説明

屋外拡声子局及び無線システム

【課題】親局の無線方式に合わせた無線通信に容易に切り替えることが可能な屋外拡声子局及び無線システムを提供する。
【解決手段】屋外拡声子局1は、受信信号の無線方式がデジタル方式である場合、交換自在なデジタル無線制御部3を装備する。一方、受信信号の無線方式がMSK方式である場合、デジタル無線制御部3の代わりにアナログ無線制御部を装備する。屋外拡声子局1は、それぞれの無線方式で親局設備からの呼び出し制御を受信し、親局設備との間で通信回線を構築する。親局設備がMSK方式及びデジタル方式のいずれの場合であっても、アナログ無線制御部3をデジタル無線制御部に交換するだけで対応することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親局と無線通信を行う屋外拡声子局及びこれらを含む無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防災無線や消防無線などの無線システムに用いられる屋外拡声子局として、特許文献1に記載のものが知られている。図10は従来の屋外拡声子局の構成例を示すブロック図である。この屋外拡声子局101は、アンテナ102、拡声部103、無線送信部113、無線受信部112、音声処理部115、音声増幅部116、制御部111及びデータ記録部114を有して構成される。
【0003】
制御部111は、時刻を計時する時計部111aを有し、各部の動作を制御する。無線受信部112は、アンテナ102を介して無線信号を受信する。無線送信部113は、アンテナ102を介して無線信号を送信する。データ記録部114は、音声データをデジタルデータファイルとして記録する。音声処理部115は、受信した音声データまたはデータ記録部114で記録された音声データをアナログ音声信号に変換し、変換されたアナログ音声信号を音声増幅部116に送出する。音声増幅部116は、変換された音声データを増幅して拡声部103に出力する。
【0004】
上記構成を有する屋外拡声子局において、アンテナ102を介して無線受信部112で受信した無線信号に含まれる音声データは、一旦、データ記録部114に格納される。この後、アンテナ102を介して放送開始指示が無線受信部112で受信されると、制御部111からの指示に従って、データ記録部114に格納された音声データは音声処理部115に送出される。音声処理部115に入力された音声データは、デジタル信号からアナログ信号(音声信号)に変換されるとともに、音声増幅部116に送出される。音声増幅部116で増幅された音声信号は、拡声部103を通して拡声される。
【0005】
また、制御部111からの指示に従って、アンテナ102を介して無線受信部112で受信した無線信号に含まれる音声データは、データ記録部114に格納されず、音声処理部115に直接入力される。音声処理部115に入力された音声データは、デジタル信号からアナログ信号(音声信号)に変換され、音声増幅部116に送出される。音声増幅部116で増幅された音声信号は、拡声部103を通して拡声される。
【0006】
【特許文献1】特開2002−189485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の屋外拡声子局では、以下に掲げる問題点があった。即ち、屋外拡声子局がデジタル方式の無線プロトコル及び音声コーデックのみに対応している場合、親局もデジタル方式の無線設備を装備する必要があった。このため、旧方式であるMSK(Minimum Shift Keying)方式の無線設備を装備する親局では、デジタル方式の屋外拡声子局を導入することができなかった。また、親局の無線設備(親局設備)をMSK方式からデジタル方式のものに置き代える場合、屋外拡声子局におけるそれまでのMSK方式の無線設備を廃棄し、新規にデジタル方式の無線設備を導入する必要があった。
【0008】
また、屋外拡声子局がデジタル方式及びMSK方式の両方式の無線設備を装備しており、別の周波数で同時に無線回線を使用している場合、一方の無線方式による通信回線が妨害などによって使用できなくなった際、バックアップ回線として、他方の無線方式による通信回線を利用できなかった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、親局の無線方式に合わせた無線通信に容易に切り替えることが可能な屋外拡声子局及び無線システムを提供することを目的とする。また、本発明は、複数方式の無線設備を同時に使用している場合に、バックアップ回線を容易に構築することが可能な屋外拡声子局及び無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の屋外拡声子局は、親局と無線通信を行う屋外拡声子局であって、無線方式に合わせて交換自在に装備され、前記親局から送信される制御信号を受信する無線制御手段と、前記受信した制御信号に応じた機器動作を行う機器作動手段とを備えるものである。
