説明

導電性組成物および製造法

【課題】銀粉およびアルミニウム粉の混合物を含む銀アルミニウムペーストでは、銀−アルミニウム導電性ペーストの間の不十分な接着、ならびに銀およびガラスフリットの間の容易な剥離が生じるが、この対策として導電性粒子をすべて銀材料とした場合、原価が上がる。これらの欠点に打ち勝つために先行技術より良好な、導電性組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】導電性機能的相混合物を含む導電性組成物では、導電性機能的相混合物は、金属および金属酸化物で作られており、金属酸化物は充填剤として、および、金属は本体として用いられる。導電性機能的相混合物は金属および金属酸化物で製造され、金属酸化物は充填剤としてであり、また、金属は本体としてである。少なくとも銀または銅を含む被覆部は、充填剤の少なくとも一部表面を実質的に被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、導電性組成物、より詳しくは、太陽電池に適用される導電性組成物、およびその製作法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、その半導体材料によって光照射を電気に変換することができる。太陽電池の構造は光電変換層を含み、光電変換層は、P型半導体材料およびN型半導体材料によって形成されたPN接合によって製造される。日光が光電変換層に照射されると、半導体材料に対応する光のバンドは光電変換層に吸収され、光電変換を達成するために光エネルギーが電子−正孔対の形態の電気に変換されて、P型半導体材料層およびN型半導体材料層に結合した金属ワイヤーに供給される。
【0003】
太陽電池は、光起電力効果によって光エネルギーを電気に変換することができる半導体装置である。基本的に、半導体ダイオードは、光エネルギーを電気エネルギーに変換するために使用することができる。太陽電池は、光伝導効果および内部電界の2つの因子に基づいて電気を発生させる。したがって、太陽電池材料の選択には、その光伝導効果、およびその内部電界の発生の仕方を考慮に入れる必要がある。
【0004】
太陽電池の性能は、光および電気の間の変換効率によって主として決定される。変換効率に影響を及ぼす因子は、日光の強度および温度;材料の抵抗および基板の品質および欠陥密度;pn接合の濃度および深さ;光に対する表面反射率;金属電極のライン幅、ライン高さおよび接触抵抗を含む。したがって、高い変換効率を有する太陽電池を製造するためには、上記の各影響因子に対する厳しい制御が必要である。
【0005】
変換効率および製造原価は、今日の太陽電池の製造に対する主要な考慮事項である。今日の市場に出回っている太陽電池製品の中で、シリコンによって製造された太陽電池は最大の市場占有率を有する。結晶構造によって分類すると、それらは、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池および非晶質シリコン太陽電池に分けることができる。変換効率の観点からは、単結晶シリコン太陽電池はおよそ24%の変換効率を有する最も効率的なものであるが、多結晶シリコンは約19%であり、非晶質シリコンは概算で11%である。光電気変換基板として、III−V化合物半導体GaAsなどの他の化合物半導体を使用することによって、変換効率は26%以上に上げることができる。
【0006】
エネルギー変換効率を上げるために革新的メカニズムと取り組み、シリコンウエハーの厚さを低下させることは、太陽電池技術の開発においてもう一つの主要な焦点である。ウエハ厚みの問題では、既存の技術は、37μm未満に電池の厚さを低下させ、また20%まで効率水準を上げるためにレーザー照射接触(LFC)法を使用する。関与するステップは、概略的に説明すれば、蒸発工程が導入されてアルミニウム層を生成し、パシベーション層がそれによって太陽電池の裏面に形成し、レーザービームがアルミニウム層を貫通させ導電性接触を形成するために使用される。電気エネルギーを失うという以前の問題は、LFC技術によって解決することができ、さらに、アルミニウム電極を保持するためのパシベーション層(シリコン基板の裏面に位置する)内の孔を形成するために使用される伝統的な費用のかかるリソグラフィーおよびエッチングの技術は、もはや必要としない。
【0007】
