説明

導電性細線、これを用いたデバイス、および導電性細線の形成方法

【課題】薄膜グラファイト層が用いられた導電性細線において、安定性が高く、かつ電気的特性に優れ、しかもバンドギャップを狭くする。
【解決手段】基板1表面に形成される導電性細線2、3であって、複数の薄膜グラファイト層4、5が積層されて構成され、これら複数の薄膜グラファイト層4、5のうち、少なくとも隣り合う2層4A、4Bの一方または両方の側縁4a、4bどうしが細線2、3の長手方向にわたって結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜グラファイトからなる導電性細線、これを用いたデバイス、および導電性細線の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラファイトは金属的な特性を持っており、これまで導電性材料としての応用が積極的になされてきた。
近年、ナノテクノロジーの発展に伴って、薄膜グラファイトのデバイス応用が注目を集めている。
薄膜グラファイトは数層の原子層が積層した構造になっており、層内は非常に強固な共有結合によって形成されているため、熱的な安定性が高く、エレクトロマイグレーションによる劣化に対しても耐性が高いと考えられる。
また近年、デバイスの配線の微細化に伴い局所的に集中した配線からの熱の拡散が大きな課題となっているが、薄膜グラファイトは非常に高い熱伝導特性を持っており、この問題にも有効であると考えられている。さらにフェルミ面近傍の電子状態から電子の移動度が非常に高いため、高周波デバイスへの応用も期待されている。
【0003】
しかしながら、薄膜グラファイトを用いて導電性細線を形成すると、バンドギャップが大きくなりやすいという問題がある(非特許文献1を参照)。
また、導電性細線の端縁部において電子の散乱が生じ、わずかな欠陥があっても電気伝導度に大きな影響が及び、さらにはジュール加熱による細線の破壊を招くおそれがあった。
また、薄膜グラファイトからなる導電性細線は、特に端縁部が外部環境中の物質と反応して経時劣化することがある。
このため、導電性細線の形成技術が、薄膜グラファイトのデバイス用の配線材料への応用に大きな障壁となっていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Young-Woo Son, Marvin L. Cohen, and Steven G. Louie, Physical Review Letters 97, 216803 (2006).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、薄膜グラファイト層からなる導電性細線において、安定性が高く、かつ電気的特性に優れ、しかもバンドギャップを狭くすることが可能な導電性細線、これを用いたデバイス、および導電性細線の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導電性細線は、基板表面に形成される導電性細線であって、複数の薄膜グラファイト層が積層されて構成され、これら複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う2層の一方または両方の側縁どうしが前記細線の長手方向にわたって結合している導電性細線である。
【0007】
本発明の導電性細線の形成方法は、基板表面に導電性細線を形成する方法であって、前記基板表面に、複数の薄膜グラファイト層を積層した導電層を形成し、これをパターニングして導電性細線を形成し、前記導電性細線を熱処理することによって、複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う2層の一方または両方の側縁どうしを前記細線の長手方向にわたって結合する導電性細線の形成方法である。
【0008】
本発明のデバイスの製造方法は、基板表面に導電性細線を形成したデバイスを製造する方法であって、前記基板表面に、複数の薄膜グラファイト層を積層した導電層を形成し、これをパターニングして導電性細線を形成し、前記導電性細線を熱処理することによって、複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う2層の一方または両方の側縁どうしを前記細線の長手方向にわたって結合するデバイスの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導電性細線は、隣り合う薄膜グラファイト層の側縁どうしが結合した構造を有するので、反応性が高く不安定な縁部が露出することがなくなる。このため、化学的な安定性が高められ、経年劣化が起こりにくくなる。また、縁部における電子の散乱を原因とする電気的特性の劣化も防ぐことができる。
また、上記結合により薄膜グラファイト層が立体的な構造となるため、機械的および熱的な安定性を高めることができる。また、薄膜グラファイト層が立体的な構造となることにより、皺の発生が起こりにくくなり、電気的特性も高められる。
さらに、薄膜グラファイト層の層間相互作用によってバンドギャップが狭くなるため、優れた電気的特性が得られる。
【0010】
本発明の導電性細線の形成方法によれば、容易な操作で上記層間結合を有する導電性細線を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のデバイスの一例を示す断面図である。