【0011】
これにより、親局の無線方式に合わせた無線通信に容易に切り替えることが可能となる。
【0012】
また、本発明は、上記の屋外拡声子局であって、前記親局とデジタル方式で無線通信を行う場合、前記無線制御手段として、前記デジタル方式の無線制御部が装備され、前記親局とMSK方式で無線通信を行う場合、前記無線制御手段として、前記MSK方式の無線制御部が装備されるものとする。
【0013】
これにより、無線方式がデジタル方式である場合、デジタル方式の無線制御部を装備することによって、親局からの呼び出し制御を受信し、通信回線を容易に構築することが可能となる。また、無線方式がMSK方式である場合、MSK方式の無線制御部を装備することによって、親局からの呼び出し制御を受信し、通信回線を容易に構築することが可能となる。従って、MSK方式の無線設備を装備する親局に導入することができる。また、MSK方式からデジタル方式に切り替えた場合でも、MSK方式の無線制御部をデジタル方式の無線制御部と交換するだけで、安価に対応することが可能である。
【0014】
本発明の屋外拡声子局は、親局と無線通信を行う屋外拡声子局であって、デジタル方式で前記親局から送信される制御信号を受信する第1の無線制御手段と、MSK方式で前記親局から送信される無線信号を受信する第2の無線制御手段と、前記第1の無線制御手段または前記第2の無線制御手段を選択する選択制御手段と、前記選択された前記第1の無線制御手段または前記第2の無線制御手段によって受信した制御信号に応じた機器動作を行う機器作動手段とを備えるものである。
【0015】
これにより、一方の無線方式による通信回線が妨害などで使用できなくなっても、他方の無線方式による通信回線に切り替えることで、バックアップ回線を容易に構築することが可能となる。
【0016】
また、本発明は、上記の屋外拡声子局であって、前記第1及び第2の無線制御手段は、別周波数で前記親局から送信される制御信号を同時に受信可能であり、前記選択制御手段は、先に前記制御信号を受信した前記第1または第2の無線制御手段を選択するものとする。
【0017】
これにより、デジタル方式で送信される制御信号による指示とMSK方式で送信される制御信号による指示とが相違しても、機器動作に混乱が生じることを防止できる。
【0018】
また、本発明は、上記の屋外拡声子局であって、前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、スピーカから音声信号を拡声するものとする。
【0019】
また、本発明は、上記の屋外拡声子局であって、前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、サイレンを起動するものとする。
【0020】
また、本発明は、上記の屋外拡声子局であって、前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、前記親局との通話を可能にするものとする。
【0021】
また、本発明は、上記の屋外拡声子局であって、前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、前記親局とのデータ通信を可能にするものとする。
【0022】
上記いずれかにより、制御信号に従って、スピーカからの拡声、サイレンの起動、親局との通話、親局とのデータ通信などが可能となる。
【0023】
また、本発明は、上記いずれかに記載の屋外拡声子局を有し、この屋外拡声子局と親局との間で無線通信を行う無線システムを提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、親局の無線方式に合わせた無線通信に容易に切り替えることが可能な屋外拡声子局及び無線システムを提供できる。また、複数方式の無線設備を同時に使用している場合に、バックアップ回線を容易に構築することが可能な屋外拡声子局及び無線システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本実施形態の屋外拡声子局は、防災無線や消防無線など広域に通報を行ったり、あるいは親局と子局間で通話を行う際の同報無線システム、防災行政無線システム、市町村防災行政無線システム、市町村防災行政無線システム固定系などの無線システムに適用される。ここでは、屋外拡声子局及びこの屋外拡声子局を含む無線システムの構成例を示す。
