説明

小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置、及び情報処理装置の小数点付き数値入力方法。

【課題】従来の技術では、小数点付き数値をコンピュータ等のキーボードから入力する場合、小数点付き数値の入力に要する操作回数が多くなり、労力や時間が多くなり、操作もやっかいであった。
【解決手段】入力装置12Aによる数値入力操作時に小数点キー操作を検出して入力項目内の整数部と小数部の間でカーソル移動を行い小数点付き数値を入力する装置であって、整数部の入力中に小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の手段と、前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する左詰め入力で上書きモードとする第2の手段と、小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の手段(入力データ制御部5Aの一部及び表示制御部4等)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、外国為替などを扱う金融機関において、ドルとセント、円と銭などの単位の通貨を扱う業務のように、金融機関(例えば、銀行)の各種業務(例えば、窓口業務)用のワークステーション、パーソナルコンピュータ、或いは金融機関以外の他の分野において、小数点付き数値を入力する際に利用可能な各種情報処理装置(ワークステーション、パーソナルコンピュータ、電卓等)に利用可能な小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置、及び情報処理装置の小数点付き数値入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
§1:従来例の説明
(1) :従来例1の説明
図7は従来例1のワークステーションの構成図、図8従来例1における小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その1)、図9は従来例1における小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その2)である。以下、図7乃至図9に基づいて従来例1を説明する。
【0003】
(a) :ワークステーションの構成の説明(図7参照)
従来例1のワークステーションは、ワークステーション本体1と、該ワークステーション本体1に接続された表示装置11及びキーボード12等(従来例1の説明に必要ないものは省略してある)で構成されている。
【0004】
そして、前記ワークステーション本体1には、各種制御や処理を行うCPU2(プロセッサ)と、ハードディスク装置や半導体メモリを含む各種記憶手段からなる記憶部3と、表示装置11の表示処理や表示制御を行う表示制御部4と、キーボード12からの信号を基にキー入力データの制御等を行うキー入力データ制御部5等が設けてある。
【0005】
更に、前記キー入力データ制御部5には、表示装置11の画面に表示されたカーソルの表示位置や移動等の制御を行うカーソル制御部6と、キーボード12のキーを操作者(オペレータ)が操作した場合に、その操作したキーの操作を検出して入力データの制御を行うキー操作検出制御部7が設けてある。
【0006】
(b) :小数点付き数値入力時の表示画面の説明(図8、図9参照)
以下、図8、図9を参照しながら、小数点付き数値入力時の表示画面について説明する。なお、以下の説明は、小数点数値を入力する場合、一旦「103.45」と入力した数値を「106.75」に訂正する場合の例である。
【0007】
以下に示す処理(又は動作)は、図7に示したキー入力データ制御部5内のキー操作検出制御部7、カーソル制御部6、及び表示制御部4等がCPU2の制御の基に行う(オペレータがキーボード12のキー操作をキー操作検出制御部7が検出し、このキー操作に対応した制御を行い、カーソル制御部6がカーソル位置の制御を行う。また、表示制御部4が表示装置11の画面上に、小数点、入力した数値、カーソル、文字等の表示情報を表示する)ものである。
【0008】
1.入力開始時は、カーソルは最右端に位置付く。この状態からオペレータが「1」キー押下の操作をすると、数値の「1」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に数値の1が表示される(図の[1]参照)。
【0009】
2.次に、オペレータが「0」キー押下の操作をすると、カーソル位置に数値の「0」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に数値の0が表示され、前記数値の「1」は左方向に1桁シフトし、全体として数値の「10」が右詰めで表示される(図の[2]参照)。
【0010】
3.次に、オペレータが「3」キー押下の操作をすると、数値の「3」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に数値の3が表示され、前記数値の「1」及び「0」は左方向に1桁シフトし、全体として数値の「103」が右詰めで表示される(図の[3]参照)。
【0011】
4.次に、オペレータが「.」キー(小数点キー)押下の操作をすると、小数点の「.」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に小数点の「.」が表示され、前記数値の「103」は左方向に1桁シフトし、全体として数値の「103.」が右詰めで表示される(図の[4]参照)。
【0012】
