説明

少なくとも1つのHg低圧放電ランプを点灯するための点灯装置および方法

本発明は、第1の電極フィラメントコイル(14a)および第2の電極フィラメントコイル(14b)を含む少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を点灯するための点灯装置であって、電源電圧を接続するための入力端と、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を接続するための出力端と、Hg低圧放電ランプ(12)内のHg蒸気圧に相関する量を供給するための装置(24)と、Hg蒸気圧に相関する量を供給するための装置(24)および点灯装置の出力端に結合されていて、その出力端に少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を点灯するための信号を供給するように設計されているマイクロコントローラ(38)とを備え、前記信号がHg蒸気圧に相関する量に依存する少なくとも1つのランプ点灯パラメータによって特徴づけられている点灯装置において、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)内のHg蒸気圧に相関する量を供給するための装置(24)が、少なくとも予め設定可能なスペクトル範囲の放射スペクトルを検出するための装置(18a,20,26,28,30)を含み、その放射スペクトルを検出するための装置(18a,20,26,28,30)が、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)の光線通路内に配置された受光装置(18a)を含む点灯装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の電極フィラメントコイルおよび第2の電極フィラメントコイルを含む少なくとも1つのHg低圧放電ランプを点灯するための点灯装置であって、電源電圧を接続するための入力端と、少なくとも1つのHg低圧放電ランプを接続するための出力端と、Hg低圧放電ランプ内のHg蒸気圧に相関する量を供給するための装置と、Hg蒸気圧に相関する量を供給するための装置および点灯装置の出力端に結合されていて、その出力端に少なくとも1つのHg低圧放電ランプを点灯するための信号を供給すべく設計されているマイクロコントローラとを備え、その信号がHg蒸気圧に相関する量に依存した少なくとも1つのランプ点灯パラメータによって特徴づけられている点灯装置に関する。更に、本発明は、少なくとも1つのHg低圧放電ランプを点灯するための相応の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、Hg低圧放電ランプを制御する際にHg低圧放電ランプのHg蒸気圧を考慮するために、そのHg蒸気圧を求めることは公知である。その際に、Hg蒸気圧は、温度センサをガラス管又は照明器具に取り付けることによって間接的に温度から求められる。温度センサは、いわゆるコールドスポットに直接に又はその近傍に配置されることが好ましい。アマルガムランプの場合には、温度センサをアマルガム担持体の近くに取り付けるとよい。
【0003】
この温度センサは、制御のために、ランプ点灯に必要なパラメータを電子式安定器に伝達する制御装置、例えばいわゆるDALIユニットに接続されている。この制御装置は、直接に電子式安定器内に組み込まれていてもよい。
【0004】
しかし、温度センサの使用は次の欠点を伴う。
【0005】
コールドスポットが好適な位置にある場合には、例えば温度センサをこの位置に適切な熱伝導ペーストにより取り付けることができる。それにより、温度をこの個所で決定することができるので、適切な較正によりHg蒸気圧を間接的に推定可能であるが、しかし、この種の測定システムは、温度センサおよび放電容器の熱伝導および熱容量の結果として生じる願わしくない遅れを有する。それによって、Hg蒸気圧の決定は時間遅れを伴う。
【0006】
第2には、コールドスポットの正確な位置が、Hg低圧放電ランプの使用条件に依存して変化し得る。とりわけ危機的であるのは、一時的な通風に曝されている用途、例えば20℃を下回る非常に低い外部温度での用途で、ランプが動的に動作させられる。特に、例えば定格消費電力の90%を上回る僅かな減光状態が、例えば定格消費電力の10%を下回る強い減光状態と、交互に現れる用途である。この調光経過の出力状態および時間間隔に応じて、コールドスポットの位置が移動し得る。一例として、コールドスポット(Kaltfusstechnik)を用いたいわゆるT5ランプが挙げられ、このランプの場合には放電管が冷えた時にコールドスポットが口金周縁からランプ中央部に移動する。コールドスポットの位置認識なしには、Hg蒸気圧を正確に決定できないので、信頼性のある又は正しいランプ点灯パラメータを設定できない。従って、信頼性のあるランプ点灯を保証することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、Hg低圧放電ランプの信頼性のある点灯を、Hg蒸気圧に依存して可能にする点灯装置ならびに方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1による特徴事項を有する点灯装置、ならびに請求項12による特徴事項を有する方法によって解決される。
