小基板の整列機
【課題】次工程に搬送すべき複数の小基板wを、損傷を与えることなく自動的に整列することのできる整列機100を提供すること。
【解決手段】原板Wから直線によって複数に切り出された小基板wを整列する整列機100であって、小基板wの複数を上面にて水平に支承する支承台10と、この支承台10上に突出して小基板wの一辺端が当接する整列部20と、支承台10を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構30とを備えたこと。
【解決手段】原板Wから直線によって複数に切り出された小基板wを整列する整列機100であって、小基板wの複数を上面にて水平に支承する支承台10と、この支承台10上に突出して小基板wの一辺端が当接する整列部20と、支承台10を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構30とを備えたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次工程に送る前に、複数の小基板を整列するための整列機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を搭載するための基板は、現在では種々なものがあるが、近年では非常に小さくなってきている。このような小基板は、各種製造工程での効率化を図るために、図4にも例示するように、一般的には大型の原板Wから切り出して形成されることが多いものである。
【0003】
このような大型の原板Wから多数の小基板wを切り出すには、プリント配線を保護する必要等から、剪断機よりもカッターが多く利用されるが、カッターだと「切り粉」がより発生し易い。「切り粉」は、そのまま放置しておけば、小基板w上の配線等に悪影響を及ぼすことがあるので、小基板wは、図4に示すように、一旦は洗浄・乾燥工程を経なければならない。
【0004】
洗浄工程を経た小基板wは、乾燥されて次工程に移送されるのであるが、この移送時に各小基板wが完全に整列されていないと、次工程への搬送が行いにくいだけでなく、次工程装置に掛けにくいことになる。そこで、小基板wの「整列」が必要になるのであるが、基板を整列させる装置としては、例えば特許文献1にて提案されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−255157号公報、要約、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1にて提案されている「カセット保持装置、基板供給装置および基板供給方法」は、「基板のたわみ量を減少し大型基板または薄型基板を収納可能にしつつ、基板カセットに収納される複数枚の基板の整列が簡易に行える基板カセット保持装置を提供する」ことを目的としてなされたものである。
【0007】
この特許文献1にて提案されている「カセット保持装置、基板供給装置および基板供給方法」は、図13にも示すように、「基板カセット保持装置10において、カセット載置台11および載置台傾斜手段12を備える。カセット載置台11は複数枚の基板15を収納する基板カセット14を載置保持する。載置台傾斜手段はカセット載置台11を傾斜させ、このカセット載置台11に載置保持された基板カセット14に収納される複数枚の基板15の表面を傾斜した状態に維持する」ものである。しかしながら、「複数枚の基板15の表面を傾斜した状態に維持する」と、各基板15の搬送途中において、各基板15の表面に形成してある配線回路が擦れ合うことがあり、各基板15が損傷する虞があると考えられる。
【0008】
また、前工程からきた小基板wを次工程へ送り込むために、従来一般的に行われていた方法は、前工程と次工程との間に入った作業者が、一個一個の小基板wを手で摘んで整列させて移動させるものであった。この方法だと、作業者が必要になるだけでなく、小基板w上の配線回路に傷を付ける可能性もある。
【0009】
そこで、本発明者等は、小基板wの整列が、作業者を要することなく自動的に、しかも損傷を与えることなく行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0010】
すなわち、本発明の目的とするところは、次工程に搬送すべき複数の小基板を、損傷を与えることなく自動的に整列することのできる整列機を、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「原板Wから直線によって複数に切り出された小基板wを整列する整列機100であって、
小基板wの複数を上面にて水平に支承する支承台10と、この支承台10上に突出して小基板wの一辺端が当接する整列部20と、支承台10を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構30とを備えたことを特徴とする整列機100」
である。
【0012】
すなわち、この整列機100は、例えば図4に示すように、大型の原板Wから多数個取りされた小基板wの洗浄及び乾燥等を行う前工程の次段に配置されるものであり、洗浄及び乾燥がなされた各小基板wについての次の加工を行う次工程の前段に配置されるものである。そして、この整列機100は、前工程での加工が済んだ各小基板wについて整列を行って、整列した各小基板wを次工程に向けて送り出すものなのである。
【0013】
ここで、各小基板wの「一辺端」について説明すると、この一辺端は、原板Wをカッターによって直線状に切り出したときにできる端の線を言う。一般的に、小基板wは4つの直角コーナーを有した四角形状に切り出されるものであり、この場合には、一辺端は4カ所できることになるから、通常形状の小基板wでは、互いに直交する4つのものが存在している。
【0014】
この整列機100は、図1〜図3に示すように、複数の小基板wを支承するための支承台10と、この支承台10に複数設けられて、互いに平行となる整列部20と、上記支承台10全体の傾斜及び原位置(水平状態)への復帰を行う傾斜機構30とを備えたものである。
【0015】
支承台10は、図1及び図2の各(a)に示すように、前工程から複数の小基板wを受け取るものであり、この受取時には、傾斜機構30によって傾斜されることはなく、各小基板wを水平状態に支承するものである。また、この支承台10の上面は、支承した各小基板wの整列を行うために、各小基板wの移動または滑りが容易に行えるようにしてある。
【0016】
そして、この支承台10は、傾斜機構30による傾斜が行えるように、当該整列機100を構成している機枠の一部に枢軸11によって枢着してある。つまり、この支承台10は、図1の(a)の水平状態と、図1の(b)に示す傾斜状態になされるものであり、当然のことながら、傾斜は枢軸11を中心にしてなされる。
【0017】
支承台10上の整列部20は、小基板wの一辺端が当接するものであれば何で構成してもよいが、例えば図2から理解できるような「板」であってもよいし、後述する実施形態におけるように、小基板wの一辺端が複数箇所で当接し得る複数の整列ピンであってもよいものである。
