説明

導電配線パターンの製造方法およびプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法

【課題】高度に高精細なパターンでも電気抵抗の増加や断線による導通不良を防止する。
【解決手段】基板上に、導電性フィラーを含む無機粉末および感光性有機成分を含む有機成分からなる感光性導電ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光した後に、プレス加工を施し、その後現像することを特徴とする導電配線パターンの製造方法。また、この方法により電極を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電配線パターンの製造方法およびプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型・大型テレビに使用できるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)が注目されている。PDPは、例えば、表示面となる前面板側のガラス基板には、対をなす複数のスキャン電極とサステイン電極が銀やクロム、アルミニウム、ニッケル等の材料で形成されている。さらにスキャン電極およびサステイン電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が形成され、誘電体層を被覆してMgO層が形成されている。一方、背面板側のガラス基板には、銀等の材料で形成されている、複数のアドレス電極がストライプ状に形成され、アドレス電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が形成されている。誘電体層上に放電セルを仕切るストライプ状もしくは格子状の隔壁を設け、隔壁と誘電体層で形成された放電空間内に赤(R)緑(G)青(B)の各色からなる蛍光体層を形成させる。
【0003】
前面板側のガラス基板のサステイン電極と背面板側のアドレス電極が互いに直交するように、前面板と背面板が封着され、それらの基板の間隙内にヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される希ガスが封入されPDPが形成される。スキャン電極とアドレス電極の交点を中心として画素セルが形成されるので、PDPは複数の画素セルを有し、画像の表示が可能になる。
【0004】
PDPにおいて表示を行う際、選択された画素セルにおいて、発光していない状態からサステイン電極とアドレス電極との間に放電開始電圧以上の電圧を印加すると電離によって陽イオンや電子が生じ、放電空間内を反対極性の電極へと向けて移動してMgO層の内壁に帯電し、内壁の電荷はMgO層の抵抗が高いために減衰せずに壁電荷として残留する。
【0005】
次に、スキャン電極とサステイン電極の間に放電維持電圧を印加する。壁電荷のあるところでは、放電開始電圧より低い電圧でも放電することができる。放電により放電空間内のキセノンガスが励起され、147nmの紫外線が発生し、紫外線が蛍光体を励起することにより、発光表示が可能になる。
【0006】
このようなPDPをはじめ大型フラットディスプレイを取り巻く環境は急速に変化しており、近年デジタルテレビの普及や、コンピューターの普及によってディスプレイ装置の扱う画質はより高精細度になってきている。現在ではフルHD(FHD)規格を満たしたディスプレイ装置が主流となっている。FHD規格では横方向の画素数は1920画素、各画素はRGB3色で構成されるため、セル数では5760セルとなり、縦方向の画素数は1080画素である。よって、基板サイズが50インチの場合は、横方向の寸法は約0.576mm、RGB各色のセルピッチは約0.192mmとなる。今後更により高精細な画像情報を扱う要請が出ることが予想され、FHD規格の4倍の画素数のスーパーハイビジョン(SHV)規格やFHD規格の2倍の画素を扱うQFHD規格に対応することがPDPにも要請される。なお50インチQFHDではセルピッチが約0.096mmとなる。
【0007】
このような高精細化にともなって電極のピッチも狭くなると同時に線幅も細くなる。このような高度に高精細化された電極パターンでは電気抵抗の増加と断線による導通不良が著しく問題となる。
【0008】
例えば、少なくともガラスフリットを有する無機成分とバインダー樹脂を含有する厚膜パターン形成材料を、全面もしくはパターン状に、塗布もしくは印刷した後、平坦化処理を施すことによって欠陥を防止する方法がある(特許文献1参照。)。
【0009】
また、導電性微粒子を含む厚膜パターン形成材料を基板に配し、熱処理して前記導電性微粒子の微粒子結合体を形成させた後、前記微粒子結合体を加圧部材によって加圧することによって低インピーダンス化を実現する提案がなされている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−16491号公報
