説明

少量の液体の吸引及び分配

液体を吸引及び分配する計量装置は、ハウジングと、ハウジング内部に収容される、ポンプ媒体、好ましくは気体包含チャンバと、チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、気体包含チャンバに熱と冷気の源を提供する熱源又は冷気源と、チャンバ内の温度を測定するための温度センサーと、を含む。好ましい実施形態では、装置は、チャンバ、又は複数のチャンバの内部の気体圧力を測定するための圧力センサーを更に含む。液体を吸引及び分配するための方法は、液体を吸引及び分配するための計量装置を準備することであって、この計量装置が、ハウジング、ハウジング内に収容される気体包含チャンバ、チャンバ、チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネル、気体包含チャンバに熱と冷気の供給源を提供する熱源又は冷気源、並びにチャンバ内の温度を測定するための温度センサーを含む、計量装置を準備することと、吸引される液体の供給源を準備することと、チャネルの遠位端を液体と接触させることと、熱源又は冷気源で気体包含チャンバを冷却して装置内に第1体積の液体を吸引することと、気体包含チャンバを加熱して、第2体積の液体を装置外に分配することと、を含む。好ましい実施形態では、計量装置は、試料中の1つ以上の分析物の存在を決定するために診断分析装置において使用される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本出願は、2007年9月10日に出願された、米国特許出願第60/971,014号に対する優先権を主張し、その内容が参照により全体として組み込まれる。
【0002】
〔背景技術〕
本発明は、特に診断分析の分野における、少量の液体の吸引及び分配に関する。特に、本発明は、液体を吸引及び分配するために、少量の加熱又は冷却された気体を使用する計量装置に関する。
【0003】
医療診断用途において使用されるものなどの計量装置が、当該技術分野において既知である。例えば、ピペッターなどの計量装置は、一般的には、ソフトシステム又はハードシステムとして分類される。ソフトシステムでは、吸引又は計量される液体は、空気のバルク容量により、例えば、ピストンポンプなどのポンプ源と分離される。ソフトシステムは、一般的に、2μL以上などの比較的大きな体積の液体を計量する場合に良好に機能する。しかしながら、ソフトシステムは少量の液体を十分に吸引しない。1つには、これは、ソフトシステムでは空気の体積が典型的には200μLよりも大きく、これにより空気が、空気の圧縮性によって柔軟なバネとして機能するためである。結果として、流体粘度及び流体表面エネルギーが計量性能に顕著な影響を及ぼし、これが少量の液体を正確に計量することを困難にする。ハードシステムでは、ピストンポンプなどのポンプが、「作動液体」の柱に、計量される液体を吸引又は分配させる。作動液体及び計量される液体は空隙によって分離される。慣性効果、音響効果、及び脱気現象はシステム性能に悪影響を与える。したがって、既知のシステムは、少量の液体を十分に分配すること、特に、例えば、低又はサブマイクロリットルの範囲の少量の液体を正確かつ精密に分配することができない。
【0004】
従来の計量装置の別の問題は、ポンプシステムが典型的には重く、寸法が大きいことである。
【0005】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
先述の理由により、既知の計量装置よりも精密かつ正確に少量の液体を計量することのできる装置に対する必要性が存在する。既知の計量装置よりも軽く、小さい計量装置に対する必要性もまた存在する。
【0006】
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、少量の液体を計量するための装置に対する前述の必要性を満たす、器具及び方法に関する。本発明はまた、既知の装置よりも軽く、小さな計量装置に対する前述の必要性を満たす器具に関する。
【0007】
本発明の一態様により、液体を吸引及び分配するための計量装置が提供され、これは、ハウジングと、ハウジング内部に収容される少なくとも1つのポンプ媒体包含チャンバと、少なくとも1つのチャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、ポンプ媒体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する少なくとも1つの熱源又は冷気源と、チャンバ内の温度を測定するための少なくとも1つの温度センサーと、を含む。好ましい実施形態では、熱源又は冷気源は半導体基材に作製される熱電加熱装置であり、温度センサーが半導体基材に作製され、ハウジングが半導体基材を少なくとも部分的に囲い、ハウジングを取り付けるために電子回路基板が提供され、半導体基材から回路基板に延びる電気リードが提供される。
【0008】
本発明の別の態様は液体を吸引及び分配するための計量装置を提供する。装置は、ハウジングと、ハウジング内部に収容されるポンプ媒体(好ましくは、気体)包含チャンバと、チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、ポンプ媒体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する熱源又は冷気源と、チャンバ内の温度を測定するための温度センサーと、を含む。好ましい実施形態では、装置はチャンバ内のポンプ媒体圧力を測定するための圧力センサーを更に含む。
【0009】
本発明の別の態様は液体を吸引及び分配するための方法を提供する。方法は、液体を吸引及び分配するための計量装置を準備することであって、この計量装置が、ハウジング、ハウジング内に収容されるポンプ媒体(好ましくは気体)包含チャンバ、チャンバ、チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネル、ポンプ媒体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する熱源又は冷気源、並びにチャンバ内の温度を測定するための温度センサーを含む、計量装置を準備することと、吸引される液体の供給源を提供することと、チャネルの遠位端を液体と接触させることと、熱源又は冷気源でポンプ媒体包含チャンバを冷却して装置内にに第1体積の液体を吸引することと、ポンプ媒体包含チャンバを加熱して、第2体積の液体を装置外に分配することと、を含む。
【0010】