【0018】
換言すれば、各整列部20は、板ならその一面に、複数の整列ピンであればその並んだ方向に、小基板wの一辺端の全部あるいは一部の直線部分が当接したとき、この小基板wの整列を行うものである。勿論、この整列部20は、複数の小基板wを個別に整列するために、整列すべき小基板wの数分用意されるものであり、各小基板wの大きさに合わせた位置調整もできるようにされるものである。
【0019】
傾斜機構30は、上記の支承台10を傾斜させるものであり、図1に示すような「エアシリンダ」を採用したり、後述する実施形態で採用しているようなサーボモータを使用した「ロボシリンダ」が採用される。その他にも、支承台10の、枢軸11とは反対側の端部に連結したワイヤ等を、サーボモータによって上下させるようなものであってもよい。いずれにしても、この傾斜機構30は、図1の(a)と(b)との比較から分かるように、支承台10の水平状態と傾斜状態を交互に作り出すものである。
【0020】
以上のように構成した整列機100では、その支承台10が、図1及び図2の各(a)にて示した水平状態にあるときに、前工程から複数の小基板wが送り込まれる。送り込まれた各小基板wは、図2の(b)に示すように、各整列部20間においてあらゆる方向に向いているから、そのままでは次工程に送り出せない。
【0021】
そこで、本発明に係る整列機100では、図3にも示すように、支承台10を傾斜させることによって各小基板wをこの支承台10上にて「滑り落下」させるのである。小基板wの滑り落下先には整列部20が待ちかまえているから、各小基板wはこの整列部20によって、図3の(b)に示すように、整列されることになるのである。何故なら、自然落下による力は、整列部20が板であれ複数のピンであれ、これに小基板wの一辺端の全体または部分が密着するように、各小基板wに回転モーメントをも引き起こすから、結果的に、各小基板wは整列部20に当接することによって、整列されるのである。
【0022】
各小基板wが整列されたときに、傾斜機構30によって支承台10を再び水平状態に戻せば、重力による回転モーメントは最早発生しないだけでなく、他の力も何ら発生しないから、各小基板wは、整列されたままの状態、つまり、図3の(b)に示すような状態で搬出を待つことができるのである。
【0023】
以上の結果、前工程から送られてきた各小基板wの整列は、重力による自然落下という極めて効率的な力を有効に利用できて、整列機100全体の構成も簡略化でき、しかも人手を要することなく自動的に行えるのである。勿論、各小基板wは、滑りやすくした支承台10上を、単に支承台10の傾斜によって滑るだけであり、他に何らの接触もしないのであるから、当該小基板wに損傷の発生する余地は全くないのである。
【0024】
なお、整列された各小基板wの搬出は、後述する実施形態におけるような搬出ベルトによって行ってもよいし、支承台10上にて搬送方向に移動する「爪」によって小基板wの後端部を押すようにしてもよい。
【0025】
従って、本発明に係る整列機100は、次工程に搬送すべき複数の小基板wを、損傷を与えることなく自動的に整列するものとなっているのである。
【発明の効果】
【0026】
以上、説明した通り、本発明においては、
「原板Wから直線によって複数に切り出された小基板wを整列する整列機100であって、
小基板wの複数を上面にて水平に支承する支承台10と、この支承台10上に突出して小基板wの一辺端が当接する整列部20と、支承台10を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構30とを備えたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、次工程に搬送すべき複数の小基板wを、損傷を与えることなく自動的に整列することのできる整列機100を、簡単な構成によって提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のクレーム対応図であり、(a)は支承台10を水平状態にしたときの整列機100の側面図、(b)は支承台10を傾斜状態にしたときの整列機100の側面図である。
【図2】本発明に係る整列機100を示すもので、(a)は前工程と次工程との間に配置し支承台10を水平状態にしたときの正面図、(b)は小基板wが搬入されたままの状態にある支承台10の平面図である。
【図3】同整列機100を示すもので、(a)は支承台10を傾斜状態にしたときの正面図、(b)は小基板wが整列されたときの支承台10と平行にみた支承台10上の状態図である。
【図4】本発明に係る整列機100が、切断工程にて切り出された小基板wの洗浄・乾燥工程と、次工程との間に配置されている様子を示す概略側面図である。
【図5】実施例に係る整列機100の平面図である。
【図6】同整列機100を構成している支承枠12内の様子を概略的に示す側面図である。
【図7】同整列機100のカバーを外したときの様子を示す図であり、支承台10の水平状態と傾斜状態とを同時に示した側面図である。
【図8】同整列機100のカバーを外したときの正面図である。
【図9】同整列機100のユニット化した支承台10の拡大平面図である。
【図10】同整列機100を構成している支承枠12内の様子を示す拡大側面図である。
【図11】同整列機100を構成している支承枠12内の様子と、この支承枠12を傾斜させる第2傾斜機構32との位置関係を示す部分拡大正面図である。
【図12】同整列機100の細部を示すもので、(a)は図11の左上部分を拡大して示した拡大図、(b)は支承台10に多数も受けてあるコロガリ受13の拡大図である。
【図13】特許文献1に示された技術を示すもので、(a)、(b)共に基板を傾斜させた様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、上記のように構成した本発明を、図面に示した実施の形態である整列機100について説明すると、図5〜図12には、本実施形態に係る整列機100が示してある。
【0029】
この実施形態に係る整列機100は、傾斜機構30として、図7に示した第1傾斜機構31と、図11に示した第2傾斜機構32とからなるものを採用したものであり、これらの第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32は、その各傾斜方向面が直交するようにしたものである。また、これらの第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32は同時に行われるように制御されるのであり、第1傾斜機構31による支承台10の傾斜が行われている最中に、第2傾斜機構32による支承台10の傾斜が行われるのである。換言すれば、整列されるべき一個の小基板wについて、第1傾斜機構31が整列する一辺端と、第2傾斜機構32が整列する一辺端とは、互いに直交するのである。