5.次に、オペレータが「4」キー押下の操作をすると、小数点数値の「4」がカーソル位置に入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、前記数値の「103.」の数値は左へ全体がシフトし、全体として数値の「103.4」が右詰めで表示される(図の[5]参照)。
【0013】
6.次に、オペレータが「5」キー押下の操作をすると、小数点数値の「5」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に数値の5が表示され、全体として数値の「103.45」が右詰めで表示される。(図の[6]参照)
7.次に、オペレータが「←」キー(左シフトキー)押下の操作をすると、カーソル位置が左に1桁シフトし、小数第1位に移動する(図の[7]参照)。
【0014】
8.再び、オペレータが「←」キー(左シフトキー)押下の操作をすると、カーソル位置が左に1桁シフトし、小数点位置に移動する(図の[8]参照)。
【0015】
9.再び、オペレータが「←」キー(左シフトキー)押下の操作をすると、カーソル位置が左に1桁シフトし、整数部の1の位(小数点の1桁左位置)に移動する(図の[9]参照)。
【0016】
10.次に、オペレータが「削除」キー押下の操作をすると、整数部の1の位の数値3が削除され、表示画面上では、カーソル移動はしないで、前記数値の「10.45」の数値が右詰めで表示される(図の[10]参照)。
【0017】
11.次に、オペレータが「6」キー押下の操作をすると、カーソル位置に数値「6」が入力し、整数部の数値「10」は左に1桁シストする。そして、表示画面上では、カーソル移動はしないで、数値「106.45」が右詰めで表示される(図の[11]参照)。
【0018】
12.次に、オペレータが「→」キー(右シフトキー)押下の操作をすると、カーソル位置が小数点上に移動する(図の[12]参照)。
【0019】
13.再び、オペレータが「→」キー(右シフトキー)押下の操作をすると、カーソル位置が右方向に1桁シフトし、小数点第1位の位置に移動する。(図の[13]参照)
14.次に、オペレータが「削除」キー押下の操作をすると、小数第1位の数値「4」が削除され、「106.」が右方向に1桁シフトする。この時、表示画面上では、カーソル移動はしないで、前記数値の「106.5」の数値が右詰めで表示される(図の[14]参照)。
【0020】
15.次に、オペレータが「7」キー押下の操作をすると、小数第1位の数値「7」がカーソル位置に入力する。そして、表示画面上では、カーソル移動はしないで、数値「106.75」が右詰めで表示される(図の[15]参照)。
以上、キー押下回数=15回
【0021】
(2) :従来例2の説明
以下、特許文献1を従来例2として説明する。
従来例2は、情報処理装置に関するものであり、次のような内容が記載されている。
【0022】
(a) :「表を対象として、列毎に適切な桁位置にタブを設定し、自動的にスペースをタブに置き換え、適切な位置にタブが設定された表を作成する。」・・・要約の欄を参照
【0023】
(b) :「タブ設定桁算出手段4は、列毎にその列のデータ属性が文字データか数値データかを区別し、文字データの場合、列内の各文字データの内、最も左端にあるデータの桁位置にタブを設定し、数値データの場合、列内の各数値データの内、最も右端にあるデータの右端桁位置を記憶し、各数値データの整数部及び小数部の最大桁幅を考慮して、各数値データの小数点の桁位置を一致させたときの最大幅を計算し、先程記憶した最も右端にあるデータの桁位置から左方向に最大幅を持つデータを配したときに、その開始桁位置となる桁にタブを設定する。スペース置換手段5は、前列のデータ直後から当列の直前までの連続したスペースをタブに置換する。これにより、列内で文字の左端を、数値の桁位置揃えることができる。」・・・要約の欄を参照
【特許文献1】特開平7−282031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
(1) :従来例1の課題
(a) :従来例1の方法では、一度入力した数値データを訂正する場合には、カーソル移動キー(「←」及び「→」)を操作して、修正箇所にカーソルを移動しなければならなかった。
【0025】
(b) :一般に、数値入力項目で小数点数値を入力する場合、小数点以下の数値を入力する毎に小数点の位置が左方向に移動してしまっていた(電卓方式)。
【0026】
(c) :整数部では、右詰め入力(挿入モード)を行い、小数部では左詰め入力(上書きモード)を行う場合には整数部と小数部を別々の入力項目として扱う必要があった。
【0027】
(d) :以上、(a) 、(b) 、(c) のように、従来例1の技術では、小数点付き数値の入力に要する操作回数が多くなり、労力や時間が多くなり、操作もやっかいであった。
【0028】
(2) :従来例2の課題
前記従来例2は、本発明の背景程度の発明であり、本発明の小数点付き数値入力の構成が開示されていない。
【0029】
本発明は従来の課題を解決するためになされたものであり、数値入力操作において、小数点文字キーを操作することによって、入力項目内の整数部と小数部の間をカーソル移動を行うことにより、小数点数値を入力する際の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は前記の目的を達成するため、次のように構成した。
【0031】
(1) :少なくとも、小数点付き数値を入力可能な入力装置と、入力位置を示すカーソル及び入力情報を画面に表示する表示装置とを有し、前記入力装置による数値入力操作において、小数点文字キーの操作を検出して入力項目内の整数部と小数部の間でカーソル移動を行うことで小数点付き数値を入力する小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置であって、整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手段と、前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手段と、小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0032】
