説明

導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法および導電性酸化亜鉛微粒子

【課題】導電性の経時安定性に優れる導電性酸化亜鉛微粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛にドーパント成分がドープした導電性酸化亜鉛微粒子を、(a)亜鉛の水溶性化合物およびドーパント成分の水溶性化合物を水に溶解する工程、(b)前記(a)工程にて得られた液にアルカリを加えて、該液のpHを10〜14に調整する工程、(c)前記(b)工程にて得られた液を、10〜50MPa(ゲージ圧)の圧力下、200〜600℃に加熱する工程、および(d)前記(c)工程にて得られた液のpHを4〜10に調整する工程を有する製造方法にて製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法および導電性酸化亜鉛微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛に、アルミニウム、ガリウム等のドーパント成分をドープさせることにより、酸化亜鉛の導電性が増大する。
酸化亜鉛にドーパント成分がドープした導電性酸化亜鉛は、プラスチック等の帯電防止剤として用いられており、たとえば、塗料、成形品等に含まれている。導電性酸化亜鉛は、他の導電性酸化物と比較して、原料の資源量が豊富である;毒性が少ない;無色であるため着色の際の自由度が大きい;透明な成形品が得られる等の利点を有する。
【0003】
導電性酸化亜鉛の製造方法としては、下記方法が知られている。
(1)亜鉛粉末を蒸発させ、亜鉛蒸気にドーピング成分を含有するエーロゾルを供給し、同時に亜鉛およびドーピング成分を酸化させた後、冷却ガスによって冷却する方法(特許文献1)。
(2)酸化亜鉛を含む水スラリーに二酸化炭素ガスを吹き込み、塩基性炭酸亜鉛を合成し、該塩基性炭酸亜鉛を加熱分解する際にドーパント成分の酸化物または水酸化物を添加する方法(特許文献2)。
【0004】
しかし、(1)、(2)の方法で得られた導電性酸化亜鉛は、空気中の水分の影響を受けて結晶構造が破壊され、経時的に導電性が悪化する問題を有する。
【特許文献1】特表2005−534607号公報
【特許文献2】特開2002−201024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、導電性の経時安定性に優れる導電性酸化亜鉛微粒子およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法は、酸化亜鉛にドーパント成分がドープした導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法であって、下記(a)〜(d)工程を有することを特徴とする。
(a)亜鉛の水溶性化合物およびドーパント成分の水溶性化合物を水に溶解する工程。
(b)前記(a)工程にて得られた液にアルカリを加えて、該液のpHを10〜14に調整する工程。
(c)前記(b)工程にて得られた液を、10〜50MPa(ゲージ圧)の圧力下、200〜600℃に加熱する工程。
(d)前記(c)工程にて得られた液のpHを4〜10に調整する工程。
【0007】
前記ドーパント成分は、アルミニウムもしくはガリウム、またはその両方であることが好ましい。
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子は、本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法によって得られたものである。
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径は、100nm以下が好ましい。
ドーパント成分の割合は、亜鉛とドーパント成分との合計(100原子%)のうち、0.1〜10原子%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子は、導電性の経時安定性に優れる。
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法によれば、導電性の経時安定性に優れる導電性酸化亜鉛微粒子を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法>
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法は、酸化亜鉛にドーパント成分がドープした導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法であって、下記(a)〜(d)工程を有する方法である。必要に応じて、さらに(e)工程を有してもよい。
(a)亜鉛の水溶性化合物およびドーパント成分の水溶性化合物を水に溶解する工程。
(b)前記(a)工程にて得られた液(以下、A液と記す。)にアルカリを加えて、A液のpHを10〜14に調整する工程。
(c)前記(b)工程にて得られた液(以下、B液と記す。)を、10〜50MPa(ゲージ圧)の圧力下、200〜600℃に加熱する工程。
(d)前記(c)工程にて得られた液(以下、C液と記す。)のpHを4〜10に調整する工程。
(e)必要に応じて、前記(d)工程にて得られた液(以下、D液と記す。)から導電性酸化亜鉛微粒子を回収する工程。
【0010】
(a)工程:
ドーパント成分としては、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、スカンジウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられ、導電性酸化亜鉛の導電性が良好であることから、アルミニウムまたはガリウムが好ましい。ドーパント成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
