説明

小型自動販売機

【目的】缶,ビン,ペットボトル等に詰められた飲食料等の商品容器を対象に販売する小型且つ構成を極めて簡易にした小型自動販売機とすること。
【構成】商品容器9を横倒し状態で上下方向に複数積み重ねて収納される複数の貯蔵空隙部Sと、各貯蔵空隙部Sの下端に装着され積み重ねられた商品容器の最下部に位置する商品容器を収納するドラムAと、ドラムAを軸周方向に回動させる駆動源6とからなること。ドラムAは、長手方向に直交する断面を円弧状とした支持受板30にて構成される受面部3の長手方向両側に側板部4,4が形成され、ドラムAの正回転方向における前方側の辺には受面部3の周方向に突出する突起片32が装着されること。該突起片32は、支持受板30とは別部材とすると共に、挿込み部321と、支持受板30に固着される取付基部322とからなり、挿込み部321は先端に向かうに従い肉厚が薄くなるように形成されること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶,ビン,ペットボトル等に詰められた飲食料等の商品を対象に販売する小型且つ構成を極めて簡易にした小型自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動販売機は、例えば特許文献1(特開平7−44757)、特許文献2(特許第3422778号)、特許文献3(特開2007−79775)等に示される如く、いずれも上下方向に製品を収納し、販売指令によって、最下位の位置にある飲食料入りの容器を払出装置によって払い出されるものである。この払出装置は、大きく分けると回転ドラムとフラッパのような扉を使用する2種類の機構がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−44757
【特許文献2】特許第3422778号
【特許文献3】特開2007−79775
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、フラッパのような扉を使用する装置では、特許文献2及び特許文献3に開示されているように、機構が複雑であり、且つ飲料容器を同時に2個払い出されないようにするために設けたストッパーにて製品の側面を押さえなければならず、特にペットボトル等の合成樹脂製又は牛乳パック等の紙製等の柔らかい素材から製造された容器入り商品の場合、前記ストッパーの設定が正確に行われないと商品がすべり、場合によっては一度に2個以上の商品が同時に払い出されてしまうというおそれがある。また、このようなことを防止するには、極めて高い精度が要求される。
【0005】
一方、特許文献1では、回転ドラムが用いられた構成であり、この種のものでは払出機構が簡単であるため、故障が少なく、メインテナンスが容易であった。しかし、従来のタイプでは、ドラム方式の場合、商品を容器受け部材から落とすにはドラムを回転させていくが、その時、ドラムの端辺の全体が上位の商品を擦りながら押し上げていくので、大きな駆動力が必要であるのみならず、商品の包装や印刷に傷をつけるおそれがあった。そこで、本発明は、構造が簡単で、故障が少なく、メインテナンスが容易というドラム方式の払出機構に注目、さらなる研究を進めた結果、そのドラムの開口度を小さく、さらにそのドラムの端辺に突起部を設けることによって、ドラムの端辺が上位の商品に押し上げる時の押し上げ力を緩和し駆動源の負担を低減するとともに、商品の包装や印刷に傷の発生を抑えることができること目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、商品容器を横倒し状態で上下方向に複数積み重ねて収納される複数の貯蔵空隙部と、各貯蔵空隙部の下端に装着され積み重ねられた前記商品容器の最下部に位置する商品容器を収納するドラムと、該ドラムを軸周方向に回動させる駆動源とからなり、前記ドラムは、長手方向に直交する断面を円弧状とした支持受板にて構成される受面部の長手方向両側に側板部が形成され、前記ドラムの正回転方向における前方側の辺には前記受面部の周方向に突出する突起片が装着され、該突起片は、前記支持受板とは別部材とすると共に、挿込み部と、前記支持受板に固着される取付基部とからなり、前記挿込み部は先端に向かうに従い肉厚が薄くなるように形成されてなる小型自動販売機としたことにより、上記課題を解決した。
【0007】
請求項2の発明を、請求項1において、前記挿込み部の先端部分はその一部が前記支持受板の円周方向における軌跡円の内方側に入り込むように形成されてなる小型自動販売機としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1において、前記挿込み部の外側面の先端側寄りの部分における接線は前記支持受板の円周方向における軌跡円と交差してなる小型自動販売機としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項3において、前記挿込み部の内側面は前記軌跡円に沿って形成されてなる小型自動販売機としたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
請求項5の発明を、請求項3において、前記挿込み部の内側面の少なくとも先端側は前記軌跡円の内方に位置してなる小型自動販売機としたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5のいずれか1項の記載において、前記突起片は、合成樹脂製としてなる小型自動販売機としたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項1,2,3,4又は5のいずれか1項の記載において、前記突起片は、金属製としてなる小型自動販売機としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、前記ドラムの受面部には、正回転方向における前方側の辺に、前記受面部の周方向に沿って突出する突起片が設けられているので、受面部の幅方向寸法を小さくしてコンパクトにしたにも係わらず、貯蔵空隙部内に収納された商品容器にドラムが引掛かることなく、安定した動作状態で商品容器を払い出すことができる。特に、ドラムには、前記突起片が装着されていることにより、ドラムに収納された商品容器と、その直上に隣接して位置し、貯蔵空隙部内に収納された商品容器との間に、まず前記突起片から挿入しつつ、ドラムの本体部分(受面部)が周方向に回転しながら、ドラム内に収納された商品容器を払い出す動作を行うものである。
【0010】
そのために、ドラムの受面部が周方向に回転しつつ収納された商品容器の直上に位置する商品容器に最初に当接する辺(前側辺)が突起片により案内されて、上下に隣接する商品容器の間に挿入されてゆくので、ドラム自体は商品容器の重量から極めて弱い僅かな抵抗を受けるのみで、ドラムが払い出し動作のために周方向に回転することができるものである。このようにして、極めて安定した動作にて、ドラムは、収納された商品容器を一つずつ払い出すことができ、且つ次に貯蔵空隙部に収納される商品容器が誤って、落下しないように一時的に停止させることができる。また、商品の一つ分の料金で、誤って、商品容器が2つ同時に払い出されることを防止できる。
【0011】