(2) :少なくとも、小数点付き数値を入力可能な入力装置と、入力位置を示すカーソル及び入力情報を画面に表示する表示装置とを有する情報処理装置の前記入力装置による数値入力操作において、小数点文字キーの操作を検出して入力項目内の整数部と小数部の間でカーソル移動を行うことで小数点付き数値を入力する情報処理装置の小数点付き数値入力方法であって、整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手順と、前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手順と、小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手順とを備えていることを特徴とする。
【0033】
(作用)
図1は本発明の原理説明図である。図1において、1Aは情報処理装置本体、2Aはプロセッサ、3は記憶部、4は表示制御部、5Aは入力データ制御部である。また、入力データ制御部5A内には、カーソル制御部6、入力操作検出制御部7A、整数/小数部制御部8を示す。以下、図1を参照しながら本発明の作用を説明する。
【0034】
(a) :前記(1) の作用
第1の制御手段(入力データ制御部5Aの一部及び表示制御部4)は、整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる。また、第2の制御手段(入力データ制御部5Aの一部及び表示制御部4)は、小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする。また、第3の制御手段(入力データ制御部5Aの一部及び表示制御部4)は、小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる。
【0035】
このようにすれば、数値入力操作において、小数点文字キーを操作することによって、入力項目内の整数部と小数部の間をカーソル移動を行うことにより、小数点数値を入力する際の操作性を向上させることができる。
【0036】
(b) :前記(2) の作用
第1の制御手順では、整数部の入力中に小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる。また、第2の制御手順では、前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする。また、第3の制御手順では、小数部の入力中に小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる。
【0037】
このようにすれば、数値入力操作において、小数点文字キーを操作することによって、入力項目内の整数部と小数部の間をカーソル移動を行うことにより、小数点数値を入力する際の操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0038】
(1) :キーボード等の入力装置を使用して情報処理装置(ワークステーション等)への小数点付き数値の入力操作を行う場合、小数点キー(小数点文字キー)を操作すると、この操作を装置内部で検出し、その結果、入力項目内の整数部と小数部の間で入力位置を示すカーソル移動を自動的に行わせるので、小数点数値を入力する際の操作性を向上させることができる。
【0039】
(2) :外国為替などを扱う金融機関(例えば、銀行)において、ドルとセント、円と銭などの単位の通貨を扱う業務でオペレータの入力速度の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
§1:小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置の説明
以下に説明する小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置の具体例として、銀行等の金融機関の窓口業務に利用されているワークステーションの例について説明する。
【0041】
(1) :ワークステーションの構成の説明
図2はワークステーションのブロック図である。以下、図2に基づいてワークステーションの構成を説明する。図2に示したように、ワークステーションは、ワークステーション本体1と、該ワークステーション本体1に接続された表示装置11及びキーボード12等(説明に必要ないものは省略してある)で構成されている。
【0042】
そして、前記ワークステーション本体1には、各種制御や処理を行うCPU2(プロセッサ)と、ハードディスク装置や半導体メモリを含む各種記憶手段からなる記憶部3と、表示装置11の表示処理や表示制御を行う表示制御部4と、キーボード12からの信号を基にキー入力データの制御を行うキー入力データ制御部5等が設けてある。
【0043】
更に、前記キー入力データ制御部5には、表示装置11の画面に表示されたカーソルの表示位置や移動等の制御を行うカーソル制御部6と、オペレータによりキーボード12のキー操作が行われた場合に、該キー操作を検出して入力データの制御を行うキー操作検出制御部7と、整数部及び小数部の制御を行う整数/小数部制御部8が設けてある。
【0044】
この場合、キー入力データ制御部5のカーソル制御部6と、キー操作検出制御部7と、整数/小数部制御部8はプログラムにより構成されている。また、表示制御部4もプログラムにより構成されている。