亜鉛の水溶性化合物としては、亜鉛の硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。
ドーパント成分の水溶性化合物としては、ドーパント成分の硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。
亜鉛の水溶性化合物とドーパント成分の水溶性化合物との割合は、最終的に得られる導電性酸化亜鉛微粒子に含まれるドーパント成分の割合が、亜鉛とドーパント成分との合計(100原子%)のうち、0.1〜10原子%となる割合が好ましい。
【0012】
A液中の亜鉛の水溶性化合物およびドーパント成分の水溶性化合物の合計の濃度は、0.001〜1モル/リットルが好ましい。水溶性化合物の合計の濃度が0.001モル/リットル以上であれば、水の量が抑えられ、また、導電性酸化亜鉛微粒子の生産性が向上する。水溶性化合物の濃度が1モル/リットル以下であれば、導電性酸化亜鉛微粒子の凝集を抑制でき、導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径を100nm以下に制御しやすい。
【0013】
(b)工程:
A液のpHを10〜14に調整することにより、亜鉛の水酸化物とドーパント成分の水酸化物との複合水酸化物が形成される。その結果、最終的に、酸化亜鉛にドーパント成分が均一にドープした導電性酸化亜鉛微粒子が得られる。酸化亜鉛にドーパント成分が均一にドープすることにより、導電性酸化亜鉛微粒子の導電性は良好となる。A液のpHは、(d)工程にてC液のpHを4〜10に調整しやすい点から、10〜12に調整することが好ましい。
【0014】
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられる。
アルカリは、アルカリ水溶液にしてからA液に加えてもよく、水溶液にすることなくA液にそのまま加えてもよい。短時間で均一に混合できる点から、アルカリ水溶液をA液に加えることが好ましい。
【0015】
(c)工程:
B液を、高圧下にて高温に加熱することにより、複合水酸化物から導電性酸化亜鉛への水熱反応が良好に進行する。その結果、結晶性の高い導電性酸化亜鉛微粒子が得られる。結晶性の高い導電性酸化亜鉛微粒子は、空気中の水分によって結晶構造が破壊されにくく、導電性の経時安定性に優れる。
【0016】
加熱時の圧力は、ゲージ圧で10〜50MPaであり、15〜40MPaが好ましく、25〜35MPaがより好ましい。圧力が10MPa以上であれば、水の密度が大きくなって水熱反応が進行しやすくなり、結晶性の高い導電性酸化亜鉛微粒子を得やすくなる。圧力が50MPa以下であれば、特殊な耐圧性の製造装置を用意する必要がない。
加圧方法としては、(i)送液管の上流から液をポンプで送液しながら下流の背圧弁を調整して送液管内の圧力を上げる方法、(ii)密封できる容器に液を入れ、加熱により圧力を上げる方法等が挙げられ、生産性、粒子径制御の点から、(i)の方法が好ましい。
【0017】
加熱温度は、200〜600℃であり、250〜500℃が好ましく、300〜400℃がより好ましい。加熱温度が300℃以上であれば、水熱反応が進行しやすくなり、結晶性の高い導電性酸化亜鉛微粒子を得やすくなる。加熱温度が600℃以下であれば、特殊な耐熱性の製造装置を用意する必要がない。
加熱方法としては、B液と別途用意した高温の水とを混合する方法;B液を電気炉、熱交換器、ジャケット等の加熱手段にて加熱する方法等が挙げられる。
【0018】
加熱時間は、1ミリ秒〜10分が好ましく、1〜100秒がより好ましい。加熱時間が1ミリ秒以上であれば、結晶性の高い導電性酸化亜鉛微粒子を得やすくなる。加熱時間が10分以下であれば、平均粒子径が100nm以下である導電性酸化亜鉛微粒子を得やすくなる。
【0019】
(d)工程:
C液のpHを4〜10に調整することにより、得られる導電性酸化亜鉛微粒子の表面が腐食(水酸化亜鉛に変化)しにくくなる。その結果、導電性酸化亜鉛微粒子の表面は高い結晶性を長時間維持でき、粉体の状態で空気中にて保存した場合であっても導電性が低下しにくい。C液のpHは、導電性酸化亜鉛微粒子の表面の腐食を充分に抑制する点から、5〜9に調整することが好ましい。
【0020】
C液のpHの調整方法としては、酸を加える方法、水で希釈する方法等が挙げられ、酸を加える方法が好ましい。
酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸等が挙げられ、高温での安定性、製造装置の防食の点から、硝酸または硫酸が好ましい。
酸は、酸水溶液にしてからC液に加えてもよく、水溶液にすることなくC液にそのまま加えてもよい。短時間で均一に混合できる点から、酸水溶液をC液に加えることが好ましい。
【0021】
(d)工程においては、C液を冷却することが好ましい。冷却方法としては、C液に酸水溶液を冷却水として加える方法;C液のpHを4〜10に調整した後、熱交換器、ジャケット等の冷却手段にて冷却する方法等が挙げられる。
(d)工程においては、C液を常圧まで減圧してもよい。
【0022】
(e)工程:
D液をそのまま導電性酸化亜鉛微粒子の分散液として用いてもよく、D液から導電性酸化亜鉛微粒子を回収してもよい。
回収方法としては、フィルタ等を用いてD液をろ過する方法、遠心分離をする方法、凝集剤を添加して沈殿させる方法等が挙げられる。
回収された導電性酸化亜鉛微粒子を、水、アルコール等の有機溶媒等にて洗浄してもよい。
【0023】