さらに、ドラムを回転駆動する駆動源に正回転の停止命令が発令されても、停止命令と同時に停止できない駆動源としたものや、一定の角度を回転しないと停止しないタイプとした駆動源であっても、突起片の先端は横倒し状態の容器の下端付近に当接することができ、前記突起片の先端が比較的円滑に横倒し状の容器の下端に入り込むことができる。したがって、ドラムの正回転時における回転動作の多少の超過があったとしても、容器の塗膜を削ってしまったり、或いは巻き付けられたフィルムやラベルを剥がしてしまうことを防止できるものである。また、前記ドラムにおいて、受面部を構成する突起片の先端と支持受板の後側辺とドラムの回転中心とを結ぶ角度を180度とすれば、前記支持受板の前側辺と後側辺と回転中心とを結ぶ角度は180度よりも極めて小さくすることができ、これによってドラム内に収納された商品容器の払出しのための1回の回転角度を小さく設定することができる。
【0012】
さらに、受面部の支持受板に対して突起片は別部材として設ける構造としたことにより、支持受板の前側辺と後側辺の形状は同一形状にすることができ支持受板の形状を単純化することができると共に、突起片を支持受板の前側辺に単に固着するのみで極めて簡単に受面部を組み立てることができる。また、突起片と受面部とは、異なる別材質にて形成することができ、製造効率を良好にして、低価格にて製造することができる。さらに、前記突起片は、挿込み部と、前記支持受板に固着される取付基部とからなり、前記挿込み部は先端に向かうに従い肉厚が薄くなるように形成される構成としているので、先端部分は略くさび形状となり、貯蔵空隙部の最下位置と、ドラムとにそれぞれ配置収納された上下に隣接する商品容器の間に突起片の先端が食い込み易くなり、ドラムの回動が円滑にでき且つ商品容器の払出しが良好にできる。
【0013】
請求項2の発明では、前記挿込み部の先端部分はその一部が前記支持受板の円周方向における軌跡円の内方側に入り込むように形成されたものであり、また、請求項3の発明では、前記挿込み部の外側面の先端側寄りの部分における接線は前記支持受板の円周方向における軌跡円と交差する構成としたものである。したがって、請求項2及び請求項3の発明では、前述したように、突起片の外側面の形状は、先端に向かうにしたがって、緩やかな斜面を形成しつつ軌跡円に近接してゆくものであり、ドラムの受面部に収納された商品容器と、その直上に位置すると共に貯蔵空隙部に収納されている商品容器の下端水平面に対して、突起片の外側面が水平方向に対して正回転方向前方側が下方となるように小さな角度で傾斜しつつ、この状態で挿入してゆくことができる。
【0014】
これによって、突起片が貯蔵空隙部側の商品容器の重量から受ける抵抗を少なくすることができ、上下に隣接する商品容器の相互の表面を保護し、商品容器の塗膜に傷を付けたり、表面に粘着されたフィルムやラベルを剥がすことを防止することができるだけでなく、ドラムを回転させる駆動力を低減させ、省電力化,省エネルギー化することが可能となり、極めて安定した状態で、収納された商品容器を払い出すことができる。
【0015】
請求項4の発明では、前記挿込み部の内側面は前記支持受板の内周側面の回転方向における軌跡円に沿って形成されているので、貯蔵空隙部側に貯蔵された次位の商品容器は受面部に対してスムーズに収納される。請求項5の発明では、前記挿込み部の内側面の少なくとも先端側は前記軌跡円の内方に位置しているので、挿込み部の内側面は、ドラムに収納されている商品容器の表面に近接して保持することができ、安定した商品容器の収納にすることができる。
【0016】
請求項6の発明では、突起片を合成樹脂製としたことにより、特に商品容器が金属製の缶入り飲料とした場合には、突起片が商品容器よりも軟質であり、上下に隣接する商品容器間に突起片が挿入するときに傷を付け難いものである。また、商品容器が紙製パックであるとしても、突起片が合成樹脂製であれば、その商品容器との接触も滑らかになり、商品容器の表面に傷を付けることがない。
【0017】
請求項7の発明では、前記突起片は、金属製としたことにより、強固且つ耐久性を有するものとなり、長期間の使用をしても、ドラム関連の部材の交換が不要となる。また、突起片における直交断面は、略円弧状に形成すれば、ドラムに収納された商品容器と、該商品容器の直上で且つ貯蔵空隙部に収納された商品容器との間にドラムの突起片を円滑に挿入してドラムの回転を良好にできると共に、商品容器の塗膜に傷を付けたり、表面に貼着されたフィルムやラベルが剥がされることを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)は本発明における内部の様子を示す横断平面図、(B)は本発明における筐体の内部の様子を示す縦断側面図である。
【図2】(A)は本発明における筐体の内部の様子を示す縦断正面図、(B)は駆動源と連結されたドラムに商品容器が分離した状態の正面図、(C)は駆動源と連結されたドラムに商品容器が収納された状態の正面図である。
【図3】(A)は第1実施形態の突起片を有するドラムと商品容器の斜視図、(B)は駆動源と連結されたドラムの正面図、(C)は(B)のXa−Xa矢視拡大端面図、(D)は(B)のXb−Xb矢視拡大端面図である。
【図4】(A)は第2実施形態の突起片を有するドラムの斜視図、(B)は駆動源と連結されたドラムの正面図、(C)は(B)のXc−Xc矢視拡大端面図、(D)は(B)のXd−Xd矢視拡大端面図である。
【図5】(A)は第3実施形態の突起片を有するドラムの斜視図、(B)は駆動源と連結されたドラムの正面図、(C)は(B)のXe−Xe矢視拡大端面図、(D)は(B)のXf−Xf矢視拡大端面図である。
【図6】(A)は挿込み端部が頂部付近に到達した状態図、(B)は(A)の(ア)部拡大図、(C)は挿込み端部が頂部に到達した状態図、(D)は(C)の(イ)部拡大図である。
【図7】(A)は第4実施形態の突起片を有するドラムと商品容器の斜視図、(B)は駆動源と連結されたドラムの正面図、(C)及び(D)は第4実施形態における作用図、(E)は(D)の(ウ)部拡大図である。
【図8】(A)は突起片を別部材としたドラムの斜視図、(B)は(A)のXg−Xg矢視拡大断面図、(C)は(B)の(エ)部拡大図である。
【図9】(A)乃至(C)は初期のドラム停止状態からドラムが正回転して突起片がドラムに収納された商品容器と該商品容器の直上で且つ貯蔵空隙部に収納された商品容器との間に挿入するまでの行程図である。
【図10】(A)乃至(C)はドラムが正回転して突起片がドラムに収納された商品容器と該商品容器の直上で且つ貯蔵空隙部に収納された商品容器との間でドラムが正回転してドラムに収納された商品容器が払い出されるまでの行程図である。
【図11】(A)乃至(C)は商品容器を払い出して空の状態のドラムが貯蔵空隙部内の商品容器を受けて収納するまでの行程図である。
【図12】(A)乃至(C)は第2実施形態における突起片を有するドラムによって貯蔵空隙部に収納された商品容器を受けて収納しようとする際に商品容器の重心が移動して傾斜する状態の作用図、(D)は第3実施形態における突起片を有するドラムによって重心が移動して傾斜する状態の作用図である。
【図13】(A)乃至(C)はドラムが反転した状態を初期の停止状態として容器を払い出すまでの行程図である。
【図14】(A)は商品容器をペットボトルとしてドラムに収納した状態の側面図、(B)及び(C)はドラムから商品容器を払い出すまでの行程図である。
【図15】(A)は突起片を別部材としたドラムの斜視図、(B)は(A)のXh−Xh矢視断面図、(C)は別部材とした突起片の斜視図、(D)は別部材とした突起片の内面側より見た斜視図、(E)は(C)のXi−Xi矢視断面図、(F)は(B)の(オ)部拡大図である。
【図16】(A)は支持受板と突起片とを別部材としたドラムの縦断正面図、(B)は(A)の(カ)部拡大図、(C)は突起片の内側面を軌跡円に沿う形状としたタイプの要部拡大図、(D)は突起片の内側面が軌跡円の外方に位置するタイプの要部拡大図である。