【特許文献2】特開2005−177710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の方法では、平坦化や低インピーダンス化については効果があるものの、セルピッチが0.2mm未満の場合、特にQFHD規格では効果が少なく、断線抑制には十分な効果を得ることができない。本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、高度に高精細なパターンでも電気抵抗の増加や断線による導通不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基板上に、無機成分と有機成分からなる感光性導電ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光した後にプレス加工を施し、その後現像する導電配線パターンの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高精細なパターンでも電気抵抗の増加や断線による導通不良を防止することができる。また、本発明によれば、プレス処理を行うことによって体積抵抗値が低下し低インピーダンス化を図ることができる。さらに、露光により感光性有機成分であるモノマーなどが鎖状に重合硬化して導電性フィラーの周りを包囲した状態になるが、露光後かつ現像前にプレス処理を行うことによって感光性成分の鎖をより強化することができ、その後の現像時に露光部分が欠落するのを抑制することができる。また、現像後にさらに焼成を行って有機成分を除去することによって、導電性の高い導電配線パターンを形成する場合があるが、その場合であっても、導電性フィラー同士が接触した状態で焼成を行うため、焼成時の収縮による断線を防止することができる。このような方法により、高度に高精細なパターンでも電気抵抗の増加や断線による導通不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のプラズマディスプレイパネル用部材上の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】実施例および比較例で用いたインピーダンス測定用フォトマスクの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の導電配線パターンの製造方法は、基板上に、導電性フィラーを含む無機粉末および感光性有機成分を含む有機成分からなる感光性導電ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光した後に、プレス加工を施し、その後現像することを特徴とする。
【0016】
本発明の電配線パターンの製造方法で用いる基板としては、ガラス基板、シリコン基板などの無機材料製基板や樹脂製基板等を用いることができるが、現像後さらに焼成して導電配線パターンを製造する場合は、無機材料製の基版を用いることが好ましい。
【0017】
本発明で用いる感光性導電ペーストは、導電性フィラーを含む無機粉末および感光性有機成分を含む有機成分からなる。
【0018】
本発明に用いられる感光性導電ペーストに使用される導電性フィラーとしては、導電性の金属や金属酸化物等の導電性の無機粉末を用いることができる。金属酸化物粉末としては、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化ルテニウム(RuO)などを用いることができる。金属粉末としては、Ag、Au、Pd、Cu、Ni、AlおよびPtの群から選ばれる少なくとも1種を含むもので、Ag、Au、Pd、Cu、Ni、AlおよびPt単独または混合粉末として用いる事ができる。抵抗値を低減できる点から銀を90質量%以上含む金属粉末を用いることが好ましいが、アルミニウム粉末を用いると本発明による効果が著しく、コスト的な面で好適である。すなわち、アルミニウム粉末は銀粉末と比較して低価格であり、コスト的な面で有利であるが、一方で電気抵抗の増加、断線、剥がれといった問題が生じやすい。そこで本発明を適用することによって顕著な効果を得ることができ、高精細な導電パターン形成にも適用することが可能となる。
【0019】
本発明で用いる感光性導電ペーストにおいて使用される導電性フィラーの粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、重量分布曲線における50質量%粒子径が0.1〜10μmであることが好ましい。
【0020】
本発明で用いる感光性導電ペーストには、特に基板としてガラス基板を用い、現像後に焼成を行う場合は、導電性フィラー以外に、ガラス粉末を含有することが電極とガラス基板の接着力を向上する上で有効である。ガラス粉末は、焼成後の導電配線パターンとガラス基板との十分な接着力を確保するために用いられる。さらに、導電性フィラーを焼結するための焼結助剤や抵抗値を下げる効果があるので必要である。
【0021】
ガラス基板上への焼き付けを行う場合は、ガラス粉末のガラス転移温度(Tg)およびガラス軟化点(Ts)は低いほうが好ましくそれぞれ300〜500℃、350〜450℃であるのが良い。より好ましくはTgが350〜450℃であるのが良い。Tgが300℃以下になると、ポリマーバインダーやモノマーなどの有機成分が蒸発する前に焼結が始まるので好ましくない。
【0022】
ガラス粉末としては、Biを20〜60質量%、SiOを3〜60質量%、Bを3〜60質量%、ZnOを2〜20質量%の組成範囲からなるビスマス含有ホウ珪酸ガラス粉末を用いることによって、導電配線パターンを500〜600℃でガラス基板上に強固に焼き付けることができ、その他Al、BaO、CaO、TiO、ZrOなどを含有することによって熱膨張係数、ガラス軟化点、ガラス転移点、絶縁抵抗を制御できるが、その量は15質量%未満であることが好ましい。
【0023】
ガラス粉末の含有量は導電性フィラーとガラス粉末の合計量に対して1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは1〜5質量%である。焼成後の導電配線パターンの電極の低抵抗化を図るにはガラス成分の量が低いほうが好ましい。ガラス成分は電気絶縁性であるので、導電性フィラーとガラス粉末の合計量に対して10質量%を越えると電極の抵抗が増大するので好ましくない。導電性フィラーとガラス粉末の合計量に対して1質量%以下では、導電配線パターンとガラス基板との強固な接着強度が得られにくい。
【0024】
