説明

導電性高分子組成物及びこれを採用した有機光電素子

【課題】導電性高分子組成物及びこれを採用した有機光電素子を提供する。
【解決手段】導電性高分子及びイオノマーを含む高分子組成物及び高分子組成物を含む光電素子である。本発明の導電性高分子組成物は、吸湿性が小さく、電子との反応により分解される残基の含有量が小さく、かつ導電性高分子との物理的架橋能を有するイオノマーを導電性高分子にドーピングして製造される。従って、導電性高分子組成物を含む光電素子は、高効率及び長寿命義特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子組成物及び前記高分子組成物を含む光電素子に係り、より詳細には、吸湿性が小さく、電子との反応により分解される残基の含有量が小さく、導電性高分子との物理的な架橋能を有するイオノマー(ionomer;一般にアイオノマーとも称されている。)を導電性高分子にドーピングした高分子組成物を使用することで高効率及び長寿命を有する光電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光電素子とは、広い意味では、光エネルギーを電気エネルギーに変換したり、逆に電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子であって、有機電界発光素子、太陽電池、トランジスタなどがその例である。現在、このような光電素子の電極で生成する電荷、すなわち正孔及び電子を光電素子内に円滑に輸送して素子の効率を増大させるための目的として導電性高分子膜の形成について多くの研究が進まれている。
【0003】
特に、有機電界発光素子は、蛍光性または燐光性有機化合物薄膜(以下、有機膜という)に電流を流すと、電子と正孔とが有機膜で結合しながら光が発生する現象を利用した自発光型表示素子であって、効率向上及び駆動電圧の低下のために有機層として単一発光層のみを使わずに、ここに導電性高分子を利用した正孔注入層、発光層、電子注入層のような多層構造を有することが一般的である。
特に、バイエル株式会社(Bayer AG)で製造されてバイトロンP(Baytron−P)という製品名で市販されているPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))−PSS(ポリ(4−スチレンスルホナート))水溶液は、ITO(インジウムスズ酸化物)電極上にスピンコーティングして正孔注入層を形成しようとする目的として有機発光素子の製作時に広く用いられており、正孔注入物質であるPEDOT−PSSは下記の構造を有する。
【0004】
【化1】

【0005】
前記の通りに、PSSの高分子酸をPEDOTの導電性高分子にドーピングさせたPEDOT/PSSの導電性高分子組成物を利用して正孔注入層を形成する場合、PSSは、水分を良く吸収して水分除去を必要とする場合に使用することは困難であり、電子との反応によって分解されてスルホナートのような物質を放出して隣接した有機膜、例えば、発光層に拡散させうるが、このように正孔注入層から由来した物質の発光層への拡散は、励起子消滅を引き起こして有機電界発光素子の効率及び寿命の低下をもたらす。
【0006】
したがって、有機電界発光素子のような光電素子において、満足できる効率及び寿命を得るための新たな導電性高分子組成物の開発の必要性が次第に高まっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明が解決しようとする第一の技術的課題は、吸湿性が小さく、電子との反応により分解される残基の含有量が小さく、かつ導電性高分子との架橋能を有するイオノマーを含む導電性高分子組成物を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする第二の技術的課題は、前記導電性高分子組成物から形成された導電性薄膜を含む光電素子を提供する。
【0009】
本発明が解決しようとする第三の技術的課題は、前記導電性高分子組成物を含むことによって、高効率及び長寿命を有する光電素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記第一の技術的課題を達成するために、
本発明は、導電性高分子と、下記化学式1で表示されるイオノマーと、を含む導電性高分子組成物を提供する。
【0011】
【化2】

【0012】
前記式において、
0<m≦10,000,000、
0≦n<10,000,000、
0≦a≦20、
0≦b≦20であり、
A、B、A’及びB’は、それぞれ独立してC、Si、Ge、Sn及びPbよりなる群から選択され、
、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換のアミノカルボニル基、置換または非置換のカルボキシル基、シアノ基、置換または非置換のC1−C30のアルキル基、置換または非置換のC1−C30のヘテロアルキル基、置換または非置換のC1−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1−30のヘテロアルコキシ基、置換または非置換のC6−C30のアリール基、置換または非置換のC6−C30のアリールアルキル基、置換または非置換のC6−C30のアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC5−C30、好ましくはC5−C20のシクロアルキル基、置換または非置換のC2−C30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC1−C30のアルキルエステル基、置換または非置換のC1−C30のヘテロアルキルエステル基、置換または非置換のC6−C30のアリールエステル基及び置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールエステル基よりなる群から選択され、但し、R、R、R、及びRのうち少なくとも一つ以上は、イオン基であるか、イオン基を含み、
X及びX’は、それぞれ独立して単純結合(single bond;単結合ないし一重結合ともいう)、O、S、置換または非置換のC1−C30のアルキレン基、置換または非置換のC1−C30のヘテロアルキレン基、置換または非置換のC6−C30のアリーレン基、置換または非置換のC6−C30のアリールアルキレン基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリーレン基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールアルキレン基、置換または非置換のC5−C20のシクロアルキレン基、置換または非置換のC5−C30のヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換のC6−30のアリールエステル基及び、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールエステル基よりなる群から選択され、
但し、nが0である場合、R、R、R、及びRのうち少なくとも一つ以上は、ハロゲン元素を含む疎水性官能基である。なお、本発明では、炭素数の範囲、例えば、炭素数1〜30であれば、C1−C30として表記するものとする。
【0013】
また、前記第二の技術的課題を達成するために、本発明は、前記導電性高分子組成物から形成された導電性薄膜を提供する。
【0014】
また、前記第三の技術的課題を達成するために、本発明は、前記導電性高分子組成物から形成された導電性薄膜を含む光電素子を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る導電性高分子組成物は、吸湿性が小さく、電子との反応により分解される残基の含有量が小さく、導電性高分子との架橋能を有するイオノマーを導電性高分子にドーピングして製造される。従って、前記高分子組成物を含む光電素子は、高効率及び長寿命の特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の導電性高分子組成物は、吸湿性が小さく、電子との反応により分解される残基の含有量が小さく、導電性高分子との架橋能を有するイオノマーを導電性高分子にドーピングして製造される。従って、前記高分子組成物を含む光電素子は、高効率及び長寿命の特徴を有する。
【0018】
本発明では、導電性高分子と、
下記化学式1で表示される第1イオノマーと、を含む導電性高分子組成物を提供する。
【0019】
【化3】