本発明の更に別の態様は、試料中の1つ以上の分析物の存在又は量を決定する方法を提供する。方法は、上記の計量装置を準備する工程と、試料容器内に試料を準備する工程と、容器から、選択された量の試料を吸引する工程と、試験要素に試料を分配する工程と、1つ以上の試薬を随意に準備する工程と、受容要素をインキュベートする工程と、試料を測定して試料中の分析物の存在又は量を決定する工程と、を含む。
【0011】
本発明の更に別の態様では、診断分析装置が提供されている。分析装置は、上記の計量装置を含む液体分配ステーション又は吸引ステーション、試料の供給源及び試験要素、随意に試薬の供給源、インキュベータ、及び試料を分析する計量装置を含む。
【0012】
本発明の更なる目的、特徴及び利点が、以下の好ましい実施形態の詳細な考察から、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい実施形態による、計量装置を図示。
【図2】本発明の別の好ましい実施形態による計量装置を図示。
【図3】本発明の別の好ましい実施形態による計量装置を図示。
【図4】本発明の別の好ましい実施形態による、計量装置の概略断面図を図示。
【図5a】本発明の別の好ましい実施形態による、小型化された計量装置の様々な概略図を図示。
【図5b】本発明の別の好ましい実施形態による、小型化された計量装置の様々な概略図を図示。
【図5c】本発明の別の好ましい実施形態による、小型化された計量装置の様々な概略図を図示。
【図5d】本発明の別の好ましい実施形態による、小型化された計量装置の様々な概略図を図示。
【図6a】本発明の別の実施形態による、電子回路基板に取り付けられた、小型化された計量装置の概略切欠図を図示。
【図6b】本発明の別の実施形態による、電子回路基板に取り付けられた、小型化された計量装置の概略断面図を図示。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一態様は、温度の変化に応じたポンプ媒体体積の変化を利用して、少量、例えば、低又はサブマイクロリットルの液体を吸引及び分配する計量装置である。吸引又は分配され得る液体の量は、一般的に、約0.2μL〜5μLの範囲、好ましくは2μL以下、1μL以下、0.5μL、0.2μLまで、及び更には0.05μLまでである。計量装置は、ポンプ媒体、例えば、空気又は他の任意の好適な気体、例えば、CO、Nなどの不活性ガス、又はAr、Heなどの希ガスなどを含む、少なくとも1つのチャンバを含む。使用され得る他のポンプ媒体は、金属などの高い熱膨張係数を有する固体、又はエタノールなどの液体を含み得る。金属は、例えば、ビーズ、顆粒などの、流動性の固体の形態であってもよい。ここからは、本発明は、空気に関して記載されるが、前述のポンプ媒体、特に気体のいずれかが使用されてよい。チャンバはチャネルと流体連通しており、チャネルはまた外部環境と流体連通している。「外部環境」とは、チャンバ及びチャネルの外側の環境、例えば雰囲気、又は吸引若しくは分配される液体を含む。チャンバは、チャネルを通じてのみ、外部環境に対して開いている。好ましくは、チャンバには外部環境と連通する単一の開口部のみが存在する。当然、例えば温度又は圧力センサーなどのモニター装置との連通を可能にする開口部が存在してよい。
【0015】
計量装置の少なくともチャンバと熱連絡するように、熱源又は冷気源が提供される。熱源又は冷気源は、一般的にチャンバとのみ熱連絡するが、この(冷)熱源がまた、チャネルの一部又は全体と熱連絡する場合もあり得る。以下でより詳細に説明されるように、本発明は、体積の変化に対応する、チャンバ内で生成される温度差に依る。この体積の変化は、気体を第1温度まで加熱する熱源によって生成されることがあり、チャンバ内の気体が外部環境によって自然に熱伝導して周囲温度まで冷却し、それに応じて圧力が低下すると、対応する体積の変化が生じる。したがって、別個の冷却熱源を必要としない。同様に、体積の変化は気体を冷却する冷気源によって生成されてもよく、チャンバ内の気体が外部環境によって自然に熱伝導して周囲温度まで加熱すると、対応する体積の変化が生じる。したがって、別個の熱源を必要としない。しかしながら、好ましい実施形態では、自然な熱伝導に対して比較的速い加熱及び冷却を提供するために、熱源及び冷気源の両方が提供される。
【0016】
熱源及び/又は冷気源は当該技術分野において既知の任意のものであり得る。例えばペルチェ効果に基づく熱電冷却又は熱電加熱、例えば熱電ヒートポンプであり、これは加熱、冷却のいずれか、又は両方を行うことができる。別の熱源及び/又は冷気源は、外部から加熱及び/又は冷却され、管又はパイプによって計量装置に提供される液体であり得る。
【0017】
チャネルは、吸引又は分配される液体と、空気チャンバとの間の流体連通を提供する。空気チャンバを画定するハウジングは、プラスチック、金属、セラミックスなど、任意の好適な材料を含み得るが、プラスチックなどの断熱材料が好ましい。チャネルは、計量装置の使い捨て不可能な延長部であってもよく、又は計量装置上に嵌合、好ましくは摩擦嵌合する別個の使い捨て延長部であってもよい。別の実施形態では、チャネルは、使い捨て部分及び使い捨て不可能な部分の両方を含み、細長い管の中に有利に嵌合する。例えば、使い捨て不可能な部分は、診断分析装置で使用される、試料を収容する管などの、細い液体容器内への挿入を促進する、計量装置ハウジングの細長い延長部であることができる。計量装置の比較的長く細いチャネルの1つの利点は、試料の液体温度が、チャンバ内の温度に殆ど影響しないことである。使い捨て部分は計量先端部の形態であり得る。計量先端部は、液体に接触するチャネルの唯一の部分であり、したがって汚染を防ぐことがある。
【0018】
チャネルは、好ましくは、小さい断面直径の毛細管である。毛細管は、金属、ガラス、プラスチック、石英、セラミック、及び様々なケイ酸塩を含むがこれに限定されない、多くの材料から製作され得る。使い捨て不可能なチャネルの材料はプラスチック又は金属であり得るが、使い捨てチャネルの材料は液体と空気との間の熱伝導を極小化するために好ましくはプラスチックである。底部における毛細管の外径は、吸引後の液体分離部でのメニスカス効果を最小化するために、1mm未満である。
【0019】
上記のように、既知の計量装置における重要な問題は、少量の液体を正確かつ精密に吸引及び分配することができないことである。少量の液体を計量することの問題としては、毛細管効果及び粘性効果が挙げられ、これらは液体の特性に依存する。したがって、異なる液体は毛細管効果及び粘性効果などの異なる特性を呈する。
【0020】