<導電性酸化亜鉛微粒子>
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子は、本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法によって得られた導電性酸化亜鉛微粒子である。
導電性酸化亜鉛微粒子は、酸化亜鉛の結晶格子中における亜鉛の一部がドーパント成分に置き換わった結晶構造を有する。結晶格子中における亜鉛の一部が価数の異なる原子で置き換えられるため、キャリアが生成し、該キャリアの移動によって導電性が発現する。
【0024】
導電性酸化亜鉛微粒子としては、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、イットリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、スカンジウムドープ酸化亜鉛、チタニウムドープ酸化亜鉛、ジルコニウムドープ酸化亜鉛、ハフニウムドープ酸化亜鉛が挙げられ、導電性に優れる点から、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛が好ましい。
導電性酸化亜鉛微粒子は、分散液における凝集を抑制する点から、保護剤で被覆されていてもよい。
【0025】
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径は、100nm以下であり、30〜70nmが好ましい。導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径が100nm以下であれば、光散乱の効果が小さくなり、透明性を実現できる。導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径は、無作為に抽出した100個の導電性酸化亜鉛微粒子の粒子径を、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定し、該粒子径を平均した値である。
【0026】
導電性酸化亜鉛微粒子に含まれるドーパント成分の割合は、亜鉛とドーパント成分との合計(100原子%)のうち、0.1〜10原子%が好ましい。ドーパント成分の割合が0.1原子%以上であれば、導電性酸化亜鉛微粒子の導電性が良好となる。ドーパント成分の割合が10原子%以下であれば、導電性酸化亜鉛微粒子の導電性の悪化を抑制できる。
【0027】
以上説明した本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法によって得られる導電性酸化亜鉛微粒子は、結晶性が高く、かつ高い結晶性を長時間維持できるため、空気中で保存した場合であっても水分によって結晶構造が破壊されにくい。よって、導電性酸化亜鉛微粒子の導電性が低下しにくい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
例1、2は実施例であり、例3〜5は比較例である。
【0029】
(導電性酸化亜鉛微粒子の同定)
導電性酸化亜鉛微粒子の同定は、X線回折装置(リガク機器社製、RINT2500)を用いて行う。
【0030】
(導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径)
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径は、無作為に抽出した100個の微粒子の粒子径を、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H−9000)または走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、S−800)を用いて測定し、該粒子径を平均して求める。
【0031】
(導電性)
導電性は、導電性酸化亜鉛の抵抗値から評価する。
加圧器を用いて導電性酸化亜鉛微粒子を圧粉体に成形し、圧粉体の両端間の抵抗値を抵抗計(横河電機社製、デジタルマルチメータ 7544−02型)を用いて測定する。抵抗値は、導電性酸化亜鉛微粒子の回収直後、および圧粉体を空気中で1週間放置した後に測定する。
【0032】
(製造装置)
導電性酸化亜鉛微粒子の製造装置としては、図1の概略図に示す製造装置を用いる。製造装置1は、主流路10と;主流路10に合流するアルカリ水溶液供給流路12と;アルカリ水溶液供給流路12よりも下流側で主流路10に合流する水供給流路14と;水供給流路14よりも下流側で主流路10に合流する酸水溶液供給流路16と;主流路10にA液を送液するHPLC無脈流ポンプ20と;アルカリ水溶液供給流路12にアルカリ水溶液を送液するHPLC無脈流ポンプ22と;水供給流路14に水を送液するHPLC無脈流ポンプ24と;酸水溶液供給流路16に酸水溶液を送液するHPLC無脈流ポンプ26と;主流路10と水供給流路14との合流点と、主流路10と酸水溶液供給流路16との合流点との間の主流路10に設けられた電気炉30と;水供給流路14の途中に設けられた電気炉34と;主流路10と酸水溶液供給流路16との合流点よりも下流側の主流路10に設けられた水冷ジャケット40と;水冷ジャケット40よりも下流側の主流路10に設けられたフィルタ50と;フィルタ50よりも下流側の主流路10に設けられた背圧弁60と;主流路10と水供給流路14との合流点の前後、および主流路10と酸水溶液供給流路16との合流点の前後に設けられた熱電対72、74、76、78とを具備する。
【0033】
〔例1〕
ガラス容器内にて硝酸亜鉛を蒸留水で溶解して、0.01モル/リットルの硝酸亜鉛水溶液を得る。また、ガラス容器内にて硝酸アルミニウムを蒸留水で溶解して0.01モル/リットルの硝酸アルミニウム水溶液を得る。ガラス容器内にて硝酸亜鉛水溶液および硝酸アルミニウム水溶液を、硝酸亜鉛:硝酸アルミニウム=95:5(モル比)となるように混合し、A液を調製する。