【0009】
本発明は、Hg低圧放電ランプの放射スペクトルから、Hg蒸気圧を推定することができるという認識に基づいている。この放射スペクトルは無接触で求めることができるので、熱伝導および熱容量の影響が排除される。それにより、関与する構成要素の処理時間までの時間遅れが排除される。他方では、その放射スペクトルを、Hg蒸気圧によって大幅に影響を及ぼされない位置において取得することができる。換言するならば、コールドスポットの温度を検出する際に、コールドスポットの移動によって、放射スペクトルの取得位置を変える必要がない、ということである。むしろ、取得位置を固定選定することができる。
【0010】
それゆえ、Hg蒸気圧を迅速に、且つ正しく検出することができるので、ランプの信頼性のある点灯を保証することができる。
【0011】
格別に有利であるのは、本発明による方法の応答時間が温度センサを用いたシステムの場合よりも短いことである。それによりHg低圧放電ランプのための信頼性のある点灯パラメータを求めることができる。アマルガムランプによる従来技術では、アマルガム蒸気圧の温度基準点への依存性の認識が必要であったが、これが今や必要でない。従って、放射スペクトルを検出するための装置を照明器具に固定的に結合することができる。従って、ランプ(そのランプは照明器具内に取り付けられている)を交換する際に、ランプに温度センサが結合されている場合と違って、付加的な配線作業が必要でない。
【0012】
従って、その装置によって供給される量は、マイクロコントローラによってHg低圧放電ランプ内のHg蒸気圧に相当したものとなる。このHg蒸気圧に応答して、マイクロコントローラが、Hg低圧放電ランプを点灯するための信号を出力する。この信号が、Hg低圧放電ランプを制御するための少なくとも1つのランプ点灯パラメータを調節し、当該パラメータによって、Hg蒸気圧ならびにHg蒸気圧に相関する量が、影響を及ぼされ得る。
【0013】
少なくとも1つのランプ点灯パラメータが、少なくとも1つのHg低圧放電ランプの少なくとも1つの電極フィラメントコイルの加熱、特に予熱および/又は連続加熱および/又は追加加熱に関係することが好ましい。それにより、Hg低圧放電ランプの効率を最適化することができ、それによってHg低圧放電ランプの資源を大切にする点灯が可能となる。
【0014】
マイクロコントローラは、予め与え得るHg線、Ar線および/又は発光物質放射スペクトル線および/又は希ガス線、特にKr線および/又はXe線の放射強度を決定し、少なくとも1つのHg低圧放電ランプのHg蒸気圧を少なくとも決定すべく当該放射強度を評価するように設計されていることが好ましい。以下に更に詳述するように、種々の放射強度もしくはそれらの互いの比が種々の表示を可能にする。周辺条件が異なれば、異なる放射強度が現れ得る。たった一つののマイクロプロセッサが、最も異なる放射強度を評価すべく設計されているならば、可能な検証の大部分又はそれらの全てさえも得ることができ、Hg低圧放電ランプの点灯時に考慮することができる。特に、非常に低い周囲温度においては、Hg放射スペクトルが不正確に評価される。従って、このような温度範囲においては、Ar線が評価されるとよい。
【0015】
このマイクロコントローラは、405nmおよび/又は436nmおよび/又は546nmおよび/又は579nmにおけるHg線の放射強度の比および/又は764nmにおけるAr線を決定し、且つ少なくとも1つのHg低圧放電ランプのHg蒸気圧を少なくとも決定すべく評価するように設計されているのが格別に好ましい。これらは格別に明確な放射強度であるので、格別に簡単に高信頼性にてHg蒸気圧を表示することができる。
【0016】
このマイクロプロセッサは、特に、436nmにおけるHg線と405nmにおけるHg線との放射強度の比を決定して、少なくとも1つのHg低圧放電ランプのHg蒸気圧を少なくとも決定すべく評価するように設計されていることが好ましい。
【0017】
放射スペクトルを検出するための装置は、1つの分光器を含むことが好ましい。この場合に、特に好ましくはダイオードアレイ分光器が考慮される。
【0018】
本発明の好ましい実施態様では、放射スペクトルを検出するための装置が、少なくとも1つの予め設定可能なスペクトル範囲に調整されている、少なくとも1つのセンサを含む。換言するならば、分光器が絶対に必要であるというわけではなく、むしろ少なくとも関心のある放射スペクトルを検出すべく設計されている1つのスペクトルセンサで十分である。それにより、本発明を格別に低コストに置き換えることができる。
