説明

小さなRNA分子を定量するための方法

一態様において、本発明は、DNA分子を作製するために、ミクロRNA分子を増幅するための方法、組成物及びキットを提供する。この方法は、それぞれ、(a)標的ミクロRNA分子に相補的なDNA分子を作製するためにプライマー伸長を使用する工程;並びに(b)前記DNA分子を増幅して増幅されたDNA分子を作製するために、ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用する工程を含む。この方法の幾つかの実施形態において、フォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小さなRNA分子を増幅及び定量するための方法、組成物及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉(RNAi)は、遺伝子発現を阻害するように機能する進化的に保存されたプロセスである(Bernstein et al.(2001), Nature 409:363−6;Dykxhoorn et al.(2003)Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.4:457−67)。RNAiの現象は、カエノルハブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)中に最初に記載され、二本鎖RNA(dsRNA)の注入は、このdsRNAに相補的なmRNAの効率的な配列特異的遺伝子発現停止をもたらした(Fire et al.(1998)Nature 397:806−11)。RNAiは、転写後遺伝子発現停止(PTGS)と称される現象として植物中にも記載されており、ウイルス防御機構として使用されていると思われる(Jorgensen(1990)Trends Biotechnol.8:340−4;Brigneti et al.(1998)EMBO J.17:6739−46;Hamilton & Baulcombe(1999)Science 286:950−2)。
【0003】
PTGSを制御する分子がより長いdsRNAから加工された短いRNAであることを示唆する初期の証拠は、植物中のより長いdsRNAに由来する21から22の短いヌクレオチドdsRNAの同定であった(Hamilton&Baulcombe(199)Science 286:950−2)。この観察は、ドロソフィラ(Drosophila)の胚抽出物中においても繰り返され、RNアーゼIII型酵素(Dicer)によって、長いdsRNAが21から25ヌクレオチドの短いRNAへ加工されることが見出された(Elbashir et al.(2001)Nature411:494−8;Elbashir et al.(2001)EMBO J.20:6877−88;Elbashir et al.(2001)Genes Dev.75:188−200)。これらの観察から、Elbashir他は、合成21から25のヌクレオチドの合成dsRNAがドロソフィラ胚の可溶化液及び哺乳動物細胞培養中で遺伝子発現を特異的に阻害するように機能するかどうかを調べた(Elbashir et al.(2001)Nature 411:494−8;Elbashir et al.(2001)EMBO J. 20:6877−88;Elbashir et al.(2001)Genes Dev.75:188−200)。Elbashir他は、低分子干渉RNA(siRNA)は、インターフェロン応答の誘導なしに、哺乳動物細胞培養中で遺伝子発現を特異的に阻害する能力を有することを示した。
【0004】
これらの観察から、ヘアピンsiRNAを作製するプラスミドを基礎とするシステムなど、哺乳動物細胞培養中の特異的遺伝子の発現を低下又は喪失させるための技術が開発されるに至った(Brummelkamp et al.(2002)Science 296:550−3;Paddison et al.(2002)Genes Dev.76:948−58;Paddison et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99:1443−8;Paul et al.2002)Nat.Biotechnol.20:404−8)。siRNA分子は、特定のタンパク質の発現をインビボで阻害するために、細胞中へ導入することもできる(例えば、Soutschek, J., et al., Nature 432(7014):173−178(2004)参照)。
【0005】
siRNA分子は、特異的タンパク質の発現を阻害するための治療剤としても、病状に関与するタンパク質の発現を制御するように機能するsiRNA分子の活性に影響を及ぼす薬物に対する標的としても有望である。このような治療剤を開発する上での第一の工程は、生物内の様々な細胞種中での特定のsiRNA分子の量を測定することにより、体内でのsiRNA発現の「地図」を作成することである。さらに、所定の刺激に応答した又は病状における、特定の細胞種中での特異的siRNA分子の量の変化を測定することが有用である。
【0006】
低RNA分子は、定量することが困難である。例えば、小RNA分子を増幅及び測定するためのPCRの使用に関して、多くのPCRプライマーは小RNA分子より長いので、小RNA分子と大幅に重複し、プライマー伸長及びPCR増幅反応のために使用される温度で小RNA分子へ選択的にハイブリッド形成するプライマーを設計することが困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bernstein他、Nature 409、2001年、pp.363−6
【非特許文献2】Dykxhoorn他、Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.4、2003年、pp.457−67
【非特許文献3】Fire他、Nature 397、1998年、pp.806−11
【非特許文献4】Jorgensen、Trends Biotechnol.8、1990年、pp.340−4
【非特許文献5】Brigneti他、EMBO J.17、1998年、pp.6739−46
【非特許文献6】Hamilton & BaulcombeScience 286、1999年、pp.950−2
【非特許文献7】Elbashir他、Nature411、2001年、pp.494−8
【非特許文献8】Elbashir他、EMBO J.20、2001年、pp.6877−88
【非特許文献9】Elbashir他、Genes Dev.75、2001年、pp.188−200
【非特許文献10】Brummelkamp他、Science 296、2002年、pp.550−3
【非特許文献11】Paddison他、Genes Dev.76、2002年、pp.948−58
【非特許文献12】Paddison他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99、2002年、pp.1443−8
【非特許文献13】Paul他、Nat.Biotechnol.20、2002年、pp.404−8
【非特許文献14】Soutschek,J.,他、Nature 432(7014)、2004年、pp.173−178
【発明の概要】
【0008】
一態様において、本発明は、配列番号500から配列番号965からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、少なくとも1つの哺乳動物のミクロRNAを検出するためのキットを提供する。幾つかの実施形態において、キットは、配列番号500から配列番号965からなる群から選択される少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーは、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシル部分を含む。
【0009】
別の態様において、本発明は、配列番号500から配列番号965からなる群から選択される哺乳動物のミクロRNAを検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。本発明のプライマー分子は、本明細書中に記載されている本発明の方法を用いて、哺乳動物のミクロRNA標的分子を検出するためのプライマーとして使用することができる。
【0010】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの哺乳動物の標的ミクロRNAを検出するためのキットを提供する。キットは、標的ミクロRNAの検出に対して特異的な少なくとも1つのプライマーの組を含み、プライマーの組は、(1)標的ミクロRNAに対して相補的なcDNA分子を作製するための伸長プライマー(伸長プライマーは、標的ミクロRNAにハイブリッド形成する第一の部分及びユニバーサルフォワードPCRプライマーに対するハイブリッド形成配列を有する第二の部分を含む。);(2)伸長プライマー上のハイブリッド形成配列にハイブリッド形成するように選択された配列を含む、前記cDNA分子を増幅するためのユニバーサルフォワードPCRプライマー並びに(3)cDNA分子の一部にハイブリッド形成するように選択された配列を含む、前記cDNA分子を増幅するためのリバースPCRプライマーを含み、前記少なくとも1つの標的ミクロRNAは、miR−1、miR−9、miR−18b、miR−20b、miR−92b、miR−146b、miR−181d、miR−193b、miR−194、miR−206、miR−291a−3p、miR−291b−3p、miR−301b、miR−329、miR−346、miR−351、miR−362、miR−362−3p、miR−369−5p、miR−384、miR−409−3p、miR−409−5p、miR−425−5p、miR−449b、miR−455、miR−483、miR−484、miR−485−3p、miR−485−5p、miR−486、miR−487b、miR−488、miR−489、miR−490、miR−491、miR−493−3p、miR−494、miR−495、miR−497、miR−499、miR−500、miR−501、miR−503、miR−505、miR−519a、miR−519b、miR−519c、miR−519d、miR−520a、miR−520b、miR−520d、miR−520e、miR−520f、miR−532、miR−539、miR−542−3p、miR−542−5p、miR−615、miR−652、miR−668、miR−671、miR−675−5p、miR−699、miR−721及びmiR−758からなる群から選択される。一実施形態において、ユニバーサルフォワード及びリバースPCRプライマーの少なくとも1つは、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシル部分を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、生物から得た試料中の類似の配列を有する2つ又はそれ以上の哺乳動物の標的ミクロRNAを識別するための方法を提供する。この方法は、以下の工程:(a)第一のミクロRNA分子に対して特異的な第一の伸長プライマーを用いて、前記第一のミクロRNA分子に対して相補的な第一のDNA分子を作製する工程;(b)ユニバーサルフォワードプライマー及び第一のリバースプライマーを用いて、増幅されたDNA分子の第一の集団を作製するために、第一のDNA分子を増幅する工程;(c)第二のミクロRNA分子に対して特異的な第二の伸長プライマーを用いて、前記二一のミクロRNA分子に対して相補的な第二のDNA分子を作製する工程;(d)ユニバーサルフォワードプライマー及び第二のリバースプライマーを用いて、増幅されたDNA分子の第二の集団を作製するために、第二のDNA分子を増幅する工程;並びに(e)増幅されたDNA分子の第一及び第二の集団の量を測定する工程(第一及び第二の伸長プライマー又は第一及び第二のリバースプライマーは、標的ミクロRNAに相補的な部分中において、1つ又はそれ以上のヌクレオチドが異なっている。)を含む。