【0030】
また、この実施形態に係る整列機100は、例えば図5に示すように、前工程から複数の小基板wを当該整列機100内に受け入れるための搬入部40を備えたもので、この搬入部40は、支承台10上への小基板wの搬入を人手を要することなく行うものである。具体的には、この搬入部40は、後述する搬出部50の回転軸51と平行で、表面に搬送ベルトを巻回した回転軸を多数有していて、この回転軸を回転させて、その表面にある搬送ベルトによる小基板wの搬送を行うものである。
【0031】
なお、本実施形態の搬入部40にも、本発明に係る構成を有しているものであり、支承台10上に搬入する前の各小基板wの一辺端についてのみ予め整列を行っておくようにしているが、本発明の実施にあたって、この搬入部40は必ずしも必要ではない。
【0032】
さらに、本実施形態の整列機100は、支承台10上にて整列された各小基板wを次工程に搬出するための搬出部50を備えている。本実施形態における搬出部50は、図11に示したように、後に詳述する支承台10の全体を囲み込む多数の搬出ベルト52を備えているもので、これらの搬出ベルト52は、支承台10の全体を囲み込んで回転駆動される4本の回転軸51に掛装してある。各回転軸51の回転駆動を行うのは、図11中に示した駆動モータ53である。
【0033】
さて、当該整列機100が有する支承台10であるが、この支承台10は、図7〜図12に示したように、前述した搬出部50を組み込んだ支承枠12内の、さらにこの支承枠12に対して水平移動可能に組み付けた第2機枠111に設けてある。支承枠12は、図7の図示右方に示した枢軸11によって、当該整列機100の機枠110に傾動可能に連結したものであり、当該支承枠12内には、上記支承台10や第2機枠111等が、図10及び図11に示したように組み込んである。一方、第2機枠111は、図9に示したように、第2枢軸15によって支承枠12内に傾動可能に連結してある。
【0034】
換言すれば、支承台10を包み込んで支持している支承枠12は、枢軸11によって当該整列機100の機枠110に対して傾動可能に連結してあるのであり、支承枠12に支持されている第2機枠111は、図9に示したように、第2枢軸15によって、支承枠12に対して図9の上下方向に傾動可能になっているのである。そして、支承枠12は、図7に示したように、後述する第1傾斜機構31によって図示左端を自由端とした傾動がなされるのであり、第2機枠111は、図8に示したように、後述する第2傾斜機構32によって図示左端を自由端とした傾動がなされるのである。
【0035】
また、支承台10は、図10にも示したように、機枠110とは独立した第2機枠111に連結したものであり、この第2機枠111は、後述するピン支持台22を支持する各支持軸21をも連結したものである。さらに、この第2機枠111は、図10の両側にてエアシリンダ14を介して支承枠12に組み付けたものであり、これらのエアシリンダ14が作動することによって、図10中の矢印にて示したように、支承台10及び支持軸21を支承枠12に対して上下動させることになるものである。
【0036】
以上の各エアシリンダ14が上動作用をすると第2機枠111が上動し、この第2機枠111に設けてあった支承台10及び各支持軸21も上動するから、図12の(a)中の実線にて示したように、支承台10が有している後述するコロガリ受13の上端が、搬出部50を構成している搬出ベルト52より上方に突出するとともに、ピン支持台22に設けてある各整列ピン23も突出する。以上の結果、各コロガリ受13の上端上にある小基板wが搬出部50の各搬出ベルト52より浮き上がることになるから、この小基板wは、各コロガリ受13上にての整列は可能ではあるが、搬出部50によって搬出されることはない状態となるのである。
【0037】
以上とは反対に、各エアシリンダ14が下動作用をすると第2機枠111が下動し、この第2機枠111に設けてあった支承台10及び各支持軸21も下動するから、図12の(a)中の仮想線にて示したように、第2機枠111及びこれに設けてあった支承台10も下動する。その結果、支承台10が有している後述するコロガリ受13の上端が、搬出部50を構成している搬出ベルト52より下方に下がるとともに、図10に示したように、各整列ピン23の先端が搬出部50の搬出ベルト52が形成している搬送面よりも下方に下がる。以上の結果、各コロガリ受13の上端上にあった小基板wが搬出部50の各搬出ベルト52上に残ることになるから、この小基板wは、各コロガリ受13上にての整列や各コロガリ受13にての移動が不可能となるとともに、搬出部50によって搬出されることになるのである。
【0038】
支承台10には、図12に示したように、多数の溝16が支承台10の略全長方向(図5及び図9では、図示左右方向)に亘って形成してあるが、これらの溝16には、支承台10の下方から整列ピン23が突出することになる。なお、最前列(図12では図示左端の整列ピン23の列)の整列ピン23については、支承台10の略全長方向全体に所定間隔で固定してあるが、それ以外の各整列ピン23については、前述した各溝16内にて、図5の図示左右方向に移動するものである。
【0039】
換言すれば、最前(図5では搬入部40の搬出部に隣接する側)の整列ピン23列は、各小基板wの後端(図12では図示左端となる)の一辺端を支承することになる部分で、各小基板wの後端の整列を行うものである。これに対して次段以降の整列ピン23列は、各溝16の同一位置から突出させることにより、最前列の整列ピン23列に直交する方向の整列ピン23列を形成するのであり、この直交整列ピン23列の間隔は、各小基板wの大きさに応じて設定される。
【0040】
最前列を構成している整列ピン23以外の整列ピン23は、図6に示したように、上述した支承枠12に支持軸21を渡しておいて、これらの各支持軸21上に移動可能に組み付けたピン支持台22に取り付けてある。各支持軸21は、上述した支承台10側の各溝16と平行になっているものであり、図11、及び図12の(a)に示したように、数本の溝16毎に設けてある。各支持軸21上には、図6にも示したように、複数のピン支持台22が移動自在に組み付けてあり、各ピン支持台22は、図示しない制御装置によって、支持軸21上の適宜位置に配置されるものである。
【0041】
各ピン支持台22は、図11、及び図12の(a)にて示したように、複数(本実施形態では2本)の整列ピン23を立設したものであり、この立設に際しては、各整列ピン23が支承台10に形成してある各溝16から支承台10上に突出できるように位置決めしてある。なお、本実施形態では、多数のピン支持台22を左右半分宛のグループに分けて、これを支承台10の左右毎で調整できるようにすることによって、各整列ピン23の立設位置の変更を短時間で行えるようにしてある。
【0042】