【0026】
本実施形態の屋外拡声子局では、無線信号の送受信、通信制御等を行う無線設備が、無線方式に合わせて交換自在に装備される構成となっている。
【0027】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の構成として、親局がデジタル方式の無線設備を装備する場合の構成例を示す。図1は本発明の第1の実施形態に係るデジタル方式の親局設備と無線通信を行う屋外拡声子局の構成を示すブロック図である。
【0028】
本実施形態における無線システムは、デジタル方式の無線設備を装備する親局21及び屋外拡声子局1を有して構成される。図中、屋外拡声子局は1つしか示されていないが、実際には複数の屋外拡声子局が存在する。
【0029】
屋外拡声子局1は、アンテナ2、デジタル無線制御部3、制御部4、音声増幅器部5、音声ゲート6、トランペットスピーカ7、マイク8a、マイクスピーカ8b、モータサイレン制御部9、モータサイレン10及び操作部12を有して構成される。
【0030】
デジタル無線制御部3には、無線制御手段の一例に相当するもので、デジタル無線機3a及びデジタル信号処理部3bが設けられている。デジタル無線機3aは、アンテナ2を介して受信したデジタル方式の無線信号を復調する。デジタル信号処理部3bは、その復調信号に含まれる制御信号及び音声信号を解析する。また、デジタル信号処理部3bには、符号化された音声信号を復号化するとともに、音声信号を符号化する音声コーデック部3cが設けられている。
【0031】
アンテナ2は、親局の無線設備との間でデジタル方式の無線信号の送受信を行う。デジタル無線制御部3は、デジタル方式の無線信号を受信して解析する(復号化する)とともに、親局設備への無線信号を生成して送信する。制御部4は、受信した無線信号に含まれる制御信号や操作部12からの手動操作に従って、各部を制御する。
【0032】
音声増幅部5は、デジタル無線制御部3によって復号化された音声信号を増幅する。音声ゲート6は、制御部4からの指示に従って、増幅された音声信号のゲートを開閉する。トランペットスピーカ7は、増幅された音声信号を音として拡声する。
【0033】
マイク8a及びマイクスピーカ8bは、親局設備との復信通話を行う際に使用される。モータサイレン制御部9は、制御部4によって制御され、サイレン起動・停止を行う。モータサイレン10は、サイレン音を送出する。操作部12には、屋外拡声子局を操作するための各種ボタン(例えば、通話開始ボタンや通話終了ボタン)等が設けられている。
【0034】
上記構成を有する屋外拡声子局の動作を示す。図2はデジタル方式の無線信号に対応する屋外拡声子局の動作処理手順を示すフローチャートである。これらの処理は、制御部4による動作を中心に実行される。
【0035】
まず、通話開始ボタンが押下されたか否かを判別する(ステップS1)。通話開始ボタンが押下されていなかった場合、デジタル方式の無線信号の受信を検出したか否かを判別する(ステップS2)。
【0036】
デジタル方式の無線信号の受信を検出した場合、デジタル信号処理部3bで制御信号を解析し、制御信号が音声通報開始指示であるか否かを認識する(ステップS3)。音声通報開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、音声増幅部5を起動し(ステップS4)、音声ゲート6を開放する(ステップS5)。そして、デジタル信号処理部3b内の音声コーデック部3cにより音声信号のデコード(復号化)を行う(ステップS6)。これにより、屋外拡声子局のトランペットスピーカ7から音声が拡声される。この制御部4によって起動されるトランペットスピーカ7の通報動作が機器作動手段の機能の一例に相当する。
【0037】
この後、受信した制御信号が音声通報終了指示であるか否かを認識する(ステップS7)。音声通報終了指示でない場合、ステップS6の処理を繰り返し、一方、音声通報終了指示である場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。
【0038】
一方、ステップS3で音声通話開始指示が認識されなかった場合、受信した制御信号が親局からの通話開始指示であるか否かを認識する(ステップS8)。通話開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、デジタル信号処理部3bで親局設備からの音声信号のデコード(復号化)を行い、マイクスピーカ8bから音声を出力するとともに(ステップS9)、マイク8aから入力された音声信号のエンコード(符号化)を行い、親局設備に送信する(ステップS10)。これにより、屋外拡声子局の複信通話が行われる。この制御部4によって実行される通話動作が機器作動手段の機能の一例に相当する。
