説明

導電性ナノワイヤによる磁気スイッチング素子

【課題】導電性ナノワイヤを用いたスイッチング素子を提供する。
【解決手段】基本的には,π電子系を有する有機化合物からなるナノワイヤに所定量の磁場を印加することで,ナノワイヤの伝導性を著しく変化させることができるという知見に基づく。スイッチング素子1は,2本の電極3,4と,ナノワイヤ5と,磁場印加手段6と,磁場制御手段7とを具備する。ナノワイヤは,π電子系を有する有機化合物からなる。そして,磁場制御手段は,ナノワイヤに印加する磁場を制御する。すると,スイッチング素子に含まれるナノワイヤの導電性が制御され,スイッチONとOFFを切り替ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,導電性ナノワイヤを用いたスイッチング素子などに関する。より具体的に説明すると,本発明はナノワイヤに印加する磁場を制御することで,ナノワイヤの伝導度を制御し,スイッチング機能を持たせた素子などに関する。
【背景技術】
【0002】
有機導電体系の化合物を用いてナノワイヤを形成すると,ナノワイヤが導電性を有する場合がある。この導電性ナノワイヤは,従来の導線に比べると極めて微小であるから,微小な電気回路への応用が期待される。具体的には,電界効果トランジスタなどの用途に用いられる可能性があると考えられていた(米国特許7351313号明細書,特許文献1)。
【0003】
しかしながら,上記特許文献1は,ナノワイヤが導電性を有する微小導線として機能することを確認したものである。
【特許文献1】米国特許7351313号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は,導電性ナノワイヤ用いたスイッチング素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は,基本的には,所定の導電性ナノワイヤに所定量の磁場を印加するとこで,ナノワイヤの伝導性を著しく変化させることができるという知見に基づくものである。
【0006】
本発明の第1の側面は,スイッチング素子(1)に関する。このスイッチング素子は,2本の電極(3,4)と,ナノワイヤ(5)と,磁場印加手段(6)と,磁場制御手段(7)とを具備する。2本の電極は,回路を構成する他の要素と電気的に接続される。導電性ナノワイヤは,2本の電極を接続する。磁場印加手段は,導電性ナノワイヤに磁場を印加する。磁場制御手段は,磁場印加手段がナノワイヤに印加する磁場を制御する。2本の電極のうちナノワイヤが設けられる部位間の間隔は,1nm以上100μm以下である。ナノワイヤは,π電子系を有する有機化合物からなる。そして,π電子系を有する有機化合物として,電荷移動相互作用によって自己組織的に凝集することができる分子があげられる。このように電荷移動相互作用によって自己組織的に凝集することができる分子であれば,導電性ナノワイヤ又は低導電性ナノワイヤを好ましく成長させることができるため,本発明のスイッチング素子を容易に製造できる。また,このような電荷移動相互作用によって自己組織的に凝集することができる分子を用いたナノワイヤは,磁場を印加することで導電性を制御できる。そして,磁場制御手段は,ナノワイヤに印加する磁場を制御する。すると,スイッチング素子に含まれるナノワイヤの導電性が制御され,スイッチONとOFFを切り替ることができる。
【0007】
たとえば,無機材料を用いた電磁場制御デバイスは,ハードディスクのヘッドに用いられている。しかし,通常有機物はスピンを持たないため電磁場制御デバイスとして用いられない。一方,特許文献1に記載の導電性ナノワイヤで用いた分子は非磁性であった。それゆえ,特許文献1に記載の導電性ナノワイヤは,電磁場制御デバイスには向かないとも考えられた。しかしながら,この導電性ナノワイヤを利用して,電磁場制御デバイスを作製すると,磁場によるスイッチング効果を有することがわかった。本発明は,これまで存在しなかった,有機導電体系の有機化合物からなるナノワイヤを用いた電磁場制御デバイスを提供するものである。
【0008】
本発明の第1の側面の好ましいパターンは,導電性ナノワイヤの幅が構成分子1個分以上1μm以下である。また,導電性ナノワイヤは,ジシアノ金属フタロシアニンからなるものが好ましい。後述する実施例で実証されたとおり,このような導電性ナノワイヤは,磁場を印加することで導電性が変化し,スイッチング機能を有すると考えられる。
【0009】
