説明

小型部品の分離整列供給装置

【課題】コイルスプリングのような絡みや重なりが生じやすい小型部品を、容易に分離し、正しい姿勢に整列させて、速やかに供給することのできる分離整列供給装置を提供する。
【解決手段】部品投入口4を有する容器2の内部に圧縮エアを噴出して、容器2内のコイルスプリングSを浮遊させる圧縮エア供給手段3を設ける。容器2内にコイルスプリングSとともに浮遊する絡み防止部材6を投入することで、部品同士の接触を抑制し、絡みを解除して、容器2上部壁面に開口する排出ゲート8から、所定の姿勢で部品搬送路81へ送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリングのような絡みやすい小型部品を、個々に分離し、整列させて供給するための分離整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載電装品または電子機器用の各種小型部品を、整列させて供給するための装置として、例えば、特許文献1に記載される整列装置が知られている。この整列装置は、コンデンサー素子等の長方形断面の本体部と、線状部を有する部品をボウルフィーダ(振動搬送装置)に投入し、螺旋状の搬送通路に沿って、直進フィーダに排出された後、単列単層に整列させるもので、長辺の向きを揃え、曲がった部品、重なり部品を排除する方向整列部と、懸吊姿勢に変換する姿勢変換部と、懸吊姿勢で搬送する搬送部を有している。
【0003】
方向整列部は、傾斜面に角溝穴形状の搬送通路を設けて、その角溝を長方形断面の本体部形状に適合させている。搬送通路の途中部分には、傾斜面側の複数箇所にエア穴が設けられて、圧縮エア等が部品に吹き付けられるようになっている。これにより、ボウルフィーダから排出される部品を一個ずつ姿勢変換し、角溝に整合していない部品を振り落として、整列搬送させることができる。
【0004】
一方、特許文献2には、ねじ、ブッシュ、チップ部品等の小型部品を対象として、チップ部品装填部の上部開口を蓋体で覆い、部品装填部内に空気を吹き出す吹き出し口と、空気の流入に伴い部品が導入される部品供給部とを設けた部品供給装置が開示されている。吹き出し口は、部品装填部の側面に設けられ、円筒形状とした部品供給部は、その内周円の法線方向に延在するように設けられる。また、部品供給部と蓋体の間には、隙間が設けられる。
【0005】
この際、部品装填部の圧力は、空気の流入によって大気圧より高くなっており、隙間から流出する。好適には、部品装填部の底面に別の吹き出し口が設けられ、底面からの空気の吹き出しで、部品装填部内の部品が吹き上げられる。これにより、隙間への空気の流れに乗せて、部品供給部から装置外部へ供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−267912号公報
【特許文献2】特許第4617244号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載される装置は、ボウルフィーダ内で部品同士の絡みが発生しやすい。このため、排出口において詰りが生じやすくなり、また、搬送通路において重なりが生じて、整列できない部品が多数排除されると、部品供給が間に合わなくなる。これが稼働率低下の要因になって、生産性を低下させるおそれがあった。
【0008】
これに対して、特許文献2の供給装置は、部品装填部内に空気の流れを形成して、部品を整列させながら、部品供給口へ所定の姿勢で供給するようになっている。ところが、ねじのように頭部を有する部品を対象として、頭部を隙間に吸着させることで整列させ、徐々に供給部へ送る構成となっており、好適に動作可能な部品形状が限られる。また、空気の流れが形成される部品装填部の内周面に、部品が集まりやすい上、空気圧で部品供給口へ押し出される構成であるために、特にコイルスプリングのような絡みやすい部品を、一個ずつ分離した状態で、整列供給することは困難である。
【0009】
そこで、本願発明は、コイルスプリングのような絡みや重なりが生じやすい小型部品を、容易に分離し、正しい姿勢に整列させて、速やかに供給することのできる分離整列供給装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明は、小型部品の分離整列供給装置であって、
部品投入口を有する容器と、
該容器の内部に圧縮エアを噴出して、上記容器内の小型部品を浮遊させる圧縮エア供給手段と、
上記容器内において小型部品とともに浮遊して、小型部品同士の接触を抑制し絡みを解除する複数の絡み防止部材と、
上記容器の上部壁面に開口し、浮遊した小型部品が所定の姿勢で送出される部品送出口と、
