説明

少なくとも1種類の繊維源と少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールを含んでなる食品添加物

少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールを含む食品添加物を開示する。ベース食品と食品添加物を含む繊維強化食品も開示する。さらに、ベース食品に食品添加物を混合することによって食品を繊維強化する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、一般的には食品の繊維強化の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、食品に対して低血糖応答を示す意味での食品の繊維強化に関する。
【0002】
米国および他の先進国における繊維消費は、栄養専門家によって推奨されているより低い。セルロースまたは関連材料のような不溶性繊維とヒトによって少なくとも部分的に消化されない水溶性炭水化物材料を意味する可溶性繊維の両方を意味する繊維は、消化機能を助けかつII型糖尿病、心疾患、高コレステロールまたは肥満に罹る危険性を低くすることができる。2000カロリー/日の食事を摂るヒトの繊維消費について米国で推奨されている1日値は25gであるが、平均的な米国在住者は1日当たり約14〜15gしか消費しないと見られている。従って、食品に食餌繊維を付与することができる組成物を有することが望ましい。
【0003】
さらに、糖尿病患者および彼らの健康管理従業者および健康および良好な体調の理由により米国および他の先進国における典型的な高血糖性食餌に他の点で関係している者から低血糖応答を有する食品に大きな関心が寄せられている。従って、食品に低血糖応答を付与することができる組成物を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一つの態様では、本発明は、少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールとを含んでなる食品添加物に関する。
【0005】
もう一つの態様では、本発明は、ベース食品と、少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールとを含む繊維強化食品(fiber-fortified foodstuff)に関する。
【0006】
もう一つの態様では、本発明は、ベース食品に、少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールとを含んでなる食品添加物をブレンドして、繊維強化食品を生成することによる、食品を繊維強化する方法に関する。
【0007】
これらの組成物および方法は、食品に食餌繊維(dietary fiber)および相対的に低血糖応答を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
下記の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明のある種の局面をさらに説明する目的で包含される。本発明は、これらの図面の1以上を本明細書で提示される特定態様の詳細な説明と組み合わせて参照することによって一層良好に理解することができる。
【図1】下記のイヌ血糖応答検査計画に準じてマルトデキストリンまたはフルクトースを投与したイヌの血中グルコース濃度の経時変化。
【図2】下記のイヌ血糖応答検査計画に準じてマルトデキストリンおよび低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類処方物(バージョン1)を投与したイヌの血中グルコース濃度の変化。
【図3】下記のイヌ血糖応答検査計画に準じてマルトデキストリン、低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類バージョン1での25%フルクトース、およびバージョン1での50%フルクトースを投与したイヌの血中グルコース濃度の経時変化。
【図4】下記のイヌ血糖応答検査計画に準じてマルトデキストリン、バージョン1での25%プルーラン、およびプルーランを投与したイヌの血中グルコース濃度の経時変化。
【図5】下記のイヌ血糖応答検査計画に準じてマルトデキストリンおよびバージョン1での50%ソルビトールを投与したイヌの血中グルコース濃度の経時変化。
【図6】下記のイヌ血糖応答検査計画に準じてマルトデキストリン第二の低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類処方物(バージョン2)、および第三の低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類処方物(バージョン3)を投与したイヌの血中グルコース濃度の経時変化。
【具体的態様の説明】