【0020】
イオノマーは、通常、イオン基を含む高分子を指し、前記の化学式1で表現できる。前記式において、m、n、a、b、A、B、A’、B’、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、X及びX’は、前記定義した通りである。
【0021】
PEDOT/PSSの場合は、イオン基が主鎖に置換されたあらゆるベンゼン基に置換されており、疎水性作用基も含んでいないので、水分に対して高親和性である。このような水分に対する親和性を低めるためには、主鎖に対するイオン基の比率を下げるか、吸湿性の悪い疎水性官能基を置換基として導入する方法を考慮することができる。したがって、nが0である場合、本発明のイオノマーは、前記化学式1でイオン基を必須に含んでいるので、炭化水素及び芳香族炭化水素より低い吸湿性の特性を付与するためにイオノマーにハロゲン元素を含む疎水性官能基を導入する。したがって、本発明では、前記イオノマーの主鎖または測鎖の水素のうち少なくとも一つ以上をハロゲン元素を含む疎水性官能基(疎水性作用基)に置換する。
【0022】
このような疎水性官能基(疎水性作用基)としては、例えば、ハロゲン原子とハロゲン元素を少なくとも一つ以上含むC1−C30のハロゲン化アルキル基、ハロゲン化C1−C30のアルコキシ基、ハロゲン化C1−C30のヘテロアルキル基、C1−C30のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化C1−C30のヘテロアルコキシ基、ハロゲン化C6−C30のアリール基、ハロゲン化C6−C30のアリールアルキル基、ハロゲン化C6−C30のアリールオキシ基、ハロゲン化C2−C30のヘテロアリール基、ハロゲン化C2−C30のヘテロアリールアルキル基、ハロゲン化C2−C30のヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化C5−C20のシクロアルキル基、ハロゲン化C2−C30のヘテロシクロアルキル基、ハロゲン化C1−C30のアルキルエステル基、ハロゲン化C1−C30のヘテロアルキルエステル基、ハロゲン化C6−C30のアリールエステル基、及びハロゲン化C2−C30のヘテロアリールエステル基などがあり、これらのうち、ハロゲン原子が望ましく、フッ素原子が最も望ましい。
【0023】
0<n<10,000,000である場合、本発明のイオノマーは、イオン基を持たない非イオン性単量体と共に共重合された構造を有することによって、イオノマー内のイオン基の含有量が適切な範囲に減少し、その結果、電子との反応により分解される残基の含有量を減らせる。この時、非イオン性共単量体の含有量は、全体単量体の含有量に対して望ましくは、1モル%ないし99モル%、さらに望ましくは、1ないし50モル%である。前記共単量体の含有量が1モル%より小さな場合には、非イオン基の役割が十分に行われず、99モル%より大きい場合には、イオン基が小さくてドーピングの役割が十分に行われなくて望ましくない。
【0024】
本発明の導電性高分子組成物は、前記導電性高分子の100重量部に対して前記化学式1で表示されるイオノマーが100ないし5,000重量部を含むことが望ましく、さらに望ましくは、200ないし1,700重量部を含む。前記化学式1で表示されるイオノマーの含有量が100重量部より小さな場合は、ドーピングが十分に行われず、水に容易に分散されず、薄膜の状態が悪く形成されうる。5,000重量部(更には3,000重量部)より大きい場合には、導電性が著しく低下するため、望ましくない。
【0025】
また、前記導電性高分子としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、またはこれらのうち2種以上を選択して形成された共重合体やブレンドなどがあり、特に、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリンが望ましい。
【0026】
前記のように、前記化学式1のR、R、RまたはRのうち少なくとも一つ以上はイオン基であるか、イオン基を含みうる。この時、イオン基は、陰イオンと陽イオンとの対をなすが、陰イオン基としては、PO2−、SO、COO、I、CHCOOなどがあり、陽イオンとしては、Na、K、Li、Mg+2、Zn+2、Al+3などの金属イオン;H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、アルキル基、すなわちCH(CH−;nは、0ないし50の整数)のような有機イオンがある。
【0027】
また、本発明において、導電性高分子とイオノマーとの架橋能をさらに向上させるために、導電性高分子の組成物は物理的架橋剤及び/または化学的架橋剤をさらに含みうる。
【0028】
前記物理的架橋剤とは、化学的な結合なしに物理的に高分子鎖間に架橋の役割を行うものであって、ヒドロキシ基(−OH)を含む低分子または高分子化合物をいう。具体的な例としては、グリセロール、ブタノールの低分子化合物とポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの高分子化合物がある。これら以外にもポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンなども使用できる。
【0029】
この時、前記物理的架橋剤の含有量は、導電性高分子組成物100重量部に対して0.001ないし50重量部が望ましく、さらに望ましくは0.1ないし10重量部である。前記含有量が0.001重量部より小さな場合には、量が少なくて架橋の役割が十分に行われず、50重量部より大きいと、導電性高分子フィルムの薄膜状態が悪くなって望ましくない。
【0030】
また、前記化学的架橋剤とは、化学的に架橋させる役割をするものであって、インシチュ重合(in−situ polymerization;その場重合ないしin−situ重合とも称されている。)が可能であり、IPN(Interpenetrating Polymer Network;相互侵入高分子網目(2種類以上の高分子が化学結合することなく網目状に相互に入り組んだ構造))を形成できる化学物質をいう。シラン系物質が主に使われ、その具体的な例としては、テトラエチルオキシシラン(TEOS)がある。以外にもポリアジリジン、メラミン系物質、エポキシ系物質を使用できる。
【0031】
この時、前記化学的架橋剤の含有量は、導電性高分子組成物100重量部に対して0.001ないし50重量部が望ましく、さらに望ましくは0.1ないし10重量部である。前記含有量が0.001重量部より小さな場合には、架橋の役割が十分に行われず、50重量部より大きいと、導電性高分子の導電性を大きく低下させて望ましくない。
【0032】
本発明において、前記化学式1の具体的な例として、下記化学式2ないし13で表示される反復単位が挙げられる。
【0033】
【化4】

