説明

屋外構築物及び網状容器

【課題】石垣と支柱が組み合わされた壁面を簡単に設置する。
【解決手段】網目状に形成してその内部に多数の石Sが充填される網状容器1と、前記網状容器1の一部に当接するように並べられる支柱2とを備え、前記網状容器1と前記支柱2との当接面のいずれか一方に凸部3を形成し、他方に前記凸部3と嵌り合う凹部4を形成し、前記凸部3及び前記凹部4を嵌合して前記網状容器1と前記支柱2とが並べられることで壁面Wを構成することにより、網状容器1が支柱2で支えられ、網状容器1内の多数の石Sが網目を透して外から見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば門柱、門袖、塀、門柱、花壇、ベンチなど、一般家屋の外構やエクステリアとして使用される屋外構築物、及び、それに用いる網状容器に関する。
詳しくは、リサイクルが可能で環境を配慮したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の屋外構築物として、前面網目と後面網目及び側面台形網目及び底網で囲んだ立体四角形のメッシュ金網ブロック体を、住宅地等の境界線に沿って居宅を囲むよう多数個列設して擁壁とし、前記メッシュ金網ブロック体の内部に植生用土壌を充填し植物根を植え込み植生緑化して生け垣を兼ねるものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、金網を多面に連接して立体形状とした金網ブロック体と、当該金網ブロック体の内面に内張りした植生ネットと、中に充填する植生用土壌とからなり、金網ブロック体の構成を、金網の線自体に強度を付与して特に補強縁及び独立柱を設けず、植生ネットは補強の升目枠を必要としない厚み繊維シートとして工作容易にすると共に、金網ブロック体を円柱や多角柱状等の柱状ブロック群と、直線,曲線,平面,曲面を駆使した梁型ブロック群のランダムな組み合わせ形状とした造形ブロックを構成することにより、門柱,塀等の家屋外構,庭園のガーデニング等を含む環境エクステリアをデザイン化して緑化コーデニングをするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−321818号公報
【特許文献2】特開2004−283155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、このような従来の屋外構築物では、特許文献1の場合、金網ブロック体の側面を台形にして自立可能にしているため、例えば門柱などの外構やエクステリアとして簡単に設置できないという問題があった。
また、特許文献2の場合には、金網ブロック体を構成する金網の線自体に強度を付与して補強縁及び独立柱を設けないため、金網の線自体が太くなって、金網ブロック体内の植生用土壌に代えて多数の石を充填しても、金網のみが目立ってしまい、石が持つ風合いをうまく表現できず、デザイン性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、石垣と支柱が組み合わされた壁面を簡単に設置すること、網状容器を小型化しつつ石の充填を容易にすること、などを目的とするものである。
また、本発明の屋外構築物に用いる網状容器は、網状材料の曲げ強度が低くても石の充填により網状容器の側面が膨出することを防止すること、網状容器の積み上げ時における網目の目違いを防止すること、網状容器を容易に製造すること、などを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明による屋外構築物は、網目状に形成してその内部に多数の石が充填される網状容器と、前記網状容器の一部に当接するように並べられる支柱とを備え、前記網状容器と前記支柱との当接面のいずれか一方に凸部を形成し、他方に前記凸部と嵌り合う凹部を形成し、前記凸部及び前記凹部を嵌合して前記網状容器と前記支柱とが並べられることで壁面を構成したことを特徴とする。
【0007】
前述した特徴に加えて、前記網状容器が前記支柱に沿って複数個積み上げられ、これら網状容器の開口部を連通させたことを特徴とする。
【0008】
また、前述した特徴の屋外構築物に用いる本発明の網状容器は、対向する二組の側面を有し、これら側面のいずれか一方又は両方の対向位置に亘って補強線を横架したことを特徴とする。
【0009】