【0039】
この後、通話終了ボタンが押下されたか否かを判別し(ステップS11)、押下された場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。一方、押下されなかった場合、受信した制御信号が音声通話終了指示であるか否かを認識する(ステップS12)。音声通話終了指示でない場合、ステップS9の処理に戻る。一方、音声通話終了指示である場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。
【0040】
一方、ステップS8で通話開始指示でなかった場合、受信した制御信号が親局からのサイレン通報開始指示であるか否かを認識する(ステップS13)。サイレン通報開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、モータサイレン制御部9を起動する(ステップS14)。これにより、屋外拡声子局1のモータサイレン10が起動してサイレンが鳴動される。この制御部4によって起動されるモータサイレン10の鳴動動作が機器作動手段の機能の一例に相当する。
【0041】
この後、受信した制御信号がサイレン通報終了指示であるか否かを認識する(ステップS15)サイレン通報終了指示でない場合、ステップS14の処理に戻る。一方、サイレン通報終了指示である場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。
【0042】
一方、ステップS13でサイレン通報開始指示でなかった場合、受信した制御信号が親局からのデータ通信開始指示であるか否かを認識する(ステップS16)。データ通信開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、データ通信による送受信を開始する(ステップS17)。これにより、屋外拡声子局1の屋外拡声子局のデータ通信が行われる。この制御部4によって実行されるデータ通信動作が機器作動手段の機能の一例に相当する。
【0043】
この後、受信した制御信号がデータ通信終了指示であるか否かを認識する(ステップS18)。データ通信終了指示でない場合、ステップS17の処理に戻る。一方、データ通信終了指示である場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。
【0044】
一方、ステップS1で通話開始ボタンが押下された場合、親局設備に対して発呼を行い(ステップS19)、デジタル無線制御部3でその応答を受信したか否かを判別する(ステップS20)。応答を受信した場合、ステップS9、S10で、デジタル信号処理部3bで親局設備からの音声信号のデコード(復号化)を行い、マイクスピーカ8bから音声を出力するとともに、マイク8aから入力された音声信号のエンコード(符号化)を行い、親局設備に送信する。これにより、屋外拡声子局の複信通話が行われる。一方、ステップS20で応答を受信しなかった場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。
【0045】
上記のように、第1の実施形態によれば、受信信号の無線方式がデジタル方式である場合、デジタル無線制御部を装備することによって、親局設備からの呼び出し制御を受信し、通信回線を容易に構築することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の構成として、親局がMSK方式の無線設備を装備する場合の構成例を示す。図3は本発明の第2の実施形態に係るMSK方式の親局設備と無線通信を行う屋外拡声子局の構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施形態における無線システムは、MSK方式の無線設備を装備する親局61及び屋外拡声子局1を有して構成される。図中、屋外拡声子局は1つしか示されていないが、実際には複数の屋外拡声子局が存在する。
【0048】
MSK方式の親局設備と無線通信を行う場合、屋外拡声子局1は、図1に示した第1の実施形態のデジタル無線制御部3をアナログ無線制御部13に置き換えることで実現される。即ち、屋外拡声子局1は、デジタル無線制御部3の代わりに搭載されたアナログ無線制御部13の他、前述したアンテナ2、制御部4、音声増幅器部5、音声ゲート6、トランペットスピーカ7、マイク8、モータサイレン制御部9、モータサイレン10及び操作部12を有して構成される。
【0049】
