説明

少なくとも2つの流動性成分を混合するための混合器及び供給装置

【課題】従来技術の欠点を有さない、少なくとも2つの流動性成分のための混合器及び供給装置を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの流動性成分を混合するための混合器であって、混合器は、出口開口部7を有する混合器ハウジング3と、混合器ハウジング3内に配置された混合部材4と、混合部材4の領域に導入されるときに通過することができる入口通路5、6とを有し、各々の入口通路5、6が、保管容器8又はチャンバ91、92の出口通路84、921と協動して密閉を実現するように設計されており、入口通路5のうちの少なくとも1つが、その端部において、保管容器8又はチャンバ91、92と入口通路5との間の流れ接続を開通させるための穿孔部材51として出口通路84と協動することを意図して設計されている。穿孔部材51が少なくとも2つの流入領域を有し、2つの流入領域が互いに傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの独立請求項の導入部分による、少なくとも2つの流動性成分を混合するための混合器及び供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
少なくとも2つの成分を混合するための静的混合器又は動的混合器は、複数の技術分野で使用されている。その技術分野には、例えば、シール用コンパウンドなどの2成分系の混合、2成分の発泡材の混合、若しくは2成分の接着剤の混合、又は、歯科分野、例えば印象材の混合などがある。通常、個々の成分は、使用されるまで互いから分離された状態に維持される必要があり、その後、化学反応により硬化が引き起こされるように混合される。このような混合器は、概して1回だけ使用できるように設計される。というのは、硬化の後又は成分の任意の他の反応の後、これらの混合器は、実用的に洗浄され得ないからである。
【0003】
これらの混合器は、通常、それぞれの成分のためのカートリッジ又は他のチャンバを含む供給装置の一部である。使用時、個々の成分は、プランジャにより又は駆動可能ピストンによりチャンバから供給され、混合器内へ移されて、そこで密接に混合され、均一に混合された塊片としてその出口開口部を介して混合器から出される。これらの成分のためのチャンバには多くの異なるデザインが存在する。このチャンバは、例えば、供給装置内に直接に挿入される剛体カートリッジとして設計され得る。この点に関して、カートリッジは各々、例えば、それぞれの成分を供給するために圧力を加えることによりカートリッジ内へと移動される底部としてピストンを有することができる。カートリッジが非常に薄い壁を有するようなデザインも知られている。この場合、これらの薄い壁は供給装置の支持カートリッジ内に挿入され、プランジャ又はピストンによりこれらの薄い壁に圧力が加えられる。この点に関して、供給時に薄壁カートリッジが支持カートリッジ内で折り畳まれるということが実施され得る。更に、成分のためのチャンバの各々が、支持カートリッジ内に挿入されて使用時に圧力を加えられることによって圧縮される管状バッグとして設計されるということも知られている。
【0004】
一般に、個々の成分を保管することに関して、個々の成分を完全に密閉されたチャンバ内で保管し、不要に空気又はその成分と反応させたり、乾燥させたり、他の劣化を引き起こさせたりすることを一切回避することが必要である。とりわけ、成分のためのチャンバとして管状バッグ又は薄壁カートリッジを備えたチャンバに対して、複雑なクロージャ装置を備えて供給することが望まれる場合が多い。したがって、一般に普及している方法では、それぞれのチャンバ、すなわちカートリッジ又は管状バッグが、例えば、対応する成分が後で供給され得るように最初に使用される前に穿孔される。
【0005】
カートリッジ又は管状バッグのホルダの上に、穿孔装置を含むアダプタが配置されるようなシステムが知られている。ここでは、アダプタには2つの位置が設けられる。それらの一方の位置では、穿孔装置が保管及び輸送のためにカートリッジ又はバッグのそれぞれによって堅固に保持され、それらのもう一方の位置では、穿孔装置がカートリッジを貫通してカートリッジを穿孔しており、したがって成分が供給されるために解放される。
【0006】