本発明において、計量装置を流体特性から本質的に独立させる、又はこれの影響を受けないようにすることが見出された。即ち、本発明の重要な特徴は、計量装置内に比較的小さい空気体積を提供することである。空気体積は、一般的に、50μL以下、好ましくは40μL以下、より好ましくは30μL以下、更により好ましくは25μL以下、及び最も好ましくは約20μL、又は15μL、又は10μL、又は5μLである。空気の体積はチャンバ及びチャネルの両方を含むが、チャネルの体積はチャンバの体積に対して一般的に小さい。以下に示されるように、少量の空気を使用することで、システムは本質的に液体特性の影響を受けない。これは、遥かに大きな体積(例えば、1桁分大きな)と比較した、少量の空気の相対的な非圧縮性によるものと考えられる。これにより空気は、毛細管圧力などの他の力の影響を、より受け難い、比較的硬い空気バネとして機能する。加えて、少量の空気はまた、特にチャンバ内における空気と加熱又は冷気表面との間の接触表面積がチャンバの高さと比較して大きい場合、計量装置内における空気と熱源又は冷気源との間の熱伝導効率を高める。チャネルは典型的には長く、小さな断面積を有し、吸引された液体とチャンバ空気との間の絶縁体として機能する。
【0021】
流体特性の本発明に対する効果が極僅かであることを例証するために、以下の実施例が提供される。上記の計量装置は計量される液体内に挿入されるチャネルの遠位端を有する。計量装置の少なくとも1つのチャンバ内の空気が冷却される。温度の低下の後、チャンバ及びチャネル内部の空気体積が収縮し、液体を吸引するか、又は引き込むための負の圧力を生じる。液体が流入し、チャンバ及び導管内の圧力が、雰囲気、例えば大気と同じになるとき(ここでは、重力及び毛細管効果は無視する)に平衡状態に達する。
【0022】
理想気体の法則がpV=nRTによって圧力(p)、体積(V)及び温度(T)を関連付ける。平衡に達した後(雰囲気と同じ定圧において)空気体積の変化は、下式によって温度と関連付けられる。
【数1】

【0023】
温度がTからTに変化する際、空気体積の増加は、下式によって計算され得る。
【数2】

【0024】
=25℃(又は298K、室温)かつV=20μLであると想定した場合、0.2μLの空気体積の増加を生じるためには、温度Tは、27.98℃まで上昇するべきである。0.2μLの空気体積の減少を生じるために、温度Tは、22.02℃まで低下するべきである。
【0025】
体積が一定に維持されるものと想定すると、同じ温度変化は圧力の変化を生じることがあり、下式によって計算される。
【数3】

20μLの空気体積中の0.2μLの体積変化に必要とされる2.98℃の温度変化では、圧力変化は1013.25Pa(10132.5ダイン/cm)である。この比較的大きな熱圧力変化は、含まれる小さな空気体積から生じる。
【0026】
しかしながら、V=200μLである場合、0.2μLの空気体積の増加は、0.298℃のみの温度変化を必要とし、これは正確に達成することが困難である。生じる圧力変化は、V=20μLである場合の1/10であり、これは毛細管効果を克服することが困難であるシステムを生じ得る。
【0027】
本発明の好ましい実施形態での、毛細管圧力の効果を例証するために、0.5mmの半径を有する導管が提供される。70ダイン/cm(液体の高い方の端部)の表面張力を有する液体を想定すると、液体が半球を形成するときに、可能な最も大きい毛細管圧力が導管出口の端部において生成され、これは、下式である。
【数4】

【0028】
これは、先に算出された熱圧力と比較して相対的に小さい(〜27.6%)。含まれる液体の小さな体積を考慮すると、重力効果は更に小さい。殆どの生物流体の表面張力は40〜55ダイン/cmの範囲である。表面張力による圧力の変化は下式
【数5】

の範囲内である。これは、先に算出された熱圧力の僅か約6%である。したがって、先の理想化されたモデルを本発明に使用でき、したがって、本発明は液体特性の影響を比較的に受け難い計量装置を提供する。これは、従来の計量装置に対する重要な利点である。したがって、空気チャンバ内の好ましい温度変化は、およそ、1〜30℃、1〜10℃、好ましくは1℃以上、好ましくは2℃以上、及び好ましくは3℃以上である。
【0029】
本発明の熱ポンプは、以下の表2に示される初期試験に示されるように、1μLよりも小さい体積の流体の吸引に関し、優れた性能を示した。いくつかの実施形態では、より広い流体体積の範囲、特に範囲の下限(例えば、0.05μL〜1μL)で、かつ2.5℃よりも大きな動作温度差で機能する熱ポンプを有し、温度のより良好な制御を可能にして、温度の不正確性及び不確実性によって生じる誤差を極小化することが望ましい。しかしながら、温度変化は、熱的要因、効率性、熱源の加熱能力における制限のために、大きすぎないべきである。同時に、空洞内の初期空気体積は、システムが十分に硬く、システム内の合計空気体積を最小化するように、20μL未満であるべきである。
【0030】
以下の表1は、温度変化(デルタT)の関数として算出される空気体積変化(デルタV)、及び熱ポンプのチャンバ内部の初期空気体積の非限定例を例示する。体積差を生成するために、プローブを50℃までの温度まで予備加熱し、その後冷却させた。プローブが冷却されると、プローブ内部の空気体積は、表1の最上部に示される初期量から、初期値からそれぞれのデルタTに関するデルタVを引いた値まで収縮する。
【表1】

【0031】
例えば、5μLのチャンバ内の初期空気体積に関し、温度が2.5〜30℃の範囲で変化する場合、体積変化は0.039〜0.464μLである。より大きなチャンバ内の初期空気体積では、より大きな空気体積の変化が達成されて、同じ温度変化でより多くの液体を吸引することを達成することができる。しかしながら、より小さい体積(例えば、0.05μL未満)の液体の吸引においては、それほど良好に機能することができない。
【0032】
したがって、好ましい実施形態は、好ましくはそれぞれがその独自の熱源及び/又は冷気源を有する複数の熱チャンバを提供して、別々に動作し得る熱計量装置を形成し、2.5〜30℃の温度変化で0.05〜1μLの液体を吸引する目的を達成する。図4(後により完全に記載される)は、2チャンバの使用の概念を図示する。
【0033】
例として、図4では、それぞれのチャンバが5μLの初期空気体積を有するものとして想定すると、吸引する液体体積が0.4μL未満である場合、左の空洞のみが温度変化と共に動作している必要がある。望ましい吸引体積が0.4μL超である場合、右及び左の空洞が、同時に又は連続的に動作することができるが、同時の動作が速い吸引又は分配を提供する。組み合わせたチャンバは、温度がそれぞれにおいて30℃低下した場合、0.92μLまでの流体を吸引する。更に広い範囲の吸引体積を達成するために、任意の好適な数のチャンバ、例えば、3つ又は4つ以上のチャンバが使用され得る。
【0034】