また、前述した特徴の屋外構築物に用いる本発明の網状容器は、該網状容器の積み上げ時に対向する端部のいずれか一方に、他方へ向け突出して積み上げ方向と交差する横方向へ移動不能に係合する突起部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、前述した特徴の屋外構築物に用いる本発明の網状容器は、四角筒状となる対向する二組の側面を有し、これら側面のいずれか一方が二分割される一対の半分体を形成し、前記半分体の端部同士をそれぞれ当接させて四角筒状に連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前述した特徴を有する本発明の屋外構築物は、網目状に形成してその内部に多数の石が充填される網状容器と、前記網状容器の一部に当接するように並べられる支柱とを備え、前記網状容器と前記支柱との当接面のいずれか一方に凸部を形成し、他方に前記凸部と嵌り合う凹部を形成し、前記凸部及び前記凹部を嵌合して前記網状容器と前記支柱とが並べられることで壁面を構成することにより、網状容器が支柱で支えられ、網状容器内の多数の石が網目を透して外から見えるので、石垣と支柱が組み合わされた壁面を簡単に設置することができる。
その結果、網状容器と支柱をユニット式に組み合わせることで多品種の外構やエクステリアを提供することができて自由度に優れ、また網目から見える石が持つ風合いと、支柱の素材が持つ風合いとを組み合わせることで、デザイン的に優れた外構やエクステリアを提供することができる。
さらに、廃棄時には網状容器と石と支柱が簡単に分離できるため、リサイクルが容易に可能であり、特に吸水性(保水性)に優れた石を網状容器内に充填したり、網状容器の内側に土壌流出防止用シートを介して土を充填すれば、壁面を緑化することもでき、また壁面の表面に沿ってツタ植物などを絡ませる緑化も可能である。それによって、環境を配慮した外構やエクステリアを提供することができる。
【0012】
また、前記網状容器が前記支柱に沿って複数個積み上げられ、これら網状容器の開口部を連通させた場合には、壁面全体の高さ寸法に関係なく、各網状容器の高さ寸法が低くなり、積み上げた各網状容器の開口部に対して石が一度に充填可能になるので、網状容器を小型化しつつ石の充填を容易にすることができる。
その結果、網状容器の運搬及び施工が容易になり、製造及び施工コストの低減化が図れる。
さらに、網状容器の底面を覆う底網が存在しないため、積み上げた網状容器内に充填される石は、上下方向に連続し、これら石の自重を地面に逃がせるので、各網状容器への負担が少なく、それにより、変形や破損がし難くて長期に亘り使用できる。
【0013】
また、前述した特徴を有する本発明の網状容器は、対向する二組の側面を有し、これら側面のいずれか一方又は両方の対向位置に亘って補強線を横架することにより、網状容器の内部に多数の石を充填した際に、これら石の重量で両側面が膨出変形しないので、網状材料の曲げ強度が低くても石の充填により網状容器の側面が膨出することを防止することができる。
【0014】
また、前述した特徴を有する本発明の網状容器は、該網状容器の積み上げ時に対向する端部のいずれか一方に、他方へ向け突出して積み上げ方向と交差する横方向へ移動不能に係合する突起部を設けることにより、複数の網状容器が積み上げられた時に、それらの側面の網目が連続するように配置されるとともに、側面同士が横方向へ移動不能に位置決めされるので、網状容器の積み上げ時における網目の目違いを防止することができる。
【0015】
また、前述した特徴を有する本発明の網状容器は、四角筒状となる対向する二組の側面を有し、これら側面のいずれか一方が二分割される一対の半分体を形成し、前記半分体の端部同士をそれぞれ当接させて四角筒状に連結することにより、平板状に形成された網状板を4枚用意して、これら網状板の端部同士を当接させ溶接などで連結するものに比べ、連結個所が減るので、網状容器を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る屋外構築物を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る網状容器の一例を示す斜視図であり、(a)が完成品を示し、(b)が製作途中の一例を示している。
【図3】本発明の実施形態に係る網状容器の他例を示す斜視図であり、(a)が完成品を示し、(b)が製作途中の一例を示している。
【図4】接続具の一例を示す分解斜視図である。
【図5】網状容器と支柱の接続例を示す横断平面図である。
【図6】屋外構築物の実施例を示す斜視図である。
【図7】屋外構築物の他の実施例を示す斜視図である。
【図8】屋外構築物の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】屋外構築物の他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る屋外構築物Aは、図1〜図9に示すように、網目状に形成してその内部に多数の石Sが充填される網状容器1と、網状容器1の一部に当接するように並べられる支柱2とを備え、これら網状容器1と支柱2との当接面のいずれか一方に凸部3を形成し、他方に凸部3と嵌り合う凹部4を形成し、この凸部3及び凹部4を嵌合して網状容器1と支柱2とを所定の形状に並べることにより、外構やエクステリアなどの壁面Wが形成されるようにしている。