この場合、アダプタが、廃棄されるシステムの一部であり、したがって処分される必要があるということが不利である。一般に、意図していないのに穿孔されることを回避するために、特別なロック装置も必要となる。
【0007】
別の実施例では、カートリッジ又は管状バッグのそれぞれのためのホルダに直接に取り付けられる穿孔装置が含まれる。カートリッジ又は管状バッグがそれぞれ挿入されて圧力が加えられると、壁が穿孔されるが、ここでは、壁は穿孔装置に向かうように押圧されてそれにより切り開かれる。このシステムは常に高い信頼性を有しているわけではなく、一般に、カートリッジ又は管状バッグのそれぞれが意図せずに穿孔されないように、保管、輸送及び取り扱いの際には十分に注意する必要がある。
【0008】
穿孔装置が混合器の入口通路に設けられているようなシステムも、例えばDE−196 18 693により知られている。この目的のために、穿孔装置は、斜めに切られたパイプエンドとして設計される。斜めに切られたパイプエンドは、混合器がチャンバの壁の上に配置されてそれによりチャンバの壁が穿孔されるときに、チャンバの各々の出口内に係合される。しかし、この実施例では、穿孔される壁自体が入口通路の入口開口部の前に配置され、その入口通路を少なくも部分的に塞ぎ、それにより、成分の供給に悪影響を及ぼすことがある。これは、カートリッジ又は管状バッグ内への入口通路の貫通深さを大きくすることにより随意的に防止され得る。しかし、それによって、カートリッジ又は管状のバッグのそれぞれから成分を完全に供給することが不可能になり、非経済的な残量が生じる。本発明の目的は、このような試みに可能な限り従い、従来技術の欠点を回避することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第19618693号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、この従来技術を出発点として、これらの欠点を有さない、少なくとも2つの流動性成分のための混合器及び供給装置を提供することである。問題なく安全に保管及び輸送することが可能であるべきであり、このシステムを取り扱うことが簡単であるべきであり、穿孔された壁を介した成分の供給が妨害されることが可能な限り回避されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的を満たす本発明の主題は、それぞれの独立請求項の特徴によって特徴づけられる。
【0012】
したがって、本発明によれば、少なくとも2つの流動性成分を混合するための混合器であって、この混合器は、成分のための出口開口部を有する混合器ハウジングと、成分を混合するために混合器ハウジング内に配置された少なくとも1つの混合部材と、成分が互いに分離されて混合部材の領域に導入されるときに通過することができる少なくとも2つの分離された入口通路とを有し、各々の入口通路が、保管容器又はチャンバのそれぞれの1つの出口通路と協動して密閉を実現するように設計されており、更に入口通路のうちの少なくとも1つが、その端部において、保管容器又はチャンバと入口通路との間の流れ接続を開通させるための穿孔部材として出口通路と協動することを意図して設計された混合器が提供される。穿孔部材は、成分のための少なくとも2つの流入領域を有し、これらの2つの流入領域は互いに傾斜している。
【0013】
穿孔部材は混合器の入口通路に形成されることから、保管チャンバ内の、成分のためのチャンバの壁又はシーリングは、混合器が保管容器に接続されるときにのみ穿孔され得る。通常、これは使用の直前にのみ行われる。この方法により、安全な輸送、安全な保管及び簡単な取り扱いが保証される。穿孔部材は互いに傾斜した少なくとも2つの流入領域を更に含むことから、穿孔された壁又はフィルムにより入口通路の入口が詰まることが効果的に防止される。これにより、妨害されずにそれぞれの成分を供給することが可能となる。
【0014】
入口通路のすべての流入領域の合計は、この入口通路の、その長手軸線に対して垂直な断面積より大きいことが有利である。というのは、流入領域の合計が大きいことにより、成分が特に容易に供給され得るからである。
【0015】
成分が、穿孔部材を有するすべての入口通路を流れるのを可能にするために、入口通路は中空体として設計されることが好ましく、入口通路は実質的に円筒管として設計されることが特に好ましい。