【0034】
前記式中、mは、1ないし10,000,000の数であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし10の数であり、x及びyの和が1以上が好ましく、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0035】
【化5】

【0036】
前記式中、mは、1ないし10,000,000の数である。
【0037】
【化6】

【0038】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、x及びyの和が1以上が好ましく、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0039】
【化7】

【0040】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、x及びyの和が1以上が好ましく、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0041】
【化8】

【0042】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、zは、0ないし20の数であり、zは1以上が好ましく、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0043】
【化9】

【0044】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、x及びyの和が1以上が好ましく、Yは、−COO、−SONHSOCF、−PO2−(Mの中から選択された一つであり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0045】
【化10】

【0046】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0047】
【化11】

【0048】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000である。
【0049】
【化12】

【0050】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、xは、0ないし20の数であり、xは1以上が好ましく、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0051】
【化13】

【0052】
前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0053】
【化14】

【0054】
前記式中、m及びnは、0≦m<10,000,000、0<n≦10,000,000であり、R=−(CF−(zは、1ないし50の整数、但し、2は除外)、−(CFCFO)CFCF−(zは、1ないし50の整数)、−(CFCFCFO)CFCF−(zは、1ないし50の整数)であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0055】
【化15】

【0056】
前記式中、m及びnは、0≦m<10,000,000、0<n≦10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Yは、−SO、−COO、−SONHSOCF、−PO2−(Mの中から選択された一つであり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【0057】
本発明で使われる置換基であるアルキル基の具体的な例としては、直鎖型または分枝型であって、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、iso−アミル基、ヘキシル基などが挙げられる。前記アルキル基に含まれている一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(−NH、−NH(R)、−N(R’)(R’’)、ここで、RはC1―C10のアルキル基である。またR’とR’’は、互いに独立してC1―C10のアルキル基である。)、アミジノ基、ヒドラジン基、またはヒドラゾン基に置換できる。
【0058】
前記本発明で使われる置換基であるヘテロアルキル基は、前記アルキル基の主鎖中の炭素原子のうち一つ以上、望ましくは1ないし5個の炭素原子が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子などのヘテロ原子に置換されたことを意味する。
【0059】
前記本発明で使われる置換基であるアリール基は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環芳香族システム(carbocyclic aromatic system)を意味し、前記環は、ペンダント法で共に結合(attached;連結ないし付着)されるか、または縮合(fused;融合)できる。アリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基などの芳香族基が挙げられ、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0060】
本発明で使われる置換基であるヘテロアリール基は、N、O、PまたはSの中から選択された1、2または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである環原子数5ないし30の環芳香族システム(cyclic aromatic system)を意味し、前記環は、ペンダント法で共に結合(attached;連結ないし付着)されるか、または縮合(fused;融合)できる。そして、前記ヘテロアリール基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0061】
本発明で使われる置換基であるアルコキシ基は、−O−アルキル基を示し、この時、アルキル基は、前記定義した通りである。具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、iso−アミルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。前記アルコキシ基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0062】
本発明で使われる置換基であるヘテロアルコキシ基は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素がアルキル鎖内に存在できるということを除外すれば本質的に前記アルコキシの意味を有し、例えば、CHCHOCHCHO−、COCHCHOCHCHO−及びCHO(CHCHO)Hなどである。
【0063】
本発明で使われる置換基であるアリールアルキル基は、前記定義した通りにアリール基で水素原子中の一部が低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基のような基(ラジカル)に置換されたことを意味する。例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などがある。前記アリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0064】