【0018】
網状容器1は、図1〜図3に示すように、例えばステンレスやその他のスチールなどの金属からなる金網又は他の材料からなる網状体によって、対向する二組の側面1a,1bがそれぞれ形成され、これら側面1a,1bを例えば溶接などで溶着するか、又は他の固着手段で連結することにより、網状容器1全体が四角筒状に形成されて、その内部には開口部1cが軸方向へ貫通するように形成されている。つまり、網状容器1の上下両面は開口している。
これら二組の側面1a,1bのうち、一方の側面1aを後述する支柱2と対向させ、これらと隣り合う他方の側面1bが壁面Wの一部を構成するようにしている。
後述する支柱2と対向する側面1aには、凸部3又は凹部4がそれぞれ形成される。
図1〜図3に示される例では、平面寸法が短辺側となる側面1aとそれを挟む両角部とで凸部3を形成している。
【0019】
さらに、網状容器1は、図1及び図2(a)に示すように、4枚全ての側面1a,1bを平面状に形成するか、又は図3(a)に示すように、壁面Wの一部を構成する一対の側面1bをそれぞれ所定の曲率で略平行に湾曲する曲面状に形成している。
すなわち、網状容器1には、4枚全ての側面1a,1bが平面状の直フェンス用網状容器11と、一対の側面1bのみが所定の曲率で略平行に湾曲する曲フェンス用網状容器12とがある。
これら直フェンス用網状容器11及び曲フェンス用網状容器12は、少なくとも側面1bの幅寸法及び高さ寸法が異なるものを複数種類用意し、更に曲フェンス用網状容器12の場合には曲率が異なるものをそれぞれ複数種類用意し、これらを任意に組み合わせることで、所望の平面形状で所望の高さ寸法の壁面Wが形成されるようにしている。
【0020】
網状容器1の高さ寸法は、後述する支柱2の地上における高さ寸法と略同じにするか、又はそれよりも短く形成する。
網状容器1の高さ寸法が後述する支柱2の地上における高さ寸法よりも短く形成される場合には、支柱2に沿って複数個の網状容器1を積み上げた時に、支柱2の地上における高さ寸法と略同じとなるように設定することが好ましい。
また、このように複数の網状容器1が積み上げられた時には、各網状容器1の開口部1cを上下方向に連通させることが好ましい。
【0021】
網状容器1の二組の側面1a,1bのいずれか一方又は両方において、側面1a,1bの間隔を所定寸法に保持するために、その対向位置に亘って補強線13を横架することが好ましい。
図2〜3に示される例では、壁面Wの一部を構成する一対の側面1bに亘って補強線13が横架され、この補強線13で両側面1b全体の間隔を所定寸法に保持している。
図2(a)に示される例では、補強線13を等間隔毎に4本固定し、図3(a)に示される例では、補強線13を等間隔毎に2本固定しているが、網状容器1のサイズによって補強線13の本数及び配置位置を変えることが好ましい。
【0022】
さらに、複数の網状容器1が上下に積み上げられた際に、網目の目違い、詳しくは網目の食い違いや段差などが発生することを防止するため、網状容器1の積み上げ時に対向する上下端部のいずれか一方に、他方へ向け突出して積み上げ方向と交差する横方向へ移動不能に係合する突起部14を設けることが好ましい。
図2〜3に示される例では、網状容器1の側面1a,1bの下端部又は上端部のどちらか一方に、突起部14として線材を、側面1a,1bの網目とずらして相互に当接するように略平行に連結している。
特に、図2(a)及び図3(a)に示される例では、上段に積み上げられた網状容器1で平面寸法が長辺である側面1bの下端部内側から突起部14として線材をそれぞれ下向きに突出するように設け、これら線材が、下段に位置する網状容器1の側面1bの上端部内側に挿入されて係合するようにしている。
突起部14は必要に応じて、工具で叩くことなどにより取り外し可能となるように取り付けることが好ましい。それに伴って、網状容器1が最上段に積み上げられた場合など、突起部14が邪魔になった際には簡単に取外すことができる。
また、図2(a)(b)に示される例では、長辺の一方の側面1bに突設される突起部14の位置と、長辺の他方の側面1bに突設される突起部14の位置とを、側面1a,1bの長手方向へ網目一つ分又は複数分ずらして配置することにより、同一形状で上下いずれの段でも使用可能な網状容器1を構成している。すなわち、最下段を除く上段に使用する時には図示例の網状容器1を突起部14が下向きに突出するように配置し、最下段に使用する時には図示例の網状容器1を上下逆転して突起部14が上向きに突出するように配置することにより、これら上向きに突出する突起部14と、上段の網状容器1から下向きに突出する突起部14とが互いに突き当たることなく挿入できて積み重ね可能となる。
