説明

小孔径および/または中孔径を有するゼオライトの処理方法とそれの軽質オレフィンのオリゴメライゼイションへの使用

【課題】小孔径および/または中孔径を有するゼオライトの処理方法とそれの軽質オレフィンのオリゴメライゼイションへの使用を提供する。
【解決手段】7Åより小さいか等しい孔径を持つ少なくとも一種類のゼオライトの処理方法であって、少なくともa)該ゼオライトの脱アルミニウム化の工程、b)H以外の少なくとも一種類のカチオンを用いるカチオン交換工程、c)少なくとも一つのシリコン原子を含む少なくとも一種類の分子化合物の存在下に工程b)で得られた該ゼオライトを処理する工程、d)少なくとも一つの熱処理工程からなる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒に好適に使用されたり、異なった化学構造の炭化水素の転化反応に使われたりする修飾ゼオライトを得るために、小孔径および/または中孔径、特に7Åより小さいか等しい孔径を有する少なくとも1種類のゼオライトの処理方法に関し、さらに軽質オレフィン仕込原料のオリゴメライゼイションの反応において修飾ゼオライトを含む触媒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの特許が既にゼオライトの修飾する方法について開示している。特に特許文献1は、ゼオライトの孔の内部に非晶性のシリカを少なくとも0.3重量%水相で沈着させることを含む工程からなるゼオライトに基づく触媒を調製する方法を開示している。特許文献2は、シリコン原子によるゼオライトの構造に存在するアルミニウム原子を置換する方法を開示している。その方法は水溶液中でフルオロケイ酸塩を使用する工程で実施される。特許文献3は気相または液相で有機ケイ素物質を沈着する工程からなるゼオライト触媒の調製を開示している。言及されているゼオライトは大きな孔径を有するもので、特にゼオライト−Yである。
【0003】
特許文献4は、Si/Al比が12以上で、拘束指数(CI)が1から12で、ゼオライトに対して0.1重量%のシリカが添加されているゼオライトを含む触媒を使用したポリプロピレンのオリゴメライゼイションの方法を開示している。特許文献4において言及されている触媒は始めのゼオライトに1%以下のn−ヘキサンを吸着している。
【特許文献1】米国特許第4402867号明細書
【特許文献2】米国特許第4996034号明細書
【特許文献3】米国特許第4451572号明細書
【特許文献4】米国特許第5057640号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、小孔径および/または中孔径を有するゼオライトの処理方法とそれの軽質オレフィンのオリゴメライゼイションへの使用を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、7Åより小さいか等しい孔径を有する少なくとも1種類のゼオライトの処理方法に関し、少なくともa)該ゼオライトの脱アルミニウム化の工程、b)少なくとも1種類のH以外のカチオンを使用するカチオン交換工程、c)少なくとも一つのシリコン原子を含む少なくとも1種類の分子化合物の存在下で工程b)で得られる該ゼオライトを処理する工程、d)少なくとも一つの熱処理工程 からなる。ゼオライトは好ましくはMEL,MFI,ITH,NES,EUO,ERI,FER,CHA,MFS,MWW,MTT,TON,そしてMORの型のゼオライトから選ばれる。工程b)から生成したゼオライトは最適条件で工程c)を実施するためどんなプロトンもない。本発明の方法の工程c)は、気相中で少なくとも一つのシリコン原子を含む分子化合物の沈着に進むことにより実施されることが好ましい。そして固定層反応装置で実施されるのが好ましい。
【0006】
本発明はまた、本発明の課題の処理方法に従って処理されたゼオライトを含む触媒の調製に関し、そして分子当たり2から12の炭素原子からなる炭化水素分子を含むオレフィン仕込原料のオリゴメライゼイションの工程で該触媒の使用にも関する。
【発明の効果】
【0007】
少なくともa)該ゼオライトの脱アルミニウム化の工程、b)少なくとも1種類のH以外のカチオンを使用するカチオン交換工程、c)少なくとも一つのシリコン原子を含む少なくとも1種類の分子化合物の存在下で工程b)で得られる該ゼオライトを処理する工程、d)少なくとも一つの熱処理工程からなる処理方法で修飾されたゼオライトからなる触媒は改善された触媒性能を示し、特に分子当たり2から12の炭素原子、好ましくは分子当たり3から7の炭素原子、さらに好ましくは4から6の炭素原子からなる炭化水素分子を含むオレフィン仕込原料のオリゴメライゼイションの反応において改善された性能、特に活性と選択率を示すことは予期せぬ発見である。特にそのような触媒は、触媒の活性を実質的に増加させることが出来る。それはオレフィン仕込原料の転化のレベルの顕著な増加と、現状技術の触媒を使用して得られるものに関してガソリン留分とディーゼル留分の収率の増加に繋がる。ディーゼルに存在する炭化水素の鎖の直線性を意味するセタン価は、一般的にディーゼル留分が有するものに比べると有利に改善する。分子当たり2から12の炭素原子、好ましくは分子当たり3から7の炭素原子、さらに好ましくは4から6の炭素原子からなる炭化水素分子を含むオレフィン仕込原料のオリゴメライゼイションの反応において上に述べた触媒の使用は、精製装置のガス油貯槽に直接供給することが好都合にできる大変高品質なオリゴマーを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、7Åより小さいか等しい孔径を有する少なくとも1種類のゼオライトの処理方法に関し、少なくとも以下の工程から成る。
【0009】
a)該ゼオライトの脱アルミニウム化の工程、
b)少なくとも1種類のH以外のカチオンを使用するカチオン交換工程、
c)少なくとも一つのシリコン原子を含む少なくとも1種類の分子化合物の存在下で工程b)で得られる該ゼオライトを処理する工程、
d)少なくとも一つの熱処理工程。
【0010】