以上の結果、支承台10の上面には、最前列の整列ピン23列と、これに直交する方向に並んだ整列ピン23列によって構成された整列部20が組み込んであるのであり、最前列の整列ピン23列に直交する方向に並んだ整列ピン23列は、ピン支持台22の移動によって他の列との間隔が自在に設定できるものである。つまり、この支承台10上には、各小基板wの大きさに合わせた整列区画が自由に設定できるようにしてあるのである。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る整列機100では、整列部20として多数の整列ピン23を採用したものである。整列ピン23は、上記搬出部50の各搬出ベルト52の間に対して出入させるのに有効であるだけでなく、同一部品を組み合わせることによって、前述した第1傾斜機構31による整列方向と、整列ピン23による整列方向とを簡単に構成することができるものである。
【0044】
そして、支承台10には、図11、及び図12の(a)に示したように、多数のコロガリ受13が取り付けてあり、これらのコロガリ受13の上端は、支承台10上にて各小基板wの下面を支承するものである。各コロガリ受13は、図12の(b)に示したように、取付部13bとボール13aとからなるものであって、取付部13bは、支承台10に対して取り付けることができるようにしたものであり、ボール13aは取付部13bに回転自在に組み付けられて、当該取付部13bから突出するものである。
【0045】
支承台10の表面に多数のボール13aが、例えば図5に示したように突出していることにより、1枚の小基板wは、図12の(a)に示したように、これら多数のコロガリ受13によって極めて小さい滑り抵抗で支承されることになる。従って、支承台10が傾斜すれば、各小基板wは、各コロガリ受13のボール13aによって支承台10上を殆ど無抵抗(摩擦)で移動(滑り落下)するのである。
【0046】
そして、本実施形態に係る整列機100において、その傾斜機構30として採用した第1傾斜機構31と傾斜機構30とは、傾斜効率を考慮して次のようなものを採用している。第1傾斜機構31は、図7に示したように、支承台10の長辺方向の傾斜を司るものであり、具体的にはロボシリンダ33を採用したものである。このロボシリンダ33は、整列機100の機枠110内側に傾斜状態で取り付けた案内レールに対して、電気的作用によって移動するものであり、このロボシリンダ33に対して支承台10の長辺側揺動端(図7では支承枠12の図示左部で枢軸11とは反対側部分)が移動可能に連結してある。
【0047】
一方、傾斜機構30を構成している第2傾斜機構32は、図8及び図11に示したように、機枠110に取り付けられる流体圧シリンダを採用したものであり、そのシリンダロッドの先端を支承台10の短辺側揺動端(図8では支承枠12の図示左部で第2枢軸15とは反対側部分)に回動可能に連結してある。
【0048】
以上のように構成した各装置や部材は、電気や流体圧で作動するものであり、これら各装置や部材、及び小基板wの作動タイミング及び位置は、図示しない各種リミットスイッチによって検知できるようになっていることは、言うまでもない。また、各装置や部材、及び小基板wの作動タイミング(シークエンス)、そしてリミットスイッチからの信号は、図示しない制御装置によって制御されていることも、言うまでもない。
【0049】
さて、以上のように構成した整列機100の作動について順に説明すると、多数の小基板wが、図5に示した白抜き矢印方向から搬入部40に搬入されてくるのであるが、この場合、多数の小基板wは、搬入部40の全幅(図5の左右方向)にわたって所定間隔で搬入される。そして、各小基板wは、当該搬入部40によってある程度の整列がなされた状態で、本実施例に係る整列機100内に搬入される。
【0050】
この各小基板wの搬入部40からの搬入にあたって、整列機100においては、図11に示したように、支承台10が水平状態になっていることは勿論、支承台10のコロガリ受13が搬出部50の搬出ベルト52より上方に位置している。従って、搬入部40から送り込まれた各小基板wは、支承台10上の各コロガリ受13によって自由に方向が変えられる状態で支承されている。勿論、このときには、各整列ピン23は小基板wのための整列空間を形成している。この状態は、例えば図2の(b)に示したような場合である。
【0051】
小基板wが図11に示した位置にきたことが検知されると、傾斜機構30を構成している第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32がほぼ同時に作動され、図7及び図8に示したような傾斜がなされる。第1傾斜機構31が傾斜することによって、各小基板wは、例えば図3の(b)に示したような状態となるのである。ここで、あるいはこの途中で、第2傾斜機構32が作動すれば、各小基板wは、図3の(b)に示した位置から左端に寄ることによって整列される。
【0052】
その後、第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32が原位置に復帰してそれぞれ水平状態に戻れば、各小基板wは、最前列の整列ピン23と、これと直交する整列ピン23列によって、図11に示した位置であって、互いに直交する2つの一辺端にて整列されることになる。
【0053】
そこで、今度は、図10に示したエアシリンダ14の作動によって支承台10全体が下がれば(図10に示した状態)、コロガリ受13の上端も搬出部50の搬出ベルト52が作る平面より下側に降下する。これによって各小基板wは搬出ベルト52上に残されることになるから、各小基板wは搬出ベルト52に接触し、この搬出ベルト52が回転駆動されれば(具体的には図11中の矢印方向に回転駆動される)、各小基板wは、当該整列機100の機外に搬出されることになる。
【0054】
この各小基板wの搬出部50による搬出時においては、各小基板wの下面は、搬出方向に回転駆動されている搬出ベルト52にしか接触していないから、当該小基板wは、搬出ベルト52による搬送がなされることはあっても、整列された状態が変更されることはない。
【0055】
以上によって、本発明に係る整列機100は、前工程から乱雑に送り込まれてきた各小基板wを、機内で整列し、後工程に整列されたままの状態で送り出すのである。
【符号の説明】
【0056】
100 整列機
10 支承台
11 枢軸
12 支承枠
13 コロガリ受
13a ボール
13b 取付部
14 エアシリンダ
15 第2枢軸
16 溝
20 整列部
21 支持軸
22 ピン支持台
23 整列ピン
30 傾斜機構
31 第1傾斜機構
32 第2傾斜機構
33 ロボシリンダ
40 搬入部
50 搬出部
51 回転軸
52 搬出ベルト
53 駆動モータ
110 機枠
111 第2機枠
W 原板
w 小基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、次工程に送る前に、複数の小基板を整列するための整列機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を搭載するための基板は、現在では種々なものがあるが、近年では非常に小さくなってきている。このような小基板は、各種製造工程での効率化を図るために、図4にも例示するように、一般的には大型の原板Wから切り出して形成されることが多いものである。