【0019】
放射スペクトルを検出するための装置は、少なくとも1つのHg低圧放電ランプに接続することができる。しかし、その装置は、既に述べたように、Hg低圧放電ランプが取り付けられている照明器具に接続されているだけでもよい。
【0020】
最初に述べた変形例は、放射スペクトルの取得位置を格別に正確に設定できる、という利点を有するが、しかしランプ交換時に、付加的な配線費用が必要になるという欠点を伴う。しかし、二番目に述べた変形例の場合には、その配線費用をなくすことができるが、放射スペクトルの取得位置は、最初に述べた変形例の場合のように完全に正確に予め決定できるというわけではない。
【0021】
特に好ましくは、マイクロコントローラが、点灯装置の出力端に寿命末期遮断を生じさせるための信号を供給するように設計されている。ランプ寿命末期の到達は、同様に特定の放射強度の評価によって検出可能である。例えば、ランプ寿命末期は、764nmにおけるAr線が強まり、他方でHg強度が全般的に弱まることによって特に簡単に認識することができる。それによって、基礎ガス放電がまだ存在するがHgの乏しくなったランプを検出して、不必要なエネルギー浪費を回避すべく遮断することができる。
【0022】
更に、マイクロコントローラが、少なくとも1つのHg低圧放電ランプの熱管理に関連する少なくとも1つの構成部分、特にペルティエ要素、ファン、加熱装置、冷却装置を、少なくとも1つのHg低圧放電ランプのHg蒸気圧に依存して制御するように設計されているとよい。それにより格別に簡単な方法でランプの温度が監視されて調節されるので、ランプを好ましい温度範囲内で動作させることができる。それによって、例えばランプの寿命を延ばすことができる。
【0023】
特に好ましくは、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ内のHg蒸気圧に相関する量を供給する装置が、複数のHg低圧放電ランプのHg蒸気圧に相関する量を供給するように設計されている。この場合に、各Hg低圧放電ランプのために、受光装置としてそれぞれのHg低圧放電ランプの光線通路内に配置された光導体が設けられていて、各光導体が、特にマルチプレクサを介して、放射スペクトルを検出するための装置に結合されている。これは、放射スペクトルを検出するための唯一の装置のみにより複数のHg低圧放電ランプの点灯を可能にする。それによって、特に低コストの実現が可能にされる。
【0024】
他の好ましい実施態様は従属請求項によりもたらされる。
【0025】
本発明による点灯装置に基づいて提供される好ましい実施態様およびそれらの利点は、適用可能であるかぎり、本発明による方法に対しても相応に当てはまる。
【0026】
本発明による方法の特に好ましい発展形態により、特定のHg低圧放電ランプのための色度座標シフトの予測が可能となる。この色度座標シフトの認識は、舞台照明、昼光制御の分野での適用時に調光の際、ならびに空調設備を介して温度が影響を受けやすい空間においては、特に重要である。この関連では、RGBセンサを用いて色位置を決定し、その色位置シフトを予測することが従来技術において既に公知である。しかし、本発明においては、Hg蒸気圧検出も色度座標シフトの予測も唯一のセンサ、すなわちスペクトルセンサを用いて行なうことができるのに対して、従来技術においては、そのために2種類のセンサ、即ち温度センサおよびRGBセンサが必要であった。
【0027】
この好ましい発展形態では次のステップが実行される。時点t1での温度T1および点灯装置出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプのHg蒸気圧に相関する第1の量を決定するステップ、時点t1での温度T1および点灯装置出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプのHg蒸気圧に相関する第1の量において色度座標に相関する少なくとも1つの量を決定、特に測定するステップ、時点t2での温度T2および点灯装置出力電圧U2における第2のHg低圧放電ランプのHg蒸気圧に相関する量を決定するステップ、そして最後に時点t2での温度T2および出力電圧U2における第1のHg低圧放電ランプの色度座標に相関する少なくとも1つの量を、対応する時点t1での温度T1および出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプの色度座標に相関する量と、時点t1での温度T1および出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプのHg蒸気圧に相関する第1の量と、時点t2での温度T2および出力電圧U2における第2のHg低圧放電ランプのHg蒸気圧に相関する第2の量とから算定するステップ。
【0028】