該部品送出口に続く部品搬送路を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明において、小型部品はコイル状部材である。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明において、上記圧縮エア供給手段は、上記容器の天井部に圧縮エアの噴出口を有するエアノズルを設け、上記容器内底部へ向けて圧縮エアを噴出する。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明において、上記絡み防止部材は、角部のない形状であり、弾性材料からなる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明において、上記容器内に、上記部品送出口および上記部品搬送路の延長線上に、浮遊した小型部品を上記所定の姿勢で上記部品送出口に案内するガイド部材を設けている。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明において、上記部品搬送路に、搬送方向に圧縮エアを供給して吸引力を発生させる第1のアシストエア供給手段を設ける。
【0016】
本発明の請求項7に記載の発明において、上記部品搬送路に、搬送方向と逆方向に圧縮エアを供給して、上記部品送出口の詰りを解除する第2のアシストエア供給手段を設ける。
【0017】
本発明の請求項8に記載の発明において、上記容器の天井部に上記部品投入口を開閉可能に設けるとともに、上記部品投入口の上方に小型部品の一時貯留部を配置する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1の分離整列供給装置において、部品投入口に投入された小型部品は、容器内に噴射される圧縮エアによって、絡み防止部材とともに浮遊する。絡み防止部材は、小型部品同士の接触を抑制するとともに絡みを解除するので、浮遊した小型部品を、容器の上部壁面に開口する部品送出口から所定の姿勢で、部品搬送路へ送出することができる。したがって、絡みやすい形状の小型部品であっても、一個ずつ分離して部品送出口へ送り、詰りを防止することができるので、効率よく部品供給を行い、生産性を向上させることができる。
【0019】
本発明の請求項2に記載の発明のように、小型部品が線材を螺旋状に巻いたコイル状部材であると、部品同士が絡みやすいので、絡み防止部材の効果が高い。
【0020】
本発明の請求項3に記載の発明は、圧縮エア供給手段の噴出口を容器の天井部に設けて、底部へ向けて圧縮エアを噴射するので、底部に溜まりやすい小型部品が上方に舞い上がり、絡みを防止しながら、効率よく整列供給することができる。
【0021】
本発明の請求項4に記載の発明のように、絡み防止部材を角部のない形状の弾性材料で構成すると、小型部品を傷つけにくく、割れが生じにくいので、絡み防止部材の耐久性を向上させることができる。
【0022】
本発明の請求項5に記載の発明は、容器内にガイド部材を設けて、小型部品を部品送出口へ案内するので、分離した小型部品を所定の姿勢に整列させて、速やかに部品搬送路へ案内することができる。
【0023】
本発明の請求項6に記載の発明は、部品搬送路に第1のアシストエア供給手段を設けたので、搬送方向に吸引力を発生させて、部品送出口に達した小型部品を速やかに部品搬送路へ送出することができる。
【0024】
本発明の請求項7に記載の発明は、部品搬送路に第2のアシストエア供給手段を設けたので、部品送出口において詰りが生じても、圧縮エアで小型部品を速やかに排除することができる。
【0025】
本発明の請求項8に記載の発明は、容器の天井部に設けた部品投入口を開放することで、一時貯留部から小型部品を投入することができる。投入後は、部品投入口を閉鎖することで、天井面を、小型部品を衝突分離させる分離板として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態における分離整列供給装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】第1実施形態の分離整列供給装置の平面図である。
【図3】第1実施形態の分離整列供給装置の全体斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、従来装置による課題を説明するための模式的な図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明の特徴を説明するための模式的な図である。
【図6】本発明において用いられるガイド部材の他の形状例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の第1実施形態となる小型部品の分離整列供給装置1について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の分離整列供給装置1の全体断面図であり、図2に、その平面図を示す。図3に全体構成を示すように、分離整列供給装置1は、容器2内に投入される小型部品を分離整列させる分離整列部Aとし、容器2の上面に連結されて上方向から小型部品が投入される部品投入部Bと、容器2の側面に連結され、水平方向に小型部品を搬送する部品供給部Cとを有している。本発明で対象とする小型部品は、好適には、線材が螺旋状に巻かれたコイル状部材であり、例えば、図中に示すコイルスプリングSである。このような形状の小型部品は、絡みや重なりが生じやすく、分離しながら整列させることが要求される。