本発明の第1の側面の好ましいパターンは,導電性ナノワイヤが,幅が構成分子1個分以上1μm以下である。そして,導電性ナノワイヤは,テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンからなるものである。後述する実施例で実証されたとおり,このような導電性ナノワイヤは,磁場を印加することで導電性が変化し,スイッチング機能を有すると考えられる。また,鉄を有するフタロシアニン誘導体は,鉄由来のスピンを有している。このため,磁場を印加することで導電性が変化することが予想される。このため,導電性ナノワイヤとして,テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンからなるものが好ましい。
【0010】
本発明の第1の側面の好ましいパターンは,導電性ナノワイヤの両端に1Vの電圧を印加した際に流れる電流の量が,導電性ナノワイヤに印加される磁場の強度が0Tの場合に比べると,導電性ナノワイヤに印加される磁場の強度が10Tの場合に,1/4以下となるものである。後述する実施例で実証されたとおり,このようなスイッチング素子は,磁場を印加することで導電性が著しく変化するので,スイッチング機能を有する素子として利用されうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,導電性ナノワイヤを用いたスイッチング素子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下,本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は,本発明の第1の側面に係るスイッチング素子を説明するための概念図である。図1Aは,スイッチング素子の上面図を示す。図1Bは,スイッチング素子の全体構成を説明するための概念図を示す。図1Bに示されるように本発明のスイッチング素子(1)は,2本の電極(2,3)と,導電性ナノワイヤ(4)と,磁場印加手段(5)と,磁場制御手段(6)とを具備する。スイッチング素子とは,ある条件の下では電流を流し,ある条件の下では電流を流さない素子である。そして,スイッチング素子は,電流を流すか,電流を流さないかを切り替えることができる素子である。なお,特許文献1に示されるように,2本の電極は基板上に設けられてもよい。
【0013】
基板は,少なくとも2本の電極をその上に搭載できるものであることが好ましい。基板の材質として,ガラス基板,シリコン基板,又はプラスチック基板があげられる。基板の材質は,フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィー、あるいはインクジェットやスクリーン印刷の基板として適するものであれば特に限定されるものではない。基板の形状は,特に限定されるものではないが、直方体が好ましい。基板の長さは,特に限定されるものではないが、より好ましい形態としては、0.1mmから10cmが好ましく,1mmから5cmであればより好ましく,1cmから4cmであればさらに好ましく,2cmから3cmであれば特に好ましい。
【0014】
本発明の2本の電極は,回路を構成する他の要素と電気的に接続される。これにより本発明のスイッチング素子を含む回路は,ON/OFF動作を行うことができることとなる。
【0015】
本発明における電極として,基板上に設けられ,対向する2本の電極を含むものが好ましい。対向する2本の電極の一部は絶縁物に覆われた絶縁部分を有するものが好ましい。絶縁部分としては,電極の面のうち,互いの電極にもっとも近い面以外の面を絶縁部分とするものがあげられ,電極に突起部分を有する場合は,突起部分以外の部分を絶縁部分とするものが挙げられる。また,基板上に設けられたゲート電極と,ゲート電極を被覆する絶縁層上に設けられた対向する2本の電極とを含むものは,回路がFET電界効果トランジスタとして機能し得るため好ましい。基板上に設けられる電極の材質としては,金,白金,銅,グラファイトなど導電性の材質のものがあげられ,これらのうちでは,金,または白金がより好ましい。なお,電解セルが,電極のうち1本の役割を果たす電極であってもよい。また,ゲート電極や,参照電極がさらに設けられていてもよいし,電解液等の物性を測定するための電極がさらに設けられてもよい。電極の形状としては,2つの電極が対向しているものが好ましく,それぞれの電極の途中に存在し,もう一方の電極方向へ向けた凸部である突起部があるものか,又はそれぞれの電極の先端にあって,もう一方の電極方向へ電極が曲げられてなる突起部を有する電極が好ましい。