【図17】(A)は支持受板に1個の突起片が装着されたドラムの側面図、(B)は支持受板に2個の突起片が装着されたドラムの側面図、(C)は貯蔵空隙部を構成する仕切り板に突起片が通過する切除部が1個形成された主要部の構成を示す斜視図、(D)は貯蔵空隙部を構成する仕切り板に突起片が通過する切除部が2個形成された主要部の構成を示す斜視図である。
【図18】(A)は支持受板と突起片とを別部材とした実施形態における挿込み端部が頂部付近に到達しようとする作用図、(B)は(A)の(キ)部拡大図、(C)は支持受板と突起片とを別部材とした実施形態における挿込み端部が頂部付近に到達して、貯蔵空隙部に収納された商品容器の下端に入り込んだ状態図、(D)は(C)の(ク)部拡大図である。
【図19】(A)は側板部が扇形状であり且つ突起片を別部材としたドラムの斜視図、(B)は(A)の(ケ)部拡大図、(C)はドラムの側面図、(D)は(C)のXj−Xj矢視断面図、(E)は(C)のXk−Xk矢視図,(F)は(C)の(コ)部拡大図、(G)は突起片の斜視図、(H)は(G)のXn−Xn矢視断面図、(I)は(F)のXm−Xm矢視図である。
【図20】(A)は中央にくびれを有する商品容器に適応したドラムの側面図、(B)は(A)のXo−Xo矢視断面図、(C)は(A)のXp−Xp矢視図。
【図21】(A)は小形のペットボトルに適応したドラムの側面図、(B)は(A)のXq−Xq矢視断面図、(C)は(A)のXr−Xr矢視図。
【図22】(A)は本発明においてモータを直立させてウォームギアとホィールギアにてドラムに回転を伝達する機構を示す側面図、(B)は(A)の一部省略したXs−Xs矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の構成は主に、図1に示すように、筐体1,貯蔵空隙部S,ドラムA,駆動源6,搬送路7,コンプレッサ8及び販売指令手段から構成されている〔図1(B)参照〕。前記筐体1は、略立方体又は直方体に形成されたものであり、小型且つコンパクトにまとめられた形状のものである。具体的なサイズは、高さが約50cm、幅が約30cm、奥行きが約25cm程度であるが、多少のサイズの変化は十分に許容されるものである。筐体1の内部に貯蔵空隙部S,ドラムA ,駆動源6,搬送路7,コンプレッサ8及び図示しない販売指令手段が効率的に収納されている。
【0020】
前記貯蔵空隙部Sは、商品として飲料,食料等が入った商品容器9が水平方向に横倒しされ、この状態で上下方向に積み重ねられて収納されるようにしたものである〔図1(B),図2(A)参照〕。貯蔵空隙部Sは、筐体1の内部にて仕切り板2を介して複数が列状に設けられたものである。該仕切り板2は、複数枚によって構成されている。一つの貯蔵空隙部Sは、2枚の仕切り板2,2により構成されるものであり、隣接対向する仕切り板2,2同士の間隔を適宜設定することにより、種々のサイズの容器を収納することができる。
【0021】
また、複数の貯蔵空隙部S,S,…において、特に両端に位置する貯蔵空隙部Sでは、筐体1の内壁と仕切り板2によって構成することができる〔図1(B)参照〕。貯蔵空隙部Sにおける幅方向寸法は、貯蔵される商品容器9の最大幅よりも僅かに大きい程度が好ましく、上下方向に積み重ねられた容器が円滑に降下してゆくことができるものであればよい。また特に図示しないが、各貯蔵空隙部Sは、前記仕切り板2によって、それぞれ独立したケースが形成され、該ケースが前記筐体1内に装着されたものであってもよい。
【0022】
各貯蔵空隙部Sの下端箇所には、ドラムAが装着されている(図1参照)。該ドラムAは、図2乃至図7に示すように、受面部3と、側板部4,4と、回転支持軸5,5とから構成されており、全体が金属又はプラスチック等の合成樹脂等から形成されている。前記受面部3は、円筒を軸方向に沿って切断形成されて、略半割り円筒形状に形成されたものであり、長手方向に直交する断面形状が円弧状に形成されたものである。
【0023】
受面部3の長手方向両端に側板部4,4が形成されたものである。側板部4は、略円板状に形成されたものであり、前記受面部3の長手方向両側端部に固着される。固着手段として、金属の場合には溶接が行われる。またドラムAが合成樹脂で形成される場合では、一体成形されることもある。両側板部4,4の直径方向の中心位置で且つ前記受面部3の長手方向における外方側には前記回転支持軸5,5が装着されている。前記側板部4は、円板であり、その直径中心に前記回転支持軸5が固着される。すなわち、回転支持軸5はドラムAの周方向における回転中心Pであり、同様に前記側板部4の直径中心も回転中心Pとなる。
【0024】
また、前記側板部4,4は、図19乃至図21に示すように、扇形状に形成されることもある。側板部4が略扇形状に形成される場合には、扇形状の円弧状縁が前記支持受板30の周方向の円弧形状に一致するものである〔図19(A),(C),(D),図20(B),図21(B)参照〕。両側板部4,4が略扇形状に形成されることにより、円板形状とした場合の側板部4に使用される原材料をさらに節約することができると共に、ドラムAの重量を軽量化することもできる。
【0025】
前記受面部3は、図3(A),(B)及び図4(A),(B)等に示すように、支持受板30と突起片32とから構成されたものである。支持受板30は、長手方向に直交する断面形状が円弧状とした略半割り円筒形状としたものである〔図3(A),(D)参照〕。前記受面部3の支持受板30の幅方向の両辺は、正回転時における前方側の辺を前側辺31aと称し、その前側辺31aの反対側で正回転時に常時後方側となる辺を後側辺31bと称する。
【0026】
そして、ドラムAの周方向における回転中心Pと前記前側辺31aと前記後側辺31bとを結ぶ形状は、略「Λ」字形状又は三角形状(具体的には扁平三角形状)となり、具体的には、回転中心P,前側辺31a,後側辺31bとを結ぶいわゆる受面部3の開きの角度θは、180度以下である〔図3(C),(D)参照〕。受面部3の支持受板30は、前述したように長手方向に直交する断面が円弧形状であり、その曲率半径Rは、商品容器9の容器サイズによって種々設定される。
【0027】
前記前側辺31aには、図3乃至図7等に示すように、突起片32が形成されている。該突起片32は、前記受面部3の周方向に沿って、前記前側辺31a箇所から円弧状に突出形成される。すなわち、前記受面部3の支持受板30において、長手方向に直交する断面形状は、円を構成する一部の円弧であり、突起片32も同様に円を構成する一部となる。前記突起片32における前側辺31aに対して直交する断面形状は、略円弧状に形成されている。突起片32は、前記支持受板30の前側辺31aからの延長部分であり、支持受板30と突起片32とは同一部材から一体成形されたものである。突起片32自体も前記支持受板30と同一(略同一も含む)の曲率半径Rを有している。曲率半径Rの大きさは、前記貯蔵空隙部Sに収納されるよう商品容器9の大きさによって決定されるものである。前記曲率半径Rは、ドラムAに収納される缶,ビン,ペットボトル或いは円筒形状の飲料用パッケージ等の種々のサイズの商品容器9に合わせて設定される。
【0028】
前記ドラムAの構成において、前記回転中心Pと支持受板30の前側辺31aと後側辺31bとを結ぶ角度を支持角度θと称することにすると、その支持角度θは、通常では、180度以下である。具体的には、約45度から180度以下である。好ましくは約90度乃至約170度であり、さらに好ましくは約120度乃至約140度である。前記突起片32の先端と前記後側辺31bと回転中心Pとを結ぶ線は一直線上に存在する〔図3(C),図4(C),図5(C)等参照〕。
【0029】