アナログ無線制御部13には、無線制御手段の一例に相当するもので、アナログ無線機13a及びアナログ信号処理部13bが設けられている。アナログ無線機13aは、アンテナ2を介して受信したMSK方式の無線信号を復調する。アナログ信号処理部13bは、その復調信号に含まれる制御信号及び音声信号を解析する。また、アナログ信号処理部13bには、MSK方式の無線信号に変調された制御信号を復調したり、あるいは制御信号をMSK方式の無線信号に変調するMSKモデム13cが設けられている。
【0050】
上記構成を有する屋外拡声子局の動作を示す。図4はMSK方式の無線信号に対応する屋外拡声子局の動作処理手順を示すフローチャートである。これらの処理は、制御部4による動作を中心に実行される。
【0051】
まず、通話開始ボタンが押下されたか否かを判別する(ステップS21)。通話開始ボタンが押下されていなかった場合、MSK方式の無線信号の受信を検出したか否かを判別する(ステップS22)。
【0052】
MSK方式の無線信号の受信を検出した場合、アナログ信号処理部13bで制御信号を解析し、制御信号が音声通報開始指示であるか否かを認識する(ステップS23)。音声通報開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、音声増幅部5を起動し(ステップS24)、音声ゲート6を開放する(ステップS25)。これにより、屋外拡声子局のトランペットスピーカ7から音声が拡声される。
【0053】
この後、受信した制御信号が音声通報終了指示であるか否かを認識する(ステップS26)。音声通報終了指示でない場合、ステップS26の処理を繰り返し、一方、音声通報終了指示である場合、最初(ステップS21)の処理に戻る。
【0054】
一方、ステップS23で音声通話開始指示が認識されなかった場合、受信した制御信号が親局からの通話開始指示であるか否かを認識する(ステップS27)。通話開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、親局設備からの音声信号をマイクスピーカ8bから出力するとともに(ステップS28)、マイク8aから入力された音声信号を親局設備に送信する(ステップS29)。これにより、屋外拡声子局の単信通話が行われる。
【0055】
この後、通話終了ボタンが押下されたか否かを判別し(ステップS30)、押下された場合、最初(ステップS21)の処理に戻る。一方、押下されなかった場合、受信した制御信号が音声通話終了指示であるか否かを認識する(ステップS31)。音声通話終了指示でない場合、ステップS28の処理に戻る。一方、音声通話終了指示である場合、最初(ステップS21)の処理に戻る。
【0056】
一方、ステップS27で通話開始指示でなかった場合、受信した制御信号が親局からのサイレン通報開始指示であるか否かを認識する(ステップS32)。サイレン通報開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、モータサイレン制御部9を起動する(ステップS33)。これにより、屋外拡声子局1のモータサイレン10が起動してサイレンが鳴動される。
【0057】
この後、受信した制御信号がサイレン通報通話終了指示であるか否かを認識する(ステップS34)サイレン通報通話終了指示でない場合、ステップS33の処理に戻る。一方、サイレン通報通話終了指示である場合、最初(ステップS21)の処理に戻る。
【0058】
一方、ステップS32でサイレン通報開始指示でなかった場合、受信した制御信号が親局からのデータ通信開始指示であるか否かを認識する(ステップS35)。データ通信開始指示であると認識された場合、制御部4の制御に基づき、データ通信による送受信を開始する(ステップS36)。これにより、屋外拡声子局1の屋外拡声子局のデータ通信が行われる。
【0059】
この後、受信した制御信号がデータ通信終了指示であるか否かを認識する(ステップS37)。データ通信終了指示でない場合、ステップS36の処理に戻る。一方、データ通信終了指示である場合、最初(ステップS21)の処理に戻る。
【0060】
一方、ステップS21で通話開始ボタンが押下された場合、親局設備に対して発呼を行い(ステップS38)、アナログ無線制御部13でその応答を受信したか否かを判別する(ステップS39)。応答を受信した場合、ステップS28、S29で、アナログ信号処理部13bで親局設備からの音声信号をマイクスピーカ8bから出力するとともに、マイク8aから入力された音声信号を親局設備に送信する。これにより、屋外拡声子局の単信通話が行われる。一方、ステップS39で応答を受信しなかった場合、最初(ステップS21)の処理に戻る。
【0061】
上記のように、第2の実施形態によれば、受信信号の無線方式がMSK方式である場合、アナログ無線制御部を装備することによって、親局設備からの呼び出し制御を受信し、通信回線を容易に構築することができる。