【0003】
このような大型の原板Wから多数の小基板wを切り出すには、プリント配線を保護する必要等から、剪断機よりもカッターが多く利用されるが、カッターだと「切り粉」がより発生し易い。「切り粉」は、そのまま放置しておけば、小基板w上の配線等に悪影響を及ぼすことがあるので、小基板wは、図4に示すように、一旦は洗浄・乾燥工程を経なければならない。
【0004】
洗浄工程を経た小基板wは、乾燥されて次工程に移送されるのであるが、この移送時に各小基板wが完全に整列されていないと、次工程への搬送が行いにくいだけでなく、次工程装置に掛けにくいことになる。そこで、小基板wの「整列」が必要になるのであるが、基板を整列させる装置としては、例えば特許文献1にて提案されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−255157号公報、要約、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1にて提案されている「カセット保持装置、基板供給装置および基板供給方法」は、「基板のたわみ量を減少し大型基板または薄型基板を収納可能にしつつ、基板カセットに収納される複数枚の基板の整列が簡易に行える基板カセット保持装置を提供する」ことを目的としてなされたものである。
【0007】
この特許文献1にて提案されている「カセット保持装置、基板供給装置および基板供給方法」は、図13にも示すように、「基板カセット保持装置10において、カセット載置台11および載置台傾斜手段12を備える。カセット載置台11は複数枚の基板15を収納する基板カセット14を載置保持する。載置台傾斜手段はカセット載置台11を傾斜させ、このカセット載置台11に載置保持された基板カセット14に収納される複数枚の基板15の表面を傾斜した状態に維持する」ものである。しかしながら、「複数枚の基板15の表面を傾斜した状態に維持する」と、各基板15の搬送途中において、各基板15の表面に形成してある配線回路が擦れ合うことがあり、各基板15が損傷する虞があると考えられる。
【0008】
また、前工程からきた小基板wを次工程へ送り込むために、従来一般的に行われていた方法は、前工程と次工程との間に入った作業者が、一個一個の小基板wを手で摘んで整列させて移動させるものであった。この方法だと、作業者が必要になるだけでなく、小基板w上の配線回路に傷を付ける可能性もある。
【0009】
そこで、本発明者等は、小基板wの整列が、作業者を要することなく自動的に、しかも損傷を与えることなく行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0010】
すなわち、本発明の目的とするところは、次工程に搬送すべき複数の小基板を、損傷を与えることなく自動的に整列することのできる整列機を、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「原板Wから直線によって複数に切り出された小基板wを整列する整列機100であって、
小基板wの複数を上面にて水平に支承する支承台10と、この支承台10上に突出して小基板wの一辺端が当接する整列部20と、支承台10を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構30とを備えたことを特徴とする整列機100」
である。
【0012】
すなわち、この整列機100は、例えば図4に示すように、大型の原板Wから多数個取りされた小基板wの洗浄及び乾燥等を行う前工程の次段に配置されるものであり、洗浄及び乾燥がなされた各小基板wについての次の加工を行う次工程の前段に配置されるものである。そして、この整列機100は、前工程での加工が済んだ各小基板wについて整列を行って、整列した各小基板wを次工程に向けて送り出すものなのである。
【0013】
ここで、各小基板wの「一辺端」について説明すると、この一辺端は、原板Wをカッターによって直線状に切り出したときにできる端の線を言う。一般的に、小基板wは4つの直角コーナーを有した四角形状に切り出されるものであり、この場合には、一辺端は4カ所できることになるから、通常形状の小基板wでは、互いに直交する4つのものが存在している。
【0014】
この整列機100は、図1〜図3に示すように、複数の小基板wを支承するための支承台10と、この支承台10に複数設けられて、互いに平行となる整列部20と、上記支承台10全体の傾斜及び原位置(水平状態)への復帰を行う傾斜機構30とを備えたものである。
【0015】
支承台10は、図1及び図2の各(a)に示すように、前工程から複数の小基板wを受け取るものであり、この受取時には、傾斜機構30によって傾斜されることはなく、各小基板wを水平状態に支承するものである。また、この支承台10の上面は、支承した各小基板wの整列を行うために、各小基板wの移動または滑りが容易に行えるようにしてある。
【0016】
そして、この支承台10は、傾斜機構30による傾斜が行えるように、当該整列機100を構成している機枠の一部に枢軸11によって枢着してある。つまり、この支承台10は、図1の(a)の水平状態と、図1の(b)に示す傾斜状態になされるものであり、当然のことながら、傾斜は枢軸11を中心にしてなされる。
【0017】
支承台10上の整列部20は、小基板wの一辺端が当接するものであれば何で構成してもよいが、例えば図2から理解できるような「板」であってもよいし、後述する実施形態におけるように、小基板wの一辺端が複数箇所で当接し得る複数の整列ピンであってもよいものである。
【0018】
換言すれば、各整列部20は、板ならその一面に、複数の整列ピンであればその並んだ方向に、小基板wの一辺端の全部あるいは一部の直線部分が当接したとき、この小基板wの整列を行うものである。勿論、この整列部20は、複数の小基板wを個別に整列するために、整列すべき小基板wの数分用意されるものであり、各小基板wの大きさに合わせた位置調整もできるようにされるものである。
【0019】
傾斜機構30は、上記の支承台10を傾斜させるものであり、図1に示すような「エアシリンダ」を採用したり、後述する実施形態で採用しているようなサーボモータを使用した「ロボシリンダ」が採用される。その他にも、支承台10の、枢軸11とは反対側の端部に連結したワイヤ等を、サーボモータによって上下させるようなものであってもよい。いずれにしても、この傾斜機構30は、図1の(a)と(b)との比較から分かるように、支承台10の水平状態と傾斜状態を交互に作り出すものである。
【0020】
