シリカ系中空粒子の粉体層を圧縮させながら電気抵抗を測定できる治具100を作製した。図2に、治具100を模式的に示した断面図を示す。治具100は、第1の部材10、第2の部材20、および第3の部材30から構成されている。第1の部材10は、直径10mmの嵌合部12を中心に有する円筒形状の部材14と、嵌合部12と嵌合し且つ第2の部材20とも嵌合するように形成された棒部を中心に有する円板状の部材16と、が組み合わされて構成されている。第3の部材30は、直径10mmの嵌合部32を中心に有する円筒形状の部材34と、嵌合部32と嵌合し且つ第2の部材20とも嵌合するように形成された棒部を中心に有する円板状の部材36と、が組み合わされて構成されている。第2の部材20は、円筒形状であり、直径10mmの貫通孔22を該部材の中心に有しており、貫通孔22が円板状の部材16および36と嵌合するように形成されている。円筒形状の部材14、20、34は、ポリテトラフルオロエチレン製であり、円板状の部材16、36は、ステンレス製である。また、円板状の部材16および36の側面には、(図示しない)金属のネジ部が設けられており、かかるネジ部と抵抗測定装置とが電気的に接続されるようになっている。
【0057】
図3ないし図6に、治具100を用いた電気抵抗率の測定方法を模式的に示した断面図を示す。まず、図3に示すように、第3の部材30に第2の部材20を差し込み、第2の部材20に形成された貫通孔22に導電性シリカ系中空粒子40を投入し、タップ充填させた。次に、図4に示すように、第2の部材20の貫通孔22に第1の部材10を差し込んで、円板状の部材16および36に設けられた金属のネジ部を抵抗測定装置50(2000 MULTIETER KEITHLEY社製)に繋ぎ、第1の部材10の上部から圧力を加えた。なお、導電性シリカ系中空粒子40の圧縮は、強度試験機(AUTOGRAPH AGS−G SHIM、ADZU社製)を流用した。
【0058】
図5に示すように、導電性シリカ系中空粒子40を投入せずに圧縮応力が50.1kPa(4000N)に達した時の位置a(cm)および抵抗値x(Ω)を記録した。次に、図6に示すように、導電性シリカ系中空粒子40を投入し0.2(mm/分)の速度で圧縮させた。その間、圧縮中の位置b(cm)と抵抗値y(Ω)を0.1mmごとに記録した。得られたデータから、下記式(1)を用いて、抵抗率R(Ω)を求めた。
R=S(y−x)/(b−a) …(1)
なお、上記一般式(1)中のSは、粉体面の断面積(cm2)である。
【0059】
2.5.評価結果
2.5.1.顕微鏡による観察
図7および図8に、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子のSEM写真を示す。図7は、仮焼前のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図8は、仮焼後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図7に示したSEM写真より、仮焼前のシリカ系中空粒子は、図1に示したシリカ系中空粒子とほとんど変わらない外観であることが分かった。一方、図8に示したSEM写真より、仮焼後のシリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子が存在していることが分かった。
【0060】
図9に、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子のTEM写真を示す。図9は、仮焼後の導電性シリカ系中空粒子のTEM写真である。図9に示すように、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子(平均粒径5〜7mm)が存在していることが分かった。
【0061】
図10および図11に、実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子のSEM写真を示す。図10は、仮焼前のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図11は、仮焼後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図10に示したSEM写真より、仮焼前のシリカ系中空粒子は、図1に示したシリカ系中空粒子とほとんど変わらない外観であることが分かった。一方、図11に示したSEM写真より、仮焼後のシリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子(平均粒径5〜7mm)が存在していることが分かった。
【0062】
以上の結果より、スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程(c)が必須であることが分かった。
【0063】
図12ないし図14に、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子のSEM写真を示す。図12は、熱処理前のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図13は、第1熱処理後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図14は、第2熱処理後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図12および図13に示すように、第2熱処理前までのシリカ系中空粒子は、図1に示したシリカ系中空粒子とほとんど変わらない外観であることが分かった。一方、図14に示したSEM写真(特に円で囲んだ部分など)から、第2熱処理後のシリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子が存在していることが分かった。なお、シリカ系中空粒子の表面には酸化スズと見られる微細な粒子の存在が認められたが、シリカ系中空粒子の間隙には酸化スズの存在は認められなかった。