本発明で用いる感光性導電ペーストに含まれる有機成分は、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ばれる感光性有機成分を含有し、さらに必要に応じて、バインダー、光重合開始剤、紫外線吸光剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、沈殿防止剤やレベリング剤などの添加剤成分を加えることも行われる。
【0025】
感光性有機成分としては、光不溶化型のものと光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、(A)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性のモノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの(B)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの(C)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの等がある。
【0026】
また、光可溶型のものとしては、(D)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアゾ類を含有するもの(E)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフトキノン1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル等がある。
【0027】
本発明の感光性導電ペーストに用いる感光性有機成分は、上記のすべてのものを用いることができる。感光性導電ペーストとして、無機粉末と混合して簡便に用いることができる感光性成分は、(A)のものが好ましい。
【0028】
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0029】
これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0030】
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。
【0031】
また、前述の炭素−炭素二重結合を有する化合物のうち少なくとも1種類を重合して得られたオリゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際に、これらのモノマーの含有率が10質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上になるように、他のモノマーと共重合することができる。
【0032】
共重合するモノマーとしては、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0033】
こうして得られたポリマーもしくはオリゴマーの酸価(AV)は50〜180、さらには70〜140の範囲が好ましい。酸価が50未満であると、現像許容幅が狭くなる。また、酸価が180を越えると未露光部の現像液に対する溶解性が低下するようになるため現像液濃度を濃くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得られにくい。
【0034】
以上示した、ポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性を持つ感光性ポリマーや感光性オリゴマーとして用いることができる。
【0035】
好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。
【0036】
このような側鎖をオリゴマーやポリマーに付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0037】
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどがあげられる。
【0038】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等がある。
【0039】
また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量付加させることが好ましい。
【0040】
光重合開始剤としての具体的な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、0.05〜10質量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5質量%である。重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0041】
紫外線吸収剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い吸収剤を添加することによって高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用でき、これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。これら有機染料の添加量は添加効果の発現の為には0.02質量%以上が好ましい。有機顔料からなる紫外線吸光剤の添加方法としては、有機溶媒に溶解した後、ペースト作製時に混練りする方法以外に、有機顔料を予め有機溶媒に溶解した溶液を作製し、次に該有機溶媒中に金属粉末を混合後、乾燥する方法がある。この方法によって個々の粉末表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル状の粉末が作製できる。
