説明

局部洗浄装置

【課題】防塵フィルタの清掃時期を使用者に報知する局部洗浄装置を提供すること。
【解決手段】便器内の空気中の臭気物質を脱臭する脱臭手段19と前記脱臭手段5を制御する制御部15を備え、前記制御部15は脱臭手段19のおおよその稼動時間を算出する経過時間算出手段16でカウントすることで、所定時間を越えた場合は報知手段20により、使用者に防塵フィルタ清掃時期の報知することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱臭手段を備えた局部洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の局部洗浄装置は、使用者が便座に着座すると脱臭装置が作動するように制御されており、この脱臭装置には防塵フィルタが設けてあり、防塵フィルタの通気圧損の検出手段と該検出手段で検出された圧損の表示手段が設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来のトイレ装置を示すものである。図5に示すように、脱臭カートリッジ18と、防塵フィルタであるエアフィルタ19と、前記エアフィルタの排風方向上流側に圧力センサ20と、便器脱臭装置21により生じる排風圧力を検知する。圧力センサ20が排風圧力が所定値を超えたことを検知した場合はインジケータランプを点燈させ、エアフィルタ19の清掃を使用者に行うよう警報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−10079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、圧力センサの配置が脱臭剤22や脱臭カートリッジの排風方向上流に配置されており、この圧力センサは、防塵フィルタの清掃時の付け替えや、脱臭材の付け替えの作業時に、使用者の手指や取替部材が接触する可能性のある場所に設けられているため、圧力センサに触れてしまい、破損の可能性があるという課題を有していた。また、センサの信号の入力のための入力線も必要で、本体内部の配線がより複雑化してしまうということがあった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、排風通路内にセンサを設けず、センサを用いないで防塵フィルタの清掃時期を的確に使用者に報知する局部洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の局部洗浄装置は、便器後部上面に載置固定される本体と、前記本体に回動可能に設けた便座と、前記本体内部に配された局部洗浄手段と、前記便器内部と前記便器外部とを連通して前記便器外部に向けて排風する風路に防塵フィルタを設けた脱臭手段と、使用者への報知を行う報知手段と、前記局部洗浄手段と前記脱臭手段と前記報知手段を制御する制御手段と、使用電力量を控える時間帯を設定して電力制御する節電手段とを備え、前記制御手段は、経過時間をカウントする経過時間算出手段を有して、前記経過時間算出手段による前記本体使用開始からの経過時間のうち、前記節電手段による節電機能が動作した時間帯を除いた経過時間を積算し、所定の積算時間に達すると前記報知部にて前記防塵フィルタの清掃時期であることを報知するものである。
【0008】
これによって、より簡易な構成で、節電機能が動作する時間帯を省いて実際の脱臭装置の駆動時間をより正確に積算して、防塵フィルタのメンテナンス時期を報知することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の局部洗浄装置は、局部洗浄装置の節電機能の動作時を除いた使用積算期間が所定時間を経過すると報知手段により使用者に対して報知するので、適切なタイミングで使用者が脱臭手段の防塵フィルタの清掃を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における局部洗浄装置の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における脱臭手段の内部構成図
【図3】本発明の実施の形態1における脱臭手段の内部構成図
【図4】本発明の実施の形態1における報知+操作部の説明図
【図5】従来の便器脱臭装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、便器後部上面に載置固定される本体と、前記本体に回動可能に設けた便座と、前記本体内部に配された局部洗浄手段と、前記便器内部と前記便器外部とを連通して前記便器外部に向けて排風する風路に防塵フィルタを設けた脱臭手段と、使用者への報知を行う報知手段と、前記局部洗浄手段と前記脱臭手段と前記報知手段を制御する制御手段と、使用電力量を控える時間帯を設定して電力制御する節電手段とを備え、前記制御手段は、経過時間をカウントする経過時間算出手段を有して、前記経過時間算出手段による前記本体使用開始からの経過時間のうち、前記節電手段による節電機能が動作した時間帯を除いた経過時間を積算し、所定の積算時間に達すると前記報知部にて前記防塵フィルタの清掃時期であることを報知するものである。
【0012】