以上のように構成した整列機100では、その支承台10が、図1及び図2の各(a)にて示した水平状態にあるときに、前工程から複数の小基板wが送り込まれる。送り込まれた各小基板wは、図2の(b)に示すように、各整列部20間においてあらゆる方向に向いているから、そのままでは次工程に送り出せない。
【0021】
そこで、本発明に係る整列機100では、図3にも示すように、支承台10を傾斜させることによって各小基板wをこの支承台10上にて「滑り落下」させるのである。小基板wの滑り落下先には整列部20が待ちかまえているから、各小基板wはこの整列部20によって、図3の(b)に示すように、整列されることになるのである。何故なら、自然落下による力は、整列部20が板であれ複数のピンであれ、これに小基板wの一辺端の全体または部分が密着するように、各小基板wに回転モーメントをも引き起こすから、結果的に、各小基板wは整列部20に当接することによって、整列されるのである。
【0022】
各小基板wが整列されたときに、傾斜機構30によって支承台10を再び水平状態に戻せば、重力による回転モーメントは最早発生しないだけでなく、他の力も何ら発生しないから、各小基板wは、整列されたままの状態、つまり、図3の(b)に示すような状態で搬出を待つことができるのである。
【0023】
以上の結果、前工程から送られてきた各小基板wの整列は、重力による自然落下という極めて効率的な力を有効に利用できて、整列機100全体の構成も簡略化でき、しかも人手を要することなく自動的に行えるのである。勿論、各小基板wは、滑りやすくした支承台10上を、単に支承台10の傾斜によって滑るだけであり、他に何らの接触もしないのであるから、当該小基板wに損傷の発生する余地は全くないのである。
【0024】
なお、整列された各小基板wの搬出は、後述する実施形態におけるような搬出ベルトによって行ってもよいし、支承台10上にて搬送方向に移動する「爪」によって小基板wの後端部を押すようにしてもよい。
【0025】
従って、本発明に係る整列機100は、次工程に搬送すべき複数の小基板wを、損傷を与えることなく自動的に整列するものとなっているのである。
【発明の効果】
【0026】
以上、説明した通り、本発明においては、
「原板Wから直線によって複数に切り出された小基板wを整列する整列機100であって、
小基板wの複数を上面にて水平に支承する支承台10と、この支承台10上に突出して小基板wの一辺端が当接する整列部20と、支承台10を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構30とを備えたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、次工程に搬送すべき複数の小基板wを、損傷を与えることなく自動的に整列することのできる整列機100を、簡単な構成によって提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のクレーム対応図であり、(a)は支承台10を水平状態にしたときの整列機100の側面図、(b)は支承台10を傾斜状態にしたときの整列機100の側面図である。
【図2】本発明に係る整列機100を示すもので、(a)は前工程と次工程との間に配置し支承台10を水平状態にしたときの正面図、(b)は小基板wが搬入されたままの状態にある支承台10の平面図である。
【図3】同整列機100を示すもので、(a)は支承台10を傾斜状態にしたときの正面図、(b)は小基板wが整列されたときの支承台10と平行にみた支承台10上の状態図である。
【図4】本発明に係る整列機100が、切断工程にて切り出された小基板wの洗浄・乾燥工程と、次工程との間に配置されている様子を示す概略側面図である。
【図5】実施例に係る整列機100の平面図である。
【図6】同整列機100を構成している支承枠12内の様子を概略的に示す側面図である。
【図7】同整列機100のカバーを外したときの様子を示す図であり、支承台10の水平状態と傾斜状態とを同時に示した側面図である。
【図8】同整列機100のカバーを外したときの正面図である。
【図9】同整列機100のユニット化した支承台10の拡大平面図である。
【図10】同整列機100を構成している支承枠12内の様子を示す拡大側面図である。
【図11】同整列機100を構成している支承枠12内の様子と、この支承枠12を傾斜させる第2傾斜機構32との位置関係を示す部分拡大正面図である。
【図12】同整列機100の細部を示すもので、(a)は図11の左上部分を拡大して示した拡大図、(b)は支承台10に多数も受けてあるコロガリ受13の拡大図である。
【図13】特許文献1に示された技術を示すもので、(a)、(b)共に基板を傾斜させた様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、上記のように構成した本発明を、図面に示した実施の形態である整列機100について説明すると、図5〜図12には、本実施形態に係る整列機100が示してある。
【0029】
この実施形態に係る整列機100は、傾斜機構30として、図7に示した第1傾斜機構31と、図11に示した第2傾斜機構32とからなるものを採用したものであり、これらの第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32は、その各傾斜方向面が直交するようにしたものである。また、これらの第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32は同時に行われるように制御されるのであり、第1傾斜機構31による支承台10の傾斜が行われている最中に、第2傾斜機構32による支承台10の傾斜が行われるのである。換言すれば、整列されるべき一個の小基板wについて、第1傾斜機構31が整列する一辺端と、第2傾斜機構32が整列する一辺端とは、互いに直交するのである。
【0030】
また、この実施形態に係る整列機100は、例えば図5に示すように、前工程から複数の小基板wを当該整列機100内に受け入れるための搬入部40を備えたもので、この搬入部40は、支承台10上への小基板wの搬入を人手を要することなく行うものである。具体的には、この搬入部40は、後述する搬出部50の回転軸51と平行で、表面に搬送ベルトを巻回した回転軸を多数有していて、この回転軸を回転させて、その表面にある搬送ベルトによる小基板wの搬送を行うものである。
【0031】
なお、本実施形態の搬入部40にも、本発明に係る構成を有しているものであり、支承台10上に搬入する前の各小基板wの一辺端についてのみ予め整列を行っておくようにしているが、本発明の実施にあたって、この搬入部40は必ずしも必要ではない。
【0032】
さらに、本実施形態の整列機100は、支承台10上にて整列された各小基板wを次工程に搬出するための搬出部50を備えている。本実施形態における搬出部50は、図11に示したように、後に詳述する支承台10の全体を囲み込む多数の搬出ベルト52を備えているもので、これらの搬出ベルト52は、支承台10の全体を囲み込んで回転駆動される4本の回転軸51に掛装してある。各回転軸51の回転駆動を行うのは、図11中に示した駆動モータ53である。