本発明に従えば、本発明の方法に従って処理されたゼオライトは7Åより小さいか等しい孔径を有する。好ましくは6.5Å以下である。ゼオライトは、本出願が参照する“Atlas of Zeolite Structure Types”,W.M.Meier,D.H.Olson and Ch.Baerlocher,5th revised edition,2001,Elsevier“ の分類で定義されているものであるが、しかし7Åより小さいか等しい孔径を有するどんなゼオライトでも良い。“Atlas of Zeolite Structure Types”にリストされているゼオライトは、孔や通路(passages)の開口部の大きさに従ってそこで分類されている。7Åより小さいか等しい、好ましくは6.5Å以下の孔径を有する全てのゼオライトは、本発明の処理方法に適している。好適には本発明の方法で処理されたゼオライトは、8個の酸素原子(8 MR)を有する環で定義される開口部の通路もしくは10個の酸素原子(10 MR)を有する環で定義される開口部を持つ通路を少なくとも有する。または8個の酸素原子(8 MR)を有する環で定義される開口部と10個の酸素原子(10 MR)を有する環で定義される開口部の両方を持つ通路であってお互いが連結できるものである。12個の酸素原子(12 MR)を有する環で定義される開口部を持つ通路を少なくとも有するゼオライトは7Åより小さいか等しい孔径を有するので、本発明の方法を実施するのにまた適する。特に8個の酸素原子(8 MR)を有する環で定義される開口部と12個の酸素原子(12 MR)を有する環で定義される開口部の両方を持つ通路を有するMOR型のゼオライトは、本発明の処理方法を実施するのに適する。
【0011】
本発明の方法で処理されたゼオライトは、Si/Al原子比が好ましくは2から200の間、さらに好ましくは5から100の間、さらにもっと好ましくは8から80の間である割合で少なくともシリコンとアルミニウムを含む。ゼオライトは、シリコンとアルミニウムとは異なる少なとも一つの他の元素Wを含むのが好適である。この元素はゼオライトの骨格の四面体構造に組み入れられる。好ましくは該元素Wは、鉄、ゲルマニウム、ホウ素とチタンから選ばれ、そして酸素原子以外のゼオライト骨格を構成する全ての原子の5から30%の間の重量%である。そしてゼオライトは、2から200の間、好ましくは5から100の間、さらに好ましくは8から80の間の(Si+W)/Al比を有する。Wは上で定義されている。
【0012】
本発明の方法により処理されたゼオライトは、好ましくはMEL, MFI,ITH,NES,EUO,ERI,FER,CHA,MFS,MWW,MTT,TON,そしてMORの型のゼオライトから選ばれる。さらに好ましくは、TOS,MFS,MORとFERの型から選ばれる。MEL型ゼオライトの中では、ZSM-11型が好ましい。MFI型ゼオライトの中ではZSM−5型ゼオライトが好ましい。ITH型ゼオライトの中ではITQ−13が好ましい(US 6471941)。NES型ゼオライトの中では、NU−87型ゼオライトが好ましい。EUO型ゼオライトの中では、EU−1型ゼオライトが好ましい。ERI型ゼオライトの中では、エリオナイト型ゼオライトが好ましい。FER型ゼオライトの中では、フェリエライト型ゼオライトとZSM−35型ゼオライトが好ましい。CHA型ゼオライトの中では、チャバザイト型ゼオライトが好ましい。MFS型ゼオライトの中では、ZSM−57型ゼオライトが好ましい。MWW型ゼオライトの中では、MCM−22型ゼオライトが好ましい。MTT型ゼオライトの中では、ZSM−23型ゼオライトが好ましい。TON型ゼオライトの中では、ZSM−22型ゼオライトが好ましい。MOR型ゼオライトの中では、モルデナイト型ゼオライトが好ましい。それらのゼオライトとそれらの調製方法は当業者には良く知られている。
【0013】
本発明の方法の工程a)は、ゼオライト骨格からアルミニウム原子を部分的に引き抜くことからなる脱アルミニウム化工程である。好ましくは工程a)の結果得られた脱アルミニウム化されたゼオライトのSi/Al原子比は本発明の方法で処理されたゼオライトの当初のSi/Al原子比と比較して少なくとも10%増加する。さらに好ましくは本発明の方法の該工程a)は、本発明の方法で処理されたゼオライトの当初のSi/Al原子比において少なくとも20%の増加である。
【0014】
本発明の方法の脱アルミニウム化工程a)は、当業者に知られているどんな方法で実施されても良い。好適には、この後に説明する二つの方法の一つ以上により実施される。当初の脱アルミニウム化方法は酸の攻撃と呼ばれるもので、二つ目の脱アルミニウム化方法は熱処理と呼ばれるものである。
【0015】
工程a)を実施する前の本発明の方法により処理されるゼオライトは、それを調製するために使用した有機構造規定剤(鋳型剤)をまだ含んでいる未処理の合成した状態のままか、または焼成した状態である。さらに好ましくはそれが焼成した状態である。そしてナトリウムの含有量が、乾燥したゼオライトの全重量に関して0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%で、プロトン化した状態(水素Hの状態)になるように少なくとも1種類のカチオン、好ましくはプロトンをそれは含んでいる。工程a)を実施する前にプロトン化した状態のゼオライトを得るための手順は、ゼオライトに存在するアルカリ金属カチオンを少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に除去するように例えば硝酸アンモニウム NHNOのような少なくとも一種類のアンモニウム塩を含む溶液を用いる少なくとも一つのイオン交換操作を一般的に含む。一般的に約400から500℃の間の温度で乾燥空気流通下での焼成工程の目的は、ゼオライトの水素の状態に導くアンモニアの脱着によりゼオライトのプロトンを再生することである。
【0016】
本発明の方法の工程a)を実施する当初の方法は、直接の酸の攻撃と呼ばれる方法である。脱アルミニウム化されるゼオライトが、水素Hの状態であり、そして有機構造規定剤がない時に適用されるのが好ましい。その方法はHNOまたはHClのような無機酸またはCHCOHのような有機酸の水溶液を用いて処理する工程からなる。その工程は脱アルミニウム化の望ましいレベルを達成するため必要なだけ何回も繰り返される。望ましいSi/Al比を達成するために操作条件をうまく選ぶことが必要である。その観点からみれば最も決定的なパラメーターは酸水溶液による処理の温度である。温度は25℃と100℃の間が好ましく、酸の濃度は1Nから15Nの間が好ましく、酸の種類はHNO,HClとCHCOHから選ばれるのが好ましく、酸溶液の量と処理されるゼオライトの体積の比は1から30が好ましく、処理時間は30分から10時間の間が好ましく、そして実施される処理の回数は1から5の間が好ましい。