もちろん、既に述べたマイクロプロセッサが、これらの方法ステップを実行するように設計されているとよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下において、添付図面を参照しながら、本発明の実施例を更に詳細に説明する。
【0030】
【図1】コールドスポットの温度に依存した、405nmにおけるHg線を基準とした種々のHg線の放射強度を示すダイアグラムである。
【図2】本発明による点灯装置の構成を示す概略図である。
【図3】コールドスポットの温度に依存した赤色、緑色、青色に関する放射強度の分布を示すダイアグラムである。
【図4】435nmにおけるHg線と404nmにおけるHg線との強度比に依存した赤色、緑色、青色の光に関する放射強度の分布を示すダイアグラムである。
【図5】本発明による方法に基づく色度座標シフトの算定を説明するための概略的な信号フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、Hg低圧放電ランプのコールドスポットにおける温度に依存した、405nmにおけるHg放射スペクトルを基準とする、436、764、365および546nmにおけるHg放射スペクトルの分布を示す。これから明らかなように、その温度範囲にわたって、有意義な変化が生じ、それによって2つの放射スペクトル線の比の特定の値から、逆にHg低圧放電ランプの温度、従って蒸気圧を推定することができる。405nmにおけるHg線の強度に対する436nmにおける放射強度の比が、格別に好適であることは明白である。
【0032】
図2は、本発明による点灯装置10の構成を概略図で示す。例として1つのHg低圧放電ランプ12が描かれており、ガラス管16内において対向配置されている第1の電極14aならびに第2の電極14bを認識することができる。ガラス管16に対してほぼ中央に第1の光導波路18aの入口開口が配置されているので、Hg低圧放電ランプ12から放出された光が光導波路18aの中に入射する。光導波路18aは、Hg低圧放電ランプ12が配置された図示されていない照明器具内に取り付けられていることが好ましい。これに対応するように、他の光導波路18b〜18dを他の複数のHg低圧放電ランプに対して配置することができる。光導波路18a〜18dは、1つの結合個所20において、分光器24の入力端に接続されている1本の導体22に結合されている。結合個所20には、その都度所望の光導波路18a〜18dを導体22に結合するマルチプレクサが設けられている。導体22は、光ガイドとして構成されていることが好ましい。分光器24は、光導体22を介して供給された光をスペクトル成分に分解するために、プリズム又は光学格子26を含む。プリズムに対向してフォトダイオードアレイ28が配置されていて、このフォトダイオードアレイ28がラインスキャンカメラ30に結合されている。このラインスキャンカメラは、一列に1024個のピクセルを有する。
【0033】
結果として、ここに模式的に波長上にプロットされている測定スペクトル32が得られる。この測定スペクトル32は、放射強度、特にそれらの比を評価するために、マイクロコントローラ38を含む電子式安定器34に供給される。評価の主要な点はHg蒸気圧の検出に関係し、このHg蒸気圧は、マイクロコントローラ内に記憶されている制御規則に従って、概略的に矢印36によって示されているように、Hg低圧放電ランプ12を制御するための少なくとも1つのランプ点灯パラメータに変換される。
【0034】
図3は、Hg低圧放電ランプのコールドスポットにおける温度に依存した緑色光G、青色光Bおよび赤色光Rの放射強度の分布を示す。これから明らかなように、顕著な温度依存性が存在する。
【0035】
図4は、436nmにおけるHg線の放射強度と405nmにおけるHg線の放射強度との比に対する緑色光G、青色光Bおよび赤色光Rの放射強度の依存性を概略図で示す。この場合にも顕著な依存性が生じる。
【0036】
従って、要約するならば、図3および図4に示されている依存性を、更なる方法ステップのための基礎として使用することができるということである。この依存性は、特定のHg低圧放電ランプLa1について種々のパラメータに依存した、特に時間、温度又は点灯電圧に依存した色度座標シフトを予測するのに格別に好適に利用可能である。それ相応の方法が、図5の信号フローチャートに概略的に示されている。
【0037】
この方法は、ステップ100から始まる。
【0038】
ステップ110では、較正ルーチンが、特にHg低圧放電ランプLa1と同タイプであるHg低圧放電ランプLa2から始められる。このために時点t1ついての温度T1および点灯装置出力電圧U1におけるランプLa2の放射スペクトルと、時点t2での温度T2および点灯装置出力電圧U2にけるランプLa2の放射スペクトルとが決定される。それから、得られたスペクトルが適切なスペクトル範囲S2iに分解され、それによって、これらの範囲の放射強度のHg蒸気圧への依存性が決定される。可変指数iは1において始まり、nにおいて終わる。例えば、このスペクトルは、個々の蛍光物質のスペクトル範囲、および例えば405nm、435nmにおける可視のHg放射のスペクトル範囲に分解される。