このような形状であれば,効果的に導電性ナノワイヤを生成できるからである。突起部の形状としては,2本の対向する電極のギャップ部のうちそれぞれの先端部は,互いに平行に対向するものが好ましく,もう一方のギャップ部に近接するに従って先細状となっているものはより好ましく,その中でも階段状となっているものが好ましい。電極の間隔としては,1nm〜100μmが好ましく,1nm〜1μmであればより好ましく,1nm〜200nmであればさらに好ましいが,希望するナノワイヤの長さに適するものであれば特に限定されるものではない。電極の幅としては,0.5nm〜1cmが好ましく,0.5nm〜200nmあるいは1mm〜3mmであればより好ましい。電極の長さとしては,1nm〜25mmが好ましい。電極は電解液に浸っていることが好ましく,電極の体積の20%以上が浸っている場合が好ましく,50%以上が浸っている場合は更に好ましく,80%以上が浸っている場合は特に好ましい。また,電極間に電解液を滴下して基板上で電気分解を行うことも好ましい。
【0016】
電極に印加される電圧は,電極と連結した電圧制御装置により制御されることが好ましい。なお,電解セル中に参照電極があり,電極間の電位差を測定することができ,その測定結果に応じて電極に印加する電圧を制御することができることはより好ましい。電圧制御装置とともに,または電圧制御装置に変えて電極に供給する電流を制御する電流制御装置であってもよい。
【0017】
ナノワイヤは,2本の電極を接続する。ナノワイヤは,分子集合体であるから,以下分子集合体としてナノワイヤの製造方法について説明する。ナノワイヤを製造するためには,特許文献1に開示された電解装置を用いることが好ましい。このナノワイヤは,本発明の分子集合体の製造方法により製造できる。
【0018】
本発明の分子集合体の製造方法によって得られる分子集合体として,導電性ナノワイヤが挙げられる。導電性ナノワイヤは,低導電性ナノワイヤであってもよい。これらは,米国特許7351313号明細書,特開2007−991号公報,又は特開2007−5684号公報に開示されたものがあげられる。これらの文献は,引用することで本明細書に取り込まれる。本明細書においてナノワイヤとは,分子が規則的に整列した,幅分子1個分〜1μm,長さ分子2個分以上の線状物質のことを指す。ナノワイヤの直径としては,1nmから1μmが挙げられ,1nm〜200nmであればより好ましい。本発明の分子集合体としては,長軸lと短軸sの比(l/s)が,1以上であれば好ましく,2以上であればより好ましい。本発明の分子集合体の製造方法としては,得られた分子集合体のうち,直径が1nm〜100nm,長さが10nm〜100μmのものが60%以上であることが好ましく,80%以上であれば更に好ましく,90%以上であればより好ましく,95以上であれば更に好ましく,99%以上であれば特に好ましい。特に,分子集合体を構成する分子が1列〜100列規則正しく並んだ単位が繰り返され分子集合体を構成しているものが好ましく,分子が1列〜50列であればより好ましく,分子が1列〜20列であれば更に好ましく,分子が1,2,3,4,または5列であれば特に好ましい。ある程度湾曲したワイヤ状のものでもよい。電気分解による酸化還元反応を利用するため,微小分子集合体自体に導電性を付与することが可能となる。すなわち,従来の微小分子集合体のような閉殻構造を持たないために,分子集合体を構成する分子間で電子の移動が起こりやすくなるため高い導電性を有することが可能となる。分子集合体の伝導度としては,要求される導電性ナノワイヤなどに応じて制御することが好ましいが,一般的には,1S・cm−1以上超伝導体以下のものが好ましく,10S・cm−1以上超伝導体以下であればより好ましく,100S・cm−1以上超伝導体以下であればより好ましく,500S・cm−1以上超伝導体以下であれば特に好ましいが,伝導度は,1×10100S・cm−1以下であっても,1×1010S・cm−1以下でもよく,その用途に応じて好ましい伝導度が選択される。分子集合体の形状としては,線状,柱状,円柱状,ブロック状が好ましいが,分子が規則的に整列したものであれば特に限定されるものではない。分子集合体は基板上に成長することが好ましく,電極上,電極周囲に成長することがより好ましく,電極間,とくにギャップ部間に成長することが特に好ましい。電解セルは成長期間中,静置されていることが好ましい。分子集合体は,そのまま導電性ナノワイヤとしても良い。分子集合体をさらに束ねて導電性ナノワイヤとしても良いし,分子集合体をカップリング処理し,例えば導電性フィラー用に処理して導電性ナノワイヤとしてもよい。