【0064】
以上の結果より、アセチルアセトナート塩化スズ(IV)溶液を用いて導電性シリカ系中空粒子を作製した場合には、第1熱処理(200℃、2時間)後にさらに第2熱処理(600℃、1時間)を行うことで、シリカ系中空粒子の表面に酸化スズと見られる微細な粒子を形成できることが分かった。
【0065】
2.5.2.XRD測定
図15に、実施例1および実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンを示す。図15の結果より、実施例1および実施例2で作製したいずれの導電性シリカ系中空粒子においても、酸化スズの結晶に基づくピーク(110、101、211)が認められた。
【0066】
図15に示したXRDパターンから、シェラーの式により結晶子サイズを算出した。計算式を以下に示す。
D=0.9λ/βcosθ …(2)
【0067】
上記式(2)において、D:結晶子サイズ(nm)、λ:回折に用いたX線の波長(CuKα1≒1.00207789Å)、β:ピークの半値幅、θ:ピークの回折角度である。なお、結晶子サイズの算出には、ルチル型酸化スズにおける最も強度が高い(110)ピークを用いた。その結果、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子の結晶子サイズは、5.8nmであった。一方、実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子の結晶子サイズは、5.9nmであった。
【0068】
以上の結果より、実施例1および実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子の結晶子サイズは、SEM写真およびTEM写真で観察された微細な粒子のサイズとほぼ一致することが確認された。
【0069】
図16に、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンを示す。図16の結果より、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子においても、非晶質特有の低角度側の立ち上がりと酸化スズの結晶に基づくピーク(110、101、211)が認められた。
【0070】
2.5.3.電気抵抗率測定
表1に、実施例1〜実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子の最大圧縮応力時における抵抗値を示す。また、比較対照例として、上記「2.1.1.シリカ系中空粒子の合成」で合成された(スズを含有していない)シリカ系中空粒子の最大圧縮応力時における抵抗値の測定を試みたが、抵抗率が高すぎたため測定することができなかった。
【0071】
【表1】
【0072】
酸化スズ粒子の抵抗率は、102Ω・cm程度であることが報告されている。表1の結果から実施例1〜実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子の抵抗率は、酸化スズ粒子と比較すると高い数値ではあったが、いずれの粒子も導電性を有することが確認された。なお、表1の結果から、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子の抵抗率は、実施例1および実施例2の場合と比較して抵抗率が低くなることが分かった。この結果は、塩化スズをアセチルアセトナート修飾することによりシリカ粒子表面とスズイオンの相互作用が高まり、これによりシリカ粒子表面に酸化スズを選択的に析出させて、比較的高い導電性が付与できたことを意味する。
【0073】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0074】
10…第1の部材、12…嵌合部、14…円筒形状の部材、16…円板状の部材、20…第2の部材、22…貫通孔、30…第3の部材、32…嵌合部、34…円筒形状の部材、36…円板状の部材、40…導電性シリカ系中空粒子、50…抵抗測定装置、100…治具
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性シリカ系中空粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬や化粧品、光学分野で使用可能な機能性中空粒子の開発が行われている。機能性中空粒子の中でも、透明性および強度に優れたシリカ系被覆層を有する中空粒子が特に注目されている(例えば、特許文献1ないし3参照)。
【0003】
また、このようなシリカ系被覆層を有する中空粒子に様々な機能を付与する研究も行われている。例えば、特許文献4には、紫外線に対して高い反射率を有し、また、水蒸気を透過しにくい光半導体用反射剤が開示されている。
【0004】
しかしながら、シリカ系被覆層を有する中空粒子に導電性を付与した研究例は、ほとんど見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−330606号公報
【特許文献2】特開平7−013137号公報
【特許文献3】特開平11−029318号公報
【特許文献4】特開2008−243892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、中空粒子が本来有する光学的な透明性を損なうことなく、導電性が付与されたシリカ系中空粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法は、
(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、
(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、
(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、
を含む。