さらに、電流は、半導体基板の2つの金属電極端子によって外部負荷側に流れることができ、その結果、太陽電池によって発生した電流は、利用可能な電気エネルギーとして流れ出る。当然、金属電極は、基板の受光面(すなわち、正の面)を遮断して、日光の吸収を妨害するので、太陽電池の正の面の金属電極の面積は、太陽電池の受光面積を増すために可能な限り小さい。したがって、金属電極は、一般に、スクリーン印刷技術を使用することによって、メッシュ電極構造としての太陽電池の正/裏面上に製造される。電極の製造において、導電性金属ペースト(銀ペーストなどの)は、設計された図に従って、スクリーン印刷技術の使用により不純物添加シリコン基板に印刷される。導電性金属ペースト中の有機溶媒は利用可能な焼結条件において揮発させ、その結果、金属粒子はシリコンの表面と相互作用して良好なオーム接触としてのシリコン合金を形成し、それにより太陽電池の正および裏面の金属電極になる。しかし、薄すぎる電極フィンガーラインは、容易に断線をもたらし、または抵抗率を増加させ、太陽電池の変換効率を減少させることがある。したがって、電池の全体の出力効率を減少させずに、薄膜化を達成する方法が技術的な焦点である。一般に、金属電極の厚さは、約10から25ミクロン(μm)であり、正の金属ライン(フィンガーライン)の幅はおよそ120〜200ミクロンである。それは、太陽電池の電極を製造するためにそのような技術を使用することにより、自動化、高スループットおよび低コストという利点を有する。以前の研究において、導電性ペーストの組成物は、スクリーン印刷のメッシュを容易に通過しないか、またはスクリーン印刷板を損傷する大きい塊を形成する恐れがある。
【0008】
さらに、太陽電池のシリコン基板(すなわち、非受光面)に対し、裏面電極構造は、銀電極部(フィンガーライン電極部)およびアルミニウム電極部(裏面電界部)を含む。一般的な工業の慣行において、図1に示されるように、銀電極11パターンは、スクリーン印刷法の使用によりシリコン基板10の裏面に印刷され、続いてアルミニウム電極12パターンが銀電極11に形成される。太陽電池モジュールは、アルミニウムの低いはんだ能力により、直接はんだ付けすることによって互いに電気的に接続することができない。そのため、はんだリボン20は、太陽電池モジュールが互いに電気的に集積した形態になるように、一般に、太陽電池の裏面の銀電極11領域にはんだ付けされる。図1の構造において、銀電極−シリコン基板間の界面30およびアルミニウム電極−Si基板間の界面50は、焼結工程中で共晶層を形成し、それによってしっかりと結合する。しかし、銀およびアルミニウムの間で共晶組織を形成することは困難であり、銀電極−アルミニウム電極間の界面40は剥離する傾向があり、銀電極およびアルミニウム電極の間に亀裂を生成させ、それによって太陽電池の全体的性能を低下させる。したがって、太陽電池モジュールが製作された後、試験の変換効率に加えて、はんだリボン20の接着試験、および銀電極−アルミニウム電極の界面40間の剥離試験を、モジュールの裏面構造の健全性を確認するために行ってもよい。
【0009】
上記のように、PN接合半導体基板の形成に加えて、太陽電池を製造する主要部分は導電性組成物である。導電性組成物の公知の技術は、金属粉末(特に銀)、ガラスフリット、有機ビヒクル、および添加剤によって製造され、組成物、含有率、および工程パラメーターの割合が、最終の電極生成物の性能に影響を与える。金属電極の裏面を例にとれば、はんだリボンの接着強度および銀電極−アルミニウム電極間の界面の剥離の程度に加えて、導電性銀組成物およびアルミニウム組成物の品質は、太陽電池の変換効率η、開放電圧Voc、短絡電流(Isc)、曲線因子、直列抵抗Rs、および分流抵抗Rsh(分流抵抗)に直接影響し、また、焼結温度Tの有効範囲および接着強度を決定する。したがって、上述の太陽電池性能を改善する導電性組成物を展開する方法は、工業的開発で優先する。
【0010】
銀アルミニウムペーストは、一般に、銀粉およびアルミニウム粉の混合物を含む。しかし、銀およびアルミニウムの間に共晶組織を形成することは困難であり、結果として、銀−アルミニウム導電性ペーストの間の不十分な接着、ならびに銀およびガラスフリットの間の容易な剥離が生じる。導電性粒子がすべて銀材料によって使用されれば、原価が上がる。したがって、本発明は、これらの欠点に打ち勝つために先行技術より良好な、導電性組成物の製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記に基づいて、本発明の一実施形態は、導電性組成物であって、導電性機能的相混合物を含み、導電性機能的相混合物は、金属および金属酸化物で製造され、金属酸化物は充填剤としてであり、および、金属は接着性を増強するための本体としてである導電性組成物を提供する。金属酸化物は、二〜四価の金属を含む。導電性被覆部は、充填剤の実質的に少なくとも一部の表面を場合によって覆っていてもよく、被覆部は、導電性を増強するために少なくとも金属または合金を含有する。金属酸化物の融点は焼結温度より高い。