【0017】
実験例によるか、網羅的なリストなしに、以下の脱アルミニウム化化合物を用いて脱アルミニウム化処理を達成することもまた可能である。四塩化ケイ素(SiCl)(Sohn et al.,Applied Catalysis A−General,218(1−2),229−234(2001))、アンモニウム ヘキサフルオロシリケート((NHSiF)(Garralon et al.,Zeolites,8,268−272(1988)),エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(Gola et al.,Microporous and Mesoporous Materials,40(1−3),73−83(2000)),であり、その一ナトリウム体や二ナトリウム体でも良い。これらの反応剤は溶液中か気相で使用される。例えばSiClの場合は気相である。
【0018】
本発明の方法の工程a)を実施する第二の方法は、熱処理法(特にスチームまたはスチーミングの使用)と呼ばれる方法である。その方法は一般的に550から900℃の間の温度でキャリアガスの存在下で実施される少なくとも一つの熱処理を含む少なくとも一つの骨格の脱アルミニウムのサイクルからなる。キャリアガスとしては窒素が好ましく、酸素は存在するかまたは存在しない。熱処理はスチームの存在下で実施されるのが好ましく、そしてHNOまたはHClのような無機酸またはCHCOHのような有機酸の水溶液を使用して少なくとも一つの酸攻撃が続くのが好ましい。熱処理の間、キャリアガスは好ましくは10から90%の間、さら好ましくは20から80%の間のスチームを含むことが好ましい。好適にスチームの存在下で実施される熱処理時間は1から10時間が好ましく、さらに1から7時間が好ましい。好適には熱処理に続く酸攻撃の条件は、脱アルミニウム化の望むレベルを達成するように合わせられる。酸水溶液の処理の温度は、25℃と100℃の間が好ましく、その酸の濃度は1Nから15Nの間が好ましく、その酸はHNO、HClとCHCOHから選ばれるのが好ましく、酸溶液の量と処理されるゼオライトの体積の比は1から30が好ましく、酸攻撃が関係する処理時間は30分から10時間の間が好ましく、そして実施される処理の回数は1から5の間が好ましい。同じ目的のために実施される熱処理−酸攻撃脱アルミニウム化のサイクルの回数を調節することは可能である。
【0019】
本発明の方法の工程a)を実施する第二の方法は、有機構造規定剤をまだ含んでいる未処理の合成した状態のゼオライトの脱アルミニウム化、そして有機構造規定がない焼成した状態のゼオライトの脱アルミニウム化のために適用される。特に有機構造規定剤をまだ含んでいるゼオライトの上で実施される工程a)に関係する状況の時に、一般的に550℃と900℃の間の温度で、好ましくはスチームの存在下で好適に達成される熱処理は、有機構造規定剤の同時の焼成を可能にする。
【0020】
第二の方法の変形は、任意の酸攻撃を代替することに関係する。すなわち酸溶液による処理、化学的脱アルミニウム化の化合物の溶液の使用による処理である。脱アルミニウム化の化合物として例えば四塩化ケイ素(SiCl)(Sohn et al.,Applied Catalysis A−General,218(1−2),229−234(2001))、アンモニウム ヘキサフルオロシリケート((NHSiF)(Garralon et al.,Zeolites,8,268−272(1988)),エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(Gola et al.,Microporous and Mesoporous Materials,40(1−3),73−83(2000)),であり、その一ナトリウム体や二ナトリウム体でも良い。これらの反応剤は溶液中か気相で使用される。例えばSiClの場合は気相である。
【0021】
好ましくスチームの存在下で実施される少なくとも一つの熱処理工程とそれに続くゼオライト上の酸媒体中の少なくとも一種類の酸攻撃からなる骨格の脱アルミニウム化のサイクルは、特にSi/Al原子比の点で望む特性を有する脱アルミニウム化のゼオライトを得るに必要な回数が繰り返される。さらにスチームの存在下で好適に実施される熱処理に続いて、出来る限り異なった濃度のレベルの酸溶液を使用した多数の連続した酸攻撃操作が実施される。
【0022】
本発明の方法の脱アルミニウム化の工程a)の結果において脱アルミニウム化のゼオライトはカチオン状態、好ましくはプロトン化された状態(水素H型)であり、有機構造規定剤を含んでいない。工程a)の終点で脱アルミニウム化のゼオライトに存在するカチオンは、当業者に良く知られた補償カチオンと呼ぶカチオンである。
【0023】
カチオン状態、好ましくはプロトン状態の脱アルミニウム化したゼオライトは、本発明の方法の工程b)に従って、H以外の少なくとも一種類のカチオンを用いてカチオン交換工程を通る。好適にはこれは非酸カチオンである。本発明の方法の工程b)のカチオン交換は当業者に良く知られたすべての操作で、特に過剰の溶液交換で実施することができる。補償カチオンでのカチオン交換を実施するために使われるカチオンは、最終のゼオライトの異なった組織上の特性を得ることを可能にするためにどのタイプでも、どの量でも可能である。工程b)を実施するための好ましいカチオンは、周期律表のIA族とIIA族の金属から選ばれ、さらにカチオンは、Na,Li,K,Rb,Cs,Ba2+,とCa2+から選ばれるのが好ましい。本発明の方法を実施するに関しては、アンモニウム イオン NHにより補償カチオンを交換するのが好ましい。本発明の方法の工程b)の終点で得られたゼオライトは、交換されたゼオライトである。プロトンに関する交換割合は95%以上である。