そして、図面の実施形態では、その支持角度θは、約135度前後としている。すなわち、上記の範囲内であれば、受面部3にて容器を安定した状態で収納することができる程度の広さを有するものであればよい。また、前述したように、支持受板30の前側辺31aと後側辺31bと回転中心Pとを結ぶ角度θは当然180度未満となる。このようなドラムAの構成とすることで、ドラムAは、その内部に収納する商品容器9を安定した状態で保持すると共に、ドラムAから商品容器9を払い出すときにも確実にドラムAの収納状態から落下させることができる。
【0030】
突起片32は、種々の形状の実施形態が存在する。該突起片32の第1実施形態では、図3(A),(B)に示すように、受面部3の前側辺31aの長手方向の略中央箇所に三角形,正方形,長方形,台形状又は半円形状等の突出状の突起片32が形成されたものである。第1実施形態では、前側辺31aは、長手方向に沿って直線状に形成された部分がほとんどの部分を占める形状となっている〔図3(B),(D)参照〕。そして、この直線状に形成された前側辺31aに対して、その長手方向の中央部分に三角形,正方形,長方形,台形状又は半円形状等とした突起片32が突出形成されることになる〔図3(B),(C)参照〕。この第1実施形態では、前記前側辺31aと突起片32との形状が明確に判別できるものである。前記突起片32は、前側辺31aの長手方向に沿って略中央に突出形成されたことにより、ドラムを極めて簡易な構造にできる。
【0031】
前記突起片32の第2実施形態では、図4(A),(B)に示すように、前記前側辺31aの長手方向に沿って扁平三角形状に形成されたものである。第2実施形態においては、突起片32は、前側辺31aの長手方向全体に亘って形成されたものであり、前側辺31aの長手方向の中央箇所が前記突起片32の最高位置となり〔図4(B),(C)参照〕、前側辺31aの長手方向両端が突起片32の最も低い位置となる〔図4(B),(D)参照〕。この第2実施形態では、前側辺31aは、その長手方向が全体に亘って突起片32と一体化されたものであるため、前側辺31aは、ほとんど突起片32に含まれることとなり、該突起片32の長手方向の両端を一直線に結ぶ線が前側辺31aとなり、該前側辺31aは仮想線で示される〔図4(A),(B)参照〕。この第2実施形態では、前記突起片32は、前記受面部3の前側辺31aの長手方向に沿って略扁平三角形状に形成されるので、受面部3を構成する支持受板30の有効広さを実質的に増加させることができる。
【0032】
前記突起片32の第3実施形態では、図5(A),(B)に示すように、前記前側辺31aの長手方向に沿って扁平直角三角形状に形成されたものである。すなわち、前記前側辺31aの長手方向一端から他端に向かって一直線状の傾斜辺32bを有する突起片32として形成されたものである。突起片32は、第2実施形態と同様に前側辺31aの長手方向全体に亘って形成されたものであり、前側辺31aの長手方向の一端側が前記突起片32の最高位置となり〔図5(B),(C)参照〕、前側辺31aの長手方向の他端側が突起片32の最も低い位置となる〔図5(B),(D)参照〕。この第3実施形態では、前側辺31aは、その長手方向が全体に亘って突起片32と一体化されたものであるため、前側辺31aは、ほとんど突起片32に含まれることとなり、該突起片32の長手方向の両端を一直線に結ぶ線が前側辺31aとなり、該前側辺31aは仮想線で示される〔図5(A),(B)参照〕。この第3実施形態では、ドラムAの払い出し動作において、ドラムAに収納された商品容器9と、該商品容器9の直上で且つ貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9との間に突起片32が挿入する際の抵抗を少なくすることができ、払い出し動作を良好にできる。
【0033】
前述した第2実施形態及び第3実施形態における突起片32は、前側辺31aの長手方向に沿って全体に亘って形成されたものである。そのために、たとえば商品容器9が円筒形の缶ジュース等の容器である場合では〔図12(A)参照〕、前記ドラムAに収納された商品容器9と、該商品容器9の直上に積み重ねられ且つ前記貯蔵空隙部Sに収納された次位の商品容器9との間に突起片32が挿入する場合には、以下のような行程の流れとなる。まず前記突起片32の先端が上下に隣接して積み重ねられた商品容器9,9の間に挿入される。
【0034】
そして、突起片32の挿入が進行するに従い突起片32の前記商品容器9,9間への挿入面積が徐々に拡がりながら挿入動作が行われる〔図12(B)参照〕。したがって、突起片32の商品容器9,9間への挿入動作に対する抵抗も最初は少なく、徐々に食い込むように挿入することで、商品容器9の表面塗装を損傷することもない。また、突起片32が挿入された位置を中心に、商品容器9の内部の液体がゆれて、容器内部で移動し、商品容器9の重心Gの位置が中心よりずれた位置に移動して、商品容器9が長手方向に沿って傾斜することとなる〔図12(C)参照〕。この商品容器9の傾斜状態によって、前記突起片32はさらに挿入しつつ、ドラムAの周方向に沿って移動し易くなるものである。図12(C)及び図12(D)では分布加重が不均一となって、重心Gの位置がずれたことを示すものである。
【0035】
突起片32の第4実施形態では、図7(A),(B)に示すように、前側辺31aの長手方向の両側箇所に突起片32が形成され、両突起片32,32間は窪み状態となる窪み部33が設けられる。この第4実施形態においても、前側辺31aと突起片32との形状が明確に判別できるものである。また、突起片32の形状は、前述した第2実施形態と同様に、三角形,正方形,長方形,台形状又は半円形状等とすることができる。この第4実施形態では、前述したように前記突起片32は支持受板30の前側辺31aの長手方向に沿ってその長手方向両側に形成されており、前側辺31aの長手方向の中央に窪み部33が形成されたものである。
【0036】
このような構成としたことにより、ドラムAに収納された商品容器9のストロー部収納部91は、窪み部33に収まるようにすることができ〔図7(B),(C)参照〕、ドラムAの正回転を円滑に行うことができる。また、ドラムAに収納された商品容器9の直上で且つ貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9の下面側をドラムAが回転するときには、ストロー部収納部91が窪み部33に収まり〔図7(D),(E)参照〕、突起片32がストロー部収納部91に当接することがないようにすることができる。商品容器9のみに突起片32が当接するようにすることができるものである。これによって、商品容器9のストロー部収納部91とドラムAとが相互に干渉することなく、ドラムAの回転によって商品容器9からストロー部収納部91が剥ぎ取られることを防止でき、ドラムAの回転が良好におこなわれ、前記ストロー付きの紙製容器等の商品容器9の払い出しに好適である。
【0037】
さらに、前述した第1乃至第4実施形態の突起片32には、その先端部分に挿込み端部32aが形成されることもある。該挿込み端部32aは、平坦状の部位であり、上下方向に隣接する商品容器9,9の間に挿入し易い構成としたものである。前記挿込み端部32aは、前記突起片32の先端部分の適宜の位置において、その位置の接線Laに対して、ドラムAの内方に向かって僅かに傾斜状に屈曲形成されたものである〔図3乃至図5及び図6(B),(D)参照〕。ここで、挿込み端部32aの突起片32に対する根元部分を付け根部32’と称する。該挿込み端部32aは、水平状且つ平坦面として形成されたものである。そして、前記ドラムAの払い出し動作において正回転により、前記突起片32の先端箇所がドラムAの回転中心Pより見て、前記挿込み端部32aは、略最上位置付近に到達した状態で略水平面状となるように形成されたものである〔図6(C),(D)参照〕。
【0038】