【0008】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法において、前記工程(b)を行う前に、さらに、減圧下で前記シリカ系中空粒子を加熱する工程を含むことができる。
【0009】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法において、前記工程(b)は、減圧下で行うことができる。
【0010】
本発明に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法において、前記工程(a)における前記シリカ系中空粒子の合成方法として、有機粒子テンプレート法を用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記導電性シリカ系中空粒子の製造方法によれば、シリカ系中空粒子が本来有する光学的な透明性を損なうことなく、シリカ系中空粒子に導電性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1で作製されたシリカ系中空粒子のTEM写真である。
【図2】電気抵抗率を測定するための治具を模式的に示した断面図である。
【図3】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図4】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図5】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図6】治具の使用方法を模式的に示した断面図である。
【図7】実施例1で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図8】実施例1で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図9】実施例1で作製された導電性シリカ系中空粒子のTEM写真である。
【図10】実施例2で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図11】実施例2で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図12】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図13】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図14】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のSEM写真である。
【図15】実施例1および実施例2で作製された導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンである。
【図16】実施例3で作製された導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法について具体的に説明する。
【0014】
1.導電性シリカ系中空粒子の製造方法
本実施の形態に係る導電性シリカ系中空粒子の製造方法は、
(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、
(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、
(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、を含む。
【0015】
以下、本実施の形態に係る導電性中空粒子の製造方法について、各工程ごとに説明する。
【0016】
1.1.工程(a)
工程(a)は、シリカ系中空粒子を合成する工程である。工程(a)は、シリカ系中空粒子を合成することができれば、特に限定されない。シリカ系中空粒子の合成方法として、例えば、以下に掲げる方法が挙げられる。
【0017】
1.1.1.有機粒子テンプレート法
(1)まず、コアとなる有機粒子を用意する。かかる有機粒子としては、除去可能なテンプレートであれば特に制限されないが、例えばポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂が挙げられる。かかる有機粒子の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜50,000である。なお、この重量平均分子量は、GPC測定装置を用いて測定することができる。本願発明に用いる有機粒子の重量平均分子量を測定する場合、通常、標準物質としてポリスチレンを用い、カラムは超高分子測定用カラムを使用し、溶出液としてはテトラヒドロフランを使用し、40℃において測定する。
【0018】
かかる有機粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10〜5,000nmであり、より好ましくは30〜1,000nmであり、特に好ましくは50〜500nmである。なお、この平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定することができる。かかる有機粒子の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。
【0019】
(2)次に、前記有機粒子の表面に選択的にシェルとなるシリカを析出させることで、コア/シェル粒子を得る。有機粒子の表面にシリカを析出させる方法としては、ゾルゲル法が好ましい。
【0020】
ゾルゲル法とは、金属アルコキシドからなるゾルを加水分解反応ないし重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、該ゲルを加熱して酸化物を得る方法である。ここで、金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。これらの化合物の中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。前記例示した金属アルコキシドは、1種単独でまたは2種以上を同時に使用してもよい。