【0062】
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態の屋外拡声子局及び無線システムによれば、無線方式がデジタル方式である場合とMSK方式である場合のそれぞれにおいて、親局設備からの呼び出し制御を受信し、通信回線を容易に構築することができるため、MSK方式及びデジタル方式の両無線方式に対応して動作させることができる。従って、MSK方式の無線設備を装備する親局に対して導入することができるだけでなく、親局がMSK方式からデジタル方式に置き代えた場合でも、アナログ無線制御部をデジタル無線制御部に交換するだけで安価に対応することができる。
【0063】
これにより、屋外拡声子局は、デジタル方式及びMSK方式の親局設備からの音声情報をスピーカから拡声することができる。また、デジタル方式及びMSK方式の親局設備からのサイレン吹鳴要求に従って、モータサイレンを起動することができる。また、デジタル方式及びMSK方式の親局設備とデータ通信を実現することができる。また、デジタル方式の親局設備との複信による通話を実現することができる。また、MSK方式の親局設備との単信による通話を実現することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、親局はデジタル方式及びMSK方式の両無線設備を装備し、親局及び屋外拡声子局間でデジタル方式及びMSK方式の無線信号が別周波数で同時に使用可能である場合の構成例を示す。
【0065】
図5は本発明の第3の実施形態に係るデジタル方式及びMSK方式の無線設備を装備した親局設備と無線通信を行う屋外拡声子局の構成を示すブロック図である。前記第1及び第2の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付すことによりその説明を省略する。
【0066】
本実施形態における無線システムは、デジタル方式及びMSK方式の両無線設備を装備する親局81、及び屋外拡声子局51を有して構成される。
【0067】
屋外拡声子局51は、前述したデジタル無線制御部3及びアナログ無線制御部13の両方を搭載する。即ち、屋外拡声子局51は、アンテナ2a、2b、デジタル無線制御部3、アナログ無線制御部13、制御部4、音声増幅部5、音声ゲート6、トランペットスピーカ7、マイク8a、マイクスピーカ8b、モータサイレン制御部9及びモータサイレン10を有して構成される。
【0068】
アンテナ2a、2bは、親局設備との間でデジタル方式及びMSK方式の無線信号をそれぞれ送受信する。制御部54は、デジタル無線制御部3及びアナログ無線制御部13からの信号を入力し、受信した無線信号に含まれる制御信号や操作部12を介した手動操作に従って、機器動作を制御する。
【0069】
図6及び図7はデジタル方式及びMSK方式の無線信号に対応する屋外拡声子局の動作処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、前記第1の実施形態における図2のステップ処理と第2の実施形態における図4のステップ処理とを組み合わせたものであり、前記第1及び第2の実施形態と同一のステップ処理については同一のステップ番号を付すことによりその説明を省略する。これらの処理は、制御部4による動作を中心に実行される。
【0070】
まず、制御部4において、通話開始ボタンが押下されたか否かを判別し(ステップS1)、ステップS1で通話開始ボタンが押下されなかった場合、デジタル方式の無線信号の受信を検出したか否かを判別し(ステップS2A)、デジタル方式の無線信号の受信を検出しなかった場合、ステップS22Aの処理に移行する。
【0071】
そして、制御部4において、MSK方式の無線信号の受信を検出したか否かを判別する(ステップS22A)。デジタル方式の無線信号の受信を検出せず、MSK方式の無線信号の受信を検出した場合、ステップS23以降の処理に移行し、前記第1の実施形態と同様の処理を行う。一方、デジタル方式の無線信号の受信を検出せず、かつMSK方式の無線信号の受信を検出しなかった場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。ここで、制御部4によって実行される上記ステップS2A、ステップS22A等による受信信号の判別及び無線制御部の選択処理が、選択制御手段の機能の一例に相当する。
【0072】