【0039】
ステップ120では、時点t1での温度T1および点灯装置出力電圧U1におけるHg低圧放電ランプLa2の個々のスペクトル範囲S2iについての3刺激値X2iが算定され、同じ点灯条件および同一のスペクトル範囲のもとで同様に3刺激値Y2およびZ2が算定される。
【0040】
ステップ130では、時点t2での温度T2および点灯装置出力電圧U2におけるHg低圧放電ランプLa2の部分スペクトルS2iについての3刺激値X2iが算定され、同じ点灯条件のもとで、同様に3刺激値Y2iおよびZ2iが算定される。
【0041】
ステップ140では、選択されたスペクトル範囲からHg蒸気圧に相関する量pが決定される。時点t1での温度T1および点灯装置出力電圧U1においては、これがp1で表されており、時点t2での温度T2および点灯装置出力電圧U2においては、これがp2で表されている。しかる後に、t1,T1,U1と、t2,T2,U2との間にある点灯状態を記述するために数学上の関数f(p)が求められる。
【0042】
ステップ150では、時点t1での温度T1、および点灯装置出力電圧U1におけるランプLa1の放射スペクトルが決定される。それから、得られたスペクトルが適切なスペクトル範囲S1i分解され、これらのスペクトル範囲はS2iのスペクトル範囲と同一である。可変指数iは1において始まり、nにおいて終わり、S2iの可変指数と同一である。
【0043】
ステップ160では、時点t1について、温度T1および点灯装置出力電圧U1におけるHg低圧放電ランプLa1の部分スペクトルS1iについての3刺激値X1iが算定される。同じ点灯条件のもとで、同様に3刺激値Y1iおよびZ1iが算定される。
【0044】
ステップ170では、時点t1についての温度T1および点灯装置出力電圧U1におけるHg低圧放電ランプLa1の3刺激値X1が算定される。これは、時点t1について温度T1および点灯装置出力電圧U1における可変指数i=1,…nにわたる全ての3刺激値X1iの総和によって行なわれる。これに対応することが、Y1およびZ1についても行なわれる。
【0045】
ステップ180では、特定の3刺激値X1、Y1およびZ1から、時点t1についての温度T1および点灯装置出力電圧U1におけるランプLa1の色度座標x01およびy01が決定される。
【0046】
ステップ190では、ランプLa1のスペクトル範囲S1iから、時点t1についての温度T1および点灯装置出力電圧U1におけるHg蒸気圧に相関する量p1が決定される。
【0047】
それからステップ200では、スペクトル範囲S1iに関して、時点t2での温度T2および点灯装置出力電圧U2におけるHg蒸気圧に相関する量p2に依存したHg低圧放電ランプLa1の3刺激値X1iが算定される。このために、時点t1についての温度T1および電圧U1におけるスペクトル範囲のステップ160で測定された3刺激値X1iと、個々のスペクトル範囲の関数f(p2,S2i)および関数f(p1,S2i)からなる比とが使用される。
【0048】
ステップ210では、時点t2について温度T2および点灯装置出力電圧U2におけるHg低圧放電ランプLa1の3刺激値X1が算定される。これは、時点t2についての温度T2および点灯装置出力電圧U2における可変指数i=1,…nにわたる全ての3刺激値X1iの合算によって行なわれる。これに対応する算定が、3刺激値Y1およびZ1についても行なわれる。
【0049】
ステップ220では、特定の3刺激値X1、Y1およびZ1から時点t2についての温度T2および点灯装置出力電圧U2における色度座標x01およびy01が決定される。
【0050】
方法は、ステップ230において終了する。
【符号の説明】
【0051】
10 本発明による点灯装置
12 Hg低圧放電ランプ
14a、4b 電極
16 ガラス管
18a〜18d 受光装置(光導波路)
20 結合点
22 光導体
24 分光器
26 プリズム(光学格子)
28 フォトダイオードアレイ
30 ラインスキャンカメラ
32 測定スペクトル
34 電子式安定器
36 矢印
38 マイクロコントローラ
100〜230 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極フィラメントコイル(14a)および第2の電極フィラメントコイル(14b)を含む少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を点灯するための点灯装置であって、
電源電圧を接続するための入力端と、
少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を接続するための出力端と、
Hg低圧放電ランプ(12)内のHg蒸気圧に相関する量を供給するための装置(24)と、