【0021】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒が好ましい。
【0022】
加水分解反応ないし重縮合反応における反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃である。また、加水分解反応ないし重縮合反応における反応時間は、30〜1,000分間、好ましくは30〜300分間である。
【0023】
ゾルゲル法では、加水分解反応ないし重縮合反応を促進させる観点から、塩基性化合物を触媒として使用することが好ましい。触媒として使用可能な塩基性化合物としては、アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。これらの化合物の中でも、アンモニアが好ましい。
【0024】
(3)次に、得られたコア/シェル粒子を濾過・乾燥後、前記有機粒子を除去することで、シリカ系中空粒子が得られる。有機粒子の除去方法としては、熱分解法(燃焼法)や化学分解法が挙げられる。
【0025】
熱分解法においては、コアの有機粒子の種類により異なるが、好ましくは100℃以上、より好ましくは450℃以上に加熱する。これにより、コアを構成する有機粒子を分解しガス化させてコア/シェル粒子内部から飛散させて、粒子の内部に空孔を形成することができる。加熱する際の雰囲気は、特に限定されず、空気、酸素存在下以外にも、真空、不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
【0026】
かかる有機粒子テンプレート法によれば、コアとなる有機粒子を除去することでコア/シェル粒子を中空化するため、中空形状の安定したシリカ系中空粒子を得ることができる。また、コアとなる有機粒子のサイズがシリカ系中空粒子の中空径となるので、シリカ系中空粒子のサイズを制御しやすい。
【0027】
1.1.2.無機粒子テンプレート法
無機粒子テンプレート法は、以下の点で有機粒子テンプレート法とは異なる。
【0028】
(1)テンプレートとして炭酸カルシウム等の無機粒子を使用する。無機テンプレート法は、無機結晶特有の晶癖を用いることで、有機粒子テンプレート法ではなし得なかったユニークな形状粒子の合成が可能となる。
【0029】
(2)無機粒子の除去には、塩酸等の無機酸を使用する。有機粒子テンプレート法は、有機粒子の除去方法として熱分解法(燃焼法)や化学分解法を使用するが、環境に対する負荷が大きいという欠点があった。例えば、有機粒子としてポリスチレン粒子を用いた場合、溶解除去にはトルエン等の有機溶媒が用いられ、有機廃液を生じることとなる。また、燃焼法でポリスチレン粒子を除去する工程では大量の二酸化炭素を排出することとなる。一方、無機粒子テンプレート法は、無機粒子の除去に塩酸等の無機酸を使用することで、廃酸水溶液である塩化カルシウム水溶液および溶解時に生成する二酸化炭素を再び炭酸カルシウム合成原料として用いることができる。
【0030】
1.2.工程(b)
工程(b)は、工程(a)で得られたシリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程である。
【0031】
工程(b)を行う前に、あらかじめ工程(a)で得られたシリカ系中空粒子を減圧下で乾燥させる工程を行うことが好ましい。かかる工程を行うことにより、工程(a)で作製されたシリカ系中空粒子が完全に乾燥されて、工程(b)を行うに際し適した材料となる。
【0032】
本工程は、例えば三叉フラスコの口に分液ロートを接続し、別の口にチューブを介してロータリーポンプを接続した減圧滴下装置を用いて行うことができる。具体的には、工程(a)で得られたシリカ系中空粒子を三叉フラスコに適量投入し、分液ロートには塩化スズ(IV)溶液をセットする。次いで、ロータリーポンプで減圧しながら、分液ロートから塩化スズ(IV)溶液を徐々に滴下することで、シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させることができる。減圧条件下とすることにより、シリカ系中空粒子へのスズイオンの吸着反応を促進させることができる。その後、シリカ系中空粒子へのスズイオンの吸着量を増加させるため、室温下で撹拌してもよい。
【0033】
塩化スズ(IV)溶液の溶媒としては、水または有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ノルマルプロピル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン系溶媒等を挙げることができる。
【0034】
本工程において塩化スズ(IV)溶液を用いる理由は、後述する工程(c)において焼成することによりシリカ系中空粒子に吸着したスズイオンを酸化させて、導電性を有するルチル型酸化スズ(IV)の結晶を成長させるためである。
【0035】
1.3.工程(c)
工程(c)は、スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程である。
【0036】
シリカ系中空粒子分散液からシリカ系中空粒子を分離する方法としては、特に制限されず、例えば遠心分離、加圧濾過等の公知の方法を採用することができる。
【0037】
分離されたシリカ系中空粒子を焼成する前に、該シリカ系中空粒子を水などの溶媒で洗浄してもよい。しかしながら、水などの溶媒で過剰に洗浄してしまうと、シリカ系中空粒子に吸着したスズイオンも同時に洗い流されてしまうので注意を要する。また、水などの溶媒で洗浄したシリカ系中空粒子を乾燥させる工程を設けてもよい。乾燥工程としては、例えば40〜100℃に設定した恒温槽内で約1日間静置させれば十分である。
【0038】