【0042】
本発明に用いる感光性導電ペーストがガラス粉末を含有する場合、ガラス粉末に含まれるPb、Fe、Cd、Mn、Co、Mgなどの金属および酸化物がペースト中に含有する感光性成分と反応してペーストが短時間でゲル化し、塗布できなくなる場合がある。このような反応を防止するために安定化剤を添加してゲル化を防止することが好ましい。用いる安定化剤としては、トリアゾール化合物が好ましく用いられる。トリアゾール化合物の中でも特にベンゾトリアゾールが有効に作用する。本発明において使用されるベンゾトリアゾールによるガラス粉末の表面処理の一例を上げると、ガラス粉末に対して所定の量のベンゾトリアゾールを酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチルアルコールなどの有機溶媒に溶解した後、これら粉末が十分に浸すことができるように溶液中に1〜24時間浸積する。浸積後、好ましくは20〜30℃下で自然乾燥して溶媒を蒸発させてトリアゾール処理を行った粉末を作製する。使用される安定化剤の割合(安定化剤/無機粉末)は0.05〜5質量%が好ましい。
【0043】
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明に用いる感光性導電ペーストに添加する場合、その添加量は感光性成分に対して通常0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0044】
重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上させるために添加される。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性導電ペースト中に、通常、0.001〜1質量%である。
【0045】
可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。
【0046】
酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は通常、添加量は、ペースト中に、通常、0.001〜1質量%である。
【0047】
本発明で用いる感光性導電ペーストには、溶液の粘度を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0048】
本発明で用いる感光性導電ペーストは、通常、上記導電性金属粉末、ガラス粉末、紫外線吸光剤、感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤および溶媒等の各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製する。
【0049】
感光性導電ペーストの粘度は無機粉末、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2〜200Pa・sである。例えばガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、2〜5Pa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、50〜200Pa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、2〜20Pa・sが好ましい。
【0050】
感光性導電ペーストを塗布する方法として、スクリーン印刷法が形成させる膜厚の面から好適である。すなわち、乾燥後の厚みが3〜20μm、より好ましくは5〜15μmであることが好ましい。
【0051】
次に、感光性導電ペースト塗布層を、必要に応じ乾燥した後、フォトマスクを介して露光する。光可溶化型の感光性導電ペーストを用いる場合は所望の導電配線パターンに相当する遮光部を有するフォトマスクを、光不溶化型のもの感光性導電ペーストを用いる場合は所望の導電配線パターンに相当する透光部を有するフォトマスクを用い、紫外線等の露光を用いて露光を行う。
【0052】
その後、現像を行う前にプレス加工を施す。上述の露光により、所望の導電配線パターンに相当する部分の感光性導電ペースト塗布膜は、現像液に対して不溶となっているが、従来のようにプレス加工を行わない場合は、感光性有機成分が現像液に不溶となっていても、高濃度に含まれる導電性フィラーを十分保持することができないために現像時に導電性フィラーが欠落してしまったり、感光性有機成分の一部が現像液に溶出してしまうことなどによって、導電配線パターンの部分的な強度低下を招き微少な亀裂が発生することがある。それに対し、露光後、現像前にプレス処理を行うと、感光性有機成分がより強固となり、現像時に導電性フィラーが脱落しにくくなるとともに、微少な亀裂が発生することを防ぐことができ、現像後に乾燥や焼成を行った際に断線が発生するのを防ぐことができる。また、プレス処理によって導電性フィラー同士がよく接触した状態になるため、形成される導電配線パターンの抵抗やインピーダンスが良好になる。また、パターン化された感光性導電ペースト塗布膜と基板との密着性が強くなるために、現像後、特に乾燥や焼成を行うことによって導電配線パターンが収縮した場合であっても、強い密着強度を保ち、剥がれが発生しにくいという効果がある。
【0053】
プレス加工は露光後5分以内、より好ましくは3分以内に行うことが好ましく、そうすることによって、プレス加工による断線の防止効果を十分に発揮することができる。
【0054】
なお、感光性導電ペーストの塗布後、露光前にプレス処理を起こっても、上述の効果を十分得ることができない。
【0055】