【図2】図1に示すデバイスの導電性細線の形成工程を示す工程図である。
【図3】前図に続く工程図である。
【図4】試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明のデバイスの一例を示す断面図である。
このデバイスは、基板1の表面に導電性細線2、3を形成した構成を有する。導電性細線2、3は、複数の薄膜グラファイト層が積層されて構成された細線(配線)であり、短冊状(帯状)に形成されている。図1において、導電性細線2、3は紙面に垂直な方向に延在している。
導電性細線2、3は、基板1表面に複数形成することができる。例えば、複数の導電性細線2、3を基板1表面に並列させて形成することができる。
薄膜グラファイト層は、炭素原子の六員環によるネットワークを骨格として持つ、1または複数の原子層からなる。
【0013】
本発明の導電性細線は、前記複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う2層の一方または両方の側縁どうしが前記細線の長手方向にわたって結合した構造を有する。薄膜グラファイト層の積層数は、特に限定されないが、例えば2〜8とすることができる。
【0014】
例えば、図1に示す導電性細線2は、4層の薄膜グラファイト層4が積層されて構成され、これらのうち、隣り合う第1層4Aと第2層4Bの一方の側縁4a、4bどうしが長手方向にわたって結合している。同様に、隣り合う第3層4Cと第4層4Dの一方の側縁4c、4dどうしも長手方向にわたって結合している。
側縁4a、4bの結合部分6Aは断面略円弧状に形成され、結合部分6Aの内径は、第1層4Aと第2層4Bの厚さ方向の距離(層間距離)より大きいことが好ましい。同様に、側縁4c、4dの結合部分6Bは断面略円弧状とされ、その内径は第3層4Cと第4層4Dの層間距離より大きいことが好ましい。
【0015】
導電性細線3は、4層の薄膜グラファイト層5が積層されて構成され、これらのうち、隣り合う第1層5Aと第2層5Bの一方の側縁5a、5bどうし、および他方の側縁5a、5bどうしが結合している。同様に、隣り合う第3層5Cと第4層5Dの一方および他方の側縁5c、5dどうしが結合している。
側縁5a、5bの結合部分7A、7Aは断面略円弧状に形成され、その内径は、第1層5Aと第2層5Bの層間距離より大きいことが好ましい。同様に、側縁5c、5dの結合部分7B、7Bは断面略円弧状とされ、その内径は第3層5Cと第4層5Dの層間距離より大きいことが好ましい。
【0016】
導電性細線2、3の幅は、2nm以上、1μm未満であることが好ましい。
導電性細線2、3の幅が狭すぎると、薄膜グラファイト層4、5の安定な積層状態が維持できにくくなるおそれがある。例えば導電性細線2では、結合部分6Aに近い部分では第1層4Aと第2層4Bの層間距離が大きくなることから、導電性細線2の幅が狭い場合には、第1層4Aと第2層4Bのファンデルワールス的な相互作用が弱くなるため、これらが結合部分6Aを支点として互いに剥離しやすくなる。
また、導電性細線2、3の幅が十分に広い場合には、層間相互作用が大きくなるため熱力学的強度を確保でき、バンドギャップも小さくなることから、この結合構造を採用することで得られる効果が相対的に小さくなる。
従って、本発明における導電性細線の幅は上記範囲が好適である。
【0017】
また、両方の側縁が結合した構造の導電性細線3では、特に幅が3nm以上である場合に、ファンデルワールス的な相互作用によるエネルギー利得のため積層状態が安定に維持される(例えば、P.Zhang and V.H.Crespi, Phys. Rev. Lett. 83, 1791 (1999)を参照)。導電性細線の幅は、4nm以上とすると積層状態の安定性がさらに高められる。
【0018】
基板1は、特に限定されるものではなく、電子デバイス等の基板として用いられるもの、例えば酸化シリコン基板のほか、樹脂材料、無機材料からなる基板を用いることができる。
【0019】
次に、図1に示すデバイスを製造する場合を例として、本発明のデバイスの製造方法の一例を説明する。
図2に示すように、基板1表面に、複数の薄膜グラファイト層8を積層した導電層9を形成する。
薄膜グラファイト層8の形成は、例えば高配向熱分解グラファイト(HOPG)基材からの転写によって行うことができる。グラファイト基材は、欠陥構造の少ないものであれば、炭化シリコンの熱分解や金属基板上へのエピタキシャル成長などの方法によって形成されたものであってもよい。
導電層9は、例えば2〜8層の薄膜グラファイト層8からなる。
【0020】
次いで、図3に示すように、導電層9をパターニングすることによって導電性細線10を形成する。
導電性細線10は、高電圧を印加した走査型トンネル電子顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)の探針を用いて形成することができる。また、酸素プラズマエッチングによる方法や反応性イオンエッチングによる形成方法も採用できる。
【0021】
導電性細線10は、STMによって薄膜グラファイト層の層数および結晶方向を明らかにし、アームチェア方向またはジグザグ方向に沿うように形成することが好ましい。これによって、薄膜グラファイト層8の側縁どうしを結合する際に欠陥が生じるのを防ぎ、強固な層間結合が得られる。
導電性細線10の幅は、上述の理由で2nm以上、1μm未満であることが好ましい。
【0022】