本発明で使われるヘテロアリールアルキル基は、ヘテロアリール基の水素原子の一部が低級アルキル基に置換されたことを意味し、ヘテロアリールアルキル基の中ヘテロアリール基に対する定義は、前記した通りである。前記ヘテロアリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0065】
本発明で使われるアリールオキシ基は、−O−アリール基を示し、この時、アリール基は、前記に定義した通りである。具体的な例として、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基などがあり、アリールオキシ基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0066】
本発明で使われるヘテロアリールオキシ基は、−O−ヘテロアリール基を示し、この時、ヘテロアリール基は、前記定義した通りである。
【0067】
本発明で使われるヘテロアリールオキシ基の具体的な例として、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基などがあり、ヘテロアリールオキシ基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0068】
本発明で使われるシクロアルキル基は、炭素原子数5ないし30、好ましくは炭素原子数5ないし20の一価の単環式のシステム(monovalent monocyclic system)を意味する。前記シクロアルキル基のうち少なくとも一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0069】
本発明で使われるヘテロシクロアルキル基は、N、O、PまたはSの中から選択された1、2または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである環原子数2ないし30、好ましくは環原子数5ないし30の一価の単環式のシステムを意味する。前記ヘテロシクロアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前記アルキル基の場合と同様の置換基に置換可能である。
【0070】
本発明で使われるアルキルエステル基は、アルキル基(−R)とエステル基(−COO−)とが結びついている官能基(−COOR)を意味し、この時、アルキル基は、前記定義した通りである。
【0071】
本発明で使われるヘテロアルキルエステル基は、ヘテロアルキル基とエステル基とが結びついている官能基を意味し、前記ヘテロアルキル基は、前記定義した通りである。
【0072】
本発明で使われるアリールエステル基は、アリール基とエステル基とが結びついている官能基を意味し、この時アリール基は、前記定義した通りである。
【0073】
本発明で使われるヘテロアリールエステル基は、ヘテロアリール基とエステル基とが結びついている官能基を意味し、この時ヘテロアリール基は、前記定義した通りである。
【0074】
本発明で使われるアミノ基は、−NH、−NH(R)または−N(R’)(R’’)を意味し、Rは炭素数1ないし10のアルキル基であり、またR’とR’’とは、互いに独立して炭素数1ないし10のアルキル基である。
【0075】
前記置換基に含まれている一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子に置換でき、この時のハロゲン原子としてはフッ素が最も望ましい。
【0076】
本発明で使われるカルボキシル基は、−COOHで表される置換基である。またカルボキシル基がイオン基であるか、イオン基を含む場合には、例えば、−COO(Mはイオン基の陽イオンとして上記に例示したものなどが挙げられる)で表される置換基などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0077】
X、X’は、単純結合、O、S以外を表わす場合には、上記R、R、R、R、R’、R’、R’、R’で例示した一価の置換基から1個の水素原子を除いた2価の置換基を表わし、例えば、Rがアルキル基(例えば、エチル基)である場合には、X,X’はアルキレン基(エチレン基)となる。
【0078】
本発明における導電性高分子組成物は、導電性高分子と第1イオノマー以外に、第2イオノマーをさらに含みうる。この場合の第2イオノマーとしては、優先的に前記化学式1を含有するイオノマーを一種以上選択したことを意味するが、化学式1でない他のイオノマー形態を含みうる。前記第1イオノマーとこれら第2イオノマーのそれぞれのイオノマーは、何れも相異なる構造を有する。
【0079】
前記第2イオノマーの例としては、前記化学式1の反復単位で0<n<10,000,000である炭化水素系、炭化フッ素系、シリコン系高分子であるものから選択された一種以上を含む。前記化学式4ないし13のイオノマーから選択された一つ以上を例に挙げられる。
【0080】
前記第2イオノマーの他の例としては、前記化学式1の反復単位で、n=0であり、0<m<10,000,000であり、炭化水素系、炭化フッ素系またはシリコン系高分子から選択された一つ以上でありうる。第2イオノマーが炭化水素系である場合は、ポリスチレンスルホナート(PSS)が望ましい。特に、前記第2イオノマーが炭化フッ素系である場合には過フッ化(炭化フッ素系)イオノマーであることが望ましい。このような過フッ化第2イオノマーとしては、前記化学式2ないし3の反復単位を有するイオノマーが特に望ましい。
【0081】
このような第2イオノマーは、前記第1イオノマーと同様に前記導電性高分子の100重量部に対して100ないし5,000重量部、望ましくは200ないし1,700の範囲で導電性高分子組成物に含まれうる。前記第2イオノマーの含有量が100重量部より小さな場合には第2イオノマーを添加することによる効果を十分に得ることができず、5,000重量部を超過する場合には導電性が低下するという問題があって望ましくない。
【0082】
本発明の導電性高分子組成物は、光電素子に採用可能であり、前記光電素子の具体的な例としては、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機トランジスタ、そして有機メモリ素子などがある。
【0083】
特に、有機電界発光素子では、前記導電性高分子組成物が電荷、すなわち正孔または電子注入層に利用されて、発光高分子に正孔及び電子を均衡的でかつ効率的に注入することによって、有機電界発光素子の光度及び発光効率を上げる役割を果たす。
【0084】
有機太陽電池の場合も、導電性高分子を電極や電極バッファ層として使用して量子効率を増加させる目的として使用し、有機トランジスタの場合もゲート、ソース−ドレイン電極などで電極物質として使用する。
【0085】
以下、本発明の導電性高分子組成物を採用した有機電界発光素子及びその製造方法を説明する。
【0086】
図1Aないし図1Dは、本発明の望ましい具現例による有機電界発光素子の積層構造を概略的に示す図面である。
【0087】
図1Aの有機電界発光素子は、第1電極10の上部に発光層12が積層され、前記電極と発光層との間に本発明の導電性高分子組成物を含む正孔注入層(HIL)(または、“バッファ層”であると命名することもある)11が積層され、前記発光層12の上部に正孔抑制層(HBL)13が積層されており、その上部には第2電極14が形成される。
【0088】