【0028】
図1〜3において、分離整列部Aを構成する容器2は、円筒状本体21の両端を矩形板にて閉鎖してなる。天井部22および底部23となる両矩形板は四隅が柱状部材24により連結されて円筒状本体21を挟持し、その内部に空間を形成している。容器2の天井部22には、圧縮エア供給手段3が取り付けられ、圧縮エアの噴出口32を有するエアノズル31が天井部22中央を貫通して、容器2内に延出している。エアノズル3は、天井部22の下面に固定される筒状部25内に保持されて、容器2の軸線方向(図1の上下方向)に延び、筒状部25から下方へ突出する先端の噴出口32が、容器2の底部23と対向している。エアノズル3へは、容器2外部の圧縮エア供給部(図示せず)に接続するエア導入管33から圧縮エアが供給される。
【0029】
分離整列部Aには、部品投入部BからコイルスプリングSが投入される。部品投入部Bは、容器2の天井部22に設けられる部品投入口4と、その直上に位置する一時貯留部としての貯留筒5を有する。図2に示すように、部品投入口4は円形穴で、天井部22に回転自在に取り付けられるシャッタ部材41によって、開閉可能に設けられる。シャッタ部材41は、円盤状で部品投入口4に対応する位置に同径の円形穴42を有し、レバー43をスライドさせることにより、部品投入口4を開閉するようになっている。
【0030】
貯留筒5は、両端が開口する筒状体で、天井部22と一部が重なるように配置される回転体51と一体的に設けられる。図2に示すように、回転体51の外周には、4か所に同一形状の貯留筒5が配置され、部品投入口4の直上に貯留筒5が位置する時に、部品投入口4を開放することにより、貯留筒5内のコイルスプリングSが、容器2内に落下する。なお、回転体51は、ステー52によって容器2の側面に固定される円盤53上に支持され、円盤53の中心に突設した軸54周りに回転可能となっている。
【0031】
図1において、分離整列部Aとなる容器2内には、複数の絡み防止部材6が投入される。絡み防止部材6は、例えば、図示するような扁平な円柱状に成形された小型のゴム製部材からなる。この時、絡み防止部材6は、圧縮エアの噴出によってコイルスプリングSとともに浮遊し、コイルスプリングS同士の接触および過度の接近を抑制する。あるいは、絡みや重なりが生じたコイルスプリングSに衝突して、コイルスプリングSの絡みを解除し、個々に分離する。
【0032】
また、容器2の天井部22にシャッタ部材41を設けて、投入時以外は部品投入口4が閉鎖されるので、円筒状本体21の上端を閉鎖する天井部22は、天井面に達したコイルスプリングSの絡みを、衝突によりほぐすための分離板としても機能する。なお、絡み防止部材6の詳細については、後述する。
【0033】
さらに、容器2の上端外周部には、分離したコイルスプリングSを部品供給部Cへ案内するためのガイド部材7が設けられる。ガイド部材7は、横長の樹脂製板状体で、板面の略中央部を外周側縁から内周側へ水平方向に切り欠いたガイド溝71を有している。ガイド溝71は、細長形状で、溝幅がコイルスプリングSの径よりわずかに大きく、溝長はコイルスプリングSの全長より長く形成される。これにより、浮遊したコイルスプリングSを、ガイド溝71に沿って整列させ、他のコイルスプリングSとの干渉を防止しながら、所定の姿勢で部品供給部Cへ送ることができる。ガイド部材7は、天井部22下面から突出する筒状部25の外周に固定されている。
【0034】
部品供給部Cは、容器2の上端部に近い側面に開口し、部品送出口となる排出ゲート8と、この排出ゲート8に続く部品搬送路81を有する。排出ゲート8は、ガイド部材7のガイド溝71に対向位置しており、内径がコイルスプリングSの外径よりわずかに大きい筒状部材からなる。これにより、ガイド部材7に案内されるコイルスプリングSを、姿勢を保持したまま、排出ゲート8を通過させることができる。部品搬送路81は、容器2の側面に固定されるブロック状部材83内に、排出ゲート8と略同径でその延長線上に位置するように、水平方向に形成される。部品搬送路81の先端には、コイルスプリングSを次工程へ移送するための供給ゲート82が接続される。
【0035】