ここで、図中に示される好適な実施形態を参照する。図1は、本発明の好ましい実施形態による計量装置10を図示する。予め画定された形状の、空気を含むチャンバ11に温度センサー12及び随意に圧力センサー13が取り付けられている。必須ではないが、圧力センサーは、当該技術分野において既知であるように、先端部の詰まり又は気泡などの計量誤差を監視するための手段を提供する。加えて、圧力は、V=nRT/p(式中、Rは理想気体定数)を使用して測定温度と組み合わせた吸引体積を算出することによって、計量される体積の正確性及び精密性を向上するために使用され得る。チャンバ11は、熱電ユニット14、例えば、熱電ヒートポンプによって囲まれ、好ましくは絶縁材料(例えば、プラスチック)で構成されるハウジング15の内部に取り囲まれる。チャンバ11及びハウジング15の両方は、一端において、毛細管16(又は他の任意の種類の小さな先端)を支持する計量プローブとして機能する構造を形成する。ハウジングがまた熱電加熱装置を取り囲む場合、雰囲気への十分な通気が存在して、より有効なチャンバの冷却を提供するべきである。先端部及びチャンバは開口部17によって流体連通している。当然、チャンバ及びチャネルは、一体型の形態であり、同じ材料及び更に同じ形状で作製されてもよい。例えば、チャネルが使い捨て計量先端部の形状であるような用途においては、チャンバ及びチャネルは使い捨て先端部の形であり得る。この場合、チャンバは計量される流体の方向においてチャネルの手前にあり、熱電ユニットは先端部のチャンバ部分を少なくとも部分的に囲む。
【0035】
1つの好ましい動作においては、圧力センサーは周囲圧力を獲得し、温度センサーは温度を検出する。次に、先端部が下げられて、液体容器に入る。圧力センサーは圧力を再び測定して、毛細管効果が毛細管にいくらかの液体を引き込んだかどうかを検出し、温度センサーは新しい温度を記録する。上記のように、毛細管効果は異なる試料(液体)において異なるため、新しい圧力は含まれる液体の関数であり得る。
【0036】
理想気体の法則に基づいて計算が行われ、このときにどのくらいの液体が入ったかを決定し、意図される吸引体積と比較される。次に熱電ユニットが、この計算と目標の吸引体積に基づいて温度を上昇又は低下させる。毛細管効果を考慮するために圧力を監視することが好ましいが、液体の計量方法は温度測定単独によって実行されてよい。
【0037】
吸引が終わると、先端部が液体容器から引き上げられる。分配のために、温度の上昇が行われて、毛細管内部の液体を排出する。混合が必要な場合は、液体を分配する前に冷却と加熱のサイクルが実行され得る。
【0038】
別の好ましい動作では、チャンバは、プローブが吸引される液体内に挿入される前に特定の温度まで加熱される。チャンバ内の空気は、これが加熱されると膨張する。液体への挿入後、特定の量の液体を吸引するために、チャンバ内の空気は特定の温度まで冷却される。このように、吸引プロセスは、より速い熱伝導のために、より速い。
【0039】
図2は本発明の別の実施形態を図示する。この実施形態では、チャネルは使い捨て不可能な部分(プラスチックハウジング15の内部、及び延長部18)及び使い捨て部分16の両方を含む。使い捨て毛細管先端部と内部の空気を接続するために、細いチャネル(例えば、毛細管の寸法)を有する長い構造体が使用される。長いチャネルは、ポンプが細い容器の内部の液体、例えば深い試料管内の試料に到達することを可能にする。プラスチックハウジング15の構造は好ましくはプラスチックである一方で、延長部18はプラスチック又は金属などの好適な材料であり得る。
【0040】
図3は、空気チャンバ11の内部の温度変化を生じるための、更に別の方法を図示する。この実施形態では、チャンバ11の内部の温度は、液体熱交換器19によって制御される。外部から加熱又は冷却された流体は、導管21から計量装置に入る。熱交換が達成された後、流体は導管22から出て、ここからこれは、更なる加熱又は冷却のために、外部の(冷)熱源に戻り得る。
【0041】
図4は好ましい実施形態による別の実施形態を例示する。この実施形態では、上記のように、複数のチャンバ11a及び11bが利用されて、吸引及び/又は分配され得る体積の範囲(特に範囲の下限)を拡大させる。この実施形態では、延長部18はチャンバ11a及び11bの両方と流体連通している。また、熱源又は冷気源、例えば熱電ヒートポンプ14a及び14bが含まれ、これらそれぞれのチャンバを加熱する。これらのヒートポンプは好ましくは別々に加熱又は冷却され、それによって一方のチャンバのみが、加熱又は冷却されたときに、流体を吸引及び/又は分配する。特に好ましい実施形態では、それぞれのチャンバに対して1つの熱源又は冷気源が提供される。複数のチャンバの実施形態では、チャンバの一方が他方のチャンバよりも著しく大きい場合がある。より大きいチャンバはより多量の液体を分配するためであり、一方でより小さいチャンバはより少量の液体のためであって、分配される液体の総量を微調整するために使用され得る。
【0042】
表2は本発明を使用して収集された実験データを示す。より具体的には、ポンプ媒体として空気を有する熱ポンプ計量プローブが水と共に使用された。空気チャンバの体積は約25μLであった。2セットの吸引が行われた。第1(「デルタT1」と付番される)は10℃のデルタTを有し、一方で第2セット(「デルタT2」と付番される)は5℃のデルタTを有する。それぞれのセットに対して10回の吸引が行われた。デルタT1では、液体メニスカスの形状を測定することによって得られた平均吸引体積は、0.84μLであり、標準偏差(SD)は0.03μLであり、変動係数(CV%)は3.9%であった。デルタT2では、平均吸引は0.39μL、SDは0.02、CVは5.8%であった。SD及びCVによって示されるように、結果の正確性及び再現性は優れていた。
【表2】

【0043】
金属の熱膨張が考慮されてもよいが、金属の熱変形によるチャンバ内の体積変化は極僅かである。本発明の計量装置の他の利点は、小さくコンパクトな寸法であり、これは、装置が緊密な構成で、例えば、ポイントオブケア分析装置で使用されることを可能にする。計量装置は組み合わされて複数の計量装置を形成し、複数の吸引/分配を可能にし得る。また、動く部分が無いことが、計量装置を点検修理の観点から望ましいものにする。
【0044】
計量装置は、試料中の1つ以上の分析物の量を決定するために、診断分析装置で使用することができる。「分析物」は試料中の検出及び/又は数値化される任意の分子(1つ又は複数)である。好ましい標的分析物としては、核酸、抗体、タンパク質、糖類などの生体分子が挙げられる。試料としては、血液、血漿、血清、尿、髄液などの、任意の体液を挙げることができる。
【0045】