【0009】
一つの態様では、本発明は、少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールとを含む食品添加物に関する。
【0010】
「食品添加物」という用語は、食品に添加または食品に添加後に予定されている材料の任意の処方物を包含する。単一の外部容器に一緒に包装されており、必ずしも混合されておらずあるいは食品に添加する前に合わされている材料は、食品に添加を予定している処方物と考えることができる。
【0011】
任意の繊維源を用いることができ、またセルロースまたは関連材料のような不溶性繊維またはヒトによって少なくとも部分的に消化されない水溶性炭水化物材料を意味する可溶性繊維を提供する材料であることができる。一つの態様では、少なくとも1種類の繊維源は、耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物、耐消化性マルトデキストリンおよびプルーランからなる群より選択される。これらの材料は水溶性であり、一般にマイルドで無害の香味を有すると考えられ、多くの他の繊維源と比較してほとんど無色である。
【0012】
「耐消化性」とは、少なくとも幾つかのデキストロース結合が非線形結合(すなわち、α1→4結合)であることを意味する。グルコースシロップは幾つかの単および二糖類を含む炭水化物材料であり、シロップ固形物はシロップを脱水した後の残留物である。グルコースシロップは、典型的には約20を上回るデキストロース当量(DE)を有する。マルトデキストリンは、単および二糖類を実質的に含まずかつ典型的にはDEが約20未満である炭水化物材料である。「シロップ」という用語に関連した「グルコース」の使用は、炭水化物材料がトウモロコシ澱粉に由来することを示す「トウモロコシ」の使用とは対照的に、炭水化物材料を任意の澱粉源から誘導することができることを示している。
【0013】
本明細書では、耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物、および耐消化性マルトデキストリンは、包括的に低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類と呼ぶことがある。(このような関係における「低分子量」とは、平均分子量が約360da〜約3000daの炭水化物材料を意味する)。
【0014】
低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類は、2006年1月25日出願の同時係属特許出願US11/339,306号明細書に記載の方法など当該技術分野で知られている手法によって調製することができ、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0015】
要約すれば、低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類は、適当な出発材料から調製することができ、その例としては澱粉の加水分解によって作られたシロップ、例えば、デキストロースグリーンズシロップ(すなわち、デキストロース一水和物結晶化の母液の再循環流)、他のデキストロースシロップ、トウモロコシシロップ、およびマルトデキストリンの溶液が挙げられるが、これらに限定されない。出発材料は、酵素反転(例えば、グルコアミラーゼ酵素組成物またはデキストロースポリマーに作用する任意の他の酵素による)または酸反転による非線形オリゴ糖に転換することができる。酸反転は、塩酸、硫酸、リン酸またはそれらの組合せのような様々な酸のいずれかを用いることができる。
【0016】
酸処理は、酵素処理とは異なる形で進行する。酵素は線形オリゴマーを速やかに加水分解して非線形オリゴマーを徐々に形成するが、酸を用いると、線形オリゴマーの減少および非線形オリゴマーの増加が類似の割合で起こる。デキストロースはオリゴマーの酵素加水分解によって速やかに形成され、非線形縮合生成物が形成されるに従って徐々に消費されるが、酸を用いると、デキストロース濃度は徐々に増加した後、最後に減少する。
【0017】
必要に応じて、酵素または酸反転に続いて水素化を行うことができる。水素化生成物は、現在入手可能な水素化澱粉加水分解生成物よりカロリー含量が低い。一つの態様では、水素化を、そのデキストロース当量(DE)を実質的に変化させることなく生成組成物を脱色するのに用いることができる。もう一つの態様では、DEを約10を上回る値から約10未満の値に減少させるのに水素化を用いることができる。
【0018】
この方法の1バージョンでは、酵素および酸を任意の順序で連続して用いることができる。
【0019】