【0012】
金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化第二銅およびその組み合わせを含む。
【0013】
導電性組成物は、ガラスおよび添加剤をさらに含み、金属酸化物、ガラスおよび添加剤は有機ビヒクルと混合されている。
【0014】
本発明の別の目的は、導電性組成物であって、導電性機能的相混合物が金属および金属酸化物で製造され、金属酸化物が充填剤としてであり、また、金属が接着性を増強するための本体としてである導電性機能的相混合物と;充填剤の材料費が導電性被覆部のそれ未満であり、充填剤の少なくとも一部表面を実質的に被覆する導電性被覆部とを含む導電性組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の要素、特徴および利点は、明細書および添付された図面において略述された好ましい実施形態の詳述によって理解することができる。
【0016】
【図1】太陽電池のシリコーン基板の断面図である。
【図2】シリコンウエハー太陽電池の構造の断面図である。
【図3】本発明の太陽電池のために使用される導電性組成物の製造フローチャートである。
【図4】接着の試験グラフである。
【図5】走査電子顕微鏡(SEM)の使用により観察されたアルミナ粒子の微視的な構造である。
【図6】走査電子顕微鏡(SEM)の使用により観察されたアルミナ粒子の微視的な構造である。
【図7】SEMの使用により観察されたAl/アルミナ粒子の微視的な構造である。
【図8】SEMの使用により観察されたAl/アルミナ粒子の微視的な構造である。
【図9】SEMの使用により観察されたAl/アルミナ粒子の微視的な構造である。
【図10】SEMの使用により観察されたアルミナ粒子の微視的な構造である。
【図11】SEMの使用により観察されたアルミナ粒子の微視的な構造である。
【図12】SEMの使用により観察されたアルミナ粒子の微視的な構造である。
【図13】焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着を説明する図である。
【図14】焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着を説明する図である。
【図15】焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着を説明する図である。
【図16】焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着を説明する図である。
【図17】焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着を説明する図である。
【図18】焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明のいくつかの好ましい実施形態をより詳しく記載する。しかしながら、本発明の好ましい実施形態が、本発明を限定するものではなく例証として提供されることは認識されるべきである。さらに本発明は、明示的に記載されたものに加えて他の広範囲の実施形態において実施することができ、本発明の範囲は、付随のクレームにおいて指定される以外、明白には限定されない。
【0018】
「一実施形態」または「1つの実施形態」に対する明細書中の言及は、好ましい実施形態に関連して記載される、具体的な特色、構造または特徴を指し、これらは本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれている。したがって、「一実施形態において」または「1つの実施形態において」という様々な出現は、必ずしも同一の実施形態を指さない。さらに、本発明の具体的な特色、構造または特徴は、1つまたは複数の好ましい実施形態において適切に組み合わせられていてもよい。
【0019】