このような診断分析装置は典型的に、試験要素などの消耗品の供給を含む。試験要素は、その中に少なくとも1つの試薬が予め供給されている任意の反応槽、例えば、米国特許第3,992,158号に記載されるような、いわゆる乾式スライド試験要素、又は米国特許第5,441,895号に記載されるような1つ以上の抗体でプレコーティングされた空洞を有するカップ又はウェル、又は試薬を加えたキュベットを含む。他の種類の診断分析装置にはポイントオブケア(POC)計器が挙げられ、これは、典型的には側流ストリップを含む。このような計器及びストリップは米国特許第7,416,700号及び米国公開特許出願第2005/0042766号に記載される。分析装置はまた、試料の特定の態様を測定するための、電位計、反射率計、発光体、光透過率、光検出などの複数の感光装置又は測定装置、試料を加熱するためのインキュベータ(1つ又は複数)、試薬の供給、及び複数の試薬供給サブシステムを含み、これらは全て、どの時点においても、アクセスし、使用することができる。
【0046】
例えば、既知の分析装置としては、「乾式」化学システムが挙げられ、これは典型的には多くの乾式スライド要素を含む試料供給、計量/輸送機構、及び複数の試験検出ステーションを有するインキュベータを含む。計量装置を使用して、一定量の試料が吸引される。次に、先端部からの一定量の試料が、インキュベータ内に搭載された乾式スライド要素上に量りとられる(分配される)。スライド要素がインキュベートされ、分析物の存在又は濃度を検出するために、光学的又は他の読取値などが測定される。
【0047】
別の既知の分析装置としては、「湿式」化学システムが挙げられ、これはキュベットなどの反応槽を利用し、この中で、分析を行うために、一定量の患者試料、少なくとも1つの試料流体、及び/又は他の流体が合わせられる。分析試料がまたインキュベートされ、分析物の検出のために試験が行われる。「湿式」化学システムはまた、患者試料流体を試料供給具から反応槽に輸送するための計量機構を含む。本発明と共に使用され得る更に別の分析装置は、いわゆるポイントオブケア「POC」分析装置であり、これは例えば、緊急治療室の設備又は医院など、結果までの時間が重要である場合に使用され得る。
【0048】
既知の診断分析装置の例としては、いずれもオーソ−クリニカル・ダイアグノスティック社(Ortho-Clinical Diagnostics, Inc.)から販売される、ビトロス(Vitros)(登録商標)ECi免疫診断分析装置などの免疫診断分析装置、又はビトロス(Vitros)(登録商標)5,1FSなどの臨床化学分析装置が挙げられる。このような分析装置は全て診断分析装置と総称される。代表的なシステムは、例えば、米国公開特許出願第2003/0026733号及び米国出願第11/091,283号(2005年3月28日出願)に開示され、両方とも本明細書において参照によりその全体が組み込まれる。
【0049】
本発明による計量装置は、試験管などの試料容器から、選択される量の試料を吸引する。計量装置は試験要素に試料を分配する。上記のように、試験要素としては、少なくとも1つの試薬が随意に予め供給されている任意の反応槽、例えば米国特許第3,992,158号などに記載されるようないわゆる乾式スライド試験要素、又は米国特許第5,441,895号に記載されるような1つ以上の抗体で予めコーティングされている空洞を有するカップ若しくはウェル、試薬を加えたキュベット、又は試料を加えた側流試験ストリップが挙げられる。
【0050】
同じ又は別の計量装置はまた、試薬源、例えば試薬ボトルから、1つ以上の試薬を随意に加えることもできる。試験要素は次に、選択される時間にわたってインキュベートされる。インキュベートの後、受容要素が測定ステーションに移送され(又は、測定ステーションがインキュベータ内部に位置する場合は、インキュベータ内部に留まってもよい)、ここで試料が測定値され、試料内の1つ以上の分析物の量の存在を決定する。
【0051】
図5及び図6に代表される本発明の別の実施形態により、計量装置は、これがプリント基板の構成要素として含まれ、上記のPOC又は「ラボ・オン・チップ」などの小型の用途に使用され得る程度に作製及び小型化され得る。より具体的には、米国特許第5,714,791号、同第6,700,174号、及び同第7,307,328号、並びにPCT国際公開特許WO 97/13283号(これらは全て参照によりその全体が組み込まれる)などに記載される周知の半導体製作技術を使用して、1つ以上の熱源/冷気源21(ペルチェ効果熱電ヒートポンプ)が、温度センサー(1つ又は複数)23、例えばサーミスタ及び/又は圧力センサー(1つ又は複数)24と共に、半導体基材上に製作され得る。あるいは、例えば、サーミスタ、圧力センサー、熱電ヒートポンプなどのそれぞれの装置は、別個に製作されて、セラミック基材などの基材に取り付けられてよい。熱電ヒートポンプ及びセンサーと共に、基材はハウジングで囲まれ、これは、上記の、ポンプ媒体(例えば、空気)を含むポンプチャンバを形成する。ハウジング25は、上記のように、例えば、プラスチックなどの任意の好適な材料で作製することができ、ハウジング本体から延びる延長部を有する。センサー又は熱電ヒートポンプ(1つ又は複数)に接続される電気リード線26は、ハウジングを通じて延び、インターフェース回路基板に取り付けられるように適合される。先端部がどのように向けられるかにより、延長部27はまた、回路基板28を通じて延び、回路基板の下の延長部に取り付けられる先端部29を有してよい。
【0052】
本発明による方法、特に加熱又は冷却は、当該技術分野において既知であるように、分析装置のコンピューターコントローラーとインターフェース接続する、コンピューター読み取り可能なプログラムコードを有するコンピュータープログラムによって実施することができる。
【0053】
本発明の複合物、構成、プロセスに対して様々な修正及び変更が成され得ることが、当業者にとっては明白となるであろう。したがって、本発明は、このような修正物及び変更物を、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に含まれるならば包含することを意図される。
【0054】
先に引用された全ての出版物の開示は、それぞれが参照により個別に組み込まれているのと同程度に、本明細書において参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【0055】
〔実施態様〕
(1) ハウジングと、
前記ハウジング内に収容される気体包含チャンバと、
前記チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、
前記気体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する熱源又は冷気源と、
前記チャンバの内部の温度を測定する温度センサーと、を含む、液体を吸引及び分配するための計量装置。