本工程ではスズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を焼成することで、該スズイオンを酸化させてルチル型酸化スズの結晶へと成長させることができる。これにより、シリカ系中空粒子が本来有する光学的な透明性を損なうことなく、シリカ系中空粒子に導電性を付与することができる。スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子の焼成温度は、好ましくは400℃以上900℃以下、より好ましくは500℃以上700℃以下である。焼成温度が900℃を超えると、シリカ系中空粒子の表面が緻密化し、シリカ系中空粒子の表面にクラックが入りやすくなる。一方、焼成温度が400℃未満では、ルチル型酸化スズが結晶化しにくい。
【0039】
2.実施例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
2.1.実施例1
2.1.1.シリカ系中空粒子の合成
上述した有機粒子テンプレート法を用いて、シリカ系中空粒子を合成した。その合成方法の詳細について、以下に示す。
【0041】
平均一次粒子径80nmのポリスチレン粒子分散液(固形分濃度10.8質量%)1mlを100mlの2−プロパノールにより希釈し、超音波照射により十分に分散させた。
【0042】
次いで、アンモニア水溶液を2.0ml加え、さらにテトラエトキシシラン(TEOS)を84.2mmol/lおよび水を1778mmol/lの濃度となるように添加し、20℃恒温水槽中で4時間振とうして反応させた。なお、反応系のpHは、11.4であった。
【0043】
反応終了後、両親媒性フィルター(孔径0.2μm)を用い、ゲージ圧0.3MPaとした加圧濾過を行い、固液分離した。得られたコア/シェル粒子をエタノールで2回洗浄し、乾燥させた。続いて、該コア/シェル粒子を500℃で2時間加熱することで、コアのポリスチレン粒子を除去した。
【0044】
以上の方法により、シリカ系中空粒子を合成した。図1は、合成されたシリカ系中空粒子のTEM写真である。図1より、合成されたシリカ系中空粒子は、10nm程度の均一なシリカ殻を有する中空粒子であることが確認された。
【0045】
2.1.2.導電性シリカ系中空粒子の合成
上記「2.1.1.シリカ系中空粒子の合成」で合成されたシリカ系中空粒子100mgをフラスコに投入し、フラスコ内を減圧しながらマントルヒーターを用いて200℃で2時間加熱した。加熱後自然冷却させて、フラスコ上部に接続した分液ロートから15mMの塩化スズ(IV)水溶液50mlを徐々に滴下した。さらに、室温下で2日間撹拌することにより、シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させた。
【0046】
次いで、加圧濾過を行い固液分離させ、得られた濾過残留物を100mlの水で洗浄した後、100℃で1日間乾燥させた。
【0047】
次いで、該濾過残留物を500℃、2時間仮焼することにより、導電性シリカ系中空粒子を合成した。
【0048】
2.2.実施例2
上記「2.1.2.導電性シリカ系中空粒子の合成」において、「15mMの塩化スズ(IV)水溶液」に代えて「70mMの塩化スズ(IV)水溶液」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性シリカ系中空粒子を合成した。
【0049】
2.3.実施例3
2.3.1.アセチルアセトナート塩化スズ(IV)溶液の作製
アセチルアセトン100mlに所定量の塩化スズ(IV)無水物を添加し十分に撹拌することにより、0.5Mのアセチルアセトナート塩化スズ溶液を得た。
【0050】
2.3.2.導電性シリカ系中空粒子の合成
上記「2.1.1.シリカ系中空粒子の合成」で合成されたシリカ系中空粒子100mgをフラスコに投入し、フラスコ内を減圧しながらマントルヒーターを用いて200℃で2時間加熱した。加熱後自然冷却させて、フラスコ上部に接続した分液ロートから0.5Mのアセチルアセトナート塩化スズ溶液10mlを徐々に滴下した。さらに、25℃で5日間撹拌することにより、シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させた。
【0051】
次いで、加圧濾過(ゲージ圧:0.3MPa)を行い固液分離させ、得られた濾過残留物を50℃で12時間乾燥させた。
【0052】
次いで、該濾過残留物をマッフル炉で第1熱処理(200℃、2時間)し、その後管状炉でさらに第2熱処理(600℃、1時間、酸素流速:30ml/分)することにより、導電性シリカ系中空粒子を得た。
【0053】
2.4.評価方法
2.4.1.顕微鏡による観察
カーボンペーストを試料台の表面に塗布し、そこに実施例1〜実施例3で合成した導電性シリカ系中空粒子を載せて乾燥(100℃、24時間)させたものを、走査型電子顕微鏡(型式「JSM−7000F」、JEOL社製)を用いて加速電圧10.0kV、倍率10万倍で観察した。
【0054】
実施例1で合成した導電性シリカ系中空粒子のエタノール分散液を銅製のマイクログリッドに滴下し乾燥させたものを観察試料とし、透過型電子顕微鏡(型式「2000−EX」、JEOL社製)を用いて加速電圧160.0kVで観察した。
【0055】
2.4.2.XRD測定
実施例1〜実施例3で合成した導電性シリカ系中空粒子に含まれている酸化スズの結晶の状態を解析するため、X線回折(XRD)解析を行った。測定装置は、Rigaku社製の「RINT1000」を使用した。測定条件は、Cu管球で印加電圧が30kV、電流が20M:A、2°/分のスキャン速度であった。
【0056】
2.4.3.電気抵抗率測定