上記の低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類は、少なくとも約60重量% d.s.b.の消化されないオリゴ糖を含むことができ、本発明者らは、少なくとも約80重量% d.s.b.の消化されないオリゴ糖(本明細書では、三糖類または高級オリゴ糖として定義される)を含む処方物を調製した。低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類の残りは、主として残存している単および二糖類である。本発明者らの調製の典型的な低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類処方物は、約1.5重量% d.s.b.〜約8.5重量% d.s.b.の単糖類、約3.5重量% d.s.b.〜約4.5重量% d.s.b.の二糖類、約4.0重量% d.s.b.〜約4.5重量% d.s.b.の三糖類、および残り(約84重量% d.s.b.〜約89重量% d.s.b.の)四糖類または高級オリゴ糖を有する。
【0020】
もう一つの態様では、繊維源はプルーランでよい。プルーランは、繊維を提供するのに加えて、粘性が比較的高いので、高強度甘味料を含む飲料の口当たり(mouthfeel)を向上させることができる。これは、プルーランと高強度甘味料を含む飲料が通常の砂糖を含む飲料の口当たりと一層よく似せることができるので、このような飲料を消費者の支持を促進させる上で有利にすることができる。高強度甘味料を含みかつ約0.5重量% d.s.b.のプルーラン濃度を有する飲料は、約10秒−1〜約100秒−1の剪断速度で、砂糖で甘味を付けプルーランを含まない飲料に匹敵するほぼ1.3〜1.5cPの粘度を有することができる。
【0021】
2種類以上の繊維源を用いることができる。一つの態様では、食品添加物は、1種類以上の低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類およびプルーランを含んでいる。高分子量繊維源(約10,000daを上回る、例えば、プルーラン)と低分子量繊維源の組合せは、ある個体では低分子量繊維源単独よりも改良された食餌耐性を提供することができる。
【0022】
次に少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールについては、フルクトース、ソルビトール、または両者を用いることもできる。添加剤における総単糖類および糖アルコールの量は、約15重量%〜約60重量%の総単糖類および糖アルコールの範囲であることができる。重量百分率は、繊維源、単糖類および糖アルコールの総重量に対して計算される。添加剤に含まれる任意の他の材料(下記に記載)は、上記の重量百分率の計算には含まれない。
【0023】
本明細書で用いられる材料、組成物または処方物の相対血糖応答(RGR)は、下記の実施例に記載の方法で計算される。要約すれば、RGRはイヌモデルにおける材料、組成物または処方物の血糖応答を測定した後、10DE(デキストロース当量)のマルトデキストリンコントロールの血糖応答に対して規格化することによって計算される。
【0024】
1種類以上の低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類単独では、典型的にはRGRは約60%であるが、本発明者らは約25%程度のRGRを有する処方物を調製した(図6参照)。フルクトース単独では、RGRは約3%である。本発明者らは、25重量%のフルクトース(残留している低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類)を含む材料はRGRが約7%であり、これは単純な混合および希釈により得られることを期待したRGR(約18.25〜45.75%)より遙かに低い。本発明者らは、50重量%のソルビトール(残留低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類)を含む材料はRGRが約6%であり、これも単純な混合および希釈により得られることを期待したRGRより低い。
【0025】
少なくとも1種類の繊維源および少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールの他に、食品添加物は他の材料をさらに含むことができる。
【0026】
一つの態様では、食品添加物は、少なくとも1種類の甘味料をさらに含む。もう一つの態様では、甘味料は、スクラロース、サッカリン、アスパルターム、およびアセスルファーム塩からなる群より選択される。本明細書の記載時における米国の食品産業で最も普通に用いられているアセスルファーム塩は、アセスルファームカリウムである。このような甘味料は、これを添加する食品に甘味を付与することができるが、その炭水化物含量、カロリー含量、RGRまたはグリセミック負荷(glycemic load)の増加はごく僅かである。
【0027】
一つの態様では、 食品添加物は、少なくとも1種類の酸味料をさらに含む。酸味料は、これを溶解または混合した食品のpHを低下させるヒトまたは動物の消費条件に合う材料である。一つの態様では、酸味料はクエン酸およびリンゴ酸からなる群より選択することができる。