また、現像した後にプレス処理を行うと、現像によって生じた微小な亀裂をさらに広げてしまうため、乾燥時や焼成時に溶媒や感光性有機成分が除去されることに伴って収縮し、導電性フィラーが引き離され、導電性フィラーの接触が絶たれることによって抵抗やインピーダンスが悪化したり、断線が発生してしまう。以上の理由により本発明では露光後かつ現像前にプレス加工することが必要である。
【0056】
本発明ではプレス加工後の厚みが、プレス加工前の厚みに対して50〜95%、より好ましくは60〜90%であることが望ましい。電極厚みが薄すぎると、パターンの抜けが生じやすくなったり、抵抗値が大きくなり正確な駆動が困難となる傾向にある。一方、厚すぎると材料が多く必要とされ、コスト的に不利な傾向にある。
【0057】
本発明で用いることができるプレス機はプレスロール機や定盤のものなどを用いることができるが、回転式ロールプレス機がタクトタイムの点で好ましい。またプレス加工の際加熱プレスすることができる。
【0058】
現像は、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行う。現像は、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等で行うことができる。
【0059】
現像液は、感光性導電ペースト中の溶解させたい有機成分が溶解可能である溶液を用いる。感光性導電ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの無機アルカリ水溶液や、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低過ぎれば可溶部が除去されない傾向にあり、アルカリ濃度が高過ぎれば、パターン部を剥離させたり、また、非可溶部を腐食させる傾向にある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0060】
現像後、必要に応じ洗浄して現像液や不要成分を除去した後、必要に応じ乾燥処理を行う。このように乾燥を行った場合、残存溶媒や現像液で膨潤していた有機成分が収縮する。上述のように露光後、現像前にプレス処理を行わない場合は、現像時に発生した微少な亀裂が収縮により断線となったり、収縮により導電性フィラー間の距離が大きくなって抵抗値やインピーダンスの悪化、場合によっては導通が得られず断線となってしまったり、基板との密着性が不十分な状態で収縮するため剥がれたりするといった問題を生じるが、本発明によれば、露光後、現像前にプレス処理を行うため、上述のような問題は発生せず、剥がれや断線がない、抵抗値の低い導電配線パターンを形成することができる。
【0061】
導電配線パターンとして、有機成分と導電性フィラーを含む無機成分からなるパターンを用いる場合は乾燥後そのまま用いることができるが、抵抗の低い導電配線パターンとして用いる場合は、焼成して有機成分を除去し、無機成分のみからなる導電配線パターンとすることが好ましい。
【0062】
無機成分のみからなる導電配線パターンとする場合、焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラーハース式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、400〜800℃で行うと良い。ガラス基板上に直接隔壁を形成する場合は、450〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行うと良い。また、上述のように感光性導電ペーストがガラス粉末を含む場合、焼成することによってガラスが焼結し、強固な導電配線パターンを得ることができる。
【0063】
このように焼成を行った場合、有機成分が除去されるため、パターン化された感光性導電ペースト塗布膜は大きく収縮する。上述のように露光後、現像前にプレス処理を行わない場合は、現像時に発生した微少な亀裂が収縮により断線となったり、収縮により導電性フィラー間の距離が大きくなって抵抗値やインピーダンスの悪化、場合によっては導通が得られず断線となってしまったり、基板との密着性が不十分な状態で収縮するため剥がれたりといった問題が発生する。一方、本発明によれば、露光後、現像前にプレス処理を行うため、上述のような問題は発生せず、剥がれや断線がない、抵抗値の低い導電配線パターンを形成することができる。
【0064】
なお、本発明の効果を十分に発揮するには、電極ライン部分において、フォトマスクを介した露光、現像後に形成される電極の幅が10〜100μm、より好ましくは20〜60μm、かつピッチが80〜200μm、より好ましくは80〜160μmである。
【0065】
本発明の導電配線パターンの製造方法は、プラズマディスプレイパネル用部材の電極の形成に好ましく用いることができる。本発明の導電配線パターンの製造方法は、背面板に形成するアドレス電極、前面板に形成するスキャン電極、サステイン電極のいずれにも用いることができる。
【0066】
以下、PDP背面板のアドレス電極の形成に用いる場合の例を、図1を用いて詳細に説明する。
【0067】
図1に本発明のプラズマディスプレイパネル用部材の一実施の形態を示す。
【0068】
本発明のPDP用部材としての背面板に用いる基板3としては、ソーダガラス、PDP用の耐熱ガラスなどを用いることができ、具体的には旭硝子(株)製の高歪点ガラスPD200や日本電気硝子(株)製の高歪点ガラスPP8などがあげられる。
【0069】
この基板上に、上述の感光性導電ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光した後に、プレス加工を施し、その後現像することによってアドレス電極4の形状を有する電極パターンを形成する。
【0070】