図1Bの有機電界発光素子は、発光層12の上部に形成された正孔抑制層(HBL)13の代りに電子輸送層(ETL)15が形成されたことを除いては、図1Aの場合と同じ積層構造を有する。
【0089】
図1Cの有機電界発光素子は、発光層12の上部に形成された正孔抑制層(HBL)13の代りに正孔抑制層(HBL)13と電子輸送層15とが順次に積層された2層膜を使用することを除いては、図1Aの場合と同じ積層構造を有する。
【0090】
図1Dの有機電界発光素子は、正孔注入層11と発光層12との間に正孔輸送層16をさらに形成したことを除いては、図1Cの有機電界発光素子と同じ構造を有している。この時、正孔輸送層16は、正孔注入層11から発光層12への不純物侵入を抑制する役割を果たす。
【0091】
前記した図1Aないし図1Dの積層構造を有する有機電界発光素子は、一般的な製作方法によって形成可能であり、その製作方法が特別に限定されるものではない。
【0092】
以下、本発明の望ましい具現例による有機電界発光素子の製作方法を説明する。
【0093】
まず、基板(図示せず)の上部にパターニングされた第1電極10を形成する。ここで、前記基板は、一般的な有機電界発光素子で使われる基板を使用するが、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性が優秀なガラス基板または透明プラスチック基板が望ましい。そして、前記基板の厚さは、0.3ないし1.1mmであることが望ましい。
【0094】
前記第1電極10の形成材料は、特別に制限されない。第1電極が正極である場合、正極は、正孔注入が容易な導電性金属またはその酸化物よりなり、具体的な例として、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)などを使用する。
【0095】
前記第1電極10が形成された基板を洗浄した後、UVオゾン処理を実施する。この時、洗浄方法としては、イソプロパノール(IPA)、アセトンなどの有機溶媒を利用する。
【0096】
洗浄された基板の第1電極10の上部に本発明の導電性高分子組成物を含む正孔注入層11を形成する。このように、正孔注入層11を形成すれば、第1電極10と発光層12との接触抵抗を減少させると同時に、発光層12に対する第1電極10の正孔輸送能力が向上して、素子の駆動電圧と寿命特性が全般的に改善される効果を得ることができる。
【0097】
正孔注入層11は、本発明の導電性高分子組成物を溶媒に溶解させて製造した正孔注入層形成用の組成物を第1電極10の上部にスピンコーティングした後、これを乾燥して形成する。ここで、前記正孔注入層形成用の組成物は、本発明の導電性高分子組成物を構成する前記導電性高分子と、前記化学式1で表示される第1イオノマーとを1:1ないし1:30の重量比で混合した本発明の導電性高分子組成物を水やアルコールを溶媒として使用して0.5ないし10質量%で希釈して使用する。
【0098】
この時、使われる溶媒としては、前記導電性高分子組成物を溶解させうるものであれば、何れも使用可能であり、具体的な例として、水、アルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどを使用することができる。
【0099】
ここで、前記正孔注入層11の厚さは、5nmないし100nm、望ましくは20nmないし70nmでありうる。この中、特に、50nmの厚さを利用できる。前記正孔注入層の厚さが5nm未満である場合、薄過ぎて正孔注入が十分に行われないという問題点があり、前記正孔注入層の厚さが100nmを超過する場合には光の透過度が低下しうる。
【0100】
前記正孔注入層11の上部には発光層12を形成する。発光層をなす物質は、特別に制限されない。さらに具体的に、オキサジアゾールダイマー染料(Bis−DAPOXP)、スピロ化合物(Spiro−DPVBi、Spiro−6P)、トリアリールアミン化合物、ビス(スチリル)アミン(DPVBi、DSA)、Flrpic、CzTT、Anthracene、TPB、PPCP、DST、TPA、OXD−4、BBOT、AZM−Znなど(以上、青色)、クマリン6、C545T、キナクリドン、Ir(ppy)など(以上、緑色)、DCM1、DCM2、Eu(thenoyltrifluoroacetone)3(Eu(TTA)3)、ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB)など(以上、赤色)を使用できる。また、高分子発光物質としては、フェニレン系、フェニレンビニレン系、チオフェン系、フルオレン系及びスピロフルオレン系高分子などの高分子と窒素とを含む芳香族化合物などを含みうるが、これに限定されるものではない。
【0101】
前記発光層12の厚さは、10nmないし500nm、望ましくは50nmないし120nmであることが望ましい。この中、特に、青色発光層の厚さは70nmでありうる。発光層の厚さが10nm未満である場合、漏れ電流が増加して効率及び寿命が減少し、500nmを超過する場合には駆動電圧の上昇幅が高まって望ましくない。
【0102】
場合によっては、前記発光層形成用の組成物にドーパントをさらに付加することもある。この時、ドーパントの含有量は、発光層の形成材料によって可変的であるが、一般的に発光層形成材料(ホストとドーパントの総重量)100重量部を基準として30ないし80重量部であることが望ましい。ドーパントの含有量が前記範囲を外れると、EL素子の発光特性が低下して望ましくない。前記ドーパントの具体的な例としては、アリールアミン、ペリレン系化合物、ピロール系化合物、ヒドラゾン系化合物、カルバゾール系化合物、スチロベン系化合物、スターバースト系化合物、オキサジアゾール系化合物などが挙げられる。
【0103】
前記正孔注入層11と発光層12との間には正孔輸送層16を選択的に形成できる。
【0104】
前記正孔輸送層をなす物質は、特別に制限されないが、例えば、正孔輸送の役割をするカルバゾール基及び/またはアリールアミン基を有する化合物、フタロシアニン系化合物及びトリフェニレン誘導体よりなる群から選択された一つ以上を含む物質からなりうる。さらに具体的に、前記正孔輸送層は、1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4’−ビスカルバゾリル−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’,4’’−トリー(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリー(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’ジアミン(TPD;以下に化学構造式を示す。)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD;以下に化学構造式を示す。)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1、1’−ビフェニル)−4、4’−ジアミン(NPB)、IDE320(出光社)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)及びポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ビス−N,N−フェニル−1、4−フェニレンジアミン)(PFB)よりなる化合物のうち一つ以上からなりうるが、これに限定されるものではない。
【0105】
【化16】