【0034】
以後、製造装置1の各ポンプの運転中においては、各流路内の圧力を、背圧弁60を用いて常に30MPa(ゲージ圧)に調整する。
A液をHPLC無脈流ポンプ20で主流路10に送液しながら、A液のpHが12に調整される量の、0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液をHPLC無脈流ポンプ20でアルカリ水溶液供給流路12に送液し、主流路10とアルカリ水溶液供給流路12との合流点にてA液と水酸化ナトリウム水溶液とを混合し、B液を得る。
【0035】
同時に、水をHPLC無脈流ポンプ24で水供給流路14に送液し、B液と水とを混合した際にB液が400℃まで加熱されるような温度となるまで電気炉34で水を加熱し、高温の水を得た後、主流路10と水供給流路14との合流点にてB液と高温の水とを混合し、B液を400℃まで加熱する。該B液を、電気炉30で400℃に保持しながら、電気炉30内の主流路10を1秒で通過させ、C液を得る。
【0036】
同時に、C液のpHが7に調整される量の、0.1モル/リットルの硝酸水溶液をHPLC無脈流ポンプ26で酸水溶液供給流路16に送液し、主流路10と酸水溶液供給流路16との合流点にてC液と硝酸水溶液とを混合し、さらに冷却ジャケット40で冷却し、D液を得る。
フィルタ50にてD液から導電性酸化亜鉛微粒子を回収する。
【0037】
導電性酸化亜鉛微粒子をX線回折により同定し、酸化亜鉛の結晶形を有することを確認する。
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径および圧粉体の抵抗を測定する。結果を表1に示す。
導電性酸化亜鉛微粒子に含まれるアルミニウムの割合は、亜鉛とアルミニウムとの合計(100原子%)のうち、5原子%である。
【0038】
〔例2〕
硝酸アルミニウムの代わりに硝酸ガリウムを用いる以外は、例1と同様にして導電性酸化亜鉛微粒子を得る。
導電性酸化亜鉛微粒子をX線回折により同定し、酸化亜鉛の結晶形を有することを確認する。
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径および圧粉体の抵抗を測定する。結果を表1に示す。
導電性酸化亜鉛微粒子に含まれるガリウムの割合は、亜鉛とガリウムとの合計(100原子%)のうち、5原子%である。
【0039】
〔例3〕
水酸化ナトリウム水溶液を供給しない以外は、例1と同様にして導電性酸化亜鉛微粒子を得る。
導電性酸化亜鉛微粒子をX線回折により同定し、酸化亜鉛の結晶形および酸化アルミニウムの結晶形の両方を有することを確認する。
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径および圧粉体の抵抗を測定する。結果を表1に示す。
【0040】
〔例4〕
硝酸水溶液を供給しない以外は、例1と同様にして製造を行う。
導電性酸化亜鉛微粒子をX線回折により同定し、酸化亜鉛の結晶形を有することを確認する。
導電性酸化亜鉛微粒子の平均粒子径および圧粉体の抵抗を測定する。結果を表1に示す。
【0041】
〔例5〕
市販の導電性酸化亜鉛微粒子(ハクスイテック社製、パゼット)を圧粉体に成形する。該圧粉体の抵抗を測定する。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法によれば、空気中での経時安定性に優れる導電性酸化亜鉛微粒子を製造でき、該導電性酸化亜鉛微粒子はプラスチック等の帯電防止剤に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例で用いる導電性酸化亜鉛微粒子の製造装置を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛にドーパント成分がドープした導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法であって、
下記(a)〜(d)工程を有する、導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
(a)亜鉛の水溶性化合物およびドーパント成分の水溶性化合物を水に溶解する工程。
(b)前記(a)工程にて得られた液にアルカリを加えて、該液のpHを10〜14に調整する工程。
(c)前記(b)工程にて得られた液を、10〜50MPa(ゲージ圧)の圧力下、200〜600℃に加熱する工程。
(d)前記(c)工程にて得られた液のpHを4〜10に調整する工程。
【請求項2】
前記ドーパント成分が、アルミニウムもしくはガリウム、またはその両方である、請求項1記載の導電性酸化亜鉛微粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法によって得られた、導電性酸化亜鉛微粒子。
【請求項4】
平均粒子径が、100nm以下である、請求項3に記載の導電性酸化亜鉛微粒子。
【請求項5】
ドーパント成分の割合が、亜鉛とドーパント成分との合計(100原子%)のうち、0.1〜10原子%である、請求項3または4に記載の導電性酸化亜鉛微粒子。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−88030(P2008−88030A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272914(P2006−272914)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】