説明

導電性樹脂組成物およびその製造方法

【課題】フェノール樹脂の繊維を炭素化した、0.5μm以下の平均繊維径を有する難黒鉛化炭素繊維を機械的な粉砕を行うことなく、熱可塑性樹脂に均一に分散、混合し、成形体としたときに表面が平滑で、かつ導電性に優れた成形体が得られる導電性樹脂組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂をケトン系溶媒に溶解した溶液と、平均繊維径が0.5μm以下の難黒鉛化炭素質の炭素繊維をケトン系溶媒に分散させた分散液とを混合した後、得られた混合液と、該ケトン系溶媒と相溶性があり、かつ該熱可塑性樹脂を実質的に溶解しない極性溶媒とを混合して熱可塑性樹脂を析出させ、形成した樹脂組成物を取り出して導電性樹脂組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性樹脂組成物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、ケトン系溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、平均繊維径が0.5μm以下の難黒鉛化炭素質の炭素繊維とを含有する導電性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面固有抵抗率の高い熱可塑性樹脂に、炭素繊維やカーボンブラックなどを添加して、表面固有抵抗率を低下させた導電性樹脂組成物が開発され、電気・電子部品、OA機器部品、IC用トレーなどの導電性が要求される分野で使用されている。(たとえば、特許文献1〜4参照)。しかしながら、これら従来から使用されている炭素繊維は、主としてピッチ系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、気相成長法による黒鉛構造が発達した導電性能を有する炭素繊維であり、樹脂に混入する場合の該炭素繊維の形態としては、フィラメントを切断して短繊維にしたチョップドストランド炭素繊維または磨り潰して作ったミルド炭素繊維が使用されている。また、チョップドストランド炭素繊維の場合、繊維径は8〜15μmφで、繊維長は2〜10mmの繊維束で使用され、ミルド炭素繊維の場合は、繊維径8〜15μmφ程度で繊維長140〜300μm程度で使用されている。しかも、熱可塑性樹脂にこれら炭素繊維を混合する方法も、樹脂の撹拌混合に一般的に用いられている各種混合機を用いて行なわれる。たとえば、通常のチョップドストランド炭素繊維と熱可塑性樹脂、たとえばポリスチレン樹脂とから構成される導電性樹脂組成物は、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等の撹拌混合装置で混合したのち、1軸もしくは2軸押出機、インテンシブミキサー、加熱ニーダー等で溶融、混練し、ペレット化して導電性樹脂組成物としている。
しかしながら、これらの導電性樹脂組成物を成形して得られる成形体はその表面の平滑性がいまだ充分とは言い難い。
また、カーボンナノチューブや気相成長炭素繊維(VGCF)等も、一般的な撹拌混合装置たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー、タンブラーミキサー等で熱可塑性樹脂と混合したのち、1軸もしくは2軸押出機、インテンシブミキサーもしくは加熱ニーダー等で溶融、混練し、ペレット化して導電性樹脂組成物としている。
【0003】
しかしながら、カーボンナノチューブや気相成長炭素繊維(VGCF)等は粉末状の黒鉛化質の極微細繊維形状の炭素材料であるため、繊維長が短く、得られる組成物を用いて成形体としたときに該成形体の導電性や機械的物性、例えば、耐衝撃性の改善といった面ではいまだ充分とは言い難い。また、これらの材料表面はグラフェンシートで構成されているため、熱可塑性樹脂との接着性を上げるための官能基を持たせることも難しく、これらの炭素繊維は該熱可塑性樹脂の強化用充填材としては必ずしも適しているとは言い難い。
【0004】
フェノール樹脂の繊維を炭素化した平均繊維径が0.5μm以下のフェノール系極細炭素繊維とその製造方法も知られている(たとえば、特許文献5参照)。この平均繊維径が0.5μm以下の極細炭素繊維は繊維長が非常に長く、難黒鉛化質であるため、該繊維表面に官能基を持たせることも容易である。
しかしながら、該極細炭素繊維を樹脂に混合して導電性樹脂組成物を得ようとすると、粉砕して短繊維化しないと通常用いられている上記の如き1軸もしくは2軸の押出機等を用いる溶融混練方法では該炭素繊維が均一に分散した樹脂組成物を得る事が困難である。導電性などの機能を充分に発揮させるためにはできる限り、長い繊維長を有した状態、すなわち機械的な粉砕を行わない状態で樹脂と混合させることが必要であるが、これら極細炭素繊維は嵩高で、そのままの形態で通常の押出機を用いて溶融、混練しようとしても、該炭素繊維が押出機のホッパー等で棚掛け現象を起こして押出機内への供給が不安定となり、その結果、熱可塑性樹脂中での該炭素繊維の分散が不均一となり、性能安定性が低下し、また生産性が低くなるなど、実使用に供される導電性樹脂組成物にはなりにくいといった問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平05−117447号公報