図2に示されるように、これは、シリコンウエハー太陽電池の構造の断面図を示す。シリコンウエハー太陽電池の構造は、本発明のただ1つの実施形態であるが、シリコンウエハー太陽電池およびその方法の構造の本発明を限定することを意図するものではない。図2に示されるように、シリコンウエハー太陽電池100は、第1の電極101、第2の電極103およびPN半導体層102を含み、2つの電極は電導性であり、そのうちの少なくとも1つの電極は透明である。PN半導体層102は、第1の電極101の第1の面に構成される。
【0020】
第1の電極101(作用電極または半導体電極として知られる)は、導電率を有する何らかの材料を含有する。例えば、第1の電極101は、その上にインジウムスズオキシド(ITO)またはフッ素スズオキシド(FTO)で被覆したガラス、PET、PENプラスチック、または導電性高分子によって形成されてもよい。第2の電極103(裏面電極として知られる)はまた、導電率を有する何らかの材料を含む。第2の電極103は、ITO、FTOから選択することにより形成することができる導電性基板、酸化チタン、酸化亜鉛、Ga、Al、スズ系酸化物およびその組成物で被覆した金属シートを含む。一実施形態において、第1の電極101および第2の電極103の材料は、透明材料および不透明材料の任意の組み合わせであってもよい。
【0021】
本発明の導電性組成物が、任意の種類のシリコンウエハー太陽電池の前面または裏面に適用することができることは留意されるべきである。言いかえれば、開示された導電性組成物は、正極または裏面電極に適用することができる。
【0022】
どちらにせよ、裏面電極の例に関して、本発明は、その裏面電極の材料として適用することができる導電性組成物、および製造方法を開示する。導電性組成物は、金属および金属酸化物で製造された導電性機能的相混合物を含み、金属酸化物は充填剤として使用され、金属は接着を増強する本体として機能し;金属酸化物の金属は二〜四価の金属である。被覆部は、充填剤の実質的に少なくとも一部の表面を覆っていてもよく、被覆部は、導電性を改善するために少なくとも金属または合金を含有する。金属酸化物の融点は焼結温度より高い。充填剤の重量パーセントは3から5である。被覆部を被覆した金属酸化物の導電性粒子が熱処理工程によって行われる場合、被覆部の表面は流動して金属酸化物の間の隙間を充填し、導電性組成物の間の結合強度を増強し、それによって導電性を増強しインピーダンスを低下させることができる。さらに、充填剤および被覆部の材料原価を、本体より低下させ、高コストの核を置き換える低コスト材料を達成し、しかも接着性および導電性を高めることができる。
【0023】
添付の図面および実施形態において、本発明の導電性組成物の製造方法が記載される。
【0024】
図3に示されるように、それは、本発明の太陽電池に使用される導電性組成物の製造フローチャートを示す。第一に、ステップ110において、その上に導電性材料で被覆した充填剤、銀粒子、ガラス溶融物(ガラスフリット)および添加剤が有機ビヒクルに添加される。粒子の形状は、入手可能な寸法を有するフレーク、球形、円柱状、塊状、または他の不特定形状を包含する。粒子寸法の範囲は、約0.1から10ミクロン(μm)である。有機ビヒクルは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)もしくはポリビニルピロリドン(PVP)または他のポリマー樹脂から選択することができる。有機ビヒクルは、充填剤および銀粒子の分散性を改善し、基板への接着性をさらに向上させるために使用することができる。
【0025】
次に、ステップ111において、予備分散溶液を有機ビヒクルと混合するために、例えば、強力撹拌の超音波振動を使用する予備混合用の混合機(約5から10分)またはホモジナイザーを使用し、充填剤、銀粒子、ガラス溶融体ブロック(ガラスフリット)および添加剤を有機ビヒクルと混合する。最後に、ステップ112において、分散液を粉砕するために三本ロール機を使用し、銀ペーストを調製する、すなわち導電性組成物を形成する。
【0026】
アルミナの形成が図5および図6に示され、これらは走査電子顕微鏡(SEM)の使用により観察されたアルミナ(粉末)粒子の微視的な構造を示す。図7、図8および図9は、SEMの使用により観察されたAl/アルミナ粒子の微視的な構造を示す。図10、図11および図12は、SEMの使用により観察されたアルミナ粒子の微視的な構造を示す。
【0027】
図7は、異なるスペクトルでの銀/アルミナ粉末粒子の微視的な構造を示す。
【0028】
【表1】