【0012】
別の態様において、本発明は、cDNA分子を作製するために、ミクロRNA分子を増幅するための方法を提供する。この方法は、(a)プライマー伸長を用いて、標的ミクロRNA分子に相補的な第一のDNA分子を作製する工程;並びに(b)ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いて、増幅されたDNA分子を作製するために、第一のDNA分子を増幅する工程を含む。この方法の幾つかの実施形態において、フォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含む。本発明を実施する際には、通例、個別のミクロRNA分子の多数(例えば、何百万)が試料(例えば、生きた細胞から単離されたRNA分子の溶液)中において増幅される。
【0013】
別の態様において、本発明は、生物から得た試料中の標的ミクロRNAの量を測定するための方法を提供する。本発明のこの態様の方法は、生物内の複数の異なる細胞種中の標的ミクロRNA分子の量を測定する工程を含み、標的ミクロRNA分子の量は、(1)プライマー伸長を用いて、前記試料中の前記標的ミクロRNA分子に相補的な第一のDNA分子を作製する工程;(2)ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いて、増幅されたDNA分子を作製するために前記第一のDNA分子を増幅する工程;及び(3)前記増幅されたDNA分子の量を測定する工程を含む方法によって測定される。この方法の幾つかの実施形態において、フォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含む。
【0014】
別の態様において、本発明は、表1、表2、表6及び表7に示されているように、配列番号1から配列番号499の配列からなる核酸プライマー分子を提供する。本発明のプライマー分子は、本明細書中に記載されている本発明の方法を用いて、哺乳動物のミクロRNA標的分子を検出するためのプライマーとして使用することができる。
【0015】
別の態様において、本発明は、標的ミクロRNAの検出に対して特異的な1つ又はそれ以上のプライマーの組を含み、各プライマーの組が(1)標的ミクロRNAに相補的なcDNA分子を作製するための伸長プライマー、(2)cDNA分子を増幅するためのユニバーサルフォワードPCRプライマー及び(3)前記cDNA分子を増幅するためのリバースPCRプライマーを含む、少なくとも1つの哺乳動物の標的ミクロRNAを検出するためのキットを提供する。伸長プライマーは、標的ミクロRNA分子にハイブリッド形成する第一の部分と及びユニバーサルフォワードPCRプライマーに対するハイブリッド形成配列を含む第二の部分とを含む。リバースPCRプライマーは、cDNA分子の一部にハイブリッド形成するように選択された配列を含む。キットの幾つかの実施形態において、ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含む。本発明のキットは、本発明の方法の様々な実施形態を実施するために使用し得る。
【0016】
本発明の方法、組成物及びキットは、例えば、生物中の細胞の異なる種類中の特異的ミクロRNA分子を定量するために有用であり、又は、例えば、刺激に応答した(例えば、薬物の投与に応答した)生きた細胞中の特異的ミクロRNAの量の変化を測定するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の前記態様及び付随する利点の多くは、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することによって、よりよく理解されるようになるので、より容易に理解されるようになる。
【図1】図1は、本発明の代表的な方法のフローチャートを示している。
【図2】図2は、実施例3に記載されているように、ミクロRNA標的であるmiR−95及びmiR−424の検出に対して特異的なアッセイのための標準曲線をグラフとして図示している。
【図3A】図3Aは、実施例5に記載されているように、12の組織から単離された全RNAの集合にわたるmiR−1の発現特性を示すヒストグラムプロットである。
【図3B】図3Bは、実施例5に記載されているように、12の組織から単離された全RNAの集合にわたるmiR−124の発現特性を示すヒストグラムプロットである。
【図3C】図3Cは、実施例5に記載されているように、12の組織から単離された全RNAの集合にわたるmiR−150の発現特性を示すヒストグラムプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前記記載に従い、一態様において、本発明は、cDNA分子を作製するために、ミクロRNA分子を増幅するための方法を提供する。この方法は、(a)標的ミクロRNA分子に相補的なDNA分子を作製するためにプライマー伸長を使用する工程;並びに(b)前記DNA分子を増幅して増幅されたDNA分子を作製するために、ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用する工程を含む。この方法の幾つかの実施形態において、ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含む。
【0019】
本明細書において使用される「鍵型核酸分子」(LNA(locked nucleic acid)分子と略称される。)という用語は、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシル部分を含む核酸分子を表す。2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシル部分の例及びこのような部分を含むLNAの例は、例えば、「Petersen, M., and Wengel, J., Trends in Biotechnology 21(2):74−81(2003)」(参照により、その全体が本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
【0020】
本明細書において使用される「ミクロRNA」という用語は、21ヌクレオチドから25ヌクレオチドの範囲の長さを有するRNA分子を表す。幾つかのミクロRNA分子(例えば、siRNA分子)は、生きた細胞中で遺伝子発現を制御するように機能する。
【0021】
本発明の代表的な方法。図1は、本発明の代表的な方法のフローチャートを示す。図1に示されている方法において、ミクロRNAは相補的な第一のDNA分子を合成するためのテンプレートである。第一のDNA分子の合成は、伸長プライマーによって開始され、従って、第一のDNA分子は伸長プライマー及び新たに合成されたDNA(図1中において、点線によって表される。)を含む。DNAの合成は、逆転写酵素によって触媒される。
【0022】
伸長プライマーは、第一の部分(図1中で、FPと略称されている。)及び第二の部分(図1中で、SPと略称されている。)を含む。第一の部分はミクロRNA標的テンプレートにハイブリッド形成し、第二の部分は、以下に記載されているように、ユニバーサルフォワードプライマーとハイブリッド形成する核酸配列を含む。
【0023】
第一のDNA分子に相補的な第二のDNA分子を作製するために、定量的なポリメラーゼ連鎖反応が使用される。第二のDNA分子の合成は、標的の第一のDNA分子の一部に特異的にハイブリッド形成するように選択された配列を有するリバースプライマーによって開始される。従って、リバースプライマーは、第一のDNA分子以外の核酸分子に対してハイブリッド形成しない。
【0024】
リバースプライマーは、伸長プライマーと重複しないリバースプライマーの一部の中に位置する少なくとも1つのLNA分子を場合によって含み得る。図1において、LNA分子は、影付きの楕円によって表されている。
【0025】
ユニバーサルフォワードプライマーは、第二のDNA分子の3’末端に対してハイブリッド形成し、第三のDNA分子の合成を開始する。図1には、単一のミクロRNA分子、単一の第一のDNA分子、単一の第二のDNA分子、単一の第三のDNA分子並びに単一の伸長、フォワード及びリバースプライマーが示されているが、通例、本発明の実施は、前記核酸分子の各々の多数のコピー(例えば、何百万のコピー)を含む反応混合物を使用することが理解される。
【0026】
ここで、本発明の方法の工程を、より詳しく考察する。
【0027】
テンプレートとして有用なミクロRNA分子の調製。本発明の方法におけるテンプレートとして有用なミクロRNA分子は、あらゆる生物(例えば、哺乳動物などの真核生物)又はその一部(臓器、組織及び/又は各細胞(培養された細胞を含む。)を含む。)から単離することができる。ミクロRNAを含むあらゆる適切なRNA調製物(全細胞RNAなど)を使用することができる。
【0028】
RNAは、細胞の溶解及び細胞中に含有されるタンパク質の変性を含む手順によって細胞から単離され得る。興味深い細胞には、野生型細胞、薬物に曝露された野生型細胞、被修飾細胞及び薬物に曝露された被修飾細胞が含まれる。
【0029】
DNAの幾つか又は全てを除去するために、さらなる工程を使用し得る。核を除去し、従って、細胞DNAの大部分を除去するために、非イオン性界面活性剤後に微小遠心を用いて細胞の溶解を達成し得る。一実施形態において、DNAからRNAを分離するために、チオシアン酸グアニジニウム溶解後に、CsCl遠心を用いて、関心を有する様々な種類の細胞からRNAが抽出される(Chirgwin et al., 1979, Biochemistry 18:5294−5299参照)。DNAからのRNAの分離は、有機抽出によって、例えば、熱いフェノール又はフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを用いて実施することもできる。
【0030】
所望であれば、溶解緩衝液にRNアーゼ阻害剤を添加し得る。同様に、ある種の細胞種に関しては、タンパク質変性/消化工程をプロトコールに付加することが望ましい場合があり得る。
【0031】
RNAの試料は、それぞれの異なるミクロRNA分子が異なるヌクレオチド配列を有する、複数の異なるミクロRNA分子を含むことができる。特定の実施形態において、RNA試料中のミクロRNA分子は、少なくとも100の異なるヌクレオチド配列を含む。他の実施形態において、RNA試料のミクロRNA分子は、少なくとも500、1,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000又は100,000の異なるヌクレオチド配列を含む。
【0032】