【特許文献2】特開平06−329897号公報
【特許文献3】特開平11−080534号公報
【特許文献4】特開2001−059056公報
【特許文献5】特開2003−020517公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、フェノール樹脂の繊維を炭素化した、0.5μm以下の平均繊維径を有する難黒鉛化炭素繊維を機械的な粉砕を行うことなく、熱可塑性樹脂に均一に分散、混合し、成形体としたときに表面が平滑で、かつ導電性に優れた成形体が得られる導電性樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ケトン系溶媒に可溶で、該ケトン系溶媒に相溶性を持ち、かつ極性溶媒には実質的に不溶性の熱可塑性樹脂を選び、該熱可塑性樹脂と、平均繊維径が0.5μm以下の難黒鉛化炭素質の炭素繊維とをケトン系溶媒中で混合したのち、該混合液に極性溶媒を添加することによって、熱可塑性樹脂が析出し、これに炭素繊維が均一に分散された組成物が得られること、そして得られる組成物を用いて成形体としたときに表面が平滑で、かつ導電性に優れた成形体が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
本発明は以下から構成される。
(1)(A)ケトン系溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、(B)平均繊維径が0.5μm以下の難黒鉛化炭素質の炭素繊維とを含有する導電性樹脂組成物。
(2)(A)成分の熱可塑性樹脂がスチレン系共重合体である上記(1)記載の導電性樹脂組成物。
(3)(B)成分の難黒鉛化炭素質の炭素繊維が、フェノール樹脂を紡糸して得られた平均繊維径が0.5μm以下のカーボンナノファイバーである上記(1)または(2)記載の導電性樹脂組成物。
(4)(A)成分と(B)成分とを、質量比10:90〜99:1の割合で含有する上記(1)〜(3)のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
(5)熱可塑性樹脂をケトン系溶媒に溶解した溶液と、平均繊維径が0.5μm以下の難黒鉛化炭素質の炭素繊維をケトン系溶媒に分散させた分散液とを混合した後、得られた混合液と、該ケトン系溶媒と相溶性があり、かつ該熱可塑性樹脂を実質的に溶解しない極性溶媒とを混合して該熱可塑性樹脂を析出させることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
(6)熱可塑性樹脂と難黒鉛化炭素質の炭素繊維の使用割合が、質量比で10:90〜99:1である上記(5)記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
(7)極性溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールの中から選ばれる少なくとも一種である上記(5)または(6)記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フェノール樹脂の繊維を炭素化した、0.5μm以下の平均繊維径を有する難黒鉛化炭素質の炭素繊維を機械的な粉砕を行うことなく、熱可塑性樹脂に均一に分散、混合し、成形体としたときに表面が平滑で、かつ導電性に優れた成形体が得られる導電性樹脂組成物およびその製造方法を提供することができる。
また、本発明の導電性樹脂組成物は、自動車などのプライマーレス塗装対応材料や外観が良好な導電性材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で(A)成分として用いる熱可塑性樹脂は、ケトン系溶媒には溶解するが、該ケトン系溶媒と相溶性がある極性溶媒には実質的に不溶性のものであれば特に限定されず、各種スチレン系エラストマーおよびその水素添加物、たとえばスチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンーエチレン・プロピレンースチレンブロック共重合体(SEPS)など、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、メチルメタクリレートーブタジエンースチレン共重合体(MBS樹脂)などのスチレン系共重合体樹脂を挙げることができ、これらは一種単独で、もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明で(B)成分として用いる、0.5μm以下の平均繊維径を有する難黒鉛化炭素質の炭素繊維は、例えば、上記特許文献5に記載されている、フェノール樹脂を紡糸して得られた繊維を炭素化してなる炭素繊維を挙げることができる。すなわち、フェノール樹脂と特定のメルトインデックスを有するポリプロピレンもしくはポリエチレンとからなる樹脂組成物を溶融紡糸して、海成分がポリオレフィン樹脂であり、島成分がフェノール樹脂である海島型の複合繊維を得、さらに島成分のフェノール樹脂を硬化処理して硬化処理複合繊維とし、該硬化処理複合繊維を不活性雰囲気下で炭素化することにより、平均繊維径が0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.5μm程度の炭素繊維、いわゆるカーボンナノファイバーとするものである。平均繊維径を0.01μm未満にしようとすると、製造が難しくなり、また、コスト高になる恐れがある。