【0024】
工程b)で生成した交換されたゼオライト、好ましくはどんなカチオンHも含んでいないゼオライトは、内部と外部の表面の酸性度に関してセレクティベイション(selectivation)を受ける準備が整っている。本発明において“セレクティベイション”という用語は、ゼオライトの結晶のおのおのの外部表面と内部表面の酸性度の中和を表すために使われる。酸性度の中和は当業者に良く知られたどんな方法によっても実施されことができる。ゼオライトのセレクティベイションを実施するための従来の方法は、動的な直径が脱アルミニウム化されたゼオライトの孔の開口部の直径より小さい分子が一般的には使用される。
【0025】
ゼオライトの外部と内部の表面を不動態化したり、セレクティベイションしたりするために一般的に使用される分子は、ゼオライトの結晶のおのおのと外部と内部の表面において反応する原子を含んでいる化合物である。使われる分子は少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる有機または無機の分子である。そして本発明の処理方法の工程c)に従って、本発明の方法の工程b)で交換されたにゼオライトは、少なくとも一つのシリコン原子を有する少なくとも一つの分子化合物の存在下で処理工程を通る。この工程c)は、ゼオライトの結晶のおのおのの外部と内部の表面に非晶性シリカの層の沈着を可能にする。これでルイス酸性度において少なくとも部分的に、好ましくは完全に還元された状態になる。ルイス酸性度は赤外のCOの吸収で確認される。2230と2143cm−1の間のバンドの積分は、本発明の方法の工程c)の処理の前と後のゼオライトのルイス酸性度の変化を明らかにできる。ルイス酸性度の減少は30%より大きい。工程c)で使われる分子化合物は、分子当たり多くて2個のシリコン原子からなるのが好ましい。少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物は、化学式Si−RとSi−Rの化合物から選ばれるのが好ましい。ここでR基は水素またはアルキル、アリール、またはアクリル基、またはアルコキシ基(O−R‘)または水酸基(−OH)またはハロゲンを示す。R基は、Si−RまたはSi−Rの同じ分子内で同じでも異なっていても良い。例えば、前に説明した化学式に従って化学式SiH、Si,またはSi(C(CH)の分子化合物を選ぶことができる。本発明の方法の工程c)で使われる少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物は、シラン、ジシラン、アルキルシラン、アルコキシシランまたはシロキサンタイプの化合物である。この分子化合物は、脱アルミニウム化されたゼオライトの孔の開口部の直径より小さい動的な直径である。
【0026】
少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる少なくとも一つの分子化合物の存在下で工程b)で製造された交換されたゼオライトを処理することからなる本発明の方法の工程c)は、ゼオライトの外部と内部の表面に該化合物の沈着によって実施される。当業者に良く知られたすべての方法を用いてCVD(化学気相蒸着)と呼ばれる気相での沈着またはCLD(化学液相沈着)と呼ばれる液相での沈着を実施することも可能である。工程c)は気相で少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物を沈着させることにより実施されるのが好ましい。
【0027】
CLD沈着操作は、水溶液媒体中または有機溶媒中で実施されることができる。少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物の水溶液媒体中の含浸において、一つまたは一つ以上の表面活性剤を含浸溶液に添加してもまたはしなくても良い。CLD沈着は、当業者には良く知られている(Chon et al.,Studies Surface Science and Catalysis,vol.105.2059−2065、1997)。
【0028】
ゼオライトの内部と外部の表面の少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物の沈着は、気相で実施されるのが好ましい。本発明の方法の工程c)は固定層反応装置で実施される。固定層反応装置の気相の沈着反応(CVD)の前にゼオライトは、活性化されるのが好ましい。固定層反応装置でのゼオライトの活性は、酸素、空気または不活性ガス中、または空気と不活性ガスまたは酸素と不活性ガスの混合物中で実施される。ゼオライトの活性化の温度は、100から600℃の間が好ましく、さらに200℃から550℃の間が好ましい。ゼオライトの結晶のおのおのの内部と外部の表面に沈着すべき少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物は、気相で反応装置に導入される。分子化合物は水素(H)、空気、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He),さらにまた窒素(N)のいずれかであるキャリアガスで希釈される。キャリアガスは、Ar、He とNから選ばれることが好ましい。ゼオライトの内部と外部の表面に最高の品質の非晶性シリカの層を得るためには、少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物の沈着のために操作条件を上手く選ぶことが必要である。特に沈着操作の間のゼオライト層の温度が10℃から300℃の間が好ましく、さらに25から200℃の間が好ましい。ゼオライトの内部と外部の表面に沈着される分子化合物の気相の分圧は、0.0001から0.5バールの間、さらに0.001から0.2バールの間が好ましい。沈着操作の時間は、10分から10時間の間が好ましく、さらに30分から5時間の間が好ましく、さらに1時間から3時間の間がもっと好ましい。
【0029】
本発明の方法の工程d)に従って少なくとも一つのシリコン原子を含んでいる分子化合物は、好ましくは200から700℃の間、さらにが好ましくは300から500℃の間の温度で実施される熱処理で分解される。この熱処理工程は空気、酸素、水素、窒素またはアルゴン、または窒素とアルゴンの混合物中で実施される。この工程は、任意にスチームの存在下で実施することができる。この処理の時間は2時間から5時間の間が好ましい。