本発明の方法は、あらゆるミクロRNAの存在を検出するために使用され得る。例えば、本発明の方法は、「Griffith− Jones et al.(2004), Nucleic Acids Research 32:D109−D111」及び「Griffith−Jones et al.(2006), Nucleic Acids Research 34:D140−D144」(http://microrna.sanger.ac.uk/sequences/で、Wellcome Trust Sanger Instituteのウェブサイトからインターネット上に公表されている。)中に記載されているように、「miRBアーゼ配列データベース」などのデータベース中に記載されているミクロRNA標的の1つ又はそれ以上を検出するために使用され得る。典型的なミクロRNA標的のリストは、以下の参考文献:Lagos−Quintana et al., Curr.Biol.12(9):735−9(2002)中にも記載されている。
【0033】
テンプレートとしてミクロRNA分子を用いたDNA分子の合成。本発明の方法の実施において、ミクロRNA標的分子と相補的であり、並びに伸長プライマー及び新たに合成されたDNA(伸長プライマーは、新たに合成されたDNAの合成を開始する。)から構成される第一のDNA分子が合成される。各第一のDNA分子は、完全なミクロRNA標的分子又はその一部に対して相補的であり得るが、各第一のDNA分子は、通例、完全なミクロRNA標的分子に対して相補的である。従って、本発明の方法を実施する際には、それぞれ標的ミクロRNA分子の全部又は一部に対して相補的である各DNA分子を含む第一のDNA分子の集団が合成される。
【0034】
第一のDNA分子の合成は、逆転写酵素によって触媒される。モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV−RT)、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV−RT)、ウシ白血病ウイルス(BLV−RT)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)及びヒト免疫不全ウイルス(HIV−RT)から得られるものなどの第一のDNA分子を合成するために、あらゆる逆転写酵素分子を使用することができる。この段階で合成される二本鎖cDNAの量を最小限に抑えるために、RNアーゼH活性を欠如する逆転写酵素(例えば、Invitrogen, 1600 Faraday Avenue, P.O. Box 6482, Carlsbad, California 92008によって販売されるSUPERSCRIPTIIITM)が好ましい。また、ミクロRNA標的分子へのプライマーのハイブリッド形成を可能としながら、DNA合成反応が可能な限り高温で行われ得るように、逆転写酵素分子は、好ましくは熱安定的であるべきである。
【0035】
第一のDNA分子の合成を開始する。第一のDNA分子の合成は、伸長プライマーを用いて開始される。典型的には、伸長プライマーの長さは、10個のヌクレオチドから100個のヌクレオチド(20から35ヌクレオチドなど)の範囲にある。伸長プライマーの核酸配列は、合成された各DNAの配列中に取り込まれる。伸長プライマーは、ミクロRNA分子の一部にハイブリッド形成する第一の部分を含む。典型的には、伸長プライマーの第一の部分は伸長プライマーの3’末端を含む。典型的には、伸長プライマーの第一の部分は、10ヌクレオチドから12ヌクレオチドなど、6ヌクレオチドから20ヌクレオチドの範囲の長さを有する。幾つかの実施形態において、伸長プライマーの第一の部分は、3ヌクレオチドから25ヌクレオチドの範囲の長さを有する。
【0036】
伸長プライマーは、18から25ヌクレオチドの長さを典型的に有する第二の部分も含む。例えば、伸長プライマーの第二の部分は、20ヌクレオチド長であり得る。伸長プライマーの第二の部分は、伸長プライマーの第一の部分の5’側に位置する。伸長プライマーの第二の部分は、ユニバーサルフォワードプライマーに対するハイブリッド形成部位の少なくとも一部を含む。例えば、伸長プライマーの第二の部分は、ユニバーサルフォワードプライマーに対するハイブリッド形成部位の全てを含むことが可能であり、又はユニバーサルフォワードプライマーに対するハイブリッド形成部位の単一ヌクレオチドを含むことができる(フォワードプライマーに対するハイブリッド形成部位の残りの部分は、例えば、伸長プライマーの第一の部分中に位置し得る。)。伸長プライマーの第二の部分の典型的な核酸配列は、5’CATGATCAGCTGGGCCAAGA3’(配列番号1)である。
【0037】
DNA分子の増幅。本発明の方法を実施する際には、第一のDNA分子は、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、酵素的に増幅される。ポリメラーゼ連鎖反応を開始するために、ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーが使用される。リバースプライマーは、第一のDNA分子の一部に対して特異的にハイブリッド形成するように選択された核酸配列を含む。
【0038】
リバースプライマーは、通例、10ヌクレオチドから100ヌクレオチドの範囲の長さを有する。幾つかの実施形態において、リバースプライマーは、12ヌクレオチドから20ヌクレオチドの範囲の長さを有する。リバースプライマーのヌクレオチド配列は、所定のハイブリッド形成条件下で、特異的な標的ヌクレオチド配列に対してハイブリッド形成するように選択される。リバースプライマー及び伸長プライマーは何れも、PCR反応混合物中に存在するので、融点(Tm)が少なくとも50℃であるように、リバースプライマーは十分に長くすべきであるが、「プライマー二量体」の形成を引き起こし得る伸長プライマーとの大規模な重複が存在するほど長くすべきではない。リバースプライマーが伸長プライマーとハイブリッドを形成し、DNA合成のための基質として伸長プライマーを使用するときに、及び伸長プライマーがリバースプライマーとハイブリッドを形成し、DNA合成のための基質としてリバースプライマーを使用するときに、「プライマー二量体」が形成される。「プライマー二量体」の形成を避けるために、リバースプライマーと伸長プライマーは6ヌクレオチドを超えて互いに重複しないように通例設計される。少なくとも50℃のTmを有するリバースプライマーを作製することが可能でなく、リバースプライマー及び伸長プライマーが6ヌクレオチドを超えて重複していなければ、リバースプライマーの長さを長くし(オリゴヌクレオチド長が増加するにつれて、通例、Tmは増加するので)、伸長プライマーの長さを減少させることが好ましい。
【0039】
リバースプライマーは、第一のDNA分子に相補的である第二のDNA分子の合成を開始する。ユニバーサルフォワードプライマーは、第一のDNA分子の全ての中に取り込まれた伸長プライマーの第二の部分に対して相補的な第二のDNA分子の一部とハイブリッドを形成する。ユニバーサルフォワードプライマーは、第三のDNA分子の合成を開始させる。ユニバーサルフォワードプライマーは、通例、16ヌクレオチドから100ヌクレオチドの範囲の長さを有する。幾つかの実施形態において、ユニバーサルフォワードプライマーは、16ヌクレオチドから30ヌクレオチドの範囲の長さを有する。ユニバーサルフォワードプライマーは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含み得る。幾つかの実施形態において、ユニバーサルフォワードプライマーは、1から25の鍵型核酸分子を含む。典型的なユニバーサルフォワードプライマーの核酸配列が、配列番号13に記載されている。
【0040】
一般に、ポリメラーゼ連鎖反応の間の増幅サイクルの数が増加するほど、得られる増幅されたDNAの量は増加する。他方、増幅サイクルが多すぎると(例えば、35を超える増幅サイクル)、非標的二本鎖DNAの意図せぬ誤った増幅がもたらされ得る。従って、幾つかの実施形態において、増幅サイクルの望ましい数は、1と45の間の増幅サイクル(1から25の増幅サイクルなど、又は5から15の増幅サイクルなど、又は10の増幅サイクルなど)である。
【0041】
LNA分子の使用及びプライマーハイブリッド形成条件の選択。基質分子上の相補的配列へのプライマー分子の特異的ハイブリッド形成を促進するハイブリッド形成条件が選択される。伸長プライマーの12ヌクレオチドの第一の部分のミクロRNAへのハイブリッド形成に関して、特異的ハイブリッド形成は50℃の温度で起こることが見出された。同様に、相補的なDNA分子への20ヌクレオチドのユニバーサルフォワードプライマーのハイブリッド形成及び相補的なDNA分子への(12から20ヌクレオチドの範囲の(14から16ヌクレオチドなど)長さを有する)リバースプライマーのハイブリッド形成は50℃の温度で起こることが見出された。例として、それぞれが50℃から60℃の範囲のハイブリッド形成温度を有する伸長、リバース及びユニバーサルフォワードプライマーを設計することがしばしば望ましい。
【0042】
幾つかの実施形態において、伸長プライマー、リバースプライマー及びユニバーサルフォワードプライマーの1つ又はそれ以上のTmを少なくとも50℃まで上昇させるために、前記プライマーの少なくとも1つの中にLNA分子を取り込ませることができる。標的の第一のDNA分子にハイブリッド形成するが、伸長プライマーにはハイブリッド形成しないリバースプライマーの部分は、通例、10ヌクレオチド長以下であるので、この部分の中にLNA分子を取り込ませることは有用であり得る。例えば、標的の第一のDNA分子にハイブリッド形成するが、伸長プライマーにはハイブリッド形成しないリバースプライマーの前記部分は、少なくとも1つの鍵型核酸分子(例えば、1から25の鍵型核酸分子)を含み得る。幾つかの実施形態において、2つ又は3つの鍵型核酸分子は、リバースプライマーの5’末端から最初の8つのヌクレオチドの中に含まれる。
【0043】
Tmを所望の温度に上昇させるために、特異的なプライマー中に取り込まれなければならないLNA残基の数は、プライマーの長さ及びプライマーのヌクレオチド組成に主として依存する。プライマー中の1つ又はそれ以上のLNAのTmに対する効果を測定するためのツールは、Exiqon, Bygstubben 9, DK−2950 Vedbaek, Denmarkのインターネットウェブサイト上で入手可能である。
【0044】
本発明の実施に際して使用されるプライマーの何れにも、1つ又はそれ以上のLNAを含めることが可能であるが、LNAが伸長プライマー中に取り込まれた場合に、cDNAの合成の効率が低いことが見出された。理論に拘泥することを望むものではないが、LNAは、逆転写酵素の活性を阻害し得る。
【0045】
増幅されたDNA分子の量を検出及び測定する。蛍光性分子などの検出可能なマーカー分子の存在によって、増幅されたDNA分子を検出及び定量することができる。例えば、本発明の方法のPCR増幅工程の間に、優先的に又は専ら二本鎖DNAへ結合する色素(例えば、SYBRグリーン)の存在によって、増幅されたDNA分子を検出及び定量することができる。例えば、Molecular Probes, Inc.(29851 Willow Creek Road, Eugene, OR 97402)は、SYBRグリーン色素を含む定量的PCR反応混合物を販売している。さらなる例として、リアルタイムPCRの間に産生された二本鎖DNAを標識するために使用することができる別の色素(「BEBO」と称される。)が、「Bengtsson, M., et al., Nucleic Acids Research 31 (8):e45 (April 15, 2003)」(参照により、本明細書中に組み込まれる。)によって記載される。同じく、例として、本発明の方法のPCR増幅工程を開始させるために、蛍光色素と消光物質を含むフォワード及び/又はリバースプライマーを使用することができる。PCRの間の標識されたプライマーの伸長後に起こる蛍光色素と消光物質の物理的な分離によって、蛍光色素は蛍光を発することが可能となり、PCR増幅産物の量を測定するために、蛍光を使用することができる。蛍光色素と消光物質を含む市販のプライマーの例には、Scorpionプライマー及びUniprimerが含まれ、何れもMolecular Probes,Inc.によって販売されている。