【0016】
成分のためのチャンバの壁又はシーリングを穿孔するのを可能な限り簡単な形で可能にするために、穿孔部材は少なくとも1つの先端部を有することが好ましい。
【0017】
第1の好適な実施例によると、2つの流入領域は共通の接続線において互いに接触する。
【0018】
別の好適な実施例では、2つの流入領域は棒によって分離される。
【0019】
この棒は、入口通路の長手軸線に対して垂直に延在することが好ましい。
【0020】
この棒は特に安定した構造であることから、棒が少なくとも1つの先端部を有することが有利である。
【0021】
混合器は、回転可能な混合部材を有する動的混合器として設計されてもよく、すなわち、成分を混合するために混合部材が回転されてもよい。混合器は、もちろん、それ自体が既知の手法で静的混合器としても設計されてもよく、すなわち、混合部材(複数可)は動いても動かなくてもよいが、成分の流れが複数の部分的な流れへと分離されてこれらの複数の部分的な流れが組み合わされることにより成分が混合される。この場合、成分が流れることのみによって混合エネルギーが得られる。
【0022】
一実施例によると、混合器内の厳密に1つの入口通路が、1つの穿孔部材を有し、他の入口通路(複数可)は穿孔部材を有さないように設計される。
【0023】
更に、本発明により、各成分のためのそれぞれ1つのチャンバを受け入れるための保管容器を有する、少なくとも2つの流動性成分を供給するための供給装置であって、この保管容器が、1つの成分のための少なくとも1つの出口通路を有し、更には、成分を混合するための混合器を有する供給装置が提案される。この混合器は、本発明に従って設計される。
【0024】
一実施例では、保管容器は、各チャンバのそれぞれの1つの端部を受け入れるショルダ部分を有し、この少なくとも1つの出口通路がこのショルダ部分に設けられ、ショルダ部分のチャンバから遠い側においてスタブとして突出しており、穿孔部材を備える混合器の入口通路が、ショルダ部分の少なくとも1つの出口通路内に係合されており、混合器の入口通路が、各穿孔部材が動作状態においてチャンバ内へある貫通深さまで突出できるように寸法決定される。
【0025】
可能な限り完全な形でチャンバを空にするのを可能にするために、貫通深さは入口通路の内部範囲の最大で50%、好適には最大で33%である。
【0026】
少なくとも1つの構成部材、すなわち穿孔部材が中を貫通する構成部材は、その壁が穿孔部材によって穿孔され得る管状バッグとして設計される。しかし、チャンバが、カートリッジとして、詳細には薄壁カートリッジ又は折り畳み可能なカートリッジとして設計されるのも可能である。更に、チャンバがクロージャ膜又はクロージャ・フィルムを有し、穿孔部材がチャンバの壁ではなくこのクロージャ箇所を穿孔することも可能である。
【0027】
供給装置は、チャンバから成分を供給するために、少なくとも1つのピストン又は少なくとも1つのプランジャを有することが好ましい。
【0028】
特に単純で費用効率が高い製造法に関して、混合器ハウジング及び混合部材が好適には熱可塑性物質から射出成形されることが有利である。
【0029】
更に、本発明の有利な方法及び実施例は、従属請求項から得られる。
【0030】
以下では、実施例及び図面を参照して、より詳細に本発明を説明する。これらは、概略図で示されている。一部は断面図である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による供給装置の一実施例を示す、部分的な概略分解斜視図である。
【図2】図1の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明による混合器の実施例の入口通路を示す斜視図である。
【図4】本発明による混合器の実施例の入口通路を示す斜視図である。
【図5】本発明による混合器の実施例の入口通路を示す斜視図である。
【図6】本発明による混合器の実施例の入口通路を示す斜視図である。
【図7】本発明による混合器の実施例の入口通路を示す斜視図である。
【図8】本発明による混合器の実施例の入口通路を示す斜視図である。
【図9】本発明による混合器の実施例の入口通路を示す斜視図である。
【実施例】
【0032】