【0033】
さて、当該整列機100が有する支承台10であるが、この支承台10は、図7〜図12に示したように、前述した搬出部50を組み込んだ支承枠12内の、さらにこの支承枠12に対して水平移動可能に組み付けた第2機枠111に設けてある。支承枠12は、図7の図示右方に示した枢軸11によって、当該整列機100の機枠110に傾動可能に連結したものであり、当該支承枠12内には、上記支承台10や第2機枠111等が、図10及び図11に示したように組み込んである。一方、第2機枠111は、図9に示したように、第2枢軸15によって支承枠12内に傾動可能に連結してある。
【0034】
換言すれば、支承台10を包み込んで支持している支承枠12は、枢軸11によって当該整列機100の機枠110に対して傾動可能に連結してあるのであり、支承枠12に支持されている第2機枠111は、図9に示したように、第2枢軸15によって、支承枠12に対して図9の上下方向に傾動可能になっているのである。そして、支承枠12は、図7に示したように、後述する第1傾斜機構31によって図示左端を自由端とした傾動がなされるのであり、第2機枠111は、図8に示したように、後述する第2傾斜機構32によって図示左端を自由端とした傾動がなされるのである。
【0035】
また、支承台10は、図10にも示したように、機枠110とは独立した第2機枠111に連結したものであり、この第2機枠111は、後述するピン支持台22を支持する各支持軸21をも連結したものである。さらに、この第2機枠111は、図10の両側にてエアシリンダ14を介して支承枠12に組み付けたものであり、これらのエアシリンダ14が作動することによって、図10中の矢印にて示したように、支承台10及び支持軸21を支承枠12に対して上下動させることになるものである。
【0036】
以上の各エアシリンダ14が上動作用をすると第2機枠111が上動し、この第2機枠111に設けてあった支承台10及び各支持軸21も上動するから、図12の(a)中の実線にて示したように、支承台10が有している後述するコロガリ受13の上端が、搬出部50を構成している搬出ベルト52より上方に突出するとともに、ピン支持台22に設けてある各整列ピン23も突出する。以上の結果、各コロガリ受13の上端上にある小基板wが搬出部50の各搬出ベルト52より浮き上がることになるから、この小基板wは、各コロガリ受13上にての整列は可能ではあるが、搬出部50によって搬出されることはない状態となるのである。
【0037】
以上とは反対に、各エアシリンダ14が下動作用をすると第2機枠111が下動し、この第2機枠111に設けてあった支承台10及び各支持軸21も下動するから、図12の(a)中の仮想線にて示したように、第2機枠111及びこれに設けてあった支承台10も下動する。その結果、支承台10が有している後述するコロガリ受13の上端が、搬出部50を構成している搬出ベルト52より下方に下がるとともに、図10に示したように、各整列ピン23の先端が搬出部50の搬出ベルト52が形成している搬送面よりも下方に下がる。以上の結果、各コロガリ受13の上端上にあった小基板wが搬出部50の各搬出ベルト52上に残ることになるから、この小基板wは、各コロガリ受13上にての整列や各コロガリ受13にての移動が不可能となるとともに、搬出部50によって搬出されることになるのである。
【0038】
支承台10には、図12に示したように、多数の溝16が支承台10の略全長方向(図5及び図9では、図示左右方向)に亘って形成してあるが、これらの溝16には、支承台10の下方から整列ピン23が突出することになる。なお、最前列(図12では図示左端の整列ピン23の列)の整列ピン23については、支承台10の略全長方向全体に所定間隔で固定してあるが、それ以外の各整列ピン23については、前述した各溝16内にて、図5の図示左右方向に移動するものである。
【0039】
換言すれば、最前(図5では搬入部40の搬出部に隣接する側)の整列ピン23列は、各小基板wの後端(図12では図示左端となる)の一辺端を支承することになる部分で、各小基板wの後端の整列を行うものである。これに対して次段以降の整列ピン23列は、各溝16の同一位置から突出させることにより、最前列の整列ピン23列に直交する方向の整列ピン23列を形成するのであり、この直交整列ピン23列の間隔は、各小基板wの大きさに応じて設定される。
【0040】
最前列を構成している整列ピン23以外の整列ピン23は、図6に示したように、上述した支承枠12に支持軸21を渡しておいて、これらの各支持軸21上に移動可能に組み付けたピン支持台22に取り付けてある。各支持軸21は、上述した支承台10側の各溝16と平行になっているものであり、図11、及び図12の(a)に示したように、数本の溝16毎に設けてある。各支持軸21上には、図6にも示したように、複数のピン支持台22が移動自在に組み付けてあり、各ピン支持台22は、図示しない制御装置によって、支持軸21上の適宜位置に配置されるものである。
【0041】
各ピン支持台22は、図11、及び図12の(a)にて示したように、複数(本実施形態では2本)の整列ピン23を立設したものであり、この立設に際しては、各整列ピン23が支承台10に形成してある各溝16から支承台10上に突出できるように位置決めしてある。なお、本実施形態では、多数のピン支持台22を左右半分宛のグループに分けて、これを支承台10の左右毎で調整できるようにすることによって、各整列ピン23の立設位置の変更を短時間で行えるようにしてある。
【0042】
以上の結果、支承台10の上面には、最前列の整列ピン23列と、これに直交する方向に並んだ整列ピン23列によって構成された整列部20が組み込んであるのであり、最前列の整列ピン23列に直交する方向に並んだ整列ピン23列は、ピン支持台22の移動によって他の列との間隔が自在に設定できるものである。つまり、この支承台10上には、各小基板wの大きさに合わせた整列区画が自由に設定できるようにしてあるのである。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る整列機100では、整列部20として多数の整列ピン23を採用したものである。整列ピン23は、上記搬出部50の各搬出ベルト52の間に対して出入させるのに有効であるだけでなく、同一部品を組み合わせることによって、前述した第1傾斜機構31による整列方向と、整列ピン23による整列方向とを簡単に構成することができるものである。
【0044】
そして、支承台10には、図11、及び図12の(a)に示したように、多数のコロガリ受13が取り付けてあり、これらのコロガリ受13の上端は、支承台10上にて各小基板wの下面を支承するものである。各コロガリ受13は、図12の(b)に示したように、取付部13bとボール13aとからなるものであって、取付部13bは、支承台10に対して取り付けることができるようにしたものであり、ボール13aは取付部13bに回転自在に組み付けられて、当該取付部13bから突出するものである。