Hg蒸気圧に相関する量を供給するための前記装置(24)および点灯装置の出力端に結合されていて、その出力端に少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を点灯するための信号を供給すべく設計されているマイクロコントローラ(38)とを備え、
その信号がHg蒸気圧に相関する量に依存する少なくとも1つのランプ点灯パラメータによって特徴づけられている点灯装置において、
少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)内のHg蒸気圧に相関する量を供給するための前記装置(24)が、少なくとも予め設定可能なスペクトル範囲の放射スペクトルを検出するための装置(18a,20,26,28,30)を含み、その放射スペクトルを検出するための装置(18a,20,26,28,30)が、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)の光線通路内に配置された少なくとも1つの受光装置(18a)を含むことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
少なくとも1つのランプ点灯パラメータが、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)の少なくとも1つの電極フィラメントコイル(14a;14b)の加熱、特に予熱および/又は連続加熱および/又は追加加熱に関係することを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
マイクロコントローラ(38)が、予め設定可能なHg線および/又はAr線および/又は蛍光物質放射線および/又は希ガス線、特にKr線および/又はXe線の放射強度を決定して、且つ少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧を決定するように設計されていることを特徴とする請求項1又は2記載の点灯装置。
【請求項4】
前記マイクロコントローラ(38)が、405nmおよび/又は436nmおよび/又は546nmおよび/又は579nmにおけるHg線および/又は764nmにおけるAr線の放射強度の比を決定して少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧を少なくとも決定すべく評価するように設計されていることを特徴とする請求項3記載の点灯装置。
【請求項5】
マイクロコントローラ(38)が、436nmにおけるHg線と405nmにおけるHg線との放射強度の比を決定して少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧を少なくとも決定すべく評価するように設計されていることを特徴とする請求項4記載の点灯装置。
【請求項6】
放射スペクトルを検出するための前記装置が、1つの分光器(24)を含むことを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の点灯装置。
【請求項7】
放射スペクトルを検出するための前記装置(18a,20,26,28,30)が,少なくとも1つの予め設定可能なスペクトル範囲に調整されている少なくとも1つのセンサを含むことを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の点灯装置。
【請求項8】
放射スペクトルを検出するための前記装置(24)が少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)に結合されていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の点灯装置。
【請求項9】
前記マイクロコントローラ(38)が、前記点灯装置の出力端に寿命末期遮断を生じさせるための信号を供給するように設計されていることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の点灯装置。
【請求項10】
前記マイクロコントローラ(38)が、更に、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)の熱管理に関連する少なくとも1つの構成部分、特にペルティエ要素、ファン、加熱装置、冷却装置を少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に依存して制御するように設計されていることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の点灯装置。
【請求項11】