【0046】
本発明の代表的な使用。本発明は、ミクロRNA標的分子からcDNA分子を作製するのに有用である。当初材料中の標的ミクロRNA分子の量の測定値を与えるDNA分子の量を測定することができる。例えば、生きた細胞中の特異的なミクロRNA分子(例えば、特異的なsiRNA分子)の量を測定するために、本発明の方法を使用することができる。同じく例として、生体内の異なる細胞種中の特異的なミクロRNA分子(例えば、特異的なsiRNA分子)の量を測定することにより、体内の特異的なミクロRNA分子の分布の「地図」を作成するために、本発明を使用することができる。同じく例として、生きた細胞の集団の薬物での処理への応答など、刺激に応答した特異的なミクロRNA分子(例えば、特異的なsiRNA分子)の量の変化を測定するために、本発明を使用することができる。
【0047】
従って、別の態様において、本発明は、生物内の複数の異なる細胞種中の標的ミクロRNAの量を測定するための(すなわち、生物のミクロRNA「地図」を作成するための)方法を提供する。本発明のこの態様の方法はそれぞれ、生物内の複数の異なる細胞種中の標的ミクロRNA分子の量を測定する工程を含み、標的ミクロRNA分子の量は、(1)生物の細胞種から単離された標的ミクロRNA分子に相補的な第一のDNA分子を作製するためにプライマー伸長を使用する工程;(2)DNA分子を増幅して、増幅されたDNA分子を作製するために、ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用する工程;及び(3)増幅されたDNA分子の量を測定する工程を含む方法によって測定される。この方法の幾つかの実施形態において、フォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含む。増幅されたDNA分子の測定された量は、例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、フロッピディスク)などの電気的形態の照会可能なデータベース中に格納することができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、前記方法は、生物から得た試料中の類似配列を有する2つ又はそれ以上の哺乳動物の標的ミクロRNAを識別するために使用することができ、前記方法は以下の工程を有する。(a)第一のミクロRNA分子に対して特異的な第一の伸長プライマーを用いて、前記第一のミクロRNA分子に対して相補的な第一のDNA分子を作製する工程;(b)ユニバーサルフォワードプライマー及び第一のリバースプライマーを用いて、増幅されたDNAの第一の集団を作製するために、第一のDNA分子を増幅する工程;(c)第二のミクロRNA分子に対して特異的な第二の伸長プライマーを用いて、前記第二のミクロRNA分子に対して相補的な第二のDNA分子を作製する工程;(d)ユニバーサルフォワードプライマー及び第二のリバースプライマーを用いて、増幅されたDNAの分子の第二の集団を作製するために、第二のDNA分子を増幅する工程;(e)増幅されたDNA分子の第一及び第二の集団の量を測定する工程(第一及び第二の伸長プライマー又は第一及び第二のリバースプライマーは、標的ミクロRNAに相補的な部分中において、1つ又はそれ以上のヌクレオチドが異なっている。)。同一でないミクロRNA標的の領域とハイブリッド形成するように、第一及び第二の伸長プライマーの遺伝子特異的領域を設計することによって、1つ、2つ、3つ又はそれ以上のヌクレオチドが異なるミクロRNA標的を識別するために、この方法を使用し得る。
【0049】
別の態様において、本発明は、表1、表2、表6及び表7に示されているように、配列番号1から配列番号499の配列からなる核酸プライマー分子を提供する。本発明のプライマー分子は、本明細書中に記載されている本発明の方法を用いて、哺乳動物のミクロRNA標的分子を検出するためのプライマーとして使用することができる。
【0050】
別の態様において、本発明は、表8に示されているように、配列番号500から配列番号965からなる核酸プライマーの組を提供する。本発明のプライマー分子の組は、本明細書中に記載されている本発明の方法を用いて、ヒト、マウス及びラットから得たミクロRNA標的分子を検出するために使用することができる。
【0051】
別の態様において、本発明は、標的ミクロRNAの検出に対して特異的な1つ又はそれ以上のプライマーの組を含み、各プライマーの組が(1)標的ミクロRNAに相補的なcDNA分子を作製するための伸長プライマー、(2)ユニバーサルフォワードPCRプライマー及び(3)前記cDNA分子を増幅するためのリバースPCRプライマーを含む、少なくとも1つの哺乳動物の標的ミクロRNAを検出するためのキットを提供する。伸長プライマーは、標的ミクロRNA分子にハイブリッド形成する第一の部分と及びユニバーサルフォワードPCRプライマーに対するハイブリッド形成配列を含む第二の部分とを含む。リバースPCRプライマーは、cDNA分子の一部にハイブリッド形成するように選択された配列を含む。キットの幾つかの実施形態において、ユニバーサルフォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの鍵型核酸分子を含む。
【0052】
本明細書中に記載されている方法に従って、あらゆる哺乳動物の標的ミクロRNAを検出するために、キットに含めるための伸長プライマー、ユニバーサルフォワード及びリバースプライマーを設計し得る。ヒト標的ミクロRNA標的分子の非限定的な例及び典型的な標的特異的伸長プライマー及びリバースプライマーが、下表1、表2及び表6中に列記されている。マウス標的ミクロRNA標的分子の非限定的な例及び典型的な標的特異的伸長プライマー及びリバースプライマーが、下表7中に列記されている。ユニバーサルフォワードプライマーの非限定的な例は、配列番号13に記載されている。
【0053】
ある種の実施形態において、キットは、各々50℃から60℃の範囲のハイブリッド形成温度を有する選択された標的ミクロRNA分子に対する伸長プライマー、リバース及びユニバーサルフォワードプライマーを含むプライマーの組を含む。
【0054】
ある種の実施形態において、キットは、複数の哺乳動物ミクロRNA標的(2つのミクロRNA標的から最大数百のミクロRNA標的など)を検出するために使用され得る複数のプライマーの組を含む。
【0055】
ある種の実施形態において、キットは、以下のヒトミクロRNA標的テンプレートの少なくとも1つ又はそれ以上を検出することができる1つ又はそれ以上のプライマーの組を含む。miR−1、miR−7、miR−9、miR−10a、miR−10b、miR−15a、miR−15b、miR−16、miR−17−3p、miR−17−5p、miR−18、miR−19a、miR−19b、miR−20、miR−21、miR−22、miR−23a、miR−23b、miR−24、miR−25、miR−26a、miR−26b、miR−27a、miR−28、miR−29a、miR−29b、miR−29c、miR−30a−5p、miR−30b、miR−30c、miR−30d、miR−30e−5p、miR−30e−3p、miR−31、miR−32、miR−33、miR−34a、miR−34b、miR−34c、miR−92、miR−93、miR−95、miR−96、miR−98、miR−99a、miR−99b、miR−100、miR−101、miR−103、miR−105、miR−106a、miR−107、miR−122、miR−122a、miR−124、miR−124、miR−124a、miR−125a、miR−125b、miR−126、miR−126、miR−127、miR−128a、miR−128b、miR−129、miR−130a、miR−130b、miR−132、miR−133a、miR−133b、miR−134、miR−135a、miR−135b、miR−136、miR−137、miR−138、miR−139、miR−140、miR−141、miR−142−3p、miR−143、miR−144、miR−145、miR−146、miR−147、miR−148a、miR−148b、miR−149、miR−150、miR−151、miR−152、miR−153、miR−154、miR−154、miR−155、miR−181a、miR−181b、miR−181c、miR−182、miR−182、miR−183、miR−184、miR−185、miR−186、miR−187、miR−188、miR−189、miR−190、miR−191、miR−192、miR−193、miR−194、miR−195、miR−196a、miR−196b、miR−197、miR−198、miR−199a、miR−199a、miR−199b、miR−200a、miR−200b、miR−200c、miR−202、miR−203、miR−204、miR−205、miR−206、miR−208、miR−210、miR−211、miR−212、miR−213、miR−213、miR−214、miR−215、miR−216、miR−217、miR−218、miR−220、miR−221、miR−222、miR−223、miR−224、miR−296、miR−299、miR−301、miR−302a、miR−302a、miR−302b、miR−302b、miR−302d、miR−302c、miR−302c、miR−320、miR−323、miR−324−3p、miR−324−5p、miR−325、miR−326、miR−328、miR−330、miR−331、miR−337、miR−338、miR−339、miR−340、miR−342、miR−345、miR−346、miR−363、miR−367、miR−368、miR−370、miR−371、miR−372、miR−373、miR−373、miR−374、miR−375、miR−376b、miR−378、miR−379、miR−380−5p、miR−380−3p、miR−381、miR−382、miR−383、miR−410、miR−412、miR−422a、miR−422b、miR−423、miR−424、miR−425、miR−429、miR−431、miR−448、miR−449、miR−450、miR−451、let7a、let7b、let7c、let7d、let7e、let7f、let7g、let7i、miR−376a及びmiR−377。上記ミクロRNA標的の配列は、「Griffith− Jones et al.(2004), Nucleic Acids Research 32:D109−D111」及び「Griffith−Jones et al.(2006), Nucleic Acids Research 34:D140−D144」(http://microrna.sanger.ac.uk/sequences/で、Wellcome Trust Sanger InstituteウェブサイトのWWWから公表されている。)中に記載されているように、「miRBアーゼ配列データベース」中に提供されている。
【0056】