アドレス電極は、表示に用いるストライプ状の電極ライン、端子ラインとこれらを結ぶ引き出しラインから構成される電極パターンからなる。本発明の効果を十分に発揮するには、電極ライン部分において、フォトマスクを介した露光、現像後に形成される電極の幅が10〜100μm、より好ましくは20〜60μm、かつピッチが80〜200μm、より好ましくは80〜160μmである。アドレス電極4の幅が細すぎると、断線及び欠けなどの欠陥が生じやすくなったり、抵抗値が高くなり正確な駆動が困難となる傾向にある。一方、太すぎると無効電力が増加する、隣り合う電極間の距離が小さくなるためショート欠陥が生じやすいなどの傾向がある。
【0071】
アドレス電極は低抵抗であることが求められるため、ガラス粉末を含有する感光性導電ペーストを用い、現像後に乾燥、焼成して無機成分のみからなるアドレス電極とすることが好ましい。好ましい焼成条件については上述の通りである。
【0072】
次いで、公知の方法で誘電体層5を形成し、誘電体層5上に、放電セルを仕切るための隔壁2を形成する。隔壁2は、アドレス電極4と平行な方向のストライプ状であってもよいし、図1に示すようにアドレス電極4と平行な方向と直交する方向の格子状の隔壁とすることもできる。
【0073】
さらに隔壁間に蛍光体層(図示しない)を形成することによって、プラズマディスプレイパネル用背面板とすることができる。
【0074】
なお、アドレス電極の焼成は個別に行ってもよいが、誘電体層、隔壁、蛍光体層のうちの一部または全部の前駆体を、無機成分と有機成分からなるペーストにより形成した上で、同時に焼成してもよい。
【0075】
上述のように作成したプラズマディスプレイパネル背面板を、前面板と封着後、前背面の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着してプラズマディスプレイパネルを作製できる。前面板は、基板上に所定のパターンで透明電極、バス電極、誘電体、保護膜(MgO)を形成した部材である。背面板上に形成されたRGB各色蛍光体層に一致する部分にカラーフィルター層を形成しても良い。また、コントラストを向上するために、ブラックストライプを形成しても良い。
【実施例】
【0076】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
13インチサイズの硝子基板上に導電配線パターンを作製し、評価を実施した。作製した導電配線パターン基板は下記の方法にて評価した。
【0078】
<感光性銀ペーストの作成>
アクリル酸、メチルメタクリレート、スチレンの共重合ポリマー8重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート7重量部、ベンゾフェノン3重量部、ブチルカルビトールアクリレート7重量部、ベンジルアルコール3重量部を50℃に加熱しながら溶解し、その後平均粒径2.0μmの銀粉末を70重量部、Bi/SiO/Al/BO3=69/24/4/3(質量%)からなる平均粒径2.2μmのガラス粉末2重量部を添加し、3本ロールを用いて混練作成した。
【0079】
<感光性アルミニウムペーストの作成>
アクリル酸、メチルメタクリレート、スチレンの共重合ポリマー15重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート13重量部、ベンゾフェノン5重量部、ブチルカルビトールアクリレート13重量部、ベンジルアルコール7重量部を50℃に加熱しながら溶解し、その後平均粒径2.1μmのアルミニウム粉末を26重量部、Bi/SiO/Al/B=69/24/4/3(質量%)からなる平均粒径2.2μmのガラス粉末21重量部を添加し、3本ロールを用いて混練作成した。
【0080】
<剥がれ評価>
ガラス基板として、240×316×1.8mmの13インチサイズのPD−200(旭硝子(株)製)を使用した。ガラス基板上に、上記の感光性銀ペーストを用いて、乾燥後後厚み5μmとなるようにスクリーン印刷法により塗布し、フォトリソグラフィー法により、ピッチ0.096mm、線幅35μmにて500mJ/cmで露光し、露光後所定の時間経過後に加圧プレス機(東洋油圧機械株式会社製「ESE−108−00」)を用いて所定の圧力にてプレスし、現像を行ったものを用いた。現像を行った後の外観を目視確認し、剥がれの有無を判別した。
【0081】
<インピーダンス評価および断線評価>
図2に示す透光部パターンを100個有するフォトマスクを用いて500mJ/cmで露光し、露光後所定の時間経過後に加圧プレス機(東洋油圧機械株式会社製「ESE−108−00」)を用いて所定の圧力にてプレスし、現像を行ったものを評価した。なお、フォトマスクの全ての透光部パターンにおいて、端子部サイズaは8mm(端子部は一辺8mmの正方形)、端子間距離bは84mm、折り返し部の長さcは77mm、折り返し部のピッチPは0.14mmであり、トータルライン長さLは392.56mmで共通である。ライン部の幅W(透光部の幅)は10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μmの10種類であり、それぞれの幅につき各10個のパターン、合計100個のパターンを有するフォトマスクを用いた。
【0082】
開口幅50μmの抵抗値(平均値)をインピーダンス測定結果とし、10μm、20μm、30μmの各開口幅のそれぞれ10パターンのうち抵抗測定値が1×10Ωを超えたパターンの割合を断線割合として評価した。
【0083】
[実施例1]
上記の感光性銀ペーストを用いて、露光後2分経過後に12kgf/cmの圧力にてプレスし、現像を行ったものを評価した。
【0084】
[実施例2]