なお、その他の例として図示しないが、突起部14として線材に代えて板材を取り付けたり、上下段のいずれか一方の網状容器1で平面寸法が短辺である側面1aの端部から突起部14を、他方の網状容器1で平面寸法が短辺である側面1aの端部へ向け突設したり、網状容器1のサイズ変化によって突起部14の数及び配置位置を変えることも可能である。
【0023】
このような網状容器1の製造方法としては、側面1a,1bのいずれか一方がその中間位置から分離して二分割される一対の半分体1dをそれぞれ予め形成しておき、これら半分体1dをその端部1e同士が当接するように向かい合わせて、半分体1dの端部1e同士を溶接などで溶着するか又は他の固着手段で連結することにより、側面1a,1bを四角筒状に一体化することが好ましい。
図2(b)及び図3(b)に示される例では、支柱2と当接する側面1aがその中央位置から横方向へ二分割されるように、金網などからなる平板状の網状板を平面チャンネル状(平面コの字形)に折れ曲げ加工することで、同形状の半分体1dが一対形成され、これら半分体1dの枠状端部1e同士を突き合わせて溶着している。
なお、その他の例として図示しないが、壁面Wの一部を構成する一対の側面1bが二分割されるように、平板状の金網を平面チャンネル状(平面コの字形)に折り曲げて半分体を形成し、これら半分体の枠状端部同士を溶着したり、対向する二組の側面1a,1bを平面状又は曲面状にそれぞれ形成して、それらの端縁同士を溶接などで溶着するか又は他の固着手段で連結することも可能である。
【0024】
支柱2は、石材又は例えばアルミニウムや鉄などの材料で形成され、その下端部2aを地面G下に埋め込むことで移動不能に立設されている。
支柱2の全長又は少なくとも下端部2aを除く地上部分で網状容器1の側面1aと対向する側面2bには、凹部4又は凸部3が軸方向へ直線状に形成される。
図1に示される例では、側面2bの中央部を凹状に加工することで凹部4が形成されている。
【0025】
さらに、支柱2は、壁面Wにおける配置個所に応じて断面形状が異なるもの複数種類用意している。
具体的には、平面直線状の壁面Wの中間位置に配置される中間支柱21と、壁面Wの終端に配置される端支柱22と、平面L字形などに屈曲した壁面Wのコーナー位置に配置されるコーナー支柱23(図6参照)などを、それぞれ異なる高さ寸法毎に複数種類用意している。
すなわち、図1に示されるように、中柱21の場合には、凹部4が背中合わせとなるように一対配置され、端柱22の場合には、凹部4が一つ配置され、図6に示されるように、コーナー柱23の場合には、凹部4が壁面Wの屈曲角度に応じて一対配置されている。
【0026】
そして、支柱2に沿って複数の網状容器1が上下に積み上げられた時には、接続具5で連結することにより、例えば地震などの縦震動で各網状容器1が上下方向に分離しないようにすることが好ましい。
図4に示される例では、接続具5として断面コの字形(チャンネル状)の保持板5aと、この保持板5aと平行に配置される挟持板5bと、これら保持板5a及び挟持板5bに亘り貫通して進退自在に係合(螺合)する、例えばネジやボルトなどの締め付け軸5cとを備え、締め付け軸5cを回転操作することにより、挟持板5bと挟持板5bとの間に上段の網状容器1の枠状下端部1fと、下段の網状容器1の枠状上端部1gを挟み込んで分離不能に保持している。
なお、その他の例として図示しないが、接続具5の前述した作用と同様な機能を有していれば、従来周知構造の接続具に代えることも可能である。
【0027】
さらに、網状容器1と支柱2が凸部3及び凹部4の嵌合により互いに当接した状態において、これら凸部3と凹部4とを係止具6で連結することにより、例えば地震などの横震動で網状容器1と支柱2が水平方向に分離しないようにすることが好ましい。
図5に示される例では、係止具6として支柱2(端支柱22)の側面2bに埋め込まれるアンカープラグ6aと、このアンカープラグ6aにねじ込まれるビス6bとを備え、網状容器1の枠状側端部1hに対し必要に応じてワッシャーなどの係止片6cによりビス6bの頭部を係合させながらねじ込むことにより、網状容器1(直フェンス用網状容器11)の枠状側端部1hが支柱2の側面2bに固定されている。
なお、その他の例として図示しないが、係止具6の前述した作用と同様な機能を有していれば、従来周知構造の係止具に代えることも可能である。
【0028】
また、本発明の実施形態に係る屋外構築物Aは、複数の網状容器1をそれぞれの側面1a,1b同士が当接するように並べることで、壁面Wの一部が構成されるようにしたり、壁面Wの端部に網状容器1の側面1a,1bが露出するように並べることも可能である。