部品供給部Cには、部品搬送路81の途中に、第1のアシストエア供給手段として圧縮エアを導入するアシストエア通路84と、第2のアシストエア供給手段として圧縮エアを導入するアシストエア通路85を有している。アシストエア通路84は、部品搬送路81の略中央部に接続されて圧縮エアを導入し、また、導入された圧縮エアが外部へ向けて流れるように、部品搬送路81に対しコイルスプリングSの進行方向へ傾斜させて接続される。この時、アシストエア通路84から外部へ向かうエア流れによって、より上流側の排出ゲート8付近に吸込力を発生させ、ガイド部材7に到達したコイルスプリングSを、容易に部品搬送路81へ送ることができる。
【0036】
また、アシストエア通路85は、部品搬送路81の排出ゲート8側の端部に接続され、搬送路81に対しコイルスプリングSの進行方向と逆方向に傾斜して接続される。この時、排出ゲート8へ向けて、圧縮エアが導入されるので、部品搬送路81に移送されずに排出ゲート8近傍に留まるコイルスプリングSを排除することができる。したがって、仮に、コイルスプリングSが所定の姿勢とならず、あるいは複数のコイルスプリングSが絡んで、排出ゲート8側も、アシストエア通路85により、排出ゲート8近傍のコイルスプリングSを吹き飛ばして、詰まりを解消することができる。
【0037】
これらアシストエア通路84およびアシストエア通路85には、外部の圧縮エア供給部(図示せず)が接続される。また、アシストエア通路84とアシストエア通路85への圧縮エアの導入を交互に行なうことで、コイルスプリングSの吸引搬送の間に、排出ゲート8の詰まりの解消を効果的に行なうことができる。
【0038】
上記構成の小型部品の分離整列供給装置1の作動を説明する。図1〜3に示す分離整列供給装置1において、部品投入部Bの貯留筒5の1つから、分離整列部Aとなる容器2内に、所定量のコイルスプリングSが投入される。容器2内には、コイルスプリングSに対して適当量の絡み防止部材6が収容されており、圧縮エア供給手段3を作動させると、天井部22のエアノズル31から圧縮エアが噴射される。すると、エア流れに乗ってコイルスプリングSとともに絡み防止部材6が舞い上がり、容器2内を浮遊する。
【0039】
ここで、本発明で対象とする小型部品、特にコイルスプリングS等のコイル状部材は、部材同士の絡みが問題になりやすい。例えば、図4(a)に示すように、排出ゲート8に入ろうとするコイルスプリングSに他のコイルスプリングSが接触すると、容易に絡まって排出ゲート8の詰まりを生じることになる。このように、一旦絡まったコイルスプリングS同士を分離することは容易ではなく、部品供給に支障をきたすことになる。
【0040】
一方、部品を分離する一般的な方法として、図4(b)に示すように、容器2の天井部22等の壁面を分離板として利用し、衝突により絡みを解消することが知られる。ところが、図示するように、コイルスプリングSの線径(D)が小さく、線径(D)に対して、コイルピッチ(P)の方が大きいと(D<P)、ピッチ間(山と山の間)に他のコイルスプリングSが入り込むスペースができてしまう。コイルピッチ(P)が大きいコイルスプリングSは、絡まりやすくなるために、分離板に衝突しても絡みを解消することができないおそれがある。
【0041】
そこで、本発明では、図5(a)に示すように、絡み防止部材6を容器2内に投入することで、コイルスプリングS同士の接触機会を減少させる。また、コイルスプリングSに衝突して、コイルスプリングS同士の絡みを解除する。すなわち、エアノズル31を用いて容器2下部のコイルスプリングSを強制的に浮遊させた状態で、絡み防止部材6が混在しているので、コイルスプリングS同士の絡みが生じにくくなり、また、絡まりを効率よくほぐして、舞い上がったコイルスプリングSを、圧縮エアとともに排出ゲート8へ送ることができる。
【0042】
このため、絡み防止部材6には、圧縮エアによって浮遊可能な軽さと、コイルスプリングSへの衝突時に絡みをほぐすことのできる重さが要求される。絡み防止部材6が軽いほど浮遊時の仕事(=mgh)は小さくなるが、浮遊した絡み防止部材6の持つ運動エネルギー(=(1/2)mv)も小さくなるから、これらがバランスする適度な重さとなるように、設定するのがよい。
【0043】
絡み防止部材6の形状は、上記効果が得られる形状であれば、特に制限されないが、コイルスプリングSへの衝突時にダメージを与えることがないように、角のない丸みを帯びた形状であるとよい。具体的には、図示するような円柱形状の他、球形状とすることができる。
この場合、絡み防止部材6の径は、コイルスプリングSの径(D)およびコイルピッチ(P)より大きくして、コイルスプリングSの内部またはピッチ間に入り込まないようにするとよい。また、絡み防止部材6の材質は、天井部22や底部23への衝突を繰り返すことから、割れにくいゴム系の弾性材料であることが望ましい。
【0044】
さらに、本発明では、図5(b)に示すように、排出ゲート8に対向する位置に、ガイド溝71を有するガイド部材7を配置して、排出ゲート8の近傍に複数のコイルスプリングSが集まらないようにする。しかも、ガイド溝71の延長線上に排出ゲート8が開口し、部品搬送路81に、アシストエア通路84から圧縮エアを導入することで、ガイド溝71に収容されて、所定姿勢で整列したコイルスプリングSを、速やかに排出ゲート8から部品搬送路81に吸引することができる。