【0030】
本発明の方法のカチオン交換工程b)がアンモニウム カチオンNHで実施される条件では、熱処理からなる工程d)は、本発明の方法の工程c)を実施するために使われた分子化合物の分解と、本発明の方法の処理により水素状態での修飾されたゼオライトの生成とを同時に起こす。
【0031】
本発明の方法のカチオン交換工程b)が、H以外のカチオンで、好ましくはIA族とIIA族の金属で、さらにNH以外で実施される状況では、前に説明した本発明の方法の工程d)は、アンモニウム カチオンによる該カチオンの交換のための工程e)が続けられ、さらに工程e)自身は熱処理を含む工程f)が続けられる。
【0032】
工程e)は、本発明の方法の工程d)から生成したゼオライトにまだ存在する補償カチオンを、少なくとも部分的に、そして好ましくは実質的に完全に、そして本当に完全に除去するように、例えば硝酸アンモニウムNHNOのような少なくとも一種類のアンモニウム塩を含む溶液で実施される少なくとも一つのイオン交換操作からなり、そして本発明の方法の工程b)の過程に挿入される。工程e)は、好適には約400から500℃の間の温度で、乾燥空気の流通下で好適に実施される熱処理を含む工程f)が続けられる。この工程f)の狙いは、アンモニアの脱着による水素Hの状態で本発明の方法で処理されたゼオライトを得ることである。
【0033】
本発明はまた前に説明したように本発明の処理方法に従って処理されたゼオライトからなる触媒の調製の方法にも関する。
【0034】
調製方法は、少なくとも一つのマトリックスおよび場合によってはバインダーで処理されたゼオライトを成形する少なくとも一つの工程を含む。使用されるマトリックスは、多孔性、非晶性、または結晶性が小さいオキサイドタイプの鉱物のマトリックスである。それはアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、クレイ、特にカオリンまたはベントナイトのような自然クレイ、マグネシア、酸化チタン、酸化ホウ素、ジルコニア、リン酸アルミニウム、リン酸チタニウム、リン酸ジルコニウムと炭素から選ばれる。それはアルミン酸塩から選ばれたマトリックスを選ぶことも可能である。マトリックスは当業者に知られたすべての形態のアルミナが好ましく、さらにγ−アルミナが好ましい。少なくとも一つのマトリックスでゼオライトを成形する操作は、円柱状または直線状またはねじれた形状のバイロバイト、トリロバイト、ポリロバイトなどのポリロバイトの押出の形状にある触媒と同様なものでる。しかし、粉砕された粉末、錠剤、円、ボールまたは車輪の形状の触媒と同じであっても任意に良い。処理されたゼオライトの成形に関係する条件として、マトリックの選択、ゼオライトの任意に前もっての粉砕、ペプチゼーション過程、ポロジェニック剤の添加、混合時間、もし触媒が押出形状に成形される場合は押出圧力、乾燥速度と乾燥時間が当業者に良く知られた規則に従って各マトリックスについて決定される。
【0035】
本発明の触媒の調製方法は、少なくとも一つの金属を沈着する工程を任意に含む。この工程は成形操作の前かまたは処理されたゼオライトとマトリックスの混合時または成形操作の後である。金属は元素周期律表のVIII族から選ばれた金属が好ましく、さらに好ましくはニッケルである。金属の重量による含有量は触媒の重量に関し1から5重量%であるのが好ましい。
【0036】
VIII族から選ばれた少なくとも一つの金属の添加は成形操作の後に実施される時、その金属はマトリックス−処理されたゼオライトの混合物の焼成の前または好ましくは後に添加される。添加する金属の担持は、ゼオライトの上に実質的に全部、または一部はゼオライトと一部はマトリックの上、または好ましくは実質的に全部がマトリックの上である。これは例えばその金属の前駆体の種類のように担持操作で使用されるパラメーターの適切な選択により当業者に知られた方法で実施される。VIII族の少なくとも一つの金属の担持は、乾式含浸、過剰または好ましくは少なくとも一つのイオン交換操作による含浸の操作により一般的には実施される。
【0037】
例によって、本発明の触媒を調製する好ましい方法の一つは、本発明の処理方法に従って処理された少なくともゼオライトを湿ったマトリックのゲル(一般的に少なくとも酸とマトリックの粉末を混合することにより得られる)、例えばアルミナの中で混合することを含む。そのようにして得られるペーストの良い均一性を得るに必要な時間混合する、または例えば約10分間混合する。そしてそれから押出品を形成するためにそのペーストをダイに通す。ダイの直径は例えば包括的な限界として0.4から4mmの間の直径、好ましくは包括的な限界として0.4から2.5mm、さらに好ましくは包括的な限界として0.8から2.0mmである。そして乾燥棚で約120℃で数時間乾燥した後、そして例えば約400℃で約2時間焼成の後、例えば競争剤の存在下でイオン交換によってVIII族の金属が担持する。担持操作の後に例えば約400℃で約2時間の焼成が続く。
【0038】
本発明の他の目的は、本発明の方法により調製された触媒の使用であり、そして本発明の処理方法により修飾されたゼオライトからなる。化学炭化水素転化工程や特に分子当たり2から12個の炭素原子を有する炭化水素分子を含むオレフィン仕込原料のオリゴメライゼイションの工程で使用される。好ましくはオリゴメライゼイションの工程を実施するため使用される仕込原料は、分子当たり3から7個の炭素原子を有する炭化水素分子を含む。さらに好ましくは分子当たり4から6個の炭素原子を含む。本発明のオリゴメライゼイションの工程で使用される仕込原料は、オレフィンを20重量%から100重量%、好ましくは25重量%から80重量%、さらに好ましくは50重量%から80重量%を含む。直鎖状オレフィンは、その仕込原料に存在する全てのオレフィンの10から100重量%、好ましくは15から95重量%、さらに好ましくは50から95重量%になる。
【0039】
本発明のオリゴメライゼイションの方法において使用されるオレフィン仕込原料の可能な原料は、流動層(流動接触分解、FCC)によるスチーム分解装置からの軽油またはクラッキング留分とエーテル化部分の流出分である。