このように支柱2を配置せずに、網状容器1同士を連結したり、壁面Wの端部に並べられる網状容器1の側面1a,1bが露出するように配置した場合には、壁面Wの強度が部分的に低下するため、これら網状容器1同士の連結部や壁面Wの端部に並べられる網状容器1に補助支柱7を配置することが好ましい。
図6〜図9に示される例では、補助支柱7として、例えばスチールなどの金属で表面がメッキ加工された断面L字形の板材を用い、網状容器1の内側隅部にビスなどの固定具で着脱自在に固定することにより、その下端部7aを網状容器1から突出させ、地面G下に埋め込むことで移動不能に立設されるようにしている。
なお、その他の例として図示しないが、補助支柱7の前述した作用と同様な機能を有していれば、断面L字形以外の形状の板材を使用することも可能である。
【0029】
一方、網状容器1内に充填される石Sは、例えば火山岩を砕いた軽石や他の採石などからなり、網状容器1の開口部1cよりも小さいものを使用する。
特に、石Sとしては、多孔質で吸水性(保水性)に優れて比重が軽い軽石などを用いることが好ましい。
【0030】
次に、本発明の実施形態に係る屋外構築物Aの施工方法を手順に従って説明する。
先ず、図1に示すように、支柱2が所定間隔(等間隔)毎に配置され、それぞれの下端部2aを地面G下に埋め込むことで、地面Gに対し垂直状に立てられ、少なくとも各支柱2の間に位置する地面Gを水平にする。
この状態で、これら支柱2の間に網状容器1を、それぞれの凸部及び凹部4が嵌合するように位置合わせし、上方から挿入してスライドさせ、網状容器1の下端を地面Gに当接させる。
【0031】
さらに、複数の網状容器1を積み上げる場合には、前述した作業を繰り返す。
それが終了したら、積み上げられた網状容器1を接続具5で連結して分離しないようにし、凸部3と凹部4を係止具6で連結して網状容器1と支柱2が分離しないようにする。 そして、網状容器1の開口部1cに対し、石Sを上から充填すれば完了する。
【0032】
このような屋外構築物Aによると、例えば図1に示されるように、各網状容器1が支柱2で支えられるため、地震などの振動に倒れ難い壁面Wが形成され、更に網状容器1内の多数の石Sが網目を透して外から見えるため、石垣風の網状容器1と支柱2が組み合わされた壁面Wを簡単に設置することができる。
特に、網状容器1が支柱2に沿って複数個積み上げられ、これら網状容器1の開口部1cを連通するように配置した場合には、壁面W全体の高さ寸法に関係なく、各網状容器1の高さ寸法が低くなり、積み上げた各網状容器1の開口部1cに対して石Bが一度に充填可能になるため、網状容器1の小型化を図りつつ石の充填を容易にすることができる。
【0033】
また、壁面Wの一部を構成する一対の側面1bの対向位置に亘って補強線13を横架した場合には、網状容器1の内部に多数の石Sを充填した際に、これら石Sの重量で各側面1bが膨出変形しないため、金網などの網状材料が細いなどの理由で曲げ強度が低くても石Sの充填により壁面Wの一部を構成する側面1bが膨出することを防止することができる。
また、網状容器1の側面1a,1bでその積み上げ時に対向する下端部又は上端部のいずれか一方に、他方へ向け突出して積み上げ方向と交差する横方向へ移動不能に係合する突起部14を、該側面1a,1bの網目とずらして相互に当接するように形成した場合には、複数の網状容器1が積み上げられた時に、それらの側面1a,1bの網目が連続するように配置されるとともに、側面1a,1b同士が横方向へ移動不能に位置決めされるため、網状容器1の積み上げ時における網目の目違いを防止することができる。
また、網状容器1が四角筒状となる対向する二組の側面1a,1bを有し、これら側面1a,1bのいずれか一方が二分割される一対の半分体1dを形成し、前記半分体1dの端部1e同士をそれぞれ当接させて四角筒状に連結する場合には、平板状に形成された網状板を4枚用意して、これら網状板の端部同士を当接させ溶接などで連結するものに比べ、連結個所が減るため、網状容器1の製造時における連結個所を減らして容易に製造することができる。
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0034】
実施例1に係る屋外構築物Aは、図6に示すように、端支柱22の側面2bとコーナー支柱23の一方の側面2bとの間に、複数の直フェンス用網状容器11を縦横方向へそれぞれ並べて、端支柱22及びコーナー支柱23の一方の側面2bに形成される凹部4と、直フェンス用網状容器11の側面1a及び両角部に形成される凸部3とを嵌合させることにより、前側の壁面W1を立設し、コーナー支柱23の他方の側面2bと当接するように、複数の直フェンス用網状容器11を縦横方向へそれぞれ並べて、コーナー支柱23の他方の側面2bに形成される凹部4と、直フェンス用網状容器11の側面1a及び両角部に形成される凸部3を嵌合させて並べることにより、後側の壁面W2が立設され、平面L字形の外構(塀)となる場合を示すものである。