また、ステップS1で通話開始ボタンが押下された場合、ステップS19で親局設備に対して発呼を行い、デジタル無線制御部3でその応答を受信したか否かを判別する(ステップS20A)。応答を受信した場合、ステップS9以降の処理を行い、前記第1の実施形態と同様の処理を行う。一方、応答を受信しなかった場合、親局設備に対して再び発呼を行い(ステップS38A)、ステップS39でアナログ無線制御部13でその応答を受信したか否かを判別する。応答を受信した場合、ステップS28以降の処理を行い、前記第2の実施形態と同様の処理を行う。一方、応答を受信しなかった場合、最初(ステップS1)の処理に戻る。
【0073】
これにより、一方の無線方式の通信回線が妨害などで使用できない場合、バックアップ回線として、他方の無線方式の通信回線に容易に切り替えることができる。また、デジタル方式で送信される制御信号による指示とMSK方式で送信される制御信号による指示とが相違しても、機器動作に混乱が生じることを防止できる。
【0074】
図8は自局宛のデジタル方式の無線信号の受信を検知した後に、MSK方式の無線信号の受信を検知した場合における屋外拡声子局の動作を示す図である。
【0075】
屋外拡声子局は、デジタル方式の無線信号を受信する(T1、T2)。この無線信号に含まれる選択信号における番号の一致により、親局設備からの放送開始指示(またはサイレン放送開始指示)が自局宛であることを認識すると、デジタル方式の無線信号に従って機器動作(通報動作)を開始する(T3)。
【0076】
この後、MSK方式の無線信号を受信し(T4)、親局設備からの音声通報(またはサイレン通報)セレコールが自局宛であることを認識しても、デジタル方式の無線信号による機器動作が終了するまで、MSK方式の無線信号による機器動作を行わない(T5)。そして、親局設備からの強制切断指示を受信すると(T6)、デジタル方式の無線信号による機器動作を終了する。一方、親局設備からの終話セレコールを受信しても(T7)、MSK方式の無線信号に従った通報動作を開始していないので、この信号は無視される(T8)。
【0077】
これにより、親局設備からのデジタル方式の無線信号による指示と、親局設備からのMSK方式の無線信号による指示との間で相違が発生しても、先に受信したデジタル方式の無線信号による指示で機器動作を行うことができる。
【0078】
図9は自局宛のMSK方式の無線信号の受信を検知した後に、デジタル方式の無線信号の受信を検知した場合における屋外拡声子局の動作を示す図である。
【0079】
屋外拡声子局は、MSK方式の無線信号の受信を検知し(T11)、自局宛の音声通報(またはサイレン通報)セレコールであると認識すると、MSK方式の無線信号に従って機器動作(通報動作)を開始する(T12)。
【0080】
この後、デジタル方式の無線信号を受信し(T13、T14)、この無線信号に含まれる選択信号における番号の一致により、親局設備からの放送開始指示(またはサイレン放送開始指示)が自局宛であることを認識しても、MSK方式の無線信号による機器動作が終了するまで、デジタル方式の無線信号による機器動作を行わない(T15)。
【0081】
そして、親局設備からの終話セレコールを受信すると(T16)、MSK方式の無線信号による機器動作を終了する。一方、親局設備からの強制切断指示を受信しても(T17)、デジタル方式の無線信号に従った通報動作を開始していないので、この指示は無視される(T18)。
【0082】
これにより、親局設備からのデジタル方式の無線信号による指示と、親局設備からのMSK方式の無線信号による指示との間で相違が発生しても、先に受信したMSK方式の無線信号による指示で機器動作を行うことができる。
【0083】
上記のように、第3の実施形態によれば、デジタル方式及びMSK方式による無線通信を別周波数で同時に運用する際、デジタル方式及びMSK方式のうち、一方の無線回線が妨害などで使用できなくなっても、他方の無線回線に切り替えて運用することができる。従って、バックアップ回線を容易に構築することができる。また、デジタル方式で送信される制御信号による指示とMSK方式で送信される制御信号による指示とが相違しても、機器動作に混乱が生じることを防止できる。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲に示したものにおいて、種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、親局の無線方式に合わせた無線通信に容易に切り替えることが可能となる効果、複数方式の無線設備を同時に使用している場合に、バックアップ回線を容易に構築することが可能となる効果を有し、親局と無線通信を行う屋外拡声子局及びこれらを含む無線システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタル方式の親局設備と無線通信を行う屋外拡声子局の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施形態におけるデジタル方式の無線信号に対応する屋外拡声子局の動作処理手順を示すフローチャート