キットのこの実施形態に従って使用するための典型的なプライマーが、下表1、表2及び表6中に挙げられている。
【0057】
別の実施形態において、キットは、以下のヒトミクロRNA標的テンプレートの少なくとも1つ又はそれ以上を検出することができる1つ又はそれ以上のプライマーの組を含む。miR−1、miR−7、miR−10b、miR−26a、miR−26b、miR−29a、miR−30e−3p、miR−95、miR−107、miR−141、miR−143、miR−154、miR−154、miR−155、miR−181a、miR−181b、miR−181c、miR−190、miR−193、miR−194、miR−195、miR−202、miR−206、miR−208、miR−212、miR−221、miR−222、miR−224、miR−296、miR−299、miR−302c、miR−302c、miR−320、miR−339、miR363、miR−376b、miR379、miR410、miR412、miR424、miR429、miR431、miR449、miR451、let7a、let7b、let7c、let7d、let7e、let7f、let7g及びlet7i。キットのこの実施形態に従って使用するための典型的なプライマーが、下表1、表2及び表6中に挙げられている。
【0058】
別の実施形態において、キットは、以下のヒト、マウス又はラットミクロRNA標的テンプレートの少なくとも1つ又はそれ以上を検出することができる1つ又はそれ以上のプライマーの組を含む。miR−1、miR−9、miR−18b、miR−20b、miR−92b、miR−146b、miR−181d、miR−193b、miR−194、miR−206、miR−291a−3p、miR−291b−3p、miR−301b、miR−329、miR−346、miR−351、miR−362、miR−362−3p、miR−369−5p、miR−384、miR−409−3p、miR−409−5p、miR−425−5p、miR−449b、miR−455、miR−483、miR−484、miR−485−3p、miR−485−5p、miR−486、miR−487b、miR−488、miR−489、miR−490、miR−491、miR−493−3p、miR−494、miR−495、miR−497、miR−499、miR−500、miR−501、miR−503、miR−505、miR−519a、miR−519b、miR−519c、miR−519d、miR−520a、miR−520b、miR−520d、miR−520e、miR−520f、miR−532、miR−539、miR−542−3p、miR−542−5p、miR−615、miR−652、miR−668、miR−671、miR−675−5p、miR−699、miR−721及びmiR−758。
【0059】
キットのこの実施形態に従って使用するための典型的なプライマーが、表8に挙げられている。
【0060】
別の実施形態において、キットは、表1、表2、表6及び表7に示されているように、配列番号2から配列番号493からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
【0061】
別の実施形態において、キットは、表6中に示されている配列番号47、48、49、50、55、56、81、82、83、84、91、92、103、104、123、124、145、146、193、194、197、198、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、239、240、247、248、253、254、255、256、257、258、277、278、285、286、287、288、293、294、301、302、309、310、311、312、315、316、317、318、319、320、333、334、335、336、337、338、359、360、369、370、389、390、393、394、405、406、407、408、415、416、419、420、421、422、425、426、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、461及び462からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
【0062】
別の実施形態において、キットは、表8に示されているように配列番号500から配列番号965からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
【0063】
本発明のキットは、プライマー伸長及び増幅反応のための試薬も提供することができる。例えば、幾つかの実施形態において、キットは、以下の成分の1つ又はそれ以上をさらに含み得る。逆転写酵素、DNAポリメラーゼ酵素、Tris緩衝液、カリウム塩(例えば、塩化カリウム)、マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム)、還元剤(例えば、ジチオスレイトール)及びデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP;deoxynucleoside triphosphate)。
【0064】
様々な実施形態において、キットは、PCR増幅工程の間に、二本鎖DNAへ優先的に又は専ら結合する検出試薬(SYBRグリーン色素又はBEBO色素など)を含み得る。他の実施形態において、キットは、PCR増幅産物の量を測定するための蛍光色素及び消光物質を含むフォワード及び/又はリバースプライマーを含み得る。
【0065】
キットは、1つ又はそれ以上の哺乳動物のミクロRNA標的の検出及び定量においてキットを使用するための指示書を場合によって含む。高情報量様式で機械的な取り扱いをするのに好ましくは有用である適切な収容具の中に、キットを場合によって提供することもできる。
【0066】
以下の実施例は、現時点で、本発明を実施するために想定されている最良の形態を例示するものに過ぎず、発明を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例1】
【0067】
本実施例は、ミクロRNA標的分子からDNA分子を作製するための本発明の代表的な方法を記載する。
【0068】
プライマー伸長は、(InVitrogenSuperscripIII(R)逆転写酵素を使用し、酵素とともに提供された指針に従って)以下のようにして実施された。
【0069】
以下の反応混合物を氷上で調製した。
10mMdNTP1μL
2μM伸長プライマー1μL
標的テンプラート1から5μL
「5×cDNA緩衝液」4μL
0.1MDTT1μL
RNAseOUT1μL
SuperScriptIII(R)酵素1μL
20μLになるように水
【0070】
50℃で30分間、次いで、85℃で5分間、混合物を温置し、次いで、室温まで冷却し、TE(10mMTris、pH7.6、0.1mMEDTA)で10倍希釈した。
【0071】
PCRサイクル数の関数として、二本鎖PCRアンプリコンのSYBR(R)緑色蛍光をモニタリングすることによって、ABI 7900 HTS検出システム(Applied Biosystems, Foster City, California, U.S.A.)を用いて、リアルタイムPCRを実施した。典型的なPCR反応混合物10μLは、以下のものを含有した。
2×SYBR(R)グリーンマスターミックス(ABI)5μL
10μMユニバーサルフォワードプライマー0.8μL
10μMリバースプライマー0.8μL
水1.4μL
標的テンプレート(10倍希釈されたRT反応)2.0μL
【0072】
標準的な「2サイクル」PCR(95℃15秒、60℃60秒)の40サイクルを通じて反応をモニターし、PCR産物の蛍光を測定した。
【0073】
前記方法は、全RNAの試料中に存在する内在ミクロRNAを定量するための11のプライマー伸長PCRアッセイにおいて首尾よく使用された。これら11のアッセイにおいて使用された伸長プライマー、ユニバーサルフォワードプライマー配列及びLNA置換されたリバースプライマーのDNA配列が、表1に示されている。
【0074】
【表1】


【0075】
このアッセイは、2nMから20fMの濃度範囲でミクロRNAを検出することが可能であった。アッセイは、合成ミクロRNAの少なくとも2nMの濃度(>1,000,000コピー/細胞)まで線形であった。
【実施例2】
【0076】
本実施例は、12から3塩基対の長さの範囲の遺伝子特異的領域を有するミクロRNAアッセイのための一連の伸長プライマーを用いた、プライマー伸長によって媒介される効率的なcDNA合成に対する最少配列要件の評価を記載する。
【0077】
プライマー伸長反応。標的分子miR−195及びmiR−215を用いて、プライマー伸長を以下のように行った。1nMRNA(100,000コピー/細胞)になるように、100ng/μL全酵母RNAを加えたTEゼロ中に標的テンプレートmiR−195及びmiR−215を希釈した。100ng/μL全酵母RNAを加えたTEゼロを用いて、無テンプレート対照(NTC)を調製した。
【0078】
miR−195(配列番号25から34)に対する一連の伸長プライマー及びmiR−215に対する一連の伸長プライマー(配列番号35から44)(これらの配列は、下表2に示されている。)を用いて、(InVitrogenSuperScriptIII(R)逆転写酵素を使用し、酵素とともに提供されていた指針に従って)逆転写酵素反応を以下のように実施した。
【0079】
以下の反応混合物を氷上で調製した。
セット1:無テンプレート対照
水37.5μL
10mMdNTP12.5μL
0.1mMDTT12.5μL
「5×cDNA緩衝液」50μL
RNAseOUT12.5μL
SuperscriptIII(R)逆転写酵素12.5μL
1μg/μLHela細胞全RNA(Ambion)12.5μL
+2μM伸長プライマー50μL
+TEゼロ50μL+酵母RNA
セット2:スパイク添加(Spike−in)テンプレート
水37.5μL
10mMdNTP12.5μL
0.1mMDTT12.5μL
「5×cDNA緩衝液」50μL
RNAseOUT12.5μL
SuperscriptIII(R)逆転写酵素(InVitrogen)12.5μL
1μg/μLHela細胞全RNA(Ambion)12.5μL
+2μM伸長プライマー50μL
+10倍ずつ系列希釈された1nMRNA標的テンプレート(miR−195又はmiR−215)50μL
【0080】
50℃で30分間、次いで、85℃で5分間、反応を温置し、4℃まで冷却し、TE(10mMTris、pH7.6、0.1mMEDTA)で10倍希釈した。
【0081】
定量的リアルタイムPCR反応。逆転写後、PCRサイクル数の関数として、二本鎖PCRアンプリコンのSYBR(R)緑色蛍光をモニタリングすることによって、ABI 7900 HTS検出システム(Applied Biosystems, Foster City, California, U.S.A.)を用いた定量的リアルタイム(qPCR)によって、cDNAの4つ組み測定を行った。以下の反応混合物を調製した。
2×SYBRグリーンマスターミックス(ABI)5μL
10μMユニバーサルフォワードプライマー(配列番号13)0.8μL
10μMリバースプライマー(miR−195RP:配列番号45又はmiR215RP:配列番号46)0.8μL
水1.4μL
標的テンプレート(10倍希釈されたmiR−195又はmiR−215RT反応)2.0μL
【0082】