導電性ナノワイヤは,テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンからなるものが好ましい。後述する実施例で実証されたとおり,この導電性ナノワイヤは,磁場を印加することで導電性が変化し,スイッチング機能を有する。また,鉄を有するフタロシアニン誘導体は,鉄由来のスピンを有しているため,磁場を印加することで導電性が変化することが予想される。このため,導電性ナノワイヤとして,テトラフェニルホスホニウム・ジシアノ金属フタロシアニンからなるものが好ましい。そして,テトラフェニルホスホニウム・ジシアノ金属フタロシアニンの例として,実施例により実証されたテトラフェニルホスホニウム・ジシアノ鉄(III)フタロシアニンがあげられる。
【0019】
磁場印加手段は,導電性ナノワイヤに磁場を印加する。磁場印加手段として,永久磁石,超伝導電磁石,又は電磁石があげられる。これらを1種または2種以上組み合わせたものを用いて,導電性ナノワイヤに磁場を印加してもよい。磁場印加手段として磁石を用いる場合は,磁場が強い領域に導電性ナノワイヤが位置するように,磁石を配置すればよい。永久磁石は,たとえば,導電性ナノワイヤをはさむようにN極及びS極が位置するように配置してもよい。
【0020】
磁場制御手段は,磁場印加手段が導電性ナノワイヤに印加する磁場を制御する。永久磁石を用いて導電性ナノワイヤに磁場を与える場合,永久磁石と導電性ナノワイヤの距離を変化させることで,導電性ナノワイヤに与える磁場を制御できる。また,永久磁石と,導電性ナノワイヤとの間に,遮磁体を挿入することで,磁場を抑えることができる。そして,遮磁体を永久磁石と導電性ナノワイヤの間から取り除くことで,導電性ナノワイヤに磁場を与えることができる。遮磁体として,強磁性体である鉄板などがあげられる。たとえば,遮磁体は,アクチュエータにより移動できるようにされている。そして,アクチュエータは,コンピュータなどと接続されている。そして,コンピュータにスイッチオフ情報が入力された場合,導電性ナノワイヤと永久磁石との間に挿入されている遮磁体が引き抜かれるようにされていればよい。このように,鉄板を永久磁石と導電性ナノワイヤとの間で出し入れすることで,導電性ナノワイヤに印加される磁場を制御できる。
【0021】
磁場印加手段が,電磁石の場合は,電磁石に印加する電力を調整することで,導電性ナノワイヤに印加される磁場を制御できる。この場合,たとえば,電磁コイルに電源が接続されている。一方,電源は,コンピュータと接続されている。そして,コンピュータにスイッチオフ情報が入力された場合,電磁コイルに電力が印加されて磁場を発生させ,導電性ナノワイヤに磁場を印加するようにすればよい。
【0022】
このように磁場制御手段が,導電性ナノワイヤに印加する磁場を制御する。すると,スイッチング素子に含まれる導電性ナノワイヤの導電性が制御される。具体的には,導電状態から絶縁状態へと変化する。このため,本発明の導電性ナノワイヤを有するスイッチング素子は,スイッチング回路として機能することとなる。
【0023】
本発明の第1の側面の好ましいパターンは,導電性ナノワイヤの両端に1Vの電圧を印加した際に流れる電流の量が,導電性ナノワイヤに印加される磁場の強度が0Tの場合に比べると,導電性ナノワイヤに印加される磁場の強度が10Tの場合に,1/4以下となるものである。後述する実施例で実証されたとおり,このようなスイッチング素子は,磁場を印加することで導電性が著しく変化するので,スイッチング機能を有する素子として利用されうる。
【0024】
スイッチング素子の製造方法
本発明のスイッチング素子は,米国特許7351313号明細書,特開2007−991号公報,又は特開2007−5684号公報と同様の方法で導電性ナノワイヤを製造し,これに磁場を与える機構を取り付けることで製造できる。また,発明のスイッチング素子は,米国特許7351313号明細書と同様の方法で電子回路を製造し,これに磁場を与える機構を取り付けることで製造できる。
【実施例1】
【0025】
米国特許7351313号明細書に開示された実施例1と同様にして電極間を導電性ナノワイヤで接続した。得られた導電性ナノワイヤを含む素子を基板ごと磁場中に入れた。素子に印加される磁場を,0T,5T,10T及び15Tと変化させた。それぞれの磁場において,導電性ナノワイヤに印加される電圧を変化させながら,2つの電極間に流れる電流値を測定した。その結果を図2に示す。図2に示されるように,本発明のスイッチング素子は,印加する磁場が5T以下の場合は導電性を示した。一方,本発明のスイッチング素子は,印加する磁場が10T以上の場合は,導電性が極端に落ちこむことがわかる。よって,本発明のスイッチング素子は,印加する磁場を制御することによって,ON/OFFを切り替えることができる素子として機能することがわかる。