【0040】
オリゴメライゼイションの工程で使用される仕込原料は、Raffinat IIタイプ、即ち直鎖のC4オレフィンを50重量%以上含むC4留分とイソブタンが5重量%以下、または直鎖のオレフィンが30重量%以上含むC4留分とイソブタンの5重量%以下であり、例えばMTBEまたはTAMEの製造工程、またはSELECTOPOL(商標登録)タイプの製造工程から生じ、または流動層の触媒分解工程から生ずるC3/C4留分である。C3/C4留分は、約5/25の割合でプロパン/プロピレンと約25/45の割合でブタン/ブテンを含む。
【0041】
オリゴメライゼイションの工程は、次の操作条件下で実施されるのが好ましい。全圧力は0.1から10MPaの間、好ましくは0.3から7MPaの間である。温度は40から600℃、好ましくは60から400℃の間である。空間の時間当たりの速度(VVH)は0.01から100h−1の間、好ましくは0.4から30h−1である。
【0042】
本発明に従ってオリゴメライゼイションの工程は、本質的に2から6種類のモノマーまたは主成分の分子、該モノマーはオレフィン、に限定した付加に相当するということを明瞭に規定される。オリゴメライゼイションは、得られるオリゴマーの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%が直鎖であれば、本質的に直鎖と考えられる。
【0043】
以下の実施例で本発明を説明するが、この範囲に限定されるものではない。
【0044】
[実施例]
実験例1(実施例)FER型のゼオライトの処理
ゼオライトH−FER型の脱アルミニウム化を実施するために、手順としては先ず60重量%のHOを含むNの流通下に600℃で2時間そのゼオライト(Si/Al=10.2)の100gを処理する。そして得られたゼオライトは3時間還流下10NのHNO水溶液(溶液の体積/ゼオライトの体積=5)で続けて2回処理される。そして蒸留水で2回洗浄し、乾燥する。リンスした後ゼオライトはNHNOの溶液を用いて2時間還流し交換され、そして乾燥する。交換されたゼオライトは、固定層の反応装置に導入され、先ず第一に200℃の窒素流通下で活性化処理をされる。そして反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施され、そして純粋な窒素中の熱処理が450℃2時間で実施される。FER型のプロトン状態の修飾されたゼオライトZ1(Si/Al=21.1)が得られ、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0045】
ゼオライトZ1はアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ1を60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0046】
実験例2(実施例)MFS型ゼオライトの処理
ゼオライトNa−ZSM−57型の脱アルミニウム化を実施するために、手順としては先ず60重量%のHOを含むNの流通下に600℃で2時間そのゼオライト(Si/Al=45.2)の20gを処理する。そして得られたゼオライトは3時間還流下10NのHNO水溶液(溶液の体積/ゼオライトの体積=5)で続けて2回処理される。そして蒸留水で2回洗浄し、乾燥する。リンスした後ゼオライトはNaNOの溶液を用いて80℃、2時間で交換され、そして乾燥する。交換されたゼオライトは、固定層の反応装置に導入され、先ず第一に450℃の窒素流通下で活性化処理をされる。そして反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施される。最後にゼオライトはNHNO溶液を用いて2時間還流し、そして450℃2時間焼成される。MFS型のプロトン状態の修飾されたゼオライトZ2(Si/Al=53.7)が得られ、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0047】
ゼオライトZ2はアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ2を60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0048】
実験例3(実施例)MOR型ゼオライトの処理
ゼオライトH−MOR型の脱アルミニウム化を実施するために、手順は先ず60重量%のHOを含むNの流通下に600℃で2時間そのゼオライト(Si/Al=9.1)の100gを処理する。そして得られたゼオライトは3時間還流下8NのHNO水溶液(溶液の体積/ゼオライトの体積=5)で2回続けて処理される。そして蒸留水で2回洗浄し、乾燥する。リンスした後ゼオライトはNHNOの溶液を用いて2時間還流し交換される、そして乾燥する。交換されたゼオライトは、固定層の反応装置に導入され、先ず第一に200℃の窒素流通下で活性化処理をされる。そして反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施され、そして純粋な窒素中の熱処理が450℃2時間で実施される。MOR型のプロトン状態の修飾されたゼオライトZ3(Si/Al=25.4)が得られ、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0049】
ゼオライトZ3はアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ3を60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0050】
実験例4(比較例)脱アルミニウム工程を省略したFER型ゼオライトの処理
脱アルミニウム工程を省略して実験例1で説明したと同様な処理を実施する。
【0051】