これによって、節電機能が動作している時間を省いて経過時間を積算するので、実際の使用状態に即して脱臭手段の駆動時間に相当する時間を算出するので、防塵フィルタのメンテナンス時期の報知手段による報知までの時期を的確に積算して、適切なタイミングでユーザに防塵フィルタのメンテナンス時期を報知することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明の局部洗浄装置に、局部洗浄手段と脱臭手段と節電手段の操作を行う操作部を備え、前記操作部は、前記経過時間算出手段の積算時間をリセットするリセット部を設けたことを特徴としたものである。
【0014】
これにより、ユーザが前記防塵フィルタの清掃が完了すれば、操作部に設けたリセット手段によりタイマーのカウントをリセットすることなり、前記リセット手段によるリセット操作が容易に出来て、リセット後は再カウント開始して次の清掃時期を適切に報知することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における局部洗浄装置の外観斜視図を示すものである。
【0017】
図1において、トイレ室内に設置される便器10の後部上面に局部洗浄装置1の本体2が載置されており、本体2には便蓋3、便座4が回動可能に取り付けてあり、本体2の内部には人体にむけて洗浄水を噴出するノズルや、ノズルの進退駆動、洗浄水の流量調節部を有する局部洗浄手段5と脱臭手段6が設けられている。また、洗浄用の温水を供給するための熱交換器7(図示せず)、水道配管より前記熱交換器7に洗浄水を供給する給水部8(図示せず)、本体の一部に赤外線信号の送受信のための開口部を設けて本体2内部に
配置した光学式の着座検知手段9、人体洗浄後に濡れた局部を乾燥する乾燥手段や、便座4には着座面を暖めるための便座暖房手段(図示せず)なども備えている。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態1における局部洗浄装置1に設けた脱臭手段6の内部構成図を示すものである。
【0019】
図2において、本体2の底板(図示せず)に組みつけられた脱臭手段6は、底板の開口部を通して便器内面空間Aに臨んで臭気吸引口11を設けている。本体2の側面または背面に臭気排出口12が通じるダクトが設けられ、臭気吸引口11と臭気排出口12は通路部材13で連通して風路17を構成されている。そして臭気吸引口11には防塵フィルタ14が着脱自在に設けられ、風路17には送風機15と脱臭剤16が設けられている。
【0020】
図3は本発明の実施の形態1の局部洗浄装置の機能ブロック図である。また、図4は、本発明の実施の形態1の局部洗浄装置における操作部25の説明図である。
【0021】
図3、図4において、本体2の内部には便座、便蓋の開閉、局部洗浄、脱臭、乾燥などの各種機能の動作を制御する制御基板18(図示せず)を備え、その制御基板18に設けた制御部19は、経過時間算出手段20、節電手段21a、報知手段制御部24aを備えている。また、本体の一部に設けられた操作部25には、使用者が本体の各種機能部の温度設定を行ったり、各種機能の実行を指示したりするための操作部であって、節電設定スイッチ21b、洗浄スイッチ22a、乾燥スイッチ22b、経過時間算出手段の積算時間をリセットすることを指示するリセット手段26を設けている。さらに報知手段制御部24aより発された報知信号に基づいて表示を行う報知手段(表示部)24bも設けてある。
【0022】
以上のように構成された局部洗浄装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0023】
上記構成において、排便時に人が便座4に腰を掛けると着座検知手段9で検出すると、これに連動して制御部19からの信号で自動的に脱臭装置19に設けた送風機15が作動し、臭気吸引口11から臭気排出口12にいたる風路17において空気の流れを発生させる。排便時の悪臭成分を含んだ空気は脱臭剤16を通過し消臭される。このとき悪臭成分と同時に粉塵も吸引するのであるが、粉塵は防塵フィルタ14で除去され、悪臭成分のみ浄化して本体2の側面または背面からトイレ室空間へ排風する。使用者が排便をして、局部洗浄を行い、便座4を離座すると着座検知手段9が検出する。着座検知手段9により離座を検出してから制御部19により脱臭手段23が十分に動作すると推定される一定時間後には送風装置15を停止する。経過時間算出手段20は、局部洗浄装置をトイレ室へ設置し、使用開始してからの使用経過時間を積算する。
【0024】
節電設定スイッチ21bにより使用者が節電を設定した場合について説明する。節電設定スイッチ21bにて節電が設定されると、夜間などの局部洗浄装置を使用する頻度の少ない時間帯については、待機電力を削減するため、便座を保温するタイプや温水を貯湯するタイプの局部洗浄装置であれば、その保温温度を使用頻度の高い時間帯で使用される使用者によって設定された設定温度よりも幾分低い温度で保温待機するように制御する。また、瞬間式と言われる、保温、貯湯しないタイプについては、各機能ユニットへの電力供給をストップし、安全回路の保持にのみ電力を使用して、使用が検知された場合に動作を開始できるように待機している。節電の時間としては、ここでは約8時間の設定がされる。経過時間算出手段20では、節電設定スイッチ21bが押下され節電手段21aが機能している時間帯は経過時間の積算を行わない。
【0025】
そして、経過時間算出手段20において、所定時間(脱臭手段の駆動時間が、防塵フィ