導電性細線10を、真空下(例えば1×10−5Pa以下)で加熱する。加熱温度は、例えば700K以上(好ましくは800K以上)とすることができる。
この加熱処理によって、少なくとも隣り合う2層の薄膜グラファイト層8の側縁どうしが結合され、図1に示す導電性細線2、3が形成される。
STM探針、エッチング等を用いて導電性細線10を形成する場合には、導電性細線10を形成する時点で、ある程度の層間結合が形成されることがある。
【0023】
上記構成の導電性細線2、3は、薄膜グラファイト層4、5の側縁どうしが結合した構造を有するので、反応性が高く不安定な縁部が露出することがなくなる。このため、化学的な安定性が高められ、経年劣化が起こりにくくなる。また、縁部における電子の散乱を原因とする電気的特性の劣化も防ぐことができる。
また、上記結合により薄膜グラファイト層4、5が立体的な構造となるため、機械的および熱的な安定性を高めることができる。また、薄膜グラファイト層4、5が立体的な構造となることにより、皺の発生が起こりにくくなり、電気的特性も高められる。
さらに、薄膜グラファイト層4、5の層間相互作用によってバンドギャップが狭くなるため、優れた電気的特性が得られる。
【0024】
また、上記導電性細線2、3の形成方法によれば、容易な操作で上記層間結合を有する導電性細線2、3を形成できる。
【0025】
薄膜グラファイトでは、膜の熱振動等によってマイクロメートルオーダーの周期の皺が形成されることがある。
この皺構造は電子散乱を誘起し、電気的特性の劣化を引き起こすことが指摘されているが、薄膜グラファイト層の側縁に層間結合を形成すると、薄膜グラファイト層が立体的な構造を取ることによって皺が形成されにくくなるため、良好な電気的特性が得られる。
層間結合は、薄膜グラファイト層の一方の側縁のみに形成してもよいが、両方の側縁に形成すると、熱力学的な安定性が高まる。
層間結合を両方の側縁に形成する構造(押しつぶされたチューブ状の構造)では、狭いバンドギャップ(例えば0.1eV以下)を得るには、細線の幅を4nm以上とすることが好ましい。
導電性細線は、製造条件によっては、層間の結合の形成部位が細線の長さ方向の全体でなく一部となるが、いずれかの側縁において層間結合が形成されていれば、狭いバンドギャップが得られる。
【0026】
図1に示す例では、隣り合う2層の薄膜グラファイト層間に層間結合が形成されているが、これに限らず、少なくとも隣り合う3層の薄膜グラファイト層間に層間結合が形成されていてもよい。
すなわち、上下に隣接した3層以上の薄膜グラファイト層の一方または両方の側縁が互いに結合した構造を採用することもできる。
【0027】
薄膜グラファイト層の一方の側縁が結合した構造(図1における導電性細線2を参照)においては、結合が形成される部位が長手方向に異なる構成も可能である。例えば、結合部分が長手方向の一部では一方の側縁に形成され、他の部分では他方の側縁に形成されていてもよい。
結合部分がいずれの側縁に形成されていても、π電子の広がりと層間の相互作用によりバンドギャップが減少する効果は得られる。
また、一方の側縁が結合した構造において、結合部分が長手方向の一部において両側縁に形成されていてもよい。
また、結合部分は、細線の全長にわたって形成されていてもよいが、一部(例えば全長に対し半分以上の長さ)のみに形成されていてもよい。すなわち、結合部分は、細線の側縁の少なくとも一部に形成されていればよい。結合部分が一部にしかない場合でも、π電子の広がりと層間の相互作用によりバンドギャップは減少する。
また、3層以上の薄膜グラファイト層において層間結合が形成されている場合でも、π電子の広がりと層間の相互作用によりバンドギャップは減少する。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
2層の薄膜グラファイト層の一方の側縁のみが結合した構造の導電性細線(例えば図1に示すデバイスの導電性細線2)について、密度汎関数法に基づく第一原理電子状態計算を行った。
一般に、ジグザグ端よりもアームチェア端の方がエネルギー的に安定であるため、細線を形成する際にはアームチェア端が表出しやすい。
そこで、アームチェア端を持つ2層の薄膜グラファイト層を結合した構造を対象として計算を実施した。
単位胞あたり炭素原子数90から104で形成される2層の薄膜グラファイト層の一方の側縁間に結合を形成し、第一原理電子状態計算による構造最適化を行うことによって、幅が2.4nmから2.8nmの範囲の細線の安定構造を決定した(図4参照)。
【0029】
上記構造最適化によって、結合部分は、内径が薄膜グラファイト層の層間距離より大きい断面略円弧状(図1参照)となることがわかった。この構造をとることによって、結合部分の曲げ構造におけるエネルギー損失が小さくなる。導電性細線2、3の幅は、2nm以上、1μm未満が好ましい。
また、薄膜グラファイト層の側縁どうしをアームチェア端で結合すると、グラファイト構造で一般的なAB積層型ではなく、AA積層型(2層間で六員環が重なる構造)になることがわかった。
【0030】
図4は、上記構造におけるバンドギャップを示すグラフである。
Sonらによると(非特許文献1を参照)、アームチェア端を持つ、互いに結合していない薄膜グラファイト層からなる導電性細線ではバンドギャップは約0.4eVであるが、図4に示すように、薄膜グラファイト層の一方の側縁どうしを結合した導電性細線では0.09eV以下と、大幅に小さくなることがわかった。