(2) 前記チャンバの内部の気体圧力を測定するための圧力センサーを更に含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記チャンバが前記外部環境と流体連通する単一の開口部を有する、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記チャンバ及びチャネルの体積が50μL以下である、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記チャンバの体積が40μL以下である、実施態様1に記載の装置。
(6) 前記チャンバの体積が30μL以下である、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記チャンバの体積が20μL以下である、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記チャンバの体積が約20μLである、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記チャネルが毛細管を含む、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記毛細管は、その前記遠位端が分配される前記液体内に挿入されるように適合される、実施態様9に記載の装置。
【0056】
(11) 前記毛細管が使い捨て部分を含む、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記チャネルが前記開口部と前記毛細管との間の使い捨て不可能な部分を更に含む、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記使い捨て部分が使い捨て先端部である、実施態様12に記載の装置。
(14) 加熱及び冷却が、前記チャンバと熱連絡する熱電ヒートポンプによって提供される、実施態様1に記載の装置。
(15) 加熱及び冷却が、前記チャンバと熱連絡する加熱又は冷却された流体によって提供される、実施態様1に記載の装置。
(16) 前記計量装置が診断分析装置と共に使用するためのピペッターである、実施態様1に記載の装置。
(17) ハウジングと、
前記ハウジング内に収容される少なくとも1つのポンプ媒体包含チャンバと、
前記少なくとも1つのチャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、
前記ポンプ媒体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する少なくとも1つの熱源又は冷気源と、
前記チャンバの内部の温度を測定するための少なくとも1つの温度センサーと、を含む、液体を吸引及び分配するための計量装置。
(18) 前記少なくも1つのチャンバそれぞれにつき、少なくとも1つの熱源又は冷気源を更に含む、実施態様17に記載の計量装置。
(19) 前記少なくとも1つのチャンバが2つのチャンバを含み、前記チャネルの前記近位端は前記2つのチャンバそれぞれと流体連通している、実施態様17に記載の装置。
(20) 前記少なくとも1つのチャンバが3つのチャンバを含み、前記チャネルの前記近位端は前記3つのチャンバそれぞれと流体連通している、実施態様17に記載の装置。
【0057】
(21) それぞれのチャンバが10μL以下の体積を有する、実施態様17に記載の装置。
(22) それぞれのチャンバが5μL以下の体積を有する、実施態様17に記載の装置。
(23) 前記熱源又は冷気源が、半導体基材上に作製される熱電ヒートポンプを含む、実施態様17に記載の装置。
(24) 前記温度センサーが、半導体基材上に作製されるサーミスタを含む、実施態様23に記載の装置。
(25) 前記半導体基材を少なくとも部分的に囲み、前記チャンバを形成するハウジングを更に含む、実施態様23に記載の装置。
(26) 前記ハウジングを取り付けるための電子回路基板、及び前記半導体基材から前記回路基板まで延びる電気リードを更に含む、実施態様25に記載の装置。
(27) 液体を吸引及び分配するための方法において、
液体を吸引及び分配するための計量装置を準備することであって、前記計量装置が、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されるポンプ媒体包含チャンバと、
前記チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、
前記ポンプ媒体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する熱源又は冷気源と、
前記チャンバの内部の温度を測定する温度センサーと、
を含む、計量装置を準備することと、
吸引される液体の供給源を準備することと、
前記チャネルの前記遠位端を前記液体と接触させることと、
前記熱源又は冷気源で前記ポンプ媒体包含チャンバを冷却し、第1体積の液体を前記装置内に吸引することと、
前記ポンプ媒体包含チャンバを加熱して第2体積の液体を前記装置の外に分配することと、を含む、方法。
(28) 前記チャンバが2つのチャンバを含み、前記熱源又は冷気源が2つの熱源又は冷気源を含む、実施態様27に記載の方法。
(29) 前記ポンプ媒体が気体を含む、実施態様27に記載の方法。
(30) 前記チャンバ内の気体圧力を測定するための圧力センサーを更に含む、実施態様29に記載の方法。
【0058】
(31) 前記外部環境が周囲の大気圧である、実施態様27に記載の方法。
(32) 前記外部環境が、吸引及び分配される前記液体である、実施態様27に記載の方法。
(33) 前記第1体積が前記第2体積と同じである、実施態様27に記載の方法。
(34) 前記第1体積が前記第2体積と同じでない、実施態様27に記載の方法。
(35) 前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が50μL以下である、実施態様29に記載の方法。
(36) 前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が40μL以下である、実施態様29に記載の方法。
(37) 前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が30μL以下である、実施態様29に記載の方法。
(38) 前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が20μL以下である、実施態様29に記載の方法。
(39) 前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が約20μLである、実施態様29に記載の方法。
(40) 前記気体包含チャンバに液体が入らない、実施態様29に記載の方法。
【0059】
(41) 前記気体が空気である、実施態様29に記載の方法。