図1は、本発明による供給装置の一実施例の主要部品の部分的な概略分解斜視図を示している。この供給装置は、全体を参照符号1で示されている。この供給装置は、本発明による一実施例の混合器を含む。この混合器は、全体を参照符号2で示されている。図2は、この実施例を部分的な概略縦断面図で示している。この実施例は、2つの流動性成分を供給又は混合するように設計されている。供給装置1又は混合器2が、3つ以上の流動性成分用にも設計され得ることも理解されたい。
【0033】
混合器2は、ここでは動的混合器として設計されている。混合器2は、少なくとも1つの混合部材4が中に設けられた混合器ハウジング3を有する。混合部材4は、図2では概略的にのみ示されている。この混合部材4は、成分を混合する働きをする。混合器2は、2つの別々の入口通路、すなわち第1の入口通路5及び第2の入口通路6を有する。これらの2つの入口通路を介して成分が互いに別々に混合器2に導入されて、各々が混合部材4の領域内に移動され、そこで2つの成分が密接に混合されることが可能である。最後に、混合された成分が、混合器2の出口開口部7を通して外に出され、使用されることが可能である。
【0034】
混合される成分は、それぞれチャンバ91、92内に提供される。成分は、チャンバ91、92内に入れられて保管及び輸送される。一般に、それ自体が既知であるあらゆる変形形態が、成分のためのチャンバ91、92に適する。したがって、チャンバ91、92は、各々、空の状態でも外形を維持する安定した直立可能なカートリッジとして設計され得る。この点に関して、カートリッジの底部は、カートリッジを空にするためのプランジャによってカートリッジの内側に長手方向に移動されるそれ自体が既知の態様のピストンによって形成されてもよい。チャンバ91、92は、薄壁カートリッジによっても実現され得る。薄壁カートリッジは、既知の態様で支持カートリッジ内に挿入され、例えば、供給するために折り畳み可能である。このような折り畳み方式は、例えばベローを用いても同様に機能することができる。更に、チャンバ91、92が、供給のために支持カートリッジ内で圧縮される管状バッグとして設計されることも可能である。もちろん、チャンバ91、92に対して、これらのデザインがあらゆる形で組み合わされ得る。
【0035】
ここで示される実施例では、第1の成分のための第1のチャンバ91は管状バッグとして設計され、第2の成分のための第2のチャンバ92は、厚壁カートリッジとして、すなわち非折り畳み式のカートリッジとして設計されている。
【0036】
供給装置1は、2つのチャンバ91及び92を受け入れる保管容器8を更に有する。この実施例では、保管容器8は、支持カートリッジ81(図2には図示されない)を有する。支持カートリッジ81の中に、管状バッグとして設計された、第1の成分のためのチャンバ91が挿入される。第2のチャンバ92は、剛体カートリッジとして設計されているので、支持カートリッジを必要とせず、例えば、保管容器8の図示されないガイド内に挿入され得る。
【0037】
保管容器8は、各チャンバ91、92のそれぞれの1つの端部を受け入れるショルダ部分83を更に有する。ショルダ部分83には出口通路84が更に設けられている。この出口通路84は、ショルダ部分83においてチャンバから91、92から遠い側にスタブとして突出する。ショルダ部分83は好適には射出成形法で製造される。
【0038】
ここで説明する実施例では、第2の成分のためのチャンバ92は、第2の成分のための出口通路として機能する出口スタブ921を備えるカートリッジとして設計される。例えば保管及び輸送のために、出口スタブにはクロージャ・キャップが備えられている。カートリッジとして形成されたチャンバ92が保管容器8内に挿入される前に、クロージャ・キャップは、例えばはがされるなどして取り除かれる。出口スタブ921は、出口通路84と平行な軸線方向の、ショルダ部分83内の開口部を通って突出しており、混合器2の入口通路6のうちの1つを受け入れることができる。
【0039】
もちろん、第2の成分を、同様に管状バッグ内に提供することも可能である。その場合、出口スタブ921の代わりに第2の出口通路がショルダ部分83に設けられることを理解されたい。
【0040】