これは、層間結合によって2層間に広がったπ軌道の相互作用により、軌道の安定性が変化するためである。
薄膜グラファイト層からなる細線のバンドギャップは、その原子幅によって3倍周期の振動をするが、本シミュレーションでは振動は見られず、バンドギャップが大きく減少することがわかった。
従って、アームチェア端を持つ薄膜グラファイト層からなる細線において、薄膜グラファイト層の一方の側縁を結合することによって、熱力学的安定性の向上、化学的安定性の向上、さらにバンドギャップの減少による電気伝導特性の向上が可能になることがわかった。
【0031】
(実施例2)
2層の薄膜グラファイト層の両方の側縁が結合した構造(すなわち押しつぶされたチューブ状の構造)の導電性細線(例えば図1に示すデバイスの導電性細線3)について、密度汎関数法に基づく第一原理電子状態計算を行った。
単位胞あたり炭素原子数152から168で形成される単層ジグザグカーボンナノチューブについて第一原理電子状態計算を行い、上記構造(両側縁結合)の導電性細線の構造最適化とバンドギャップを求めた。結果を図4に併せて示す。
この結果より、この構造(両側縁結合)におけるバンドギャップは、実施例1と同様に、円筒構造に比べて狭くなることがわかった。バンドギャップの減少は一方の側縁結合構造の場合ほど大きくはないが、一般の配線用途としては充分低く、少なくとも0.2eV以下となる。
より幅の広い細線の場合には層間の相互作用が大きくなるため、バンドギャップはさらに狭くなると考えられる。
従って、アームチェア端をもつ薄膜グラファイト層からなる細線において、薄膜グラファイト層の両側縁を互いに結合することによって、熱力学的安定性、化学的安定性、電気伝導特性の向上を実現できる。
【0032】
(実施例3)
図2に示すように、高配向熱分解グラファイト(HOPG)基材からの転写によって、酸化シリコンからなる基板1表面に、複数の薄膜グラファイト層8からなる導電層9を形成した。
STM探針によって導電層9をパターニングし、幅10nmの導電性細線10を形成した。
導電性細線10を真空下(1×10−6Pa)で加熱した。加熱温度は1000Kとした。
この加熱処理によって、2層の薄膜グラファイト層8の一方の側縁どうしを結合させた。
導電性細線の幅を0.2nmとすると、層間結合がない場合、バンドギャップは0.4〜0.5eV程度となるが、一方の側縁を層間結合した導電性細線(図1における導電性細線2)では、0.1eV以下にすることが可能であった。
【符号の説明】
【0033】
1・・・基板、2、3、10・・・導電性細線、4、5、8・・・薄膜グラファイト層、4a〜4d、5a〜5d・・・側縁、6A、6B、7A、7B・・・結合部分、9・・・導電層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に形成される導電性細線であって、
複数の薄膜グラファイト層が積層されて構成され、
これら複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う2層の一方または両方の側縁どうしが前記細線の長手方向にわたって結合していることを特徴とする導電性細線。
【請求項2】
前記複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う3層の側縁どうしが結合していることを特徴とする請求項1に記載の導電性細線。
【請求項3】
前記2層の薄膜グラファイト層の結合部分は、断面略円弧状に形成され、
前記結合部分の内径は、前記薄膜グラファイト層の厚さ方向の層間距離より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の導電性細線。
【請求項4】
幅が2nm以上、1μm未満であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の導電性細線。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の導電性細線を基板表面に形成したことを特徴とするデバイス。
【請求項6】
基板表面に導電性細線を形成する方法であって、
前記基板表面に、複数の薄膜グラファイト層を積層した導電層を形成し、これをパターニングして導電性細線を形成し、前記導電性細線を熱処理することによって、複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う2層の一方または両方の側縁どうしを前記細線の長手方向にわたって結合することを特徴とする導電性細線の形成方法。
【請求項7】
基板表面に導電性細線を形成したデバイスを製造する方法であって、
前記基板表面に、複数の薄膜グラファイト層を積層した導電層を形成し、これをパターニングして導電性細線を形成し、前記導電性細線を熱処理することによって、複数の薄膜グラファイト層のうち、少なくとも隣り合う2層の一方または両方の側縁どうしを前記細線の長手方向にわたって結合することを特徴とするデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−113797(P2011−113797A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268810(P2009−268810)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】