ルタの取替え時期に相当するとされる経過時間)が経過すると防塵フィルタ14の清掃時期であることを報知するため報知手段制御部24aより報知手段(表示部)24bへ信号を送出して、報知手段(表示部)24bはLEDを点滅させて報知する。これにより使用者に、防塵フィルタ14の清掃時期であることを知らせるので、使用者の防塵フィルタ14の清掃忘れを防止することができる。
【0026】
そして、リセット手段26によって、経過時間算出手段20の積算時間をリセットし、次の経過時間を積算開始するようにする。本実施の形態でのリセット手段26は、独立した別スイッチとして設けるものでなく、操作部25に備わっている他の機能を指示するスイッチと兼用する構成とした。ここでは、洗浄スイッチ22aと、乾燥スイッチ22bの同時長押し操作を行うことで、リセット手段26が押下されたと制御部19が判断する。このように、操作部25にて、通常の局部洗浄装置の使用における操作部のスイッチ類のボタン操作ではありえない特殊な操作をすることで、間違ってリセットするようなことはない。
【0027】
従来の局部洗浄装置においては、脱臭手段6は、使用者が便座に着座して便器を使用する際に必ず動作するので、長期使用すると防塵フィルタ14の目詰まりが起こり吸引力が低下し、脱臭能力に影響する。この防塵フィルタ14の清掃時期をたいてい1ヶ月程度ということで、操作マニュアル等に記載して、使用者による自発的な清掃に頼るものであったため、使用者が目詰まりに気づかない場合、清掃が必要なことを忘れてしまう場合などは、一ヶ月を超えても清掃が行われない場合もあった。そして脱臭機能が十分に機能しないことも危惧された。そこで、本発明のように、使用者の清掃を促すように報知を行うことで、使用者による防塵フィルタ14の清掃が可能で、脱臭手段6の能力を十分に発揮することができる。
【0028】
また、節電機能が設定されると、節電時間帯にはほとんど、局部洗浄装置自体を使用することがないという前提で、節電時間帯には経過時間算出手段20による経過時間の積算は行わない。節電機能を使用しない場合であると、局部洗浄装置の設置からの約1ヶ月という期間を経過時間算出手段20で積算することになるが、節電機能の設定を行う場合であれば、本実施の形態では8時間という1日のうちの3分の1の時間帯が節電モードとなり、節電機能を使用しない場合に比べて、脱臭手段6の防塵フィルタ14の使用可能時間の3割の延長となる。このような構成とすることで、使用者は、防塵フィルタ14の使用期間の延長が可能でかつメンテナンスを適切な時期に行うことができる。
【0029】
また、本実施の形態1では、報知手段(表示部)24bはLEDなとの照明電装品により点滅や点灯することで報知するようにしているが、これに限らず機械的手段よりなる構成としてもよい。また、本体の一部に設けた操作部にこれを設けたが、本体と別体に設けた遠隔操作手段にて、表示するようにしてもよい。また、入室検知センサーなどを設けて入室した使用者を検知している間、着座検知センサで着座を検知あるいは離座が確定したタイミングなどの、つまりは使用者がトイレ室内に確実に在室するタイミングで、音による報知を行うようにしてもよい。これにより、より清掃忘れの防止効果が高まる。
【0030】
また、本発明は脱臭装置のメンテナンスについての発明であるが、他のメンテナンスが必要な機能ユニットのメンテナンス情報を報知することにも応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかる局部洗浄装置は、脱臭手段が有する防塵フィルタの定期的メンテナンス時期を報知して使用者がメンテナンス作業行うことを促すので、脱臭手段のみでなく、各種の局部洗浄装置内の定期的なメンテナンス時期の報知にも適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 局部洗浄装置
2 本体
4 便座
6 脱臭手
14 防塵フィルタ
17 風路
19 制御部
20 経過時間算出手段
21 節電タイマー
24a 報知手段制御部
24b 報知手段(表示部)
25 操作部
26 リセット手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器後部上面に載置固定される本体と、
前記本体に回動可能に設けた便座と、
前記本体内部に配された局部洗浄手段と、
前記便器内部と前記便器外部とを連通して前記便器外部に向けて排風する風路に防塵フィルタを設けた脱臭手段と、
使用者への報知を行う報知手段と、
前記局部洗浄手段と前記脱臭手段と前記報知手段を制御する制御手段と、
使用電力量を控える時間帯を設定して電力制御する節電手段とを備え、
前記制御手段は、
経過時間をカウントする経過時間算出手段を有して、
前記経過時間算出手段による前記本体使用開始からの経過時間のうち、前記節電手段による節電機能が動作した時間帯を除いた経過時間を積算し、
所定の積算時間に達すると前記報知部にて前記防塵フィルタの清掃時期であることを報知する局部洗浄装置。
【請求項2】
局部洗浄手段と脱臭手段と節電手段の操作を行う操作部を備え、前記操作部は、前記経過時間算出手段の積算時間をリセットするリセット部を設けたことを特徴とした請求項1に記載の局部洗浄装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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