【0028】
一つの態様では、食品添加物は、少なくとも1種類の水溶性炭酸塩または重炭酸塩をさらに含む。水溶液に入ると、水溶性炭酸塩または重炭酸塩は水溶液を炭酸飽和する。水溶性炭酸塩または重炭酸塩は、ヒトまたは動物の消費条件に合っている。一つの態様では、それぞれの少なくとも1種類の水溶性炭酸塩または重炭酸塩は、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムからなる群より選択することができる。もう一つの態様では、少なくとも1種類の水溶性炭酸塩または重炭酸塩は炭酸ナトリウムでよい。
【0029】
もう一つの態様では、食品添加物は、少なくとも1種類の香味料をさらに含む。香味料は、それを溶解または混合した食品に香味を付与するヒトまたは動物の消費条件に合う材料である。一つの態様では、それぞれの少なくとも1種類の香味料は、レモンフレーバー、ライムフレーバー、サクラフレーバー、イチゴフレーバー、バナナフレーバー、ブルーベリーフレーバー、ブドウフレーバー、スイカフレーバー、オレンジフレーバー、リンゴフレーバー、モモフレーバー、ラズベリーフレーバー、チョコレートフレーバー、バニラフレーバー、風船ガムフレーバー、およびカンゾウフレーバーからなる群より選択される。
【0030】
もう一つの態様では、食品添加物は、少なくとも1種類の着色料をさらに含む。着色料は、それを溶解または混合した食品を着色するヒトまたは動物の消費条件に合う材料である。
【0031】
もう一つの態様では、食品添加物は、少なくとも1種類の防腐剤をさらに含む。防腐剤微生物、昆虫または他の有害生物による攻撃から他の材料を保護するヒトまたは動物の消費条件に合う材料である。
【0032】
上記の2種類以上の追加成分は、食品添加物に包含することができる。例えば、クエン酸、レモンフレーバー、および甘味料を食品添加物に添加することによって、食品添加物を混合した飲料に食餌繊維および無視することができるRGRまたはグリセミック負荷と共にレモネードプロフィールを付与することができる。
【0033】
一つの態様では、食品添加物の相対血糖応答(RGR)は約10%未満である。食品添加物は摂取により食餌繊維を提供することことにも注目すべきである。
【0034】
もう一つの態様では、本発明は、ベース食品と、少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールとを含む繊維強化食品に関する。
【0035】
「ベース食品」は、繊維による強化が所望なことがある任意の食品である。「食品」および「ベース食品」は、ヒトまたは動物での消費を目的とする飲用に適したまたは食べられる任意の材料を包含する。一つの態様では、ベース食品は、特に水、ミルク、フルーツジュース、野菜ジュース、炭酸入り清涼飲料、炭酸を含まない清涼飲料、コーヒー、茶、ビール、ワイン、酒、アルコール性混合飲料、パン、ケーキ、クッキー、クラッカー、加工成型スナック、スープ、冷凍デザート、フライ食品、パスタ製品、ジャガイモ製品、米製品、トウモロコシ製品、小麦製品、乳製品、 ヨーグルト、菓子、飴玉、栄養物バー(nutritional bars)、朝食用シリアル、パン生地、パン生地混合物、ソース、加工肉、およびチーズのような加工食品からなる群より選択される。このリストは、全部を網羅しようとするものではない。
【0036】
少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールとは、上記のようなものであることができる。一つの態様では、繊維強化食品は、少なくとも1種類の繊維源の総ての総量に由来する1人前当たり少なくとも約2.5gの食餌繊維(換言すれば、ベース食品によって提供される任意の食餌繊維の他に2.5gの食餌繊維)を含んでなる。もう一つの態様では、繊維強化食品は、少なくとも1種類の繊維源の総ての総量に由来する1人前当たり少なくとも約3gの食餌繊維、例えば、少なくとも1種類の繊維源の総ての総量に由来する1人前当たり少なくとも約4gまたは少なくとも約5gの食餌繊維を含んでなる。
【0037】
食物のグリセミック負荷(GL)は、食物の炭水化物含量のグラム数 x 食物のRGR として定義される。一つの態様では、繊維強化食品のGLは、ベース食品のGLより大きい1人前当たり1gに過ぎない。
【0038】
一つの態様では、ベース食品は炭酸入り清涼飲料であり、これに5gの低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類および25.7gのフルクトースを添加して、12オンスの1杯当たり約113カロリーを供給する炭酸入り清涼飲料を得る。炭酸入り清涼飲料のRGRは約3%であり、約0.9gのグリセミック負荷が出される。この飲料を1杯消費すると、3〜4gの食餌繊維が供給される。
【0039】