製造業者が推奨する条件を用いて、各試料に対して4つ組みで、定量的リアルタイムPCRを行った。標準的な「2サイクル」PCR(95℃15秒、60℃60秒)の40サイクルを通じて反応をモニターし、PCR産物の蛍光を測定し、解離曲線を作成した。miR−195及びmiR−215アッセイにおいて使用された伸長プライマー、ユニバーサルフォワードプライマー配列及びLNA置換されたリバースプライマーのDNA配列が、下表2に示されている。miR−195に対するアッセイの結果が下表3に示されており、miR−215に対するアッセイの結果が下表4に示されている。
【0083】
【表2】


【0084】
結果:
ミクロRNA標的テンプレートを含有するアッセイ中において蛍光が検出されたサイクル数として定義されるサイクル閾値(Ct)値によって、各アッセイの感度を測定した。このCt値が低いほど(例えば、サイクルの数が少ないほど)、アッセイの感度がより高かった。ミクロRNA試料に対して、テンプレートを含有する試料及び無テンプレート対照は何れも、最終的に検出閾値を超えるが、テンプレートを加えた試料はずっと低いサイクル数で閾値を越えることが一般に観察された。デルタCt値は、テンプレート含有試料及び無テンプレート対照間のサイクル数(Ct)の差であり、アッセイのダイナミックレンジの指標としての役割を果たす。高いダイナミックレンジを有するアッセイは、極めて低いミクロRNAコピー数の測定を可能とする。従って、ミクロRNA検出アッセイの望ましい特徴には、高い感度(低いCt値)及び標的テンプレートを含有する試料と無テンプレートバックグランド対照試料のシグナル間の広いダイナミック範囲(デルタCt12)が含まれる。
【0085】
12ヌクレオチドから3ヌクレオチドまでのサイズ範囲の遺伝子特異的部分を有する伸長プライマーを使用するmiR195及びmiR215アッセイの結果が、それぞれ、下表3及び表4に示されている。これらの実験の結果は、最短3ヌクレオチドの遺伝子特異的反応開始配列がテンプレート特異的な反応開始を示すことを予想外に示している。miR−195アッセイの組(表3に示されている。)及びmiR−215アッセイの組(表4に示されている。)の何れに関しても、アッセイの両方の組に対するダイナミックレンジ(デルタCt)は、8ヌクレオチド長以上の遺伝子特異的領域を有する伸長プライマーに対してかなり一貫していることを結果は示している。アッセイのダイナミックレンジ(デルタCt)は、8ヌクレオチド未満の遺伝子特異的領域を有する伸長プライマーに対して減少し始め、miR−195アッセイ中では7ヌクレオチド未満及びmiR−215アッセイ中では6ヌクレオチド未満で、アッセイ特異性が低下する。miR−215試料の融点分析は、3ヌクレオチドにおいてさえ、テンプレートを加えた試料中に特異的PCR産物が存在することを示した(データは図示せず。)。総合すると、これらのデータは、伸長プライマーの遺伝子特異的領域は、理想的には、8ヌクレオチド以上であるが、最短で3ヌクレオチドの長さであり得ることを示している。
【0086】
【表3】

【表4】

【実施例3】
【0087】
本実施例は、ヒトミクロRNA発現パターンの定量的分析のために設計されたアッセイ及びプライマーの組を記載する。
【0088】
プライマーの設計:
ミクロRNA標的テンプレート:本明細書中に記載されている標的テンプレートの配列は、「Griffith−Jones et al.(2004),Nucleic Acids Research 32:D109−D111」及び「Griffith−Jones et al.(2006),Nucleic Acids Research 34:D140−D144」に記載されているように、「miRBase配列データベース」中のWellcome Trust Sanger Instituteのウェブサイトからインターネットを通じて公開されており、アクセスすることが可能である。
【0089】
伸長プライマー:(1)RNAテンプレートをcDNAへ転化するために、(2)cDNA分子の一端に、「ユニバーサル」PCR結合部位(配列番号1)を導入するために、及び(3)cDNAの長さを延長して、qPCRによるその後のモニタリングを容易にするために、cDNAを形成し、その後に定量的PCR(qPCR)増幅を行うためのミクロRNAのプライマー伸長用の遺伝子特異的プライマーを設計した。
【0090】
リバースプライマー:包括的ユニバーサルフォワードプライマー(配列番号13)と組み合わせて、プライマーによって伸長された完全長cDNAを定量するために、修飾されていないリバースプライマー及び鍵型核酸(LNA)を含有するリバースプライマー(RP)を設計した。鍵型核酸含有リバースプライマーに関して、表6に挙げられている典型的なリバースプライマー配列中に以下に示されているように、リバースプライマーオリゴヌクレオチドの5’末端の最初の8ヌクレオチド内において、2つ又は3つのLNA修飾された塩基を置換した。最高の量によってプライマーの予想Tmを上昇させるために、LNA塩基の置換を選択し、好ましくは55℃以下であるように、選択されたプライマーの最終予想Tmを指定した。
【0091】
典型的なプライマーの組を用いるアッセイを記載する例。miR−95及びmiR−424の検出が以下に記載されている。
【0092】
プライマー伸長反応:以下のように、miR−95及びmiR−424に対応するDNAテンプレートを用いて、プライマー伸長を実施した。TEゼロ(10mMTrispH7,6、0.1mMEDTA)+100ng/μL酵母全RNA(Ambion,Austin,TX)中の0nM、1nM、100pM、10pM及び1pM希釈になるように、DNAテンプレートを希釈した。
【0093】
以下のプライマーを用いて、逆転写酵素反応を行った。
伸長プライマー(500nMになるように希釈)
miR−95GSP CATGATCAGCTGGGCCAAGATGCTCAATAA(配列番号123)
miR−424GSP CATGATCAGCTGGGCCAAGATTCAAAACAT(配列番号415)
リバースプライマー:(10mMになるように希釈)
miR−95 RP4 TT+CAAC+GGGTATTTATTGA(配列番号124)
miR−424RP2 C+AG+CAGCAATTCATGTTTT(配列番号416)
逆転写(反応当り):
水2μL
「5×cDNA緩衝液」(InVitrogen, Carlsbad, CA)2μL
0.1mMDTT(InVitrogen, Carlsbad, CA)0.5μL
10mMdNTP(InVitrogen, Carlsbad, CA)0.5μL
RNAseOUT(InVitrogen, Carlsbad, CA)0.5μL
SuperscriptIII(R)逆転写酵素(InVitrogen,Carlsbad,CA)0.5μL
伸長プライマー2μL+テンプレート希釈2μL
【0094】
反応を混合し、50℃で30分間、次いで、85℃で5分間温置し、4℃まで冷却し、TEゼロで10倍希釈した。
【0095】
定量的リアルタイムPCR反応(反応当り):
2×SYBRミックス(Applied Biosystems, Foster City, CA)5μL
水1.4μL
ユニバーサルプライマー(CATGATCAGCTGGGCCAAGA(配列番号13))0.8μL
上から得られた希釈された逆転写(RT)産物2.0μL。
【0096】
製造業者が推奨する条件を用いて、各試料に対して4つ組みで、定量的リアルタイムPCRを行った。標準的な「2サイクル」PCR(95℃15秒、60℃60秒)の40サイクルを通じて反応をモニターし、PCR産物の蛍光を測定し、解離曲線を作成した。代表的なmiR−95及びmiR−424アッセイにおいて使用された伸長プライマー、ユニバーサルフォワードプライマー配列及びLNA置換されたリバースプライマー並びに212の異なるヒトミクロRNAテンプレートに対するプライマーの組のDNA配列が、下表6に示されている。高いダイナミックレンジで高感度アッセイを達成するために大規模な検査と設計の改変を必要とするアッセイ用のプライマーの組が、プライマー名の後に#記号を付して表6に示されている。
【0097】
結果:
表5は、図2に示されているグラフ中にプロットされている、miR−95及びmiR−424アッセイから得られたCt値(4つの試料からの平均)を示している。勾配(列6)、切片(列7)及び背景(列8)として表記されている表6中に示されたアッセイパラメータの重要性を説明するための代表例として、これらのアッセイの結果が挙げられている。
【0098】
表5に示されているように、様々な濃度の各テンプレートに対するCt値が記載されている。図2に示されているように、各アッセイに対する標準曲線を作成するために、テンプレート濃度(y軸)の関数として、Ct値(x軸)がプロットされる。勾配及び切片は、各ミクロRNAに対して、コピー数/細胞の推定を可能とするアッセイ測定の特徴を規定する。例えば、miR−95アッセイに対して、全RNA入力50μgに対するCt値をプロットすると、それぞれ、−0.3569及び9.655の勾配及び切片で、標準曲線が作成される。これらの標準曲線のパラメータが未知の試料のCt(x)に対して適用されると、log10(コピー/全RNA20pg)(y)が得られる。平均的な細胞は全RNA20pgを与えるので、これらの測定は、ミクロRNAのコピー数/細胞に等しい。バックグラウンドは、試料中で測定できる最少のコピー数の推計を与え、この式中に無テンプレート対照(NTC)値を挿入することによって計算される。本実施例では、表6に示されているように、miR−95は、RNA入力50μgで、1.68コピー/20pgのバックグラウンドを与える。
【0099】
表6にさらに示されているように、LNAを含有しないリバースプライマーも、本発明の方法に従って使用され得る。例えば、配列番号494から499参照。リバースプライマー配列番号494から499を含有する非LNAを用いたアッセイの感度及びダイナミックレンジは、LNA含有リバースプライマーを用いて、対応するアッセイと類似の結果を与えた。
【0100】
【表5】

【0101】
【表6】


















【実施例4】
【0102】
本実施例は、マウスmiRNA発現パターンの定量的分析のために設計されたアッセイ及びプライマーを記載する。
【0103】
方法:表7に記載されている代表的なマウスミクロRNA標的テンプレートは、「Griffith−Jones et al.(2004),Nucleic Acids Research 32:D109−D111」及び「Griffith−Jones et al.(2006),Nucleic Acids Research 34:D140−D144」に記載されているように、「miRBase配列データベース」中のWellcome Trust Sanger Instituteのウェブサイトからインターネットを通じて公開されており、アクセスすることが可能である。下表7に示されているように、マウスミクロRNAテンプレートは、対応するヒトミクロRNAテンプレートと完全に同一であり、重複配列中が同一で、末端が異なり、又はヒトミクロRNA配列と比べて、1つ若しくはそれ以上の塩基対の変化を含有する。対応するヒトテンプレートと同一であり、又は対応するヒトテンプレートと同一の重複配列を有するマウスミクロRNAテンプレートは、表7に示されているように、ヒトミクロRNAテンプレートに対して設計された同じプライマーの組を用いてアッセイすることができる。対応するヒトテンプレートと比べて1つ又はそれ以上の塩基対の変化を有するマウスミクロRNAテンプレートに対して、マウスミクロRNAを検出するために特異的にプライマーセットの組が設計され、これらのプライマーは表7に記載されている。マウスミクロRNAテンプレートを検出するための伸長プライマー反応及び定量的PCR反応は、実施例3に記載されているように実施し得る。