前記挿込み端部32aについて、さらに詳述すると、前記突起片32に形成された前記挿込み端部32aの付け根部32’における接線をLaとすると、該接線Laと、前記挿込み端部32aの前記付け根部32’からの延出方向線Lbとのなす角度αとする。そして、前記挿込み端部32aがドラムAの最上位置(略最上位置でもよい)に到達した状態で、該挿込み端部32aの延出方向が前記ドラムAの最上位置における水平線Hhに一致(略一致も含む)するように前記角度αが設定される〔図6(C),(D)参照〕。これによって、前記ドラムAが商品容器9の払い出し動作における正回転を行う行程において、前記挿込み端部32aがドラムA(の側板部4)の頂部位置(略頂部位置も含む)に到達したときには、挿込み端部32aの延出方向は、水平(略水平も含む)となる〔図9(C), 図6(C),(D)参照〕。
【0039】
前記角度αは、実際には、僅かな角度であり、前記挿込み端部32aは、ドラムAが回転して、該ドラムA内に収納された商品容器9と、この収納された商品容器9の直上で前記貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9との間に極めて円滑且つ容易に挿し込まれることができるようになっている。すなわち、挿込み端部32aは、そのドラムAの払い出し動作における正回転によって、図6(A)乃至(D)に示すように、最上位付近に近接するに従い、水平線Hh面に近い状態となりつつ、ドラムAに収納された商品容器9の直上の商品容器9の下部にもぐりこみ、該商品容器9を僅かに押し上げつつ、ドラムAが回転しつつ、該ドラムA内に収納された商品容器9を払い出す(図10参照)。
【0040】
このように、突起片32の先端がドラムAの内側に曲げて形成されたことで、前記受面部3の端辺がドラムAに収納された商品容器9の直上で且つ商品容器9に収納された商品容器9に当接する時(場合)の当接角度、すなわち上下に隣接する商品容器9,9の間への進入角度がドラムAの略頂部箇所における水平方向に対して小さくなるので、貯蔵空隙部S側の商品容器9の重量から受ける抵抗を少なくすることができ、その貯蔵空隙部S側の商品容器9及びドラムAに収納された商品容器品9の塗膜に傷を付けたり、表面に粘着されたフィルムやラベルを剥がすことを防止することができるだけでなく、ドラムAを回転させる駆動力を低減させ、省電力化,省エネルギー化することが可能となる。
【0041】
次に、本発明のドラムAの実施形態において、前記突起片32は、前記受面部3の支持受板30とは別部材とした構成の実施形態が存在する〔図8,図15乃至図21等参照〕。この実施形態では、別部材とした突起片32は、プラスチック,ナイロン,ABS,ポリカーボネード等の合成樹脂材又は金属板材から形成されるものである。突起片32は、種々の形状のタイプが存在し、長手方向に直交する断面形状が略扁平半月状又は三日月状の板片であり、平面的に見て略正方形又は長方形等の方形状に形成されている。また、平面的に見て台形山形状に形成されたものも存在する。突起片32と支持受板30とを別部材とすることにより、材質の異なる部材同士を組み合わせることができ、たとえば支持受板30を金属製とし、突起片32は商品容器9の表面に傷が付きにくい合成樹脂製とする組み合わせができるものである。
【0042】
別部材とした突起片32は、主に挿込み部321と取付基部322とから構成される(図8,図15乃至図21参照)。前記取付基部322は、突起片32を支持受板30の前側辺31aに固着するための部位であり、その固着手段としてはビス,リベット等の固着具34による固着や、接着剤による固着となる。また、支持受板30と突起片32とが同一の金属材であれば溶接による固着手段でも構わない。前記挿込み部321は、前述した第1乃至第4実施形態の突起片32と同様にドラムAの支持受板30の内周側面30aと同一(又は略同一)の曲率半径Rを有している。
【0043】
この別部材とした突起片32の第1タイプは最も簡単な構成で、略円弧状の帯板部材が使用されるものである(図8参照)。挿込み部321には、外側面321aと内側面321bの2つの面が存在する。その外面側321aとは、別部材とした突起片32が前記支持受板30の前側辺31aに固着された状態で、挿込み部321の外方となる面のことであり、内面側321bとは、前記挿込み部321の内方となる面のことである〔図15(B)乃至(F),図19乃至図21等参照〕。図8は、別部材とした突起片32の第1タイプとしては、最も簡単な構成で、略円弧状の帯板部材が使用されるものである。該突起片32は、略円弧状の帯板部材が使用されるものであり、プラスチック,ナイロン等の合成樹脂材又は金属板材から形成されるものであって、挿込み部321と取付基部322とから構成され、該取付基部322は、前記受面部3の支持受板30に固着される部分であり、その固着手段としてはビス,リベット等の固着具34による固着や、接着剤による固着となる。
【0044】
次に、別部材とした突起片32の第2タイプについて図15乃至図18に基づいて説明する。突起片32は、支持受板30に対して、極めて小形の板片として形成されたものである〔図15(A),(B),図16(A)参照〕。突起片32は、その内面側で且つ挿込み部321と取付基部322との境界箇所に位置決め突出条323が形成されている〔図15(C)乃至(E)参照〕。該位置決め突出条323は、突起片32の長手方向(支持受板30の長手方向と同一方向)に沿って直線状に形成された膨出条である。
【0045】
さらに、前記取付基部322には、ビス等の螺子を有する固着具用の取付孔322cが形成され〔図15(C)乃至(E)参照〕、該取付孔322cにビス等の前記固着具34が挿通されて、支持受板30の前側辺31aに固着される〔図15(B),(F),図16参照〕。このとき、位置決め突出条323が支持受板30の前側辺31aに係止されて、突起片32が固着されるものである〔図15(A),(B),(F),図16参照〕。突起片32の挿込み部321は、その先端に向かうに従い、肉厚が次第に薄くなるように形成されている〔図15(C)乃至(F),図16参照〕。すなわち、挿込み部321の外側面321aと内側面321bとが先端に向かうに従いその間隔が次第に小さくなる形状である。
【0046】
さらに、前記外側面321a及び前記内側面321bは、共に弧状面として形成され、外側面321aは外方に凸となる弧状であり、内側面321bは、内方に凹となる弧状である〔図15(E),(F),図16参照〕。また、挿込み部321の先端部分では外側面321aと内側面321bとの先端同士が外方に凸状となる断面略半円等の弧状にて連続形成されている〔図15(E),(F),図16参照〕。このような構成によって、外側面321aと内側面321bの先端同士が、折返し状に滑らかに連続して形成されるので、ドラムAと貯蔵空隙部Sとの間で上下に隣接する商品容器9,9の間に食い込むときに、それぞれの商品容器9の表面塗膜に傷が付き難いようにすることができる(図18参照)。
【0047】
突起片32は、挿込み部321と取付基部322との境目付近では、肉厚が最も厚く形成され、前述したように挿込み部321の根元部から先端に向かうに従い次第に肉厚が薄くなるように形成される〔図15(E),(F),図16参照〕。また、同様に挿込み部321と取付基部322との境界から該取付基部322の先端(前記挿込み部321の先端とは反対側)に向かうに従い肉厚が次第に薄くなるように形成される〔図15(E),(F),図16参照〕。
【0048】