【0012】
本発明で用いられるケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルヘプチルケトン、ジエチルケトン、ピナコロンなどの脂肪族ケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの脂環式ケトン、ビアセチル、ベンジルなどのα―ジケトン、アセチルアセトンなどのβ―ジケトンなどを挙げることができ、これらは一種単独で、もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
本発明の導電性樹脂組成物における前記(A)成分と(B)成分の含有割合は、質量比で10:90〜99:1、好ましくは30:70〜97:3、さらに好ましくは、30:70〜95:5である。炭素繊維の含有割合が上記の範囲内にあれば、得られる導電性樹脂組成物を用いた成形体は良好な導電性を有するとともに、成形性、機械的特性が損なわれることもない。また、本発明の導電性樹脂組成物は、単独で用いられるほかに、該導電性樹脂組成物に用いた熱可塑性樹脂と混合可能な他の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。
【0014】
本発明で(A)成分として用いる熱可塑性樹脂には、その性能を損なわない範囲で、通常熱可塑性樹脂に添加される各種の添加剤を配合することができる。かかる添加剤の具体例としては、立体障害性フェノール、立体障害性アミン等の酸化防止剤;アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩などの有機酸塩、アルコキシド、アミン化合物、アミジン化合物、アミド化合物等の熱安定剤;ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の耐候剤;金属石鹸類、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、パラフィンワックスなどの滑剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、マイカ、ガラスファイバー、ガラスビーズ、カーボンファイバーなどの充填材;酸化チタン、硫化亜鉛、カーボンブラック、群青などの着色剤;臭素系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、リン系難燃剤、硫酸メラミンなどの難燃剤;等を挙げることができる。
【0015】
次に本発明の導電性樹脂組成物の製造方法について説明する。
ケトン系溶媒に熱可塑性樹脂を溶解した溶液と、平均繊維径が0.5μm以下で難黒鉛化炭素質の炭素繊維をケトン系溶媒に分散させた分散液とを、均一に混合した後、該ケトン系溶媒と相溶性があり、かつ熱可塑性樹脂を実質的に溶解しない極性溶媒を混合して、熱可塑性樹脂を析出させ、これに該炭素繊維が均一に分散された組成物を取り出すことにより得ることができる。熱可塑性樹脂を実質的に溶解しない極性溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコールなどの脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの芳香族アルコール類の中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。該極性溶媒との混合方法は特に限定されないが、炭素繊維が撹拌によってせん断されないように混合することが重要で、通常の撹拌機付混合槽や超音波洗浄機などを用いる方法や、リボンブレンダー、タンブラーミキサーなどによる混合方法、ゲル状物の場合は押出機を用いた混合も可能である。
【0016】
以上のようにして得られた導電性樹脂組成物はそのままで、用途によっては混合可能な他の熱可塑性樹脂で希釈して、射出成形法、押出成形法などの公知の成形法で各種の成形体、たとえば産業用機器部品、自動車部品、家電部品などに成形することができる。
【実施例】
【0017】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例もしくは比較例で用いた測定方法は以下の通りである。
(1)炭素繊維の平均繊維径
日本電子社製の走査型電子顕微鏡JSM−T220Aを使用して写真撮影を行い電子顕微鏡写真に基づいて炭素繊維の平均繊維径を測定した。
(2)表面平滑性
成形体の表面平滑性の測定は、(株)東京精密製の表面粗さ計サーフコム550Aを用いて測定した。
(3)導電性
導電性の測定は東亜電波工業(株)製のデジタル絶縁計を用いて測定した。
【0018】
実施例1
スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成(株)製、L601)99gをメチルエチルケトン100mlに溶解した溶液に、平均繊維径が0.2μmで難黒鉛化炭素質の綿状炭素繊維(特開2003−20517公報開示の方法に準拠して作製)1gをメチルエチルケトン100mlに分散した分散液を添加して超音波洗浄機中で撹拌、混合して混合液を調製した。