【0035】
そして、直フェンス用網状容器11の側面1a同士が連結される部分においていずれか一方の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定し、後側の壁面W2を構成する直フェンス用網状容器11の端部側の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定している。
なお、その他の例として図示しないが、後側の壁面W2を構成する直フェンス用網状容器11の端部に、補助支柱7に代えて、前側の壁面W1を構成する直フェンス用網状容器11の端部と同様に端支柱22を当接させて立設したり、これら前側の壁面W1及び後側の壁面W2のいずれか一方又は両方の途中に中柱21を配置することも可能である。
【0036】
また、図6に示される例では、前側の壁面W1及び後側の壁面W2において、直フェンス用網状容器11の積み上げ高さを変えている。
なお、その他の例として図示しないが、網状容器1の積み上げ高さを全て同じにすることも可能である。
【0037】
さらに、図6に示される例では、網状容器1内に充填される石Sとして吸水性(保水性)に優れた軽石などを充填することで、壁面W1,W2の表面に植栽P1を絡ませたり、W1,W2の上面全体又は一部にグランドカバーP2を植えて緑の笠木となるようにしている。
【実施例2】
【0038】
実施例2に係る屋外構築物Aは、図7に示すように、端支柱22の側面2bと当接するように、複数の曲フェンス用網状容器12を縦横方向へそれぞれ並べて、端支柱22の側面2bに形成される凹部4と、曲フェンス用網状容器12の側面1a及び両角部に形成される凸部3とを嵌合させることにより、曲面状の壁面W3が立設されて、平面略S字形の外構(塀)となる構成が、図6に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は図6に示した実施例1と同じものである。
【0039】
そして、曲フェンス用網状容器12の側面1a同士が連結される部分においていずれか一方の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定し、壁面W3の端部に配置される曲フェンス用網状容器12の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定している。
なお、その他の例として図示しないが、壁面W3の端部に配置される曲フェンス用網状容器12に、補助支柱7に代えて、壁面W3の端部に配置される曲フェンス用網状容器12に端支柱22を当接させて立設したり、壁面W3の途中に中柱21やコーナー支柱23を配置することも可能である。
【0040】
さらに、図7に示される例では、平面略S字形の外構であるが、曲フェンス用網状容器12の向きを変えて平面円弧状に配置することも可能である。
【実施例3】
【0041】
実施例3に係る屋外構築物Aは、図8に示すように、中柱21の側面2bと当接するように、複数の直フェンス用網状容器11を縦横方向へそれぞれ並べて、中柱21の側面2bに形成される凹部4と、直フェンス用網状容器11の側面1a及び両角部に形成される凸部3とを嵌合させることにより、主となる壁面W4が立設され、この壁面W4の一端部と当接するように複数の直フェンス用網状容器11を縦方向へ並べることにより、補強用の壁面W5が立設されて、平面L字形の門柱となる構成が、図6に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は図6に示した実施例1と同じものである。
【0042】
そして、主となる壁面W4の端部に配置される直フェンス用網状容器11の一端部の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定し、直フェンス用網状容器11の他端部と補強用の壁面W5を構成する直フェンス用網状容器11の一端部との連結部分においていずれか一方の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定するとともに、補強用の壁面W5を構成する直フェンス用網状容器11の他端部の内側隅部にも、補助支柱7として断面L字形の板材を固定している。
なお、その他の例として図示しないが、主となる壁面W4を構成する直フェンス用網状容器11の一端部に、補助支柱7に代えて、端支柱22を当接させて立設したり、中柱21を端支柱22に代えてそれより左側の壁面を削除したり、壁面W4と補強用の壁面W5との間にコーナー支柱23を配置することも可能である。