ゼオライトH−FER型(Si/Al=10.2)の100gをNHNOの溶液を用いて2時間還流し交換される、そして乾燥する。交換されたゼオライトは、固定層の反応装置で200℃の窒素流通下で活性化処理の後、反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施され、そして純粋な窒素中で熱処理が450℃2時間で実施される。このようにして得られた生成物は脱アルミニウムされていないFER型のゼオライトZ1dであり、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0052】
ゼオライトZ1dはアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ1dを60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0053】
実験例5(比較例)脱アルミニウム工程を省略したMFS型ゼオライトの処理
脱アルミニウム工程を省略して実験例2で説明したと同様な処理を実施する。
【0054】
既に非酸型のゼオライトNa−ZSM型(Si/Al=45.2)の20gを固定層の反応装置で450℃の窒素流通下で活性化処理され、そして反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施される。最後にゼオライトはNHNOの溶液を用いて2時間還流し交換され、そして450℃、2時間で焼成される。このようにして得られた生成物は脱アルミニウムされていないMSF型のゼオライトZ2dであり、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0055】
ゼオライトZ2dはアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ2dを60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0056】
実験例6(比較例)脱アルミニウム工程を省略したMOR型ゼオライトの処理
脱アルミニウム工程を省略して実験例3で説明したと同様な処理を実施する。
【0057】
100gのゼオライトH−MOR型(Si/Al=9.1)はNHNOの溶液を用いて2時間還流し交換され、そして2時間で乾燥される。固定層の反応装置で200℃の窒素流通下で交換されたゼオライトの活性化処理され後、反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施され、そして純粋な窒素中で熱処理が450℃2時間で実施される。このようにして得られた生成物は脱アルミニウムされていないMOR型のゼオライトZ3dであり、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0058】
ゼオライトZ3dはアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ3dを60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0059】
実験例7(比較例)カチオン交換工程を省略したFER型のゼオライトの処理
分子化合物Siの存在下の処理工程の前のカチオン交換工程を省略して実験例1で説明したと同様な処理を実施した。
【0060】
100gのゼオライトH−FER型(Si/Al=10.2)を60重量%のHOを含むNの流通下に600℃で2時間処理する。そして得られたゼオライトは3時間還流下10NのHNO水溶液(溶液の体積/ゼオライトの体積=5)で2回処理される。そして蒸留水で2回洗浄し、乾燥する。固定層の反応装置で200℃の窒素流通下で脱アルミニウム化したゼオライトを活性化した後、反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施され、そして純粋な窒素中の熱処理が450℃2時間で実施される。このようにして得られたFER型のゼオライトZ1eは、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0061】
ゼオライトZ1eはアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ1eを60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0062】
実験例8(比較例)カチオン交換工程を省略したMFS型のゼオライトの処理
分子化合物Siの存在下の処理工程の前のカチオン交換工程を省略して実験例2で説明したと同様な処理を実施した。
【0063】
20gのゼオライトNa−ZSM−57型(Si/Al=45.2)を60重量%のHOを含むNの流通下に600℃で2時間処理する。そして得られたゼオライトは3時間還流下10NのHNO水溶液(溶液の体積/ゼオライトの体積=5)で2回処理される。そして蒸留水で2回洗浄し、乾燥する。固定層の反応装置で450℃の窒素流通下で脱アルミニウム化したゼオライトを活性化した後、反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HOで飽和した窒素中350℃で2時間実施される。最後にゼオライトは、NHNO溶液で2時間還流し交換され、そして450℃2時間焼成される。このようにして得られたMFS型のゼオライトZ2eは、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0064】
ゼオライトZ2eはアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ2eを60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0065】
実験例9(比較例)カチオン交換工程を省略したMOR型のゼオライトの処理
分子化合物Siの存在下の処理工程の前のカチオン交換工程を省略して実験例3で説明したと同様な処理を実施した。
【0066】
100gのゼオライトH−MOR型(Si/Al=9.1)を60重量%のHOを含むNの流通下に650℃で2時間処理する。そして得られたゼオライトは3時間還流下8NのHNO水溶液(溶液の体積/ゼオライトの体積=5)で2回処理される。そして蒸留水で2回洗浄し、乾燥する。固定層の反応装置で200℃の窒素流通下で脱アルミニウム化したゼオライトを活性化した後、反応装置の温度を50℃に調節し、そして0.15バールの分圧のSiが窒素の流れに追加される。2時間の反応後ゼオライトは未反応のSiを除くために120℃、24時間処理される。分子化合物Siの分解は、HO飽和した窒素中350℃で2時間実施され、そして純粋な窒素中の熱処理が450℃2時間で実施される。このようにして得られたMOR型のゼオライトZ3eは、外部と内部の表面に非晶性のシリカ層を有する。