【0045】
また、ガイド溝71に正しい姿勢で位置せず、排出ゲート8へ入ることができないコイルスプリングSを、アシストエア通路85から導入される圧縮エアにより排除することができる。なお、図6に示すように、ガイド部材7´を略L字形状の板状体で構成し、L字の長辺が排出ゲート8および部品搬送路81の上辺と一致するように、配置することもできる。このようにしても、コイルスプリングSを、L字の長辺に沿う所定姿勢で整列させることができる。
【0046】
上記実施形態では、本発明の分離整列対象となる小型部品をコイルスプリングSとしたが、線材を螺旋状に巻いた形状のコイル状部材であれば、同様の効果が得られる。さらにコイル状部材に限らず、絡みや重なりが生じやすい形状の小型部品にも好適であり、同様に絡み防止部材と圧縮エア供給手段、ガイド部材等を組み合わせることにより、速やかに分離整列を行って所定姿勢で供給することができる。この場合、ガイド部材のガイド溝は、部品形状に合わせて、適宜変更することができる。あるいは、ガイド部材を省略し、直接、排出ゲートから送出する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の分離整列供給装置を採用することで、絡みや重なりが生じやすい小型部品を容易に整列させ、搬送路への入口等において詰まりを生じさせることなく供給できるので、効率よい部品供給が可能であり、各種製品の製造工程に利用されて、生産性の向上に大きく寄与するすることができる。
【符号の説明】
【0048】
A 分離整列部
B 部品投入部
C 部品供給部
S コイルスプリング(コイル状部材)
1 分離整列供給装置
2 容器
21 円筒状本体
22 天井部
23 底部
3 圧縮エア供給部
31 エアノズル
32 エアの噴出口(噴出口)
4 部品投入口
41 シャッタ部材
42 円形穴
5 貯留筒(一時貯留部)
51 回転体
6 絡み防止部材
7 ガイド部材
71 ガイド溝
8 排出ゲート(部品送出口)
81 部品搬送路
82 供給ゲート
83 ブロック状部材
84 アシストエア通路(第1のアシストエア供給手段)
85 アシストエア通路(第2のアシストエア供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品投入口を有する容器と、
該容器の内部に圧縮エアを噴出して、上記容器内の小型部品を浮遊させる圧縮エア供給手段と、
上記容器内において小型部品とともに浮遊して、小型部品同士の接触を抑制し絡みを解除する複数の絡み防止部材と、
上記容器の上部壁面に開口し、浮遊した小型部品が所定の姿勢で送出される部品送出口と、
該部品送出口に続く部品搬送路を有することを特徴とする小型部品の分離整列供給装置。
【請求項2】
上記小型部品はコイル状部材である請求項1記載の小型部品の分離整列供給装置。
【請求項3】
上記容器の天井部に圧縮エアの噴出口を有するエアノズルを設け、上記容器内底部へ向けて圧縮エアを噴出する請求項1または2記載の小型部品の分離整列供給装置。
【請求項4】
上記絡み防止部材は、角部のない形状であり、弾性材料からなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の小型部品の分離整列供給装置。
【請求項5】
上記容器内に、上記部品送出口および上記部品搬送路の延長線上に、浮遊した小型部品を上記所定の姿勢で上記部品送出口に案内するガイド部材を設けている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の小型部品の分離整列供給装置。
【請求項6】
上記部品搬送路に、搬送方向に圧縮エアを供給して吸引力を発生させる第1のアシストエア供給手段を設ける請求項1ないし5のいずれか1項に記載の小型部品の分離整列供給装置。
【請求項7】
上記部品搬送路に、搬送方向と逆方向に圧縮エアを供給して、上記部品送出口の詰りを解除する第2のアシストエア供給手段を設ける請求項1ないし6のいずれか1項に記載の小型部品の分離整列供給装置。
【請求項8】
上記容器の天井部に上記部品投入口を開閉可能に設けるとともに、上記部品投入口の上方に小型部品の一時貯留部を配置する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の小型部品の分離整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−23312(P2013−23312A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157907(P2011−157907)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】