【0045】
支承台10の表面に多数のボール13aが、例えば図5に示したように突出していることにより、1枚の小基板wは、図12の(a)に示したように、これら多数のコロガリ受13によって極めて小さい滑り抵抗で支承されることになる。従って、支承台10が傾斜すれば、各小基板wは、各コロガリ受13のボール13aによって支承台10上を殆ど無抵抗(摩擦)で移動(滑り落下)するのである。
【0046】
そして、本実施形態に係る整列機100において、その傾斜機構30として採用した第1傾斜機構31と傾斜機構30とは、傾斜効率を考慮して次のようなものを採用している。第1傾斜機構31は、図7に示したように、支承台10の長辺方向の傾斜を司るものであり、具体的にはロボシリンダ33を採用したものである。このロボシリンダ33は、整列機100の機枠110内側に傾斜状態で取り付けた案内レールに対して、電気的作用によって移動するものであり、このロボシリンダ33に対して支承台10の長辺側揺動端(図7では支承枠12の図示左部で枢軸11とは反対側部分)が移動可能に連結してある。
【0047】
一方、傾斜機構30を構成している第2傾斜機構32は、図8及び図11に示したように、機枠110に取り付けられる流体圧シリンダを採用したものであり、そのシリンダロッドの先端を支承台10の短辺側揺動端(図8では支承枠12の図示左部で第2枢軸15とは反対側部分)に回動可能に連結してある。
【0048】
以上のように構成した各装置や部材は、電気や流体圧で作動するものであり、これら各装置や部材、及び小基板wの作動タイミング及び位置は、図示しない各種リミットスイッチによって検知できるようになっていることは、言うまでもない。また、各装置や部材、及び小基板wの作動タイミング(シークエンス)、そしてリミットスイッチからの信号は、図示しない制御装置によって制御されていることも、言うまでもない。
【0049】
さて、以上のように構成した整列機100の作動について順に説明すると、多数の小基板wが、図5に示した白抜き矢印方向から搬入部40に搬入されてくるのであるが、この場合、多数の小基板wは、搬入部40の全幅(図5の左右方向)にわたって所定間隔で搬入される。そして、各小基板wは、当該搬入部40によってある程度の整列がなされた状態で、本実施例に係る整列機100内に搬入される。
【0050】
この各小基板wの搬入部40からの搬入にあたって、整列機100においては、図11に示したように、支承台10が水平状態になっていることは勿論、支承台10のコロガリ受13が搬出部50の搬出ベルト52より上方に位置している。従って、搬入部40から送り込まれた各小基板wは、支承台10上の各コロガリ受13によって自由に方向が変えられる状態で支承されている。勿論、このときには、各整列ピン23は小基板wのための整列空間を形成している。この状態は、例えば図2の(b)に示したような場合である。
【0051】
小基板wが図11に示した位置にきたことが検知されると、傾斜機構30を構成している第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32がほぼ同時に作動され、図7及び図8に示したような傾斜がなされる。第1傾斜機構31が傾斜することによって、各小基板wは、例えば図3の(b)に示したような状態となるのである。ここで、あるいはこの途中で、第2傾斜機構32が作動すれば、各小基板wは、図3の(b)に示した位置から左端に寄ることによって整列される。
【0052】
その後、第1傾斜機構31及び第2傾斜機構32が原位置に復帰してそれぞれ水平状態に戻れば、各小基板wは、最前列の整列ピン23と、これと直交する整列ピン23列によって、図11に示した位置であって、互いに直交する2つの一辺端にて整列されることになる。
【0053】
そこで、今度は、図10に示したエアシリンダ14の作動によって支承台10全体が下がれば(図10に示した状態)、コロガリ受13の上端も搬出部50の搬出ベルト52が作る平面より下側に降下する。これによって各小基板wは搬出ベルト52上に残されることになるから、各小基板wは搬出ベルト52に接触し、この搬出ベルト52が回転駆動されれば(具体的には図11中の矢印方向に回転駆動される)、各小基板wは、当該整列機100の機外に搬出されることになる。
【0054】
この各小基板wの搬出部50による搬出時においては、各小基板wの下面は、搬出方向に回転駆動されている搬出ベルト52にしか接触していないから、当該小基板wは、搬出ベルト52による搬送がなされることはあっても、整列された状態が変更されることはない。
【0055】
以上によって、本発明に係る整列機100は、前工程から乱雑に送り込まれてきた各小基板wを、機内で整列し、後工程に整列されたままの状態で送り出すのである。
【符号の説明】
【0056】
100 整列機
10 支承台
11 枢軸
12 支承枠
13 コロガリ受
13a ボール
13b 取付部
14 エアシリンダ
15 第2枢軸
16 溝
20 整列部
21 支持軸
22 ピン支持台
23 整列ピン
30 傾斜機構
31 第1傾斜機構
32 第2傾斜機構
33 ロボシリンダ
40 搬入部
50 搬出部
51 回転軸
52 搬出ベルト
53 駆動モータ
110 機枠
111 第2機枠
W 原板
w 小基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原板から直線によって複数に切り出された小基板を整列する整列機であって、
前記小基板の複数を上面にて水平に支承する支承台と、この支承台上に突出して前記小基板の一辺端が当接する整列部と、前記支承台を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構とを備えたことを特徴とする整列機。
【請求項1】
原板から直線によって複数に切り出された小基板を整列する整列機であって、
前記小基板の複数を上面にて水平に支承する支承台と、この支承台上に突出して前記小基板の一辺端が当接する整列部と、前記支承台を傾斜させてから水平に戻す傾斜機構とを備えたことを特徴とする整列機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−251798(P2011−251798A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125821(P2010−125821)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(305034915)株式会社ダイワ (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(305034915)株式会社ダイワ (2)
【Fターム(参考)】
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