成分を供給するために、供給装置1は、第1の成分のためのピストン又はプランジャ85を支持カートリッジ81内に有する。ピストン又はプランジャ85は、図1にのみ示されている。更に、第2のチャンバ92に対して、このようなピストン又はプランジャが同様の形態で設けられることを理解されたい。この態様では、ピストンが、第1のチャンバ91又は第2のチャンバ92の構成部材であり、例えば、第2のチャンバ92を形成するカートリッジに統合されることが可能である。ピストンが、支持カートリッジ81に統合されてもよい。そして、これらのピストンは、成分を供給するためにこの図において上方向に移動されられる。ここでの前進動作は、手動で又は機械式に駆動されるプランジャ85によって行われる。
【0041】
ここに示される実施例のように、動的混合器2の場合、供給装置1は、シャフト12を介して混合器2の混合部材4を回転させる駆動装置11(図2)を有する。シャフト12は、2つのチャンバ91、92の間を延在し、ショルダ部分83の開口部を通って混合器2の中まで延在する。
【0042】
本発明によると、入口通路のうちの少なくとも一方、ここでは第1の入口通路5は、その端部が、穿孔部材51として出口通路84と協動することを意図して設計されている。穿孔部材51は、第1のチャンバ91とこの第1の入口通路5との間の流れ接続を開通させる働きをする。図3では、再び、図1及び図2の実施例の第1の入口通路5が斜視図で示されている。第1の入口通路5は、実質的に、その端部が穿孔部材51を形成する内径Dを有する円筒管として設計される。本発明によると、穿孔部材51は互いに傾斜している2つの流入領域511及び512を有しており、これらの2つの流入領域511及び512を介して、第1の成分がチャンバ91から第1の入口通路5内へ流れることができる。
【0043】
ここで説明する実施例では、入口通路5の壁内に2つの先端部521及び522が設けられている。両側において長手軸線Aに対して斜めに切り取られており、この図(図3)では先端部521及び522の両側において下方へ延在する入口通路5の壁が、これらの2つの先端部521及び522から延在している。先端部521、522は、互いに径方向反対側に配置されている。したがって、いずれの場合も、壁の外形は先端部521及び522の両側において実質的にU形を形成し、これらのU形の各々の脚は先端部521及び522において終端する。図1で最も良く分かるように、2つのU形の脚は各々が湾曲しており、いずれの場合もU形により画定される領域はアーチ形になっている。
【0044】
ここでは、一方のU形及び先端部521、522の間の仮想的な接続線C(図3)によって画定される領域が第1の流入領域511を形成する。そして、もう一方のU形及び仮想線Cによって画定される領域が第2の流入領域512を形成する。したがって、2つの流入領域511及び512は互いに傾斜して延在し、仮想的な接続線Cのところで互いに接触する。上述の通り、2つの流入領域511及び512は各々がアーチ形である。流入領域511、512のうちの一方が凹形に設計され、2つの流入領域511、512のうちのもう一方が凸形に設計されることが有利であることが分かっている。
【0045】
本発明による供給装置1を作動させる際、支持チャンバ81と一体になった第1のチャンバ91及び第2のチャンバ92が保管容器8内に挿入され、それぞれの端部がショルダ部分83内に受け入れられる(図2参照)。チャンバ92のクロージャは、あらかじめ設置されている場合、前もって取り除かれている。カートリッジとして設計され、出口スタブ91を備えるチャンバ92が、ラッチ接続部922によりショルダ部分83内に保持されている。保管チャンバ8が閉じられており、プランジャ(複数可)85又はピストン(複数可)が、ショルダ部分83から遠いチャンバ91、92の端部に配置されている。
【0046】
ここで、混合器2はショルダ部分83の上に配置されている。それにより、第1の入口通路5が出口通路84内に係合され、第2の入口通路6が出口スタブ921内に係合されている。そして、入口通路5、6は、各々が出口通路84又は出口スタブ921のそれぞれと密閉状態で協動するように設計されている。
【0047】
混合器2をショルダ部分83の上に配置する際、第1の通路5の穿孔部材51が第1のチャンバ91の壁を穿孔し、チャンバ91内を貫通深さTまで貫通する。
【0048】
別法として、ピストン又はプランジャ85により第1のチャンバ91上に圧力を加えることにより、チャンバ91の壁が、穿孔部材に向かって押圧されることのみで穿孔部材によって貫通されることも可能である。
【0049】