【0106】
前記正孔輸送層は、1nmないし100nm、望ましくは5nmないし50nmの厚さを有しうる。この中、特に、30nm以下の厚さを有することが望ましい。前記正孔輸送層の厚さが1nm未満である場合、薄過ぎて正孔輸送能力が低下し、前記正孔輸送層の厚さが100nmを超過する場合、駆動電圧が上昇できるという問題点があるためである。
【0107】
前記発光層12の上部には蒸着またはスピンコーティング法を利用して正孔抑制層13及び/または電子輸送層15を形成する。ここで、正孔抑制層13は、発光物質から形成される励起子の電子輸送層15への移動を防いだり、正孔の電子輸送層15への移動を防ぐ役割を果たす。
【0108】
前記正孔抑制層13の形成材料としては、フェナントロリン系化合物(例:UDC社、BCP;以下に代表的な化学構造式を示す。)、イミダゾール系化合物(以下に代表的な化学構造式を示す。)、トリアゾール系化合物(以下に代表的な化学構造式を示す。)、オキサジアゾール系化合物(例:PBD;以下に代表的な化学構造式を示す。)、アルミニウム錯体(UDC社)、下記構造式のBAlqなどを使用する。
【0109】
【化17】

【0110】
前記電子輸送層15の形成材料としては、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、トリアゾール系化合物、イソチアゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、ペリレン系化合物(以下に代表的な化学構造式を示す。)、アルミニウム錯体(例:Alq3(トリス(8−キノリノラート)−アルミニウム(以下に化学構造式を示す。)、BAlq(以下に化学構造式を示す。)、SAlq(以下に化学構造式を示す。)、Almq3(以下に化学構造式を示す。))、ガリウム錯体(例:Gaq’2OPiv(以下に化学構造式を示す。)、Gaq’2OAc(以下に化学構造式を示す。)、2(Gaq’2)(以下に化学構造式を示す。))を使用する。
【0111】
【化18】

【0112】
前記正孔抑制層の厚さは、5nmないし100nmであり、前記電子輸送層の厚さは、5nmないし100nmであることが望ましい。前記正孔抑制層の厚さ及び電子輸送層の厚さが前記範囲を外れる場合には、電子輸送能力や正孔抑制能力面で望ましくない。
【0113】
次いで、前記結果物に第2電極14を形成し、前記結果物を封止して有機電界発光素子を完成する。
【0114】
前記第2電極14の形成材料は、特別に制限されずに、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Cs、Ba、Ca、Ca/Al、LiF/Ca、LiF/Al、BaF/Ca、Mg、Ag、Al、またはこれらの合金、またはこれらの多重層を利用して形成する。前記第2電極14の厚さは、50ないし3000Åであることが望ましい。
【0115】
本発明の有機電界発光素子の製作は、特別な装置や方法を必要とせずに、通常の導電性高分子組成物を利用した有機電界発光素子の製作方法によって製作できる。
【0116】
以下、下記実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、下記の実施例は、単に説明のためのものであって、本発明を制限するためのものではない。
【0117】
<実施例1:PEDOT導電性高分子イオノマーの組成物>
下記化学式14のイオノマーを(株)ダウケミカルから購買して混合溶媒(水:エタノール=4:6(重量比))に1.0wt%で溶解した。その後、PEDOTを既知の合成方法[Greonendaal et al.Advanced Materials,Vol.12,p481,2000]によって重合した。さらに具体的には、商業的に3、4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を販売しているH.C.Starck社の商品名Baytron Mを購入して、化学的酸化重合法により前記溶液内で化学式14の溶質対比10%の重量比でEDOTを重合させて導電性高分子組成物を完成した。
【0118】
【化19】

【0119】
前記式において、m=2、n=5〜11である。
【0120】
<実施例2:PANI導電性高分子イオノマーの組成物>
下記化学式15のイオノマーを(株)デュポンから購買して混合溶媒(水:エタノール=4:6(重量比))に1.0wt%で溶解した。その後、(株)シグマアルドリッチから購入したポリアニリン(PANI)をショウノウスルホン酸(camphor sulfonic acid)でドーピングして導電性高分子を得た。次いで、前記1.0wt%で溶解された化学式15のイオノマーに対して重合されたPANIを重量比10:2で混合して所望の導電性高分子組成物を完成した。
【0121】
【化20】

【0122】
前記式において、m=1、n=5〜11である。
【0123】
<実施例3:PEDOT導電性高分子イオノマーの組成物>
1)イオノマーの合成
下記化学式16の化合物を次の通りに合成した。重量平均分子量230,000(数平均分子量140,000)を有するポリスチレンを(株)シグマアルドリッチから購入した。前記ポリスチレンのスルホン化は、スルホン化補助剤としてアセチルスルファートを使用して1,2−ジクロロエタン溶媒で50℃の温度で行われた。スルホナート高分子は、スチームストリッピングによって得られ、残っている溶媒を除去するために2日間60℃の真空オーブンで乾燥した。得られた高分子のスルホナートの含有量は、ポリスチレン主鎖の50モル%に該当する。
【0124】
【化21】

【0125】
式において、m=66及びn=66であり、MはHである。
【0126】
2)組成物の製造
前記で合成したイオノマーを水に1.5wt%で溶解した。その後、前記1.5wt%で溶解された前記イオノマーの溶質の重量に対して実施例1と同じ方法でEDOTを重合させて重量比15:2で混合して所望の導電性高分子組成物を完成した。
【0127】
<実施例4:有機電界発光素子の製作>
コーニング15Ω/cm(ITO電極の厚さ;1200Å)ITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切ってイソプロピルアルコールと純水中で各5分間超音波洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。
【0128】
前記基板の上部に前記実施例1で製造した導電性高分子水溶液の2質量%をスピンコーティングして50nm厚さの正孔注入層を形成した。前記正孔注入層の上部にPFB(Dow Chemical社製の正孔輸送物質)をスピンコーティングして10nm厚さの正孔輸送層を形成した。
【0129】
前記正孔輸送層の上部に青色発光物質であるスピロフルオレン系発光高分子で70nm厚さの発光層を形成した後、前記発光層の上部にBaFを蒸着して4nm厚さの電子注入層を形成した。前記電子注入層の上部に第2電極としてCa2.7nm、Al250nmを形成して、有機電界発光素子を製造した。この時、実施例4から製造された有機電界発光素子をサンプルAという。
【0130】
<比較例1>
正孔注入層形成物質としてBayer社のBatron P 4083であるPEDOT/PSSの水溶液を使用した点を除いては、前記実施例4と同じ方法で有機電界発光素子を製作した。この時、比較例1から製造された有機電界発光素子をサンプルBという。
【0131】
<評価例1−効率特性評価>
前記サンプルA及びサンプルBの効率をSpectraScan PR650分光放射計を利用して測定した。
【0132】
サンプルAは、15cd/Aの効率を示し、サンプルBは10cd/Aの効率を示した。したがって、50%の効率向上を示したことが確認された。
【0133】
これにより、本発明の導電性高分子組成物で形成された正孔注入層を含む有機電界発光素子が優秀な発光効率を有することが分かる。
【0134】
<評価例2−寿命特性評価>
前記サンプルA及びサンプルBに対して寿命特性を評価した。寿命特性評価は、フォトダイオードを利用して経時的に輝度を測定することによって評価するが、初期発光輝度(initial luminance)が50%まで減少する時間として表される。
【0135】
サンプルAの場合、800cd/mの初期輝度で駆動した時に約1000時間の寿命特性を有し、サンプルBの場合、約400時間の寿命特性を有するところ、本発明に係る有機電界発光素子は、従来の有機電界発光素子に比べて約150%(2.5倍)向上した寿命を有することが分かる。
【0136】
<実施例5:PEDOT導電性高分子イオノマーの組成物>
下記化学式17(いわゆる、NAFION)の構造を有し、5wt%で水とアルコール(2−プロパノール)の4.5:5.5(重量比)混合溶媒に溶解されているイオノマーを(株)シグマ−アルドリッチ社から購入した。その後、(株)スタルク(H.C.Starck)から購買した製品名Baytron P H(PEDOTとPSSとの1:2.5重量比の組成物)を購買して全固形分を水とエタノールとの混合溶媒に1.5wt%になるように混合物を製造した。5wt%で溶解されたNAFIONとBaytron P Hとを4:1、2:1、1:1の比率で調節して所望の導電性高分子組成物をそれぞれ製造した。
【0137】
【化22】