炭素繊維をメチルエチルケトンに分散した分散液は黒色を呈し、すぐに沈殿して透明な上澄み液と炭素繊維とに分離することはなかった。
上記の混合液にメタノールを200ml混合して、沈殿した樹脂組成物をろ過し、乾燥して導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物を用いて200℃で、プレス成形機により、1mm×10cm×10cmのシートを作成し、該シートを用いて表面固有抵抗値を測定したところ、抵抗値は1×1012Ω、表面粗さは算術平均粗さRa値で0.5μmであった。
走査型電子顕微鏡を用いてシートの断面観察を行ったところ、繊維径が約0.5μm程度の炭素繊維が均一分散していることが確認できた。
【0019】
比較例1
スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成(株)製、L601)99gをメチルエチルケトン100mlに溶解した溶液に、平均繊維径10μmのPAN系炭素繊維(東邦テナックス(株)製 HTA−C6−SR)1gをメチルエチルケトン100mlに分散した分散液を添加して超音波洗浄機中で撹拌、混合して混合液を調製した。
炭素繊維をメチルエチルケトンに分散した分散液はすぐに沈殿して透明な上澄み液と炭素繊維とに分離した。
上記の混合液にメタノールを200ml混合して、沈殿した樹脂組成物をろ過し、乾燥して炭素繊維含有樹脂組成物を得た。
得られた炭素繊維含有樹脂組成物を用いて200℃で、プレス成形機により、1mm×10cm×10cmのシートを作成し、該シートの表面固有抵抗値を測定したところ、抵抗値は1×1016Ω以上で、表面粗さは、算術平均粗さRa値で10μmであった。
【0020】
比較例2
スチレン系エラストマ−(旭化成(株)製、L601)2640g、平均繊維径10μmのPAN系炭素繊維(東邦テナックス(株)製 HTA−C6−SR)360gをヘンシェルミキサー(商品名)で3分間撹拌混合した後、該混合物をスクリュー径30mmの2軸押出機((株)池貝製 PCM30)を用いて溶融、混練して炭素繊維含有樹脂組成物を得た。得られた該炭素繊維含有樹脂組成物を用いて200℃で、プレス成形機により、1mm×10cm×10cmのシートを作成し、該シートの表面固有抵抗値を測定したところ、抵抗値は1×1016Ω以上で、表面粗さは、算術平均粗さRa値で10μmであった。
【0021】
比較例3
スチレン系エラストマ−(旭化成(株)製、商品名:L601)を用いて、200℃で、プレス成形機により、1mm×10cm×10cmのシートを作成し、該シートの表面固有抵抗値を測定したところ、抵抗値は1×1016Ω以上で、表面粗さは算術平均粗さRa値で0.5μmであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケトン系溶媒に可溶な熱可塑性樹脂と、(B)平均繊維径が0.5μm以下の難黒鉛化炭素質の炭素繊維とを含有する導電性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分の熱可塑性樹脂がスチレン系共重合体である請求項1記載の導電性樹脂組成物。
【請求項3】
(B)成分の難黒鉛化炭素質の炭素繊維が、フェノール樹脂を紡糸して得られた平均繊維径が0.5μm以下のカーボンナノファイバーである請求項1または2記載の導電性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)成分と(B)成分とを、質量比10:90〜99:1の割合で含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
【請求項5】
熱可塑性樹脂をケトン系溶媒に溶解した溶液と、平均繊維径が0.5μm以下の難黒鉛化炭素質の炭素繊維をケトン系溶媒に分散させた分散液とを混合した後、得られた混合液と、該ケトン系溶媒と相溶性があり、かつ該熱可塑性樹脂を実質的に溶解しない極性溶媒とを混合して該熱可塑性樹脂を析出させることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂と難黒鉛化炭素質の炭素繊維の使用割合が、質量比で10:90〜99:1である請求項5記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
極性溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールの中から選ばれる少なくとも一種である請求項5または6記載の導電性樹脂組成物の製造方法。




【公開番号】特開2006−117779(P2006−117779A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306495(P2004−306495)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000104364)カルプ工業株式会社 (23)
【出願人】(000165000)群栄化学工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】