もう一つの態様では、ベース食品は炭酸入り清涼飲料であり、これに5gの低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類、1.7gのフルクトース(この成分組合せのRGRは約7%)、および0.06gのスクラロースを添加して、甘味を提供する。この飲料は、12オンスの1杯当たり約17カロリーを供給する。この製品のグリセミック負荷は約0.5gである。この飲料を1杯消費すると、3〜4gの食餌繊維が供給される。
【0040】
プルーランを含む飲料の一例では、炭酸入り清涼飲料ベース食品に2.3gの低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類および1.8gのプルーラン(0.5重量%)を添加する。さらに、0.06gのスクラロースを加えて、コーラ飲料に甘味を提供する。プルーランは、この飲料に0.5重量%添加され、全糖飲料の口当たりを模倣するため粘性を加える。さらに一般的には、約0.25重量% d.s.b.〜約1.25重量% d.s.b.のプルーランは、水の全糖飲料(約10% d.s.b.スクロースまたは約10% d.s.b.高フルクトーストウモロコシシロップ)に匹敵する流動性を有する飲料を提供する。この飲料は、12オンスの1杯当たり約8.2カロリーを供給する。この製品のグリセミック負荷は約1.2gであり、血糖応答は約30%である。この飲料を1杯消費すると、約3gの食餌繊維が供給される。
【0041】
もう一つの態様では、本発明は、ベース食品に少なくとも1種類の繊維源とフルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールを含んでなる食品添加物をブレンドして繊維強化食品を得ることによる、食品を繊維強化する方法に関する。
【0042】
ベース食品および食品添加物は、上記した通りであることができる。
【0043】
「ブレンド」とは、ベース食品と食品添加物を十分に混合して食品が実質的に均質になるようにすることを意味する。これは、材料を実質的に均質になるまで十分に混合するのに用いるいずれか特定の装置の使用に限定されない。食品添加物をベース食品にブレンドする手法は、ベース食品、および食品添加物のフェーズおよび他の物理パラメーターによって変化する。本発明の開示の利益を有する熟練技術者であれば、本発明の食品添加物をベース食品に日常的実験作業の問題としてブレンドすることができる。
【0044】
下記の実施例は、本発明の好ましい態様を例示する目的で包含される。下記の実施例に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者によって見出された技術であり、その実施のための好ましい様式を構成するものと考えることができることを当業者であれば理解すべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示の観点から、多くの変化を、開示される具体的態様で行うことができさらに本発明の精神および範囲から離反することなく同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
【実施例】
【0045】
実施例
イヌの血統応答試験プロトコル
動物 猟犬の血統を有し、平均初期体重が25.1kg(範囲、19.9〜29.5kg)であり、平均年齢が5歳の目的飼育した雌イヌ(n=5; Butler Farms USA, クライド,ニューヨーク)を用いた。
【0046】
食餌処理 実験炭水化物を4組に分類し、それぞれの組をマルトデキストリンコントロール(Star-Dri 10)と比較した。イヌは、食餌負荷試験の目的で25〜50gの炭水化物/約240ml脱イオン水を摂取した。投与量は、使い捨て用の60ccシリンジ(針なし)を用いて測定し、イヌに10分間かけて投与した。消費される量は240mlの水に溶解する材料の能力に準拠した。総ての炭水化物の同量を、各5 x 5のラテン方陣内で投与した。炭水化物源を溶液/懸濁液とするため、水と炭水化物を攪拌プレートを用いて混合した。血中グルコースは、イヌが試験炭水化物の全部を10分以内に消費したときにのみ測定した。
【0047】
低分子量の耐消化性オリゴおよび多糖類の3つの処方物を調製した。単糖類、二糖類、三糖類および四糖類、および高級糖類の重量% d.s.b.は、下記の通りであった。
【0048】
【表1】

【0049】
実験デザイン
一連の5 x 5ラテン方陣デザインを用いて、イヌに3つの別々の3時間食餌負荷試験を行った。負荷試験は、3〜4日の間隔を置いた。15時間の絶食の後、イヌは割り当てられた投与物を消費した。
【0050】