【0104】
【表7】













【実施例5】
【0105】
本実施例は、本発明の実施形態に従う方法を用いて、12の異なる組織から単離された全RNA中の3つのミクロRNAに対する発現プロファイルの検出及び分析を記載している。
【0106】
方法:以下の組織から単離されたプライマー伸長反応10μL当りFirst Choice全RNA(Ambion,Inc.)0.5μgを用いて、miR−1、miR−124及びmiR−150ミクロRNAテンプレートの定量的分析を測定した。脳、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ、卵巣、骨格筋、脾臓、胸腺及び子宮。以下のPCRプライマーを使用し、実施例3に上述されているように、プライマー伸長酵素及び定量的PCR反応を実施した。
【0107】
miR−1テンプレート
伸長プライマー:CATGATCAGCTGGGCCAAGATACATACTTC(配列番号47)
リバースプライマー:T+G+GAA+TG+TAAAGAAGT(配列番号48)
フォワードプライマー:CATGATCAGCTGGGCCAAGA(配列番号13)
miR−124テンプレート:
伸長プライマー:CATGATCAGCTGGGCCAAGATGGCATTCAC(配列番号149)
リバースプライマー:T+TA+AGGCACGCGGT(配列番号150)
フォワードプライマー:CATGATCAGCTGGGCCAAGA(配列番号13)
miR−150テンプレート:
伸長プライマー:CATGATCAGCTGGGCCAAGACACTGGTA(配列番号213)
リバースプライマー:T+CT+CCCAACCCTTG(配列番号214)
フォワードプライマー:CATGATCAGCTGGGCCAAGA(配列番号13)
結果。miR−1、miR−124及びmiR−150に対する発現プロファイルが、それぞれ、図3A、3B及び3Cに示されている。図3Aから3C中のデータは、全RNA10pg当りのミクロRNAコピーの単位(y軸)で表されている。通例、ヒト細胞株は、細胞当りの全RNA10pg以下を与えるので、これらの単位を選択した。従って、示されているデータは、細胞当りのミクロRNAコピーの推計である。x軸上の数は、以下の組織に対応する。(1)脳、(2)心臓、(3)腸、(4)腎臓、(5)肝臓、(6)肺、(7)リンパ、(8)卵巣、(9)骨格筋、(10)脾臓、(11)胸腺及び(12)子宮。
【0108】
以前の報告と合致して、(図3Aに示されているように)横紋筋特異的発現の極めて高いレベルがmiR−1に対して見出され、(図3Bに示されているように)脳発現の高いレベルがmiR−124に対して見出された(Lagos−Quintana et al.,RNA9:175−179,2003参照)。定量的分析によって、これらのミクロRNAは、細胞当り10から数10万のコピーで存在することが明らかとなる。これらのデータは、miR−1及びmiR−124レベルの定量的ノーザンブロットの推計と合致している(Lim et al.,Nature433:769−773,2005参照)。図3Cに示されているように、miR−150は、免疫に関連するリンパ節、胸腺及び脾臓試料中で高度に発現されていることが見出され、同じく以前の知見と合致していた(Baskerville et al., RNA 77:241−247, 2005参照)。
【実施例6】
【0109】
本実施例は、興味を有する哺乳動物のミクロRNAを検出するためのプライマーの選択及び検証について記載する。
【0110】
論拠:単一の試料中の複数のミクロRNA標的を検出するために複数のアッセイ(すなわち、多重PCR)を実施するためには、単一のユニバーサルプライマーを用いて、一般的な緩衝系中において、均一な逆転写酵素とPCRサイクル条件下でアッセイが機能することが重要である。指定された反応条件下で良好に機能する所望のミクロRNA標的に対して有用なプライマーの組を同定するために、以下のプライマー設計原理及び高情報量アッセイを使用した。
【0111】
プライマーの設計:
実施例2に記載されているように、本発明の方法を用いて哺乳動物のミクロRNA標的を検出するためのアッセイの感度は、サイクル閾値(Ct)の値によって測定され得る。Ct値が低いほど(例えば、サイクルの数が少ないほど)、アッセイの感受性がより高い。デルタCt値は、テンプレート含有試料と無テンプレート対照との間のサイクル数(Ct)の差であり、アッセイのダイナミックレンジの指標としての役割を果たす。高いダイナミックレンジを有するアッセイは、極めて低いミクロRNAコピー数の測定を可能とする。従って、ミクロRNA検出アッセイの望ましい特徴には、高い感度(低いCt値)(好ましくは、約10から約20などの、約5から約25の範囲)及び標的テンプレートを含有する試料と無テンプレートバックグラウンド対照試料のシグナル間の広いダイナミックレンジ(好ましくは、デルタCt12以上など、約10から35の範囲)が含まれる。
【0112】
ミクロRNA標的テンプレート:代表的な哺乳動物のミクロRNA標的テンプレート(h=ヒト、r=ラット、m=マウス)が表9に挙げられており(配列番号966から配列番号1043)、「Griffith−Jones et al.(2004),Nucleic Acids Research 32:D109−D111」及び「Griffith− Jones et al.(2006),Nucleic Acids Research 34:D140−D144」に記載されているように、「miRBase配列データベース」中のWellcome Trust Sanger Instituteのウェブサイトからインターネットを通じて公開されており、アクセスすることが可能である。
【0113】
伸長プライマー:
実施例1から5に記載されているようにして得られた経験的データは、主として、遺伝子特異的(GS)伸長プライマーが本明細書中に記載されている方法を用いて哺乳動物のミクロRNA標的を検出するためのアッセイのダイナミックレンジを決定することを示唆する。実施例2に記載されているように、検査されるアッセイのダイナミックレンジ(デルタCt)及び特異性は、6から7未満のヌクレオチドの遺伝子特異的領域を有する伸長プライマーに関して減少することが決定された。従って、ミクロRNA検出アッセイを最適化するために、興味が持たれるミクロRNA標的と重複する7から10のヌクレオチドを有する伸長プライマーを設計した。表9中に列記されているミクロRNA標的に対する典型的な伸長プライマーが、表8に挙げられている(配列番号500から配列番号965)。これらの典型的な伸長プライマーは、興味が持たれるミクロRNA標的と重複する7から10ヌクレオチドの遺伝子特異的(GS)領域を有する。
【0114】
リバースプライマー:
包括的ユニバーサルフォワードプライマー(配列番号13)と組み合わせて、プライマーによって伸長された完全長cDNAを定量するために、修飾されていない及び鍵型核酸(LNA)を含有するリバースプライマーを設計した。実施例1から5に記載されているようにして得られたデータに基づいて、リバースプライマーの設計がPCR反応の効率に寄与することが決定され、リバースプライマーが長いほど、PCRの成績が向上することが観察された。しかしながら、伸長プライマーとの重複が長いほど、バックグラウンドが高くなることも観察された。従って、非特異的バックグラウンドシグナルを低下させるために、伸長プライマーの遺伝子特異的部分との重複を最小限に抑えながら可能な限り長くリバースプライマーを設計した。
【0115】
さらに、実施例3に記載されているように、プライマーの予想Tmを上昇させるように、LNA塩基の置換を選択することができ、通例、2つ又は3つのLNA塩基置換がリバースプライマーオリゴヌクレオチドの5’末端から最初の8つのヌクレオチド内において置換する。表9に列記されているミクロRNA標的に対する典型的なリバースプライマーが、表8に挙げられている。これらの典型的なリバースプライマーはLNA塩基置換(ヌクレオチドの前の「+」記号がLNA置換を表す。)を含有するが、この特徴は場合によって存在するものであり、必須ではない。
【0116】
所望の標的に対するプライマーの選択及び検証:
アッセイオリゴヌクレオチドの選択は、以下のように、2段階で行われる。
【0117】
1)プライマーの設計は、上記原理を用いて決定した。典型的には、興味が持たれる各ミクロRNA標的に対して、4つの伸長プライマーの候補及び2つのリバースプライマーの候補を設計した。各組の伸長プライマーは、3’末端において、それぞれ、7、8、9及び10ヌクレオチドだけ遺伝子特異的領域と重複している。これらの設計原理に従って設計された典型的プライマーが、表9に列記されているミクロRNA標的に対して表8に挙げられている。
【0118】
候補プライマーの組を検証するためのアッセイの設計(アッセイ#1):
ミクロRNA標的:
典型的な標的ミクロRNAmiR−495は、表9において「hmr」−miR−495の表記によって示されているように、ヒト(h)、マウス(m)及びラット(r)にわたって保存されたRNA標的配列(配列番号966)を有する。従って、この標的配列に対して設計されたプライマーは、ヒト、マウス及びラットから得られた試料中のmiR−495を検出するのに有用であると予想される。
【0119】
ミクロRNAmiR−495標的RNA配列:5’AAACAAACAUGGUGCACUUCUU3’(配列番号966)
【0120】
【化1】

【0121】
2)実施例2に記載されているアッセイ法を用いて、定量的PCRアッセイの高い感度と高いダイナミックレンジを示す対を見出すために、上記のように設計されたプライマーを調べた。DNAテンプレートの存在又は不存在下で、プライマーの全ての組み合わせを調べることによって、標的ミクロRNAに対して伸長プライマーとリバースプライマーの最適な組み合わせを決定した。RNAより分解される可能性がより低いので、オリゴ対を調べるために、RNAテンプレートよりむしろDNAを使用することが好ましい。分解されたテンプレートは、誤った結論を与えるアッセイデータをもたらす。従って、HPLCによって精製されたDNAテンプレート分子が好ましい。
【0122】
表8は、(表9に示されている)78のミクロRNA標的に対する検出アッセイにおいて使用するための典型的なプライマーの組を示す。ヒト(h)、マウス(m)及びラット(r)ミクロRNA又は1つ若しくはそれ以上の種から得られたミクロRNAを特異的に検出するように、これらのアッセイにおいて使用するための候補プライマーを設計した。例えば、「hmr」という接頭辞が付されているアッセイは、3つ全ての種内に完全に保存されたミクロRNAを検出するように設計されているのに対して、「mr」という接頭辞はマウスとラット間で保存されているが、ヒトでは保存されていないミクロRNAを検出するようにアッセイが設計されていることを意味する。プラス(+)記号が前に付されているヌクレオチドは、場合によって鍵型であり得る(LNA)。表9は、各アッセイに対するミクロRNA標的配列を示している。
【0123】
【表8】























【0124】
【表9】



【0125】
アッセイフォーマット:
以下のように、表8中に上記されている幾つかの候補プライマーの組を、高情報量アッセイ検査形式で検査した。
【0126】