【0029】
スペクトル4

【0030】
スペクトル4

【0031】
スペクトル5

【0032】
スペクトル1

【0033】
スペクトル2
【0034】
本発明の導電性組成物は、充填剤として金属酸化物を添加することにより調製される。充填剤の表面は、好ましくは、金属、合金およびその組み合わせなどの導電層の被覆である。充填剤の材料は、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ジルコニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化第二銅およびその組み合わせである。充填剤は表面修飾によって行われ、その表面は銀または銅金属層で被覆され、接着性を向上させる目的を達成し、またそれにより、銀−銀界面間の剥離強度を高め、銀−ガラス界面間の剥離強度を高め;またそれによって、金属酸化物充填剤の原価低減の目的を達成する。一実施形態において、本発明の導電性組成物は、太陽電池の前面または裏面に使用することができる。
【0035】
形成された導電性組成物は、導電性フィルムを形成するためにスクリーン印刷法によって行うことができ、スクリーン板の仕様は、例えば、250メッシュ、直径35ミクロン(μm)、乳剤5ミクロン厚のステンレス鋼スクリーン織布;印刷図形153mm*4.4mm*2ラインである。銀ペーストはスクリーン印刷によって使用され、シリコン基板の裏面に印刷し、200〜300℃の温度で0.5〜1分の時間乾燥される。次いで、赤外線焼結炉を使用して、移動チェーンベルトによって700〜900℃などのピーク温度で焼結させる。
【0036】
次に、計測プログラムによって、はんだリボンのはんだ付けにおいて、切断機は、はんだリボンを約25センチメートル(cm)で切断し、はんだフラックスをはんだリボンに塗布して、酸化物層を除去する。はんだリボンの仕様は以下のとおりである。
【0037】
【表2】

【0038】
赤外線はんだ付け機に基づいて、試験要素(太陽電池)を、機械の、140℃に設定したプラットフォーム上に置き、次いで、太陽電池のバスバーにはんだリボンを配置し、続いて、設定時間および温度ではんだ付けする。はんだ付け条件は以下のとおりである。
【0039】
【表3】

【0040】
さらに、接着試験において、太陽電池を接着機のプラットフォームに固定し、はんだリボンの片端は治具によって固定する。はんだリボンは、180度の角度で120mm/sの速度によって引っ張り、測定し接着値を得る。結果は図4を参照することができる。
実施形態1
【0041】
【表4】

【0042】
実施形態1において、Ag/アルミナおよびアルミナ含有率は、接着に関して影響を与え;アルミナ粉末の添加は容易には分散せず、銀と結合させることは容易ではなく、焼結工程において亀裂をもたらすことを示す。焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着は、図13および図14をそれぞれ指す。
実施形態2
【0043】
【表5】

【0044】
実施形態2において、Ag/アルミナ含有率は接着に影響を与え;適切なAg/アルミナを添加し、異なる焼結温度で安定な高い接着性が得られることを示す。焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着は、図15および図16をそれぞれ指す。
実施形態3
【0045】
【表6】

【0046】
実施形態3において、Ag/アルミナ含有率は接着に影響を与え;銀の含有率を低下させ、印刷ボリュームを低下させるが、銀の弱い層は強い構造支持体となり得ないことが示される。Ag/アルミナは、Ag−Ag間、およびAg−ガラス間の結合強度を増強するために添加することができる。焼結工程におけるフェースアップおよびフェースダウンでの接着は、図17および図18をそれぞれ指す。
【0047】
上記のことから、本発明において、充填剤、例えば、Ag/アルミナ(酸化ジルコニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛)を導電性組成物へ適切に添加して、接着を増強し元の銀層の分離を回避することができ、その結果、導電性組成物は、優れた電気伝導率、および低い抵抗率を有する。
実施形態4
【0048】
【表7】