(42) 前記気体が、N、CO、Ar、及びHeからなる群から選択される不活性ガスである、実施態様29に記載の方法。
(43) 前記液体の体積が約0.2〜5μLの範囲である、実施態様27に記載の方法。
(44) 前記液体の体積が約5μL以下である、実施態様27に記載の方法。
(45) 前記液体の体積が約2μL以下である、実施態様27に記載の方法。
(46) 前記体積を吸引又は分配するために必要とされる温度差が理想気体の法則に基づく、実施態様27に記載の方法。
(47) 前記温度差が少なくとも1℃以上である、実施態様46に記載の方法。
(48) 前記温度差が少なくとも2℃以上である、実施態様47に記載の方法。
(49) 前記温度差が少なくとも3℃以上である、実施態様48に記載の方法。
(50) 試料中の1つ以上の分析物の存在又は量を決定する方法において、
実施態様1に記載の計量装置を準備する工程と、
試料容器内に試料を準備する工程と、
前記容器から、選択される量の試料を吸引する工程と、
試験要素上に前記試料を分配する工程と、
1つ以上の試薬を随意に準備する工程と、
受容要素をインキュベートする工程と、
前記試料を測定し、前記試料中の前記分析物の存在又は量を決定する工程と、を含む、方法。
【0060】
(51) 前記試験要素が乾式スライド要素、光学的に透明なキュベット、又はストレプトアビジンコーティングされたマイクロウェルのうちの1つ以上である、実施態様50に記載の方法。
(52) 実施態様1に記載の計量装置を含む液体分配又は吸引ステーションと、
試料の供給源及び試験要素と、
随意に、試薬の供給源と、
インキュベータと、
試料を分析するための測定装置と、を含む、診断分析装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容される気体包含チャンバと、
前記チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、
前記気体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する熱源又は冷気源と、
前記チャンバの内部の温度を測定する温度センサーと、を含む、液体を吸引及び分配するための計量装置。
【請求項2】
前記チャンバの内部の気体圧力を測定するための圧力センサーを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャンバが前記外部環境と流体連通する単一の開口部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記チャンバ及びチャネルの体積が50μL以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記チャンバの体積が40μL以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記チャンバの体積が30μL以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記チャンバの体積が20μL以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンバの体積が約20μLである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記チャネルが毛細管を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記毛細管は、その前記遠位端が分配される前記液体内に挿入されるように適合される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記毛細管が使い捨て部分を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記チャネルが前記開口部と前記毛細管との間の使い捨て不可能な部分を更に含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記使い捨て部分が使い捨て先端部である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
加熱及び冷却が、前記チャンバと熱連絡する熱電ヒートポンプによって提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
加熱及び冷却が、前記チャンバと熱連絡する加熱又は冷却された流体によって提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記計量装置が診断分析装置と共に使用するためのピペッターである、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容される少なくとも1つのポンプ媒体包含チャンバと、
前記少なくとも1つのチャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、
前記ポンプ媒体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する少なくとも1つの熱源又は冷気源と、
前記チャンバの内部の温度を測定するための少なくとも1つの温度センサーと、を含む、液体を吸引及び分配するための計量装置。
【請求項18】
前記少なくも1つのチャンバそれぞれにつき、少なくとも1つの熱源又は冷気源を更に含む、請求項17に記載の計量装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのチャンバが2つのチャンバを含み、前記チャネルの前記近位端は前記2つのチャンバそれぞれと流体連通している、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのチャンバが3つのチャンバを含み、前記チャネルの前記近位端は前記3つのチャンバそれぞれと流体連通している、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
それぞれのチャンバが10μL以下の体積を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
それぞれのチャンバが5μL以下の体積を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記熱源又は冷気源が、半導体基材上に作製される熱電ヒートポンプを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項24】