【実施例4】
【0043】
実施例4に係る屋外構築物Aは、図9に示すように、中柱21の側面2bと当接するように、複数の曲フェンス用網状容器12を縦横方向へそれぞれ並べて、中柱21の側面2bに形成される凹部4と、曲フェンス用網状容器12の側面1a及び両角部に形成される凸部3とを嵌合させることにより、主となる曲面状の壁面W6が立設され、この壁面W6の一端部と当接するように、複数の直フェンス用網状容器11と曲フェンス用網状容器12を縦方向へ並べることにより、補強用の壁面W7が立設されて、平面略T字形の門柱となる構成が、図6に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は図6に示した実施例1と同じものである。
【0044】
そして、主となる曲面状の壁面W6の端部を構成する曲フェンス用網状容器12の内側隅部と、補強用の壁面W7構成する直フェンス用網状容器11及び曲フェンス用網状容器12の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定し、これら主となる曲面状の壁面W6を構成する曲フェンス用網状容器12と補強用の壁面W7構成する直フェンス用網状容器11との連結部分においていずれか一方の内側隅部に、補助支柱7として断面L字形の板材を固定している。
なお、その他の例として図示しないが、主となる曲面状の壁面W6の端部を構成する曲フェンス用網状容器12に、補助支柱7に代えて、端支柱22を当接させて立設したり、中柱21を端支柱22に代えてそれより左側の壁面を削除したり、壁面W6と補強用の壁面W7との間に中柱21やコーナー支柱23を配置することも可能である。
【0045】
なお、前示実施例では、網状容器1の側面1a及び両角部に形成される凸部3と、支柱2の側面2bに形成される凹部4とを嵌合させたが、これに限定されず、これと逆に網状容器1の側面1aに形成される凹部と、支柱2の側面2aに形成される凸部とを嵌合させても良い。
また、屋外構築物Aが、平面L字形や平面略S字形の外構(塀)、平面L字形や平面T字形の門柱として使用される場合のみを示したが、これに限定されず、その他に例えば門袖、門柱、花壇、ベンチなどの一般家屋のエクステリアとして使用されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 網状容器 1a 側面
1b 側面 1c 開口部
1d 半分体 13 補強線
14 突起部 2 支柱
3 凸部 4 凹部
S 石 W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網目状に形成してその内部に多数の石が充填される網状容器と、
前記網状容器の一部に当接するように並べられる支柱とを備え、
前記網状容器と前記支柱との当接面のいずれか一方に凸部を形成し、他方に前記凸部と嵌り合う凹部を形成し、前記凸部及び前記凹部を嵌合して前記網状容器と前記支柱とが並べられることで壁面を構成したことを特徴とする屋外構築物。
【請求項2】
前記網状容器が前記支柱に沿って複数個積み上げられ、これら網状容器の開口部を連通させたことを特徴とする請求項1記載の屋外構築物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の屋外構築物に用いる前記網状容器であって、対向する二組の側面を有し、これら側面のいずれか一方又は両方の対向位置に亘って補強線を横架したことを特徴とする網状容器。
【請求項4】
請求項2記載の屋外構築物に用いる前記網状容器であって、該網状容器の積み上げ時に対向する端部のいずれか一方に、他方へ向け突出して積み上げ方向と交差する横方向へ移動不能に係合する突起部を設けたことを特徴とする網状容器。
【請求項5】
請求項1又は2記載の屋外構築物に用いる前記網状容器であって、四角筒状となる対向する二組の側面を有し、これら側面のいずれか一方が二分割される一対の半分体を形成し、前記半分体の端部同士をそれぞれ当接させて四角筒状に連結したことを特徴とする網状容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−83200(P2011−83200A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236622(P2009−236622)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(505033215)株式会社TAKAO (1)
【出願人】(390019323)小岩金網株式会社 (32)
【Fターム(参考)】