【0045】
前記の構成において、キー入力データ制御部5及び表示制御部4等のプログラムは、予め記憶部3に記憶(又は格納)しておき、該記憶部3に記憶(又は格納)してあるプログラムをCPU2が読み出して実行することで以下に示す小数点付き数値入力時の処理(又は動作)を行う。
【0046】
この場合、オペレータがキーボード12のキーを押下する操作をすると、この状態をキー入力データ制御部5のキー操作検出制御部7が検出し、このキー操作に対応した制御を行う。この制御により、整数/小数部制御部8は整数部と小数部の各種制御を行い、カーソル制御部6はカーソル位置の制御を行う。これら各部の制御は表示制御部4へ通知され、表示制御部4が表示装置11の画面上に、小数点、入力した数値、カーソル、文字等の表示情報を表示する。
【0047】
(2) :小数点付き数値入力時のワークステーションの処理
図3は小数点付き数値入力時のワークステーションの処理フローチャート(その1)、図4は小数点付き数値入力時のワークステーションの処理フローチャート(その2)である。以下、図3、図4に基づき、小数点付き数値入力時のワークステーションの処理を説明する。なお、図3、4において、S1〜S16は各処理ステップを示す。
【0048】
以下に示す処理(又は動作)は、図2に示したキー入力データ制御部5内のキー操作検出制御部7、整数/小数部制御部8、カーソル制御部6、及び表示制御部4等がCPU2の制御の基に行う(オペレータがキーボード12のキー操作をキー操作検出制御部7が検出し、このキー操作に対応した制御を行い、整数/小数部制御部8が整数部と小数部の各種制御を行い、カーソル制御部6がカーソル位置の制御を行う。また、表示制御部4が表示制御部4が表示装置11の画面上に、小数点、入力した数値、カーソル、文字等の表示情報を表示する)ものである。
【0049】
(a) :先ず、小数点付き数値の入力処理が開始され、項目入力が開始されると、整数部を入力位置設定し、カーソル位置を1桁目に設定し、小数点位置を1桁目に設定する(S1)。
【0050】
そして、オペレータによるキー操作は行われたかを判断し、キー操作が行われたと判断したら、そのキーは終了キーか否かを判断する(S2)。その結果、終了キー操作が行われたと判断したら、項目入力終了とする(S4)。
【0051】
しかし、S3の処理で終了キー操作でないと判断したら、小数点キーの押下か否かを判断し(S5)、小数点キーの押下であると判断したら、入力位置は整数部か小数部かを判断する(S6)。
【0052】
その結果、入力位置が整数部であれば、入力位置を小数部にする(S7)。次に、カーソル位置を1桁だけ右シフトし(S8)、入力モードを上書きモードに設定し(S9)、S2の処理へ移行する。
【0053】
また、前記S5の処理で、小数点キーの押下でないと判断したら、現在表示中のデータを左方向に1桁だけシフトする(S10)。そして、カーソル位置に入力キーのデータを表示し(S11)、入力位置は小数部か否かを判断する(S12)。その結果、入力位置が小数部であると判断したら、小数点位置を左に1桁だけ移動し(S13)、S2の処理へ移行する。また、S12の処理において、入力位置が小数部でないと判断したらS2の処理へ移行する。
【0054】
また、前記S6の処理において、入力位置が小数部であると判断したら、入力位置を整数部とする(S14)。次に、小数点位置を左方向に1桁だけ移動する(S15)。そして、入力モードを挿入モードに設定し(S16)、S2の処理へ移行する。
【0055】
(3) :前記処理(又は動作)のまとめ
前記の処理(又は動作)をまとめると、次のような特徴がある。
【0056】
(a) :整数部の入力では、カーソル位置は整数部の1の位に溜まる「右詰め入力」で「挿入モード」となる。
【0057】
(b) :整数部の入力中に、小数点キー「.」を押下すると、小数第1位にカーソルを移動させる(S7、S8、S9参照)。
【0058】
(c) :小数部の入力では、数値を入力する毎にカーソル位置は右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」となる(S8、S9参照)。
【0059】
(d) :小数部の入力中に、小数点キーを押下すると、整数部の1の位にカーソルを移動させる(S14、S15、S16参照)。
【0060】
(e) :小数点キーを押下した後、数値キーを押下した時点で、小数部が現れる。それまでは整数部のみを表示している。
【0061】
(f) :小数部の桁数の増減により、小数点の位置が変化するため、小数点の位置を記憶しておき、再度、小数点キーが押下された時に整数部にカーソル移動する時に、移動先を算出するのに参照する。小数部の桁数が変化しても小数点キーの押下により、小数点の前後の桁にカーソルを移動できる。
【0062】
以上のようにすれば、次のような特徴がある。
【0063】
a) :キーボードを使用してワークステーションへの小数点付き数値の入力操作を行う場合、小数点キー(小数点文字キー)を操作すると、この操作をワークステーション本体1で検出し、その結果、入力項目内の整数部と小数部の間で入力位置を示すカーソル移動を自動的に行わせるので、小数点数値を入力する際の操作性を向上できる。
【0064】
b) :外国為替などを扱う金融機関(例えば、銀行)において、ドルとセント、円と銭などの単位の通貨を扱う業務でオペレータの入力速度の向上が期待できる。
【0065】
(4) :小数点付き数値入力時の表示画面の説明(図5、図6参照)