【0138】
前記式において、x=1、y=5〜11、z=1を示す。
【0139】
<実施例6:有機電界発光素子の製作>
コーニング15Ω/cm(ITO電極の厚さ;1200Å)ITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切ってイソプロピルアルコールと純水中で各5分間超音波洗浄した後、30分間UV、オゾン洗浄して使用した。
【0140】
前記基板の上部に前記実施例5で製造した3種類の導電性高分子組成物の水溶液1.5wt%をスピンコーティングして50nm厚さの正孔注入層を形成した。前記正孔注入層の上部に青色発光物質のスピロフルオレン系発光高分子で70nm厚さの発光層を形成した後、前記発光層の上部にBaFを蒸着して4nm厚さの電子注入層を形成した。前記電子注入層の上部に第2電極としてCa2.7nm、Al250nmを形成して、有機電界発光素子を製造した。この時、実施例6から製造された有機電界発光素子のサンプルのうち、Baytron P HとNAFIONの重量比が4:1であるサンプルをC、2:1であるサンプルをD、1:1であるサンプルをEという。
【0141】
<比較例2>
正孔注入層形成物質としてBayer社のBatron P 4083であるPEDOT/PSS(1/6の重量比)の水溶液を使用した点を除いては、前記実施例6と同じ方法で有機電界発光素子を製作した。この時、比較例2から製造された有機電界発光素子をサンプルFという。
【0142】
<比較例3>
正孔注入層形成物質としてBayer社のBatron PHであるPEDOT/PSS(1/2.5の重量比)の水溶液を使用した点を除いては、前記実施例6と同じ方法で有機電界発光素子を製作した。この時、比較例3から製造された有機電界発光素子をサンプルGという。
【0143】
<評価例3−効率特性評価>
前記サンプルCないしGの効率を評価して図2にそれぞれ示した。効率評価は、SpectraScan PR650分光放射計を利用して測定した。
【0144】
サンプルEは、8lm/W及び10.7cd/Aの効率を示し、サンプルGは、3.8lm/W及び7.78cd/Aを示し、サンプルFは、6.8lm/W及び9.2cd/Aの効率を示した。したがって、商業的な正孔注入物質であるサンプルFとGに比べて最小限12%以上の効率向上を示した。
【0145】
これで、本発明の導電性高分子組成物で形成された正孔注入層を含む有機電界発光素子が優秀な発光効率を有することが分かる。
【0146】
<評価例4−寿命特性評価>
前記サンプルCないしGに対して寿命特性を評価して図3にそれぞれ示した。寿命特性評価は、フォトダイオードを利用して経時的に輝度を測定することによって評価するが、初期発光輝度が50%まで減少する時間として表される。
【0147】
サンプルCの場合、800cd/mの初期輝度で駆動した時、約365時間の寿命特性を有し、サンプルFとGの場合、約250時間の寿命特性を有するところ、本発明に係る有機電界発光素子は、従来の有機電界発光素子に比べて約46%向上した寿命を有することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、光電素子の関連技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1A】一般的な有機電界発光素子の構造を示す図面である。
【図1B】一般的な有機電界発光素子の構造を示す図面である。
【図1C】一般的な有機電界発光素子の構造を示す図面である。
【図1D】一般的な有機電界発光素子の構造を示す図面である。
【図2A】本発明の実施例1及び比較例1によって製造された有機電界発光素子の効率特性として、電圧と電流効率の関係を示すグラフである。
【図2B】本発明の実施例1及び比較例1によって製造された有機電界発光素子の効率特性として、電圧と電力効率の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例1及び比較例1によって製造された有機電界発光素子の寿命特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0150】
10 第1電極、
11 正孔注入層、
12 発光層、
13 正孔抑制層、
14 第2電極、
15 電子輸送層、
16 正孔輸送層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性高分子と、
下記化学式1で表示される第1イオノマーと、を含む導電性高分子組成物:
【化1】