前記温度センサーが、半導体基材上に作製されるサーミスタを含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記半導体基材を少なくとも部分的に囲み、前記チャンバを形成するハウジングを更に含む、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記ハウジングを取り付けるための電子回路基板、及び前記半導体基材から前記回路基板まで延びる電気リードを更に含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
液体を吸引及び分配するための方法において、
液体を吸引及び分配するための計量装置を準備することであって、前記計量装置が、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容されるポンプ媒体包含チャンバと、
前記チャンバと流体連通する近位端及び外部環境と流体連通する遠位端を有するチャネルと、
前記ポンプ媒体包含チャンバに熱又は冷気の源を提供する熱源又は冷気源と、
前記チャンバの内部の温度を測定する温度センサーと、
を含む、計量装置を準備することと、
吸引される液体の供給源を準備することと、
前記チャネルの前記遠位端を前記液体と接触させることと、
前記熱源又は冷気源で前記ポンプ媒体包含チャンバを冷却し、第1体積の液体を前記装置内に吸引することと、
前記ポンプ媒体包含チャンバを加熱して第2体積の液体を前記装置の外に分配することと、を含む、方法。
【請求項28】
前記チャンバが2つのチャンバを含み、前記熱源又は冷気源が2つの熱源又は冷気源を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポンプ媒体が気体を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記チャンバ内の気体圧力を測定するための圧力センサーを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記外部環境が周囲の大気圧である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記外部環境が、吸引及び分配される前記液体である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記第1体積が前記第2体積と同じである、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記第1体積が前記第2体積と同じでない、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が50μL以下である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が40μL以下である、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が30μL以下である、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が20μL以下である、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記チャンバ及びチャネル内の気体の体積が約20μLである、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記気体包含チャンバに液体が入らない、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記気体が空気である、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記気体が、N、CO、Ar、及びHeからなる群から選択される不活性ガスである、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記液体の体積が約0.2〜5μLの範囲である、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記液体の体積が約5μL以下である、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
前記液体の体積が約2μL以下である、請求項27に記載の方法。
【請求項46】
前記体積を吸引又は分配するために必要とされる温度差が理想気体の法則に基づく、請求項27に記載の方法。
【請求項47】
前記温度差が少なくとも1℃以上である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記温度差が少なくとも2℃以上である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記温度差が少なくとも3℃以上である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
試料中の1つ以上の分析物の存在又は量を決定する方法において、
請求項1に記載の計量装置を準備する工程と、
試料容器内に試料を準備する工程と、
前記容器から、選択される量の試料を吸引する工程と、
試験要素上に前記試料を分配する工程と、
1つ以上の試薬を随意に準備する工程と、
受容要素をインキュベートする工程と、
前記試料を測定し、前記試料中の前記分析物の存在又は量を決定する工程と、を含む、方法。
【請求項51】
前記試験要素が乾式スライド要素、光学的に透明なキュベット、又はストレプトアビジンコーティングされたマイクロウェルのうちの1つ以上である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項1に記載の計量装置を含む液体分配又は吸引ステーションと、
試料の供給源及び試験要素と、
随意に、試薬の供給源と、
インキュベータと、
試料を分析するための測定装置と、を含む、診断分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2010−539453(P2010−539453A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524237(P2010−524237)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/075730
【国際公開番号】WO2009/035981
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501131014)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Indigo Creek Drive, Rochester, NY 14626−5101, U.S.A.
【Fターム(参考)】