受面部3の支持受板30は、長手方向に直交する断面形状が円弧(略円弧も含む)として形成されており、ドラムAが正回転方向に回動を行うことによって、前記支持受板30は、円形の軌跡を形成するものであり、この軌跡を軌跡円Tと称する〔図15(F),図16(A)参照〕。さらに具体的には、軌跡円Tは、支持受板30の外周側面30bの回転による円形軌跡である。したがって、軌跡円Tの半径は、支持受板30の外周側面30bの曲率半径と同一となる。また、軌跡円Tの直径中心は、前記ドラムAの回動中心と同一であり、実際には、前述した回転支持軸5,5の回転中心Pが軌跡円Tの中心となる〔図15(B)参照〕。
【0049】
前記突起片32の挿込み部321は、先端に向かうに従い、次第に前記軌跡円Tに近接又は、軌跡円の内方側に入り込む構成となっている。挿込み部321が軌跡円Tに入り込む場合には、その入り込む量は僅かである〔図15(F),図16(B)参照〕。挿込み部321と軌跡円Tとの位置関係における構成は、以下に示すように複数存在し、まず第1の構成では、挿込み部321の外側面321aが先端(ドラムAの正回転方向側)に向かうに従い、軌跡円Tに次第に近接してゆくものである〔図15(F),図16(B)参照〕。この構成について、さらに詳しく説明すると、前記外側面321aの先端付近(挿込み端部32aの付近)に接線Ljが設定される〔図15(F),図16(B),(C)参照〕。そして、該接線Ljは、外側面321aとの接点Jの位置よりもドラムAの正回転方向の前方側で前記軌跡円Tと交わるように構成されている〔図15(F),図16参照〕。
【0050】
外側面321aの先端側とは、外側面321aの先端付近の面状の領域のことであり、この領域は一定の範囲を有する〔図15(E)参照〕。したがって、接線Ljと外面側321aとの接点Jは、外側面321aの先端付近の一定の範囲内に存在するものであればよい。この先端付近の領域内では、接線Ljの接点Jの位置が変化すれば、接線Ljの傾斜も徐々に変化することになるが、接点Jが前記外側面321aの先端の範囲内であれば、いずれの位置に接点Jを設けても、全て接線Ljは、前記接点Jの位置よりもドラムAの正回転方向の前方側にて軌跡円Tに交わる〔図15(F),図16参照〕。
【0051】
また、内側面321bは、少なくとも先端側が軌跡円Tの内方に入り込む構成となっている〔図16(B)参照〕。つまり、挿込み部321の内側面321bの一部は、前記軌跡円Tの内方側に位置するものである。この場合では、挿込み部321の付け根部分(前側辺31aの位置)から先端に向かうに従い、次第に軌跡円T内に入り込む量が深くなるように形成される。前記挿込み部321の内側面321bの少なくとも先端側は前記軌跡円Tの内方に位置する構成としたものである。このときの内側面321bの先端側が軌跡円Tの内方に入り込む量は僅かである。すなわち、第1の構成では、前記挿込み部321の先端部分は、その一部が前記支持受板30の円周方向における軌跡円Tの内方側に入り込む構造としたものである。このように突起片32の内側面321bが軌跡円Tの内方に入り込む構成としたことにより、挿込み部321の外側面321aの先端部分は、特に軌跡円Tに対して最も近接した構造となり、ドラムAの受面部3内に収納された商品容器9と、該商品容器9と上下方向に隣接し、且つ貯蔵空隙部Sに貯蔵された商品容器9の下端に挿入し易いものとなる(図18参照)。
【0052】
次に、挿込み部321と軌跡円Tとの位置関係における第2の構成では、前記突起片32の内側面321bは、前記軌跡円Tに対してその円周に沿って弧状に形成されたものである〔図16(C)参照〕。すなわち、内側面321bの曲率半径は、軌跡円Tの半径と等しくなるように形成されたものである。このような構成によって、軌跡円T内には突起片32が入り込まない構造となるので、貯蔵空隙部S側に貯蔵された最下位置の商品容器9は、ドラムAの空状態の受面部3に対してより一層スムーズに落下しつつ、収納され易い構造にすることができる。また、第2の構成の変形例として内側面321bは、前記軌跡円Tに対してその外方に位置させたものも存在する〔図16(D)参照〕。この場合であっても、前記内側面321bが軌跡円Tから離れる量は僅かである。
【0053】
外側面321aの先端側における接線Ljの接点Jの位置は、貯蔵空隙部Sに貯蔵されている最下位置の商品容器9の表面に対して、ドラムAの正回転方向の回動動作にて、外側面321aが最初に商品容器9と当接する点となるように設定される〔図18(A),(B)参照〕。また、接点Jの位置は、前述した最初に商品容器9と当接する点の付近であっても構わない。そして、外側面321aの先端側が商品容器9に当接したときの接線Ljは、水平線Hhよりも僅かに正回転方向側前方が下方となるように角度β1の量で傾斜している〔図18(A),(B)参照〕。
【0054】
そして、ドラムAの正回転方向における回動に、挿込み部321は、正回転方向に沿って移動し、商品容器9との接点Jも挿込み部321の移動方向とは反対側に移動することになる。そして、接線Ljの傾斜も水平線Hhに近づきつつ、接線Ljと水平線Hhとのなす角度も減少して、角度β2となる。すなわち、角度β1>角度β2となる。これによって、挿込み部321が正回転方向に沿って移動するにしたがって、接線Ljと水平線Hhとのなす角度は減少し、より一層、抵抗の少ない挿込み部321の正回転方向への移動ができることとなり、ドラムAの正回転方向の回動をより円滑に行うことができる。図18は、ドラムAにおいて、支持受板30とは別部材とした突起片32による商品容器9の払い出し行程の作用を示すものである。すなわち、突起片32がドラムAの正回転方向に移動すると共に、接線Ljと水平線Hhとのなす角度が次第に小さくなって、貯蔵空隙部S側に収納されている商品容器9の下端に食い込んでゆくことが示されている。
【0055】
したがって、前記ドラムAが商品容器9の払い出し動作のために、正回転方向に回動を行う行程において、前記挿込み部321の先端部分が、ドラムA内に収納された商品容器9と、貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9との間に極めて鋭角なくさび状態で挿入することとなり、しかも、その先端部分のくさび状の角度が正回転方向に移動するにしたがい、減少し、円滑且つ容易に挿し込まれることができる。そして、ドラムAに収納された商品容器9の直上に位置し、且つ貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9の下端にもぐりこみ、該商品容器9を僅かに押し上げつつ、ドラムAが回動しつつ、該ドラムA内に収納された商品容器9を払い出す行程が円滑となる〔図18(C),(D)参照〕。
【0056】
突起片32は、一つのドラムAに対して、通常では、支持受板30に1個装着される〔図17(A)参照〕。また、ドラムAのサイズ又は商品容器9のサイズによって、大形の場合には2個装着されることもある〔図17(B)参照〕。支持受板30に突起片32が1個装着される場合には、支持受板30の長手方向の中心(略中心も含む)に装着される。また、支持受板30に突起片32が2個装着される場合には、両突起片32,32は適宜の間隔をおいて装着される。そして、支持受板30に1個装着される場合には、貯蔵空隙部Sを構成する仕切り板2の下端には切除部21が1個形成される〔図17(C)参照〕。また、支持受板30に2個装着される場合には、貯蔵空隙部Sを構成する仕切り板2の下端には切除部21が2個形成される〔図17(D)参照〕。
【0057】
次に、突起片32の第3タイプについて説明する。第3タイプでは、第2タイプに比較して、挿込み部321及び取付基部322の肉厚が大きくなる。前記取付基部322には、取付面322aが形成されており、前記支持受板30の外周面と同一の極率半径を有するものであり、該支持受板30の外周面に密着状態で接合するようになっている。さらに、突起片32の長手方向の略中央には、図19(G),(H)に示すように、段差部322bが形成されている。