チャンバ91の壁、又は開口用に設けられたチャンバ91内の膜若しくはフィルムを穿孔する際又はその穿孔後に、壁又は膜若しくはフィルムの一部が第1の入口通路5の前に押し込まれ、それによってチャンバ91からの第1の成分の供給が実質的に妨害されるということは、互いに傾斜した2つの流入領域511及び512によって効率的に回避される。
【0050】
この点に関して、すべての流入領域511、512の合計が、ここでは内径Dによって画定される入口通路5の断面積より大きいことが有利であることが分かっている。とりわけ、流入領域511、512のうちの少なくとも一方が長手軸線Aに対して垂直ではなく斜めに延在することによって、この幾何学的条件が実現され得る。
【0051】
更に、チャンバ91内への最大貫通深さが小さくなるように入口通路5をその長さに関して寸法決定することも、穿孔部材51の幾何形状によって可能となる。したがって、例えば、入口通路5の内部範囲の最大で50%、好適には最大で33%となるように貫通深さTを設定することが可能である。ここで説明する円筒形入口通路5では、内部範囲は内径Dである。可能な限り完全にチャンバ91を空にすることが可能となるため、貫通深さTがこのように小さいことは有利である。
【0052】
次に、例示の特徴を有する図4〜図9を参照して、第1の入口通路5又は穿孔部材51のそれぞれの有利な実施例を以下で更に説明する。この点に関して、同一又は同等の機能を有する部品は図3の参照符号と同じ参照符号で示される。図4から図9は、それぞれ穿孔部材51を備える入口通路5の斜視図を示している。
【0053】
図4による実施例では、入口通路5の長手軸線A上に配置される中央先端部523が設けられている。4つの支柱53が、この中央先端部523から長手軸線Aに対して傾斜して、この図では下方向へ延在している。これらの4つの支柱53の各々は、長手軸線に対して垂直に切り取られた入口通路5の壁上で終端している。この点に関して、これらの端部は、好適には壁の周囲部にわたって等距離に配置されている。更に、円筒壁にU形の切欠部54が設けられている。穿孔処置を容易にするために、いずれの場合も、4つの支柱53はそれらのそれぞれの中心軸線に対してねじれるように設計され得る。この実施例では、4つの流入領域511、512、513、514が、いずれの場合も2つの隣接する支柱53の間に設けられており、さらに、U形の切欠部によって形成された別の流入領域54が設けられている。
【0054】
図5による実施例では、図3による実施例と同様の形態で、2つの先端部521及び522が入口通路5の壁に設けられ、これらの2つの先端部521は互いに径方向反対側にあり、入口通路5の壁はこれらの2つの先端部521及び522から両側に延在し、長手軸線Aに対して斜めに切り取られている。しかし、先端部521及び522は、図3による実施例と比較してより鋭利な先端部として設計されている。更に、図5による実施例では、2つの先端部521及び522は、長手軸線Aに対して垂直に延在する棒55によって連結されている。この棒55には、長手軸線A上に位置する別の中央先端部523が設けられている。この実施例では、2つの流入領域511及び512は、棒55によって互いに分離されている。
【0055】
図6による実施例は図3の実施例に類似するが、図6による実施例では、2つの先端部521及び522が、ここでは凹んだ湾曲部を有するように設計された棒55によって接続されている。この図によれば、棒55の側方端部は、頂部において長手軸線Aの方向にテーパ状になっており、ここに切断縁部551が形成されている。
【0056】
図7による実施例も図3による実施例に類似するが、図7による実施例では、径方向反対側にある2つの先端部521’及び522’の各々が、分離された先端部として入口通路5の壁上に設けられている。先端部521’及び522’は、共に各々が円錐先端部521’及び522’として設計されている。
【0057】
図8は、同様に図3による実施例に類似する別の実施例を示している。しかし、図8による実施例では、入口通路5の壁は2つの先端部521及び522の一方の側のみが長手軸線Aに対して斜めになるように切り取られており、それによって、この場合ではU形でアーチ状の流入領域511が形成されている。先端部521及び522のもう一方の側では、入口通路5の壁は長手軸線Aに対して垂直に切り取られており、関連する流入領域512’が長手軸線Aに対して実質的に垂直に配置されている。2つの先端部521及び522の側方の境界部は各々が斜めに切り取られている。したがって、各先端部521、522は、実質的に三角形のプロファイルを有する歯と同様に設計されている。