実施例1〜実施例3で合成した導電性シリカ系中空粒子の導電性を評価するため、導電性シリカ系中空粒子の粉体層を圧縮させながら電気抵抗を測定できる治具100を作製した。図2に、治具100を模式的に示した断面図を示す。治具100は、第1の部材10、第2の部材20、および第3の部材30から構成されている。第1の部材10は、直径10mmの嵌合部12を中心に有する円筒形状の部材14と、嵌合部12と嵌合し且つ第2の部材20とも嵌合するように形成された棒部を中心に有する円板状の部材16と、が組み合わされて構成されている。第3の部材30は、直径10mmの嵌合部32を中心に有する円筒形状の部材34と、嵌合部32と嵌合し且つ第2の部材20とも嵌合するように形成された棒部を中心に有する円板状の部材36と、が組み合わされて構成されている。第2の部材20は、円筒形状であり、直径10mmの貫通孔22を該部材の中心に有しており、貫通孔22が円板状の部材16および36と嵌合するように形成されている。円筒形状の部材14、20、34は、ポリテトラフルオロエチレン製であり、円板状の部材16、36は、ステンレス製である。また、円板状の部材16および36の側面には、(図示しない)金属のネジ部が設けられており、かかるネジ部と抵抗測定装置とが電気的に接続されるようになっている。
【0057】
図3ないし図6に、治具100を用いた電気抵抗率の測定方法を模式的に示した断面図を示す。まず、図3に示すように、第3の部材30に第2の部材20を差し込み、第2の部材20に形成された貫通孔22に導電性シリカ系中空粒子40を投入し、タップ充填させた。次に、図4に示すように、第2の部材20の貫通孔22に第1の部材10を差し込んで、円板状の部材16および36に設けられた金属のネジ部を抵抗測定装置50(2000 MULTIETER KEITHLEY社製)に繋ぎ、第1の部材10の上部から圧力を加えた。なお、導電性シリカ系中空粒子40の圧縮は、強度試験機(AUTOGRAPH AGS−G SHIM、ADZU社製)を流用した。
【0058】
図5に示すように、導電性シリカ系中空粒子40を投入せずに圧縮応力が50.1kPa(4000N)に達した時の位置a(cm)および抵抗値x(Ω)を記録した。次に、図6に示すように、導電性シリカ系中空粒子40を投入し0.2(mm/分)の速度で圧縮させた。その間、圧縮中の位置b(cm)と抵抗値y(Ω)を0.1mmごとに記録した。得られたデータから、下記式(1)を用いて、抵抗率R(Ω)を求めた。
R=S(y−x)/(b−a) …(1)
なお、上記一般式(1)中のSは、粉体面の断面積(cm2)である。
【0059】
2.5.評価結果
2.5.1.顕微鏡による観察
図7および図8に、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子のSEM写真を示す。図7は、仮焼前のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図8は、仮焼後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図7に示したSEM写真より、仮焼前のシリカ系中空粒子は、図1に示したシリカ系中空粒子とほとんど変わらない外観であることが分かった。一方、図8に示したSEM写真より、仮焼後のシリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子が存在していることが分かった。
【0060】
図9に、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子のTEM写真を示す。図9は、仮焼後の導電性シリカ系中空粒子のTEM写真である。図9に示すように、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子(平均粒径5〜7mm)が存在していることが分かった。
【0061】
図10および図11に、実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子のSEM写真を示す。図10は、仮焼前のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図11は、仮焼後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図10に示したSEM写真より、仮焼前のシリカ系中空粒子は、図1に示したシリカ系中空粒子とほとんど変わらない外観であることが分かった。一方、図11に示したSEM写真より、仮焼後のシリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子(平均粒径5〜7mm)が存在していることが分かった。
【0062】
以上の結果より、スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程(c)が必須であることが分かった。
【0063】
図12ないし図14に、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子のSEM写真を示す。図12は、熱処理前のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図13は、第1熱処理後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図14は、第2熱処理後のシリカ系中空粒子のSEM写真である。図12および図13に示すように、第2熱処理前までのシリカ系中空粒子は、図1に示したシリカ系中空粒子とほとんど変わらない外観であることが分かった。一方、図14に示したSEM写真(特に円で囲んだ部分など)から、第2熱処理後のシリカ系中空粒子は、その表面に酸化スズと見られる微細な粒子が存在していることが分かった。なお、シリカ系中空粒子の表面には酸化スズと見られる微細な粒子の存在が認められたが、シリカ系中空粒子の間隙には酸化スズの存在は認められなかった。
【0064】
以上の結果より、アセチルアセトナート塩化スズ(IV)溶液を用いて導電性シリカ系中空粒子を作製した場合には、第1熱処理(200℃、2時間)後にさらに第2熱処理(600℃、1時間)を行うことで、シリカ系中空粒子の表面に酸化スズと見られる微細な粒子を形成できることが分かった。
【0065】
2.5.2.XRD測定