【実施例2】
【0026】
テトラフェニルホスホニウム・ジシアノ鉄(III)フタロシアニンを用いたほかは,実施例1と同様にしてスイッチング素子を製造した。図3は,得られたスイッチング素子のSEM写真である。図3では,2つの電極間を,導電性ナノワイヤが接続している。このように,本発明では,スイッチング素子を実際に得て,その磁場特性を把握することができた。このスイッチング素子は,極めて良好なON/OFF特性を有し,優れたスイッチング素子機能を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のスイッチング素子は,微小なスイッチ素子であるから,極めて小さな回路を製造する際に有用である。すなわち,本発明は,電子機器の分野で好適に利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は,本発明の第1の側面に係るスイッチング素子を説明するための概念図である。図1Aは,スイッチング素子の上面図を示す。図1Bは,スイッチング素子の全体構成を説明するための概念図を示す。
【図2】図2は,本発明のスイッチング素子に印加する磁場を変化させた際の導電性の変化を示す図面に替わるグラフである。
【図3】図3は,電極間を導電性ナノワイヤで接続することで得られたスイッチング素子の図面に替わるSEM写真である。
【符号の説明】
【0029】
1 スイッチング素子; 3,4 電極; 5 ナノワイヤ; 6 磁場印加手段; 7 磁場制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の電極と,
前記2本の電極を接続する導電性ナノワイヤと,
前記導電性ナノワイヤに磁場を印加する磁場印加手段と,
前記磁場印加手段が前記導電性ナノワイヤに印加する磁場を制御する磁場制御手段と,
を具備し,
前記2本の電極のうち前記導電性ナノワイヤが設けられる部位間の間隔は,1nm以上100μm以下であり,
前記導電性ナノワイヤは,π電子系を有する有機化合物からなり,
前記磁場制御手段が,前記磁場印加手段が前記導電性ナノワイヤに印加する磁場を制御することで,前記導電性ナノワイヤの導電性を制御する,
スイッチング素子。
【請求項2】
前記π電子系を有する有機化合物は,
電荷移動相互作用によって自己組織的に凝集することができる分子
であり,
前記導電性ナノワイヤは,
幅が構成分子1個分以上1μm以下である,
請求項1に記載のスイッチング素子。

【請求項3】
前記π電子系を有する有機化合物は,
ジシアノ金属フタロシアニンであり,
前記導電性ナノワイヤは,
幅が構成分子1個分以上1μm以下である,
請求項1に記載のスイッチング素子。

【請求項4】
前記π電子系を有する有機化合物は,
テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンからなり,
前記導電性ナノワイヤは,
幅が構成分子1個分以上1μm以下である,
請求項1に記載のスイッチング素子。

【請求項5】
前記π電子系を有する有機化合物は,
テトラフェニルホスホニウム・ジシアノ鉄(III)フタロシアニンからなり,
前記導電性ナノワイヤは,
幅が構成分子1個分以上1μm以下である,
請求項1に記載のスイッチング素子。

【請求項6】
前記導電性ナノワイヤの両端に1Vの電圧を印加した際に流れる電流の量は,
前記導電性ナノワイヤに印加される磁場の強度が0Tの場合に比べると,前記導電性ナノワイヤに印加される磁場の強度が10Tの場合に,1/4以下となる,
請求項1に記載のスイッチング素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−45124(P2010−45124A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207298(P2008−207298)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人 日本化学会,日本化学会第88春季年会講演予稿集,第4L7−11頁,2008年3月12日
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)