【0058】
図9は一実施例を示しており、ここでは、図7による実施例と同様の形態で、2つの分離された先端部521’及び522’が入口通路5の壁上に設けられ、これらの先端部521’及び522’は各々が円柱となるように設計され、円錐先端部を有している。一方の側では、流入領域のうちの1つを形成するU形の切欠部54が、2つの円柱521’及び522’の間の入口通路5の壁に設けられている。2つの円柱521’及び522’の間のもう一方の側では、入口通路5の壁は長手軸線Aに対して垂直に切り取られた領域を有し、それによって、長手軸線Aに対して垂直に延在する流入領域512’が画定されている。更に、内側に傾斜して延在する実質的に三角形のそれぞれの壁部56が、円柱521’及び522’の周りに設けられる。これらの2つの壁部56により、更に別のそれぞれの流入領域515及び516が2つの円柱521’及び522’の両側に画定されている。
【0059】
図3〜図9を参照して説明した個々の実施例の特徴は、それぞれが互いに組み合わされ得ることを理解されたい。
【0060】
ここで説明した供給装置1の実施例では、チャンバ91内に2つの成分のうちの1つのみが設けられ、穿孔部材51によって使用前に開口される必要があるような適用事例を参照してきたが、もう一方の成分はカートリッジとして設計されたチャンバ92内にあり、チャンバ92は例えばクロージャをはがすことにより又はキャップを回して取ることにより開けられる。この適用事例は、例えば、接着剤が、管状バッグとして設計された第1のチャンバ91内に第1の成分として設けられ、更に、第2のチャンバ92が、迅速な硬化のために接着剤に混合される第2の成分としてブースターを含むような場合に実現される。
【0061】
もちろん、管状バッグとして設計されたチャンバ内に、或いは、チャンバの出口が膜、フィルム、又は別の種類のシーリングによって閉じられるようなチャンバ内に、両方の成分又はそれより多い成分を設けるような用途にも本発明が適することを理解されたい。この場合、このようなチャンバと協動する混合器の各入口通路のそれぞれの端部に穿孔部材51が設けられる。
【0062】
また、異なる入口通路に設けられた穿孔部材が、同じよう設計されても異なるように設計されてもよいことを理解されたい。
【0063】
更に、本発明は、もちろん、混合器2が静的混合器として設計されるような実施例にも適する。静的混合器でも、混合される成分のための1つ又は複数の入口通路に穿孔部材が設けられ得る。
【符号の説明】
【0064】
1 供給装置
2 混合器
3 混合器ハウジング
4 混合部材
5 第1の入口通路
6 第2の入口通路
7 出口開口部
8 保管容器
12 シャフト
51 穿孔部材
53 支柱
54 U形の切欠部
55 棒
56 壁部
81 支持カートリッジ
83 ショルダ部品
84 出口通路
85 ピストン又はプランジャ
91 第1のチャンバ
92 第2のチャンバ
511、512、512’、513、514 流入領域
521、521’、522、522’ 先端部
523 中央先端部
551 切断縁部
921 出口スタブ
922 ラッチ接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの流動性成分を混合するための混合器であって、前記混合器は、前記成分のための出口開口部(7)を有する混合器ハウジング(3)と、前記成分を混合するために前記混合器ハウジング(3)内に配置された少なくとも1つの混合部材(4)と、前記成分が互いに分離されて前記混合部材(4)の領域に導入されるときに通過することができる少なくとも2つの分離された入口通路(5、6)とを有し、
各々の入口通路(5、6)が、保管容器(8)又はチャンバ(91、92)のそれぞれの1つの出口通路(84、921)と協動して密閉を実現するように設計されており、
更に前記入口通路(5)のうちの少なくとも1つが、その端部において、前記保管容器(8)又は前記チャンバ(91、92)と前記入口通路(5)との間の流れ接続を開通させるための穿孔部材(51)として前記出口通路(84)と協動することを意図して設計された混合器において、