【0049】
この実施形態において、アルミナが、本体として銀である導電性組成物へ添加される。実施形態4から、対照群は銀(Ag)のみを含み、対照群はアルミナを添加せず、フェースアップおよびフェースダウンの接着は、それぞれ1.73および1.51である。本発明の実験および観察の結果によると、小量のアルミナの添加により接着性を改善することができる。アルミナの重量パーセントは約0.5〜5であり、アルミナの重量パーセントは約2〜4が好ましい。上表で実験群(K、L、M、N)の接着が対照群より大きいことを示すことは留意されるべきである。したがって、同様に、実施形態4が示すように、銀の含有率を低下させ、印刷ボリュームを低下させると、銀の弱い層は強い構造支持体となり得ない。Ag/アルミナは、Ag−Ag間、およびAg−ガラス間の結合強度を増強するために添加することができる。さらに、アルミナはまた、同様な効果を生み出すために添加されてもよく、それは、銀の含有率の低減(より脆弱な銀層構造)によって引き起こされる空隙を充填することができる。本発明は、金属および金属酸化物で製造された導電性機能を有する混合物を含む導電性組成物を提供し、金属酸化物は充填剤としてであり、金属は接着を増強するための本体としてであり、金属は銀を含み、アルミナの重量パーセントは約0.5〜5である。金属酸化物は、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化シリコン(シリカ)、酸化亜鉛、酸化第二銅およびその組み合わせを含み、金属酸化物は二〜四価の金属を含む。
【0050】
前述の記載は、本発明の好ましい実施形態である。当業者によって理解されるように、本発明の前述の好ましい実施形態は、本発明の例証であって本発明を限定するものではない。本発明は、添付のクレームの趣旨および範囲内に包含される様々な修飾および同様の構成を包含するように意図され、その範囲は、そのような修飾および類似の構造をすべて包含するように最も広範囲の解釈を与えられなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性組成物であって、導電性機能的相混合物を含むことを特徴とし、前記導電性機能的相混合物は、金属および金属酸化物で製造され、前記金属酸化物は充填剤としてであり、および、前記金属は接着性を増強するための本体としてであり;前記金属は銀を含み、および、前記金属酸化物の重量パーセントは約0.5〜5であり、および前記金属酸化物は、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化シリコン(シリカ)、酸化亜鉛、酸化第二銅およびその組み合わせを含む導電性組成物。
【請求項2】
前記銀の重量パーセントが50以下である、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記酸化アルミニウムの重量パーセントが2〜4である、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記金属酸化物の融点が焼結温度より高い、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項5】
ガラスおよび添加剤をさらに含み、前記金属酸化物、前記ガラスおよび前記添加剤が有機ビヒクルと混合される、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項6】
導電性機能的相混合物を含む導電性組成物であって、前記導電性機能的相混合物が金属および金属酸化物で製造され、前記金属酸化物が充填剤としてであり、および、前記金属が接着性を増強するための本体としてである導電性機能的相混合物と;前記充填剤の材料費が前記導電性被覆部のそれ未満であり、前記充填剤の少なくとも一部表面を実質的に被覆する導電性被覆部とを含むことを特徴とし、前記金属は銀を含み、前記金属酸化物は酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化シリコン(シリカ)、酸化亜鉛、酸化第二銅およびその組み合わせを含む、導電性組成物。
【請求項7】
前記銀の重量パーセントが50以下である、請求項6に記載の導電性組成物。
【請求項8】
前記金属酸化物の融点が焼結温度より高い、請求項6に記載の導電性組成物。
【請求項9】
ガラスおよび添加剤をさらに含み、前記金属酸化物、前記ガラスおよび前記添加剤が有機ビヒクルと混合される、請求項6に記載の導電性組成物。
【請求項10】
前記酸化アルミニウムの重量パーセントが2〜4である、請求項6に記載の導電性組成物。
【請求項11】
太陽電池に使用される導電性組成物であって、導電性機能的相混合物を含むことを特徴とし、前記導電性機能的相混合物は、金属および金属酸化物で製造され、前記金属酸化物は充填剤としてであり、また、前記金属は接着性を増強するための本体としてであり;前記金属は銀を含み、また、前記金属酸化物の重量パーセントは約0.5〜5であり、また前記金属酸化物は、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化シリコン(シリカ)、酸化亜鉛、酸化第二銅およびその組み合わせを含む導電性組成物。
【請求項12】
前記銀の重量パーセントが50以下である、請求項11に記載の導電性組成物。
【請求項13】
前記金属酸化物の融点が焼結温度より高い、請求項11に記載の導電性組成物。
【請求項14】
ガラスおよび添加剤をさらに含み、前記金属酸化物、前記ガラスおよび前記添加剤が有機ビヒクルと混合される、請求項11に記載の導電性組成物。
【請求項15】
前記酸化アルミニウムの重量パーセントが2〜4である、請求項11に記載の導電性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−58471(P2013−58471A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−167378(P2012−167378)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(512197777)ギガ ソーラー マテリアルズ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】