前記式において、
0<m≦10,000,000、
0≦n<10,000,000、
0≦a≦20、
0≦b≦20であり、
A、B、A’及びB’は、それぞれ独立してC、Si、Ge、Sn及びPbよりなる群から選択され、
、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換のアミノカルボニル基、置換または非置換のカルボキシル基、シアノ基、置換または非置換のC1−C30のアルキル基、置換または非置換のC1−C30のヘテロアルキル基、置換または非置換のC1−C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1−30のヘテロアルコキシ基、置換または非置換のC6−C30のアリール基、置換または非置換のC6−C30のアリールアルキル基、置換または非置換のC6−C30のアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC5−C20のシクロアルキル基、置換または非置換のC2−C30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換のC1−C30のアルキルエステル基、置換または非置換のC1−C30のヘテロアルキルエステル基、置換または非置換のC6−C30のアリールエステル基及び置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールエステル基よりなる群から選択され、但し、R、R、R、及びRのうち少なくとも一つ以上は、イオン基であるか、イオン基を含み、
X及びX’は、それぞれ独立して単純結合、O、S、置換または非置換のC1−C30のアルキレン基、置換または非置換のC1−C30のヘテロアルキレン基、置換または非置換のC6−C30のアリーレン基、置換または非置換のC6−C30のアリールアルキレン基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリーレン基、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールアルキレン基、置換または非置換のC5−C20のシクロアルキレン基、置換または非置換のC5−C30のヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換のC6−30のアリールエステル基及び、置換または非置換のC2−C30のヘテロアリールエステル基よりなる群から選択され、
但し、nが0である場合、R、R、R、及びRのうち少なくとも一つ以上は、ハロゲン元素を含む疎水性官能基であるか、疎水性官能基を含む。
【請求項2】
前記導電性高分子の100重量部に対して第1イオノマーが100ないし5,000重量部であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物。
【請求項3】
前記第1イオノマーが、下記化学式2ないし13よりなる群から選択された反復単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物:
【化2】

前記式中、mは、1ないし10,000,000の数であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし10の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化3】

前記式中、mは、1ないし10,000,000の数である;
【化4】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化5】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化6】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、zは、0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化7】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Yは、−COO、−SONHSOCF、−PO2−(Mの中から選択された一つであり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化8】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化9】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000である;
【化10】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、xは、0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化11】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化12】

前記式中、m及びnは、0≦m<10,000,000、0<n≦10,000,000であり、Rは、−(CF−(zは、1ないし50の整数、但し、2は除外)、−(CFCFO)CFCF−(zは、1ないし50の整数)、−(CFCFCFO)CFCF−(zは、1ないし50の整数)であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化13】

前記式中、m及びnは、0≦m<10,000,000、0<n≦10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Yは、−SO、−COO、−SONHSOCF、−PO2−(Mの中から選択された一つであり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【請求項4】
前記導電性高分子の100重量部に対して前記化学式1で表示される第2イオノマーを100ないし5,000重量部の範囲で1種以上さらに含み、前記第1イオノマーとこれら第2イオノマーのそれぞれが相異なることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物。
【請求項5】
前記第2イオノマーが、前記化学式1においてn=0であり、0<m<10,000,000であり、炭化水素系、炭化フッ素系、またはシリコン系高分子であることを特徴とする請求項4に記載の導電性高分子組成物。
【請求項6】
前記炭化フッ素系第2イオノマーが、過フッ化炭化フッ素系イオノマーであることを特徴とする請求項5に記載の導電性高分子組成物。
【請求項7】
前記炭化フッ素系第2イオノマーが、下記化学式2、3、4、5、6、7、10、11、12ないし13のイオノマーを含むことを特徴とする請求項5に記載の導電性高分子組成物:
【化14】

前記式中、mは、1ないし10,000,000の数であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし10の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化15】

前記式中、mは、1ないし10,000,000の数である;
【化16】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化17】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化18】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、zは、0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化19】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Yは、−COO、−SONHSOCF、−PO2−(Mの中から選択された一つであり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化20】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、xは、0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化21】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化22】

前記式中、m及びnは、0≦m<10,000,000、0<n≦10,000,000であり、R=−(CF−(zは、1ないし50の整数、但し、2は除外)、−(CFCFO)CFCF−(zは、1ないし50の整数)、−(CFCFCFO)CFCF−(zは、1ないし50の整数)であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化23】

前記式中、m及びnは、0≦m<10,000,000、0<n≦10,000,000であり、x及びyは、それぞれ独立して0ないし20の数であり、Yは、−SO、−COO、−SONHSOCF、−PO2−(Mの中から選択された一つであり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す。
【請求項8】
前記炭化水素系第2イオノマーが、下記化学式8または9のイオノマーを含むことを特徴とする請求項5に記載の導電性高分子組成物:
【化24】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、Mは、Na、K、Li、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)を表す;
【化25】

前記式中、m及びnは、0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000である。
【請求項9】
前記導電性高分子が、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン及びポリチオフェンよりなる群から選択された一つ以上の高分子、またはこれらの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物。
【請求項10】
前記イオン基が、PO2−、SO、COO、I、CHCOOよりなる群から選択された陰イオン基及びNa、K、Li、Mg+2、Zn+2、Al+3の金属イオン、H、CH(CHNH(nは、0ないし50の整数)、NH、NH、NHSOCF、CHO、COH、CHOH、RCHO(Rは、CH(CH−;nは、0ないし50の整数)の有機イオンよりなる群から選択され、前記陰イオン基と対をなす陽イオン基を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物。
【請求項11】
前記疎水性官能基が、ハロゲン原子であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物。
【請求項12】
前記疎水性官能基が、フッ素原子であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物。
【請求項13】
物理的架橋剤及び/または化学的架橋剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子組成物。
【請求項14】
前記物理的架橋剤は、ヒドロキシ基(−OH)を含む低分子または高分子化合物であることを特徴とする請求項13に記載の導電性高分子組成物。
【請求項15】
前記物理的架橋剤は、グリセロール、ブタノール、ポリビニルアルコール 、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンから選択される化合物であることを特徴とする請求項13に記載の導電性高分子組成物。
【請求項16】
前記化学的架橋剤は、テトラエチルオキシシラン(TEOS)、ポリアジリジン、メラミン系物質、エポキシ系物質から選択される化合物であることを特徴とする請求項13に記載の導電性高分子組成物。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のうち何れか1項に記載の導電性高分子組成物からコーティングして形成された導電性薄膜。
【請求項18】
請求項17に記載の導電性薄膜を含むことを特徴とする光電素子。
【請求項19】
前記光電素子が、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機トランジスタ及び有機メモリ素子よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であることを特徴とする請求項18に記載の光電素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−225658(P2006−225658A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37233(P2006−37233)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】