少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)内のHg蒸気圧に相関する量を供給するための前記装置が、複数のHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に相関する量を供給するように設計されていて、各Hg低圧放電ランプ(12)に、各Hg低圧放電ランプ(12)の光線通路内に配置された光導体(18a;18b;18c;18d)が設けられていて、各光導体が、特にマルチプレクサ(20)を介して、放射スペクトルを検出するための装置に結合されていることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の点灯装置。
【請求項12】
第1の電極フィラメントコイル(14a)および第2の電極フィラメントコイル(14b)を含む少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を点灯するための方法であって、
電源電圧を接続するための入力端と、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を接続するための出力端と、Hg低圧放電ランプ(12)内のHg蒸気圧に相関する量を供給するための装置(24)と、Hg蒸気圧に相関する量を供給するための装置(24)および点灯装置の出力端に結合されていて少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)を点灯するための信号を前記出力端に供給するように設計されているマイクロコントローラ(38)とを備えた点灯装置を用い、前記信号がHg蒸気圧に相関する量に依存する少なくとも1つのランプ点灯パラメータによって特徴づけられている方法において、
a)少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)の光線通路内に少なくとも1つの受光装置(18a)を配置するステップと、
b)少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)の光線通路内に配置された少なくとも1つの受光装置(18a)により少なくとも予め設定可能なスペクトル範囲の放射スペクトルを検出するステップと、
c)検出された放射スペクトルから、少なくとも1つのHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に相関する量を決定するステップと、
を特徴とする方法。
【請求項13】
次の他のステップを含む請求項12記載の方法、
d1)時点t1での温度T1および点灯装置出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に相関する第1の量を決定するステップ、
d2)時点t1での温度T1および点灯装置出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に相関する第1の量において色位置(X1;Y1;Z1)に相関する少なくとも1つの量を決定する、特に測定するステップ、
d3)時点t2での温度T2および点灯装置出力電圧U2における第2のHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に相関する量を決定するステップ、
d4)時点t2での温度T2および出力電圧U2における第1のHg低圧放電ランプ(12)の色位置(X1;Y1;Z1)に相関する少なくとも1つの量を、対応する時点t1での温度T1および出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプ(12)の色位置(X1;Y1;Z1)に相関する量と、時点t1での温度T1および出力電圧U1における第1のHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に相関する第1の量と、時点t2での温度T2および出力電圧U2における第2のHg低圧放電ランプ(12)のHg蒸気圧に相関する第2の量とから算定するステップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−511226(P2012−511226A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538996(P2011−538996)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066153
【国際公開番号】WO2010/063719
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508096703)オスラム アクチエンゲゼルシャフト (92)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM AG
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Str. 1, 81543 Muenchen Germany
【Fターム(参考)】