各検査アッセイ(例えば、表8中に列記されているアッセイ#75、#76、#77及び#78)は、96ウェルプレートの4×4ウェル中で行われ(96ウェルプレート当り6つのアッセイ)、これにより、各標的に対して最適なプライマー対を迅速に決定することが可能となった。
【0127】
各アッセイに対して、4つの候補伸長(GS)プライマーの各々を、96ウェルプレートの別個の列中において検査した。テンプレートを加えて(1nMDNA)又は除いて(10mMTrispH7.6、0.1mMEDTA、100ng/μL酵母全RNA)、2つのリバースプライマーの各々を検査した。逆転写後、2つ組みの無テンプレート対照とテンプレート試料の一方の組をリバースプライマー1(RP1)に対して、他方をリバースプライマー2(RP2)に対して検査した。
【0128】
逆転写酵素アッセイの条件:
RTマスターミックス6μLを96ウェルの全てに添加した。
0.5μMGSプライマー2μLを、4つの連続するウェルに添加した。
TE(10mMTrispH7.6、0.1mMEDTA)中の酵母RNAを、全ての奇数番号のウェルに添加し、予め希釈されたDNAテンプレートを偶数番号のウェルに添加した。
【0129】
試料をよく混合し、逆転写酵素段階を実施した後、TE(10mMTrispH7.6、0.1mMEDTA)80μLで希釈した。
【0130】
ユニバーサルプライマーに加えて適切なリバースプライマーを含有するウェル当り8μLのPCR混合物が予め搭載された384ウェルのPCRプレートの4つ組みウェル中に、逆転写混合物2μLを移した。
【0131】
384プレートと適合するリアルタイムPCR装置上で、定量的PCR反応の結果を評価した。
【0132】
0.01のベースライン閾値に基づいて、PCR反応に対するCt値を測定した。感度(1nMテンプレートのCt値)及びダイナミックレンジ(無テンプレート対照のCtから1nMテンプレートのCtを差し引いたもの)を、各アッセイ中で各プライマー対に対して測定した。表8に列記されている典型的なアッセイ#75、#76、#77及び#78の結果が、下表10に示されている。
【0133】
【表10】


【0134】
優れた感度(例えば、5と25の間の好ましい範囲)及びダイナミックレンジ(例えば、10と35の間の好ましい範囲)の特徴に基づいて、最適なプライマー対を同定した。表10に上記されているように、miR−194:GS8(配列番号946)及びRP1(配列番号948)に対して最適なプライマー対が同定され、13の感度及び17のダイナミックレンジを有していた。miR−1:GS10(配列番号47)及びRP2(配列番号48)に対して最適なプライマー対が同定され、13の感度及び15のダイナミックレンジを有していた。miR−206:GS7(配列番号953)及びRP2(配列番号955)に対して最適なプライマー対が同定され、13の感度及び20のダイナミックレンジを有していた。同じく表10に示されているように、GSプライマーは、GS9からGS8に至る((バックグラウンドの減少によって生じる)ダイナミックレンジの著しい増加によって示されるように)特異性を調節する(例えば、miR−194参照)。
【0135】
表8に列記されているさらなる典型的プライマー又は本明細書中に記載されている設計原理を用いて設計された他の候補プライマーなどの、上記原理に基づいて設計された候補プライマーは、上記スクリーニング法を用いて検査され得る。分解されたテンプレートに伴う問題を回避するために、HPLCによって精製されたテンプレートを使用することにより、アッセイをさらに最適化し得る。
【0136】
1、2又は3つのヌクレオチドの変化のみが配列中で互いに異なるミクロRNAは、本明細書中に記載されている設計原理及び方法に従って設計されたプライマーの使用を通じて、互いに容易に区別できることも決定された。
【0137】
本発明の好ましい実施形態を例示し、説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明に様々な変化を施し得ることが理解される。
【0138】
独占的な権利又は特権が請求されている本発明の実施形態は、以下のように定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号500から配列番号965からなる群から選択される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、少なくとも1つの哺乳動物のミクロRNAを検出するためのキット。
【請求項2】
配列番号500から配列番号965からなる群から選択される少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項1のキット。
【請求項3】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーが、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシル部分を含む、請求項1のキット。
【請求項4】
配列番号500から配列番号965からなる群から選択される哺乳動物のミクロRNAを検出するためのオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項5】
標的ミクロRNAの検出に対して特異的な少なくとも1つのプライマーの組を含む少なくとも1つの哺乳動物標的ミクロRNAを検出するためのキットであって、前記プライマーの組が、
(1)標的ミクロRNAに対して相補的なcDNA分子を作製するための伸長プライマー(伸長プライマーは、標的ミクロRNAにハイブリッド形成する第一の部分及びユニバーサルフォワードPCRプライマーに対するハイブリッド形成配列を有する第二の部分を含む。);
(2)伸長プライマー上のハイブリッド形成配列にハイブリッド形成するように選択された配列を含む、前記cDNA分子を増幅するためのユニバーサルフォワードPCRプライマー並びに
(3)cDNA分子の一部にハイブリッド形成するように選択された配列を含む、前記cDNA分子を増幅するためのリバースPCRプライマーを含み、
少なくとも1つの標的ミクロRNAが、miR−1、miR−9、miR−18b、miR−20b、miR−92b、miR−146b、miR−181d、miR−193b、miR−194、miR−206、miR−291a−3p、miR−291b−3p、miR−301b、miR−329、miR−346、miR−351、miR−362、miR−362−3p、miR−369−5p、miR−384、miR−409−3p、miR−409−5p、miR−425−5p、miR−449b、miR−455、miR−483、miR−484、miR−485−3p、miR−485−5p、miR−486、miR−487b、miR−488、miR−489、miR−490、miR−491、miR−493−3p、miR−494、miR−495、miR−497、miR−499、miR−500、miR−501、miR−503、miR−505、miR−519a、miR−519b、miR−519c、miR−519d、miR−520a、miR−520b、miR−520d、miR−520e、miR−520f、miR−532、miR−539、miR−542−3p、miR−542−5p、miR−615、miR−652、miR−668、miR−671、miR−675−5p、miR−699、miR−721及びmiR−758からなる群から選択される、キット。
【請求項6】
ユニバーサルフォワード及びリバースPCRプライマーの少なくとも1つが、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシル部分を含む少なくとも1つの核酸分子を含む、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
伸長プライマーが10から100ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項5に記載のキット。
【請求項8】
伸長プライマーの第一の部分が3から25ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項5に記載のキット。
【請求項9】
伸長プライマーの第二の部分が18から25ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項5に記載のキット。
【請求項10】
伸長プライマーの第二の部分が配列番号1の核酸配列を含む核酸配列を有する、請求項5に記載のキット。
【請求項11】
ユニバーサルフォワードPCRプライマーが16から100ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項5に記載のキット。
【請求項12】
ユニバーサルフォワードプライマーが配列番号13に示されている核酸配列からなる、請求項5に記載のキット。
【請求項13】
リバースPCRプライマーが10から100ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項5に記載のキット。
【請求項14】
リバースPCRプライマーが、2’−O,4’−C−メチレン−β−D−リボフラノシル部分を含む1から25の核酸分子を含む、請求項5に記載のキット。
【請求項15】
少なくとも1つの哺乳動物の標的ミクロRNAがヒトミクロRNAである、請求項5に記載のキット。
【請求項16】
少なくとも1つの標的ミクロRNAがマウスミクロRNAである、請求項5に記載のキット。
【請求項17】
配列番号500から配列番号965からなる群から選択される少なくとも1つ又はそれ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項5に記載のキット。
【請求項18】
生物から得た試料中の類似の配列を有する2つ又はそれ以上の哺乳動物の標的ミクロRNAを識別する方法であって、
(a)第一のミクロRNA分子に対して特異的な第一の伸長プライマーを用いて、前記第一のミクロRNA分子に対して相補的な第一のDNA分子を作製する工程;
(b)ユニバーサルフォワードプライマー及び第一のリバースプライマーを用いて、増幅されたDNA分子の第一の集団を作製するために、第一のDNA分子を増幅する工程;
(c)第二のミクロRNA分子に対して特異的な第二の伸長プライマーを用いて、前記二一のミクロRNA分子に対して相補的な第二のDNA分子を作製する工程;
(d)ユニバーサルフォワードプライマー及び第二のリバースプライマーを用いて、増幅されたDNAの第二の集団を作製するために、第二のDNA分子を増幅する工程;並びに
(e)増幅されたDNA分子の第一及び第二の集団の量を測定する工程(第一及び第二の伸長プライマー又は第一及び第二のリバースプライマーは、標的ミクロRNAに相補的な部分中において、1つ又はそれ以上のヌクレオチドが異なっている。)
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2010−533501(P2010−533501A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517178(P2010−517178)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/070430
【国際公開番号】WO2009/012433
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(505441904)ロゼッタ インファーマティックス エルエルシー (9)
【Fターム(参考)】