総てのイヌには、同一の市販食餌(Iams Weight Control(商標); The Iams Co., リュースバーグ,オハイオ)を与えた。この食餌の主成分は、トウモロコシミール、鶏肉、粉にした全グレインソルガム、鶏肉副生成物ミール、粉にした全グレインバーレイ、および魚肉であった。水は自由に与えた。それぞれの食餌負荷試験の前夜1700時に、残っている食物を総て除去し、イヌを15時間絶食させ、その時間中は水だけを与えた。食餌負荷試験の朝に、血液試料を絶食させたイヌから採取した。次に、イヌに適当な炭水化物溶液を投与し、さらに血液試料を食後15、30、45、60、90、120、150および180分後に採取した。約1mlの血中を、頸静脈または橈側静脈穿刺によってシリンジに集めた。血液の一部を、直ちにグルコース分析に用いた。
【0051】
化学分析 採取直後に、血液試料をPrecision-G Blood Glucose Testing System (Medisense, Inc., ベッドフォード,マサチューセッツ)を用いるグルコースオキシダーゼ法によって分析した。得られた値の範囲についてのこの検査システムの精度は、製造業者によって報告されている通り3.4〜3.7%(変動係数)であった。
【0052】
統計分析 ラテン方陣内のデーターを、SAS (SAS Institute, キャリー,ノースカロライナ)の混合モデル処理法によって分析した。統計モデルは、処理の固定効果および動物および期間のランダム効果を包含した。処理の最小二乗平均を、Tukey法を用いて比較した。P<0.05の確率は、統計学的に有意であると解釈した。0.06〜0.10の確率は、トレンドと解釈した。
【0053】
この計画を用いて、下記のデーターセットを得た(図1〜6および表1〜6)。
【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
本明細書に開示し特許請求した組成物および方法の総ては、本発明の開示に準拠して過度の実験なしに行いかつ達成することができる。本発明の組成物および方法は好ましい態様に関して記載したものであるが、本発明のコンセプト、精神および範囲から離反することなく組成物および方法、および本明細書に記載の方法の工程数または工程の順序を変化させることができることは当業者には明らかであろう。さらに具体的には、本明細書に記載の薬剤の代わりに化学的および生理学的に関連しているある種の薬剤を用いても、同一または類似の結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかな総てのこれらの同様な置換および修飾は、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神、範囲およびコンセプト内にあると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の繊維源と、
フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される、少なくとも1種類の単糖類または糖アルコール
とを含んでなる、食品添加物。
【請求項2】
少なくとも1種類の繊維源が、耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物、耐消化性マルトデキストリンおよびプルーランからなる群より選択される、請求項1に記載の食品添加物。
【請求項3】
(i)耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物および耐消化性マルトデキストリンからなる群より選択される、少なくとも1種類の繊維源、および(ii)プルーランを含んでなる、請求項2に記載の食品添加物。
【請求項4】
約15重量%〜約60重量%の総単糖類および糖アルコールを含んでなる、請求項1に記載の食品添加物。
【請求項5】
食品添加物の相対血糖応答(RGR)が約10%未満である、請求項1に記載の食品添加物。
【請求項6】
少なくとも1種類の甘味料をも含んでなる、請求項1に記載の食品添加物。
【請求項7】
甘味料が、スクラロース、サッカリン、アスパルターム、およびアセスルファーム塩からなる群より選択される、請求項6に記載の食品添加物。
【請求項8】
ベース食品と、
少なくとも1種類の繊維源と、
フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される、少なくとも1種類の単糖類または糖アルコール
とを含んでなる、繊維強化食品。
【請求項9】
少なくとも1種類の繊維源が、耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物、耐消化性マルトデキストリンおよびプルーランからなる群より選択され、かつ
少なくとも1種類の繊維源の総ての総量に由来する1人前当たり少なくとも約2.5gの食餌繊維を含んでなる、請求項8に記載の繊維強化食品。
【請求項10】
(i)耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物および耐消化性マルトデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種類の繊維源、および(ii)プルーランを含んでなる、請求項9に記載の繊維強化食品。