【0058】
該段差部322bは、突起片32を支持受板30に固着するときに、該支持受板30の周方向の端縁に係合させることにより、この端縁からの突起片32の突出領域が正確に決定されるように、突起片32の支持受板30に対する位置決めとしての役目をなすものである〔図19(D)参照〕。さらに、前記取付基部322には、ビス等の螺子を有する固着具用の取付孔322cが形成され〔図19(H)参照〕、該取付孔322cにビス等の前記固着具34が挿通されて、支持受板30の前側辺31aに固着される〔図19(D)参照〕。取付基部322は、急激に肉厚が薄くなるように形成される〔図19(H)参照〕。
【0059】
この第3タイプの突起片32は、前述した第2タイプの突起片32と同様に、前記突起片32の挿込み部321における外側面321aの先端の接線Ljは、前記軌跡円Tに交わる構成となっている〔図19(D)参照〕。つまり、挿込み部321の先端部分の一部は軌跡円Tの内方側に入り込んだり、内側面321bが軌跡円Tに沿う構成となっている。そして、第2タイプの挿込み部321と同様に、その挿込み部321と軌跡円Tとの構成は、第1と第2の構成が存在する。また、挿込み部321の作用についても、前述した第2タイプの場合と同様である。また、第3タイプの突起片32では、変形例が存在し、第1変形例として、小形の商品容器9に適応するものである(図20参照)。これは、商品容器9の容器中央にくびれが形成されたものに対応する突起片32であり、ドラムAの受面部3に収納された商品容器9のくびれの位置に対応する位置に突起片32が設けられたものである〔図20(A)参照〕。突起片32は、商品容器9のくびれに挿入するので、肉厚が大きく形成されている。また、第2変形例では、商品容器9が小形のペットボトルとしたものに好適な突起片32となる(図21参照)。この場合には、突起片32は上下方向(受面部3の円周方向に等しい)に長く形成されている。
【0060】
前記回転支持軸5は、両側板部4,4に固着又は一体成形によって形成されるものであり、ドラムAの回転中心Pとなるものである。両回転支持軸5,5は、一直線上に一致するように形成されている〔図3(C),(D),図4(C),(D),図5(C),(D)等参照〕。両回転支持軸5,5のいずれか一方には、モータ又はソレノイド等の駆動源6が連結され、該駆動源6によって、回転し、前記ドラムAが正回転及び逆回転を行う〔図3(B),図4(B),図5(B)等参照〕。
【0061】
上記駆動源6の駆動軸61と、前記回転支持軸5とは、軸方向に沿って、ジョイント部材62を介して直結する構成となっている。さらに、前記駆動源6は、図22に示すように、駆動軸61が垂直状となるように設置され、該駆動軸61が前記回転支持軸5と相互に直角となるように設置されることもある。この場合には、駆動軸61と回転支持軸5とがウォームギア63とホィールギア64とが噛み合う歯車機構が装着されたものである〔図22(B)参照〕。具体的には、駆動軸61にウォームギア63が装着され、前記回転支持軸5にホィールギア64が装着され、駆動源6の回転力を前記ドラムAの回転支持軸5に伝達し、ドラムAを回動させるものである。
【0062】
このように、駆動源6と回転支持軸5との間にウォームギア63とホィールギア64とからなる歯車機構を介在させることにより、駆動源6をモータ又はソレノイドを使用した場合に出力の小さいものであったとしても、回転伝達を良好に行うことができ、電力消費を抑えることができる。また、ウォームギア63とホィールギア64による歯車機構により、駆動時における騒音を低減することも可能となる。さらに、前記駆動源6をモータとした場合では、モータが軸方向に沿って直立状態となるので、モータの装着スペースを水平方向に短くすることができ、これによって、前記筐体1内部の奥行き方向を短くすることができ、筐体1をより一層コンパクトにすることができる。また、前記ドラムAの回転支持軸5で、前記駆動源6の駆動軸61に連結される部位では、回転支持軸5は中空管形状に形成されると共に、その周壁部には軸方向に沿った長溝51,51,…が形成され、該長溝51,51,…と前記ジョイント部材62とが係止して、駆動軸61からの確実な回転伝達を行うことができるように構成されている。
【0063】
また、ドラムAの回転において、商品を払い出すには二つの回転方法がある。その一つは、ドラムAが連続回転すること、すなわち、ドラムが360度回転する方法である。本発明では、このドラムAの回転構成を主として用いる。この方法は、操作が簡単である。もう一つの方法は、正回転と逆回転を組み合わせた反復回転である。すなわち、正回転の回転方向とは、ドラム内に容器が収納された状態から該容器を払い出す動作を行うときの回転方向である。また、ドラムAの逆回転方向とは、容器を払い出して空になった状態から元の位置に戻りつつ、次の容器が受面部3に入り込んで収納されるようにする回転方向のことであり、この回転方向は、前述した正回転の回転方向とは反対方向となる。すなわち、ドラムAは、容器の払い出しのための回転方向と、容器の収納のための回転方向は、それぞれ反対となるものである。すなわち、この方法では1回転(360度)の回転は行わず、通常の回転角度は180度未満である。
【0064】
そして、前記ドラムAの支持受板30の開きの角度θは、小さければ商品容器9を払い出すのに必要な回転動作角度を小さくすることができるものであるが、実際の使用においてドラムAの強度、商品の盗難防止、商品の安定収納などの観点から決定されても構わない。ドラムAでは、前記受面部3の長手方向の長さ、すなわち両側板部4,4間の間隔寸法は、ビン、缶やペットボトル等の商品容器9の長さ方向に沿って横倒して入れられるように、ドラムAの長さを商品の高さより少し長くし、通常、そのドラムの長さが容器の長さより1mm以上大きければ十分である。
【0065】
ドラムAの両側板部4,4には回転支持軸5,5が固着されている。該回転支持軸5,5は、ドラムAの回転中心Pとなる位置に設けられ、回転支持軸5,5によって、ドラムAが正回転及び逆回転する。ドラムAの両回転支持軸5,5のいずれか一方の回転支持軸5は、前記駆動源6に連結している〔図2(B),(C)参照〕。駆動源6は、モータ又はソレノイド等であり、特に回転角度を適宜に制御することができるタイプのものが好ましい。具体的には、駆動源6として、軸の回転角度を制御できるステッピングモータが使用される。
【0066】
次に、本発明における自動販売の商品の払出動作について図9乃至図11に基づいて説明する。前記筐体1の各貯蔵空隙部S,S,…には、それぞれ異なる種類の飲料が詰められた複数の商品容器9,9,…を横倒しにした状態で上下方向に積み重ねられている〔図2(A)参照〕。また、一つの貯蔵空隙部Sには、比較的大形の商品容器9では5本、小形の商品容器9のものでは6,7本が貯蔵できる。そして、購入者は、コインを図示されない投入口より投入して、図示されない押しボタン等の選択手段を介して、所望の飲料の商品を選択する。
【0067】
選択された商品容器9が貯蔵された貯蔵空隙部Sの駆動源6が停止状態(初期状態)から始動し〔図9(A)参照〕、ドラムAが前記回転中心Pを中心にして正回転方向に正回転を開始する。ここで、ドラムAの正回転の方向は、本発明においては、説明の便宜上、時計周りの方向とする(図9乃至図11参照)。そして、ドラムAの突起片32がドラムAに収納された商品容器9と、該商品容器9の直上で且つ貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9との間に挿入しつつ、ドラムAの突起片32及び支持受板30にて貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9を落下しないように支持しつつ、正回転を続ける〔図9(B),(C),図10(A),(B)参照〕。さらに、ドラムAが正回転を続けて、ドラムAが初期状態から略180度付近まで回転すると、商品容器9はドラムAの受面部3から落下する〔図10(C)参照〕。