露光後6分経過後にプレス加工を行う以外は実施例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0085】
[実施例3]
露光後10分経過後にプレス加工を行う以外は実施例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0086】
[実施例4]
プレス圧力4kgf/cmでプレス加工を行う以外は実施例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0087】
[実施例5]
プレス圧力20kgf/cmでプレス加工を行う以外は実施例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0088】
[実施例6]
乾燥後膜厚3μmとなるように塗布する以外は実施例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0089】
[実施例7]
乾燥後膜厚8μmとなるように塗布する以外は実施例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0090】
[実施例8]
上記の感光性アルミニウムペーストを用いて、乾燥後後厚み5μmとなるように塗布し、露光後2分経過後に加圧プレス機にて12kgf/cmの圧力にてプレスし、現像を行ったものを評価した。
【0091】
[比較例1]
露光後プレス加工を行わない以外はは実施例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0092】
[比較例2]
乾燥後膜厚3μmとなるように塗布する以外は比較例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0093】
[比較例3]
乾燥後膜厚8μmとなるように塗布する以外は比較例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0094】
[比較例4]
上記の感光性アルミニウムペーストを用いる以外は比較例1と同様に作製したサンプルを評価した。
【0095】
[比較例5]
上記の感光性銀ペーストを用いて、乾燥後膜厚5μmとなるようにスクリーン印刷法により塗布し、塗布後2分経過後に加圧プレス機にて12kgf/cmの圧力にてプレス処理した。その後露光し、現像を行ったものを評価した。
【0096】
[比較例6]
上記の感光性銀ペーストを用いて、乾燥後膜厚5μmとなるようにスクリーン印刷法により塗布し、露光、現像を行い、現像後2分経過後に加圧プレス機にて12kgf/cmの圧力にてプレスしたものを評価した。
【0097】
作成した各評価基板の結果をまとめると、表1の通りとなった。すなわち、プレスをしない比較例1〜4に比べ、インピーダンスの低下と断線率の低下効果があり、導電性フィラーがアルミニウムの時の効果が著しい。また、プレス加工のタイミングとして、露光前にプレス加工する比較例5ではプレスによる効果が薄く、現像後にプレス加工する比較例6では更に悪化している。この事は現像によって耐断線性が悪化するとプレス加工を行っても断線防止効果は見込めず、逆効果であることを示唆している。
【0098】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明に係る導電配線パターンの製造方法およびプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法は、プラズマディスプレイパネルの製造等に利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
1、2 隔壁
3 基板
4 アドレス電極
5 誘電体層
6 透光部
7 端子部
8 ライン部
a 端子部サイズ
b 端子間距離
c 折り返し部の長さ
P 折り返し部のピッチ
W ライン部の幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、導電性フィラーを含む無機粉末および感光性有機成分を含む有機成分からなる感光性導電ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光した後に、プレス加工を施し、その後現像することを特徴とする導電配線パターンの製造方法。
【請求項2】
フォトマスクを介して露光した後5分以内にプレス加工を施す、請求項1に記載の導電配線パターンの製造方法。
【請求項3】
プレス加工前の感光性導電ペースト塗布膜の厚みが3〜20μmである、請求項1または2に記載の導電配線パターンの製造方法。
【請求項4】
プレス加工後の感光性導電ペースト塗布膜の厚みが、プレス加工前の感光性導電ペースト塗布膜の厚みに対して50〜95%である、請求項1〜3のいずれかに記載の導電配線パターンの製造方法。
【請求項5】
幅が10〜100μmの範囲内、かつピッチが80〜200μmの範囲内であるストライプ状の電極が形成される、請求項1〜4のいずれかに記載の導電配線パターンの製造方法。
【請求項6】
前記導電性フィラーが、アルミニウムを主成分とする、請求項1〜5のいずれかに記載の導電配線パターンの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法により電極を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−123969(P2012−123969A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272477(P2010−272477)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】