図5は小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その1)、図6は小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その2)である。以下、図5、図6を参照しながら、小数点付き数値入力時の表示画面について説明する。なお、以下の説明は、小数点数値を入力する場合、一旦「103.45」と入力した数値を「106.75」に訂正する場合の例である。また、図5、図6において、▽印はカーソル位置を示す。
【0066】
1.入力開始時は、カーソルは最右端に位置付く。この状態からオペレータが数値の「1」キー押下の操作をすると、数値の「1」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に数値の1が表示される(図5の[1]参照)。
【0067】
2.次に、オペレータが数値の「0」キー押下の操作をすると、数値の「0」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に数値の0が表示される。そして、前記数値の「1」は左方向に1桁シフトし、全体として数値の「10」が表示される(図5の[2]参照)。
【0068】
3.次に、オペレータが数値の「3」キー押下の操作をすると、数値の「3」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に数値の「3」が表示される。そして、前記数値の「10」は左方向に1桁シフトし、全体として数値の「103」が表示される(図5の[3]参照)。
【0069】
4.次に、オペレータが「.」キー(小数点キー)押下の操作をすると、小数点の「.」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、カーソル位置(最右端)に小数点の「.」が表示される。そして、前記数値の「103」は左方向に1桁シフトし、全体として数値の「103.」が表示される(図5の[4]参照)。
【0070】
5.次に、オペレータが数値の「4」キー押下の操作をすると、小数第1位の数値「4」が入力し、表示画面上では、カーソル移動はしないで、前記数値の「103.4」の数値は左へ全体が1桁だけシフトする。そして、カーソル位置は空白になる(図5の[5]参照)。
【0071】
6.次に、オペレータが「5」キー押下の操作をすると、小数第2位の数値「5」が入力する。この時、表示画面上では、カーソルを表示するために、データ全体が1桁だけ左方向にスクロールし、カーソル移動しないで、カーソル位置は空白になる(図5の[6]参照)。
【0072】
7.次に、オペレータが「.」キー(小数点キー)押下の操作をすると、表示画面上では、カーソルは整数部の1の位に移動し、データ全体が右端に1桁だけシフトする(図5の[7]参照)。
【0073】
8.次に、オペレータが「削除」キー押下の操作をすると、整数部1の位の数値「3」が削除され、整数部の数値「10」が右方向に1桁だけシフトし、全体として数値の「10.45」が表示される(図6の[8]参照)。
【0074】
9.次に、オペレータが数値の「6」キー押下の操作をすると、表示画面上では、カーソル位置に数値「6」が入力し、全体として数値の「106.45」が表示される(図6の[9]参照)。
【0075】
10.次に、オペレータが「.」キー(小数点キー)押下の操作をすると、表示画面上では、カーソルが小数第1位に移動する(図6の[10]参照)。
【0076】
11.次に、オペレータが数値の「7」キー押下の操作をすると、表示画面上では、小数部は上書きモードなのでカーソル位置の数値「4」が数値「7」に上書きされ、置き換わる(図6の[11]参照)。
【0077】
以上、キー操作=11回(従来例1より4回削減)
(従来比で4回削減、なお、桁数に応じて削除キー数は多くなる)。
【0078】
12.次に、オペレータがカーソル移動キー「→」又は「end」キー押下の操作をすると、カーソルを移動するために、データ全体が左方向にスクロールして、カーソルが小数第3位に移動する(図6の[12]参照)。
【0079】
(5) :その他の説明
(a) :小数点キー押下により、整数部と小数部間をカーソル移動した場合に、整数部又は小数部を全選択することにより、その後の数値入力を最初からやり直せるようにしても良い。
【0080】
(b) :整数部のみを入力し、小数部の入力を省略して項目を脱出した場合は、小数部に数値の「0」がパディングされるようにしても良い。
【0081】
(c) :本発明は前記ワークステーションの例に限らず、金融機関(例えば、銀行)の各種業務(例えば、窓口業務)用のワークステーション、パーソナルコンピュータ、或いは金融機関以外の他の分野において、小数点付き数値を入力する際に利用可能な各種情報処理装置(ワークステーション、パーソナルコンピュータ、電卓)等に利用可能である。
【0082】
§2:付記
前記の説明に対し、次の構成を付記する。
【0083】
(付記1)
少なくとも、小数点付き数値を入力可能な入力装置と、入力位置を示すカーソル及び入力情報を画面に表示する表示装置とを有し、
前記入力装置による数値入力操作において、小数点文字キーの操作を検出して入力項目内の整数部と小数部の間でカーソル移動を行うことで小数点付き数値を入力する小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置であって、
整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手段と、
前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手段と、
小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手段と、
を備えていることを特徴とする小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置。
【0084】
(付記2)