【0068】
落下した商品容器9の直上で且つ貯蔵空隙部Sに収納されて控えていた商品容器9は、ドラムAの突起片32又は支持受板30によって落下しないように支持された状態で貯蔵空隙部S内に収納された状態に維持され、ドラムAから落下した商品容器9と共に落下しないようにすることができ、一度に2個の商品が落下することを防止し、商品1つ分の料金のみで、2個の商品を誤って提供しないようにしている。さらに、前記突起片32は、落下した商品容器9の次に控える商品容器9に当接して、該商品容器9が誤って落下することを防止する。商品容器9が落下して払い出され、空になったドラムAはさらに、正回転を行い、受面部3に、貯蔵空隙部S内で収納され次に控えていた商品容器9を受ける(図6参照)。
【0069】
本発明において、ドラムAが払い出し作業を行うときの突起片32の作用について、図12に基づいて説明する。突起片32は、ドラムA内に収納された商品容器9と、該商品容器9の直上で且つ貯蔵空隙部Sに収納された商品容器9との間に挿入するときに、ドラムA内に収納された商品容器9の直上に位置する商品容器9に前記突起片32が当接して、商品容器9を一旦上方に押し上げるように作用する〔図12(A),(B)参照〕。
【0070】
その押し上げられた商品容器9は、必然的にバランスを崩し、商品容器9の内容物が流動して重心Gの位置が移動する。その重心Gが商品容器9の長手方向の中央より移動すると、前記突起片32との当接点を中心とし、商品容器9は、長手方向に沿って傾斜しようとする〔図12(C)参照〕。商品容器9はさらに突起片32によって、さらに、斜め状態で押し上げられることになる。その傾斜した状態の商品容器9に対して、前記突起片32はさらに食い込み易く且つ挿入し易くなってゆく。
【0071】
上記状態を詳述すると、商品容器9の中身が飲料の場合、該商品容器9の中に空気が存在しているので、その飲料がドラムAの回転によって揺れ動き、商品の重心Gの位置は不安定となる。その飲料の移動に伴って商品容器9の重心Gは必然的に移動することになる。このため、突起片32の先端が仮に最初に商品の重心Gの真下にあったとしても、ドラムAの回転動作によって、商品容器9は揺さ振られ、重心Gが移動し易くなり、よって商品容器9は長手方向に沿って必ず傾斜するものである〔図12(C)参照〕。その結果、商品容器9は平行に押し上げられるよりも、斜めに押し上げられた方が突起片32の先端が商品容器9の下面側に容易に挿入し易くなり、ドラムAを回転させるための大きな駆動力が不要となり、且つ、商品容器9の塗装膜や印刷又はラベル等に傷を付ける確立が極めて少なくなる。
【0072】
その他、突起片32によって、該突起片32の先端が、ドラムAから落下して払い出された商品容器9の次位に控える横倒し状態とした商品容器9の下端面と突起片32との当接点の位置との間隔Kaを小さくすることができるという利点がある。これは、前記突起片32が前側辺31aから周方向に突出形成されたものであり、次に控える商品容器9とドラムAの前側辺31aとが接近する状態となったときに、突起片32によって比較的早く、商品容器9に当接することができることによるためである〔図9(B)参照〕。
【0073】
本発明において、商品を購入する行程では、ドラムAに収納された商品容器9は、ドラムAが払い出し動作における正方向に回転して、商品容器9が落下すると、傾斜状の配送路を下方に向かって滑り、筐体1の払出口11付近に送られることになる。そのあとは、購入者が筐体1の払出口11の蓋11aを開けて商品(商品容器9)を取り出すものである。前記ドラムAが正回転して、収納された商品容器9を落下させると、さらに正回転するドラムAは空の状態となり、次位に位置する商品容器9は、ドラムAの受面部3に落下して収納され、停止したままの状態、すなわち初期状態となる〔図9(A)参照〕。
【0074】
ドラムAは逆回転の停止により初期状態に復帰して、次の払出し命令が発せられるのを待つ。図13は、払い出し動作の初期状態においてドラムAが反転した状態から始まる実施形態を示すものである。この実施形態では、初期状態で、ドラムAは反転、すなわち、支持受板30の開口側が下向きの状態であり、商品容器9は収納されていない〔図13(A)参照〕。図14は、本発明において、突起片32は先端の断面を円弧状としたことでペットボトルの表面に巻き付けられたフィルムを剥がすことなく、ドラムAから払い出すことができる状態を示すものである。
【符号の説明】
【0075】
A…ドラム、3…受面部、30…支持受板、31a…前側辺、31b…後側辺、
32…突起片、32a…挿込み端部、321…挿込み部,322…取付基部、
33…窪み部、4…側板部、6…駆動源、9…商品容器、S…貯蔵空隙部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品容器を横倒し状態で上下方向に複数積み重ねて収納される複数の貯蔵空隙部と、各貯蔵空隙部の下端に装着され積み重ねられた前記商品容器の最下部に位置する商品容器を収納するドラムと、該ドラムを軸周方向に回動させる駆動源とからなり、前記ドラムは、長手方向に直交する断面を円弧状とした支持受板にて構成される受面部の長手方向両側に側板部が形成され、前記ドラムの正回転方向における前方側の辺には前記受面部の周方向に突出する突起片が装着され、該突起片は、前記支持受板とは別部材とすると共に、挿込み部と、前記支持受板に固着される取付基部とからなり、前記挿込み部は先端に向かうに従い肉厚が薄くなるように形成されてなることを特徴とする小型自動販売機。
【請求項2】
請求項1において、前記挿込み部の先端部分はその一部が前記支持受板の円周方向における軌跡円の内方側に入り込むように形成されてなることを特徴とする小型自動販売機。
【請求項3】
請求項1において、前記挿込み部の外側面の先端側寄りの部分における接線は前記支持受板の円周方向における軌跡円と交差してなることを特徴とする小型自動販売機。
【請求項4】
請求項3において、前記挿込み部の内側面は前記軌跡円に沿って形成されてなることを特徴とする小型自動販売機。
【請求項5】
請求項3において、前記挿込み部の内側面の少なくとも先端側は前記軌跡円の内方に位置してなることを特徴とする小型自動販売機。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5のいずれか1項の記載において、前記突起片は、合成樹脂製としてなることを特徴とする小型自動販売機。
【請求項7】
請求項1,2,3,4又は5のいずれか1項の記載において、前記突起片は、金属製としてなることを特徴とする小型自動販売機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−38167(P2012−38167A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179011(P2010−179011)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【特許番号】特許第4632382号(P4632382)
【特許公報発行日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(509251729)
【Fターム(参考)】