【0067】
ゼオライトZ3eはアルミナゲルと一緒に押出しされ成形される。そして120℃で乾燥後、乾燥空気中450℃で焼成され、ゼオライトZ3eを60重量%とアルミナを40重量%を含む触媒が製造される。
【0068】
実験例10軽質オレフィンのオリゴメライゼイションにおける異なった触媒の触媒性能の評価
前に述べた実験例1から9に従って調製された触媒の性能は、パラフィン混合物に54%のブテンと4%のイソブテンを含む軽質オレフィン留分のオリゴメリゼイションについて評価した。
【0069】
テストの操作条件は以下である。
【0070】
温度: 230℃
圧力: 6MPa
VVH(h−1)[触媒の体積/仕込原料の体積の流量]:1h−1
触媒は前もってその場所でN中450℃、2時間活性化される。
【0071】
FER型ゼオライトを基にした触媒の性能が表1に示す。
【表1】

【0072】
MFS型のゼオライトZSM−57を基にした触媒の性能を表2に示す。
【表2】

【0073】
MOR型のゼオライトを基にした触媒の性能を表3に示す。
【表3】

【0074】
表1,2と3に示した触媒性能は、本発明の処理方法に従って修飾され、調製されたゼオライトからなる触媒はC4オレフィンの転化用の触媒の活性を顕著に高め、さらにガソリンとディーゼル留分の収率も高めることを可能にすることを示している。セタン価(CI)で測定された軽油の性質は、本発明の処理方法に従って処理されていないゼオライトからなる触媒によるディーゼル留分により与えられた値より改善している。脱アルミニウム化とカチオン交換工程は本発明に従う処理方法に不可欠であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7Åより小さいか等しい孔径を持つ少なくとも一種類のゼオライトの処理方法であって、少なくともa)該ゼオライトの脱アルミニウム化の工程、b)H以外の少なくとも一種類のカチオンを用いるカチオン交換工程、c)少なくとも一つのシリコン原子を含む少なくとも一種類の分子化合物の存在下に工程b)で得られた該ゼオライトを処理する工程、d)少なくとも一つの熱処理工程からなる、方法。
【請求項2】
該ゼオライトのSi/Al原子比が当初は2から200の間にある請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
該ゼオライトがMEL,MFL,ITH,NES,EUO,ERI,FER,CHA,MFS,MWW,MTT,TONおよびMOR型から選ばれる請求項1または2に記載の処理方法。
【請求項4】
該ゼオライトが、該工程a)の実施の前に、焼成された状態にあり、かつ少なくとも一種類のカチオンを含んでいる請求項1から3のいずれかに記載の処理方法。
【請求項5】
該工程b)を実施するために使用されるカチオンがアンモニウムカチオンNH+である請求項1から4のいずれかに記載の処理方法。
【請求項6】
該工程b)を実施するために使用されるカチオンがIAとIIA族の金属から選ばれたものである請求項1から4のいずれかに記載の処理方法。
【請求項7】
少なくとも一つのシリコン原子を含む該分子化合物が化学式Si−RとSi−Rの化合物から選ばれたものである請求項1から6のいずれかに記載の処理方法。ここでRは水素またはアルキル、アリールまたはアシル基、またはアルコキシ基(O−R’)またはヒドロキシ基(−OH)さらにハロゲンである。
【請求項8】
少なくとも一つのシリコン原子を含む該分子化合物がシラン、ジシラン、アルキルシラン、アルコキシシランまたはシロキサンタイプの化合物である請求項7に記載の処理方法。
【請求項9】
該工程c)が気相中少なくとも一つのシリコン原子を含む該分子化合物の沈着を達成するために実施される請求項1から8のいずれかに記載の処理方法。
【請求項10】
該工程c)が固定層反応装置で実施される請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
該工程d)の後に、アンモニウムカチオンによるカチオン交換のための工程e)が続き、その後熱処理からなる工程f)が続く請求項6から10のいずれかに記載の処理方法。
【請求項12】
請求項1から11に記載のいずれかの方法により処理されたゼオライトを含む触媒の調製方法であって、少なくとも一種類のマトリックスで該処理されたゼオライトを成形する少なくとも一つの工程を含む、方法。
【請求項13】
少なくとも一種類の金属を沈着する工程からなる請求項12に記載の調製方法。
【請求項14】
分子当たり2から12個の炭素原子を持つ炭化水素分子を含むオレフィン仕込原料のオリゴメライゼイションの方法における、請求項12または13に記載の方法により調製された触媒の使用。
【請求項15】
オレフィンを25から80重量%含む該仕込原料であり、直鎖オレフィンが該仕込原料に存在する全てのオレフィンの15から95重量%に相当する請求項14に記載の触媒の使用。
【請求項16】
該オリゴメライゼイション工程が40から600℃の間の温度で、0.1から10MPaの全圧および0.01から100h−1の間の時間当たりの空間速度(VVH)で実施される請求項14または15に記載の触媒の使用。

【公表番号】特表2008−546632(P2008−546632A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518899(P2008−518899)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001427
【国際公開番号】WO2007/003737
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(500393413)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (32)
【Fターム(参考)】