【請求項11】
繊維強化食品が、少なくとも1種類の繊維源の総ておよび少なくとも1種類の単糖類および糖アルコールの総ての総重量に対して、約15重量%〜約60重量%の総単糖類および糖アルコールを含んでなる、請求項8に記載の繊維強化食品。
【請求項12】
スクラロース、サッカリン、アスパルターム、およびアセスルファーム塩からなる群より選択される少なくとも1種類の甘味料をさらに含んでなる、請求項8に記載の繊維強化食品。
【請求項13】
ベース食品が、水、ミルク、フルーツジュース、野菜ジュース、炭酸入り清涼飲料、炭酸を含まない清涼飲料、コーヒー、茶、ビール、ワイン、酒、アルコール性混合飲料、パン、ケーキ、クッキー、クラッカー、加工成型スナック、スープ、冷凍デザート、フライ食品、パスタ製品、ジャガイモ製品、米製品、トウモロコシ製品、小麦製品、乳製品、ヨーグルト、菓子、飴玉、栄養物バー(nutritional bars)、朝食用シリアル、パン生地、パン生地混合物、ソース、加工肉、およびチーズのような加工食品からなる群より選択される、請求項8に記載の繊維強化食品。
【請求項14】
ベース食品に、少なくとも1種類の繊維源と、フルクトースおよびソルビトールからなる群より選択される少なくとも1種類の単糖類または糖アルコールとを含んでなる食品添加物をブレンドして、繊維強化食品を生成することを含んでなる、食品を繊維強化する方法。
【請求項15】
少なくとも1種類の繊維源が、耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物、耐消化性マルトデキストリンおよびプルーランからなる群より選択され、かつ
繊維強化食品が少なくとも1種類の繊維源の総ての総量に由来する1人前当たり少なくとも約2.5gの食餌繊維を含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種類の繊維源が、(i)耐消化性グルコースシロップ、耐消化性トウモロコシシロップ、耐消化性グルコースシロップ固形物、耐消化性トウモロコシシロップ固形物および耐消化性マルトデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種類の繊維源、および(ii)プルーランである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
繊維強化食品が、少なくとも1種類の繊維源の総ておよび少なくとも1種類の単糖類および糖アルコールの総ての総重量に対して、約15重量%〜約60重量%の総単糖類および糖アルコールを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
繊維強化食品をスクラロース、サッカリン、アスパルターム、およびアセスルファーム塩からなる群より選択される少なくとも1種類の甘味料を用いて甘味を付けることをさらに含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
ベース食品が、水、ミルク、フルーツジュース、野菜ジュース、炭酸入り清涼飲料、炭酸を含まない清涼飲料、コーヒー、茶、ビール、ワイン、酒、アルコール性混合飲料、パン、ケーキ、クッキー、クラッカー、加工成型スナック、スープ、冷凍デザート、フライ食品、パスタ製品、ジャガイモ製品、米製品、トウモロコシ製品、小麦製品、乳製品、 ヨーグルト、菓子、飴玉、栄養物バー(nutritional bars)、朝食用シリアル、パン生地、パン生地混合物、ソース、加工肉、およびチーズのような加工食品からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ベース飲料と、
約0.25重量%d.s.b.〜約1.25重量%d.s.bのプルーランと、
スクラロース、サッカリン、アスパルターム、およびアセスルファーム塩からなる群より選択される、少なくとも1種類の甘味料
とを含んでなる、繊維強化飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500881(P2010−500881A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524733(P2009−524733)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/075426
【国際公開番号】WO2008/021853
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(505410597)テイト アンド ライル イングレディエンツ アメリカス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】