前記穿孔部材(51)が前記成分のための少なくとも2つの流入領域(511、512、512’、513、514、515、516、54)を有し、前記2つの流入領域(511、512、512’、513、514、515、516、54)が互いに傾斜している、ことを特徴とする混合器。
【請求項2】
入口通路(5)のすべての流入領域(511、512、512’、513、514、515、516、54)の合計が、この入口通路(5)の、その長手軸線(A)に対して垂直な断面積より大きい、請求項1に記載された混合器。
【請求項3】
穿孔部材(51)を有する各入口通路(5)が、実質的に円筒管として設計されている、請求項1又は請求項2に記載された混合器。
【請求項4】
前記穿孔部材(51)が、少なくとも1つの先端部(521、522、523、521’、522’)を有する、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された混合器。
【請求項5】
前記2つの流入領域(511、512、54、515、516)が、共通の接続線(C)において互いに接触する、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された混合器。
【請求項6】
前記2つの流入領域(511、512’)が、棒(55)によって分離されている、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された混合器。
【請求項7】
前記棒(55)が、前記入口通路(5)の前記長手軸線(A)に対して垂直に延在する、請求項6に記載された混合器。
【請求項8】
前記棒(55)が、少なくとも1つの先端部(523)を有する、請求項6又は請求項7のいずれか一項に記載された混合器。
【請求項9】
回転可能な混合部材(4)を有する動的混合器として設計される、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載された混合器。
【請求項10】
厳密に1つの入口通路(5)が、穿孔部材(51)を有する、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載された混合器。
【請求項11】
各成分のためのそれぞれ1つのチャンバ(91、92)を受け入れるための保管容器(8)を有する、少なくとも2つの流動性成分を供給するための供給装置であって、前記保管容器(8)が、前記成分のうちの1つの成分のための少なくとも1つの出口通路(84)を有し、更には、前記成分を混合するための混合器(2)を有する供給装置において、前記混合器(2)が請求項1から請求項10までのいずれか一項に従って設計されることを特徴とする供給装置。
【請求項12】
前記保管容器(8)が、各前記チャンバ(91、92)のそれぞれの1つの端部を受け入れるショルダ部分(83)を有し、前記少なくとも1つの出口通路(84)が前記ショルダ部分(83)に設けられ、前記ショルダ部分(83)の前記チャンバ(91、92)から遠い側においてスタブとして突出しており、前記穿孔部材(51)を備える前記混合器(2)の前記入口通路(5)が、前記ショルダ部分の前記少なくとも1つの出口通路(84)内に係合されており、前記混合器(2)の前記入口通路(5)が、各穿孔部材(51)が動作状態において前記チャンバ内へ貫通深さ(T)まで貫通できるように寸法決定されている、請求項11に記載された供給装置。
【請求項13】
前記貫通深さ(T)が、前記入口通路の内部範囲(D)の最大で50%、好適には最大で33%である、請求項12に記載された供給装置。
【請求項14】
少なくとも1つのチャンバ(91)が、その壁が前記穿孔部材(51)によって穿孔され得る管状バッグとして設計されている、請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載された供給装置。
【請求項15】
前記チャンバから前記成分を供給するために、少なくとも1つのピストン(85)又は少なくとも1つのプランジャ(85)を有する、請求項11から請求項14までのいずれか一項に記載された供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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