【図3】本発明の第2の実施形態に係るMSK方式の親局設備と無線通信を行う屋外拡声子局の構成を示すブロック図
【図4】第2の実施形態におけるMSK方式の無線信号に対応する屋外拡声子局の動作処理手順を示すフローチャート
【図5】本発明の第3の実施形態に係るデジタル方式及びMSK方式の無線設備を装備した親局設備と無線通信を行う屋外拡声子局の構成を示すブロック図
【図6】第3の実施形態におけるデジタル方式及びMSK方式の無線信号に対応する屋外拡声子局の動作処理手順を示すフローチャート
【図7】第3の実施形態におけるデジタル方式及びMSK方式の無線信号に対応する屋外拡声子局の動作処理手順を示すフローチャート
【図8】第3の実施形態における自局宛のデジタル方式の無線信号の受信を検知した後に、MSK方式の無線信号の受信を検知した場合における屋外拡声子局の動作を示す図
【図9】第3の実施形態における自局宛のMSK方式の無線信号の受信を検知した後に、デジタル方式の無線信号の受信を検知した場合における屋外拡声子局の動作を示す図
【図10】従来の屋外拡声子局の構成例を示すブロック図
【符号の説明】
【0087】
1、51 屋外拡声子局
2 アンテナ
3 デジタル無線制御部
3a デジタル無線機
3b デジタル信号処理部
3c 音声コーデック部
4、54 制御部
5 音声増幅部
6 音声ゲート
7 トランペットスピーカ
8a マイク
8b マイクスピーカ
9 モータサイレン制御部
10 モータサイレン
12 操作部
13 アナログ無線制御部
13a アナログ無線機
13b アナログ信号処理部
13c MSKモデム
21、61、81 親局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局と無線通信を行う屋外拡声子局であって、
無線方式に合わせて交換自在に装備され、前記親局から送信される制御信号を受信する無線制御手段と、
前記受信した制御信号に応じた機器動作を行う機器作動手段と
を備える屋外拡声子局。
【請求項2】
請求項1記載の屋外拡声子局であって、
前記親局とデジタル方式で無線通信を行う場合、前記無線制御手段として、前記デジタル方式の無線制御部が装備され、
前記親局とMSK方式で無線通信を行う場合、前記無線制御手段として、前記MSK方式の無線制御部が装備される屋外拡声子局。
【請求項3】
親局と無線通信を行う屋外拡声子局であって、
デジタル方式で前記親局から送信される制御信号を受信する第1の無線制御手段と、
MSK方式で前記親局から送信される無線信号を受信する第2の無線制御手段と、
前記第1の無線制御手段または前記第2の無線制御手段を選択する選択制御手段と、
前記選択された前記第1の無線制御手段または前記第2の無線制御手段によって受信した制御信号に応じた機器動作を行う機器作動手段と
を備える屋外拡声子局。
【請求項4】
請求項3記載の屋外拡声子局であって、
前記第1及び第2の無線制御手段は、別周波数で前記親局から送信される制御信号を同時に受信可能であり、
前記選択制御手段は、先に前記制御信号を受信した前記第1または第2の無線制御手段を選択する屋外拡声子局。
【請求項5】
請求項1または3記載の屋外拡声子局であって、
前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、スピーカから音声信号を拡声する屋外拡声子局。
【請求項6】
請求項1または3記載の屋外拡声子局であって、
前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、サイレンを起動する屋外拡声子局。
【請求項7】
請求項1または3記載の屋外拡声子局であって、
前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、前記親局との通話を可能にする屋外拡声子局。
【請求項8】
請求項1または3記載の屋外拡声子局であって、
前記機器作動手段は、前記受信した制御信号に従って、前記親局とのデータ通信を可能にする屋外拡声子局。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の屋外拡声子局を有し、この屋外拡声子局と親局との間で無線通信を行う無線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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