少なくとも、小数点付き数値を入力可能な入力装置と、入力位置を示すカーソル及び入力情報を画面に表示する表示装置とを有する情報処理装置の前記入力装置による数値入力操作において、小数点文字キーの操作を検出して入力項目内の整数部と小数部の間でカーソル移動を行うことで小数点付き数値を入力する情報処理装置の小数点付き数値入力方法であって、
整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手順と、
前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手順と、
小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手順と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置の小数点付き数値入力方法。
【0085】
(付記3)
コンピュータに、
整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手順と、
前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手順と、
小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手順と、
を実行させるためのプログラム。
【0086】
(付記4)
コンピュータに、
整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手順と、
前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手順と、
小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手順と、
を実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】実施の形態におけるワークステーションのブロック図である。
【図3】実施の形態における小数点付き数値入力時のワークステーションの処理フローチャート(その1)である。
【図4】実施の形態における小数点付き数値入力時のワークステーションの処理フローチャート(その2)である。
【図5】実施の形態における小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その1)である。
【図6】実施の形態における小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その2)である。
【図7】従来例1のワークステーションの構成図である。
【図8】従来例1における小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その1)である。
【図9】従来例1における小数点付き数値入力時の表示画面説明図(その2)である。
【符号の説明】
【0088】
1 ワークステーション本体
1A 情報処理装置本体
2 CPU
2A プロセッサ
3 記憶部
4 表示制御部
5 キー入力データ制御部
5A 入力データ制御部
6 カーソル制御部
7 キー操作検出制御部
7A 入力操作検出制御部
8 整数/小数部制御部
11 表示装置
12 キーボード
12A 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、小数点付き数値を入力可能な入力装置と、入力位置を示すカーソル及び入力情報を画面に表示する表示装置とを有し、
前記入力装置による数値入力操作において、小数点文字キーの操作を検出して入力項目内の整数部と小数部の間でカーソル移動を行うことで小数点付き数値を入力する小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置であって、
整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手段と、
前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手段と、
小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手段と、
を備えていることを特徴とする小数点付き数値入力機能を有する情報処理装置。
【請求項2】
少なくとも、小数点付き数値を入力可能な入力装置と、入力位置を示すカーソル及び入力情報を画面に表示する表示装置とを有する情報処理装置の前記入力装置による数値入力操作において、小数点文字キーの操作を検出して入力項目内の整数部と小数部の間でカーソル移動を行うことで小数点付き数値を入力する情報処理装置の小数点付き数値入力方法であって、
整数部の入力中に、小数点キーの押下を検出した際、小数点第1位にカーソルを移動させる第1の制御手順と、
前記小数点キーの押下を検出した後、小数部の数値入力を検出した際、数値を入力する毎にカーソル位置を右方向に移動する「左詰め入力」で「上書きモード」とする第2の制御手順と、
小数部の入力中に、小数点キー押下を検出した際、整数部の1の位にカーソルを移動させる第3の制御手順と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置の小数点付き数値入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−140811(P2007−140811A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332494(P2005−332494)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】