図15に、実施例1および実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンを示す。図15の結果より、実施例1および実施例2で作製したいずれの導電性シリカ系中空粒子においても、酸化スズの結晶に基づくピーク(110、101、211)が認められた。
【0066】
図15に示したXRDパターンから、シェラーの式により結晶子サイズを算出した。計算式を以下に示す。
D=0.9λ/βcosθ …(2)
【0067】
上記式(2)において、D:結晶子サイズ(nm)、λ:回折に用いたX線の波長(CuKα1≒1.00207789Å)、β:ピークの半値幅、θ:ピークの回折角度である。なお、結晶子サイズの算出には、ルチル型酸化スズにおける最も強度が高い(110)ピークを用いた。その結果、実施例1で作製した導電性シリカ系中空粒子の結晶子サイズは、5.8nmであった。一方、実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子の結晶子サイズは、5.9nmであった。
【0068】
以上の結果より、実施例1および実施例2で作製した導電性シリカ系中空粒子の結晶子サイズは、SEM写真およびTEM写真で観察された微細な粒子のサイズとほぼ一致することが確認された。
【0069】
図16に、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子のXRDパターンを示す。図16の結果より、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子においても、非晶質特有の低角度側の立ち上がりと酸化スズの結晶に基づくピーク(110、101、211)が認められた。
【0070】
2.5.3.電気抵抗率測定
表1に、実施例1〜実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子の最大圧縮応力時における抵抗値を示す。また、比較対照例として、上記「2.1.1.シリカ系中空粒子の合成」で合成された(スズを含有していない)シリカ系中空粒子の最大圧縮応力時における抵抗値の測定を試みたが、抵抗率が高すぎたため測定することができなかった。
【0071】
【表1】
【0072】
酸化スズ粒子の抵抗率は、102Ω・cm程度であることが報告されている。表1の結果から実施例1〜実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子の抵抗率は、酸化スズ粒子と比較すると高い数値ではあったが、いずれの粒子も導電性を有することが確認された。なお、表1の結果から、実施例3で作製した導電性シリカ系中空粒子の抵抗率は、実施例1および実施例2の場合と比較して抵抗率が低くなることが分かった。この結果は、塩化スズをアセチルアセトナート修飾することによりシリカ粒子表面とスズイオンの相互作用が高まり、これによりシリカ粒子表面に酸化スズを選択的に析出させて、比較的高い導電性が付与できたことを意味する。
【0073】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0074】
10…第1の部材、12…嵌合部、14…円筒形状の部材、16…円板状の部材、20…第2の部材、22…貫通孔、30…第3の部材、32…嵌合部、34…円筒形状の部材、36…円板状の部材、40…導電性シリカ系中空粒子、50…抵抗測定装置、100…治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、
(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、
(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、
を含む、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記工程(b)を行う前に、さらに、減圧下で前記シリカ系中空粒子を加熱する工程を含む、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記工程(b)は、減圧下で行われる、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記工程(a)において、前記シリカ系中空粒子の合成方法として、有機粒子テンプレート法を用いる、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項1】
(a)シリカ系中空粒子を合成する工程と、
(b)前記シリカ系中空粒子に塩化スズ(IV)溶液を添加して、前記シリカ系中空粒子にスズイオンを吸着させる工程と、
(c)スズイオンが吸着されたシリカ系中空粒子を分離して焼成する工程と、
を含む、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記工程(b)を行う前に、さらに、減圧下で前記シリカ系中空粒子を加熱する工程を含む、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記工程(b)は、減圧下で行われる、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記工程(a)において、前記シリカ系中空粒子の合成方法として、有機粒子テンプレート法を用いる、導電性シリカ系中空粒子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−254555(P2010−254555A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74529(P2010−74529)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
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